JP3878216B2 - セグメント化された多色ボールが組み込まれているツイスティングボールディスプレイ - Google Patents

セグメント化された多色ボールが組み込まれているツイスティングボールディスプレイ Download PDF

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Description

以下の米国特許は全て本明細書中に参考として組み込まれる。米国特許第4,126,854号(シュリドン、“ツイスティングボールパネルディスプレイ”);米国特許第4,143,103号(シュリドン、“ツイスティングボールパネルディスプレイの製造方法”);米国特許第5,075,186号(シュリドン、“印刷用の画像接着層”);米国特許第5,262,098号(クローリー(Crowley)ら、“ツイスティングボールディスプレイのための多色ボールを製造するための方法及び装置”);米国特許第5,344,594号(シュリドン、“ツイスティングボールディスプレイのための多色ボールの製造方法”);及び、米国特許第5,389,945号(シュリドン、“紙のようなデジタル的にアドレスされる媒体及びその媒体のためのアドレス装置を含む書き込みシステム)。
本発明は、アドレス可能で再利用可能な紙のようなビジュアルディスプレイ、ジャイリコン又はツイスティングボールディスプレイ、及び電気ペーパーに関する。
電気ペーパーは、紙の望ましい特質をリアルタイムディスプレイ媒体の望ましい特質と組み合わせて、これらの異なる2つのものそれぞれの長所を提供するものを作り出すことを意図する。普通紙のように、電気ペーパーは好ましくは書込み及び書き込んだものの削除をすることができ、環境光(ambient light)で読むことが可能であり、及び電界又は他の外部の保存力がなくともインポーズされた(imposed)情報を保存することができる。また、普通紙と同じように、電気ペーパーは好ましくは、折り曲げたり又はあらゆる軸の周りにチューブ状に巻いてシャツ又はコートのポケットに便利にしまうことができ、あとで取り出して再びまっすぐに伸ばして実質的に情報が消えることなく読むことができる、軽量でフレキシブルな耐久シートとして製造されることができる。しかも、普通紙と違い、電気ペーパーは静止画像及びテキストと同様に好ましくはフル動作及び他のリアルタイム映像をディスプレイするために使用することができる。従って、電気ペーパーは、コンピュータシステムのディスプレイ画面又はテレビで使用するために適応させことができる。
ジャイリコン(ツイスティングボールディスプレイ、回転ボールディスプレイ、粒子ディスプレイ、双極性(二極性)粒子光バルブ等とも呼ばれる)は、電気ペーパーのフォームを形成するための技術を提供する。つまり、ジャイリコンは多数の光学的異方性ボールからなるアドレス可能ディスプレイであり、それぞれのボールは観察者に対して所望の面を見せるように選択的に回転させることができる。例えば、ジャイリコンには複数のボールが組み込まれており、各ボールは1つは黒でもう1つは白である2つの別々の半球体を有し、各半球体はこれらのボールが電気的に及び光学的に異方性となるように異なる電気的特性を有する(例えば誘電性流体に関してζ周数)。複数の白黒のボールは、エラストマー層等の光学的に透明な材料でできたシートに埋め込まれる。このシートは多数の回転楕円体キャビティを含み、可塑剤等の透明な誘電性流体が充填されている。シートの中でボールが移動しないようにするために、流体が充填されたキャビティは1つのキャビティにつき1つのボールを収容する。そのシートの表面を見ている観察者に黒か白の半球体のどちらかを見せるために、例えば電界を与えることによって、そのボールの流体を入れたそれぞれのキャビティの中で1つ1つのボールを選択的に回転させることができる。従って、2次元でアドレス可能な電界を加えることにより(マトリックスアドレス方法によるように)、ディスプレイされた画像の画像要素(例えばピクセル又はサブピクセル)としてボールの黒側又は白側を見せることができる。
CRT、LCD、又は他の従来のディスプレイ媒体には見られない、フレキシビリティ、及び電力がなくてもディスプレイされた画像を安定して保存する等の、紙の望ましい特質の多くを有するジャイリコンディスプレイを作製することができる。また、紙のようでない、例えばフラットパネルディスプレイ用の固定式ディスプレイ画面としてジャイリコンディスプレイを作製することもできる。ジャイリコンについては参考として組み込まれた先述の米国特許に更に詳しく記載されている。
典型的には、既知のジャイリコンディスプレイは、片方の半球体が黒でもう片方が半球体が白である複数の二色ボールからなる。他の種類のボールも知られている。例えば、米国特許第4,261,653号(グッドリッチ(Goodrich))は複数層のボールを開示しているが、このボールは少なくとも一部がガラスからできており、その使用は高周波数の電界を含むアドレシング方法に依存する。
ジャイリコンは電気ペーパーの目標に向かう重要なステップを提供するが、それには長い道程がある。例えば、複数の白黒のボールから構成されるジャイリコンは、多色画像を提供することができない。他の例として、環境反射光でオペレートするように設計されたジャイリコンは、投影又は透過ディスプレイを提供することができない。
本発明は、紙のような利点を保持したまま、よりフルレンジのディスプレイ能力を提供することができる、進歩してジャイリコン技術を提供する。本発明は、図面及び以下の説明を参照にしてより良く理解される。図面の中では、同じ番号は同じ構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来技術の2色のジャイリコンボールを製造するための技術を表わす。
図2A〜図2Bは、不均等な液体フロー速度を用いて得られる2色ジャイリコンボールを表わす。
図2C〜図2Dは、着色されたプラスティック液体が不均等なフロー速度で提供される、ディスクのエッジのクローズアップ断面図である。
図3A〜図3Dは、多色ジャイリコンボールを製造するためのマルチディスクアセンブリを表わす。
図4A〜図4Bは、多セグメントのハイライトカラージャイリコンボールの側面図及び平面図をそれぞれ表わす。
図5は、ハイライトカラージャイリコンディスプレイの1つの例を表わす。
図6Aは、ハイライトカラージャイリコンディスプレイの一部の拡大断面図を表わす。
図6Bは、ハイライトカラージャイリコンディスプレイにおける消去フィールドを生成するために使用される電極アセンブリを表わす。
図6Cは、図6Bの電極アセンブリの矩形領域部分をクローヴアップした図である。
図6Dは、図6Bの電極アセンブリの端面図である。
図6Eは、ハイライトカラージャイリコンディスプレイのための消去フィールドを生成するのに適したバスバーヘッダを表わす。
図6F〜図6Gは、ハイライトカラージャイリコンディスプレイのためのイレーサ(消去装置)を表わす。
図6Hは、凹んだ消去電力電極を有するジャイリコンディスプレイ、及びこれと使用するように適応された書込みスタイラスを表わす。
図6Iは、消去電極及び書込み電極が組込まれたハイライトカラージャイリコンディスプレイの1つの例を表わす。
図7Aは、オーバーレイ透明ジャイリコン又はジャイリコンベースの建築用スクリーンを構成するために適したジャイリコンボールを表わす。
図7Bは、オーバーレイ透明ジャイリコンの使用を表わす。
図7C〜図7Dは、投影モードで光透過ジャイリコンがどのように使用されるかを表わす。
図7Eは、建築用スクリーンにおけるジャイリコンの適用を表わす。
図8A〜図8Cは、ジャイリコンに傾斜電界(フィールド)を提供する電極構成を表わす。
図8D〜図8Eは、ジャイリコンボールに対する傾斜電界の影響の例を表わす。
図8Fは、図8A〜図8Cの傾斜電界構成に代わる電極構成を表わす。
図9A〜図9Cは、擬似4色ジャイリコンのための7セグメントボールの異なる図である。
図9Dは、裏打ち部材からなる層を有する擬似4色ジャイリコンを表わす。
図10Aは、透明な外部セグメントによって片側が囲まれた、着色された内部セグメントからなる3セグメントジャイリコンボールを表わす。
図10Bは、フルカラーRGB(レッド−グリーン−ブルー)ジャイリコンのためのエラストマーシートを表わす。
図10Cは、フルカラーRGBジャイリコンのためのサブピクセルの配置を表わす。
図11Aは、フルカラーCMY(シアン−マゼンタ−イエロー)多層ジャイリコンのためのエラストマーシートを表わす。
図11Bは、図11Aのシートの中のピクセルを表わす。
図11Cは、CMY多層ジャイリコンのためのエラストマーシートの断面図を表わす。
図11Dは、図11Cのシートの中のピクセルの分解図を表わす。
図11Eは、1つの層につき別々のアドレシングハードウェアを有するCMYジャイリコンの分解図を表わす。
図11Fは、全ての層に対して単一セットのアドレシングソフトウェアを有するCMYジャイリコンを表わす。
図11Gは、ジャイリコンシートに関してアドレシングハードウェアの位置が変化する一連の図である。
図11Hは、CMYジャイリコンの中にボールを詰めたところを表わす。
図11J(図11Iは無いことに注意されたい)は、フルカラーCMYK(シアン−マゼンタ−イエロー−ブラック)多層ジャイリコンを表わす。
図12Aは、環境カラーRGBディスプレイで使用するための3セグメントの2状態(bistate)光バルブジャイリコンボールを表わす。
図12B〜図12Dは、下色ドットを見せたり隠したりするために使用されるときの2状態光バルブジャイリコンボールの図である。
図12Eは、環境カラーRGBディスプレイで使用するための4セグメント3状態(tristate)光バルブジャイリコンボールを表わす。
図12Fは、環境カラーRGBジャイリコンの分解図である。
図12G〜図12Hは、下色ドットを部分的に隠す3状態光バルブジャイリコンの図である。
図12Iは、2状態及び3状態光バルブジャイリコンで使用するための更なる照明モードを表わす。
図12Jは、3状態光バルブジャイリコンの他の2層形態を表わす。
図13は、一般化された3状態光バルブカラーディスプレイにおける光の変調を図示している。
図14Aは、マルチスレショルドジャイリコンにおける異なるサイズ及びスレショルドのジャイリコンボールを表わす一連の図である。
図14B〜図14Dは、異なるマルチスレショルドジャイリコンのための電圧レスポンスグラフである。
図14Eは、多層傾斜電界ジャイリコンにおけるアドレシングの連続的な段階を表わす連続図である。
図14Fは、マルチスレショルド単一層ジャイリコンで使用可能なカラー彩度を表わす連続図である。
図14Gは、各置の中のマルチスレショルドカラー彩度調節を有する多層ジャイリコンにおけるアドレシングの連続的段階を表わす連続図である。
図15Aは、ジャイリコンボールを配置するための非融着(非フュージング)ゼログラフィック装置を表わす。
図15Bは、図15Aの装置で使用するためのトナー及びビーズ粉末混合物を大きく示した図である。
図15Cは、ジャイリコンボールが配置された部分硬化エラストマーの上にディスペンスされた液体エラストマーを表わす。
図15Dは、ジャイリコンボール配置のためのシルクスクリーン装置を表わす。
多層多色ジャイリコン構造
本発明は、ジャイリコン(gyricon)ディスプレイの新しい可能性の利点を提供するために、新しい方法で及び傾斜電界(canted fields)のような他の新しい技術に関連して多色ジャイリコンボールを使用する。
図1は、装置1を使用して従来技術において二色ボールを製造する技術を例示する。着色(pigmented)プラスチック液21、22は、シャフト15を中心に均一に回転するスピニングディスク10の両側11、12に提供される。遠心力によって液体21、22がディスク10の周縁部に向かって流れ、エッジで合わせられて二色リガメント30を形成し、これが最終的に二色ボール40として分割する。液体21、22が等速でディスク10のエッジに流れると、この技術は着色した半球体を有する二色ボールを形成する。
図2A−2Bは、図1のスピニングディスク技術における着色液の流速が等しくない場合に得られるボールを例示する。図2Aにおいて、ボール240は平面の境界面243で接合するセグメント241、242を有し、図2Bでは、ボール260は平面の境界面263で接合するセグメント261、262を有する。したがって、図2A及び2Bでは、ボールは、平面の境界面を有する、着色材料からなる不均等な半球体セグメントからなる。この平面の境界面は以下に示すように重要である。図2C−2Dは、スピニングディスクのエッジでリガメントがどのようにして図2A−2Bのボールを形成するかを例示する。図2C−2Dは、着色プラスチック液が不均等な速度で供給されるスピニングディスク210のエッジの拡大断面図を示す。図2Cでは、黒色液221は白色液222よりも遅い流速で供給される。リガメント230は幅の広いセグメント231及び平面の境界面231によって分離される狭い黒色セグメント232を含む。分割の際、リガメント230は図2Aに示されるボール240のようなボールを形成する。図2Dでは、黒色液221は白色液222よりも早い流速で供給される。リガメント250は狭い白色セグメント251及び平面の境界面253によって分離される幅の広い黒色セグメント252を含む。分割の際、リガメント250が図2Bに示されるボール260のようなボールを形成する。平面の境界面は、以下に示すように、重要である。
図2A−2Bの不均等に分割されているボールは、スピニングディスクによって形成される円形リガメント及びこれらのリガメントから形成されるボールがスラブから形成されるように作用し、このスラブの幅は着色液の送り速度に依存することを示す。
スピニングディスク技術を改造することにより、多色ボールを製造するために使用され得る。この改造は、単一のスピニングディスクの代わりにスピニングマルチディスクアセンブリを使用することである。例が図3Aに例示される。アセンブリ300は、シャフト315を中心に均一に回転する三つのディスク310、311、312を有する。凹形、又は”皿形”の外側ディスク310、312は、周縁部で、平坦な内側ディスク311に向かってカーブ又は傾斜している。他の形状も可能であり、特定の実施の形態のための正確な形状は、例えば、当業者に理解されるような流動力学的モデリング(hydrodynamic modeling)によって決定され得る。
図3Aの三枚ディスクアセンブリは、以下に述べるような幾つかの有用な特性を有する多色ボールを製造するために使用され得る。しかし、種々の枚数のディスクを有する他のアセンブリも本発明で使用されることができ、ディスクの数及び構造は、製造されるボールの種類によって変化する。
異なる着色プラスチック液が図3Aの三枚のディスク310、311、312のそれぞれの各側に供給される場合、ディスクのエッジの着色液のフローパターンは、多色ボールに分割される多色リガメントになる。図3Bは、図3Aの三枚ディスクアセンブリのエッジの着色プラスチック液の流れの例の拡大断面図である。第1液321及び第2液322はディスク310の両側を流れ、この下方に傾斜したエッジが図面に示される。第3液323及び第4液324はディスク311の両側を流れ、第5液325及び第6液326はディスク312の両側を流れる。合流した流れがリガメント330となり、このリガメントが図3C(側面図)及び図3D(平面図)に例示されるボール340のような多色ボールに分割される。
ボール340は該ボールを形成するために使用されるプラスチック液の六つの流れに対応する六つのセグメントを有する。セグメント341及び342は平面の境界面343で接合し、セグメント344及び345は平面に境界面346で接合し、セグメント347及び348は平面の境界面349で接合する。異なる顔料が種々のプラスチック液321、322、323、324、325、326において使用された場合、ボール340は多色となる。一般に、図3Aに示すような三枚ディスクアセンブリは六つまでの異なる色からなる六つのセグメントを有するジャイリコンボールを形成することができる。
より一般には、N枚のディスクのマルチディスクアセンブリが任意の色の組み合わせの2N個までのセグメントを有するジャイリコンボールを形成するために使用されることができる。黒、白又は他の色の顔料又は染料が、単独で又は組み合わされて使用されることができるため、セグメントは実質的に任意の所望の色又は色合い(shade)となり得る。セグメントは、非着色、非染色プラスチック液を使用することによって透明になり得る。セグメントを形成するために使用される種々のプラスチック液の流速を調節することによって異なる幅を形成するように種々のセグメントを形成することができる。図2A−2Dを参照して先に例示した技術によれば、より速い流速はより幅の広いセグメントに対応し、より遅い速度はより狭いセグメントに対応する。二つ以上の隣接するセグメントが同じ色を持つように形成することもできるので、これらのセグメントを単一のより幅の広いセグメントを形成するように有効的に統合することができる。
例示のために、任意の所与のジャイリコンボールセグメントは、黒、白、透明(即ち、実質的に透明であり水又は普通の窓ガラスのようにクロマ(chroma)がない)、透明色(例えば、幾つかの付加色適用のための透明赤、透明青又は透明緑や、幾つかの減色適用のための透明シアン、マゼンタ又はイエロー)、任意の色相、彩色及び輝度の不透明色、不透明か透明のグレーの色合い、等である。分かりやすいように、”無彩色”は、以下において、実質的にクロマのない色、即ち、黒、白、グレー及び透明についていい、”彩色”とは、以下において、赤、オレンジ、黄色、緑、青、インディゴ、紫、シアン、マゼンタ、ピンク、茶色、ベージュ等ついていうことにする。
