JP4018336B2 - 製紙用表面に組み込んだ縫製糸対を有する多層形成織物 - Google Patents

製紙用表面に組み込んだ縫製糸対を有する多層形成織物 Download PDF

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Description

【0001】
<発明の分野>
本発明は一般的には紙製造に関連し、さらに特異的には製紙に使用する織物に関する。
【0002】
<発明の背景>
従来のフォードリニエール式の製紙方法においては、セルロース系の繊維(製紙原料として公知)の水性スラリーまたは懸濁液が2個以上のローラ間を移動する織物ワイヤおよび/または合成素材のエンドレスベルトにおける上部走行面のトップに供給される。このベルトは往々にして形成織物と呼ばれており、上部走行面の上表面上に製紙用表面を形成し、その上部走行面は水性媒体から製紙原料のセルロース系の繊維を分離するフィルターとして働き、それによって湿潤した紙製ウエブを製造することになる。水性媒体は、排水用の穴として公知である形成織物のメッシュ開口を通じて重力または織物の上部走行面の低部面(すなわち機械側)に位置する真空によって排水される。
【0003】
製紙部門を離れた後に、紙ウエブは紙用機械の加圧部門に運ばれ、そこでは他の織物でカバーされている1対以上の加圧ローラ対のニップを通過する。典型的には、これを「加圧フェルト」と呼んでいる。ローラからの圧力はウエブから余分な水分を除去し、その水分除去はしばしば加圧フェルトの「梳綿」の存在によって強化される。しかる後、それ以上の水分を除去するためにその紙を乾燥機部門に移し、乾燥後には、その紙は二次加工または梱包用に準備されている。
【0004】
典型的には、製紙用の織物は2個の基本的な織物技術の一つによってエンドレスベルトとして製造される。これらの技術の一では、織物はフラットな織布方法によるフラット織物であり、これらの末端を一緒に剥がして再織りする(一般的にはつなぎ合わせとして公知である)、あるいはピン縫い合わせ可能なフラップ上でまたは各末端での特別な折り返しの上で縫製し、その後にこれらをピン縫い合わせ可能な輪に再織りするような多くの公知である接続方法のいずれかの一方法によって、エンドレスベルトを作成するためにその織物の末端と接続している。
【0005】
フラット織物製紙織物では、縦糸は機械の方向に延びており、更に横糸は機械に交差した方向に延びている。第二の工法では、織物をエンドレスの織布工法によって連続ベルトの形態で直接に織っている。このエンドレス織物工法では、縦糸は機械に交差した方向に延びており、横糸は機械の方向に延びている。ここに使用した用語「機械方向」(MD)および「機械に交差した方向」(CMD)はそれぞれ製紙機械上で製紙織物の移動方向と一致した方向および織物表面に平行な方向であって、かつ移動方向に交差している方向を示している。上述した両方の織布方法は、その分野では公知であり、本件中に使用する用語「エンドレスベルト」は何れかの方法で製造したベルトを示している。
【0006】
有効なシートおよび織物支持体と、ワイヤマークがないことは、湿潤なウエブを初めに製造する製紙業において、特に製紙機械の形成部門にとっては重要な考慮事項である。ワイヤマークは特に薄紙等級の製造において問題が多い。その理由として、これがシートマーク、多孔性、透かし地合、ピンホール性など多くの紙特性に影響を与えるからである。ワイヤマークは、紙ウエブ内部に配列された個々のセルロース系繊維の末端が形成織物の個々の糸または縦糸の間のギャップ内に存在するようにした結果である。この問題は、一般的には縦糸間のギャップに侵入するよりも織物の隣接した縦糸をブリッジすることを紙繊維に許す同一平面を透過性の有る織物構造に提供することで方向付けられている。ここに使用する「同一平面」とは、紙製造の表面を規定している縦糸の上限がそのレベルで実質的に平面である表面を示しているように、実質的に同じ高さにあることを示している。したって、薄紙等級は高級印刷、炭素化、タバコ、電気コンデンサー中での使用を指向しており、薄紙の類似等級も典型的には今までの様に極薄織物または微細ワイヤメッシュ製造織物上で製造されている。
【0007】
残念なことには、このような微細織布形成織物はしばしば敏感であって、機械の方向および機械に交差した方向の何れかまたは両者について寸法安定性に欠けており(特に製造中に)、その結果織物にとって短い使用寿命につながっている。これに加えて、極細織物は織物の廃棄特性に好ましくない影響をもたらし、かくして、形成用織物として適切でないと云うことになる。
【0008】
極細織物に関するこれらの問題を克服するために、多層形成織物は、紙製造を促進すべく紙成形表面上に微細メッシュ縦糸を用い、更に強度と寿命を与えるべく機械の接触側で粗いメッシュの縦糸を用いて開発されたものである。
例えば、織物は微細メッシュを有する1つの織物の層を含むように構成されており、他の織物層は粗いメッシュで、層を互いに結び付ける縫製糸を有している。これらの織物は三重層として知られており、さらにOsterbergの発明としてUSP4,501,303、Vohringerの発明としてUSP5,152,326、Wardの発明としてUSP5,437,315の中に図示されている。
【0009】
これらの織物が首尾よく構成されているにもかかわらず、縫製糸の含有物に関する欠点が存在する。典型的な三重層形成織物では、1以上の縫製糸はトップ層および底層の一部のCMD糸間に位置を占め、トップおよび底のMD糸に織り込まれている。そのような構成では、縫製糸の部分は織物の製紙表面の一部を形成している。その結果として、その織物で形成された紙の外観は縫製糸の存在の影響を受ける(時には困った方向に)こともある。
