JP4018149B2 - ツイスティングボールディスプレイ - Google Patents

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Description

優先権出願
本願は、譲受人および発明者が同じである下記米国仮特許出願に基づいて優先権を主張する。第60/020,552号(出願日1996年6月27日)。本願はまた、譲受人および発明者が同じである下記米国特許出願に基づいて優先権を主張する。第08/713,935号(出願日1996年9月13日)、第08/716,675号(出願日1996年9月13日)、第08/713,325号(出願日1996年9月13日)、および第08/713,936号(出願日1996年9月13日)。
参照としての取込み
下記米国特許の内容全てが、参照として本明細書に含まれる。米国特許第4,126,854号(シェリドン(Sheridon)、「ツイスティングボール(twisting ball)パネルディスプレイ」)、米国特許第4,143,103号(シェリドン、「ツイスティングボールパネルディスプレイを製造する方法」)、米国第5,262,098号(クロウレイー(Crowley)ら、「ツイスティングボールディスプレイ用二色ボールを製造する方法及び装置」)、米国特許第5,344,594号(シェリドン、「ツイスティングボールディスプレイ用多色ボールを製造する方法」)および米国特許第5,389,945号(シェリドン、「紙様ディジタルアドレス指定媒体およびそのためのアドレス指定装置を含むライティングシステム」)。
関連特許出願
下記の同時係属、共同譲受人の米国特許出願は本件に関連している。米国特許出願第08/716,672号(発明の名称「ツイスティングシリンダ(twisting-cylinder)ディスプレイ」)、米国特許出願第08/713,936号(発明の名称「高反射率ジャイリコン(gyricon)ディスプレイ」)、米国特許出願第08/716,675号(発明の名称「格子間に詰め込まれた粒子を有するジャイリコンディスプレイ」)、米国特許第08/713,325号(発明の名称「エラストマー基板のないジャイリコンディスプレイ」)、米国特許第08/713,935号(発明の名称「単層ジャイリコンディスプレイ」)。
発明の背景
本発明は、可視ディスプレイ、特にジャイリコンディスプレイ等のような電気ツイスティングボールディスプレイに関する。
電気ツイスティングボールディスプレイまたは回転ボールディスプレイのような他の名前によっても公知のジャイリコンディスプレイは、20年以上前に最初に開発されている。上記で本明細書に参照として含まれる米国特許第4,126,854号および米国特許第4,143,103号を参照のこと。
典型的なジャイリコンディスプレイ10を、図1(従来技術)の側面図に示す。二色ボール1は、ボール1が自由に回転できる空洞3を形成する誘電流体によって膨張されるエラストマー基板2中に配置されている。ボール1は、流体の存在下で電気双極子であり、そのためにマトリックスアドレス指定可能な電極4a、4bによるような電界の印加によって余儀なく回転する。上部表面5に最も近接している電極4aは透明であるのが好ましい。その白黒面(半球)を基板2の上部表面5に曝露するように回転されるとき、Iにおける観察者はボール1の白黒パターンによって形成した画像を見る。
ジャイリコンディスプレイは、LCDディスプレイおよびCRTディスプレイのような従来の電気的にアドレス指定可能な可視ディスプレイよりも多くの長所を有する。特に、これらのディスプレイは、周辺光で見るのに適しており、印加電界が存在しない場合、画像を無限に保持し、軽量で、曲げやすく、折り畳み可能であり、かつ通常の筆記用紙の多くの他の通常で有用な特性を有する。よって、少なくとも原則として、これらのディスプレイは、通常の紙に代わる電気的にアドレス指定可能であり、再使用可能な(したがって環境的にやさしい)代用品として役立つ、ディスプレイ応用およびいわゆる電気紙またはインタラクティブ紙応用の双方に適している。ジャイリコンの他の長所に関して、上記で本明細書に参照として含まれる米国特許第5,389,945号を参照のこと。
ジャイリコンディスプレイは、電気的にアドレス指定可能なディスプレイの長所とともに通常の紙の長所の多くをもたらす見込みがあるけれども、従来技術のジャイリコンディスプレイはその見込みに沿えなかった。簡単に述べると、これらのディスプレイはほとんど紙のように見えない。特に、これらのディスプレイは、紙のような高反射率(一般的には、白紙の場合、拡散反射率85%)を有さないので、紙のような高輝度および高コントラストの特性を有しない。
従来の常識によると、ジャイリコンディスプレイの反射率を改善する最も良い方法は、二色ボールの厚い配置に基づいてディスプレイを形成することにある。ボールの配置を厚くすればするほど、ディスプレイの反射率が良くなり、外観が明るくなると考えられている。ここで直観的にわかる類似として通常の塗料がある。他のことがらは同じであって、白色塗料の厚い被膜は薄い被膜よりも入射光をより反射するので、薄い被膜よりも明るく、白く見える。類推すると、二色ボールの厚い配置は薄い配置よりも入射光をより反射するのに役立つと予想される。特に、ディスプレイの視面(viewing surface)下のわずかな距離にある二色ボールの白色表面は、この表面の最も近いところにあるボールによって反射されない光をも反射すると予想される。
従来の常識によると、ジャイリコンディスプレイで高解像度を得るには、ボールが回転する空洞は、できるだけ互いに近接して充填すべきであることも示唆している。しかしながら、空洞内部のボールのサイズは、ディスプレイ反射率に関する限り重要でないと従来から思われている。というのは、二色ボールの厚い配置を有するディスプレイでは、ジャイリコンディスプレイの視面から遠くにあるボールは視面の近くにある二色ボールとの“ギャップを埋める”ためである。換言すると、視面から視面上までの全ての距離にあるボールの2次元投射が実質的に視面にわたる限り、高品質のディスプレイが得られる。
図2(従来技術)の一連の図は、従来技術のいろいろなジャイリコンディスプレイにある二色ボールのいくつかの異なる厚い配置を示している。図(a)は、第1の配置210を示しており、複数の層217、218、219を形成するのに配列される球状の空洞212中の二色ボール211からなる。図(b)は、第2の配置220を示しており、波状層227、228、229に配列される球状の空洞222中の二色ボール221からなる。図から分かるように、第2の配置220を層227、228、229に分割するのはいくらか任意である。図(c)は、第3の配置230を示しており、全く層とはなっていない代わりに第3の配置230の厚さの全体にわたってランダムに分布する球状の空洞232の中の二色ボール231からなる。
厚さのあるディスプレイはある種の欠点を有する。とりわけ、薄いディスプレイは低い駆動電圧を必要とすべきである。それにもかかわらず、従来の常識と調和して、実際上全ての公知のジャイリコンディスプレイは、二色ボールの厚い配置(例えば、シートがいくつかのボール直径の厚さである二色ボールのシート)で形成される。何故ならば、これは適当な輝度のディスプレイを製造するために必要であると考えられるためである。下記の参照文献はこの点で注目すべきである。
・ 本発明とともに譲渡された出願第08/368,133号は、二色ボールの単層を含む明らかに仮想のジャイリコンディスプレイに関する、差し当たっての参照を含んでいる。すなわち、“典型的には、平均直径が80ミクロンである二色ボールの単層を含む電気紙のシートに関して、共通の方向にボールを配向するのに50ボルトを印加する...”(明細書第6頁)。しかしながら、この例は、開示したジャイリコンディスプレイにおける適当な駆動電圧の計算を例示することを述べ、このような装置を駆動するのに理論上必要な最少電圧を与えているようである。この開示の残りは通常の厚さのボール配置を意図している(例えば、第08/368,133号の開示の図8および図9を参照のこと)。
・ リー(Lee)著の論文「磁気粒子ディスプレイ」、IEEE Transactions on Electron Devices、ED-22巻、第9号、1975年9月、第758〜第765頁は、磁気的に作動するツイスティングボールディスプレイに関するものである。第762頁で、標題「解像度、コントラストおよびグレースケール」の下、リーは、粒子の単一層および多層によってもたらされるコントラストを論議している。彼は、二色ボールのランダムパッキング配置が最適であると提案し、単一層(予測反射率0〜45%)とは対照的に二重層(予測反射率15〜60%)で改良された反射率を予測している。
従来の常識が正しいならば、イシカワ、サイトウ、モリ、タムラによって特許され、ソニー株式会社に譲渡された米国特許(米国特許第4,438,160号、以下、'160特許)およびさらに論文「新しく開発された電気ツイスティングボールディスプレイ」、Proceedings of the SID、第23/4巻、1982年、第249〜253頁においてソニー株式会社のイシカワ、サイトウ、モリ、タムラによって開示されたようなディスプレイは、十分なコントラストおよび輝度を生じるのは当然である。イシカワらは、その壁が互いに接触している空洞の中に配置された二色ボールの多層を有するツイスティングボールディスプレイを開示している('160特許の第6欄、第8行〜第15行を参照のこと)。彼らは、高充填密度を有するボールを配置することによって、高解像度ディスプレイを得ることができることを示している('160特許の第7欄、第10行〜第12行を参照のこと)。
ボールおよび空洞の相対的な大きさに関する議論は、'160特許に全然ないことに注目せよ。'160特許の図6および図12〜図13がそうである。特に、'160特許の図6および図12〜図13を説明している明細書は、ボールおよび空洞の相対的な直径をなんら言及していない。さらに、空洞を形成するために開示した技術(ボールをワックスで被覆し、後でワックスを溶かしてとる)から、'160特許の図6および図12〜図13に示した相対的な寸法が誤解をまねき、実際には空洞がボールよりもかなり大きいことが示唆される。'160特許は、ボール上にワックスを付着させる特定の方法を明記しておらず('160特許の第4欄、第60行〜第65行を参照)、サイトウらの論文の251頁に開示した技術によるワックス("樹脂")の付着は、厚さが5〜15ミクロンにわたるワックスコーティングを生成するので、空洞直径は、明記した50ミクロンのボール直径の1.2〜1.6倍にわたる('160特許の第4欄、第14行、サイトウらの論文第251頁を参照)。