ハイライトカラージャイリコン
図4A−4Bは、五つのセグメント441、442、443、444、445を有するジャイリコンボール440を例示する。図4Aはボール440の側面図を示し、図4Bは平面図を示す。図4Aに示されるように、中央セグメント443は他のセグメントに比べて非常に幅が広く、セグメント442及び444は非常に狭い。幅の広いセグメント443は、同一の顔料(図示せず)からなる二つの隣接するセグメントを使用することによって形成され得る。狭いセグメント442及び444は、着色プラスチック液の低流速にして形成される。
セグメント441及び445が透明であり、例えばセグメント441と445がシート材やボール440の周りの誘電流体が有する屈折率と非常に近い屈折率を有する透明プラスチック液体からなる場合、セグメント442は黒のような暗い色で形成され、セグメント444は赤又は青のようなコントラスト色で形成され、幅の広い中央セグメント443は白で形成された場合、ジャイリコンボールはハイライトカラーに適する。ハイライトカラーディスプレイは、典型的には、白黒ディスプレイに他の色、例えば赤、青、黄色、緑又はテキスト又は他の物の注意を引くためにディスプレイの選択した以上の部分に適用される、特定の用途のために選択された”カスタムカラー”(例えば、会社のロゴに使用される特定の色)を追加したものである。ハイライトカラーは他の状況、例えば、幾つかのレーザプリンタ及びコピー機において公知であるが、ジャイリコンディスプレイにおけるハイライトカラーは本発明において新規である。
図4A−4Bのボールは、ハイライトカラージャイリコンディスプレイを構成するために使用される。例えば、ボールは、誘電流体が浸透したエラストマー又は他の基体材料のシートに均一に分散される。各ボールはシート内の液体充填キャビティにある。ディスプレイのピクセル当たりに一つ以上のボールが使用されるが、説明を簡単にするために、ピクセル当たり一つのボールと仮定する。ボールの黒面が観察者に向かうとブラックピクセルを提供し、赤又は他のハイライトカラー面が観察者に向かうとハイライトカラーピクセルとなる。ボールはこれら二つの位置を90°回転してホワイトピクセルを提供する(ボールがホワイトピクセルを提供するように回転すると、黒及びハイライトカラーセグメントのエッジも白の中央セグメントと共に観察されるが、黒及びハイライトカラーエッジが十分に薄ければピクセルの全体的な白の見かけに殆ど影響を与えない)。
図5はハイライトカラージャイリコンディスプレイの例を例示する。ハイライトカラージャイリコンディスプレイ500の一部が拡大図で示され、ボール540、550、560が詳細に示される。ボール540は五つのセグメント541(透明)、542(ハイライトカラー)、543(白)、544(黒)545(透明)を有し、矢印aの方向に向かっている。ボール550は五つのセグメント511(透明)、552(ハイライトカラー)、553(白)、554(黒)555(透明)を有し、矢印bの方向に向かっている。ボール560は五つのセグメント561(透明)、562(ハイライトカラー)、563(白)、564(黒)565(透明)を有し、矢印cの方向に向かっている。観察者Iは、ボール540をハイライトカラーピクセルとして見て、ボール550をブラックピクセルとして見て、ボール560をホワイトピクセルとして見る。
ハイライトカラージャイリコンディスプレイ500に使用されるボールは、異なるゼータ電位のセグメントによって形成されるため、ボールは、適切な電界を印加することによって三つの可能な方向のうちのいずれかに向く。例えば、ハイライトカラーセグメントに接触する透明セグメントは、ジャイリコンの作動流体(即ち、ボールが埋め込まれる光学的に透明なシートに浸透している誘電流体)に接触する最も高い正のゼータ電位を有するように形成され、ブラックセグメントに接触する透明セグメントは最も高い負のゼータ電位を有するように形成される。この方式によると、図5のボール540は、ボール540のセグメント中で最も高い正のゼータ電位を有する透明セグメント541及びボール540のセグメント中で最も高い負のゼータ電位を有する透明セグメント545で形成される。同様に、ボール550は、最も高い正のゼータ電位を有する透明セグメント551及び最も高い負のゼータ電位を有する透明セグメント555で形成され、ボール560は最も高い正のゼータ電位を有する透明セグメント561及び最も高い負のゼータ電位を有する透明セグメント565で形成される。
ジャイリコンボールのセグメントは異なるゼータ電位で形成されるため、ボールは電気的に異方性である。適切な電界をボールの付近に印加すると、ボールは回転を始め、ボールの回転方向及び最終的な方向はその電気的異方性によって決定される。ボールは印加した電界を除去した後もその方向のままである。
異なるプラスチック材料は異なるゼータ電位を有する。ハイライトカラージャイリコンボールの二つの透明部分(例えば、ボール540のセグメント541及び545)は二つの異なるゼータ電位を有する二つの異なるプラスチックから形成される。ボール及びボールの種々のセグメントのゼータ電位特性は、材料の入念な選択及び非透明セグメントの着色剤の選択によって形成される。
ジャイリコンボールセグメントを形成するのに適したプラスチック材料の幾つかの例として、ポリエチレン、ポリエステル、カルナウバワックス(carnuba wax)及びカスターワックス(castor wax)が挙げられる(ワックスは重合した炭化水素ではないが、これらは厳密にいうと、ポリマー材料である)。他の材料、例えばエポキシも適切である。同じ又は類似の材料が透明及び非透明ボールセグメントの両方に使用されることができ、非透明セグメントの場合は適切な着色剤が添加される。透明なセグメントの場合、材料は、その屈折率がエラストマーシートを膨張させるために使用される可塑剤の屈折率にマッチするように選択されるのが好ましい。
図5のボール550及び540のように、黒又はハイライトカラーが観察者(observer)に面するように各ハイライトカラーボールを向けるために、適切な電界がボールが埋め込まれるシートの平面に垂直に印加される。図5のボール560のように、黒及びハイライトカラーセグメントが観察者に垂直になり白の中央セグメントが表示されるようにハイライトカラーボールを向けるために、電界をボールが埋め込まれるシートに平行に、又はシートの平面に印加する。アドレスされる各ボールの近隣に電界を選択的に印加するために、(例えば、コンピュータ又はデジタルビデオによって制御される)マトリックスアドレス方式が使用される。
ボールをアドレスするために電気的スタイラス(stylus)を使用することができ、これによって人間のユーザがジャイリコンに直接書き込むことが可能となる。例えば、平行電界が最初にシート全体に印加され、ボールの白色中央セグメントがユーザに示されるように全てのボールを配向させる。これによって電気ペーパーを有効に消去し、ユーザに書き込むためのブランクシートを提供する。その後、ユーザは正の電位を有するスタイラスを用い、これをシートの表面にわたって移動させるとスタイラス先端付近のボールが再配向し、黒面がユーザに示されるようになる。ユーザは負の電位を有するスタイラスを用いることができ、これをシートの表面にわたって移動させるとスタイラス先端付近のボールが再配向し、ハイライトカラー面がユーザに示されるようになる。ユーザは、シートが後で再使用できるように平行電界を印加することによってシートを消去することができる。
一般に、ジャイリコンディスプレイは種々のサイズ及び形状で形成され、ジャイリコンボール、エラストマーシート及び可塑剤流体のための種々の材料を使用する。図5のハイライトカラーディスプレイは、これに関する例である。例えば、図5のハイライトカラーディスプレイは、普通紙のサイズで形成され、例えば、8.5×11インチ、厚さ20ミリ(インチの1000分の1)のシルガード184(SYLGARD 184)のシート、イソパール L(ISOPAR L)可塑剤、及び直径100ミクロン、中央セグメント50ミクロンのハイライトカラーボールを使用し、各ボールの上部セグメントはカルナバワックスから形成され、下部セグメントはカストルワックスから形成され、カスターワックスから形成された三つの内側セグメントはカーボンブラック、二酸化チタン、着色染料又は顔料で着色され、内側セグメントの黒、白、及びハイライトカラーを提供する。
多くの種々の染料及び顔料はジャイリコンボール又はジャイリコンボールのセグメントに有彩色又は無彩色を提供する着色剤として使用でき、用途及びボールの構成に使用される材料に応じて使用できる。例えば、ボールがワックス材料から形成される場合、使用され得る幾つかの染料として、ベーカーケミカル社(BAKER CHEMICAL)のクレシルバイオレットブルー(Cresyl violet blue)、ベーカーケミカル社のロダミン6G(Rhodamine 6G)、デュポン社(DUPONT)のロダミンBI、デュポン社のスピリットブルーNS(Spirit Blue NS)、デュポン社のビクトリアブルーB(Victoria Blue B)塩基、アライドケミカル社(ALLIED CHEMICAL)のイオゾルブルー(Iosol Blue)、イーストマン社(EASTMAN)のアクリジンオレンジ(Acridine orange)、カルコオイル社(CALCO OIL)のブルーN、及びカルコオイル社の黒が挙げられ、使用され得る幾つかの顔料として、デュポン社のR900 二酸化チタン、フェロ社(FERRO)の6331にブラック顔料、カボットモーグル社(CABOT MOGUL)のLカーボンブラック及びカボットモナーキ社(CABOT MONARCH)の1000カーボンブラックが挙げられる。
図6A−6Gは、ハイライトカラージャイリコンディスプレイを消去するのに適した平行電界を提供することができる電極構造の例を例示する。図6Aは、ハイライトカラージャイリコンディスプレイ600の一部の拡大断面図を示す。電極アセンブリ620、630は、ボール611が埋め込まれるエラストマーシート610の両側に配置される。観察者Iに最も近い上部電極アセンブリ620は、非常に高い抵抗率を有する光学的に透明な導体から形成される。観察者Iから見てシート610の反対側にある下部電極アセンブリ630も非常に高い抵抗率を有する。上部及び下部電極アセンブリ620、630はそれぞれ矩形領域に分割され、上部電極アセンブリ620は領域621を含み、下部電極アセンブリ630は領域631を含む。矩形領域は低抵抗率の複数のバスバー(bus bar)によって分離され、バスバー622は上部電極アセンブリ620の領域621を分離し、バスバー632は下部電極アセンブリ630の領域631を分離する。電極アセンブリ620、630は、電源(図示せず)に接続される。
ジャイリコンのアドレス電極、例えば電極アセンブリ620、630は、ガラス又はプラスチック(例えば、マイラー(MYLAR))のバッキング又は基体上に導電性材料を付着することによって形成される。典型的には、導電性材料は酸化インジウム/錫(ITO)であり、スパッタリングによってガラスに塗布される。酸化錫(NESA ガラス)コーティングも使用され得る。これらの材料を使用して形成された電極は、光学的に透明であり、可視性を妨げるのを最小限度にしつつジャイリコンにアドレスするのに非常に適している。
電極アセンブリ620、630に電流が流れることによって生じる電流の流出を最小化するために、表面が高抵抗率を有する電極を使用するのが好ましい。しかし、抵抗率値が高すぎる場合、スイッチング速度が遅くなる。抵抗率は、単位面積当たり約109Ω(即ち、単位面積当たりのΩ)までの範囲であってもよく、ディスプレイ600が使用される特定の用途又は環境に応じて選択される。
上部電極アセンブリ620は、ボール611を、書き込みスタイラスの電界のような印加されるアドレス電界から電気的に絶縁させないように形成されるのが好ましい。電極は、電極の容量応答時間よりも速い速度で変化する電界に対して透過性であるため、この条件は、十分に高い抵抗率の材料からなる領域621を形成することによって満たされる。例えば、30ミルの厚みのエラストマー層は、約3ピコファラド/cmの静電容量(capacitance)キャパシタンスを有する。シート610がこのようなエラストマー層から形成される場合、上部電極アセンブリ620の抵抗率値を単位面積当たり約108Ωとすると、ユーザはスタイラスを用いてスタイラス先端を約100cm/秒以上の速度でディスプレイ面を移動させてディスプレイ600に書き込むことができる。例えば、80ボルトのDC電圧がこのスタイラスに使用される。
図6Bは、上部電極アセンブリ620を上から見た図であり、消去電界を形成するための上部電極アセンブリ620の電圧の構造を示し、同じ構造は下部電極アセンブリ630にも使用される。電圧Vは矩形領域621の各々の表面に印加され、その結果シート610の表面にほぼ平行な均一な電界Eがシート610の領域に形成される。エラストマーシート610の抵抗率は矩形領域621の抵抗率値と同様に高いため、パワー引き込み(power draw)は低い。印加した電圧の極性は、示されるように、ある矩形領域と次の領域で正と負が交互になっているため、電源の電圧要求が最小化される。複数のバスバー622は、矩形領域621の光学的に透明で高抵抗率を有する表面材料にわたって電圧が均一に分布するように低抵抗率電極である(例えば、単位面積当たり100Ω)。
バスバー622は、適切な技術、例えば、シート610の一つ以上のエッジに沿ってワイヤ接続を使用することによって、又はガラス又はプラスチックバッキングにバスバーヘッダーを、ヘッダー687が正の電圧を保持し、ヘッダー688が負の電圧を保持する、図6Eに示されるようなパターンでプリントすることによって、互いに及び電源に接続されていてもいい。例えば、近隣のプロング(prong)687a及び688aの電位差は、電圧Vである。ヘッダー687、688及びこれらの下部電圧アセンブリにおける対向部分は、オーバーラップ領域689に対してシート610の平面に交互の均一な電界を形成する。オーバーラップ領域689の長さ及び幅は、シート610の長さ及び幅を越えるのが好ましい。
バスバー622は、例えば、蒸着された金又はアルミニウム電極又はスクリーン印刷された銀充填エポキシであってもよい。電極620、630がガラスにスパッタリングされたITOから形成される場合、バスバー622もマスクの使用を含む別の作業でガラスにスパッタリングされたITOであってもよい。ガラス上のITOを使用することによって、電極及びバスバーは両方とも実質的に透明に形成され、これによって下のジャイリコンシートの可視性が増大する。
図6Cは、矩形領域621の一つの一部の拡大図である。特定の領域である領域621aは、二つのバスバー622、即ちバスバー622a及び622bの間に位置する。第1バスバー622aと第2バスバー622bとの間の電圧差はVである。領域321aの表面材料は、低抵抗率バスバー622aと622bとを高抵抗率で電気的接続する。
図6Dは、電極アセンブリ620、630の端面図であり、構成領域621、631を示す(簡単にするために、エラストマーシート610及びバスバー622はこの図では省略する)。示されるように、印加した正及び負の電圧の交互パターンは電極アセンブリ620、630の両方で同一である。これによって、電界がシートの所与の領域内でシート610の表面に均一に平行となることが確実となる。
消去を行うために、電源はハイライトカラージャイリコンディスプレイに関連付けられている。例えば、図6Aでは、スイッチ(図示せず)が閉じられると、消去電源が上部及び下部電極アセンブリ620、630に接続され、これによってシート610に平行な電界が形成される。電界によって、ボール611が白色中央セグメントが観察者Iの方を向くように方向付けられ、ジャイリコンディスプレイ600を消去する。電源は、ディスプレイが消去される場合に瞬間的に要求されるため、実際の電力要求は非常に少なく、電源は小さくでよい。例えば、約5ボルト/ミル(V per mil)の電界がジャイリコンボールを再配置するために使用される場合、電極620、630の抵抗率値が単位面積当たり108Ωであると、ボールの回転は約3ミリ秒で終了すると予測でき、ディスプレイ600を消去するために要求されるエネルギーは、例えば、6ミリワット秒であり、これは、例えば、普通のフラッシュライトバッテリーで容易に供給できる。
消去が望まれるときに、例えばディスプレイ600のエッジ付近の2つの電極を露出し、これらの電極を(独自の電源を有するものと仮定される)書き込みスタイラス上の同様に離間された2つの電極と接触させることにより、消去のための電力要求量を満たすことができる。これは、図6Hに示されている。スタイラス695は、スタイラスの書き込み先端部に対向する端部からわずかに突出する電極696a、696bを有する。これらの電極は、ディスプレイ600に接続される同様に離間された電極697a、697bと一列になるように離間されている。安全性及び便宜性を考慮して、電極697a、697bを、ディスプレイ600の可視面のエッジ又はコーナー付近に位置することが好ましい凹部698内に配置することができる。
