JP4018829B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造装置及びその製造方法に係り、特に大気とは絶縁された雰囲気下でクラスタリングされた製造装置を用いた製造工程中における半導体層の表面及びその上に形成された膜の特性の管理に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の高集積化の進展に伴い、MOSデバイスにおいても構成要素であるトランジスタ等の素子の微細化,高性能化が要求されている。ただし、トランジスタ等の素子の微細化によってデバイス全体の信頼性が損なわれてはならない。そこで、トランジスタ等の素子を構成する各要素の微細化と信頼性の向上とが併せて求められている。
【0003】
特に、MOSデバイスの重要な構成要素であるゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)については、その薄膜化が急激に進行中であり、21世紀には4nm以下の非常に薄い絶縁膜が用いられると予想されている。ここで、ゲート絶縁膜の特性がMOSトランジスタの特性、ひいては半導体集積回路の電気的な特性を決定するといわれており、良好な特性を有する絶縁膜の実現が切望されている。
【0004】
ここで、絶縁膜の特性は、絶縁膜が形成される前における半導体層の表面状態に大きく左右されることがわかっており、そのために、半導体層の特性を改善するための洗浄方法等が検討されている。例えば,Si基板表面の凹凸を極力小さくできる洗浄方法(プリゲート洗浄処理)を採用することにより、研究レベルでは、厚みが1.2nm程度と極めて薄く、かつ品質のよいゲート酸化膜を形成できることが報告されている。
【0005】
さらに、このようなプリゲート洗浄処理−ゲート絶縁膜形成という一連の手順を大気に暴露することなく実現し、大気暴露に起因する自然酸化膜の形成や汚染物質の付着を防止しようとするクラスタリングされた製造装置も報告されている(文献1:Schuegrafら,IEEE/International Reliability and Physics Symposium 97,p.7)。このクラスタリングされた製造装置を用いた製造プロセスによって高品質のゲート絶縁膜が得られることが検証されており、特に、厚みが4nm以下にまで薄膜化されたゲート絶縁膜の形成工程では、クラスタリングされた製造装置を使用することが望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、MOSデバイス中のゲート絶縁膜の特性の管理は、従来、MOSキャパシタあるいはMOSトランジスタ等の素子を形成し、この素子の電気的な特性を解析することにより行なわれている。したがって、ゲート絶縁膜の形成工程で何らかのトラブルが発生した場合には、MOSキャパシタ等を形成した後に、その電気的特性を評価することによりそのトラブルの存在を発見し、その後、原因の究明及びトラブルの解消策を講ずるという手順に従っている。そのために、トラブルが発見されるまでの間に電気的特性のよくないゲート絶縁膜が多量に形成され続けることになるので、生産効率の低下を招いている。
【0007】
ところが、従来、製造工程中における膜厚の測定に用いられているエリプソメータを薄膜の測定に使用すれば、一応の測定値は示されるものの、その測定値の信頼性は10nm程度が限界で、それよりも薄い膜の厚みについては測定値の精度が十分補償されているとは言い難い。特に、厚みが4nm程度以下の極薄膜については、製造工程中で行なうことができる確実な評価方法が未だ確立されていないないのが現状である。
【0008】
また、上述のようなクラスタリングされた製造装置を用いたプロセスでは、ウエハに対して多くの一連の処理を行なった後に、ウエハ上に形成されたMOSキャパシタ等の電気的特性を測定することになるが、その一連の処理の途中工程におけるウエハの状態を管理する方法がなかった。そのため、研究室レベルではともかく、MOSデバイスの量産工程においては、せっかくクラスタリングされた製造装置を用いても、高品質のゲート絶縁膜を形成できるという保証がないのが現状である。
【0009】
本発明の第1の目的は、極薄膜についても十分な信頼性と精度を補償しうる工学的評価方法を組み込んだ半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、クラスタリングされた製造装置を用いたプリゲート処理→絶縁膜形成工程において、絶縁膜の特性,特に膜厚を光学的に計測し、その特性管理手法を実現する半導体装置の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置の製造装置は、半導体領域を有するウエハに処理を施すための複数の処理室と、上記複数の処理室を含む空間を大気から遮断した雰囲気に維持するように取り囲む共通容器と、上記共通容器内でウエハを搬送するための搬送手段と、上記共通容器内のいずれかの部位にウエハを設置した状態で上記ウエハの表面状態を光学的に評価するための光学的測定手段とを備え、クラスタリングされた装置である。
【0012】
これにより、ウエハを大気にさらすことにより形成される自然酸化膜や付着する汚れなどの影響のない状態でウエハの表面状態を光学的に評価することができる。すなわち、膜を除去した後のウエハの表面状態や、膜を形成した後のウエハの表面状態を光学的に評価することで、例えば酸化膜の膜厚などを高精度で測定することが可能となる。そして、光学的測定のためにウエハを共通容器外に取り出す必要がないので、インラインでの評価を利用して製造工程中のウエハに悪影響を与えることなく半導体装置の製造工程を適正に管理することができる。
【0013】
上記半導体装置の製造装置において、上記光学的測定手段を、励起光を生成する第1の光源と、測定光を生成する第2の光源と、上記第1の光源で生成された励起光を上記共通容器内のウエハの半導体領域に間欠的に照射させるための第1の光案内部材と、上記第2の光源で生成された測定光を上記半導体領域に照射させるための第2の光案内部材と、上記半導体領域に照射された測定光の反射率を検出するための反射率検出手段と、上記半導体領域から反射された測定光を上記反射率検出手段に入射させるための第3の光案内部材と、上記反射率検出手段の出力を受け、上記半導体領域に励起光が照射されているときと励起光が照射されていないときとの測定光の反射率の差を上記励起光が照射されていないときの測定光の反射率で除した値を測定光の反射率の変化割合として演算する変化演算手段とにより構成することができる。
【0014】
これにより、以下の作用が得られる。第1の光案内部材により導かれる励起光が半導体領域に照射されると半導体領域のキャリアが励起され、キャリアによって電界が生じる。この電界のために、第2の光案内部材によって半導体領域に導かれる測定光の反射率は、励起光の照射があるときとないときとでは変化し、この変化割合は電界強度の大小及び測定光の波長に依存して変化する。一方、半導体領域の表面付近にキャリアの再結合中心となる欠陥などがあると、励起されたキャリアの寿命が短くなるので、キャリアが形成する電界強度が小さくなる。つまり、励起光の照射があるときとないときにおける反射率の変化割合が半導体領域の表面付近の欠陥などの数に依存して変化する。また、半導体領域の上に膜があると膜の厚みの増大とともに電子の付着過程が生じて、反射率の変化割合が大きくなる。従って、変化演算手段により、反射率検出手段の検出値から半導体領域における測定光の反射率の変化割合が演算されると、この反射率の変化割合は、半導体領域の結晶状態や膜の有無あるいは厚みなどに関する情報を含んでいる。そこで、この反射率の変化割合に基づいて、ウエハの表面状態を高い感度で評価することができる。
【0015】
上記半導体装置の製造装置において、上記複数の処理室が、ウエハに対しエッチング作用を含む洗浄処理を施すための処理室と、ウエハの半導体領域上に膜を形成するための処理室とを含むことにより、ウエハ上の膜が除去された状態で光学的評価を行うか、その後ウエハ上に膜が形成された状態で光学的評価を行うことが可能になり、自然酸化膜のない清浄なウエハ表面の光学的評価が可能になる。
【0016】
上記半導体装置の製造装置において、上記共通容器内に設けられた光学的測定室をさらに備え、上記光学的測定手段を上記光学的測定室に配設することができる。
【0017】
さらに、上記光学的測定室をウエハを冷却するための冷却室としても機能させることにより、クラスタリングされた製造装置内に設けられていることが多い冷却室を利用して光学的評価を行うことができる。
【0018】