'160特許で意図された装置内の空洞が収容できるボールよりも実質的に大きいという示唆は、'160特許に記載された原理に従って形成された実際の装置の顕微鏡写真によって実証されている。斎藤らの第250頁の図2に示されているこの写真で、表面の最も近くにあるボール間にかなり大きなギャップを有する二色ボールの厚い配置を見ることができる。もちろん、従来の常識は、これらのギャップがディスプレイ反射率の見地からは重要であるはずがないと教示している。ジャイリコンディスプレイの視面から遠く離れたボールは視面の近くにある二色ボールとの“ギャップを”有効に“埋める”はずであるので、ディスプレイ全体の品質はそこなわれない。別の言い方をすると、入射光がともかく反射される限り、入射光が、視面に最も近いボールあるいは視面から遠く離れた距離にあるボールから反射されるかどうかは重要であるはずがない。
結局のところ、イシカワらによって提案されたディスプレイは、少なくとも通常の紙と比べた場合、特に十分な反射率特性を有していない。確かに、現在まで従来から公知のジャイリコンディスプレイは、(全ての二色ボールの白色面が観察者の方へ回転した際に測定したとき)反射率が多くとも約15〜20%であった。
そのため、なぞが残る。すなわち、高解像度のジャイリコンディスプレイでさえ、何故ジャイリコンディスプレイは、従来の常識で予測される反射率、輝度、およびコントラスト品質を欠いているのか。優れた反射率、コントラスト、および輝度を有するジャイリコンディスプレイはどのようにすれば作製することができるのか。これらの品質がないと、ジャイリコンディスプレイの有望性、即ち電気紙を研究所の関心事でなくて作業現実性が帯びるという有望性は、実現されないままである。
発明の概要
本発明は、白紙の反射率特性と比べて勝っている優れた反射率を有するジャイリコンディスプレイを提供する。
本発明は、“より厚いディスプレイがより明るい”と言われている従来の常識に反抗し、その代わりに、二色ボールを密に充填した単層を有するジャイリコンディスプレイを提案する。ボールは、この層の内部、好ましくは六方充填配列中に置かれているので、隣接ボール面はできるだけ互いに接近している。独創的なジャイリコンディスプレイから反射した光はボールの単層からほぼ完全に反射されるので、下部層は必要ない。下部層を除去することによって、ディスプレイをより薄くすることができる。また、フリンジ電界の優れた制御によって、より低い駆動電圧および優れた解像度のような他の長所をもたらすことができる。
一つの態様として、本発明は、基板及び該基板中の単層に実質的に配置された複数の光学異方性粒子を有する材料を提供することができる。粒子は、単層内で互いに近接して充填されている。粒子が基板中でこのように配置されている間、各粒子の回転可能な配置を達成することができる。例えば、粒子は、基板の中で既に回転可能であってもよいし、あるいは基板上で実行される非破壊動作で基板中で回転可能にされてもよい。特に、基板は、該基板中で粒子を回転可能にするために基板に流体を塗布することによって膨張するエラストマーでできていてもよい。回転可能な配置にあるとき、粒子は基板に付着されない。ディスプレイ装置は、一片の材料の基板の中に回転可能に配置される少なくとも1つの粒子の回転を容易にする手段(例えば、電極アセンブリ)とともに一片の材料から構成することができる。
一つの態様として、本発明は、基板及び該基板に配置された複数の光学異方性粒子を有する材料を提供できる。複数の粒子は、粒子の第1および第2集団を含んでいる。第1集団の粒子は、第2の粒子の集団がないと考慮すると、すき間を有して密に充填されている(例えば、幾何学的に規則正しい)配置で基板中に配置されている。第2集団の粒子は、配置のすき間に配置されている。粒子が基板中でこのように配置されている間、各粒子の回転可能な配置を得ることができる。例えば、粒子は、基板の中で既に回転可能であってもよいし、あるいは基板上で実行される非破壊動作で基板の中で回転可能にされてもよい。特に、基板は、該基板中で粒子を回転可能にするために基板に流体を塗布することによって膨張するエラストマーでできていてもよい。回転可能な配置にあるとき、粒子は基板に付着されない。ディスプレイ装置は、一片の材料の基板の中に回転可能に配置される少なくとも1つの粒子の回転を容易にする手段(例えば、電極アセンブリ)とともに一片の材料から構成することができる。
一つの態様として、本発明は、表面を有する基板及び該基板中に配置される複数の光学的異方性粒子を有する材料を提供することができる。基板表面に最も近接する粒子は実質的に単一層を形成する。この層の各粒子は中心点を有し、基板表面に対してこの層の任意の最隣接粒子の中心点の後部に配置されている層に実質的に全く粒子がない。層中の各粒子は基板表面に対して投影面積を有し、一群の粒子は層中で互いに十分密に充填されているので、その投影面積をあわせると基板表面の面積の2/3を越える。粒子が基板中でこのように配置されている間、各粒子の回転可能な配置を達成することができる。例えば、粒子は、基板の中で既に回転可能であってもよいし、あるいは基板上で実行される非破壊動作で基板の中で回転可能にされてもよい。特に、基板は、該基板中で粒子を回転可能にするために基板に流体を塗布することによって膨張するエラストマーでできていてもよい。回転可能な配置にあるとき、粒子は基板に付着されない。ディスプレイ装置は、一片の材料の基板の中に回転可能に配置される少なくとも1つの粒子の回転を容易にする手段(例えば、電極アセンブリ)とともに一片の材料から構成することができる。
一つの態様として、本発明は、表面を有する基板及び該基板に配置された複数の光学異方性粒子を有する材料を提供することができる。各粒子は光反射成分領域を有する。各粒子は、粒子の反射領域が基板表面に最も近い好適な回転配向を有する。粒子がこのように基板中で配置されている間、各粒子の回転可能な配置を達成することができる。回転可能な配置にあるとき、粒子は基板に付着されない。基板中で粒子は次のように配置されている。即ち、粒子の反射領域による反射に影響されやすい光が基板表面の一部に入射してその付近にある粒子を照明する一方で、これらの粒子がその好ましい配置で回転するように配向するとき、積分球技術によって測定した際表面の部分に入射する光の少なくとも15%(より好ましくは少なくとも30%;さらに好ましくは少なくとも40%等)が基板表面を介して最終的に後方反射(例えば、拡散反射)するように、照明された粒子が粒子を照明する光を変調するように配置されている。
一つの態様として、本発明は、二色ボールのような光学異方性粒子が、エラストマー基板またはその他の空洞含有マトリックスがなくても、誘電液体のような作動流体の中に直接配置されるジャイリコンあるいはツイスティングボールディスプレイを提供することができる。このディスプレイ装置は光透過性視面を有し、その後部に作動流体が該視面内の粒子とともに配置されている。粒子は、隣接粒子が所定の場所に互いに保持する傾向がある密に充填された安定な配置で配置されている。例えば、粒子は、六方充填単層中に配置することができる。作動流体は、流体が粒子と直接接触しているにもかかわらず、実質的に粒子を無理に安定な配置のままであるようにさせない。
本発明を、下記の説明および添付図面を参照して、一層理解することができる。添付図面において、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来技術の典型的なジャイリコンディスプレイである。
図2は、従来技術のジャイリコンディスプレイにおける完全な層であるボール配置、不完全な層であるボール配置、および層でない(ランダム)ボール配置を示す一連の図である。
図3は、光整流器モデルによるいくつかの個々のジャイリコンボールの各々についての光散乱経路を例示する一連の図である。
図4は、光整流器モデルによるジャイリコンディスプレイにおける光散乱経路を例示する一連の図である。
図5は、理想的に密に充填された単層ジャイリコンディスプレイ、高品質の密に充填された単層ジャイリコンディスプレイ、密に充填されていない単層ジャイリコンディスプレイ、および密に充填された上部層を有する非単層ジャイリコンディスプレイにおける典型的な光経路を対比する一連の図である。
図6は、ジャイリコンボールが密に充填された単層に配列された態様における本発明のジャイリコンディスプレイの側面図を示す。
図7は、視面の最近接層として密に充填された単層を有する多層にジャイリコンボールが配置された他の態様における本発明のジャイリコンディスプレイの側面図を示す。
図8は、視面に最も近いジャイリコンボールが密に充填された六方形状に配列された態様における本発明のジャイリコンディスプレイの平面図である。
図9および図10は、ジャイリコンボールが密に充填された矩形状および密に充填された偏菱形状(ダイヤモンド状)にそれぞれ配列された他の態様における本発明のジャイリコンディスプレイの平面図を示す。
図11は、二色ボールの2つの異なる集団を各々が有するジャイリコンディスプレイの例を示す一連の図であり、大径の二色ボールの理想的な密に充填された単層のすき間を埋める小径の二色ボールを有する。
図12は、相対的に大径のジャイリコンボールが密に充填された構造で配列され、相対的に小径のジャイリコンボールが構造のすき間を埋める態様における本発明のジャイリコンディスプレイの側面図を示す。
図13は、相対的に大径のジャイリコンボールが密に充填された六角形構造で配列され、相対的に小径のジャイリコンボールが構造のすき間を埋める態様における本発明のジャイリコンディスプレイの平面図を示す。
図14は、厚いジャイリコンディスプレイにおけるフリンジ電界と単層のジャイリコンディスプレイにおけるフリンジ電界とを対比する一連の図である。
図15は、厚いジャイリコンディスプレイの顕微鏡写真である。
図16は、面積カバレッジ比(areal coverage fraction)αの例を示す。
図17は、中心間の間隔、ボール直径、および空洞サイズの関係を示す一連の図である。
図18〜図20は、それぞれ均一の二色球体を六方形状、矩形状、偏菱形状(ダイヤモンド)に充填した単層の幾何学的配置における面積カバレッジ比αの計算を示す。
図21は、ジャイリコンボールを密に充填した単層が、エラストマーまたは他の空洞を含む基板媒体なしに、透明電極間の流体に直接置かれた本発明の他の態様を示す。
詳細な説明