【0010】
加えて、三重層織物は層間摩耗の問題を有することが判明した。織物は製紙用機械上に使用されるので、トップおよび底の層は互いに相対的に、織物にローラから与えられる張力によって、機械方向および機械に交差した方向の両者にずれる傾向にある。この効果は製紙機械に、いわゆる「重ね着(high-wrap)」機械などに悪影響を及ぼし、これらの機械は織物のトップ層に接するいくつかのローラを含む多重ローラを包含している。このずれは織物に摩耗することを引き起こし、かつその厚みを低下させることになり、織物を廃棄に、従って、その製紙業の性能に困った影響を与える。多くの例では、製紙機械に比べて織物機械の機械側表面の摩耗よりも、むしろ織物の寿命を決定するのはこの層間摩耗である。
【0011】
更に、三重層織物の縫製糸はトップCMD糸よりも異なった織布パターンを持っているので(すなわち縫製糸は底のCMD糸を織り込んでおり、一方トップCMD糸は織り込んでない)、縫製糸とトップのCMD糸との間には張力に相違がある可能性がある。これらの相違が織物を平面外に歪めることを引き起こし、逆に、織物で製造した紙の品質を低下させることになる。
【0012】
したがって、三重層織物の縫製糸はトップと底の層を結び、または製紙用の機械との接触中に底の層が受ける摩耗条件や摩滅条件に抵抗するように十分に強くかつ永続性がなくてはならず、高品質紙を製造するには十分に繊細的である。このバランスを清算することは極めて難しい。
【0013】
<発明の要約>
これまでを概観して、本発明の目的はトップ織物層の中で歪みが少ない多層織物形成構造物を提供することにある。また、本発明の目的は高品質紙を製造する多層織物形成構造物を提供することにある。そして、本発明の目的は強固に結び遭った条件中でトップと底の層とを維持する多層織物形成構造物を提供することにある。さらに、本発明の目的は層間摩耗の問題を指向する多層形成織物を提供することにある。
【0014】
本発明はこれらの目的とその他の目的を満足させており、すなわち本発明は製紙表面中で縫製糸を使用する多層製紙形成織物に関する。本発明の織物は複数の繰り返しユニットから形成されている。各繰り返しユニットは以下のユニットを含んでいる。
【0015】
一組のトップの機械方向の糸、一組の底の機械方向糸、一組の底の機械に交差した方向の糸であって、その組の機械方向の糸に織り込まれ、機械に交差した方向に延びている第1および第2の縫製糸の対である。
【0016】
第1の縫製糸の繊維支持体部分がトップの機械方向糸に織り込まれているので、第2の縫製糸の結び併せ部分はトップの機械方向の糸の下に位置し、第2の縫製糸の繊維支持体部分がトップの機械方向の糸に編み込まれているので、第1の縫製糸の結び併せ部分はトップの機械方向の糸の下に位置しており、各対の第1および第2の縫製糸はトップと底の機械方向の糸に織り込まれている。
【0017】
第1および第2の縫製糸は一時的なトップの機械方向の糸の下を通過するので、両者は互いに交差している。また、第1および第2の縫製糸のそれぞれの結び合わせ部分は底の機械方向の糸の少なくとも一つの下を通過する。縫製糸の繊維支持体部分とトップの機械方向糸は製紙表面を形成し、これら表面は少なくとも1本の底の機械方向の糸の下を通過することをしない機械に交差した方向の糸を33%より少なく、好ましくは含まない。この配置では、両縫製糸はトップの機械方向糸に底の層を縫製し、製紙表面の重要な部分を形成している。
【0018】
好ましい実施形態では、縫製糸の繊維支持体部分がトップの機械方向糸を有する平織製紙表面を形成している。他の好ましい実施形態では、縫製糸の繊維支持体部分が1×2の綾織り製紙表面を形成している。各例では、縫製糸の密度がしっかりと確実に織物層を結びつけている。
【0019】
<好ましい実施形態の詳細な説明>
本発明を添付の図面を参照しながら、以下により詳細に説明する。ただし、本発明は図示した実施形態に限定されるものではない。むしろ、これらの実施形態は当業者に本発明を十分かつ完全に開示することを意図するものである。
【0020】
20本の通糸の多層形成織物は、図1および図1Bに示すように、一般的に10桁であり、その中で織物の1回の繰り返しユニットが示されている。織物10の繰り返し単位は、10本のトップのMD糸11〜20、10本の底のMD糸21〜30、10本の底のCMD糸31〜40、縫製糸41a,41bないし50a,50bを包含している。
【0021】
図1Bを参照して、織物10の底の層の繰り返しユニットを示す。底のMD糸21〜30は、各底のCMD糸31〜40で通糸サテインタイプパターン内に織り込まれ、各底のCMD糸は1本の底のMD糸の上、4本の底のMD糸の下を通過し、その後にこの「上1/下4」パターンを繰り返している。例えば、底のCMD糸31は、底のMD糸21の上、底のMD糸22〜25の下、底のMD糸26の上および底のMD糸27から30の下を通過する。その他の底のCMD糸は、「1本上/4本下」の織りパターンで続いているが、各々は2本の底のMD糸により最も近接した底の近隣CMD糸からずれている。したがって、底のCMD糸32は底のMD糸21と22の下、底のMD糸23の上、底のMD糸24〜27の下、底のMD糸28の上および底のMD糸29と30の下を通過する。かくして、底のCMD糸32の下を通過するときに、底のMD糸23が形成する「ナックル」は、底のCMD糸31の上を通過する底のMD糸21が形成する「ナックル」から2本の底のMD糸だけずれている。
【0022】