上記半導体装置の製造装置において、上記ウエハ上に膜を形成するための処理室を、ウエハの半導体領域に熱酸化処理を施すことにより酸化膜を形成するように構成し、上記共通容器内に設けられ、上記酸化膜の上に導体膜を形成するための処理室をさらに備えることにより、熱酸化膜が形成されたウエハを大気にさらすことなくその上に導体膜を形成することが可能になる。したがって、厚みが薄くかつその値が精度よく制御された酸化膜を有するMOSトランジスタなどの半導体装置を形成することが可能となる。
【0019】
本発明の第1の半導体装置の製造方法は、ウエハの半導体領域上への膜の形成又はウエハの半導体領域上の膜の除去を行なう処理を含む半導体装置の製造方法であって、上記ウエハの半導体領域に測定光を照射するステップ(a)と、上記ウエハの半導体領域に励起光を間欠的に照射するステップ(b)と、上記ウエハの半導体領域に励起光が照射されているときと励起光が照射されていないときとの測定光の反射率の差を上記励起光が照射されていないときの測定光の反射率で除した値を反射率の変化割合として演算するステップ(c)とを含み、上記反射率の変化割合に基づいて上記膜の厚みを求める方法である。
【0020】
この方法により、上述のように、光変調反射率分光を行なっている半導体領域の上に膜があると、膜の厚みの増大とともに電子の付着過程が生じて反射率の変化割合が大きくなることを利用して、膜の厚みに関する情報が光変調反射率分光法による評価によって得られる。現在汎用されているエリプソメトリ法による膜厚の測定では、膜厚が4nm以下程度に薄くなると測定誤差が非常に大きいか測定感度が得られないかのいずれかである。それに対し、光変調反射率分光法によると、このような薄膜についても正確に膜厚を測定することが可能となる。
【0021】
上記第1の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(c)では、上記測定光の波長を変化させたときの反射率の変化割合のスペクトルを作成しておき、上記反射率の変化割合の絶対値の最大値であるピーク値に基づいて上記膜の厚みを求めることにより、高い感度で膜厚を測定することができる。
【0022】
また、上記ステップ(c)では、上記測定光の波長を変化させたときの反射率の変化割合のスペクトルを作成しておき、上記反射率の変化割合の正側の最大値と負側の最大値との差である谷からのピーク値に基づいて上記膜の厚みを求めることにより、もっとも高い感度で膜厚を測定することができる。
【0023】
上記第1の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(c)では、上記反射率の変化割合の絶対値の最大値であるピーク値を示す測定光の波長に近い一定の波長における反射率の変化割合に基づいて上記膜の厚みを求めることにより、膜厚の測定に要する時間の短縮を図ることができる。
【0024】
上記第1の半導体装置の製造方法は、従来の光学的測定方法では測定できない上記膜の厚みが2nm以下の場合にも、高い精度で膜厚を測定することが可能となる。
【0025】
特に、上記膜の厚みが1nm以下の場合には、上記半導体領域としてp型半導体領域について上記光学的評価を行なうことにより、高い測定感度と測定精度とを得ることができる。
【0026】
上記第1の半導体装置の製造方法において、上記半導体領域として、p型半導体領域とn型半導体領域との双方について上記膜の厚みを測定し、上記膜の厚みが1nm以下と判定される測定値については上記p型半導体領域における測定値を上記膜の厚みとして採用し、上記膜の厚み1nmを越えると判定される測定値については上記n型半導体領域における測定値を上記膜の厚みとして採用することにより、半導体領域の導電型によって反射率の変化割合と膜厚との関係を示す特性が異なることを利用して、もっとも高い感度で極薄膜の膜厚を測定することができる。
【0027】
上記第1の半導体装置の製造方法において、上記半導体領域の抵抗率が0.1Ωcm-1以下であることが好ましい。
【0028】
本発明の第2の半導体装置の製造方法は、複数の処理室と、上記複数の処理室を含む空間を大気から遮断した雰囲気に維持するように取り囲む共通容器と、上記共通容器内でウエハを搬送するための搬送手段とを備え、クラスタリングされた半導体装置の製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、上記複数の処理室のうちの1つの処理室でウエハ上への膜の形成又はウエハ上の膜の除去を行なうステップ(a)と、上記共通容器内のいずれかの部位で、上記ウエハの表面状態を光学的に評価することにより、上記膜の厚みを求めるステップ(b)とを備えている。
【0029】
この方法により、一連の処理が連続して行なわれる途中、あるいは一連の処理が終了して大気雰囲気に戻される前におけるウエハ上の膜の厚みを光学的評価から求めることが可能になる。したがって、クラスタリングされた製造装置内における一連の処理のうちの途中工程あるいは全体工程の条件の適否やウエハ上に形成された膜の合否の判定が可能になる。
【0030】
上記第2の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(b)を、上記ウエハの半導体領域に測定光を照射するサブステップ(x)と、上記ウエハの半導体領域に励起光を間欠的に照射するサブステップ(y)と、上記ウエハの半導体領域に励起光が照射されているときと励起光が照射されていないときとの測定光の反射率の差を上記励起光が照射されていないときの測定光の反射率で除した値を反射率の変化割合として演算するサブステップ(z)とにより構成し、上記反射率の変化割合に基づいて上記膜の厚みを求めることができる。
【0031】
この方法により、上述のように、光変調反射率分光によりきわめて薄い膜の膜厚に関する情報が得られることを利用して、クラスタリングされた装置内での膜の厚みや膜の有無を把握することが可能になる。
【0032】
上記第2の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(a)をウエハ上の自然酸化膜を除去する処理を含むものとし、上記ステップ(b)では上記自然酸化膜の厚みを求めることにより、厚みが数nmであるきわめて薄い自然酸化膜を過不足なく除去することが可能になる。
【0033】
上記第2の半導体装置の製造方法において、上記自然酸化膜の残存厚みが所定値以下になるように上記処理の時間を管理するステップ(c)をさらに備えることにより、自然酸化膜の厚みをもっとも好ましい値に保っておくことが可能になる。
【0034】
上記第2の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(a)をウエハ上にゲート絶縁膜を形成する処理を含むものとし、上記ステップ(b)では上記ゲート絶縁膜の厚みを求めることができる。
【0035】
上記第2の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(a)を上記ゲート絶縁膜の上にゲート電極用導体膜を形成する処理をさらに含むものとし、上記ステップ(b)の後、上記ゲート電極用導体膜の形成前に上記ステップ(b)で求められた反射率の変化割合に基づいて、上記ゲート絶縁膜の厚みを管理するステップ(c)をさらに備えることができる。
【0036】
上記第2の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(b)では、上記p型半導体領域とn型半導体領域との双方について上記反射率の変化割合を測定して、上記p型半導体領域とn型半導体領域とについての反射率の変化割合のうち大きい値を示す方の依存特性に基づいて自然酸化膜の残存厚みを判断することが好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】
−クラスタリングされた製造装置によるプロセス−
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造装置について説明する前に、洗浄−ゲート絶縁膜形成という一連のプロセスを行なうに際し、クラスタリングされた製造装置を用いない方法と、クラスタリングされた製造装置を用いる方法とについて説明する。
【0038】
図18a〜図18cは、クラスタリングされた製造装置を用いない方法を示す断面図である。まず、図18aは、洗浄前のウエハの状態を示す図である。図18aに示すように、半導体領域上には自然酸化膜が形成されている。次に、図18bに示す工程で、酸化膜を除去するための洗浄,つまり酸処理等が行なわれる。このとき、わざと、アンモニア洗浄を行なって半導体領域の上にケミカル酸化膜を形成しておく。次に、図18cに示す工程で、例えば熱酸化処理が行なわれ、半導体領域の上にはケミカル酸化膜を介して酸化膜が形成される。
【0039】