図6A〜6Dはディスプレイ600を、(消去とは反対の)書き込みディスプレイ600に使用することができる電極アセンブリを含むものとして示していない。ディスプレイ600への書き込みは、スタイラス又は他の外部デバイスによって達成することができる。図6Iの断面図に示されるように、代わりにあるいは更に、書き込み電極を消去電極と共にディスプレイ600に組み込むことができる。図6A〜6Dに示されるように、ディスプレイ600はボール611を有するエラストマーシート610を有し、これは上部及び底部消去電極アセンブリ620、630の間に挟まれている。更に、上部アドレス可能書き込み電極アセンブリ626が消去電極アセンブリ620の上に位置し、底部アドレス可能書き込み電極アセンブリ636が底部消去電極アセンブリ630の下に位置する。書き込み電極アセンブリ626、636は、対応する消去電極よりも抵抗率が大幅に低いことが好ましい。例えば、上部及び底部消去電極アセンブリ620、630が単位面積当たり108Ωの抵抗率を有する場合、上部及び底部書き込み電極アセンブリ626、636は単位面積当たり102Ωの抵抗率を有することができる。双方の書き込み電極アセンブリ626、636及び消去電極アセンブリ620、630をマトリックスによってアドレス可能にし、個々のピクセルの書き込み及び消去を容易にすることができる。
消去電極アセンブリをディスプレイ600の外部に設けることができる。例えば、電気用紙を消去するための特別なデバイスに消去電極を搭載することができる。エラストマーシート610の平面に電界を実質的に付与(印加)するあらゆる外部デバイスを使用することができる。このようなデバイスの一例は、図6F〜6Gに示される電気用紙イレーサーである。ユーザは、ディスプレイの可視面に抗するようにイレーサー691を保持し、図6Fの矢印694に示されるような方向にディスプレイ面を横切って左右にイレーサーで拭うことによって、ディスプレイ600などのディスプレイを消去することができる。従って、ディスプレイ600のユーザは、従来の用紙を消しゴムで消すか又は従来のホワイトボードをホワイトボードイレーサーで拭き取るのに類似した態様でディスプレイをイレーサーで拭うことにより、表示されたテキスト、画像又は他の表示物の一部又は全てを消去することができる。
イレーサー691は、図6Gの断面図に示されている。V1とV2との間の電位差を抵抗面692において生じさせ、表面692の平面に及びこれに平行して電界Eを生じる。絶縁ハウジング693が抵抗面692を取り囲み、イレイサーを保持する手段をイレイサー691のユーザに与えると共に、表面692の各端部において電圧V1及びV2を生じるのに使用される電源及び回路(図示せず)を収容する。きれいで完全な消去を確実にするために、抵抗面692の電界がシート610内に十分な深さまで広がり、シート610の平面に対して十分に平行であることが好ましい。
オーバーレイ透明紙
オーバーレイ透明紙(overlay transparencies)は、プリントされた情報、グラフィック情報又は他のビジュアル情報を透明な(例えば、無色透明か又はわずかに色のついた)背景上に配置する。地図、プリントされたテキスト又は着色背景など、下にある不透明なページの上にこれらを配置することができる。従来技術では一般に、オーバーレイ透明紙は柔軟性のある透明なプラスチックシートからなり、この上にビジュアル情報がプリント又はマーキングされる。このようなプラスチックシートは再利用できず、リアルタイムのディスプレイを提出することができない。
オーバーレイ透明紙としての使用に好適なジャイリコンディスプレイを構成することができる。このディスプレイは、再利用できること、あらゆる軸のまわりで物理的に柔軟であること、リアルタイムの画像に好適であることなど、ジャイリコンベースの電気用紙に特徴的な特質を有するように製造することができるが、このディスプレイは、ブランクである場合は不透明ではなく透明に見える。通常の白色用紙のような拡散体(ディフューザー)をディスプレイの後ろに配置すれば、このディスプレイを周囲光で使用することができる。このディスプレイの構造は図5のハイライトカラーディスプレイ500に類似しているが、使用されるボールが異なっており、これを以下に説明する。
図7Aは、オーバーレイ透明紙ジャイリコンディスプレイの構成に好適なボールを示している。ボール740は5つのセグメントからなるボールであり、広い透明な中央セグメント743、顔料で着色した(pigmented)2つの薄いセグメント742、744及び2つの透明な外側セグメント741、745を有する。透明セグメント741、743及び745は、エラストマーシート及びシートに浸透する誘電流体の屈折率にぴったりと合った光学屈折率を有するように選択される。これにより、透明な中央セグメント743が観察者に面するように(即ち、図5のボール560の向きと同様の90°の向きに)配向されると、ボールは透明に見える。
好適な電界を付与することによってボール740を種々の向きに配向することができるように、ボール740は種々のゼータ電位のセグメントを有して製造される。特に、セグメント741はボール740のセグメントで最も高い正のゼータ電位を有するように製造され、セグメント745はボール740のセグメントで最も高い負のゼータ電位を有するように製造される。
ボールが埋め込まれているシートの平面に又はこれに平行に電界を付与することにより、透明な部分を観察者に示すようにボールが配向され、従ってディスプレイを消去することができる。図6A〜6Gに説明されるような電極構成を使用して消去を行うことができる。
セグメント742、744のために選択される顔料(pigmentation)は、オーバーレイ透明紙の使用の目的(意図)に応じて選択される。例えば、下に配置した白黒テキスト文書のハイライトエレメントにオーバーレイ透明紙を使用する場合、薄いセグメント742を赤又は黄などの不透明色にすることができ、他方の薄いセグメント744を青又は緑などの別の不透明色にすることができる。別の例として、オーバーレイ透明紙を真っ白か又は他の好適に着色した背景、例えばグレー、ベージュ又は他の無彩色の背景と共に使用する場合、薄いセグメント742を黒にして他方の薄いセグメント744をハイライトカラーにすることができる。
ホール740は、図4Aの5つのセグメントからなるボール440の製造に使用されるのと同様の態様で製造することができる。
図7Bは、下に配置した文書、例えば紙文書と共にオーバーレイ透明紙ジャイリコンを使用する態様を概略的に示している。オーバーレイ透明紙750は文書751の上に配置され、日光又は周囲光などの光源752からの光によって照射される。透明紙750に入射する光が調節されていくつかのボールの透明セグメントを通過し、他のボールの不透明セグメントによって吸収されるか又は部分的に反射され、これによって各ボールのセグメントが観察者Iに示される。透明紙750を通過して文書751に達した光はそこで(例えば黒のテキストによって)吸収されるか又は(例えば白の背景によって)反射されうる。文書751から反射された光は透明紙750の透明部分を通過して戻り、観察者Iに達する。
また、オーバーレイ透明紙ジャイリコンを、例えばプロジェクターなどのコリメートされた光源を用いてバックライトモードで使用し、白黒の投影画像を生じることができる。これは図7Cに概略的に示されており、具体例(オーバーヘッドプロジェクター759)が図7Dに示されている。これらの図の各々において、光源753は明るく、好ましくは白色光を提供し、これはコンデンサーレンズ754によってコリメートされ、オーバーレイ透明紙755によって調節され、この後に投影レンズによってビュースクリーン757に投影され、観察者Iによって眺めることができる画像が形成される。オーバーレイ透明紙755がボール740のような不透明は背景色及びハイライトカラーセグメントを有するボールからなる場合、不透明である背景色及びハイライトカラーがスクリーン757に投影される画像において互いの区別ができないため、これはバックライトの使用に特に好適というわけではない。それにもかかわらず、この使用モードはいくつかの場合において価値がある可能性があり、説明を完全にするために本明細書に含まれる。(カラー投影画像を生成することができ、従って投影又は他のバック照明モードでの使用に更に好適であるジャイリコンデバイスは、図10A〜10C及び図11A〜11Cを参照して後述する加色及び減色ジャイリコンを含む。)
建築用スクリーン
透過性の多色ボールジャイリコン技術を用いて、コスト節約型で電気によって駆動する私用の光制御スクリーンを製造することができ、例えば電子ウインドーシェード、電子ベネチアンブラインド又は電子ルームパーティションスクリーンなどの建築及びインテリアデザインの用途においてこれらを使用することができる。建築用スクリーンの用途に好適なジャイリコンの構造は、使用されるボールを除いては、図5のハイライトカラーディスプレイ500と同様にすることができる。これらのボールは、図7Aに示される5つのセグメントからなるボール740のようにすることができ、これは、広い透明な中央セグメント743、顔料で着色した又は染色した2つの薄いセグメント742、744及び2つの透明な外側セグメント741、745を有する。透明な中央セグメント743が観察者に面するように配向されると、ボールは透明に見える。
ボールが埋め込まれているシートの平面に又はこれに平行に電界を付与することにより、透明な部分を観察者に示すようにボールが配向され、従って建築用スクリーンが入射光を透過するようにすることができる。同様に、シートに対して垂直の電界を用いて、5つのセグメントからなるボールの顔料着色又は染色部分を観察者に表示することができる。特定の用途に従って、垂直方向の電界を、例えば低解像度(例えば、電子ベネチアンブラインドの各矩形のルーバー又はシャッター要素に対して)又は高解像度(例えば、ピクセル1個当たり1つ又はそれより多くのボールを使用する各ピクセルに対して)でアドレスさせることができる。
ボールセグメント742、744のために選択される顔料又は染料は、建築用スクリーンの使用の目的に応じて選択される。例えば、光吸収、光反射又は光散乱顔料を使用するか、又は着色顔料もしくは染料を使用することができる。更に、デザイン、パターン又は絵を建築用スクリーン上に付することができるように、ジャイリコンの異なるボールを異なる色で顔料によって着色又は染色して模様をつけることができる。従って、殆ど完全に透明であるか、又は低レベルの電力の瞬時の使用に応答して光を吸収したり、光を反射したり、もしくはボタンにタッチすると装飾の変化を生じさえするジャイリコン建築用スクリーンを作ることができる。
透明な中央セグメント743は無色透明でもよいが、例えば薄い色つき、半透明又は「曇りガラス」色でもよい。ここでもまた、透明な中央セグメント743に対して行われる具体的な選択はスクリーンの使用の目的に応じて行われ、ジャイリコンの異なるボールは異なる種類又は色の透明セグメントを使用することができる。
建築用スクリーンの用途の一例は、「スマート」ウインドーにある。例えば、2層のガラス間に、5つのセグメントからなるボールを含むエラストマーシートを挟持させた窓ガラスを形成することにより、透過性ジャイリコン建築用スクリーンを組み込んだ窓ガラスを作ることができる。ガラスの各層はITOなどの透明な電極がコーティングで被覆され、このような電極はガラスのエラストマーシート側に付着される。透明な電極コーティングは、ジャイリコンに電圧を印加するのに使用される。
図7Eは、このようなウインドーの断面図である。ウインドー770は窓枠775及び窓ガラス776を含む。窓ガラス776はガラスの外層771a、771bを有する。層771aは窓ガラス776の内側に付着された透明な電極コーティング772aを有し、層771bは窓ガラス776の内側に付着された透明な電極コーティング772bを有する。電極コーティング772a、772bの間には、誘電流体が浸透した、5つのセグメントからなるボール774を含むエラストマーシート773がある。従って、窓ガラス全体がジャイリコンである。電極を使用して電圧V1、V2、V3及びV4(ここでは窓ガラスのコーナーにおいて示されているが、より一般的には窓ガラス776内のあらゆるアドレス可能な領域のコーナーである)を印加することができる。これらの電圧を使用し、図8A〜8Cを参照して次のセクションで説明する可変角度又は傾斜電界技術を用いて、5つのセグメントからなるボールをあらゆる所望の向きに回転させることができる。
入射光のほぼ完全な透過から入射光のほぼ完全な遮断に及ぶ、調節可能で連続的に可変の光透過を提供するジャイリコン建築用スクリーンを製造することができる。ボールの部分的な回転を生じるのに好適な電極構成を用いることによってこの調節能力を達成することができ、これにより、ジャイリコンシートの表面に対してあらゆる角度でボールを配向することができる。
可変角度(傾斜)電界
より一般的には、ジャイリコンシートの表面に対してあらゆる角度で電界を生じ、従って連続的に可変のボール配向を提供することができる電極構成を、広範囲のジャイリコンデバイスにおいて使用することができる。例えば、透明な中央セグメントを有するハイライトカラーボールと共に使用してグレースケールオーバーレイ透明紙を作ったり、白黒の不透明な2色のボールと共に使用してグレースケール周囲光反射ディスプレイを作ることができる。また、同一の構成を用いてアドレス(垂直)電界及び消去(平行)電界の双方をハイライトカラージャイリコンディスプレイに提供し、特に個々に消去可能なピクセルを提供することができる。(電界角度及びボール回転の連続範囲を提供する電極構成の能力はこのケースでは十分に使用されていないが、単一の電極構造を用いて平行及び垂直双方の電界を生じる能力は有利になりうる。)
図8A〜8Cは、個々のジャイリコンボール又はボールのグループをアドレスし、あらゆる所望の角度に回転させることができるようにアクティブマトリックスアレイを提供する電極構成を示している。この電極構成は、あらゆるボール又はボールのグループ(例えば、ピクセル又はサブピクセルを形成するボールのグループ)付近のジャイリコンシートの表面に対して任意の角度で配向される電界を発生させることができる。以下、時折この構成を傾斜電界電極構成と呼ぶ。
図8Aは、傾斜電界電極構成を有するジャイリコン800の一部の側面図を示している。電極アセンブリ820、830は、多色ボール811が埋め込まれたエラストマーシート810の各面に位置している。観察者Iに最も近い上部電極アセンブリ820は、抵抗率が非常に高く光学的に透過性がある導体である。観察者Iからみてシート810の反対側の面にある底部電極アセンブリ830も抵抗率が非常に高く、用途によっては透明にすることもできる。上部及び底部電極アセンブリ820、830の各々は矩形領域に分割されている。具体的には、上部電極アセンブリ820は領域821を含み、底部電極アセンブリ830は領域831を含む。矩形領域は、高抵抗率セパレータによって分離されている。具体的には、セパレータ824は上部電極アセンブリ820の領域821を分離し、セパレータ834は底部電極アセンブリ830の領域831を分離している。双方の電極アセンブリ820、830を電源(図示せず)に接続することができる。セパレータ824、834は、例えばガラス又は他の基板材料からなることができる。
いくつかの用途において、上部電極アセンブリ820が外部から付与されるアドレス電界、例えば書き込みスタイラスの電界から多色ボール811を電気的に絶縁しないように構成することが好ましい。電極は、電極の容量応答時間よりも速い速度で変化する電界に対して電気的に透過性があるため、抵抗率が十分に高い材料からなる領域821を設けることによってこの条件を満たすことができる。
各領域821内には個々にアドレス可能なバスバー822が位置しており、各領域831内には個々にアドレス可能なバスバー832が位置している。上部電極バスバー822は、対応する底部電極バスバー832に平行に及びこの真上に位置する。各バスバーにおける電圧は、ジャイリコン800に組み込まれるか又は別個に収容されるアクティブマトリックスアドレスエレクトロニクス(図示せず)を用いて設定することができる。(例えば、アクティブマトリックスアドレスエレクトロニクスを押圧してLCDの液晶層に接触させる態様と同様の態様で、アクティブマトリックスアドレスエレクトロニクスを押圧してシート810に接触させることができる。)従って、各領域821、831を個々にアドレスでき、各領域は例えばピクセルのアドレスが可能なディスプレイのピクセル又はサブピクセルに対応させることができる。
例として、バスバー822a及び822bは上部電極領域821aの各側部(side)に配置させ、バスバー832a及び832bは底部電極領域831aの各側部に配置させる。バスバー822aはバスバー832aに平行でこの真上にあり、バスズー822bはバスバー832bに平行でこの真上にある。バスバー822aの電圧はV1、822bではV2、832aではV3、及び832bではV4である。バスバー822a、822b、832a、832bをアドレスし、電圧V1、V2、V3、V4を適切に設定することにより、図8Cを参照してより十分に後述するように、電界がシート810のこれらのバスバー付近において設けられ、これによって、バスバー822a、822b、832a、832bによって定められるシート810の平行管状部分内の多色ボールを個々のディスプレイエレメントとしてアドレスすることができる。
図8Bは上部電極アセンブリ820の一部の立面図を示している。セパレータ824は上部電極アセンブリ820を交差し、対のバスバー822は各領域821の側部と接している。例えば、領域821aはセパレータ824a、824b、824c及び824dによって範囲が定められている。バスバー822a、822bは、セパレータ824a、824b、824c及び824dによって設定される周辺内の領域821aの各側部に沿って位置する。底部電極アセンブリ830(図8Bでは見えない)の構造は、上部電極アセンブリ820の構造と同様である。具体的には、底部電極領域831aは上部電極領域821aの下に位置し、バスバー832a、832bはそれぞれバスバー822a、822bに平行に及びこの真下に位置する。