図1Aを参照すると、織物10のトップ層は、トップのMD糸および縫製糸対の部分によって形成されている。図1Aに見られるように、縫製糸およびトップのMD糸は結合して、平織りトップ表面を形成している。縫製糸と、トップおよび底のMD糸の織り込みは、図1A、図2Aないし図2Jを検査することによってわかる。
【0023】
繰返しユニットの各縫製糸は2部分に分割することができる。すなわち、トップのMD糸を織り込んだ繊維支持体部分と底のMD糸を織り込んだ結び合わせ部分とに分割できる。これらは「過渡的」なトップのMD糸の個所で分割され、その下では1対である1本の縫製糸はその対の他の縫製糸と交差している。各対の縫製糸は、その対である1本の糸の繊維支持体部分がその対の他の糸の結び合わせ部分の上に位置するように、相互に織り込まれている。「a」という記号で印を付けた(例えば41a,42a,43a)各対の縫製糸の繊維支持体部分は交互に5本のトップのMD糸を織り込んでおり(3本のトップのMD糸の上および2本のトップのMD糸の下を交互に通過する)、これら2本のMD糸の間に位置する1本のトップのMDの糸の下を通過する間、その対の他の縫製糸(「b」と言う記号を付けた)は2本のトップのMD糸の上を通過する。その繊維支持体部分では、各縫製糸のトップのMD糸の上を通過し、その糸の下を隣接する対の縫製糸との繊維支持体部分が通過し、かつトップMD糸の下を通過し、その糸の上を隣接した対の縫製糸の繊維保護体部分が通過する。この方法では、縫製糸はトップのMD糸と平織りパターンを形成する(図1A)。
【0024】
この結び合わせ部分では、各縫製糸が繰り返しユニット内で1本の底のMD糸の下を通過している。各縫製糸は、縫製糸を間に挟んでいる底のCMD糸を越えて、隣接する底のMD糸が形成する2個のナックルの間に位置する底のMD糸の下を通過する。縫製糸の一緒になった結び合わせ部分は、織物10の底の表面上に「上4/下1」パターンを確立している(図1B参照)。
【0025】
縫製糸の織りパターンは図2Iに例示されており、この図はトップおよび底のMD糸を織り込んだ縫製糸49a,49bを示している。その繊維支持体部分では、縫製糸49aはトップのMD糸11,13,15の上と、トップのMD糸12,14の下を通過している。その後に過渡的なトップのMD糸16の下および底のMD糸26の上を通過する。この結び合わせ部分では、底のMD糸27,29の上および底のMD糸28の下を通過する間、縫製糸49aはトップのMD糸17から19の下を通過し、織物10の底の層を縫製している。その後、縫製糸49aは過渡期なトップのMD糸20および底のMD糸30の間を通過する。
【0026】
また、その結び合わせ部分が縫製用の糸49aの部分の下にあるように、縫製糸49bが織り込まれていることを図2Iは示しており、底のMD糸21,22,24,25の上および底のMD糸23の下を通過している間、縫製糸49bはトップのMD糸11から25の下を通過している。その繊維支持体部分では、縫製糸49bはトップのMD糸17の上、トップのMD糸18の下およびトップのMD糸19の上を通過するとともに、過渡的なトップのMD糸20の下を通過し、縫製糸49aが確立した交互の織りを継続している。
【0027】
図2Aから図2Hおよび図2Jに見られるように(これらはトップおよび底のMD糸と他の縫製糸対との織り込みパターンを描いている)、縫製糸49a,49bのために上記の互いの相対的な関係を示す同じパターンに他の縫製用の糸対が後続している。
【0028】
図1Aおよび図1Bを再度参照すると、そのような縫製糸対の間に3本のMD糸のずれが存在するように、縫製糸の隣接した対はトップおよび底のMD糸に織り込まれている。例えば、縫製糸41aはトップのMD糸15,17,19の上と底のMD糸32の下を通過する。縫製糸42aはトップのMD糸12,14,16の上と底のMD糸39の下を通過する。したがって、縫製糸42aは、トップおよび底の3本のMD糸だけ縫製糸43aからずれている。この同じ3本のMD糸のずれは、他の縫製糸の織り込みのために続いている。
【0029】
また、図1A、図1Bおよび図2Aから図2Jにおいて、各「a」糸(3本のトップの糸の上を通過する縫製糸)は2本の「b」糸(2本のトップのMD糸の上を通過する縫製糸)との間に位置し、しかも各「b」糸は2本の「a」糸の間に位置するように、縫製糸対はトップおよび底のMD糸に織り込まれている。この配置は、縫製糸対41a,41b,42a,42bの検査によって示される。図1Aと図1Bに見られるように、縫製糸41bは縫製糸41aと縫製糸42bとの間に位置している。図1A、図1Bおよび図2Bに見られるように、縫製糸42aは縫製糸41bと縫製糸42bとの間に位置している。
【0030】
この配置が織物のトップ表面の製紙特性を改善することに効果的であること、特に過渡的なトップのMD糸に関連して効果的であることが発見されている。
【0031】
トップの表面ナックルを形成するために、1対の縫製糸の上を過渡的な糸が進むときには、縫製糸またはトップCMD糸を越えて進むトップのMD糸の上に他の場所よりもその場所で当該ナックルは縫製糸からの上向き指向の少ない支持体を受け入れる傾向がある。結果として、そのナックルはその他のトップのMDナックルよりもやや低めに位置する傾向がある。図1Aに見られるように、過渡的なトップのMD糸は1連の斜線で規定している。この斜線の1例は、縫製糸41a,41b,43a,43bを越えるトップのMD糸14、縫製糸44a,44b,46a,46bを越えるトップのMD糸15、縫製糸47a,47b.49a,49bを越えるトップのMD糸16、縫製糸50a,50bを越えるトップMD糸17が形成するナックルによって形成されている。
【0032】