一方、図19a〜図19dは、クラスタリングされた半導体装置の製造装置を用いた方法を示す断面図である。まず、図19aは、クラスタリングされた半導体装置の製造装置内に搬入されたときのウエハの状態を示す図である。第1の方法と同様に、半導体領域上には自然酸化膜が形成されている。次に、図19bに示す工程で、酸化膜を除去するための洗浄,つまり酸処理等が行なわれ、このとき、自然酸化膜をいったん完全に除去して、半導体領域の表面を露出させる。ただし、図19cに示すように、半導体領域の上に極めて薄い自然酸化膜が残る場合もある。さらに、図19dに示す工程で、例えば熱酸化処理が行なわれ、半導体領域の上に酸化膜が形成される。
【0040】
以下の第1〜第3の実施形態では、図19a−図19dに示す方法に沿って、洗浄−酸化膜の形成という一連の処理を行なっている。
【0041】
(第1の実施形態)
−クラスタリングチャンバの構成−
図1は、本実施形態に係るクラスタリングされた半導体装置の製造装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0042】
図1において、1は洗浄用チャンバ、2は高速酸化用(Rapid Thermal Processing)チャンバ、3はロードロック室、4はウエハ冷却用チャンバ、5は光学的測定用チャンバ、6はウエハロード・アンロード部をそれぞれ示す。すなわち、ロードロック室3及びこれに房のように取り付けられた各チャンバ1,2,4,5が、大気から遮断された減圧雰囲気下の空間を取り囲む共通容器として機能しており、いわゆるクラスタリングされた製造装置となっている。例えば、酸化膜の形成工程においては、ウエハは洗浄用チャンバ1で洗浄された後、引き続いて高速酸化用チャンバ2で酸化されることになる。その際、ウエハの洗浄工程で、ウエハ上の自然酸化膜は除去される。また、ロードロック室3はウエハの搬送を最適化して処理するように構成されており、内部は減圧されている。そのため、洗浄工程を終了した後にも、ウエハ表面が大気暴露などにより酸化されることはない。
【0043】
ここで、本実施形態の特徴は、光学的測定用チャンバ5がクラスタリングされた製造装置の共通空間内に配置されていて、この光学的測定用チャンバ5には、励起光用光源7(Arイオンレーザ)と、測定光用光源8(150WのXeランプ)と、測定光の反射光の強度を検出するための光検出器9と、各々励起光用光源7,測定光用光源8および光検出器9と光学的測定用チャンバ5との間における光の誘導路となる光ファイバー10,11,12と、光変調反射率分光による測定の際の機器の制御やデータの算出,解析などを行なうための制御・解析システム13とが配設されている点である。
【0044】
−光学的測定システム−
図2は、上記半導体装置の製造装置内に配設された光学的測定システムを概略的に示す斜視図である。
【0045】
図2において、21はウエハステージ、22はウエハ、23は石英窓、24は入射測定光導入部、25は反射測定光導出部、26は励起光導入部、27は入射された励起光がウエハ22で反射して戻ってくる光である迷光を遮るための遮光板、30は励起光導入部27と制御・解析システム13との間を接続する信号線をそれぞれ示す。ここで、入射測定光導入部24,反射測定光導出部25および励起光導入部26は、それぞれ光ファイバー支持装置としての機能を有している。さらに、図示されていないが、励起光導入部26には、500Hzの周波数で被測定物に励起光を間欠的に照射させる(変調)ためのチョッパーが付設されており、このチョッパーは、制御・解析システムにより光検出器9と同期して動作するように制御されている。すなわち、本実施形態における半導体装置の製造装置は、洗浄−ゲート絶縁膜の形成という一連のプロセス中におけるウエハの状態を光学的にモニターしながら製造工程を管理することにより、高品質のゲート絶縁膜をトラブルなく形成できるように構成されている。
【0046】
−光変調反射率測定の原理−
ここで、光変調反射率分光の測定原理について、図2に示す本実施形態の測定装置の構造を参照しながら説明する。励起光用光源7で生成された励起光は励起光導入部26に付設されたチョッパーを介して光学的測定用チャンバ5内に送られ、ウエハ22内の半導体領域に間欠的に照射される。本実施形態においては、半導体領域はn型拡散層である。そして、ウエハ22内の半導体領域に励起光が照射されているときと照射されていないときの反射測定光の強度の差ΔRを、励起光の照射がないときの反射測定光の強度Rで割った値(ΔR/R)が反射強度の変化割合として制御・解析システム13で検知される。以上の構成により、反射強度の変化割合の変動がモニターされる。なお、エリプソメータによる測定とは異なり、測定光の入射側には偏光子を反射側には検光子をそれぞれ配置する必要はない。ただし、偏光子および検光子を配置してエリプソメトリ機能を付加することは可能である。
【0047】
上述のような反射強度の変化割合(ΔR/R)は、以下の作用によって生じると考えられる。一般的に、半導体領域に光を照射すると、光によって励起されるキャリア数が増大し、その後、キャリアが元のエネルギー準位に戻る際には光を放出して消滅する。このキャリア数の変化に伴い半導体領域の励起光が照射された領域における電界強度が変化する。したがって、励起光が照射されているときと、励起光が照射されていないときとでは、測定光の反射強度が異なる。ところが、半導体領域の表面付近に欠陥が多く存在すると、その欠陥によってエネルギー準位の低い界面準位が存在することになる。そして、このような界面準位を有する欠陥がキャリアの捕獲層として機能するために、光が照射されてもキャリアが欠陥に捕獲されて十分に高いエネルギー準位まで励起されなかったり、高いエネルギー準位まで励起されたキャリアが欠陥に捕獲されたりすると、励起されたキャリアが低いエネルギー準位に戻る際に発生する光の強度が低下する。その結果、半導体領域の励起光照射領域における電界強度も変化することになる。したがって、半導体領域の表面付近の捕獲準位の数に依存して測定光の反射強度の変化割合(ΔR/R)が変化する。また、半導体領域上に膜が存在して半導体領域の表面付近における電子付着が顕著な場合は反射率の変化割合(ΔR/R)の変化量が増大する。したがって、この測定光の反射強度の変化割合をモニターすることにより、半導体領域の表面付近の領域の物理的状態に関する情報が得られる。
【0048】
なお、上記チョッピングの周波数は、キャリアが再結合して半導体領域の電界強度が変化する時間と関係があるものと思われ、実験から1kHz以下が好ましく、より好ましくは500Hz以下が好ましいことがわかっている。また、励起光のフォトンエネルギーが半導体領域のバンドギャップよりも大きいことが好ましい。シリコン基板を使用する場合には、フォトンエネルギーが1.1eV以上の波長の励起光を使用することが好ましい。以上のことは、後述の各実施形態においても同様である。
【0049】
本実施形態では、測定光の照射強度(各波長域における)を一定と仮定しているので、反射強度を検出することで反射率の検出に置き換えている。すなわち、反射強度の変化割合の測定は、ウエハ22の半導体領域にArイオンレーザー光である励起光を間欠的に照射しながら、別の方向からXeランプ光である測定光を連続的に照射して、この測定光の反射強度の変化の検出により行われる。つまり、半導体領域に励起光が照射されているときの反射強度と励起光が照射されていないときの反射強度との差ΔRを、半導体領域に励起光が照射されていないときの反射強度Rで割った値(ΔR/R)を反射率の変化割合としている。すなわち、光変調反射率分光とは、励起光の照射・非照射を繰り返しながらプローブ光の波長を変化させて、その波長(光のエネルギー値)ごとに反射率の変化割合を測定して、そのスペクトル形状を調べる方法である。
【0050】
図9は、半導体領域である単結晶シリコン層に入射したプローブ光の波長λの逆数に比例するフォトンエネルギーの値と反射率の変化割合(ΔR/R)との関係を示す基本的なパターンのスペクトル線図である。同図に示す反射率の変化割合(ΔR/R)の値は、初期の状態を0とする相対値である。反射率の変化割合(ΔR/R)が変動する感度のもっとも高い箇所は、同図に示す負側のピーク値付近である。そこで、本実施形態においては、ピーク値とは負側のピーク値を意味することとし、そのときのプローブ光の波長として、負側のピーク値を示すエネルギー値にほぼ等しい約3.30eVに相当する波長376nmを使用するようにしている。また、以下の説明において、負側のピーク値から正側のピーク値までの高さを「谷からのピーク値」と呼ぶ。
【0051】
このスペクトル形状を求めるに際しては、200〜500nmの波長範囲におけるプローブ光のスペクトルを検出して解析することが好ましい。
【0052】
−洗浄工程の管理と光学的測定−