図8Cは、傾斜電界電極構成(フリンジ効果(fringing effect)は取るに足らないことであるため、図示せず)を用いて発生させることができる電界の3つの例を示している。第1の例Aにおいて、電界線は電極820、830の平面、従ってシート810の表面に平行に延びている(図8Cでは図示せず)。第2の例Bにおいて、電界線は電極820、830の平面、従ってシート810の表面に対して垂直に延びている。第3の例Cにおいて、電界線は電極820、830の平面、従ってシート810の表面に対して角度θで延びている。
図8Cで示した異なる電界は、バスバー822,832の電圧を適切に設定することにより生成することができる。例えば、もし図8Aでバスバー822a、822b,832a,832bの電圧V1、V2、V3、V4がV1=V3及びV2=V4となるようにそれぞれ設定すると、図8CのAで示したような電界線、つまり電極820、830の平面と平行に延びる電界線がこれらバスバーの付近に生成される。もし図8Aでバスバー822a、822b、832a、832bの電圧V1、V2、V3、V4がV1=V2及びV3=V4となるようにそれぞれ設定すると、図8CのBで示したような電界線、つまり電極820、830の平面に対して垂直に延びる電界線がこれらバスバーの付近に生成される。もし図8Aでバスバー822a、822b、832a、832bの電圧V1、V2、V3、V4がV1>V3及びV2>V4となるようにそれぞれ設定すると、図8CのCで示したような電界線、つまり電極820、830の平面に対して角度θで延びる電界線がこれらバスバーの付近に生成される。角度θの値は、特定の電圧値で決定され、電圧の調整により変更することができる。このように、連続した360度の範囲にわたる電界方向を生成することができる。
傾斜電界(canted field)のジャイリコンボールへの適用は、ボールの回転、例えば180度よりも小さい角度でのボールの回転を引き起こす。図8Dで基体890に存在する模範的なジャイリコンボール891は、その正の最大ζ電位を第一の端892に有し、その負の最大ζ電位を第二の端893に有する。このように、ボール891は、ここではベクトルPで表わされる双極子モーメントを有する。従来技術によるジャイリコンボールでは、双極子モーメントベクトルPは電界の適用が無い場合、好ましくは、ボール891が配置された基体890の表面895のベクトルNが定義する法線と平行または逆平行に配向される。ボール891に対する電界の適用は、ボール891の、最大で角度180度に及ぶ回転を引き起こすので、電界を除去すると双極子モーメントベクトルPは法線ベクトルNと再び平行または逆平行となる。傾斜電界も同様に、この180度回転を達成できるが、さらにそれ以上のことができる。本発明では、法線ベクトルNと平行または逆平行に配向されない傾斜電界の適用は、傾斜電界の方位と一直線に揃うようなボールの180度未満の回転を引き起こし、電界の排除後も異なる方位を有する電界が適用されるまでその方位を保つ。例えば、図8Dで示すように時間t0での電界ベクトルEを有する傾斜電界を適用すると、ボール891に角度αの回転を引き起こして電界と一直線にさせ、図8Eで示すように後の時間t1で電界が排除されても法線ベクトルNに対する角度αをとるボールの双極子モーメントベクトルPは残る。要約すると、従来技術ではジャイリコンボールの双極子モーメントベクトルを回転させるための電界の適用は、角度180度の回転若しくはまったく回転しないかのどちらかであったのが、本発明では傾斜電界の適用によりボールの双極子モーメントベクトルの所望のどのような角度にも回転させることができる。
傾斜電界電極構造の別のアプローチは図8Fの分解図に示される。ジャイリコン850はジャイリコンボール861と共にエラストマーシート853を有する。シート853は、シート853の面の内部あるいは面と平行に電界を生成する2つの高抵抗率消去電極852,854に、図6A乃至6Dの参照時に説明した方法と似た方法で囲われている。低抵抗接地平面電極(low resistance ground-plane electrode)851はシート853から見て消去電極854とは反対側に配置される。マトリクスアドレス用電極アセンブリ855は、シート853から見て消去電極852の反対側に配置される。薄い誘電セパレータ層856a、856bは、接地平面851と消去電極852、アドレシング電極アセンブリ855と消去電極854、をそれぞれ分離する。層856a、856bは、例えば堆積ポリマーまたはプラスチックシートであり得る。電極構造を取り囲むのは2つの基体層870a、870bである。ジャイリコン850の少なくとも一つの面は光学的に透明である。例えば、観察者Iがジャイリコン850を見るとすると、基体層870b、アドレス電極アセンブリ855、誘電セパレータ856b、及び消去電極854はすべて透明であることが好ましい。いくつかのアプリケーション、例えば図7Eの参照で詳述した「smart」ウインドウへの適用や他の建築スクリーンへの適用では、ジャイリコンシート853の外にある全ての構成要素(それは電極851、852,854、855及び誘電セパレータ856a、856bの両方、及び基体層870a、870bの両方のことである)を有利に透明にすることが出来る。
消去電極852、854が提供する電圧V1、V2、V3、V4は、平面内の消去フィールドについてV1=V3且つV2=V4となるようにセットすべきである。これがボール861に適用されると、シート853の平面内でボール861の電気双極子モーメントは直線状に揃えられる。あるいは、V1、V2、V3、V4の他の値が選択されると傾斜電界が発生し、ボール861はシート853の面に対する任意の角度で、その双極子モーメントに従い配向する。
図8Fの電極構造では、限られた容量での傾斜電極しか提供されない。これは、消去電極852、854がピクセルあるいは他のアドレス可能な画像要素を提供しないで、全てのボール861が一緒に作用するためである。アドレス可能な要素を有するアドレシング電極アセンブリ855は、接地平面851と協動し、シート853の平面に対して垂直な電界だけしか生み出すことができず、傾斜電界の生成はできない。このように、図8Fの電極構造は、例えばピクセル毎またはサブピクセル毎の基準で異なる傾斜電界角度を有することが望まれるディスプレイに対し容易に適用することはできない。そのような場合でも、この構造は特定の状況下では有用である。例えば、低いケースでは、ジャイリコンのボールの第一のサブセットがその電気双極子モーメントをシート53の面に対し上方を指向するように配向され、第二のサブセットがその電気双極子モーメントをシート53の面に対し下方を指向するように配向され、そして第三のサブセットがその電気双極子モーメントをシート53の面に対して選択された傾斜角度で指向するように配向され、選択された角度が第三のサブセットの全てのボールに共通である、低解像度アプリケーションの場合などである。またこの構造は、以下の図14A−14Gの参照で説明する特定の多重閾値(multithreshold)ジャイリコンを伴う構造においても有用である。
疑似4色ジャイリコン
傾斜電界電極構造を用いたジャイリコンは、四色に白(または他の適切な背景色)を加えたディスプレイを提供するのに用いることができる。このようなディスプレイに適した多重彩色(multichromal)ボールは、透明な中央セグメント、透明な第一及び第二の外部セグメント、及び二枚ずつに別れて中央セグメントを挟む四枚の有色内部セグメント、の7枚のセグメントを有する。ここで図9A乃至9Dを参照しながらボール及びディスプレイについて説明する。
図9Aは7セグメント多彩色(poly chromal)ボール940の側面図である。幅広い中央セグメント944及び最も端にあるセグメント941、947は透明(例えばクリア)である。より薄い4つのセグメント942、943、945、946はそれぞれ異なる色であり得る。例えば、セグメント942はレッド、セグメント943はグリーン、セグメント945はイエローまたは黒、そしてセグメント946はブルーであり得る。他の多くのカラーの組み合わせもまた可能である。例えば、無彩色と彩色との組み合わせも使用できるし、2つのセグメントを同色(例えば、セグメント943及び945を両方ともグリーン、またはセグメント942及び946を両方ともレッド)にすることなどもできる。上で説明した製造技術は、ボール940の作成において利用できる。特に幅広い中央セグメント944は、2つの薄く透明な同質の材料によるセグメントが効果的に統合されて幅広い中央セグメントを形成することができる。
ボール940は、異なるゼータ電位のセグメントを用いて作られこれに適切な電界の印加により異なる向きに配向できるようにする。特にセグメント941は、ボール940のセグメントの中で最高の正ゼータで作成することができ、またセグメント945はボール940の中で一番高い負のゼータ電位で作成することができる。
もしボール940が、セグメント946が観察者に面するように回転されたならば、観察者は例えばセグメント946のカラーはブルーであるとして見るであろう。この状態は図9Bに図示されている。これと同様に、もしボール940が、セグメント942が観察者に面するように回転されたならば、例えばセグメント942の色をレッドとして見るであろう。もしボール940がこれらの2つの極端な角度の間の配向方向に回転し、例えば傾斜電界電極構造を利用して図8Cの参照で説明されたような有角度の電界を生成するならば、観察者には二色の組み合わせが見えるであろう。これらはセグメント942及び945の色(例えばレッド及びイエロー)か図9Cで示すように、セグメント943及び946の色(例えばグリーン及びブルー)のいずれかになるであろう。
最後に、ボールの下の背景に白を使用し、ボールを90度の位置に回転させて幅広い中央セグメント944が観察者に面するようにすることで白を得ることができる。背景は、例えば観察者から離れている方の面上のエラストマーシートに不透明な白いバッキングを接着することで作ることができる。一例は図9Dに示されておりでは、エラストマー層910、7セグメントを有するボール911、及びエラストマー層に付着するバッキング材料912の層を含むジャイリコン900の一部の側面図を示す。或いは、バッキング材料は省かれるかまたは透明な材料で作成することにより、ジャイリコンシートは、例えばテキスト文書または他の不透明あるいは反射性の背景の上に載せられるオーバーレイ透明材料として使用することができる。
この配置をとることにより、最終的なディスプレイはセグメント942及び946の色について良好な色飽和度を提供し、セグメント943及び945のカラーについてはより低い色飽和度を提供する。このように、それは二色ディスプレイでは得られない再現領域の部分を表示することができる。
フルカラー(RGB)加色法カラージャイリコン
傾斜電界電極構造のジャイリコンはフルカラー、レッド−グリーン−ブルーの加色法カラー画像を提供するために利用される。図10Aは、そのようなディスプレイに適した3セグメント・ジャイリコンボールを図示する。ボール1040は、2つの幅広く透明(例えばクリア)な外部セグメント1041、1043及び薄い中央セグメント1042を有する。RGBディスプレイでは、中央セグメント1042は、ブルーまたはグリーンに着色または染色されている。ボール1040は異なるゼータ電位のセグメントを用いて作られるので、それは適切な電界の印加により異なる配向方向に配向させることができる。特にセグメント1041は、ボール1040にある3つのセグメントの中で最も高い正のゼータ電位を持つように作成することが可能であり、セグメント1043は、3つのセグメントの中で最も高い負のゼータを持つように作成することが可能であ。
フルカラーRGBディスプレイを作成するためには、ジャイリコンシートはボール1040のようなボールを用いて作ることができる。ピクセル・アドレス可能なRGBディスプレイでは、各ピクセルはレッドサブピクセル、グリーンサブピクセル、及びブルーサブピクセルを含み、各サブピクセルは、それぞれのカラーを有する一つまたはそれ以上の数のボールを含み得る。サブピクセルはそれぞれ接近して位置する多数のボール(例えば9個またはそれ以上)を含むことが好ましい。傾斜電界電極構造は、各ピクセルまたはサブピクセルが個々にアドレス可能であり、該ピクセルまたは該サブピクセル内のボールは、シート表面に対してどのような角度にも配向することができるようにして提供される。
図10Bは、RGBジャイリコンのエラストマーシート1010の一部の側面図である。シート1010は、それぞれが幅広イ2つの透明な外部セグメントと薄い有色の中央セグメントを有するボール1040、1050、及び1060を含む。ボール1040は矢印aで示される方向に向けられて薄い中央セグメント1042のエッジは観察者Iに向けられる。ボール1040付近のシート1010表面に対して平行な電界を適用することにより達成されるこの配向では、ボール1040は観察者Iからは実質的に透明に見える。透明な外部セグメント1051、1053及び中央セグメント1052を有するボール1050は、矢印bで示される方向に向けられる。ボール1050付近のシート1010表面に対して垂直な電界を適用することにより達成されるこの配向では、中央セグメント1052はその面を向けて見せるためにボール1050は観察者Iからは十分に飽和したカラーとして見える。透明な外部セグメント1061、1063及び中央セグメント1062を有するボール1060は矢印cで示す方向に向けられる。ボール1060付近のシート1010表面に対して垂直と平行の中間である角度をもつ電界を適用することにより達成されるこの配向では、中央セグメント1062は角度を有して見せるためにボール1060は観察者Iからは部分的に飽和したカラーとして見える。
もし、例えば中央セグメント1042、1052及び1062がそれぞれレッド、グリーン、及びブルーに着色されていたならば、図10Bで1010aとして示したシート1010の一部は、各ボール1040、1050、1060がサブピクセルを提供する形の、各カラーにつき各ボールを有するピクセルとして機能する。(実際には上記のとおりRGBジャイリコンはサブピクセルごとに多くのボールを有する傾向があるが、ここに示したサブピクセル毎にボール一つを有する構成もまた可能であり、説明の都合上、容易に理解できる例として提供される)。
ボール1040,1050,1060のようにRGBジャイリコンに使用されるボールの、有色の中央セグメントは光反射性(例えば不透明カラー)または光透過性(例えば透明カラー)であり得る。もし、中央セグメントが光反射性であれば、RGBジャイリコンは周辺光により見ることができる反射性ディスプレイを提供する。例えば、透明なエラストマー層及び光反射性中央セグメントを有するRGBジャイリコンは、上記の図7Bの透明層750で以前に説明した方法と似た方法を用いて透明なオーバーレイとして使用することができる。もし、中央セグメントが光透過性であり、また他の構成要素も適度に透明であれば、ジャイリコンはバックライトまたはオーバーヘッドプロジェクターなどのプロジェクターと併用することで、或いは通常の白い紙または他の拡散体の上に設置されることで、透過性ディスプレイを提供することができる。
例えば、透明なエラストマー層と光透過性の中央セグメントをもつボールを有するRGBジャイリコンは、以前、図7C−7Dの透明体755を説明した方法と似た方法によりプロジェクターで使用することができる。しかしながら、以前に説明したハイライトカラージャイリコンが生成する映像は白黒画像であったが、ここではスクリーン757に投影される画像はフルカラーである。これはジャイリコンのボールの中央カラーセグメントが、非透過性ではなく透過性であるためである。
別の例として、透明なエラストマー層及び光透過性中央セグメントを有するRGBジャイリコンは、上記の図7Bの透明体750を以前に説明したのと似た方法で使用することができる。しかしながらハイライトカラージャイリコンのボールの黒及びハイライトカラーセグメントは、以前に説明したとおり入射光を吸収或いは反射したが、ここでは、RGBジャイリコン内のボールのカラーセグメントはカラーフィルターとして機能する。ボールのカラーセグメントを透過する白い光は、下に敷かれる白紙(例えば文書751)により反射されてジャイリコンを透過し戻して観察者Iに達し、場合によってレッド、グリーン、またはブルーに見える。これもやはりジャイリコンのボールの中央カラーセグメントが非透過性ではなく透過性であるためである。
さらに別の例には、いくつかのケースに見られる透過光または周辺光のどちらであっても判読することのできるディスプレイを提供するのに有用である。これは、やはり透明なエラストマー層及び光透過性中央セグメントを含むボールを有するRGBジャイリコンを、図7Bの透明体750で説明した方法と似た方法のオーバーレイ構成を用いて達成することができるが、ここでは、下に敷かれる文書751は、反射光下では白く見えてもバックライトは十分に透過する特殊な表面に置き替えられる。このような表面の提供に適する材料は、いわゆるオパールガラス(EDMUND SCIENTIFIC CO.,より入手可能であり、「すりガラスと似ているが、光を均等に拡散するために一面が乳白「オパール」カバーリングで透掛けされている」Edmund Scientific Co.カタログ#14N1, P.47)である。この構成により、オパールガラスが観察者に見えるようボールの中央セグメントをジャイリコンの面に対して垂直に配向するディスプレイでは周辺反射光と透過バックライト(例えば図7Dのような投影光)の両方の場合であっても白く見える。ボールが、その中央セグメントをジャイリコンの面と平行に配向する場合には周辺反射光と透過バックライトの両方の場合において、ディスプレイは有色である中央セグメントの色を受け継ぐ。透過性RGBジャイリコンはそれ自体ではブラック・カラーの提供はできない。このように