これらのトップのMD糸ナックルで規定されている破線の斜線は、上記した少ない上向き支持体のためにわずかに下降していても良い。この全ての斜線のナックルが残りのトップのMDナックルよりもやや低い位置を占めていても良いので、そのような織物の上に形成した紙はこのパターンを示し、このパターンは逆にその上に印刷した像に影響を及ぼすことができる。しかしながら、「a」の縫製糸(これは3本のトップのMD糸の上を通過する)の交互の様式中に縫製糸を含むことによって、さらに「b]の縫製糸(これが2本のトップのMD糸の上を通過する)が続き、更に「a」と「b」を指示通りにずらせることによって、近接して位置しているトップのMDナックルの一方の側に位置している隣接する対の縫製糸の繊維支持体部分(例えば、縫製糸46b,47aの繊維支持体部分であって、これらはトップのMD糸15,16によってその上に形成されたナックルの下を通過する)は互いに隣接し、他方、これらのナックルの他の側に位置しているこれらの対をなしている糸の繊維支持体部分は(すなわち46a,47b)、その対の他の縫製糸によって互いに分離されている。
【0033】
その結果として、過渡的なトップのMDナックルによって形成された斜線は幾分混乱し、不明瞭に規定されている。同じように、織物10の上に形成された紙は、これらのナックルのために不明瞭な斜線パターンを有し、紙の上の印刷は改善される。
【0034】
当業者は上記した配置がトップと底のMD糸の中に縫製糸を織り込むことによって織物の中に形成され、その結果、対の「a」の縫製糸の織りが対の「b」の縫製糸の織りに先行し、その後にこの順序を全ての繰り返しユニットの中に維持する。
【0035】
全ての縫製糸の対がこのパターンに続くことが好ましいにもかかわらず、縫製糸対の少ないパーセント(例えば、25,33,40または50パーセント)だけでもこの交互の順序を継続するようにすれば、この順序を変更することによっていくつかの利益が得られる。
【0036】
また、当業者は縫製糸が繊維支持体部分に異なって分割されていて、その結び合わせ部分が形成されている他の平織パターンを構成できることを認識するであろう。例えば、その織物は、対の各縫製糸が繊維支持体部分の中の2本、3本、4本またはそれ以上のトップのMD糸の上を通過するトップの層を含むことができる。縫製糸は異なった数のトップのMD糸の上を通過することができ、または同じ数の上を通過することができる。勿論、この様な縫製糸の結び合わせ部分では、底のナックルの位置決めの妥当な調整はトップの表面上で縫製糸パターンへの変化を伴って行わねばならない。
【0037】
本発明の多層形成織物の他の実施態様は、図3A,図3Bと、図4Aないし図4Fに図示されており、この中で多層形成織物の繰り返しユニットは広範囲に100代の記号を付けて図示されている。繰り返しユニットは、12本のトップのMD糸101から112、12本の底のMD糸141から152、6本の底のCMD糸161から166および12本の縫製糸181a,181bから186a,186bまでを含んでいる。
【0038】
まず、図3Bを参照すると、底のMD糸およびCMD糸で形成される織物100の機械側表面は、「破線の綾織」のパターンを採用している。各底のCMD糸は、底のMD糸を有する「上1/下5」の繰り返しパターンを持っている。例えば、底のCMD糸161は、底のMD糸141の上、底のMD糸142から146までの下、底のMD糸147の上および底のMD糸148から152までの下を通過する。この「上1/下5」パターンは残ったCMD糸によって繰り返されている。しかしながら、底のMD糸は底のCMD糸の下を通過するので、底のMD糸で形成されている底の側面ナックルは破線の綾織パターン内に配置されており、底の側面ナックルは、底のMD糸141,143,145,142,146,144によって順々に底のCMD糸161から166の上に形成され、かつ底の糸147,149,151,148,152,150によって底のCMD糸161から166の上に順々に形成される。図3Bに見られるように、これらのナックルは、綾織物に特徴的で明確な斜線を形成することをしないが、その代わりに破線の綾織パターンを形成している。
【0039】
図3Aに示すように、織物100のトップ表面は、トップのMD糸と縫製糸の部分によって形成した1×2の綾織パターンを有している。前述した織物10に関連して、各縫製糸は繊維支持体部分と結び合わせ部分を持っており、これらは過渡的なトップの機械方向糸で分割されており、その下で対の縫製糸は相互に交差している。各縫製糸の繊維支持体部分は、トップのMD糸を織り込んでいるので、「上2/下1/上2」のパターンを続けている。その結び合わせ部分では、1本の底のMD糸の下を通過することを除き、各縫製糸はトップと底の糸の間を通過する。縫製されている底のMD糸は、繊維支持体と各縫製糸の結び合わせ部分を分離している過渡的なMD糸から1本または2本のMD糸を離している。
【0040】
このパターンは縫製糸185aを使用して例示され、その縫製パターンは図4Eに示されている。過渡的なトップのMD糸106の下を通過する前に、縫製糸185aはトップのMD糸101および102の上、トップのMD糸103の下およびトップのMD糸104,105の上を通過する。その結び合わせ部分では、過渡的なトップのMD糸112の下を通過する前に、縫製糸185aは底のMD糸147および148の上、底のMD糸149の下および底のMD糸148,149の上を通過する。
【0041】