次に、以上の半導体装置の製造装置と光学的測定システムとを用いた洗浄−ゲート絶縁膜形成という一連のプロセスについて説明する。
【0053】
まず、ウエハ上の自然酸化膜を除去するために、先行ウエハ(モニターウエハ)を含めた製品用ウエハをウエハロード・アンロード部6からロードロック室3に搬入する。なお、高感度の測定を行なうために、ウエハ内には抵抗率が0.02Ωcm-1のn型半導体領域が形成されている。ロードロック室3は約50mTorrに減圧されている。まず、先行ウエハをロードロック室3から洗浄用チャンバ1に誘導し,HF蒸気による洗浄と、UV照射によってCl2 ガスを解離して生じたラジカルによるウエハ表面のエッチングとを行なって、自然酸化膜を除去して平坦な界面を形成する。そのために、洗浄用チャンバ1は、腐食防止処理等が施されている。
【0054】
ここで、ウエハをいったん光学的測定用チャンバ5に搬入し、上述の光変調反射率分光を行なって半導体領域の状態を測定する。
【0055】
図3は、この光変調反射率分光の結果を示す反射率変化のスペクトル図である。同図において、横軸は波長に反比例するフォトンエネルギーであり、縦軸はΔR/Rを表している。同図中の“洗浄前”に示すように、洗浄前の半導体領域上には厚い自然酸化膜が形成されているために、光変調反射率分光のスペクトルのピーク値が大きいことがわかる。また、同図中の“ケミカル酸化膜”に示すように、従来の方法で形成されるケミカル酸化膜が形成されている場合にも、当初の厚い自然酸化膜が形成されているものよりはピーク値が小さくなるものの、かなりの厚みの酸化膜が存在していることがわかる。一方、洗浄が十分でない場合には、同図中の“洗浄後−2”に示すように、かすかではあるがピークが存在する。この状態で、酸化工程を実施した場合には、その後の信頼性評価試験において若干の不良が発生している。
【0056】
一方、適正な洗浄を行なうと、同図中の“洗浄後−1”に示すように、光変調反射率分光のスペクトル中のピークはほとんど見られない状態となった。この状態で酸化工程を行なった場合には、その後の信頼性試験において、ほとんど不良が発生しないことがわかった。このように、反射率分光の測定データを、エッチング作用を含む洗浄処理が適正か否かの判断に利用することがわかる。
【0057】
図4は、洗浄時間と光変調反射率分光のスペクトル中のピーク値との関係を示すデータである。同図に示すように、洗浄時間が長くなるにつれてピーク値が小さくなり、自然酸化膜が完全に除去される様子がわかる。
【0058】
すなわち、従来のクラスタリングされていない製造装置を用いた場合はむろんのこと、クラスタリングされた製造装置を用いた場合であっても、経験的に設定された時間だけ洗浄を行なった後酸化工程を行なったのでは、わずかに残る自然酸化膜のためにゲート絶縁膜の品質が低下するおそれがあった。それに対し、本実施形態の製造装置を用いたプロセスによると、洗浄後の洗浄後、酸化前における半導体領域上のごく薄い酸化膜の有無を検知できるので、ゲート絶縁膜の不良などのトラブルの発生を確実に防止することができる。
【0059】
また、光学的測定用チャンバ5において、洗浄後のウエハ上に酸化膜が残っていることがわかった場合には、ウエハを洗浄用チャンバ1に再度戻し、残存している酸化膜の膜厚を除去するのに必要な時間だけ洗浄を行なえばよい。すなわち、そのまま次工程に進めたのでは不良となるウエハを救済できるので、ウエハを有効に活用できる。
【0060】
なお、本実施形態では、酸化前における合否の判定基準として、光変調反射率分光のスペクトルのピーク値を0.1としているが、この判定基準は測定系のSN比に依存しているので、必ずしも0.1である必要はない。すなわち、各製造工程に適した判定基準を採用することができる。
【0061】
また、洗浄後に、意図的にケミカル酸化膜を形成するようにしてもよく、その場合には、光変調反射率分光のスペクトルのピーク値の適正範囲を予め把握しておくことで、製造工程の適正条件からのずれの発生を検知したり、製造条件を調整するなどの製造工程の管理を行なうことができる。すなわち、本発明の半導体装置の製造方法は、クラスタリングされた製造装置に限定されるものではない。ただし、クラスタリングされた製造装置を用いた場合には、特に、一連のプロセスが終了するまでウエハを装置外に取り出すことがないので、本実施形態のごとく、クラスタリングされた製造装置内で光学的評価を行うことで、一連のプロセスの途中での各プロセスの適否を判定できるという著効を発揮することができる。また、ウエハ表面の状態が装置外部の環境条件(酸素、湿気などの存在)に影響されないので、10nm以下の薄い厚みを有する酸化膜の厚みを、自然酸化膜の影響等を除去しながら把握することができ、より高い測定精度が得られるという利点がある。
【0062】
さらに、本実施形態では、高速酸化用チャンバ2を配置してウエハに酸化工程を施すようにしているが、酸化と共に窒化を行なって窒化酸化膜を形成するプロセスや、窒化のみを行なって窒化膜を形成するプロセスについても本発明を適用することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、膜厚が2nm以下の場合に限って説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、膜厚が2nm以上の場合でも、寝具強度と膜厚の関係が予め求められていれば、本実施形態と同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0064】
また、本実施形態で説明した光変調反射率分光ではなく、従来用いられているエリプソメトリ法による膜厚の測定をクラスタリングされた製造装置内で行なうことも原理的には可能である。しかし、エリプソメトリ法による膜の測定では、上述のように偏光子,検光子などを観測部に設置する必要があるのに対し、本発明の光変調反射率分光法の場合には、偏光子や検光子を配備する必要はない。よって、光変調反射率分光法を採用することは、1.5nm以下の厚みを有する薄膜の測定が高精度で行えるという点に加え、省スペースという観点からも、限られたスペースしか確保できないクラスタリングされた製造装置においてはエリプソメトリ法よりも有利である。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、酸化膜の形成時における酸化膜の厚みの制御に関する第2の実施形態について説明する。本実施形態においても、上記第1の実施形態における図1,図2に示すクラスタリングされた製造装置を用いることが前提である。
【0066】
まず、先行ウエハ(モニターウエハ)を含む処理ウエハをロード・アンロード部6からロードロック室3に搬入した後、洗浄用チャンバ1内で、図3に示す“洗浄後−1”のスペクトルが得られるような条件の洗浄を行ない、これを光学的測定用チャンバ5に移動させて、光学的測定用チャンバ5内において光変調反射率分光による測定を行なう。
【0067】
さらに、いったん自然酸化膜が完全に除去されたウエハを酸化するとともに、この酸化の方法や時間を変えて、各酸化処理ごとに光変調反射率分光による測定を行なう。
【0068】
図5は、本実施形態における光変調反射率分光のスペクトル図である。同図に示されている膜厚値は、TEM観察によって確認された膜厚値である。ただし、同図中のピーク値は、既に述べように、測定系のSN比によって変化するので、膜厚に対する相対的な値を示すにすぎない。同図に示すように、洗浄を行なった直後のウエハについて測定されたスペクトル中にはピークはほとんど見られず、TEM観察の結果、酸化膜の膜厚はほぼ0nmと測定された。
【0069】
一方、図6は、TEM観察による膜厚と光変調反射率分光のスペクトル中のピーク値との関係を示すデータである。同図に示すように、酸化膜の膜厚が2.0nm付近の値に達するまでは、膜厚の増大につれてスペクトル中のピーク値も大きくなっている。ただし、酸化膜の厚みが2.0nmを越えると、逆にスペクトル中のピーク値が減少することもわかった。
【0070】
また、図7は、シリコン基板上に厚みが2.4nmの酸化膜とポリシリコン膜とが堆積されたものの断面構造をTEMで撮影したものの複写図である。同図に示すように、本願では、シリコン酸化膜の網目構造が観察されるような分解能を有するTEM観察の結果を用いて、酸化膜の厚みが確認されている。
【0071】