前二列での白紙またはオパールガラスを使用する透過性RGBジャイリコンでは利用可能な色調は完全な飽和カラーから白までの範囲に及ぶが、黒は含まれない。しかし下に敷かれる文書751が黒白の文書、例えば白紙ページ上に黒いテキストがプリントされた場合であれば、この文書の黒は透明体750を貫いて確認される。このようにRGBジャイリコン透明体がよく適合する用途は、黒白文書向け「電気ハイライター(electric highlighter)」オーバーレイ、ハイライト付しマーカーペンの類似エレクトリック・ペーパー(electric paper analog)である。この用途ではRGBカラー能力は一つだけ可能となり、レッド、グリーン、ブルーに加えて或いはそれらに代わるカラーをジャイリコンを形成するボールの中央セグメントに使用することができる。例えばエレクトリック・ハイライター・ジャイリコンは、中央セグメントが従来のハイライト付しペンのカラーと似た透明なイエローまたはピンクである3セグメント・ジャイリコンボールで作成することが可能である。(エレクトリック・ハイライターが単色のみで使用される場合には、ジャイリコン内の全てのボールは同じ中央セグメントカラーを有し、以下に説明するボール配置技術はジャイリコンの作成において必要ない。)
RGBジャイリコンのレッド、グリーン、ブルーを個別に制御するために、他の2つのカラーには影響を与えずに一つのカラーに対応するボールのみを回転させることが必要である。これは例えば図10Cで例示したように、ある一つのカラーに対応するボールを全て集中させることで達成できる。エラストマーシート1010の一部を拡大した上面図を示す。ピクセル1070はレッドサブピクセル1071、グリーンサブピクセル1072、ブルーサブピクセル1083を含む。各サブピクセルは、例えばレッドサブピクセル1071中の全てのジャイリコンボール1074がレッドであるように、それぞれのカラーだけを有するジャイリコンボール1074、1075、1076を含む。各ピクセル内のサブピクセルの構成は実施形態毎に異なる。例えば、図10Cで示すようにサブピクセルは正三角形の頂点に置かれるように構成し得る。
エラストマーシート内の指定位置におけるジャイリコンボールの設置技術は、以下の図15A−15Dの参照の中で説明される。これらの技術は、特にレッド、グリーン、及びブルーのジャイリコンボールを、所望するサブピクセルのいかなるパターンにも形成できるよう位置付けるためにに使用することができる。
複層(multilayer)減法混色カラージャイリコン(gyricon)
傾斜電界電極構成を有するジャイリコンを、フルカラーのシアン−マゼンタ−イエロー減色法カラー画像(CMY)を作るのにも用いることができる。減色法カラー画像において、不必要なカラー構成成分は、入射光から典型的には透明色フィルタもしくは染料によってフィルタリングされる。ここで、ジャイリコンボール特にこれらの複数の中央セグメントが、カラーフィルタとして作用する。
図10Aに示されたボール1040のような3セグメントのボールを、減色法カラーCMYジャイリコンのために用いることができ、これの中央セグメント1042は、光透過性のシアン、マゼンタもしくはイエローに着色もしくは染められている。ジャイリコンのシートは、互いに重なって位置した3つの層を含む。1つの層は、シアンボール(つまり、中央セグメントがシアンのボール)を含み、もう1つの層はマゼンタボールを含み、残りの1つの層はイエローボールを含む。1つの所定の層の内部で、1つもしくはそれ以上のボールのグループはカラー減法混色のための成分カラーを与えるように働く。互いに近接して位置した数多くのボール(例えば9個以上)を各ピクセルにおいて成分カラーとして用いることが望ましい。各ピクセルは、互いに重なって位置した3つのカラー領域の例(コラム)から成り、1つのカラー領域は上記3つの層のそれぞれに対応している。
図11Aは、エラストマーシート1110の一部をCMYジャイリコンから見た側面図を示す。シート1110は3つの層1116,1117,1118を有する。層1116におけるボールは、ボール1140a,1140bおよび1140cを含み、第1のカラー(イエロー等)中央セグメントを有し、例えばボール1140aはイエロー中央セグメント1142aを有する。層1117におけるボールは、ボール1150a,1150bおよび1150cを含み、第2のカラー(マゼンタ等)中央セグメントを有し、例えばボール1150aはマゼンタ中央セグメント1152aを有する。層1118におけるボールは、ボール1160a,1160bおよび1160cを含み、第3のカラー(シアン等)中央セグメントを有し、例えばボール1160aはシアン中央セグメント1162aを有する。各ボール1140a,1140b,1140c,1150a,1150b,1150c,1160a,1160b,1160cは、各々別個にアドレス可能に作成することができる。これらのボールの配向方法は、各々矢印a,b,c,d,e,f,g,hおよびjで示されている。
1つのピクセルは、観察者Iが重ねて見ることができる少なくとも1つのカラー領域の組み合わせによって形成される。よって、例えば、シート1110の長方形の列部分(符号1110aで示されている)におけるボール1140a,1150a,1160aが、共に1つのピクセルを形成することができる。同様に、シート1110の別の長方形の列部分(符号1110bで示されている)におけるボール1140b,1150b,1160bが、共にもう一つのピクセルを形成することができる。そして、シート1110のもう一つ別の長方形の列部分(符号1110cで示されている)におけるボール1140c,1150c,1160cが、共にさらにもう一つのピクセルを形成することができる。(実際には、上述のように、CMYジャイリコンは各ピクセルの各成分カラーごとに数多くのボールを有する可能性が高い。けれども、ここで示された「1つのカラーにつきボール1個」の構成も可能であるし、説明および議論を行うという目的の上では理解しやすい例となる。)
ボール1140a,1150a,1160aは、全てそれらの中央セグメント1142a,1152a,1162aが観察者Iに向き合うように配向され、この結果、シアン、マゼンタおよびイエロー成分に対してフルカラー飽和度(saturation)がもたらされる。従って、1110aにおけるピクセルは、ブラックに見える。ボール1140c,1150c,1160cは、全てそれらの中央セグメントが観察者Iに対して直立するように方向づけられ、この結果、これらのボールは全てほぼ透明に見える。従って、1110cにおけるピクセルは、ほぼ透明に見える。ボール1140bは、その中央セグメントが観察者Iに向き合うように配向されている。ボール1150bは、その中央セグメントが観察者Iに対して第1の角度で向き合うように配向づけられている。ボール1160bは、その中央セグメントが観察者Iに対して第2の角度で向き合うように配向されている。この結果、1110bにおけるピクセルのイエロー成分は完全に飽和して見えるが、マゼンタ成分はより低い飽和度であり、シアン成分は、さらに飽和度が低い。
図11Bには、1110bにおけるピクセルを上から見た図が示されている。ボール1140bの中央セグメントは、円Aとして示されている。ボール1150bの中央セグメントは、円Aに重なった第1の楕円Bとして示されている。ボール1160bの中央セグメントは、第1の楕円Bに重なった第2の、より細長い楕円Cとして示されている。つまり、細長い楕円Cにおいて、3つのカラー成分(イエロー,マゼンタ,シアン)全てが重ね合わされている。
CMYジャイリコンは、(ボールの各カラー毎に1枚の)3つの別々のエラストマーシートを順次重ね合わせて作成しても、あるいは、異なる色に着色されたボールの層を順次重ね合わせた1枚のシートから作成してもよい。どちらにしても、各ピクセルにおける成分カラー領域は数多くのボールで構成されることが望ましく、従って、1つのシートあるいは層のボールは、他のどのシートあるいは層のボールとも整合する必要がない。これが、図11C(CMYジャイリコン用のエラストマーシート1170の一部を示す)の断面図に示されている。シート1170は、シアンボール1174(つまり、ボール1174はシアン中央セグメントを有している)の層1171と、マゼンタボール1175の層1172と、イエローボール1176の層1173とを含む。観察者Iから見ることのできるピクセル1177は、シート1170の列状部分を含む。図11Dは、シート1170の残りの部分から分離された状態のピクセル1177の破断図である。(CMYジャイリコンが図11A〜11Bに示されているように各ピクセルが各カラーのボールを1個だけ含むように構成されている場合は、適切な減色法カラー混合を容易にするように異なる層の複数のボールを整合させるべきである。
CMYジャイリコンの3つの層の各層に、残りの2つの層から別々にアドレスしてもよい。これを達成する1つの方法は、図11Eの破断図に示されているように、各ジャイリコンの層に対して1つのアドレス用電極を別々に設けることである。ジャイリコン1180はシアンボールの層1181と、マゼンタボールの層1182と、イエローボールの層1183とを有する。各層の両方の側に、透明なアドレス用電極がピクセルアレーの形で配置され、各層の各ピクセル位置で異なる傾斜電界を適用できるようになっている。電極1184a,1184bは、シアン層1181の両方の側に配置される。電極1185a,1185bは、マゼンタ層1182の両方の側に配置される。電極1186a,1186bは、イエロー層1183の両方の側に配置される。連続して重なり合った層の電極は、1つの層の電極と次の層の電極との間に配置された透明な導体1187a,1187b,1187cによって互いにシールドされている。
図11Eに示されているように各層ごとに別々に電極を有しているCMYジャイリコンは、作成しづらく且つ作成コストが高い可能性がある。また、電極や導体シールディングの多くの層が、ジャイリコンを通過する光の量を減少させ、この結果、そうでない場合に比べジャイリコン(の)画像が暗くなる。よって、状況によっては、CMYジャイリコンの全ての層に、ただ1つの電極アセンブリでアドレスすることが望ましい場合がある。例えば、図11Fにおいて、ジャイリコン1137のシート1188は、図11Cのシート1170に構成上類似した3層から成るエラストマーシートである。電極1189a,1189bが、シート1183のどちらか一方の側(サイド)に配置されている。シート1188の3つの層のいずれかもしくは全ての層のボールを回転させる上で、これらの電極1189a,1189bを用いることが望ましい。
ジャイリコンの異なる層のボールが異なる回転しきい値を有する場合、CMYジャイリコン全体を制御する上で、(図11Fに示されているような)ただ1組(セット)の電極があれば充分である。例えば、図11Aにおいて、もし上層1116のボールが強力な電界E1が印加された場合にのみ回転を開始し、中間層1117のボールが中程度の電界E2が印加されると回転し始め、下層1118のボールが弱い電界E3が印加されると回転し始めるのであれば、ただ1セットの電極を、ピクセルにおける3つのカラー全てのボールにアドレスするのに(例えば1110aにおけるピクセルの全てのボール1140a,1150a,1160aにアドレスするのに)用いることができる。別の例として、図11Cにおいて、もし上層1171のボールが強力な電界E1が印加された場合にのみ回転を開始し、中間層1172のボールが中程度の電界E2が印加されると回転し始め、下層1173のボールが弱い電界E3が印加されると回転し始めるのであれば、ただ1セットの電極を、ピクセル1177の3つのカラー成分全てにアドレスする上で用いることができる。上記の2つの例の両方において、強力な電界E1を印加すれば、3つの層全てのボールが回転する。中程度の電界E2を印加すれば、中間層および下層のボールのみが回転する。弱い電界E3を印加すると、下層のボールのみが回転する。従って、強いアドレス用電界、中程度のアドレス用電界そして弱いアドレス用電界を順次印加することによって、3つの層全てのボールを所望のとおりに回転させることができる。このマルチパスの複数しきい値アドレス技術については、図14A−14Gを参照しつつ下記でさらに詳述される。
ピクセルアドレス可能な減色法カラージャイリコンディスプレーを構成する上で、ジャイリコンシートに関してアドレス用電極の正確な整合(precision alignment)を一切考慮する必要がない。ピクセルは、どこであれ電極を位置するところに形成される。これは、図10A〜10Cを参照しつつ先に説明された加色法カラージャイリコンに対する減色法カラージャイリコンの有利な点である。例えば、図10Cに示されるようなRGBジャイリコンサブピクセル構成の場合、印加された電界によって適当なカラーのただ1つのサブピクセルのみが確実にアドレスされるようにするには、各サブピクセル1071,1072,1073を、アドレス用電極のサブピクセルアレー要素にきちんと整合させなければならない。アドレス用電極の複数のアレー要素とジャイリコンシートの複数のアレー要素との間の整合が狂うと、シートの複数のサブピクセルの一部が電極のただ一つのアレー要素によってアドレスされてしまう可能性があり、赤のサブピクセルが緑のサブピクセルに、また青のサブピクセルが赤のサブピクセルに置き換わるといったカラーエラーを発生させることがある。図11A−11Dの減法混色カラージャイリコンの場合は、図11Fに示されるようなただ一つの電極アッセンブリを用いてアドレスされるので、上記の問題は全く起きない。アドレス用電極1189a,1189bが互いに整合さえしていれば、これらをジャイリコンシートのどこに設置してもかまわない。図11Eに示されるように複数の電極アッセンブリが用いられる場合、異なる複数の層のための複数の電極を互いに整合させる必要があるが、エラストマーの層(複数)を電極(複数)に整合させる必要はやはり全くなく、こうした複数の層を互いに整合させる必要もない。例えば、シアン層1181をその電極1184a,1184bに整合させる必要はなく、またシアン層1181をマゼンタ層1182あるいはイエロー層1183に整合させる必要もない。
図11Gに示されている一連の図は、上記の思想を示したものである。図11Gの第1図において、ピクセルアレーアドレス用電極1191a,1191bは、長方形の複層(マルチレアー)ジャイリコンシート1190のどちらか一方の側に設置されると共に、シート1190の長方形の複数の境界線に平行に方向付けられる。ピクセル(ピクセル1192など)は、シート1190の長方形の例(コラム)領域に形成される。ピクセル1192および他のピクセルの長方形のシート1190の(複数の)境界線に対する位置は、予め決定されない。むしろ、電極1191a,1191bのシート1190に対する設置位置に応じて、ピクセルがどこに位置されるかが決定される。電極がシートに対して異なった位置に設置されれば、ピクセルもシート内のどこか別の場所に移ることになる。例えば、図11Gの第2図は、アドレス用電極1191a,1191bをシート1190に接触した状態から取り除いた後、シート1190の長方形の複数の境界線に対して角度βに方向付けられるように置き直した場合に起こることを示している。ピクセルアレーは、長方形の複数の境界線に対して斜めに(skewed)なっている。例えば、図11Gの第1図のピクセル1192に対応するピクセルは、図11Gの第2図のピクセル1192′である。
加法混色ジャイリコンとは対照的に、減法混色カラージャイリコンにおいては、異なる複数の色のサブピクセルが全くない。むしろ、サブピクセルの全てのフィールドが、互いに重なり合った複数の構成要素カラー全部で満たされている。これにより、付加カラー技術の場合に得られるカラー画像に比べ、最終的にもたらされるカラー画像の鮮やかさ(richness)や正確さ(accura-cy)を改善することができる。
減法混色カラージャイリコンにおいて最高レベルの色(カラー)飽和度および最高レベルの全体的画質を確実に得るために、各ピクセルの各構成要素カラー層を、観察者から見て完全にボールで満たされた状態に構成してよい。例えば、各カラー層の内部に、図11Hに示されているように互いに積み重ねられた少なくとも2つ以上のボール層を設けてよい。ジャイリコンシート1133は、層1134,1135,1136を有する。これらの各層は、各々シアン、マゼンタおよびイエロー中央部を有する3つの部分から成るボールを含む。層1134内のボールは、3つの近接してパックされた層1134a,1134b,1134c内に配置されている。層1135内のボールは、3つの近接してパックされた層1135a,1135b,1135c内に配置されている。層1136内のボールは、3つの近接してパックされた層1136a,1136b,1136c内に配置されている。従って、これらのボールが適切に回転されるならば、光がジャイリコンシート1133をカラーフィルタリングされることなく通過する可能性はゼロかあるいはゼロに近い。光の散乱を最小限にし、且つ最高の光効率を得るには、ボールがエラストマーおよびエラストマーに染み込んだ誘電液と同じ屈折率を有することが望ましい。