繊維支持体部分とトップのMD糸が1×2の綾織パターンを形成するように、縫製糸の対は互いにトップのMD糸に織り込まれている。再び図4Eを参照すると、上述したように、縫製糸185aはトップのMD糸101,102の上、トップのMD糸103の下およびトップのMD糸104,105の上を通過する。縫製糸185a,185bの両者は、過渡的なトップのMD糸106の下を通過し、その後に縫製糸185bの繊維支持体部分は、初めに縫製糸185aが確立した「上2/下1」の綾織パターンを継続する。それを行っている間に、過渡的なトップのMD糸112の下を通過する前に、縫製糸185bはトップのMD糸107,108の上、トップのMD糸109の下およびトップのMD糸110,111の上を通過する。
【0042】
各繊維支持体部分の「上2」セグメントがその縫製糸に接している隣りの縫製糸対の縫製糸の「上2」セグメントから一本のトップのMD糸だけずれるように、縫製糸がトップのMD糸を織り込まれていることを図3Aは示している。例えば、縫製糸181aはトップのMD糸102,103の上を通過する。最も近いトップのCMD糸は121,122であって、これらはトップのMD糸101,102および103,104の上をそれぞれ通過する。かくして、1×2の綾織の決定的な斜線を縫製糸は繊維支持体部分により形成される。
【0043】
また、図3Bは、縫製糸がいかに底のMD糸の中に縫製されているかを示している。図3Bでは、一方の方向で2本の底のCMD糸が縫製糸ナックルと底のCMD糸の上で底のMD糸で形成されたナックルとの間に存在し、反対の方向で3本の底のCMD糸が縫製糸ナックルとCMD糸の上でその底のMD糸で形成された次のナックルとの間に存在するように、底のMD糸の下を通過する時に各縫製糸で形成されたナックルが配置されていることを示している。例えば、縫製糸184aは、底のMD糸141の下を通過する時にナックルを形成する。底の縫製糸141は、底のCMD糸161の下を通過する時にナックルを形成し、縫製糸184aで形成されたナックルから3本の底のCMD糸(162,163,164)だけ離れている。他方向にこのパターンを継続しながら、底のCMD糸165および166は、縫製糸184aによって形成されたナックルと、底のCMD糸166(底のCMD糸161と同じ織パターンを持っている)の後に次の底のCMD糸の下で底のMD糸141で形成されるはずのナックルとの間に配置されている。かくして、縫製糸184aの縫製糸ナックルが一方の方向では3本の底のCMD糸だけおよび他方向では2本のCMD糸だけ底のMD糸ナックルから離れている。
【0044】
当業者は、本発明の織物がトップの層の中の他の綾織パターンで形成できることを認めるであろう。例えば、織物は1×3または1×4の綾織トップの層を持っている。これらの綾織パターンのどれもが、織物100のように在来の綾織であることも可能である。あるいは、在来の4本または5本の通糸のサテインの単一層織物の表面綾織パターンのような切れ切れの綾織パターンを採ることも可能である。また、織物は、縫製糸の対の繊維支持体部分が異なった数のトップのMD糸の上を通過する個所に構成することもできる。各例の中で、熟練工は繊維支持体部分の中の相違に適応するために、縫製糸の結び合わせ部分に対する好ましい変更を理解すべきである。
【0045】
本件の中で詳細に図示および説明した平織および綾織は好ましい例であるが、他の綾織およびサテインのような、トップのMD糸と一緒に織物の製紙用表面の中に組み込まれる縫製糸の対を利用した他の織物も形成できることを当業者は認めることができる。織物10および織物100では、解説としてかつ好ましくは少なくとも1本の底のMD糸の下を通過することをしないCMD糸は無いが、本発明の織物はトップのMD糸のみを織り込む幾本かのCMD糸を含むことができる。これらは織物のトップの表面の33%よりも多くを含まなく(すなわち、これらは縫製糸の各2対毎用にこれらCMD糸の1本以上であってはならない)、好ましくは、トップの25または20%以上を含まなく、トップの表面はそのようなCMD糸を含まないことが最も好ましい。
【0046】
また、縫製糸の対が底のMD糸を縫製する底の層のいかなる数の配置も使用することができる。更に、図示した織物は同一数のトップおよび底のCMD糸および縫製糸対を有するにもかかわらず、このことは本発明のためには必要ではなく、各底のCMD糸当たり2本のトップのCMD糸対のような他の比率を使用することもできる。
【0047】
本発明の織物に使用する各糸の配置は、最終的な製紙用織物の希望する特性に依存して、変更することができる。例えば、糸はマルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、撚リマルチフィラメントまたは撚りモノフィラメント糸、紡績糸、またはこれらのいかなる組み合わせでも良い。また、本発明の織物の中に使用する糸を含む素材は、製紙用織物に通常使用される素材であってもよい。例えば、糸は木綿、羊毛、ポリプロピレン、ポリエステル、アラミド、ナイロン等で形成されていてもよい。熟練工は最終織物の特異な利用に従って、糸素材を選択すべきである。
【0048】
糸の寸法に関して、糸の特異なサイズは典型的には製紙用表面のサイズと間隔とに支配されている。一般的に、トップのMD糸の直径は底のMD糸の直径とほぼ同じか小さく、底のCMD糸の直径は底のMD糸の直径よりもやや大きい。典型的な織物では、トップのMD糸の直径は約0.11ないし0.15mmの間にあり、底のCMD糸の直径は約0.20ないし0.40mmの間にあり、底のMD糸の直径は約0.17ないし0.25mmの間にある。縫製糸の直径は、典型的には約0.11ないし0.17mmの間にある。
【0049】
糸は弾性率を有利なように変更しても良い。例えば、対をなしている縫製糸(織物10の「b」糸のようなもの)よりも少ない数のトップのMD糸で織り込んでいる縫製糸は、対をなしている縫製糸よりも高い弾性率(典型的には約10ないし50%以上の間)を有していても良い。