二色ボールは、明るい面および暗い面を有している。本発明の研究は、(ジョージ・ルーカスの作品から勝手に借用して)暗い面の探求と見なすことができる。この研究は、“厚い方が明るい”という従来の常識が何故役に立たないかを示し、光整流器モデルと呼ばれるジャイリコンディスプレイにおける光伝搬の新しく、より有効なモデルをしかるべき場所に提供する。また、新しいモデルは、本発明により提案された密に充填された単層ジャイリコンディスプレイに刺激を与える。
説明をはっきりとするために、以下の光整流器モデルの議論は、適切なモデルに的を絞り、(例えば、下記の反射率の式(1)〜(3)のパラメータKにおいて)特記しない限り、異なる屈折率を有する物質聞の境界の光屈折のようなモデルに直接関係してない他の光学効果を無視する。
光整流器モデル
ジャイリコンディスプレイで使用される二色ボールは典型的に、半球体の一方の表面が白色であり、半球体の他方の表面が黒色である。ディスプレイの一部が“白い”状態にあるとき、その中の白いボールは、白い半球体が上に向く(すなわち、図1のIにいる観察者のようにディスプレイの上方にいる観察者にとって見ることができるように、ディスプレイの視面に面している)ように配向する。ディスプレイの上方から入射する光はボールの上部から多数の方向へ拡散するように散乱される。
特に、光が任意のボールの白い半球体上のある点に当たると、散乱は、接平面(光がボールに当たる点のボールの表面に接触している平面)で境界づけられる全ての角度で生じる。ボールの上部のある点に関して、これは、全ての光が後方に散乱されることを意味する。あるボールとジャイリコンディスプレイの視面との間に他のボールが全然ないならば、ボールの上部から散乱した光は視面から外側に自由に戻るので、ディスプレイの観察された白さに寄与する。しかしながら、あるボールと視面との間に他のボールがあるならば、散乱光が、その上のボールの黒い半球体表面によって部分的に遮られるために、ボールの上部から散乱された光が直ちにディスプレイから放たれることができない。底部表面は黒であるので、この光は直ちに吸収される。したがって、ボールの下部層に到達する光の多くが永久に失われる。
図3はこれらのアイデアを示している。一連の図3の図(a)、(b)、(c)、(d)は各々、二色ボール331、332、333、および334を含むジャイリコンディスプレイ300の一部を示す。これらは全て、白い半球体が透明の視面310の方へ上を向いているように回転する。光源Lからの光線は、二色ボールの白い半球体によって散乱される視面310を通過する。図(a)において、光線325は、ボール331の最上部のある点に当たり、接平面T1で境界づけられる全ての方向に散乱される。殆ど全ての散乱光は面310を介して戻ることができる。図(b)において、光線326は、ボール331の下方のより遠いある点に当たり、接平面T2で境界づけられる全ての方向に散乱される。散乱光の大部分は面310を介して戻ることができ、この散乱光のいくらかは下方に散乱され、ボール332の黒い半球体によって吸収される。
図3を引き続き述べると、図(c)において、光線327は、ボール333上のある点に当たり、接平面T3で境界づけられる全ての方向に散乱される。ボール333と面310との間に他のボールが全然ないけれども、ボール333の白い半球体は、ボール331のような他のボールの黒い半球体の下にある。散乱光の中のかなりの部分は、ボール331および面310に対してボール333の上にある他のボールの黒い半球体によって吸収される。図(d)において、光線328はボール334の上部に当たり、接平面T4で境界づけられる全ての方向に散乱される。ボール334は、ボール331、332及び333を含むディスプレイにおけるいくつかの他のボールの下にある。ボール334の白い半球体から散乱された光の大部分は、これらの他のボールの黒い半球体によって吸収され、面310を通って殆ど漏れない。
要するに、“白い”状態にある従来のジャイリコンディスプレイは光整流器(電気整流器と類似する)である。装置に入る光は、容易に下方に進むことができるが、吸収されないで上方へ移動し戻ることができない。他の方法で述べると、一旦光が中に入ると、大部分の場合、光は出ることができない。したがって、反射されないで一番上の二色ボールの上部半球体を通り過ぎて進むいかなる光も装置から漏れそうにない。一番上の二色ボールの下に二色ボールを追加することは全ディスプレイ反射率に最少限に寄与するだけである。
図4は、光整流器モデルによるジャイリコンディスプレイにおける散乱光線についてのいろいろな典型的な経路を示す。(明瞭にするために、選択した典型的な散乱経路だけを示す。図3のように、ボールの白い半球体に入射する各光線は入射点の接平面で境界づけられる全ての角度で散乱する。)図4の一連の図(a)、(b)、(c)、(d)は各々、拡散照明源Lからの光によって照明されるジャイリコンディスプレイ400の一部を示している。ディスプレイ400の二色ボール407、408、409は、その白い半球体がIにいる観察者にさらすように回転する。ボール407は、ディスプレイ400のボールの最上部、すなわち第1の層であると言うことができ、ボール408は第2の層であると言うことができ、ボール409は第3の層であると言うことができる。
図4の図(a)において、光線451、452、453、454、461は一番上のボール407に入射する。ボール407と透明の視面410との間には他のボールが全然ない。光線451、452、および453はIにいる観察者に直接後方散乱する。光線454は、一方のボールから散乱し、他方のボールの白い半球体上に散乱し、そこからIにいる観察者に後方散乱する。光線461はボール437に当たるが、そのボールの白い半球体が他の一番上のボール407の大部分の黒い半球体よりも幾分低い。光線461は、ボール437の白い半球体から散乱し、ボール438の黒い半球体によって吸収される。
光整流器モデルによれば、一番上のボール407に入射する光線の大部分(例えば光線451、452、453、および454)は、Iにいる観察者に見えるように反射される。一番上のボール407に入射する光線のわずかな部分(例えば、光線461)だけは吸収のために失われる。吸収損失は、最上部層の他のボールと同じ深さよりもむしろ下にあるボール(例えば、ボール437)に対してより大幅であり、その反射する白い半球体が隣接ボールの吸収する黒い半球体の下にあるボールに対して特に大きい。
図4を引き続き述べると、図(b)において、光線462、463、464、465、455はボール408に入射する。光線463、465、455のようなこれらの光線のいくつかは、光源Lからボール408に直接進むのに対して、光線462および464のような他の光線は、ボール408と透明の視面410との間にある一番上のボール407から散乱された後間接的に到着する。光源462、463、464、および465は各々、第2の層のボール408のうちの1つの白い半球体から散乱するが、その後、一番上のボール407の黒い半球体によって吸収されるので、面410に漏れない。したがって、これらの光線462、463、464、および465をIにいる観察者は見ることができない。光線455のような若干の光線は、面410に漏れるので、Iにいる観察者は見ることができるが、光整流器モデルによれば、このような光線は例外であり、原則でない。第2の層のボール408に入射する光線の大部分は、一番上のボール407の吸収によって失われるので、第2の層のボール408はIにいる観察者に比較的暗く見える。
図4の図(c)において、光線466、467、468、469、470はボール409に入射する。光線466および467のようなこれらの光線のいくつかは光源Lからボール409に直接進むのに対して、光線468、469および470のような他の光線は、その双方がボール409と透明の視面410との間にある一番上のボール407あるいは第2の層のボール408から散乱された後、間接的に到着する。光線466、467、468、469、470は各々、第3の層のボール409の中の1つの白い半球体から散乱するが、その後、一番上のボール407あるいは第2の層のボール408の黒い半球体によって吸収されるので、面410に漏れない。したがって、光線466、467、468、469、470のいずれもIにいる観察者は見ることができない。第3の層のボール409に入射する光線の殆ど全ては上部層のボールによる吸収により失われるので、第3の層のボール409はIにいる観察者に全く暗く見える。
最後に、図4の図(d)において、光線471、472は、ボール407、408、あるいは409のいずれにも当たらないでジャイリコンディスプレイ400を完全に通過する。これらの光線はボール間のギャップを通過し、反射されない(例えば、光線はディスプレイの背面420の後部で吸収される)。したがって、光線はIにいる観察者に見えない。
単層ジャイリコンディスプレイ
光整流器モデルによれば、ジャイリコンディスプレイの一番上のボールの白い半球体(特に、その白い半球体が他のボールの黒い半球体の下にないボール)によって反射されない光線は、吸収によりまさに失われるようである。
本発明によれば、従来のジャイリコンディスプレイ固有の光整流器特性は、次のジャイリコンディスプレイを構成することによって解決することができる。このディスプレイでは、全ての二色ボールを視面から同じ深さの単一層に配置し、この層にできるだけ互いに接近して充填する。このようなディスプレイでは、白いボール半球体が観察者に向けられると、視面の方へ反射される光線はボールの単一層の上部半球体を越えてディスプレイを通らない。ボールを互いに接近して充填することによって、単一層から反射される光の量は最大限となり、ボールの黒い半球体によって吸収されるか、反射なしにディスプレイを通過する量は最少限となる。
図5は、いろいろなジャイリコンディスプレイの典型的な光散乱経路を示す。(明瞭にするために、図4で選択し経路のみを示す。)図(a)は、二色ボール501を有する理想的に密に充填された単層ジャイリコンディスプレイ500を示す。隣接ボールの表面は互いに接触するか、又は適切なボール回転と矛盾しないように互いに接触するためにできるだけ接近している。ボール501間の唯一のギャップは、球体が平面アレイに充填されるときに本質的に生じる空間である。これらのギャップを最少限にするために、六方アレイを用いるのが好ましい。ディスプレイ500は、図21に関して後述されるように、エラストマーなしで誘電流体の中にボール501を直接置くことによって形成することができる。拡散光源Lからの光線550、551、552、553、および554は、ボール501の上部の白い半球体から散乱し、ディスプレイ500から後方散乱し、それによってディスプレイの観測できる輝度に寄与する。