次に、このデータに基づいて、1.5nmの厚みの酸化膜を形成するためのプロセスについて説明する。まず、ウエハが高速酸化炉2に誘導され、高速酸化炉2内でO2 ガスが流量500sccmで導入され、1000℃まで約1分間で昇温される。そして、その後の保持時間を適宜設定することにより、所望の厚みの酸化膜を形成することができる。本実施形態における実験では、約10secの保持時間により、約1.5nmの厚みを有する酸化膜が得られた。なお、本実施形態の光学的測定システムを使用する場合には、このときの光変調反射率分光のスペクトル中のピーク値を図6に示す1.8付近に設定して製造工程の管理を行なった。その結果、クラスタリングされた製造装置を用いながら光学的測定を利用した管理を行なわない従来の方法によると1.5nm±0.2nmのばらつきを有する酸化膜しか形成できなかった。それに対し、本実施形態における実験では、厚みが1.5nm±0.1nmの範囲の酸化膜を形成することができ、酸化膜の厚みのばらつきを±0.1nmの範囲に収めることができた。
【0072】
また、光学的測定用チャンバ5において、洗浄後のウエハ上に酸化膜が残っていることがわかった場合には、ウエハを再度洗浄用チャンバ1に戻し、残存している酸化膜の膜厚を除去するのに必要な時間だけ洗浄を行なえばよい。すなわち、そのまま次工程に進めたのでは不良となるウエハを救済できるので、ウエハを有効に活用できる。
【0073】
以上のように、酸化膜の合否を判定して、“次の処理に進行させる”、“追加酸化処理を行なう”、“酸化膜を除去して最初の酸化処理からやり直す”、などの適切な措置を行なうことが可能になる。
【0074】
なお、製造工程の管理を行なうための規格値が適正かどうかは、様々な要因によって変わるので、そのプロセス・測定システムの状況に適した値を採用することが好ましい。
【0075】
さらに、本実施形態の測定手法は、クラスタリングされた製造装置・方法のみに適合するものではなく、従来の酸化工程後の膜厚管理にも適用することができる。すなわち、このような光学的測定方法を絶縁膜の形成工程に組み込むことにより、製造工程途中において膜厚を正確な把握することができるので、ゲート絶縁膜等の絶縁膜の製造工程をより適正に管理することができる。
【0076】
特に、クラスタリングされた製造装置を用いた場合には、一連のプロセスが終了するまでウエハを製造装置外に取り出すことがないので、クラスタリングされた製造装置内で光学的評価を行うことで、一連のプロセスの途中での各プロセスの適否を判定できるという著効を発揮することができる。また、ウエハ表面の状態が装置外部の環境条件(酸素、湿気などの存在)に影響されないので、2nm以下の厚みを有するような薄い酸化膜の厚みを、自然酸化膜の影響等を除去しながら把握することができ、より高い測定精度が得られるという利点がある。
【0077】
なお、本実施形態では、膜厚が2nm以下の場合に限って説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、膜厚が2nm以上の場合でも、信号強度と膜厚の関係が予め求められていれば、本実施形態と同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0078】
また、本実施形態で説明した光変調反射率分光ではなく、従来用いられているエリプソメトリ法による膜厚の測定をクラスタリングされた製造装置内で行なうことも原理的には可能である。しかし、第1の実施形態において説明したと同様に、光変調反射率分光法の方がエリプソメトリ法よりも有利である。
【0079】
さらに、本実施形態では、高速酸化用チャンバ2を配置してウエハに酸化工程を施すようにしているが、酸化と共に窒化を行なって窒化酸化膜を形成するプロセスや、窒化のみを行なって窒化膜を形成するプロセスについても、その膜厚と光変調反射率分光のスペクトル中のピーク値との関係を把握しておくことで、本発明を適用することができる。
【0080】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態においても、上記第1の実施形態における図1,図2に示すクラスタリングされた製造装置を用いる。
【0081】
まず、先行ウエハ(モニターウエハ)を含む処理ウエハをロード・アンロード部6からロードロック室3に搬入した後、洗浄用チャンバ1内で、図3に示す“洗浄後−1”のスペクトルが得られるような条件の洗浄を行ない、これを光学的測定用チャンバ5に移動させて、光学的測定用チャンバ5内において光変調反射率分光による測定を行なう。このときのウエハから得られる分光スペクトルの形状は、図5に示す“〜0nm”のスペクトル形状に相当する。つまり、自然酸化膜がほとんど除去され、清浄なウエハの表面が露出しているので、ほとんどピークが現れていない。
【0082】
次に、ウエハを高速酸化用チャンバ2内に移動させ、第2の実施形態で説明したガス種,ガスの流量及び昇温条件を用い、約30secの間酸化を行うことで、厚みが3.5nmの酸化膜を形成する。
【0083】
次に、高速酸化用チャンバ2内に窒素混合ガスを導入し、ウエハ表面の酸化膜の熱処理(窒化処理)を行なった。
【0084】
図8は、この窒化処理の前後における光変調反射率分光の測定結果である反射率の変化割合のスペクトルを示す図である。同図に示すように、熱処理前と熱処理後とで、スペクトル形状、特にピーク値が変化する理由はまだ解明できていないが、熱処理によるSiO2 /Si界面準位の発生数の低減、界面付近の歪の低減などが考えられる。
【0085】
従来、高速酸化法により厚みが3.5nm程度の酸化膜を形成した場合には、SiO2 /Si界面準位の発生があるなどの諸要因から酸化膜の窒化処理が行なわれているが、そのときの窒化処理を適正に行なうための管理手法がなかった。それに対し、本実施形態の方法によると、窒化処理前後の光変調スペクトルとを比較することで、窒化された酸化膜の品質の判断基準を設けることが可能となる。そして、窒化処理条件と窒化処理後の酸化膜の品質とを比較することで、窒化処理工程の管理を行なうことが可能となる。例えば、図8に示すスペクトルのピーク値の適正範囲を定めて製造工程の管理を行なうことで、窒化処理に伴う種々のトラブルを解決することができるとともに、窒化された酸化膜の合否を判定して、次の処理に進行させる、追加窒化処理を行なう、酸化膜を除去する洗浄工程からやり直す、などの適切な措置を行なうことが可能になる。
【0086】
なお、製造工程の管理を行なうための規格値が適正かどうかは、様々な要因によって変わるので、そのプロセス・測定システムの状況に適した値を採用することが好ましい。
【0087】
さらに、本実施形態の測定手法は、クラスタリングされた製造装置・方法のみに適合するものではなく、従来の酸化膜形成後の窒化処理工程の管理にも適用することができる。すなわち、このような光学的測定方法を酸化膜の形成後の窒化処理工程に組み込むことにより、製造工程途中において膜厚を正確な把握することができるので、酸化膜の窒化処理工程をより適正に管理することができる。ただし、クラスタリングされた製造装置を用いた場合には、特に、一連のプロセスが終了するまでウエハを装置外に取り出すことがないので、本実施形態のごとく、クラスタリングされた製造装置内で光学的評価を行うことで、一連のプロセスの途中での各プロセスの適否を判定できるという著効を発揮することができる。また、ウエハ表面の状態が装置外部の環境条件(酸素、湿気などの存在)に影響されないので、2nm以下の厚みを有するような薄い酸化膜の厚みを、自然酸化膜の影響等を除去しながら把握することができ、より高い測定精度が得られるという利点がある。
【0088】
本実施形態では、酸化膜の熱処理として窒化処理を行なう場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、シリコン層の上にタンタルオキサイド膜を形成し、その後、熱処理を行なうことにより、シリコン層とタンタルオキサイド層との間に薄い酸化膜を形成することがあり、かかる熱処理についても、本実施形態の方法を適用することができる。
【0089】
(第4の実施形態)
上記第1〜第3の実施形態では、クラスタリングされた製造装置中の光学的測定用チャンバ5に光変調反射率分光を行なうための光学的測定システムを取り付けたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、以下のようなクラスタリングされていない製造装置にも適用が可能である。
【0090】
図10は、クラスタリングされた製造装置ではない第4の実施形態に係る単独のチャンバ内、例えばプラズマCVDを行なう反応処理室50内で光学的測定を行なう場合の構成を概略的に示す断面図である。同図に示すように、反応処理室50内には、下部電極であるアノード電極53と、上部電極であるカソード電極54とが配設されていて、アノード電極53の上に、p型シリコンからなるウエハ22が設置されている。ウエハ22のn型半導体領域24の上にCVDによりシリコン酸化膜(図示せず)が形成される。そして、高周波電源51からカップリングコンデンサ52を介して高周波電力が各電極53,54間に供給することにより、反応処理室50内にプラズマ55を生成するように構成されている。また、反応処理室50の壁面には、終点検出用窓57と、プローブ光入射用窓58と、反射光観測用窓59とが設けられている。