【0050】
これまでに議論しているように、本発明の織物は従来技術の3重層形成織物と抵触する問題を示している。本発明の織物は、平織、綾織、サテインまたは他のパターンであっても、織物のトップの表面として縫製糸を利用しており、従って、製紙用表面を少なく含む縫製糸を取り込むことで伴うことが可能な製紙用表面の合体を避けている。また、縫製糸に帰属できる織物を組込むことは層間の摩耗を大幅に減少(完全には除去できなかったとしても)させることができる。加えて、縫製糸は製紙用表面を含んでいるので、トップのCMD糸と縫製用表面を歪める先行技術の縫製糸との間の張力の差が本発明の織物には存在しない。また、縫製糸の密度は、織物のトップおよび底の層のより完全な結合を提供し、その織物は製紙形成用特性、耐久性、寿命のバランスとして広範囲の糸の選択を設計者に提供することもできる。
【0051】
これまでの実施態様は本発明を説明するためであって、本発明を限定するように解釈すべきでない。本発明は以下の請求項および本発明中に含まれるこれらの請求項の均等物によっても定義されている。
【図面の簡単な説明】
図1Aは平織のトップの表面を有し、本発明の20本通糸の多層形成織物の実施形態のトップ図である。
図1Bは図1Aにおける織物の底表面の断面図である。
図2Aから図2Jは図1Aおよび図1Bにおける織物の縫製糸の断面図である。
図3Aは1×2の綾織表面を有し、本発明の24本通糸の多層形成織物の実施形態のトップ図である。
図3Bは図3Aにおける織物の底表面のトップの断面図である。
図4Aから図4Fは図3Aおよび図3Bにおける織物の縫製糸の断面図である。

Claims (24)

  1. 機械方向のトップの糸と、機械方向の底の糸と、機械に交差した方向の底の糸と、機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸のペアとを含む製紙用の織物であって、この織物は複数の繰り返しユニットから構成され、各繰り返しユニットは、
    複数の前記機械方向のトップの糸からなるセットと、
    複数の前記機械方向の底の糸からなるセットと、
    前記複数の機械方向の底の糸からなるセットに織り込まれた、複数の前記機械に交差した方向の底の糸からなるセットと、
    複数の前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸のペアからなるセットと
    を含み、
    前記各縫製糸は、第1の部分と、第2の部分と、これら部分の間の過渡的な部分とを有しており、
    前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸の各ペアは、前記機械方向のトップの糸と前記機械方向の底の糸とに織り込まれており、この織り込みは、
    第1の縫製糸がその前記第1の部分として機械方向のトップの糸に織り込まれている際に、第2の縫製糸がその前記第2の部分として機械方向のトップの糸の下に配置され、第2の縫製糸がその前記第1の部分として機械方向のトップの糸に織り込まれている際に、第1の縫製糸がその前記第2の部分として機械方向のトップの糸の下に配置され、第1および第2の縫製糸が、前記過渡的な部分において、機械方向のトップの糸の下を通過する際に、互いに交差し、さらに第1および第2の縫製糸がその各前記第2の部分において前記複数の機械方向の底の糸のうちの少なくとも1本の糸の下を通過するように、
    なされており、
    前記第1および第2の縫製糸の前記第1の部分と前記機械方向のトップの糸とが製紙用織物の表面を規定する製紙用織物。
  2. 機械方向のトップの糸と、機械に交差した方向のトップの糸と、機械方向の底の糸と、機械に交差した方向の底の糸と、機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸のペアとを含む製紙用の織物であって、この織物は複数の繰り返しユニットから構成され、各繰り返しユニットは、
    複数の前記機械方向のトップの糸からなるセットと、
    前記複数の機械方向のトップの糸からなるセットに織り込まれた、複数の前記機械に交差した方向のトップの糸からなるセットと、
    複数の前記機械方向の底の糸からなるセットと、
    前記複数の機械方向の底の糸からなるセットに織り込まれた、複数の前記機械に交差した方向の底の糸からなるセットと、
    複数の前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸のペアからなるセットと
    を含み、
    前記各縫製糸は、第1の部分と、第2の部分と、これら部分の間の過渡的な部分とを有しており、
    前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸の各ペアは、前記機械方向のトップの糸と前記機械方向の底の糸とに織り込まれており、この織り込みは、
    第1の縫製糸がその前記第1の部分として機械方向のトップの糸に織り込まれている際に、第2の縫製糸がその前記第2の部分として機械方向のトップの糸の下に配置され、第2の縫製糸がその前記第1の部分として機械方向のトップの糸に織り込まれている際に、第1の縫製糸がその前記第2の部分として機械方向のトップの糸の下に配置され、第1および第2の縫製糸が、前記過渡的な部分において、機械方向のトップの糸の下を通過する際に、互いに交差し、さらに第1および第2の縫製糸がその各前記第2の部分において前記複数の機械方向の底の糸のうちの少なくとも1本の糸の下を通過するように、
    なされており、