図5を引き続き述べると、図(b)は、二色ボール511が空洞512内で回転する高品質(すなわち高輝度)の密に充填された単層のジャイリコンディスプレイ510を示す。空洞512は、例えば、従来のジャイリコンディスプレイを構成する際に用いられた膨張エラストマー技術によって形成することができる。二色ボール511を、平面の六方アレイに配置するのが好ましく、空洞512は、ボール511に対してできるだけ小さく作られる。また、空洞512は、互いにできるだけ接近して置かれ、隣接空洞間の壁は、できるだけ薄く作られ、理想的にはゼロの厚さに近づくことが好ましい。したがって、ボール511間のギャップが最少限となる。拡散光源Lからの光線555、556、557、558、および559は、ボール511の上部の白い半球体から散乱する。入射光線の大部分は、ディスプレイ輝度に寄与するようにディスプレイから後方散乱される。若干は、反射されないでボール511間のギャップを通過するか(例えば、光線559)または(図示しない)ボール511の黒い半球体によって吸収される。
図5をさらに続けると、図(c)は、二色ボールがディスプレイ500および510ほど密には充填されていない品質が劣る単層ジャイリコンディスプレイ520を示す。ボール521は空洞522内で回転する。隣接空洞間の間隔はボール直径に対して比較的大きい。したがって、ディスプレイ500および510の場合よりも多くの光が失われる。光線560および562はボール521間のギャップを通過し、光線563は、ボール521のうちの1つの黒い半球体によって吸収されるように散乱される。一般に、ボール521がより遠くに離隔して配置されると、ディスプレイ通過による損失および二色ボールの黒い半球体によって横方向に散乱した光の吸収による損失が大きくなる。隣接二色ボールの間隔は、大きなサイズの空洞または図(c)に示されるように、隣接空洞間の大きな空間のいずれかのために大きくてもよい。
図5の図(d)は、光整流器問題の他の解決法をもたらす本発明の他の態様を示す。ジャイリコンディスプレイ540は、上部層547、中間層548、および下部層549を含む二色ボールの厚い配置を有している。最上部層547のボールは、(図(b)からの)ディスプレイ510の単層のボール511と同じように密に充填されている。層548および549のボールは密に充填されていない。しかしながら、ディスプレイ540から観測できるように反射されるほとんど全ての光は最上部層547のボールの上部の白い半球体から反射されるので、層548および549はディスプレイ540の反射率に実質的に寄与しない。したがって、ディスプレイ540の反射率はおよそディスプレイ510の反射率も同然である。そうであっても、図14に関して後述される理由により、薄いディスプレイ510が厚いディスプレイ540よりも好ましいであろう。
要約すると、光整流器モデルによれば、ジャイリコンディスプレイの視面に入射する光は、観測できるディスプレイ輝度に寄与させるならば、一番上の二色ボールの白い半球体によって反射されなければならない。そのように反射されない光はいずれも、面に到着できる前に二色ボールの黒い半球体によって吸収されるかあるいは全然反射されないでディスプレイを通過するため、ジャイリコンディスプレイ内部に効率的に閉じ込められる。下部層におけるボールの白い半球体によって散乱される少量の光は面になんとか到着するけれども、他の公知の光損失機構を考慮に入れる場合でさえ明らかにできない従来のジャイリコンディスプレイで観測された低反射率から、漏れる光の量が全く少量であることが示唆されている。従来のジャイリコンディスプレイの反射率の制約を解決するために、本発明によれば、ジャイリコンディスプレイは、光整流器の役目を果たさないジャイリコンディスプレイを形成する。“白い”状態では、独創的なディスプレイは、二色ボールの一番上の層から、より詳細には、ボールの一番上の層の白い半球体の上部表面から完全に反射する。好ましい態様として、独創的なディスプレイは、二色ボールの単一の密に充填された単層で構成される。
特定の態様の例
図3〜図5は、光経路を明確に見ることができるように、簡略化した形でそれぞれのジャイリコンディスプレイを示している。図6は、特定の態様における本発明のジャイリコンディスプレイ600のより詳細な側面図を提供する。ディスプレイ600では、二色ボール601はエラストマー基板602における単層でできるだけ互いに接近して置かれている。基板602は、ボール601が自由に回転できる空洞603を形成する誘電流体(図示せず)によって膨張する。空洞603は、ボール601に対してできるだけ小さく形成されるので、ボールは空洞をほとんど埋める。また、空洞603は、できるだけ互いに接近して置かれるので、空洞壁はできるだけ薄い。ボール601は一定の直径であり、かつ上部面605から一定の距離にあるのが好ましい。ディスプレイ600におけるボール601および空洞603の配置は、図5の図(b)に示されたディスプレイ510におけるボール511および空洞512の配置に匹敵することが分かる。ディスプレイ600におけるボール601および603の配置は、隣接する二色ボール間の中心間の間隔および表面間の間隔の双方を最少とすることがさらに分かる。(ボールおよびその内部でボールが回転する空洞の相対寸法のより詳細な議論は図17を参照して下記に記載する。)
ボール601は、誘電流体の存在下、電気双極性であるので、マトリックスアドレス指定可能な電極604a、604bによるような電界の印加で回転する。上部面605に最も近接している電極604aは透明であるのが好ましい。Iにいる観察者は、基板602の上部面605にその白黒の半球体をさらすように回転するボール601の白黒パターンによって形成された画像を見る。
図7は、他の態様における本発明のジャイリコンディスプレイ700の側面図を示す。ディスプレイ700では、二色ボール701は、上部層707および付加下部層(ここでは第2の層708によって示される)にある。上部層707のボールは単層でできるだけ互いに接近して置かれる。エラストマー基板702は、ボール701が自由に回転できる空洞703を形成する誘電流体(図示せず)によって膨張する。空洞703は、ボール701、特に上部層707のボールに対してできるだけ小さく形成されるので、これらのボールは空洞を埋める。また、空洞壁ができるだけ薄いので、空洞703は互いにできるだけ接近して置かれる。上部層707のボールは、一定の直径であり、かつ上部面705から一定の距離にあるのが好ましい。ディスプレイ700のボールおよび上部層707の中の空洞の配置は、図5の図(d)に示されたディスプレイ540における上部層547のボールおよび空洞の配置に匹敵することが分かる。Iにいる観察者に観測できるようにディスプレイ700から反射されるほとんど全ての光が上部層707の中のボールの白い半球体から反射されることがさらに分かる。上部層707に対して少なくとも、ディスプレイ700の中のボール701および空洞703は、隣接する二色ボール間の中心間の間隔および表面間の間隔の双方を最少限とする。下部層(例えば層708)の中のボールも、ディスプレイの厚さを最少限にするためにできるだけ密に充填されるのが好ましい。
ボール701は、誘電流体の存在下で電気双極性であるので、マトリックスアドレス指定可能な電極704a、704bによるような電界の印加で回転する。上部面705に最も近接している電極704aは透明であるのが好ましい。Iにいる観察者は、基板702の上部面705にその白黒の半球体をさらすように回転するボール701の白黒パターンによって形成された画像を見る。
一般に、図6の単層ディスプレイ600は、図14に関して後述される理由から図7の厚いディスプレイ700より好ましい。光整流器モデルによれば、層708のような下部層は、観測できるディスプレイ反射率にほとんどあるいは全然寄与しない。特に、下部層708のボールの白い半球体に到着する光はいずれも、上部層707のボールの、吸収する暗い面へと最も散乱しそうであるように、下部層708のボールの白い半球体が置かれることに注目せよ。それにもかかわらず、例えば、ディスプレイ700のようなディスプレイがより少ない費用で製造することができるならば、このディスプレイが好ましい場合がある。
ディスプレイ600の単層またはディスプレイ700の密に充填された最上部層の二色ボールを最大限に密に充填するには、六方充填の幾何学形状が好ましい。図8はこの幾何学形状を示す。本発明のジャイリコンディスプレイ800の一部の平面図を、透明の視面805を通して見ることができるボール801の白い半球体とともに示す。ボール801は空洞803の中で回転し、その空洞はできるだけ小さく、互いに接近しているのが好ましい。ボール801の中心は、典型的な六角形Hによって示されるような六角形パターンを形成する。すなわち、接近する隣接ボールの中心は、典型的な正三角形Eによって示される正三角形を形成する。すき間807は、幾何学形状の結果として生じる(充填された球体は平面を完全に覆うことができない)。
図9〜図10は、他の充填の幾何学形状を示す。これらの幾何学形状は、六角形の幾何学形状よりも、平面の小さい部分しか覆っていないので、図8の六角形の幾何学形状よりもあまり好ましくない。図9は矩形の幾何学形状を示す。ジャイリコンディスプレイ900の一部は、空洞903に二色ボール901を有する。ボール901の白い半球体は視面905を通して見ることができる。矩形の幾何学形状を、ボール901の中心によって形成される典型的な正方形Sによって示す。すき間907は、充填の幾何学形状によって埋まらないままである。図10は、偏菱形(ダイヤモンド状)幾何学形状を示す。ジャイリコンディスプレイ1000の一部は空洞1003に二色ボール1001を有する。ボール1001の白い半球体は視面1005を通して見ることができる。偏菱形の幾何学形状を、ボール1001の中心によって形成された典型的な菱形Rによって示す。すき間1007は充填の幾何学形状によって埋まらないままである。
2つの集団の密に充填されたジャイリコンディスプレイ
一定の直径の球体の単層平面アレイは、たとえ球体の表面が互いに接触しているとしても、必然的に球体間にすき間を有する。図8において、すき間807は六角形の充填幾何学形状によって形成される。図9において、すき間907は矩形の充填幾何学形状によって形成される。図10において、すき間1007は偏菱形の充填幾何学形状によって形成される。光整流器モデルによれば、すき間を通ってディスプレイの深さに進む光は本来は失われる。