【0091】
一方、反応処理室50の外部には、終点検出システム59が設けられているとともに、反射強度Rの観測のための部材が配設されている。まず、n型半導体領域24に照射するプローブ光を発生するXeランプ61が設けられており、Xeランプ61で生成されたプローブ光71はミラー62により反射された後、プローブ光入射用窓58を介して反応処理室50内に設置されたウエハ22のシリコン酸化膜を通過してn型半導体領域24に達する。そして、n型半導体領域24で反射された反射プローブ光72は、反射光観測用窓59から反応処理室50の外に取り出され、反射強度観測システム66によりその強度(特に、波長376nm,エネルギー3.3eVの付近)が検出される。そして、反射強度観測システム66で計測された反射強度に関するデータは、信号経路67を経てエッチング制御システム68に送られる。また、n型半導体領域24に照射する励起光を発生するArイオンレーザー63が設けられており、このArイオンレーザー63で発生された励起光73はチョッパ64によって周波数200Hzでチョッピングされて、間欠的に送られる。この励起光73は、終点検出用窓57を介して反応処理室50内に送られ、n型半導体領域24に間欠的に照射される。そして、上述のように、励起光73が照射されているときと照射されていないときの反射プローブ光72の反射強度(つまり反射プローブ光72の強度)の差ΔRを、励起光73の照射がないときの反射強度Rで割った値(ΔR/R)が反射率の変化割合として反射強度観測システム66で検知される。なお、プローブ光の入射側には偏光子を反射側には検光子をそれぞれ配置してもよい。
【0092】
以上の構成により、実際にCVDなどにより絶縁膜を形成する反応処理室内で、反射強度の変化割合の変動がモニターされる。したがって、クラスタリングされた製造装置でなくても、単独でCVD,スパッタリング,熱酸化等の成膜を行なう装置内においても、光変調反射率分光のスペクトルを利用して形成される成膜の膜厚を測定することができる。特に、上記各実施形態で説明したように、光変調反射率分光による測定では、現在汎用されているエリプソメトリ法では測定誤差が大きい厚み範囲や、測定感度が得られないような検出困難なほど薄い厚み範囲についての測定が可能であるという利点がある。
【0093】
(第5の実施形態)
次に、n型半導体領域およびp型半導体領域についての光変調反射率測定に関する第5の実施形態について説明する。本実施形態における製造装置や光学的測定システムの図示は省略するが、第1又は第4の実施形態におけるものを使用することができる。すなわち、以下の説明では便宜上図1および図2に示すクラスタリングされた製造装置および光学的測定システムを用いたときの測定手順について説明するが、図10に示すクラスタリングされていないCVD装置および光学的測定システムを用いてもよい。
【0094】
−酸化膜の膜厚と光変調反射率分光測定データとの関係−
まず、各々n型半導体領域およびp型半導体領域を有する先行ウエハを含めた処理ウエハをロード室6より導入し、第2の実施形態において説明した方法でウエハの洗浄を行う。
【0095】
次に、このウエハの表面を酸化して、n型半導体領域およびp型半導体領域の上に酸化膜を形成する。そして、酸化時間を種々変更して異なる膜厚を有する測定用サンプルを形成し、各サンプルについて光変調反射率分光による膜厚の測定を行なった。
【0096】
図11は、TEM観察による膜厚と、光変調反射率分光のスペクトル中の“谷からのピーク値”との関係を示すデータである。同図において、■はp型半導体領域上の酸化膜についての測定値データを示し、▲はn型半導体領域上の酸化膜についてのデータを示す。図11における“谷からのピーク値”は、スペクトルの最大値(正側のピーク値)と最小値(負側のピーク値)の差を示している。
【0097】
また、図12は、n型半導体領域における光変調反射率分光の雑音除去処理を行なう前の実測スペクトルを示す図である。
【0098】
図11に示されるように、酸化膜の厚みが約1.0nm以下においては、n型半導体領域におけるよりもp型半導体領域における反射率の変化割合(ΔR/R)の“谷からのピーク値”が大きくなっている,つまり測定感度が高くなっている。一方、酸化膜の厚みが約1.0nmを越えると、n型半導体領域における“谷からのピーク値”の方が高くなっている。そして、p型半導体領域においては、酸化膜の厚みが1.0nmを越えると“谷からのピーク値”が減小する傾向がある。
【0099】
一方、図12に示されるように、n型半導体領域におけるスペクトルは、酸化膜の厚みが0.2nm付近になると、雑音による凹凸のためにピーク部を見つけること自体が手間を要するようになる。
【0100】
以上のデータを整理すると、以下のようになる。ゲート絶縁膜の膜厚の増大とともに、電子付着過程の増大が生じ、この効果は膜厚が0〜2nmの範囲で得られる。特に、n型半導体領域の表面では図11に示すように、1nm以上の厚み範囲で電子付着の増大に起因する反射率の変化割合の増大が顕著なのに対して、p型半導体領域の表面では0.5〜1.5nmの厚み範囲で電子付着の増大に起因する反射率の変化割合の変化が顕著となる。この時、信号強度の変化特性は膜形成工程条件にも依存するが、信号強度の変化特性から膜厚の情報を得ることができる。
【0101】
特に、酸化膜の厚みが1.0nm以下の範囲においてはp型半導体領域における測定データを採用し、酸化膜の厚みが1.0nmを越える範囲においてはn型半導体領域における測定データを採用することにより、従来困難であった厚みが1.5nm以下のほぼ全ての範囲における酸化膜の膜厚を正確に測定することが可能になった。この効果は、クラスタリングされた製造装置を用いるか否かとは無関係に得られる効果である。
【0102】
−酸化膜の膜厚の管理−
次に、図11に示されるデータを用いて、酸化膜の膜厚の管理を行なった結果について説明する。
【0103】
各ウエハ上のゲート酸化膜について光変調反射率分光の測定を行ない、各ウエハにおける分光スペクトル中の谷からのピーク値が、図11に示す1.5nmの厚み位置に相当する値になるように、製造工程を管理した。
【0104】
図13は、本実施形態におけるゲート酸化膜の膜厚管理方法で管理されたゲート酸化膜のリーク電流値の変動を示すデータである。同図において、横軸はウエハ番号を表し、縦軸はゲートリーク電流の規格値に対する実測値の比として表される変動量(%)を表している。また、○は本実施形態の管理方法を組み込んだ製造プロセスで形成された素子のゲートリーク電流の測定データであり、●は本実施形態の管理方法を組み込んでいない従来の製造プロセスで形成された素子のゲートリーク電流を示す。同図に示されるように、本実施形態の管理方法を用いて製造されたゲート酸化膜の厚みのばらつきは小さいので、ゲートリーク電流の変動量も小さく抑制されていることがわかる。
【0105】
すなわち、従来の経験的な管理方法では、1.5nmレベルのゲート酸化膜を形成する工程において、製造装置の稼働時間の経過につれてゲート酸化膜の膜厚のバラツキが大きくなっていたために、しばしばゲート酸化膜の不良が発生していた。それに対し、本実施形態のゲート酸化膜の膜厚管理方法によれば、図13に示されるように、ゲートリーク電流の変動量が小さく抑制でき、その結果、ゲート酸化膜の不良の発生を低減することができた。すなわち、本実施形態の膜厚評価方法及び半導体装置の製造方法により、厚みが1.5nmレベルのゲート絶縁膜を有する高機能のデバイスが実現できる。
【0106】
−洗浄工程の管理−
次に、第1の実施形態に相当する洗浄工程(酸化膜の除去作用も含む)において、p型半導体領域およびn型半導体領域双方における光学的測定を利用して酸化膜の膜厚を測定した結果について説明する。
【0107】
その場合、上記第1の実施形態における洗浄処理と同様に、先行ウエハ(モニターウエハ)を含む処理ウエハをロード・アンロード部6からロードロック室3に搬入した後、洗浄用チャンバ1内で種々の時間だけ洗浄を行なう。このとき、光照射によってCl2 ガスを解離されできたラジカルによりウエハ表面をエッチングし平坦な界面を形成する。このために洗浄用チャンバ1の表面には、腐食などを防止するための処理が施されている。
【0108】
次に、ウエハの洗浄後にウエハを光学的測定用チャンバ5に搬送し、図2に示す光学的測定システムを用いて、光変反射率分光による光学測定を行なう。
【0109】