    前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸の前記第1の部分と、前記機械に交差した方向のトップの糸と、前記機械方向のトップの糸とが製紙用織物の表面を規定し、この製紙用織物の表面において、前記機械に交差した方向の糸のうち、少なくとも1本も機械方向の底の糸の下を通過しない前記機械に交差した方向のトップの糸が33%以下の割合で含まれる製紙用織物。
  3. 前記複数の第1および第2の縫製糸のペアのうち、一ペアおきに並ぶ一方の縫製糸のペアが、その各前記第1の部分において、一本おきに並ぶ第1のグループの機械方向のトップの糸の上と、一本おきに並ぶ第2のグループの機械方向のトップの糸の下とを通過し、一ペアおきに並ぶ他方の縫製糸のペアが、その各前記第1の部分において、前記第2のグループの機械方向のトップの糸の上と、前記第1のグループの機械方向のトップの糸の下を通過し、
    前記複数の第1および第2の縫製糸のペアの各前記第1の部分と、前記一本おきに並ぶ第1のグループの機械方向のトップの糸と、前記一本おきに並ぶ第2のグループの機械方向のトップの糸とが、前記織物の平織りのトップの表面を形成する請求項1に記載の製紙用織物。
  4. 第1の縫製糸が、その前記第1の部分において、第1の数の機械方向のトップの糸に織り込まれ、第2の縫製糸が、その前記第1の部分において、第2の数の機械方向のトップの糸に織り込まれ、前記第1の数と前記第2の数は異なる数である請求項3に記載の製紙用織物。
  5. 前記第1の数は前記第2の数よりも大きく、前記第2の縫製糸が前記第1の縫製糸よりも高い弾性率を持っている請求項4に記載の製紙用織物。
  6. 前記第1の数が3であって、前記第2の数が2である請求項4に記載の製紙用織物。
  7. 前記第1と第2の縫製糸が、前記機械方向のトップの糸よりも小さい直径を有する請求項1に記載の製紙用織物。
  8. 前記第1および第2の縫製糸が、その各前記第2の部分において、前記複数の機械方向の底の糸のうち1本のみの下を通過する請求項1に記載の製紙用織物。
  9. 前記繰り返しユニットが、10本の機械方向のトップの糸と10本の機械方向の底の糸を含んでいる請求項1に記載の製紙用織物。
  10. 第1および第2の縫製糸のペアが、その各前記第1の部分において、第1の隣接する2本の機械方向のトップの糸の上と、この第1の2本の糸に隣接する第3の1本の機械方向のトップの糸の下と、この第3の1本の糸に隣接して位置する第2の隣接する2本の機械方向のトップの糸の上とを通過するように、機械方向のトップの糸と第1および第2の縫製糸とがその前記第1の部分において前記繰り返しパターンにより織り込まれ、
    機械方向のトップの糸と第1および第2の縫製糸とがその前記第1の部分において1×2の綾織パターンを形成するように、縫製糸がその前記第1の部分において通過する前記2本の機械方向のトップの糸は、隣接する縫製糸がその前記第1の部分において通過する前記2本の機械方向のトップの糸から、1本の機械方向のトップの糸だけずれている請求項1に記載の製紙用織物。
  11. 縫製糸のペアが互いの交差する前記過渡的な部分における機械方向のトップの糸と、隣接する縫製糸のペアが互いの交差する前記過渡的な部分における機械方向のトップの糸との間に、3本の機械方向のトップの糸のずれが存在するように、縫製糸が機械方向のトップおよび底の糸に織り込まれている請求項1に記載の製紙用織物。
  12. 第1と第2の縫製糸の25から50%が、機械方向のトップの糸に織り込まれている請求項1に記載の製紙用織物。
  13. (a) 機械方向のトップの糸と、機械方向の底の糸と、機械に交差した方向の底の糸と、機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸のペアとを含む製紙用の織物を提供する工程であって、
    この織物は複数の繰り返しユニットから構成され、各繰り返しユニットは、
    複数の前記機械方向のトップの糸からなるセットと、
    複数の前記機械方向の底の糸からなるセットと、
    前記複数の機械方向の底の糸からなるセットに織り込まれた、複数の前記機械に交差した方向の底の糸からなるセットと、
    複数の前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸のペアからなるセットと
    を含み、
    前記各縫製糸は、第1の部分と、第2の部分と、これら部分の間の過渡的な部分とを有しており、
    前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸の各ペアは、前記機械方向のトップの糸と前記機械方向の底の糸とに織り込まれており、この織り込みは、
    第1の縫製糸がその前記第1の部分として機械方向のトップの糸に織り込まれている際に、第2の縫製糸がその前記第2の部分として機械方向のトップの糸の下に配置され、第2の縫製糸がその前記第1の部分として機械方向のトップの糸に織り込まれている際に、第1の縫製糸がその前記第2の部分として機械方向のトップの糸の下に配置され、第1および第2の縫製糸が、前記過渡的な部分において、機械方向のトップの糸の下を通過する際に、互いに交差し、さらに第1および第2の縫製糸がその各前記第2の部分において前記複数の機械方向の底の糸のうちの少なくとも1本の糸の下を通過するように、
    なされており、
    前記第1および第2の縫製糸の前記第1の部分と前記機械方向のトップの糸とが製紙用織物の表面を規定する、工程と、
    (b)製紙原料を前記製紙用織物の上に適用する工程と、
    (c)その製紙原料から水分を除去する工程と