平面アレイのすき間を通る光損失を防ぐために、他の態様における本発明によれば、ジャイリコンディスプレイは二色ボールの2つの集団から構成される。好ましくは、第1、あるいは主となる集団におけるボールは第1の一定の直径のボールであり、第2、あるいはすき間の集団におけるボールは、第2の一定の直径のボールであり、第2の直径が第2の集団におけるボールが第1の集団からのボールを密に充填することによって残ったすき間を埋めることができるように選択する。
図11は、これらのアイデアのいくつかの例を提供している。図11の一連の図は各々、アレイのすき間を埋めるのに用いたいろいろな小さい二色ボールを有する二色ボール1101の六方充填平面アレイを示す。ボール1101の白い球体は上方に面し、その一番上の点は平面Pにある。図(a)および図(b)はそれぞれ、二色ボール1101のアレイの側面図および平面図を示す。小さい二色ボール1102は、六方充填配置によって形成されたすき間におけるボール1101の上にある(すなわち、ジャイリコンディスプレイの視面により近い)。ボール1102も上方に面するその白い球体を有する。ボール1102は、その白黒の球体を分離する平面が平面Pであるような直径のものである。図(c)および図(d)は、それぞれ、六方充填幾何学形状によって形成されたすき間におけるボール1101の上にある小さい二色ボール1102′を有する二色ボール1101のアレイの側面図および平面図を示す。ボール1102′はその一番上の点が平面Pであるような直径のものである。図(e)および図(f)はそれぞれ二色ボール1101のアレイの側面図および平面図を示し、小さい二色ボール1102″は、六方充填配置によって形成されたすき間におけるボール1101の上にある。(図(e)において、ボール1102″はボール1101によって隠されるので、破線の輪郭線として示す。)ボール1102″は、その中心が図示のようにボール1101の中心と同じ平面にある場合、その表面がボール1101の表面の接線であるような直径のものである。
好ましくは、図11の例に全て示されるように、すき間のボールは主となる二色ボールの平面アレイ上で平面アレイに配置される。すなわち、小さいボールの中心によって形成される平面は、大きなボールの単層(または密に充填された上部層)の中心によって形成される平面よりも視面に近い。この配置の場合、すき間ボールの白い半球体から反射される光は、すき間ボールが大きなボールの層の下に配置されている場合のように、主となる二色ボールの黒い半球体によって吸収されない。
さらに図11に示されるように、すき間ボールは、その黒い半球体が主となる二色ボールの白い半球体によって反射される光を多く吸収しないように十分小さいのが好ましい。この点では、すき間ボールの黒い半球体による吸収による損失とすき間が埋まっていない部分を通る光の通過による損失との間で、交換条件が行われる。図11の図(a)および図(b)では、ボール1102はほとんどボール1101間のすき間を完全に埋める。しかしながら、ボール1101の白い半球体から散乱される光のいくらかはボール1102の黒い半球体によって吸収される。(平面Pは、ボール1101の最上部のための接平面であり、すき間ボール1102の白黒半球体を分離する平面でもあることに注目せよ。したがって、ボール1101の真の最上部から散乱された光はいずれも、ボール1102の黒い半球体によって吸収されない。このことは、ボール1102がいくらか大きくなると、このようにはならない。)図11の図(c)および(d)において、ボール1102′は、ボール1101間のすき間を十分埋める。ボール1101の白い半球体からの散乱光のいくらかはボール1102′の黒い半球体によって吸収されるが、図(a)および(b)のすき間ボール1102の場合よりも小さい。これは、ボール1102よりも小さいボール1102′が平面Pの下にその中心を置くことができるので、ボール1101の白い半球体によって散乱された光がボール1102の黒い半球体よりもボール1102′の黒い半球体にあまり到着しそうにないためである。図11の図(e)および(f)において、ボール1102″はボール1101間のすき間を一部だけ埋める。ボール1102″は、ボール1101の中心と同じ平面内にその中心を置くので、ボール1101の白い半球体から散乱された非常にわずかな光がボール1102″の黒い半球体によって吸収される。しかしながら、光は、ボール1102″によってふさがれないままであるボール1101間のすき間の部分を通過できる。したがって、すき間ボール1102″の場合、より大きなすき間ボール1102あるいは1102′の場合よりも大きな光がボール1101の白い半球体を越えて通される。
要するに、すき間ボールが小さくなるにつれて、主となる二色ボールの最上部に対して下部に置くことができるので、その黒い半球体で吸収されるのをより少ない光とすることができる。しかしながら、すき間ボールがより小さくなるにつれて、主となる二色ボール間のすき間のギャップの小さい部分を埋めるので、より多くの光は主となる層の中の1つの半球体の深さを越えて通り、その後吸収のために失わせることができる。
図12は、主となる二色ボールおよびすき間二色ボールを有する特定の態様における本発明のジャイリコンディスプレイ1200のより詳細な側面図を提供する。ディスプレイ1200では、主となる二色ボール1201はエラストマー基板1202の単層において互いにできるだけ接近して置かれている。基板1202は、ボール1201が自由に回転できる空洞1203を形成する誘電流体(図示せず)によって膨張する。空洞1203はボール1201に対してできるだけ小さく形成されるので、ボールは空洞をほとんど埋める。また、空洞壁が可能な限り薄いので、空洞1203は互いにできるだけ接近して配置される。ボール1201は一定の直径であり、かつ上部面1205から一定の距離にあるのが好ましいく。
ディスプレイ1200のボール1201および空洞1203の配置は、図6に示されたディスプレイ600のボール601および空洞603の配置に匹敵する。しかしながら、ディスプレイ1200は、小さいすき間ボール1215が加わっているのでディスプレイ600とは異なる。これは、誘電流体の存在下でエラストマー基板1202の膨張により形成したそれ固有の空洞1216中で回転する。ボール1215は、電界の印加でボール1201とともに回転するので、ボール1201の白い半球体がIにいる観察者に向けられるとき、ボール1215の白い半球体も向けられ、黒い半球体でも同様となる。
ボール1215は一定の直径のものであり、かつ上部表面1205から一定の距離にあるのが好ましく、ボール1215の中心を含む平面P2は、ボール1201の中心を含む平面P1よりも面1205により近いのが好ましい。ボール1215の中心を含む平面P2とボール1201の中心を含む平面P1との距離zは最少限にするのが好ましいので、ボール1215はできるだけボール1201に近く、よってボール1201の白い半球体からボール1215の黒い半球体へ散乱する光による吸収損失が最少限となる。空洞1216は、ボール1215に対してできるだけ小さく形成され、空洞1216の壁が可能な限り薄くされるので、ボールは空洞をほとんど埋める。
図13は、ディスプレイ1200の一部の平面図を示す。主となる二色ボール1201およびすき間二色ボール1215の白い半球体は透明面1205を通して見ることができる。六方充填幾何学形状は、六角形Hおよび正三角形Eで示されるように、ボール1201のために用いられるのが好ましい。すき間ボール1215は六方充填幾何学形状のボール1201間に残ったすき間1217を埋める。図11に関して前述したように、ボール1215は、ボール1201およびボール1215の相対直径に応じて、すき間1217の大きいかまたは小さい部分を埋めることができる。
前述の図面(特に、図8〜図10)とともに考察したとき、図11〜図13から明らかなように、その他の多くの態様が、本発明のジャイリコンディスプレイにおける二色ボールの2つの集団のすき間充填に可能である。特に、主となる二色ボールは矩形あるいは偏菱形の幾何学形状で充填することができ、ボールの単層またはボールの厚い配置の密に充填された最上部層のいずれかであってもよい。これらの態様では全て、基本的なアイデアは、特にすき間で失われる入射出光を遮り、この光を直接または大きなボールの近くの白い半球体から散乱させることによって観察者に反射することにあるのと同時に、小さいボールの黒い半球体による吸収損失を最少にするのが好ましい。
単層構成の電気的長所
本発明による単層ジャイリコンディスプレイは、改良された反射率の他にいくつかの長所を有する。このようなディスプレイに必要な作動電圧は、従来の厚いジャイリコンディスプレイに必要な動作よりも小さい。これは、電界の影響下でのジャイリコンボールの回転が電界強度によって決まるためである。電界は、距離に対する電圧の導関数である(例えば、平行板コンデンサの簡単な場合E=V/d)。したがって、ある電界強度はより低い印加電圧で得ることができる。但し、その他のことは、電圧が印加される距離を減少させることにより同じである。したがって、単層の、可能な限り最も薄い構造を用いることにより、ジャイリコンディスプレイの作動電圧を最少限にできる。低い作動電圧により、低い電力消費、あまり高価でない駆動電子機器および増大したユーザ安全性を含む多数の長所を有する。
すき間ボールをディスプレイに加えることによって、単層ディスプレイに必要な作動電圧を増加させる必要がなくなる(例えば、図12のすき間に充填されたディスプレイ1200に対する駆動電圧は、図6の単層のディスプレイ600を駆動するために使用される電圧と同じであってもよいし、この電圧と一致してもよい)。一般的に、小さいボールの回転を生じるのに印加しなければならない最少電界強度は、大きなボールに対する最少電界強度よりも大きくない。したがって、ディスプレイに小さいボールを加えて基板の厚さ全体が増加させない限り、電圧は増加させる必要がない。例えば、図11の図(c)および(e)に示したすき間配置は、ボール1101の簡単な単層に必要な基板よりも厚くない基板に置くことができる。小さいボールを加えると単層の厚さが増加するならば、図11の図(a)に示したすき間配置に関する限り、対応する電圧の増加が必要となる。