図14は、図1および図2に示すクラスタリング装置を用いてウエハの洗浄を行ったときの洗浄時間に対する光変調反射率分光のスペクトル中の“谷からのピーク値”の変化を示すデータである。同図において、■はp型半導体領域における測定値を、●はn型半導体領域における測定値である。n型半導体領域についてのデータは、見かけ上図4に示すデータと異なっているように見えるが、これはデータの処理方法が図4と図14とでは異なっているからであり、基本的には両データは同じ傾向を示している。そして、いずれの領域においても、洗浄時間が不足していて酸化膜が十分除去できていない間は膜厚が大きく、十分洗浄を行なうと酸化膜の膜厚が減小していることを示している。
【0110】
ここで、同図におけるn型半導体領域とp型半導体領域とについてのデータを比べると、洗浄時間が3.0〜4.0×102 secに達するまではn型半導体領域の方が谷からのピーク値が高いが、洗浄時間が3.0〜4.0×102 secを越えるとp型半導体領域の方が谷からのピーク値が高くなっている。これは、洗浄時間が不足していて酸化膜がそれほど薄くなっていない間はn型半導体領域のデータを採用した方が高い測定感度および測定精度が得られるが、洗浄時間が長くなって酸化膜の除去が進むとp型半導体領域における測定データを採用した方が高い測定感度および測定精度が得られることを示している。この傾向は、図11のデータが示す傾向と合致している。
【0111】
したがって、洗浄工程において、n型半導体領域とp型半導体領域とについて光変調反射率分光を行なって、より高い感度を示す方のデータ(ΔR/R)を利用して酸化膜の厚みをモニターしながら、洗浄条件や洗浄時間の管理を行なうことにより、酸化膜の除去を伴う洗浄を必要かつ十分に行なうことができる。
【0112】
また、図14のデータから熱酸化やCVDによる酸化膜の形成を行なう際には、処理時間の経過に対して、図14に示す各特性線とは傾きが逆の測定値が得られるとがわかる。すなわち、図14に示すデータを利用して、p型半導体領域及びn型半導体領域上に熱酸化膜やCVD酸化膜を形成する際の膜厚の管理をも行なうことができる。
【0113】
(その他の実施形態)
上記第1〜第3の実施形態では、クラスタリングされた製造装置において、図1に示すように、ロードロック室3の周囲に、洗浄用チャンバ1と、酸化膜を形成するための高速酸化用チャンバ2と、冷却用チャンバ4と、光学的測定用チャンバ5とを配設して、各チャンバ間で大気にさらされることなく減圧下でウエハを搬送できるようにしたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示す装置に代えて、以下のようなクラスタリングされた製造装置の構成が可能である。
【0114】
第1に、光学的測定用チャンバ5を別途設けることなく、ウエハ冷却用チャンバ4に光学的測定システムを配設してもよい。
【0115】
第2に、高速酸化用チャンバ2の代わりに、スパッタリング又はCVDにより酸化膜,窒化膜,ポリシリコン膜を形成するためのチャンバを設けてもよい。
【0116】
第3に、高速酸化用チャンバ2に加えて、スパッタリングやCVDにより酸化膜,窒化膜,ポリシリコン膜を形成するためのチャンバを設けてもよい。特に、ゲート酸化膜を形成した後に、ポリシリコン膜をこの製造装置内で形成することができれば、ゲート酸化膜が形成されたウエハ上に自然酸化膜が形成されないうちにゲート電極用を構成するポリシリコン膜を形成できるという利点がある。
【0117】
なお、ウエハの一部に製品となる半導体装置を形成しないモニター領域を設けておいて、このモニター領域内の半導体領域について上述の光学的測定を行なうようにしてもよい。その場合、モニター領域内の半導体領域における不純物濃度を製品となる半導体装置内の半導体領域における不純物濃度よりも高くして、測定感度を高めることができる。また、モニター領域は面積的にも広く確保できるので、光学的測定を容易に行なうことができる利点がある。
【0118】
なお、本発明の光変調反射率分光により厚みを測定できる膜は、光(紫外線を含む)を通過する性質を有する材質のものであればよい。したがって、酸化膜などの絶縁膜に限定されるものではなく、透明な導電性材料や、薄い金属膜で光を透過できるものでもよい。とくに、同じ材質の膜でも薄膜になるにしたがって光を透過しやすくなるので、発明の適用が可能な材質の制限が緩和されることになる。
【0119】
また、クラスタリングされた製造装置に適した光学的測定システムの構造として、以下のような形態も採ることができる。
【0120】
図15は、チャンバの天井面上に光学的測定システムを集約して配置したときの構造例を示す断面図である。同図に示すように、クラスタリングされた製造装置内のロードロック室3につながる光学的測定用チャンバ5の天井面側に全ての光学的システムが配置されている。すなわち、光学的測定用チャンバ5の天井面に測定光および励起光を通過させるための石英窓23が取り付けられている。そして、石英窓23の上に入射測定光導入部24と反射測定光導出部25とが取り付けられている。また、励起光用光源7(Arイオンレーザ)と、測定光用光源8(150WのXeランプ)と、測定光の反射光の強度を検出するための光検出器9と、測定光用光源8からの光を測定光導入部24まで案内する光ファイバー11と、測定光導出部25からの光を光検出器9まで案内する光ファイバー12と、励起光用光源7で生成された励起光を500Hzの周波数で被測定物に間欠的に照射させる(変調)ためのチョッパー28と、モニターやCPUを有し、光変調反射率分光による測定の際の機器の制御やデータの算出,解析などを行なうための制御・解析システム13と、チョッパー28と制御・解析システム13内のCPUとの間を接続する信号線30とが配設されている。ここで、入射測定光導入部24および反射測定光導出部25は、それぞれ光ファイバー支持装置としての機能をも有している。そして、光学的測定用チャンバ5内に配置されたウエハステージ21上にウエハ22を設置して、上述のような光変調反射率分光測定を行なうように構成されている。
【0121】
図16は、被測定物に対する測定光の入射角が大きい場合の構造例を示す断面図である。同図に示すように、光学的測定用チャンバ5の天井面に測定光および励起光を通過させるための石英窓23が取り付けられている。そして、石英窓23の上に励起光導入用光ファイバー支持装置44が取り付けられている。また、光学的測定用チャンバ5の側方に、測定光導入用光ファイバー支持装置40及び測定光導入部41と、測定光導出部42及び測定光導出用光ファイバー支持装置43とが取り付けられている。さらに、図示されていないが、クラスタリングされた製造装置の外側に、励起光用光源(Arイオンレーザ)と、測定光用光源(150WのXeランプ)と、測定光の反射光の強度を検出するための光検出器とが設けられている。そして、励起光用光源からの光を励起光導入用光ファイバー支持装置44まで案内する光ファイバー10と、測定光用光源からの光を測定光導入用光ファイバー支持装置40まで案内する光ファイバー11と、測定光導出用光ファイバー支持装置25からの光を光検出器まで案内する光ファイバー12とが設けられている。なお、励起光は、図示しない位置に設けられたチョッパーにより、500Hzの周波数で被測定物に間欠的に照射されるように構成されている。また、モニターやCPUを有し、光変調反射率分光による測定の際の機器の制御やデータの算出,解析などを行なうための制御・解析システムとが配設されている。
【0122】
図17は、光学的測定用チャンバー5の天井面に光学的測定システムをさらに集約化して取り付けた場合の構造例を示す断面図である。光学的測定用チャンバ5の天井面に石英窓23が取り付けられ、石英窓23の上に球面部材45が取り付けられている。球面部材45の表面形状は、ウエハ22の被測定部を中心とする球面にほぼ一致している。この球面部材45に、光ファイバー11を支持する測定光導入用光ファイバー支持装置40と、光ファイバー12を支持する測定光導出用光ファイバー支持装置41と、光ファイバー10を支持する励起光導入用光ファイバー支持装置44とが取り付けられている。さらに、測定光導入用光ファイバー支持装置40と測定光導出用光ファイバー支持装置41とは、ラック&ピニオン機構などによって互いに垂線からの傾き角を常に同じ値としながら球面部材45の斜面に沿って移動可能に構成されている。そして、クラスタリングされた製造装置の外側からラック&ピニオン機構を遠隔制御により作動させて、測定光導入用光ファイバー支持装置40および測定光導出用光ファイバー支持装置41の垂線からの傾き角を調整できるように構成されている。すなわち、光学的測定用チャンバ5内に設置されたウエハステージ21上のウエハ22に対する測定光の入射角を調整できるように構成されている。このような構造により、きわめて狭いスペースに光学的測定システムのうちの光の導入・導出部を集約することができ、特にクラスタリングされた製造装置に取り付けるのに適したものとなっている。