    を含む製紙方法。
  14. (a) 機械方向のトップの糸と、機械方向の底の糸と、機械に交差した方向の底の糸と、機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸のペアとを含む製紙用の織物を提供する工程であって、
    この織物は複数の繰り返しユニットから構成され、各繰り返しユニットは、
    複数の前記機械方向のトップの糸からなるセットと、
    複数の前記機械方向の底の糸からなるセットと、
    前記複数の機械方向の底の糸からなるセットに織り込まれた、複数の前記機械に交差した方向の底の糸からなるセットと、
    複数の前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸のペアからなるセットと
    を含み、
    前記各縫製糸は、第1の部分と、第2の部分と、これら部分の間の過渡的な部分とを有しており、
    前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸の各ペアは、前記機械方向のトップの糸と前記機械方向の底の糸とに織り込まれており、この織り込みは、
    第1の縫製糸がその前記第1の部分として機械方向のトップの糸に織り込まれている際に、第2の縫製糸がその前記第2の部分として機械方向のトップの糸の下に配置され、第2の縫製糸がその前記第1の部分として機械方向のトップの糸に織り込まれている際に、第1の縫製糸がその前記第2の部分として機械方向のトップの糸の下に配置され、第1および第2の縫製糸が、前記過渡的な部分において、機械方向のトップの糸の下を通過する際に、互いに交差し、さらに第1および第2の縫製糸がその各前記第2の部分において前記複数の機械方向の底の糸のうちの少なくとも1本の糸の下を通過するように、
    なされており、
    前記機械に交差した方向の第1および第2の縫製糸の前記第1の部分と、前記機械に交差した方向のトップの糸と、前記機械方向のトップの糸とが製紙用織物の表面を規定し、この製紙用織物の表面において、前記機械に交差した方向の糸のうち、少なくとも1本も機械方向の底の糸の下を通過しない前記機械に交差した方向のトップの糸が33%以下の割合で含まれる、工程と、
    (b)製紙原料を前記製紙用織物の上に適用する工程と、
    (c)その製紙原料から水分を除去する工程と
    を含む製紙方法。
  15. 前記複数の第1および第2の縫製糸のペアのうち、一ペアおきに並ぶ一方の縫製糸のペアが、その各前記第1の部分において、一本おきに並ぶ第1のグループの機械方向のトップの糸の上と、一本おきに並ぶ第2のグループの機械方向のトップの糸の下とを通過し、一ペアおきに並ぶ他方の縫製糸のペアが、その各前記第1の部分において、前記第2のグループの機械方向のトップの糸の上と、前記第1のグループの機械方向のトップの糸の下を通過し、
    前記複数の第1および第2の縫製糸のペアの各前記第1の部分と、前記一本おきに並ぶ第1のグループの機械方向のトップの糸と、前記一本おきに並ぶ第2のグループの機械方向のトップの糸とが、前記織物の平織りのトップの表面を形成する請求項13に記載の方法。
  16. 第1の縫製糸が、その前記第1の部分において、第1の数の機械方向のトップの糸に織り込まれ、第2の縫製糸が、その前記第1の部分において、第2の数の機械方向のトップの糸に織り込まれ、前記第1の数と前記第2の数は異なる数である請求項15に記載の方法。
  17. 前記第1の数は前記第2の数よりも大きく、前記第2の縫製糸が前記第1の縫製糸よりも高い弾性率を持っている請求項16に記載の方法。
  18. 前記第1の数が3であって、前記第2の数が2である請求項16に記載の方法。
  19. 前記第1と第2の縫製糸が、前記機械方向のトップの糸よりも小さい直径を有する請求項13に記載の方法。
  20. 前記第1および第2の縫製糸が、その各前記第2の部分において、前記複数の機械方向の底の糸のうち1本のみの下を通過する請求項13に記載の方法。
  21. 前記繰り返しユニットが、10本の機械方向のトップの糸と10本の機械方向の底の糸を含んでいる請求項13に記載の方法。
  22. 第1および第2の縫製糸のペアが、その各前記第1の部分において、第1の隣接する2本の機械方向のトップの糸の上と、この第1の2本の糸に隣接する第3の1本の機械方向のトップの糸の下と、この第3の1本の糸に隣接して位置する第2の隣接する2本の機械方向のトップの糸の上とを通過するように、機械方向のトップの糸と第1および第2の縫製糸とがその前記第1の部分において前記繰り返しパターンにより織り込まれ、
    機械方向のトップの糸と第1および第2の縫製糸とがその前記第1の部分において1×2の綾織パターンを形成するように、縫製糸がその前記第1の部分において通過する前記2本の機械方向のトップの糸は、隣接する縫製糸がその前記第1の部分において通過する前記2本の機械方向のトップの糸から、1本の機械方向のトップの糸だけずれている請求項13に記載の方法。
  23. 縫製糸のペアが互いの交差する前記過渡的な部分における機械方向のトップの糸と、隣接する縫製糸のペアが互いの交差する前記過渡的な部分における機械方向のトップの糸との間に、3本の機械方向のトップの糸のずれが存在するように、縫製糸が機械方向のトップおよび底の糸に織り込まれている請求項13に記載の方法。
  24. 第1と第2の縫製糸の25から50%が、機械方向のトップの糸に織り込まれている請求項13に記載の方法。
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