CMY減法混色カラージャイリコンにおいて用いられるボールのシアン、マゼンタおよびイエロー中央部の各色は、不透明色というよりは、むしろ一般に透明色である。よって、CMYジャイリコンは、プロジェクタ等のバックライティング光源と共に使用でき、また、外光(ambient light)の下で反射性のあるバッキング(普通の白紙もしくは他のディフューザー等)と共に使用できる。ジャイリコンは、入射光に作用してこれをフィルタリングし画像のカラーをもたらすので、一般的には明るい入射光が望ましい。こうした使用例(複数)については、図7B,7Cおよび7Dを参照しつつ先に説明した、透明な中央部を有するボールを用いたRGBジャイリコンのための複数の使用例と比較できる。図7C〜7Dに示されるようにCMYジャイリコンを用いると、スクリーン757にフルカラーの投影画像が写る。図7Bに示されるようにCMYジャイリコンを用いると、ボールの透明色部によってフィルタリングされた光が基面(つまり原稿751)から反射され、ジャイリコンを通過して観察者Iに達することにより画像がもたらされる。RGBジャイリコンと違い、CMYジャイリコンの場合、もし光が3つの構成要素カラー全てを介してフィルタリングされれば、光をCMYジャイリコン内部で効率的に吸収できることに注意されたい。
減法混色カラージャイリコンは、シアン、マゼンタおよびイエローの構成要素カラーに限定される必要はない。他のカラーを代りに用いてもよいし、付加カラーを有する複数の付加層を付加してもよい。特に、フルフォーカラー(full four-color)CMYK(シアン−マゼンタ−イエロー−ブラック)ジャイリコンを、CMYジャイリコンに第4の層を加えることによって構成してもよい。CMYKジャイリコンは、4色刷り印刷で一般に用いられるCMYKカラー方法(スキーム)に類似したカラー能力をもたらす。
図11Jは、CMYK減法混色カラージャイリコンを示す。ジャイリコン1195は層1196,1197,1198,1199を有し、各層は、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラック構成要素カラーを画像にもたらす。層1196,1197,1198で用いられるジャイリコンボールは、図11Aのジャイリコンシート1110の各層1116,1117,1118に関して上記で説明したものである。ブラック層1199で用いられるボールも3つの部分からなるボールであり、その構成上、他の層で用いられているボールに類似している。しかし、その中央部は、他層のそれのように透明な有彩色ではなく不透明なブラックである。CMYジャイリコンの場合と同様、CMYKジャイリコンをプロジェクタのようなバックライティングと共に用いることができ、あるいはこれを反射性を有するバッキングと共に用いてもよい。こうした複数の使用例については、図7B,図7Cおよび7Dを参照しつつ先に説明したCMYジャイリコンのための複数の使用例と比較できる。図7Bに示されているように、層1199のボールのブラック部は入射光を完全に吸収できることに注意されたい。
減法混色カラージャイリコンは、3つ未満の構成要素カラーを有してもよい。例えば、透明な外側部分を有する3つの部分から成るジャイリコンボールに基づく2層式のジャイリコンを作成することができる。この2層式ジャイリコンは、(CMYKディスプレーと同様の)ブラック中央部を有するボールを含む第1の層と、透明色の中央部を有するボールを含む第2の層を有する。こうしたジャイリコンは、ホワイトの背景の上にあるいはバックライトされたモードで、ブラックおよびハイライトカラーのディスプレーを行うのに役立つであろう。別の可能性として、第1の透明色の第1の層と、(同じく透明な)その補色(complementary color)の第2の層とを有する2層式ジャイリコンがある。例えば、第1の層を青、第2の層を黄色にすることができる。このジャイリコンは、その構成要素カラーのそれぞれに加えて、ブラックをもたらすことができ、ブラックは、2つの補色を減法混色することによって作り出される。傾斜電界電極によって制御されるので、本発明のジャイリコンは、構成要素カラーの飽和度およびグレースケールを可変にできる。
バイステート又はトリステートライトバルブを使用した加法混色ジリコン
ボール自体が有彩着色されたセグメントをもたないジャイリコンは、フルカラー、即ちレッド−グリーン−ブルー(RGB)ディスプレイを提供するために使用され得る。このようなディスプレイを達成するための二つの方法を以下に説明する。両方法において、ジャイリコンシートにおける(複数の)ボールはライトバルブのように作用する。即ち、ボールは、カラードットを、オブザーバに見えるように又はオブザーバから見えないようにするために使用される。上述したように、傾斜電界電極構造を用いて、ボールを連続した範囲の角度を通して回転させることができ、これにより、連続した範囲での色飽和度(color saturation)が可能となる。各ドットはレッド、グリーン、又はレッドで着色され、例えば、活性光源、バックライティング(背景照射)されたカラーフィルタ又は透明ポジ(トランスパレンシー)、又はジャイリコンシートに張りつけられると共に周囲光に取らされた反射カラーバッキングを用いて形成されることができる。このようにして、ジャイリコンはバックライト又は投射モード、又は周囲光に使用されるように構成される。
これらの二つの方法は、使用されるジャイリコンボールの種類によって異なる。第1の方法では、バイステート(ツー(2)ステート)ライトバルブとして作用することができるスリーセグメントボールの層が、カラードットを見えるようにしたり見えなくするために使用される。例えば、ボールは、上述されたRGB及びCMYジャイリコンにおいて使用されたボールに類似した構造のボールであってもよいが、透明の有彩着色された中央セグメントのかわりに不透明(例えば、ホワイト又はブラック)の中央セグメントを有するボールであってもよい。第2の方法では、トリステート(スリー(3)ステート)のライトバルブとして作用いることができるフォー(4)セグメントボールの層を、カラードットを見せたり、見えなくするために使用することができる。以下に述べるボールは、ブラック、ホワイト、及び透明(例えば、クリア)セグメントを有している。第2の方法の他の実施例では、スリーセグメントボールの二つの層がフォーセグメントボールの代わりに使用され、そのうち、一つの層で、ボールはブラックの中央セグメントを有し、他の層では、ボールはホワイトの中央セグメントを有する。
「バイステート」及び「トリステート」ライトバルブなどの用語は、これらのライトバルブが、場合によっては、ツーステート又はスリーステートのみに限定されることを意味するものではない。それどころか、これらのライトバルブは二つ又は三つの基本状態(エネルギー状態)を有するとともに、傾斜電界電極構造によって得ることができる中間のエネルギー状態域を意味する。以下に触れるように、バイステートライトバルブは、二つの基本状態、即ち、中央セグメントをジャイリコンシート表面の垂直方向に向けてカラードットを最大限露出した完全開成(オープン)状態と、中央セグメントをジャイリコンシート表面と平行に向けてカラードットを最大限見えなくする完全閉鎖状態を有する。(バイステートライトバルブは)ライトバルブが部分的に開いたり、部分的に閉じたりする中間状態も得ることができる。同様に、トリステートライトバルブは、三つの基本状態、即ち、中央セグメントをジャイリコンシート表面の垂直方向に向けてカラードットを最大限露呈した完全開成状態と、ブラック中央セグメントをジャイリコンシート表面に対向させると共にこの表面に平行に向けてカラードットを最大限見えなくした完全閉鎖ブラック状態と、ホワイト中央セグメントをジャイリコンシート表面に対向させると共にこの表面に平行に向けてカラードットを再び最大限見えなくさせた完全閉鎖ホワイト状態と、を有する。
第1の方法に戻ると、図12(a)に示されるようなスリー・セグメントが使用されている。ボール1235は二つの透明(例えば、クリア)終端セグメント1236、1238及び中央不透明セグメント1237を有する。ボール1235は、異なるζ電位からなるセグメントから形成されており、これにより、ボール1235は、適した電界の印加によって異なる方向へ配向することができる。特に、セグメント1236はボール1235における三つのセグメントのうちのいずれか最も高い正のζ電位を帯びており、セグメント1238はこれら三つのセグメントのうち最も低い負のζ電位を帯びている。ボール1235は図12B乃至図12Dの例に概略的に示されるように、バイステートライトバルブとして作用する。これらの例の各々において、カラードット1239はボール1235の下に位置し、観察者Iはボール1235の上に位置すると共にカラードット1239の反対側に位置している。傾斜電界電極はボール1235を配向するために使用される。図12Bでは、ボール1235はその不透明な中央セグメントがドット1239の平面と平行になるように矢印aの方向に向けられ、これにより、不透明な中央セグメント1237は、ドット1239を、観察者Iの視界から完全にみえないようにすることができる。図示されるように、ドット1239は、観察者Iには、黒に見える。図12Cにおいて、ボール1235は矢印bによって示された方向に向けられ、これにより不透明の中央セグメント1237はドット1239の面に対して横切るように(trasverse)位置する。図示されるように、実質上全てのドット1239(より正確には薄い帯域を除くすべて)が観察者Iによって見られる。図12Dにおいて、ボール1235は矢印cによって示された方向に向けられ、これにより、不透明な中央セグメント1237はドット1239の平面に対して平行方向と垂直方向の中間の角度に位置することになる。(傾斜電界電極はあらゆる中間角度を得られるのを可能とする。)不透明の中間セグメント1237は、観察者Iの視界からドット1239を部分的に隠す。
フルカラーのRGBディスプレイは、ボール1235のようなボールで構成することができ、例えば、透明なレッド、グリーン、及びブルーのカラーフィルタによってパターン化された背景トランスパレンシー又はバッキング材(バックライトディスプレイ用)の前部、或いは反射レッド、グリーン、及びブルードットによってパターン化された背景表面又はバッキング材の前部(周囲光ディスプレイ用)に、このようなボールで形成されたジャイリコンシートを配置することによって、フルカラーのRGBディスプレーを作製することができる。ディスプレイの各ピクセルはレッド、グリーン、及びブルードットを含み、これらのカラードットはサブピクセルに対応している。各カラードットは、それらのドットに対してライトバルブとして作用するそれ自体が独立してアドレス可能なボールと、あるいは好ましくは多数のボールのセットと連携している。従ってサブピクセルの色飽和度は、カラードットをいくぶん見せたり隠したりするためにドット上の1つ又は複数のボールの角度を調節することによって制御することができる。一つのサブピクセルに対して多数のボールを用いる場合、図14A乃至Gを参照して以下に説明される複数の閾値技術を用いて、カラードットの平面に平行又はこの平面を横切るようにボールを最大限又は最小限回転することによって傾斜電界なしで、色飽和度をコントロールすることができる。サブピクセルの配列は各ピクセル内でいろいろな実施例によって変化しうる。例えば、各サブピクセルは正三角形の頂角として配置されてもよい。
バックライトモード及び投射モードにおけるバイステートライトバルブRGBジャイリコンの使用例は、図7B、C、及びDを参照して前述された例にほぼ匹敵する。図7C及びDに示されるような投射モードで使用されると、ジャイリコンはフルカラーRGBの投影画像をスクリーン757上に提供する。図7Bに示されるようなオーバーレイモードで使用されると、ジャイリコンは下層をなす文書751に対して透明なフルカラーオーバーレイを提供する。オーバーレイモードでは、バイステートライトバルブジャイリコン750に入射される光は、(ボールの)中央セグメントがジャイリコンの平面に平行になるようにボールが方向付けられる時、ボールの中央セグメントによって吸収されるか又はボールの中央セグメントから反射される。(ボールの)中央セグメントがジャイリコンの平面を横切るようにボールが方向付けられる時、光は、ボールの透明セグメントを透過し、透明カラーフィルタによってフィルターされ、下層をなす文書751の余白部分から反射され、ジャイリコン750の透明カラーフィルタと透明ボールセグメントを介して観察者Iへと戻る。自己含有(オーバーレイ以外の)周囲光のディスプレイとしてバイステートライトバルブRGBのジャイリコンの使用例も、下層をなす文書751の代わりにジャイリコン自体のパターン化されたバッキング材を使用している以外は、図7Bとほぼ同様である。ジャイリコンに入射する周囲光は、ボールの不透明な中央セグメントによって反射又は吸収されるか、又はボールの透明セグメントを通過し、パターン化されたバッキング材のカラードットによって反射され、ジャイリコンシートを介して観察者Iへと戻るかである。
第1のバイステートライトバルブ方法はバックライトディスプレイに適している。この方法は散乱による光のロスのため、ディスプレイの外見がかすんだ、又は「色のさめた」状態になるので自己含有周囲光ディスプレイにはあまり適していない。例えば、ボールの不透明な中央セグメントがブラックの場合、「ホワイト」は三つのサブピクセルを同時に反転することによって達成される。この「ホワイト」は普通紙のような伝統的な反射媒体によって提供されるホワイトと比較するとやや灰色掛かって見える。
第2のトリステートライトバルブの方法もこの概念に近いものである。トリステートライトバルブは、ブラック、ホワイト、及びジャイリコンボールの透明部分を介して下層をなすカラードットを見えるようにした透明状態、を有している。レッド、グリーン、及びブルーを伴ってホワイトとブラックの両方が利用可能であるため、第1のバイステートライトバルブに対してより高い品質の全色調を得ることができ、従って、第2の方法が周囲光のディスプレイに一層適したものになる。
図12Eは、第2の方法による周囲光RGBディスプレイに適したフォーセグメントジャイリコンボールを示す。ボール1240は二つの広域透明(例えば、クリア)外部セグメント1241、1244及び二つの薄い中央セグメント1242、1243を有する。セグメント1242はホワイトで着色され、セグメント1243はブラックで着色されている。ボール1240は種々のζ電位のセグメントで構成され、適した電界を印加することによって種々の方向に配向することができる。中でも、セグメント1241はボール1240の四つのセグメントのうち、もっとも高い正のζ電位を帯びており、セグメント1244は四つのセグメントのうち、もっとも高い負のζ電位を帯びている。
周囲光ディスプレイを作成するため、ボール1240に類似した複数のボールから構成されるジャイリコンシートはレッド、グリーン及びブルーのカラードットからなる反射バッキング上に配置され得る。傾斜電界電極構造は各ボールがシート表面に対して任意の角度で個々にアドレスされると共に方向付けられるように提供される。各ボールは、第1の方法と同様に、各ピクセルがレッドドット上に位置するボール、グリーンドット上に位置するボール、及びブルードット上に位置するボールを含むピクセルアドレス可能ディスプレイのサブピクセルを提供することができる。しかしながら、ボールがブラックとホワイト両方の中央セグメントを有するので、下層を形成するドットを見えさせたり見えなくする以上のことをすることができる。さらに、ボールは180度回転するので、サブピクセルからの光は以下のように調光される。即ち、ブラック、ダークカラー(暗色)、飽和色、ライトカラー(明色)、ホワイト。例えば、レッドドットの場合、オブザーバは以下のように色系列を見る。即ち、ブラック、ダークレッド、レッド、ライトレッド、ホワイト。(バイステートライトバルブ方法の場合、多数のボールが1つのサブピクセルに対して使用されるのが好ましい。ジャイリコンの製造中、個々のサブピクセルに対して個々のボールを一直線に配置することを不要にするためには特にである。にもかかわらず、ここでは1サブピクセル1ボール(one-ball-per-subpixel)配列を記述したのは、この配列も実行可能であり、又この配列は解説や討論を目的とした場合に容易に理解が得られるからである。)
従って、第2の方法はディスプレーの明度、特に、完全飽和の色からホワイトまでの色空間の部分においてディスプレイの明度を高くすることができる。色空間が完全な色立方体(color cube)となり得る。さらに、明色化された原色(例えば、ライトレッド)は単一のサブピクセルで生成され得る。
図12Fは、第2の方法における周囲光ディスプレイジャイリコン1200の一部の分解図を示している。エラストマーシート1210はレッド、グリーン、およびブルーのドットを有するバッキング1290に取り付けられる(各ドット1291、1292、及び1293)。シート1210には、(ボールの)各々のブラック又はホワイトの中央セグメントのいずれかを用いて、バッキング1290のドットを見えるようにするか又は見えなくするため、トリステートライトバルブとして作用することができるボール1240、1250、及び1260を含むフォー(4)セグメントボールが埋め込まれている。このように、例えば、配向方向が矢印aで示されているボール1240は観察者Iに実質的に透明な相を示す、これにより、完全に飽和されたレッドドット1291が露呈される。配向方向が矢印bで示されているボール1250は観察者Iにホワイトの面を示すと共に下層に形成するグリーンドット1292が見えるのを完全に塞いでしまう。配向方向が矢印cで示されているボール1260は、シート1210の表面とある角度をなし、これにより、観察者Iにブラック面を示すと共に、下にあるブルードットの一部を露呈する。