単層ディスプレイの他の長所は、向上した解像度にある。図14に示すように、ディスプレイが薄くされるにつれて、フリンジ電界効果が最少になる。図14の一連の図の各々において、アドレス指定電極1410および1411を用いて、二色ジャイリコンディスプレイの隣接ピクセルをアドレス指定する。電極1410は、正電圧V+に保持され、電極1411は、アース平面1420に対して負の電圧V−に保持される。印加電圧が逆の符号の電圧であるため、電極1410および1411によってアドレス指定されたピクセルは逆のカラーのピクセルである。例えば、電極1410によってアドレス指定されたピクセルが白で表示されるならば、電極1411でアドレス指定されたピクセルは黒で表示される。二色ボールがアドレス指定電極1410、1411とアース平面1420との空間にある(明確にするために、典型的なほんの少しだけを図14に示す)。
図(a)では、電極1410、1411とアース平面1420との距離hは比較的大きい。これは、フリンジ電界Fが発生できる比較的大きな容積を与える。これらは、その電界線がアース平面1420に伸びる代わりに電極1410から電極1411まで直接曲がる電界がある。二色ボール1401および1402は、好ましい方法で、電極1410の方へ直角に面するボール1401の白い半球体および電極1411の方へ直角に面するボール1402の黒い半球体に整列する。しかしながら、二色ボール1403および1404はフリンジ電界Fの経路の中で捕捉される。これらのボールは電極1410および1411に対してある角度で回転される。この結果、フリンジ電界Fの面積内で、ディスプレイは白黒の代わりにグレーを表示することになる。図(a)のフリンジ電界(要するにグレー面積)の幅wは、電極1410、1411とアース平面1420との距離hに匹敵する。
図(b)では、本発明の単層ディスプレイに関する限り、電極1410、1411とアース平面1420との距離h′は比較的小さい。これは、発生するフリンジ電界F′に比較的少ない量を与える。二色ボール1401および1402は、好ましい方法で、電極1410の方へ直角に面するボール1401の白い半球体および電極1411の方へ直角に面するボール1402の黒い半球体に整列する。フリンジ電界F′の量は十分少ないので、これらの電界の経路で捕らえられるボールはほとんどない。この結果は、図(a)にあるグレー中間の面積がほとんどない黒いピクセルと白いピクセルとの間に鋭く境界が画定される。図(b)のフリンジ電界(要するにグレー面積)の幅w′は電極1410と1411との分離距離Δに匹敵する。
独創的なジャイリコンディスプレイの製造
密に充填された単層ジャイリコンディスプレイは、ミッチェルト(R. Micheletto)、フクダ(H. Fukuda)およびオオツ(M. Ohtsu)著の「小さいラテックス粒子の二次元配列アレイの簡単な製造方法」(Langmuir、11巻、9号、1995年、3333〜3336頁)のような公知の技術によるボールの単層を形成し、ボールを含むエラストマーシートを作製し、誘電流体の印加によるエラストマーの膨張によって製造することができる。
エラストマーの作製は、エラストマーを硬化する方法を除いて、従来のジャイリコンディスプレイの製造について行うことができる。標準の硬化手順に関して、エラストマーは、誘電流体の印加により50%以上膨張し、ボールが回転する空洞は対応して大きくなる。しかしながら、本発明により密に充填された層を得るのに、空洞をかなり小さくする好ましい。これは、例えば、ダウコーニングのSYLGARD184エラストマーを使用し、90℃、15%硬化剤で硬化することにより得ることができる。公知のジャイリコンディスプレイのために一般に使用されるイソパールエル(ISOPAR L)誘電流体の印加で、エラストマーは約20%膨張する。さらに膨張を制御するために、イソパールエルの代わりに、他の誘電流体を用いることができる。例えば、上記エラストマー(90℃、15%硬化)の場合、50%イソパールエルと50%大豆油との誘電流体混合物により、約10%膨張が生じる。
大きなボールの密に充填された単層のすき間を埋める小さいボールを有するジャイリコンディスプレイを製造するために、下記の技術が用いられる。大きい(主となる)二色ボールの単層を前述のように作製する。単層は粘着性で、一部硬化したエラストマーの層上に置かれている。粘着性のエラストマー層は、その最上部面が小さい(すき間)ボールの中心が存在する平面と同じ平面であるかまたはそのわずか下にあるような深さのものである。例えば、ディスプレイ構造が図11の図(e)に示されるようなものならば、粘着性のエラストマー層は大きなボールの上方の約中間の深さまで上昇する。ディスプレイ構造が図11の図(a)に示されるようなものならば、粘着性層は大きなボールの最上部またはこのボールの真下に達する。この単層が一旦粘着性エラストマー上の正規の場所に置かれると、小さい(すき間)ボールは単層にわたって分散される。小さいボールは、大きなボール間のすき間によって露出したエラストマーにくっつく。エラストマーの深さにより、ギャップ当たり多くとも1つの小さいボールとすることができる。ギャップが全て、小さいボールによって埋まるのが好ましい。これは、ギャップを埋めるのに必要であるよりも多く小さいボールを分散させ、過剰の小さいボールがギャップに付着したボールの最上部上に積み重ねることことによって得ることができる。粘着性のエラストマーは、過剰に積み重ねられたボールに至るまで十分深くないので、過剰なボールは振り落とすことができ、粘着性のすき間のボールだけが残る。その後、さらにエラストマーを加えることができる一方、粘着性層は、粘着性があるのが好ましく、主となるボールおよびすき間ボールの最上部を覆うのに十分な深さまで組み立て全体の上に末硬化液体エラストマーを注ぐことによるようなものであるのが好ましい(すなわち、完全硬化前)。このように、エラストマー基板を、所望の厚さにまで形成することができる。
光整流器モデルについてのさらなる説明
ジャイリコンディスプレイは多数の小さい粒子を含んでいる。従来の常識によれば、白い状態では、これらの粒子は、ディスプレイから入射した光を拡散的に後方反射するべきである。この所望の結果は、白ペンキ、白い雲、あるいはミルクのような、通常の白紙および他の光学系における反射工程に同様である。換言すると、クベルカ−ムンク(Kubelka-Munk)理論のような標準反射理論がジャイリコンディスプレイに適用すべきであると従来は考えられていた。
したがって、本発明以前、ジャイリコンディスプレイの反射率を増加させる試みは、紙および他の従来の拡散反射系に基づいた技術を使用した。一枚の紙において、例えば、入射する光は小さい繊維の粒子によって散乱される。光のいくらかは最初に後方へ反射(すなわち、観察者のほうへ)されるが、大部分は前方あるいは側面に進む。最初に反射されない光は、他の粒子によって再び散乱され、結局は最上部面あるいは最下部面のいずれかに到着する。一枚の紙を完全に白にするために、全ての光は最後に最上部面に戻るべきである。従来、これは、紙の厚さを増すかあるいは紙における散乱粒子の密度を増加させる、例えば、酸化チタンを装填することによって得ることができる。
厚さを増し、粒子密度を増加させる技術は、従来技術のジャイリコンディスプレイで試みられた。この結果は期待はずれであった。特に、ジャイリコンディスプレイの白い面積の輝度を紙の代わりに必要なレベルまで増加させることはできなかった。
本発明をもたらす研究において、ジャイリコンディスプレイの予想未満の反射率におそらく寄与した様々な要因を理論上(コンピュータモデル化を含む)および実験的に研究した。特別に重要な要因は二色ボールの黒い半球体の吸収効果であることがわかった。すなわち、ボールの最上部層のすき間を通過し、下部層から反射される光は、ボールの最上部層の黒い底面によって主として吸収されることが分かった。同様の効果がジャイリコンディスプレイにおける全ての層で得られることが分かった。いかなる層においても、二色ボールの黒い底面が下部層から反射される光を吸収する。
研究中に撮影した厚いジャイリコンディスプレイの顕微鏡写真を図15に示す。これから分かるように、ジャイリコンディスプレイの最上部面に近接して置かれたボールだけが白く見える。深さが増すにつれて表面からわずかな距離にあるボールはますます暗く見える。(これは、紙あるいはミルクのような従来の拡散散乱システムで観察されたものと対比される。これらのシステムでは、この表面よりも下の粒子はなお白く見える。)ボールを加えて厚いジャイリコンディスプレイを形成しても反射率は著しく増加しない。というのは、加えたボールを視面から遠くに置くと、暗く見え、白よりもむしろグレーのように見えるからである。
この研究から、典型的なジャイリコンディスプレイでは、二色ボールは基板シートの厚さの全体にわたって分散されて、基板シートは常に2つのボール直径よりも厚く、通常多数の直径の厚さであることがわかった。一般に、シートの上部表面面積の20%未満がこの表面に最も接近している層の二色ボールに覆われている。これは、ボールの直径の約2倍のボール中心間の間隔に一致する。換言すると、一番上の層の隣接二色ボール間のギャップはかなり大きく、ボールの20%以下が、ボールがディスプレイ反射率に有効に寄与できる箇所に置かれている。
ジャイリコンディスプレイにおける、より正確な光作用の詳述を提供するために、光整流器モデルを発展させた。図3および図4を参照した前述のモデルは下記の反射率式(1)を生じる。
R=Kα (式1)
ここで、Rは反射率、特に積分球技術によって測定されるジャイリコンディスプレイの拡散反射率である。積分球測定技術は周知であり、例えば、ウェンドランデト(Wesley Wm. Wendlandt)およびヘクト(Harry G. Hecht)著の反射率分光学(インターサイエンス出版、1966年)の第10章に記載されている。拡散反射率(例えば、鏡面または全体の反射率とは異なる)は同じ文献の第3章に規定されている。高品質白紙の拡散反射率は一般的には85%であり、新聞印刷用紙の拡散反射率は一般的に60%である。創造的なジャイリコンディスプレイは、拡散反射率が多くとも15〜20%である従来技術のジャイリコンディスプレイとは対照的に、例えば30%、40%、60%またはそれどころか80〜85%の非常に向上した拡散反射率を生じることが期待できる。
さらに、式(1)では、面積カバレッジ比αは、全ての二色ボールが視面の方へその白い面を回転しているとき、ジャイリコンディスプレイの一番上の二色ボールの白い面の投影面積:ジャイリコンディスプレイの視面の全面積の比として規定される。一般に、αは、幾何学形状で決まり、全ジャイリコンディスプレイについて全体的であるか又はそのいかなる領域についての局部的であるか、のいずれかで計算することができる。