【0123】
【発明の効果】
本発明の半導体装置の製造装置によれば、大気と遮断された共通容器内にウエハに各種処理を施すための複数の処理室をクラスタリングした状態で配設するとともに、共通容器内のいずれかの部位にウエハを設置した状態でウエハの表面状態を光学的に評価するための光学的測定手段を設けたので、自然酸化膜などの影響のない状態でウエハ上の酸化膜の有無や酸化膜の膜厚などを高精度で測定することが可能となり、微細化された半導体装置の製造工程を適正に管理する機能を有する半導体装置の製造装置が得られる。
【0124】
本発明の第1の半導体装置の製造方法によれば、膜の形成や膜の除去を行なう際の膜の厚みを光変調反射率分光法により測定するようにしたので、エリプソメトリ法による膜厚の測定では得られない高い感度,精度で膜厚を測定することができる。
【0125】
本発明の第2の半導体装置の製造方法によれば、大気とは遮断された雰囲気で行なうための共通容器内で半導体領域上への膜の形成又は膜の除去を行なうとともに、半導体領域に対する光学的評価から膜の厚みを測定するようにしたので、クラスタリングされた装置内でインラインでの光学的評価を利用して半導体装置の製造を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1〜第3の実施形態において使用されるクラスタリングされた半導体装置の製造装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1〜第3の実施形態において使用される光学的測定機構の構成を概略的に示す断面図である。
【図3】第1の実施形態における光変調反射率分光の結果を示す反射率のスペクトル図である。
【図4】第1の実施形態における洗浄時間と光変調反射率分光のスペクトル中のピーク値との関係を示すデータである。
【図5】第2の実施形態における各種酸化膜の光変調反射率分光の結果を示す反射率のスペクトル図である。
【図6】第2の実施形態におけるTEM観察による膜厚と光変調反射率分光のスペクトル中のピーク値との関係を示すデータである。
【図7】シリコン基板上に酸化膜とポリシリコン膜とが堆積されたものの断面構造をTEMで撮影したものの複写図である。
【図8】第3の実施形態における厚み3.5nmの酸化膜に対する熱処理を行なう前と行なった後における光変調反射率分光のスペクトルを示す図である。
【図9】本発明で得られる光変調反射率分光の基本的な形状を示すスペクトル線図である。
【図10】第4の実施形態における単独のチャンバ内で光学的測定を行なう場合の構成を概略的に示す断面図である。
【図11】第5の実施形態におけるTEM観察による膜厚と光変調反射率分光のスペクトル中の谷からのピーク値との関係を示すデータである。
【図12】第5の実施形態におけるn型半導体領域での光変調反射率分光の雑音除去処理を行なう前の実測スペクトルを示す図である。
【図13】第5の実施形態におけるゲート酸化膜の膜厚管理方法で管理されたゲート酸化膜のリーク電流値の変動を示すデータである。
【図14】第5の実施形態における図1および図2に示すクラスタリング装置を用いてウエハの洗浄を行ったときの洗浄時間に対する光変調反射率分光のスペクトル中の谷からのピーク値の変化を示すデータである。
【図15】その他の実施形態におけるチャンバの天井面上に光学的測定システムを集約して配置したときの構造例を示す断面図である。
【図16】その他の実施形態における被測定物に対する測定光の入射角が大きい場合の構造例を示す断面図である。
【図17】その他の実施形態における光学的測定用チャンバーの天井面に光学的測定システムをさらに集約化して取り付けた場合の構造例を示す断面図である。
【図18】ウエハに対し、洗浄−ゲート絶縁膜形成という一連のプロセスをクラスタリングされた製造装置を用いないで行なう製造工程を示す断面図である。
【図19】ウエハに対し、洗浄−ゲート絶縁膜形成という一連のプロセスをクラスタリングされた製造装置を用いて行なう製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 洗浄用チャンバ
2 高速酸化用チャンバ
3 ロードロック室
4 ウエハ冷却用チャンバ
5 光学的測定用チャンバ
6 ウエハロード・アンロード部
7 励起光用光源(Arイオンレーザ)
8 測定光用光源(Xeランプ)
9 光検出器
10〜12 光ファイバー
13 制御・解析システム
30 信号線
21 ウエハステージ
22 ウエハ
23 石英窓
24 入射測定光導入部
25 反射測定光導出部
26 励起光導入部
27 遮光板

Claims (6)

  1. 複数の処理室と、上記複数の処理室を含む空間を大気から遮断した雰囲気に維持するように取り囲む共通容器と、上記共通容器内でウエハを搬送するための搬送手段とを備え、クラスタリングされた半導体装置の製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
    上記複数の処理室のうちの1つの処理室でウエハ上の自然酸化膜の除去を行うステップ(a)と、
    上記共通容器内のいずれかの部位で、上記ウエハの表面状態を光学的に評価することにより、上記自然酸化膜の有無および厚みを求めるステップ(b)とを備え、
    上記ステップ(b)は、
    上記ウエハの半導体領域に測定光を照射するサブステップ(x)と、
    上記ウエハの半導体領域に励起光を間欠的に照射するサブステップ(y)と、
    上記ウエハの半導体領域に励起光が照射されているときと励起光が照射されていないときとの測定光の反射率の差を上記励起光が照射されていないときの測定光の反射率で除した値を反射率の変化割合として演算するサブステップ(z)とを含み、
    上記反射率の変化割合に基づいて上記自然酸化膜の厚みを求めることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 請求項記載の半導体装置の製造方法において、
    上記ステップ(b)では、p型半導体領域とn型半導体領域との双方について上記反射率の変化割合を測定して、上記p型半導体領域とn型半導体領域とについての反射率の変化割合のうち大きい値を示す方の依存特性に基づいて上記自然酸化膜の残存厚みを判断することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項又は記載の半導体装置の製造方法において、
    上記自然酸化膜の厚みは2nm以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 複数の処理室と、上記複数の処理室を含む空間を大気から遮断した雰囲気に維持するように取り囲む共通容器と、上記共通容器内でウエハを搬送するための搬送手段とを備え、クラスタリングされた半導体装置の製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
    上記複数の処理室のうちの1つの処理室でウエハ上へのゲート絶縁膜の形成を行なうステップ(a)と、
    上記共通容器内のいずれかの部位で、上記ウエハの表面状態を光学的に評価することにより、上記ゲート絶縁膜の厚みを求めるステップ(b)とを備え、
    上記ステップ(b)は、
    上記ウエハの半導体領域に測定光を照射するサブステップ(x)と、
    上記ウエハの半導体領域に励起光を間欠的に照射するサブステップ(y)と、
    上記ウエハの半導体領域に励起光が照射されているときと励起光が照射されていないときとの測定光の反射率の差を上記励起光が照射されていないときの測定光の反射率で除した値を反射率の変化割合として演算するサブステップ(z)とを含み、
    上記反射率の変化割合に基づいて上記ゲート絶縁膜の厚みを求めることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 請求項記載の半導体装置の製造方法において、
    上記ステップ(a)は、上記ゲート絶縁膜の上にゲート電極用導体膜を形成する処理をさらに含み、
    上記ステップ(b)の後、上記ゲート電極用導体膜の形成前に上記ステップ(b)で求められた反射率の変化割合に基づいて、上記ゲート絶縁膜の厚みを管理するステップ(c)をさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 請求項または記載の半導体装置の製造方法において、
    上記ゲート絶縁膜の厚みは2nm以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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