赤いドット1291との組み合わせでボール1240により形成されるサブピクセルのIの位置の観察者の観点からの眺めは、ボール1240の2つの異なる配向で図12G及び12Hの例に概略的に描写される。赤いドット1291は両図に円Aとして現れる。図12Gでは、ボール1240の薄状の黒いセグメント1243は円A上に重ね合わされる楕円Bとして見える。従ってサブピクセルは黒と赤の色成分を有し、そのため濃い赤色に見える。図12Hでは、ボール1240の薄状の白いセグメント1242は、円A上に重ね合わされる楕円Bに見える。従ってサブピクセルは白と赤の色成分を有するため、薄い赤色に見える。
トライステートライトバルブRGBジャイリコンの背面光、及び投影モードでの使用例は、図7B、7C、及び7Dに関連して先に説明したものと同等である。図7C〜7Dでのように投影モードで用いられると、ジャイリコンはスクリーン757上にフルカラーRGB投影画像を生ずる。しかしながら、黒及び白の中央セグメントが不透明であるために、投影画像上ではそれらを互いに区別することができないことに留意しなければならない。従って投影モードでの使用時にはトライステートライトバルブジャイリコンは、バイステートライトバルブに対して色全範囲に亘る利点を持たない。色全範囲に亘る利点は、ジャイリコンが図7Bに示されるようにオーバーレイ又は自給している周囲光モードで使用される時に得られる。図7Bの記述はここでは上述のように、バイステートライトバルブジャイリコンのために変更されている。
更なる照明モードが、図12Iに関連してこれから説明される。このモードはバイステートライトバルブジャイリコンと共に使用することができるが、トライステートライトバルブジャイリコンとの使用が特に興味深い。ディスプレイ1280は、透明なカラーフィルタ(赤いサブピクセルフィルタ1286a、緑のサブピクセルフィルタ1286b及び青いサブピクセルフィルタ1286cを含む)で模様がつけられた透明なバッキング材料1286に付けられた、4つのセグメントから成るトライステートライトバルブボール(ボール1287a、1287b、1287cを含む)の透明なエラストマー層1287から構成されるジャイリコン1285を含む。ジャイリコン1285は、どちらも図示されるようにディスプレイハウジング1284内に作られる光源1281で生じる周囲光により前方(即ち、Iの位置の観察者に最も近い側)からと、ここではディフューザ1283との連結で電力による光源1282により供給される完全拡散白色光により背面からと同時に照明される。このような組込み式の背面照明は、例えばディスプレイ1280がラップトップコンピュータ又はそれと同等な機器のディスプレイとして使用される場合などに適している。
ディスプレイ1280の動作において、背面光源1282は色彩がIの位置の観察者により、明るく鮮明に見られることを可能にする役割を果たす。例えば、ボール1287aは、光源1282からの光がディフューザ1283を通って通過し、そこから赤色フィルタ1286aを介してボール1287aの透明セグメントを通過することができるように方向づけられる。Iの位置の観察者は赤いサブピクセルを目にする。光源1281からの少量の周囲光は、層1287及び赤色フィルタ1286aを通って透過し、ディフューザ1283により反射され、フィルタ1286a及び層1287を介してIの位置の観察者に返される。しかし、背面照明はサブピクセルのためには最も重要な光源を与える。
光源1281からの周囲光は層1287内のボールの白い中央セグメントを照明する役割を果たすので、ボールがジャイリコン1280の前方に向かって配置される白い中央セグメントと共に配向されると、そのセグメントはIの位置の観察者に見える。例えば、ボール1287bはIの位置の観察者から緑色フィルタ1286bを隠すように配向される。ボール1287bの白い中央セグメントは周囲光内ではIの位置の観察者に見え、観察者は白いサブピクセルを目にする。光源1282からの背面照明は不透明な中央セグメントによりブロックされる。
光源1281からの周囲光は、層1287内のボールの黒い中央セグメントにより吸収される。例えば、ボール1287cはIの位置の観察者から青色フィルタ1286cを隠すように配向される。ボール1287cの黒い中央セグメントは周囲光を吸収する。Iの位置の観察者は黒いサブピクセルを目にする。また、光源1282からの背面照明は不透明な中央セグメントによりブロックされる。
図12Jは、トライステートライトバルブジャイリコンの他の実施の形態を表す。ここでは、3つのセグメントから成るボールの2つの層が使用される。エラストマーシート1270は層1270a及び1270bを有し、各層はバイステートライトバルブボール(図12Aのボール1235の構造に類似)を含む。層1270a内のボールは白い中央セグメントを有する。層1270b内のボールは黒い中央セグメントを有する。バッキング材料1279は、Iの位置の観察者に色が見えるようにするためにボールにより明瞭に、或いは暗くされるカラードットを提供する。
2層のボールはトライステートライトバルブを提供するために図示されるように協働する。シート1270の領域1271内で、上層1270aのボール1271a及び下層1270bのボール1271bは、それらの中央セグメントがバッキング材料1279の面に対して交差するように回転され、それによりIの位置の観察者に下層のドット1271cを見せる。シート1270の領域1272では、上層1270aのボール1272aはその白い中央セグメントがバッキング材料1279の面に対して交差するように回転され、下層1270bのボール1271bはその黒い中心セグメントがバッキング材料1279の面に対して平行になるように回転され、下層のドット1272cを暗くし、黒い外観をIの位置の観察者に呈する。シート1270の領域1273では、上層1270aのボール1273aはその白い中央セグメントがバッキング材料1279の面に平行になるように回転され、下層のドット1273cを暗くし、白い外観をIの位置の観察者に呈する。
2つの層1270a、1270b内のボールは以下の図14A〜14Gのようにマルチしきい値、マルチパスアドレス指定を使用することにより個々にアドレス指定される。もし多くのボールがサブピクセル毎に使用されるならば、製造時に上層及び下層を互いに対して位置合わせをする必要はない。
バイステート及びトライステートライトバルブアプローチは、どちらも図10A〜10Cに関連して上述されたRGBジャイリコンに対して特定の利点を提供する。特に、エラストマーシート内では異なる場所に異なる種類のボールを配置する必要がない。その代わりとして、同一ボールがジャイリコン全体で使用され、例えば反射バッキング材料のRGBサブピクセル領域は、従来のプリント又はカラー電子写真技術を使用して材料上にプリントすることが可能である。更に、もし多くのボールがサブピクセル毎に使用されるならば、エラストマーシートは製造時にバッキング材料と精密に位置合わせする必要がない。(しかし、バッキング材料のサブピクセルをアドレス指定する電極のサブピクセルと位置合わせすることは必要である。)
バイステート、及びトライステートライトバルブアプローチはRGBディスプレイ以外のカラーディスプレイでも使用することが可能であることは理解されるであろう。例えば、付加的なカラードットを追加することができる。また別の例では、ハイライトカラーディスプレイが、赤又は黄等の単一の均一ハイライトカラーのバッキング材料を上述のドットパターンのバッキング材料の代わりに使用することにより製造できる。例えば傾斜電界電極(canted-field electrode)と共に使用されるそのようなディスプレイは、白から明るい色を経て十分に飽和した色、濃い色、黒へと変化する全領域のハイライトカラーを提供することが可能であり、先に説明されたCMYジャイリコンのようにジャイリコンシートとアドレス指定する電極アセンブリとの間に厳密な位置合わせを必要としない。その代わりとして、このハイライトカラーディスプレイのピクセルは、ジャイリコンシート及び電極の相対的な配置により先に図11に関して説明したのと同様な方法で規定される。更に、周囲光での使用のためには、ボールの中央セグメント(例えば)が黒又は白である必要はない。例えば、白い背景(例えば、通常白い用紙)との使用のためのハイライトカラーオーバーレイトランスペアレンシーは、透明なエラストマー及び黒及びハイライトカラーの中心セグメント(例えば、黒及び赤セグメント)を有するトライステートボールを備えることにより生成される。多くの他の変更は、当業者には明らかであろう。
トライステートライトバルブRGBディスプレイの実行上の原理は、ここで説明される実施の形態を超えて一般化することができる。特に、トライステートライトバルブがジャイリコンベースである必要はない。他のトライステートライトバルブ、及びそのようなバルブを作るのに適した装置又は技術が開発されるときに、それらはRGB又は他の有彩色源等の色彩源が上述の原理に従ってトライステートライトバルブにより明瞭に、或いは不明瞭にされるカラーディスプレイでの使用に適合される。これは、図13に単一ピクセル用に概略的に示される。光源1300は、色彩的に着色された光等の着色光をピクセルのために与える。選択器1305は黒或いは白の混合色を選択し、混合制御1307は光源1300からの着色光と選択器1305で選択された混合色(黒又は白)とが混ぜられる割合を選択する。着色光は色彩混合器1310により選択された黒又は白の混合色と混合され、その結果の色彩混合は出力器1315に与えられる。
マルチしきい値及びマルチパスアドレス指定技術
CMY及びCMYKの減色ジャイリコン及び上述の2層のトライステートライトバルブジャイリコンは異なる層内で異なるボール毎の個別のアドレス指定能力を必要とする。この個別のアドレス指定能力を各層用に個別のアドレス電極を使用せずに提供することは有益であろう。より一般的には、単一電極をジャイリコンシート内の異なる種類のボールの異なるグループを別々にアドレス指定するために使用することが有利な様々な状況が存在する。例えば、傾斜電界を使用することなく3つのセグメントから成るボールに基づくRGBジャイリコン(図10A〜10Cの通り)、或いはCMYジャイリコン(図11A〜11Cの通り)の可変の色飽和度を達成するための1つの方法は、各サブピクセル内の各色と連携される複数のボールを備えることである。色の表示を制御するためのこのマルチしきい値技術は図14Fに関連して以下でより十分に説明される。
ジャイリコンのエラストマーシート内に同様に近接に配置される異なる種類のジャイリコンボールの選択的な回転は、各種類のボールが明確な回転しきい値、即ちそれが応答するであろう最小の電界強度を有する場合に達成される。例えば、図12Jの2層配列において、層1270a内のボールがエラストマーの厚さの30ミル当たり少なくとも90ボルトの電位勾配で印加する時にのみ回転を開始すると仮定し、また層1270b内のボールジャイリコンがエラストマーの厚さの30ミル当たり少なくとも80ボルトの電位勾配で印加する時にのみ回転を開始すると仮定する。すると、もしシート1270の合計厚さが30ミル(即ち、層当たり15ミル)である場合、シート1270を縦断して印加される80ボルトの電位差は、層1270bのボールが回転するように作用するが、層1270aのボールには影響を与えないであろう。シート1270を縦断して90ボルトの電位差は、層1270a及び1270bの両方のボールが回転するように作用する。例えば、領域1271内のボールは、領域1271のシート1270の両層全体を縦断して90ボルトの電位差を一度印加することにより、図示されるようにその中心セグメントがバッキング材料1279の面に対して交差するように配向されることが可能である。領域1273内のボールは、領域1273のシート1270の面に90ボルトの電位差を一度印加することにより、図示されるようにその中心部材がバッキング材料1279の面に平行になるように配向することが可能である。領域1272のシート1270を縦断して90ボルトの電位差を印加(領域1271のボールと同じ向きにボールを回転する)し、次に領域1272内のシート1270の面に80ボルトの電位差を印加する(その中央セグメントがバッキング材料1279の面に平行になるように層1270bのボール1272bを回転させるが、層1270aのボール1272aは影響を受けないままである)ことにより、領域1272内のボールは、図示されるように層1270aのボール1272aの中央セグメントがバッキング材料1279の面に対して交差するように配向され、層1270bのボール1272bの中央セグメントがバッキング材料1279の面に平行になるように配向される。
従って2つの異なる種類のボールのために、多くて2つの異なる電界の印加、即ち“パス”がボールの望ましい配向に十分であることが理解される。一般的に、Nセットの明確に区分されたボールがアドレス指定される場合には、多くてN個のパスが必要である。
図14A〜14Gはマルチしきい値、マルチパスジャイリコンアドレスの様々な原理及び応用を表す。図14Aは異なるしきい値が得られうる、即ちボールのサイズを変えることによる1つの方法を示す。2つの例が示される。例(a)では、3層ジャイリコンシート1400の第一層1401内の球状のボールは第一の半径R1を有し、第二層1402内の球状のボールは第二の半径R2を有し、第三層1403内の球状のボールは第三の半径R3を有する。例(b)では、単層ジャイリコンシート1405は、其々第一の半径R1、第二の半径R2、及び第三の半径R3を有するボール1405a、1405b、及び1405cを含む。両例(a)及び(b)において、R1>R2>R3である。他の条件が等しいと、半径R1のボールを起動位置から回転させるために半径R1のボールに適用されるトルク(回転モーメント)量は、半径R2のボールを起動位置から回転させるために半径R2のボールに適用されるトルク量よりも大きい傾向があるであろう。同様に、他の条件が等しいと、半径R2のボールを起動位置から回転させるために半径R2のボールに適用されるトルク量は、半径R3のボールを起動位置から回転させるために半径R3のボールに適用されるトルク量よりも大きい傾向があるであろう。
簡単な計算がその理由を説明する。ボールが一定の質量密度であり、各ボールの電気双極子モーメントはボールの対向端部でセグメント内の正と負の表面電荷の分離によって起きると仮定すると、当然の結果として層1401内のボールは層1402内のボールよりも大きな質量、慣性モーメント、及び双極子モーメントを有し、層1402内のボールは層1403内のボールよりも大きな質量、慣性モーメント、及び双極子モーメントを有することになる。しかし、慣性モーメントは半径を増すにつれて、双極子モーメントよりも速く大きくなる。このことは、ボールの半径が大きければ大きいほど、回転を起こすのに印加されなければならない電界は強くなることを示唆している。
双極子モーメント等の他のパラメータは、回転しきい値に影響するように変更することができる。概して、ボール自体と、中でボールが回転するエラストマー内の空洞との両方に関する様々なパラメータがボールの回転しきい値に影響を与えうる。(全体のしきい値がボールとその環境との間の複雑な相互作用の結果である“特定エラストマー内の特定の誘電流体で満たされた特定空洞内の特定ボールの回転しきい値”について語ることがより的確である。しかし、回転しきい値がボールのみと関係しているように“ボールのしきい値”について語る方が都合が好い。その技法がここでは採用され、他の要素も機能することは理解されるであろう。)
所定のボールの回転を起こさせるために印加されねばならない電界の強さに影響を与えうる幾つかの要素は、もしあるならばボールが基板内の誘電流体内に配置されるときに生じるボールセグメントのゼータ電位に起因するボールの電気双極子モーメント及び単極モーメント等のボールの電気特性と、質量、ボール内の質量分布、ボールの形状(純粋に球状の形状から楕円状、又は他の形状へのボールの偏差を含む)、サイズ、及び半径、又は平均半径等の特に慣性モーメントに影響を与える特性、及びボールの摩擦係数及び表面粗さ等のボールの球状空洞との相互作用に影響を与える特性を含むボールの機械特性と、ボール内の全ての構成成分セグメント或いは他の領域のサイズ及び形状、及びこれらの構成成分セグメント或いは他の領域の互いに対する配置を含むボールの構造と、ボール内の全ての構成要素領域の製造に使用される全ての材料及びボールの表面の全て又は一部を被覆するために使用される全ての材料を含むボール及びそのセグメント又は領域を構成する材料とを含む。所定のボールの回転を起こさせるために印加されねばならない電界の強さに影響を与えうる更なる要素は、純粋な球状の形状からの逸脱(ここで本明細書の参考文献に組み入れられる米国特許第4,126,854号のコラム5、16〜29行で開示されるような、これに作用する圧電電界の使用も含む)及び表面粗さ又は空洞壁に対するボールの摩擦係数に影響を与える他の要素等の、ボールが位置する空洞の特性と、エラストマー材料の粘性を含むエラストマーの材料及び機械特性と、粘性及び誘電特性を含むエラストマーを透過し空洞を充填する可塑剤流体の特性とを含む。要素の上述のリストは例示であり、決して完全なものではない。