さらに、式(1)では、Kは、光整流器モデルによって予測された吸収損失以外の光損失の全ての発生源とみなす定数としてここでは取り扱われているパラメータである。このような光損失のその他の発生源として例えば、白いボールの半球体の散らばった暗影あるいは縞、ボール表面の凹凸又は他の表面欠陥、完全に回転できないボール、及びエラストマー又はその他の基板の屈折率とボールが回転する作動液体の屈折率との不一致等が挙げられる。式(1)は、光損失のこれらのその他の発生源全てを、光整流器損失とは無関係として扱うことができると仮定している。この仮定は、少なくとも1次近似として有効である。
αの典型的な計算は図16に概略的に示されている。ジャイリコンディスプレイ1600の選択部分を示す。ディスプレイの二色ボールは、その白い半球体を視面1605の方に回転している。一番上の二色ボール1607は表面1605に最も接近して置かれた二色ボールである。すなわち、ボール1607と二色ボールがボール1607によって反射された光を潜在的に吸収できる表面1605との間には他の二色ボールが全く存在しない。二色ボール1608は表面1605より下にあるので、一番上の二色ボール1607は二色ボール1608と表面1605との間にある。したがって、一番上の二色ボール1607の黒い半球体は、二色ボール1608から反射された光の大部分を吸収する。したがって、ボール1607がディスプレイ1601の輝度に著しく寄与する唯一のボールであるので、一番上の二色ボール1607の白い半球体の投影面積(a1、a2、a3、a4)だけが、面積カバレッジ比αに計算される。
引き続き図16を参照すると、αは、投影面積(a1、a2、a3、a4)の和をディスプレイの選択した部分に対する表面1605の面積であるAで割ることによって計算される。特に、二色ボール1607a、1607b、1607c、1607dはそれぞれ、直径δ1、δ2、δ3、δ4を有すると仮定するので、その合計の投影面積は、a1+a2+a3+a4=π(δ1 2+δ2 2+δ3 2+δ4 2)/4である。また、ボール1607cおよび1607dは、その表面1605の平面内の投影が△34である距離によって分離され、ボール1607aとボール1607bとの距離およびボール1607bとボール1607cとの距離も△34であると仮定する。したがって、面積Aは、幅2△34の平方の面積の約2倍、すなわち約8△34 2である。したがって、αは比π(δ1 2+δ2 2+δ3 2+δ4 2)/8△34 2であると計算される。他の二色ボール1608は投影面積1610に寄与しないので、αの計算にかかわりないことに注目せよ。
αは、一番上の二色ボールの各個別のボールの白い半球体のサイズおよび一番上の二色ボール間にある空の空間の量によって決まる。したがって、一般に、αに対する式はかなり複雑になる可能性がある。例えば、一番上の二色ボールがn個あり、かつi番目のボールが直径δ1を有し、i番目のボールとj番目のボールとの間隔が△ijであるならば、αはδおよび△ijの関数、すなわちα=α(δi、△iji=1,n:j=1,nおよびR=Kα(δi、△iji=1,n:j=1,nである。このRに対する式でさえ、ある種の組み込み簡略化仮定を有する。例えば、全ての一番上のボールは完全に球体であるので、直径δiは全て明確に述べられ、かつ全ての一番上のボールがジャイリコンディスプレイの表面から同じ距離にあるので、△ijはボールの深さの変化を明らかにするために補正する必要がない(後者の仮定の緩和法は式R=Kα(δi、△ij、cosθiji=1,n:j=1,nをもたらす(式中、θijは表面とボールiおよびjを接続するラインとの間に形成された角度である))。
ボールサイズおよび間隔がわずかに変化し、一番上のボールが視面から一定距離の平面層の中にあると仮定するならば、平均値δおよび△を個別値δiおよび△ijと置換できる。したがって、αは、ディスプレイの二色ボールの平均サイズおよび二色ボールの中心間の平均間隔の関数として示すことができ、下記の式(2)となる。
R=Kα(δ,△) (式2)
ここで、δは二色ボールの平均サイズである。例えば、δは回転楕円状ボールの最大値または平均値または半径であってもよい。△は視面の平面内に投影されたボールの中心間の平均距離量である。
固有間隔Dを有する均一に離隔された単層アレイにおける一定の直径がdである完全な球体ボールの場合、式(2)は下記の式(3)に変形される。
R=KXα0/(1+x2) (式3)
ここで、xは比(D−d)/dであり、dは各二色ボールの直径であり、Dは隣接ボール固有の中心間の間隔である。ボールが回転する空洞が一定の直径のものであり、隣接空洞の壁が互いに接触するように密に充填されているならば、Dは空洞の直径に等しいことに注目せよ。
さらに、式(3)において、α0は、アレイの特定の充填形状に対する理論上最大限に可能な面積カバレッジ比である。すなわち、α0は、互いに接触している隣接ボールの表面を有する選択した幾何学形状の理想的に密に充填された格子に配置された単層の球体ボールに対して得られた面積カバレッジ比であり、α0は、図18〜図20に関して後述するように幾何学的に計算することができる。最も効率的に平面を覆う充填形状である六方充填形状の場合、α0は、3の平方根の2倍で割られたπ、すなわちπ/(2・31/2)、すなわち約0.907と示すことができる。別の言い方をすれば、球体を平面に密に充填した六方アレイは、平面の全面積の約0.907倍である。したがって、二色ボールが理想的に密に充填した六角形の単層アレイおよび平面の視面の場合、視面に面するボール半球体の投影面積は視面の全面積の91%弱である。
図17は、式(3)の物理量Dおよびdの関係を示す。図17の一連の図は各々、視面1705の下の空洞1703にある二色ボール1701を含むジャイリコンディスプレイの一部を示す。ボール1701の直径はdであり、空洞1703の直径がCである。図(a)では、ボール1701の中心間の間隔DはCよりも大きく、空洞1703は、(D−C)の距離でお互いに分離されている。図(b)では、ボール1701の中心間の間隔D′はCに等しい。空洞1703は、図示したように互いに接触している。
図17は式(3)の重要な説明を明らかにしている。図17の図(b)のように空洞が接触するエラストマー基板の場合、D=Cおよびx=(C−d)/dであるので、x+1=C/d、即ち空洞直径とボール直径との比である。したがってこの場合、xは、誘電流体がエラストマーを膨張するために利用される場合に生じるわずかなエラストマーサイズ(線形寸法)の増加である膨張率と解釈できる。したがって、図17の図(b)に示される条件が成り立っているとき、式(3)を用いて、ディスプレイ反射率(また、ディスプレイ輝度)がエラストマー膨張度の変化によりどのように変化するのかを推測することができる。
式(3)によれば、ディスプレイ反射率Rは、x=(D−d)/dの値が増加するにつれて急速に低下し、中心間距離Dが増加する、すなわちボールの充填密度が減少するにつれて、xが増加する。特に、xが膨張比であるようなD=Cの場合、エラストマー膨張度が増加するにつれてxが増加する。(式(3)が一定の直径の二色ボールの均一の平面アレイであると仮定することに注目せよ。しかしながら、アレイ中のボイドまたは転位のような格子欠陥および非均一のボールサイズが有効にxを増加させることが理解される。)
表1は、さまざまな値のxおよびKに対して、式(3)から計算されるRの値をリストアップしている。六方充填形状を仮定している。
Figure 0004018149
表1から分かるように、反射率Rは、xが増加するにつれて急激に減少する。例えば、K=1であり(すなわち、光整流器損失以外の損失がない場合)、x=0.35である場合、入射光の半分以上が失われる。研究したジャイリコンディスプレイのいくつかに対する近似値として研究中実験的に決定されたより現実的な値K=0.7の場合、x=0.15の場合でさえ、入射光の半分以上が失われ、x=0.35である場合、入射光の殆ど2/3が失われる。K=0.5である低い品質のディスプレイであり、x=0.15の場合、入射光の殆ど2/3が失われ、x=0.35の場合、入射光の3/4以上が失われる。
xを最小にすると、反射率Rが最大になる。x=(D−d)/dをD/d=x+1と書き直すことによって、D/d、すなわち中心間間隔Dとボール直径dとの比が最小になると、xが最小になることが分かる。D/dに対する可能な最小値は、x=0であるとき得られ、D/d=1である。これは、中心間間隔Dがボール直径dに等しいので、ボール表面が互いに接触する本発明の理想的に密に充填された層に対応する。
簡単に要約すると、面積カバレッジ比α、及びよって反射率Rは、できるだけ互いに接近して単層(あるいは最上部層)の二色ボールを充填することによって本発明のジャイリコンディスプレイに関して、すなわち、六角形の密に充填された平面アレイで最大にされ、空洞直径Cはボール直径dに等しく、空洞は接触するのでD=Cである。この理想的な場合、x=0であり、単層の投影面積は視面の91%弱を覆う。さらに大きい面積カバレッジおよび反射率は、図11〜図13に関して前述したように、六方充填配置のすき間内部に小さいボールを置くことによって得ることができる。
図18〜図20は、いろいろな充填幾何学形状における一定直径の球体ボールの平面の単層について、面積カバレッジ比αおよび最大面積カバレッジ比α0の計算を示している。図18では、空洞1803にあるボール1801の六方アレイを平面図で示す。ボール1801は、直径dおよび(空洞1803は互いに接触するので、空洞直径に等しい)中心間間隔Dを有する。隣接ボールの中心は正三角形Eを形成する。面積カバレッジ比は、ボール1801の投影面積によって重ねられた三角形Eのこの部分の面積と全三角形Eの面積との比として計算される。ボール1801の各々に対する投影面積はπd2/4である。三角形Eの近傍の各ボールに対する重なりの領域の面積は、θ・d2/8であり、θはθ=π/3としてラジアンで示される。3つのボールは三角形Eの近傍にある。三角形Eは長さDの底辺を有する。したがって、α=3(πd2/24)÷(31/2/4)D2=πd2/(2・31/2)D2である。D=dであるときに得られた最大面積カバレッジ比α0は、π/(2・31/2)即ち約0.907である。
図19では、空洞1903のボール1901の矩形アレイを平面図で示す。ボール1901は、直径dおよび中心間間隔Dを有する。隣接ボールの中心は矩形Sを形成する。面積カバレッジ比は、ボール1901の投影面積によって重ねられた矩形Sのこの部分の面積と全矩形Sの面積との比として計算される。ボール1901の各々に対する投影面積はπd2/4である。矩形Sの近傍の各ボールに対する重なりの領域の面積は、θ・d2/8であり、θはθ=π/2としてラジアンで示される。4つのボールは矩形Sの近傍にある。矩形Sは長さDの底辺を有する。したがって、α=4(πd2/16)÷D2=πd2/4D2である。D=dであるときに得られた最大面積カバレッジ比α0は、π/4即ち約0.785である。
図20では、空洞2003のボール2001の偏菱形アレイを平面図で示す。ボール2001は、直径dおよび中心間間隔Dを有する。隣接ボールの中心は偏菱形Rを形成する。面積カバレッジ比は、ボール1901の投影面積によって重ねられた偏菱形Rのこの部分の面積と全偏菱形Rの面積との比として計算される。もう一度、計算を遂行すると、この結果はα=πd2/4D2であり、α0=π/4であり、矩形の充填幾何学形状の場合と同じ結果である。
空洞がない単層ジャイリコンディスプレイ
膨張したエラストマーで形成したジャイリコンディスプレイでは、各二色ボールは空洞内にある。前述のように、このようなディスプレイで二色ボールの最も接近する可能な充填を得るために、空洞は、できるだけ小さく、できるだけ互いに接近されていることが好ましい。
さらに高充填密度を得るために、ジャイリコンディスプレイは、エラストマーおよび空洞なしで構成することができる。このようなディスプレイでは、二色ボールは誘電流体中に直接置かれる。したがって、ボールおよび誘電流体は、2つの残り部材間(例えば、アドレス指定電極間)にサンドウィッチされる。エラストマー基板は全く存在しない。
図21は、無空洞ジャイリコンディスプレイの側面を示す。ディスプレイ2100では、一定の直径の二色ボール2101の単層は、マトリックスアドレス指定可能な電極2104a、2104b間の誘電流体2109中にある。好ましくは、ボール2101は、適切なボール回転と一致してできるだけ互いに接近して充填された単層内部の六方アレイで配置されている。ボール2101は、誘電流体2109の存在下で電気双極性であるので、電極2104a、2104bによって電界の印加で回転する。上部面2105に最も近接している電極2104aは透明であるのが好ましい。Iにいる観察者は、ディスプレイ2100の上部面2105にその白黒半球体をさらすように回転するボール2101の白黒パターンによって形成した画像を見る。
電極2104a、2104bは、ボール2101をアドレス指定すること、並びにボール2101および流体2109を正しい場所に保持することの双方に役立つ。電極2104a、2104bの間隔を、適切なボール回転と矛盾せずに、ボール2101の直径にできるだけ近づけるのが好ましい。ボール2101および流体2109は、例えばディスプレイのどちらかの端部をシールすること(図示せず)によってディスプレイ2100を密封することができる。
ディスプレイ2100の二色ボール2101の充填密度は、式(3)でx=0である理想的な場合に厳密に近い。したがって、ディスプレイ2100は最大反射率および最大輝度を提供する。
電極2104a、2104bの間隔を接近させるとともに単層のボール2101を密に充填することにより、ボール2101を単層のそれぞれの位置に落ち着かせないように、移動しないように、またはその他にはこの位置から逃げないようにする。すき間(図示せず)は、例えば、図11の図(c)および(d)に示した配置およびすき間ボール直径を使用することによってディスプレイ2100に含められる。小さいボールは、上部電極2104aによって上から、かつ大きいボール2101によって下から正しい場所に保持される。
結論
ジャイリコンディスプレイは独特な光学的特性を有する。拡散散乱アレイの反射率を増加するのに用いた従来の方式は、ジャイリコンディスプレイに対して十分機能していない。ジャイリコンディスプレイの視面よりも十分下にある二色ボールが視面に最も近い二色のボールが寄与するのと同じように全ディスプレイ輝度に寄与する従来の光学的モデルは、ジャイリコンディスプレイ光学を正確に示していない。光整流器モデルがより良い説明をもたらす。
本発明は、二色ボールの密に充填された単層に基づいた新しいジャイリコンディスプレイを提供する。新しいディスプレイの設計は、ディスプレイから反射した光が密に充填された単層のボールの上部半球体からほとんど完全に反射される点で光整流器モデルが考慮される。独創的なディスプレイは、従来のジャイリコンディスプレイと比べて優れた反射率および輝度特性をもたらし、よって、優れたコントラスト特性をももたらす。さらに、単層構造であるため、新しいディスプレイは従来のジャイリコンディスプレイよりも低い電圧を必要とし、電界フリンジ効果が最少限になるので、優れた解像度をもたらすことができる。本発明の新しいジャイリコンディスプレイは、電気紙の要望を実現させることに大いなる助けとなることが希望される。
前述の特定の態様は本発明を実施する可能性のうち単にいくつかを示しただけである。その他多くの態様は本発明の精神内で可能である。例えば、以下のものである。
・ジャイリコンボールの電気異方性はゼータ電位に基づく必要がない。ボールに関して電気双極子モーメントがあり、双極子モーメントが印加外部電界にある場合、ボールを有用に回転し易くするようにボールを整列させることで十分である。(一般的には、双極子モーメントはボールの対称軸に沿って配向する。)さらに、ジャイリコンボールは、例えば、双極子モーメントが異なる大きさの2つの正電荷の距離から生じるように、その電気双極子モーメントの他に電気単極子モーメントを有することができ、得られる電荷分布は電気双極子に重ねられた正の電気的単極子に等しいことに注目すべきである。
・ジャイリコンディスプレイの光学的異方性は白黒に基づく必要がない。例えば、2つの異なるカラー、例えば、赤および青の半球体を有する二色ボールを使用することができる。他の例として、一方の半球体が黒であり、他方の半球体が鏡で映されたボールはいくつかの用途に用いられる。一般に、ジャイリコンボールの異なる面が観察者に向けられるとき、スペクトルの1つ以上の領域の光散乱および光反射(に限定されないが)を含むいろいろな光学的特性は、変わることができる。したがって、ジャイリコンボールは広範囲の方法で光を変調するのに用いられる。
・ジャイリコンディスプレイに当たる入射光は可視光に制限される必要がない。ジャイリコンボールに適当な材料を与えると、入射“光”は、例えば、赤外光または紫外光であってもよく、このような光はジャイリコンディスプレイで変調できる。
・いくつかの場合、前述の説明は二色ボールの平面単層について言及している。しかしながら、当業者は、可撓性材料で作られたジャイリコンディスプレイ(またはこのようなディスプレイで使用する二色ボールシート)が、厳密に全体が平面にならないように一時的あるいは永久的に変形(例えば、曲げ、折り曲げ、回転)させ得ることが分かる。このような場合、単層の平面を、例えば、関心のあるジャイリコンボールを含む局部的な平面の近傍にすることができる。また、実際は、単層を、例えば特定のジャイリコンシートの製造許容範囲またはわずかな欠陥のために、記載されたものから幾分変えることができることがさらに理解される。
・独創的なディスプレイは、発明の名称が「ツイスティングシリンダディスプレイ」である同時係属中の共に譲渡された出願08/716,672号に開示したように、通常の球体要素の変わりに円筒状要素(例えば、二色のボールの代わりに二色のシリンダ)を使用して形成することができる。
したがって、本発明の範囲は前述の明細書に限定されない。その代わり、その全範囲の均等物とともに添付の請求の範囲によって、本発明の範囲は示される。

Claims (3)

  1. 光透過性視面を有する部材と、
    視面を観察するのに好適な位置にいる観察者に対して視面の後部に配置された作動流体と、
    前記作動流体に直接接触し前記作動流体内で回転可能に配置された複数の第1の光学異方性粒子および複数の第2の光学異方性粒子と、を有する装置であって、
    観察者に対して視面の後部に前記第1の粒子が置かれ、前記第1の粒子の少なくともいくつかは視面を通して観察者が見ることができるようになっており、
    前記第1の粒子は密に充填された安定配置で単層に配置され、前記安定配置を維持するよう隣接粒子は互いに保持し合い、
    前記作動流体と前記第1の粒子とは直接接触するにもかかわらず、前記作動流体が前記第1の粒子を安定配置のままであるように実質的に制約せず、
    前記第2の粒子は、前記第1の粒子よりも小さくかつ前記第1の粒子間のすき間を埋めている装置。
  2. 粒子を定位置に保持するエラストマー基板又はその他のマトリックスを全く有さず形成されるツイスティング粒子ディスプレイ装置であって、
    間にある容積を有するように配置された第1および第2の非交差表面を備えるハウジング構造であって、当該表面の少なくとも1つが光透過性であるハウジング構造と、
    ハウジング構造の2つの表面間の容積中に配置された複数の第1の光学異方性粒子および複数の第2の光学異方性粒子と、を有し、
    前記第1の粒子が、その場で自由に回転できるが、密に充填された安定配置を乱すようには実質的に自由に転換できないよう、前記安定配置において回転可能に単層に配置され、2つの表面からの支持および粒子どうしの相互支持によって前記安定配置を維持するように前記粒子が互いに保持し
    前記第2の粒子は、前記第1の粒子よりも小さくかつ前記第1の粒子間のすき間を埋めているツイスティング粒子ディスプレイ装置。
  3. 個々の粒子を内に包含する空洞を有さないツイスティング粒子ディスプレイ装置であって、
    光透過性視面を有する部材と、
    視面を観察するのに好適な位置にいる観察者に対して視面の後部の密に充填された層に回転可能に配置された複数の第1の光学異方性粒子であって、前記粒子の少なくともいくつかは視面を通して観察者が見ることができる複数の第1の光学異方性粒子と、
    前記第1の粒子よりも小さくかつ前記第1の粒子間のすき間を埋めている複数の第2の光学異方性粒子と、
    前記視面の後部の層中の定位置に前記粒子を保持する構造であって、粒子の層の完全に外側に配置され、かつ層中の粒子間にいかなる空間も占めない構造と、を有するツイスティングディスプレイ装置。
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