他の条件が等しいと、厚いエラストマー層は所定のしきい値でのボールの回転を起こさせるために層表面に対して垂直な、より高圧な印加電圧を必要とすることもまた留意されねばならない。同様に、面内電界にとっては電界が印加される基板領域(例えば、ピクセル又はサブピクセル)の幅が広いほど、ピクセルの一方と他方との間に印加される電圧は大きくなければならない。これらの観察結果は、電位の勾配のような電界の定義から当然の結果として生じる。均一電界のためには、Vが印加電圧でありdがその電圧が印加される距離を表す場合に、これはE=V/dにまで下げられる。
図14Bのグラフは、ジャイリコンボールが3つの異なる回転しきい値から成る理想的なジャイリコンの印加電圧に応じた反応を示す。グラフは所定の電界の印加に応じて回転するボールの総数(縦軸)と対比して、その電界を生成するためにエラストマーシートの所定の厚さに印加されねばならない電圧(横軸)を表示。印加電圧がしきい値電位Φ3より小さい場合は、ボールは1つも回転しない。印加電圧がしきい値電位Φ3以上であり、且つしきい値電位Φ2よりも小さい場合は、第三(最低)のしきい値を有するボールは回転し、その他ボールは動かない。印加電圧がしきい値電位Φ2以上であり、且つしきい値電位Φ1よりも小さい場合は、第三或いは第二(中間)のしきい値を有するボールは回転し、第一(最高)のしきい値を有するボールは動かない。印加電圧がしきい値電位Φ1以上の場合は、全てのボールが回転する。
実用的なジャイリコンにおいて、ボール間の統計的ばらつきによって図14Bの理想的なグラフはいくらか変化する。一般に、一つのボールとその他のボールとのサイズ、形、電気的特性などの小さなばらつきによって、ほぼ同等の物理的特性を有するボールの所定の母集団は、平均値周辺に集まった閾値範囲を有する。従って、応答のグラフは図14Bの一連のステップ機能のようにはなりそうもない。代わりに、ボールの3つの母集団(各母集団はそれぞれ異なった平均回転閾値を有する)を有するジャイリコンのグラフは図14Cのようになる。電圧が0から上昇し、最低閾値電位が、φ3に達するまではどのボールも回転せず、この点で、第3(最低閾値)の母集団のポイントボールが回転し始める。電圧がφ3とφ3+Δ3の間の範囲にわたって更に上昇するにつれて回転する第3母集団のボールの数が増加し、電圧がφ3+Δ3を超えた後、第3母集団の全てのボールが印加された電圧に応答して回転する。電圧が第2の最低閾値電位φ2まで更に上昇した場合、第2(中間−閾値)母集団のボールが第3母集団の全てのボールと一緒に回転し始める。電圧がφ2とφ2+Δ2の間の範囲にわたって更に上昇するにつれて、回転する第2母集団のボールの数が増加し、電圧がφ2+Δ2を超えた後、第3及び第2母集団の全てのボールが印加された電圧に応答して回転するであろう。電圧が第3の最低閾値電位φ1を超えて更に上昇すると、第1の(最高−閾値)母集団のいくつかのボールが第3及び第2母集団と一緒に回転することになる。最終的に、電圧がφ1とφ1+Δ1の間の範囲にわたって更に上昇するにつれて回転する第2母集団のボールの数が増加し、電圧がφ1+Δ1を超えた後、3つの全ての母集団のボールが印加された電圧に応じて回転する。
急な閾値応答が望ましい場合(例えば、アクティブ−マトリックスよりもむしろパッシブ−マトリックスアドレッシングエレクトロニクスが使用される場合)、図14CのΔ3、Δ2、及びΔ1の値はできるだけ小さくすることが好ましい。これは、例えば、ボールの製造公差を厳しくし、回転閾値に大きな影響を及ぼすボールのあらゆる物理的特性(例:丸み)のばらつきを減らすことにより達成される。あらゆる場合に、Δ3、Δ2、及びΔ1の値は十分に小さく、ボールの異なるセットをアドレスするために使用される電圧の範囲が重ならないようにすべきである。つまり、ボールの個々のセットが別々にアドレスされる場合、φ3+Δ3<φ2及びφ2+Δ2<φ1の不等式が確実に満たされていなければならない。
或いは、いくつかの場合には、Δ3、Δ2、及びΔ1の値を小さくするよりもむしろ大きくした方が有利である。これは図14Dに示されている。印加電圧の上昇に応答してボールの挙動は図14Cに関して記述されたものに類似している。しかしながら、そのそれぞれの最低閾値φ3、φ2、及びφ1に比べてΔ3、Δ2、及びΔ1は図14Cの場合よりも大きいため、閾値範囲のグラフの勾配は更に緩やかである。図14Fを参照して以下に記述されるように、カラー飽和度の制御に複数の閾値が使用されている場合、このことはそれぞれの色が印加電圧を上昇させるにつれて飽和する割合が図14Dの広いΔ値による場合の方が図14Cの狭いΔ値による場合よりも更にゆるやかであることを意味する。従って、更に精密なカラー飽和度の制御が可能である。上記の通り、φ3+Δ3<φ2及びφ2+Δ2<φ1の不等式は確実に満足されなければならず、連続したΔ範囲の間にギャップγ32及びγ21が存在することが好ましい。例えば、全体のエラストマーシート(sheeting)の厚さが30ミル(即ち、3層のCMYジャイリコンの1層につき10ミル)であった場合、とりうる最低閾値はφ3=80ボルト、φ2=90ボルト、及びφ1=100ボルト(Δ3=Δ2=Δ1=5)となる。結果的に、ギャップγ32とγ21は5ボルトとなる。
ジャイリコンボールが複数の回転閾値を有するジャイリコンはマルチプル−パスアドレスによってアドレスすることができる。図14Eの一連の図は所定の層の中の全てのボールが共通の、理想的にはシャープな閾値(例えば、Δ3=Δ2=Δ1=0)を有する3層CMYジャイリコンの一つのピクセルをアドレスする連続したステージを示す。一連の図はジャイリコンシート1410の単独ピクセル領域の全側面図である。エラストマーの厚さTに対して、層1413のボールは最低の閾値電位φ3を有し、層1412のボールは中間の閾値電位φ2を有し、又、層1411のボールは最高の閾値電位φ1を有する。図示されるように、それぞれの層は傾斜電界によってアドレスされ、ピクセルを形成するシート1410の角柱領域の周囲に電圧V1、V2、V3、V4を与えることができる傾斜電界電極によってピクセル単位毎に生成される。シート1410の単独ピクセル領域は厚さT及び幅Wを有すると推測される。
第一アドレスパスに対応する図14Eの第1の図では、電圧はV1=V3、V2=V4、及び(V3−V2)/W>φ1/Tのようにセットされる。得られる電界E1は、層1411でボールを回転させるために必要となる閾値電界の大きさε11/Tよりも大きい(V3−V2)/Wの大きさを有する。電界E1は矢印aの方向に配向する。電界E1の印加により、1411、1412、1413の3層全てのボールが、その双極子モーメントを印加された電界と合わせられる。誘電流体透過シート1410の存在下でボールの末端セグメント間のゼータ電位の差(図14Eの第1の図の末端セグメントに+及び−の記号によって示される)によって生じるそれぞれのボールの双極子モーメントは、ボールの中心セグメントの面に垂直である。従って、3層全てのボールの中心セグメントは矢印a’の方向に平行に(つまり、ジャイリコンシート1410のプレーナ表面1419a、1419bに対して垂直方向に)配向されるようになる。
第2アドレスパスに対応する図14Eの2番目の図において、電圧はV3=V1、V1=V4、V4>V2、及びφ1/T>(V3−V2)/Y>φ2/T(ここで、Y=(T2+W21/2)のようにセットされる。得られる電界E2は、層1412のボールを回転させるのに必要な閾値電界の大きさε2=φ2/Tよりも大きい(V3−V2)/Yの大きさを有する。電界E2は、矢印bの方向に作用する。電界E2の印加により、層1412及び1413のボールは、その双極子モーメントを印加した電界と合わせられるが、層1411のボールには影響を与えない。層1412及び1413のボールの中心セグメントは矢印b’の方向に平行に(つまり、ジャイリコンシート1410のプレーナ表面1419a、1419bに関して鋭角に)配向されるようになる。
第3アドレスパスに対応する図14Eの3番目の図において、電圧はV1=V2、V3=V4、及びφ2>V3−V2>φ3のようにセットされる。得られる電界E3は、(V3−V2)/Tの大きさを有し、矢印c方向に配向される。電界E3の印加により、層1413のボールは、その各々の双極子モーメントを印加した電界に合わせられ、層1413のボールの中心セグメントを矢印c’の方向に平行に(つまり、ジャイリコンシート1410のプレーナ表面1419a、1419bに平行に)配向するようになる。印加された電圧勾配は層1411及び1412のそれぞれのボールの閾値であるφ1/T及びφ2/T以下であるため、層1411及び1412のボールは影響を受けない。
マルチプルパスアドレッシングはまた、単一層ジャイリコン又は多層ジャイリコンの単一層内の異なる回転しきい値のボールに、選択的にアドレス指定するために用いられうる。この手法の適用は、画像要素における有彩色の色飽和度、画像要素における黒に対するグレースケールレベル、又は一般に、傾斜電界の必要性なしに、画像要素における色又は他の光学的変調特性の観察可能な存在の程度を制御するためである。例えば、傾斜電界を用いることなしに、(図10A乃至10Cにおけるように)3つのセグメントから成るボールに基づくRGBジャイリコンおける可変の色飽和度を達成する一つの方法は、各サブピクセルにおける各色に関連する複数のボールを提供することである。完全に飽和した色を得るために、サブピクセルのボールの全ては、それらの中心セグメントがエラストマーシートの表面に平行になるように回転される。最小限に飽和した色を得るために、サブピクセルのボールの全ては、それらの中心セグメントがエラストマーシートの表面に垂直になるように回転される。中間の色飽和度を得るために、サブピクセルのボールのサブセット(セグメント集合)は、それらの中心セグメントがエラストマーシートの表面に平行になるように回転され、サブピクセルの残りのボールは、それらの中心セグメントがシートの表面に垂直になるように回転される。すなわち、中心セグメントがジャイリコンシートの平面に平行になるようにより多くのボールが回転すればするほど、その結果として生じるサブピクセルの色がより飽和して見える。同じ原理が、CMY(K)又はバイステート又はトライステートのライトバルブジャイリコンのような他のカラージャイリコンにおいて、傾斜電界を用いることなしに色飽和度を制御するのに用いられうる。それは又、例えば、先行技術の白黒の二色ボールに基づくジャイリコンにおけるグレイスケール能力を提供するのにも用いられうる。画素のグレイの濃さは、ジャイリコンシートの観察可能な表面に向く白及び黒半球体を有する画素中のボールの割合に依存する。
図14Fの一連の図は、単一層内で配置されるボールの3つの異なるセットを有する単一層ジャイリコンにおいて得ることのできる、色飽和度のいくつかの異なる程度を表しており、ボールの各セットは異なる回転しきい値を有しており、3セットは全て同じ観察可能な色に関連している。ジャイリコンボールの各々は、透明な端部セグメント及び着色された中心セグメントを有する3つのセグメントから成るボールである。例えば着色された中心セグメント赤である場合、図10A乃至10Cを参照して前述されたRGBジャイリコンの単一の赤のサブピクセルに、そのボールは配置されうる。
図14Fの図は全て、ジャイリコンシート1420における一つのアドレス指定可能な画像素子(image element)(例えば、サブピクセル)を構成する領域の側面図である。説明をはっきりとするために各しきい値の単一のボールが示されるが、実際には各しきい値のボールが大多数、各ピクセルを通じて均一に(例えば、ランダムに)分散されることが好ましい。エラストマーの厚さTに対し、ボール1423は最低しきい値電位Φ3を有し、ボール1422は中間しきい値電位Φ2を有し、ボール1421は最高しきい値電位Φ1を有する。再び、図14Eにおけるように、層の厚さはTであり、画像要素の幅はWであり、理想的にシャープなしきい値が仮定される(例えば、Δ3=Δ2=Δ1=0)。
図14Fの最初の図において、ボール1421、1422、及び1423は全て、それらの中心セグメントがジャイリコンシートの1420の平面に平行になるように配向される。観察者Iは最大限に飽和した色を見る。このボールの配向は、ジャイリコンの平面に垂直な電界を、電界強度E>Φ1/T、又は換言すれば、V>Φ1のようなシート1420を横切る電圧差Vで印加することにより得ることができる。
図14Fの2番目の図において、ボール1421は、その中心セグメントがジャイリコンシート1420の平面に垂直になるように配向され、ボール1422及び1423は、それらの中心セグメントがジャイリコンシート1420の平面に平行になるように配向される。観察者Iは適度に飽和した色を見る。このボールの配向は、第一パスにおいてジャイリコン平面における電界を、電界強度E1>Φ1/T(すなわち、V/W>Φ1/Tとなる電圧差)で印加し、その後第二パスにおいて、ジャイリコン平面に垂直な電界を、Φ1/T>E2>Φ2/Tとなる電界強度E2(すなわち、Φ1>V>Φ2となるシート1420を横切る電圧差V)で印加することにより得ることができる。第一パスは3つのボール1421、1422、1423を全て、それらの中心セグメントがシート1420の平面に垂直になるように配向する。第二パスはボール1422及び1423を再配向し、それらの中心セグメントはジャイリコンシート1420の平面に平行となる。第二パスは、印加電界がボール1421に対する回転しきい値より小さいので、ボール1421の配向に影響しない。
図14Fの3番目の図において、ボール1421及び1422は、それらの中心セグメントがジャイリコンシート1420の平面に垂直になるように配向され、ボール1423は、その中心セグメントがジャイリコンシート1420の平面に平行になるように配向される。観察者Iは、少し飽和した色を見る。このボールの配向は、第一パスにおいてジャイリコン平面における電界を、電界強度E1>Φ1/T(すなわち、V/W>Φ1/Tなどの電圧差)で印加し、その後第二パスにおいて、ジャイリコン平面に垂直な電界を、Φ2/T>E2>Φ3/Tとなる電界強度E2(すなわち、Φ2>V>Φ3となるシート1420を横切る電圧差V)で印加することにより得ることができる。第一パスは3つのボール1421、1422、及び1423を全て、それらの中心セグメントがシート1420の平面に垂直になるように配向する。第二パスはボール1423を再配向し、その中心セグメントはジャイリコンシート1420の平面に平行となる。第二パスは、印加電界がこれらのボールに対する回転しきい値より小さいので、ボール1421及び1422の配向に影響しない。
図14Fの4番目の最終図において、ボール1421、1422及び1423は全て、それらの中心セグメントがジャイリコンシート1420の平面に垂直になるように配向される。観察者Iは最小限に飽和する色を見る。このボールの配向は、ジャイリコン平面における電界を、電界強度E>Φ1/T、又は換言すれば、V/W>Φ1/Tとなる電圧差Vで印加することにより得ることができる。
これらの例により、可変の色飽和度をジャイリコンシート1420に提供するために、一連の一つかそれ以上の電界が印加されうる。一連の各印加電界はシート1420の平面においてか、又はシート1420の平面に垂直であるか、の二つの方向の一つに配向される電界ベクトルを有する。色飽和度は着色された中心セグメントがシート1420の平面に平行で、従って観察者Iに観察可能に配向されるボールの比率を制御することにより制御される。各ボールは、「完全にオン」、すなわち、観察可能な色に可能な最大の寄与をするように配向され、又は「完全にオフ」すなわち、観察可能な色に最小の貢献をするように配向されるという二つの配置の一つにある。前述の傾斜電界手法と異なり、中間配向は用いられない。
一般に、ジャイリコンボールのNの異なるセットがあり、各セットが別個のしきい値Φnを有し、各ボールが二つの配向のうち一つにあることが可能なジャイリコン画像素子は、Nのアドレッシングパスが用いられる場合(つまり、各セットが個々にアドレッシングされる場合)、ボール配向の異なる組み合わせを2Nまで提供できる。例えば、図10A乃至10Cを参照して前述されたRGBジャイリコンの赤のサブピクセルが、その中に赤が中心セグメントであるボールの5セットを有し、各セットが別個の回転しきい値を有し、サブピクセル中の各ボールが、その中心セグメントが観察可能な表面に平行(「完全にオン」)又は観察可能な表面に垂直(「完全にオフ」)のいづれかになるように配向されうる場合、(2)5=32までの赤色の飽和度の異なるレベルがサブピクセルに提供されうる。あいにく、ボール配向の全ての2Nの利用可能な組み合わせにアクセスすることは必ずしも実用的であるとは限らない。従って、この例において、赤のサブピクセルの全ての32の飽和レベルにアクセスすることは、ボールの5セットの各々が別個にアドレス指定されることを必要とし、それは次に5つのパスのアドレッシングを必要とする。一般に、ボール配向の2Nの利用可能な組み合わせのあらゆる任意の一つにアクセスするために、Nのパスのアドレッシングが必要とされ、それはNのあまり高くない値にとってさえ法外な多くの時間を必要とする。
複数のしきい値のジャイリコン画像要素における可変の色飽和度を制御するもう一つの方法は、N+1レベルの利用可能な飽和度を提供し、ボールの母集団当たり必要とするアドレッシングパスは多くとも二つである。この方法は次のように作用する:通常二つの隣接するしきい値ΦiとΦi+1との間の値である、カットオフ値が選択される。このカットオフ値は、母集団のボールのNセットを二つのより大きなグループに分割するのに役立つ。カットオフ値より大きい回転しきい値を有するボールは全て第一グループに入り、カットオフ値より小さいか同等のしきい値を有するボールは全て第二グループに入る。二つのグループは二つのパスでアドレス指定が可能である。第一パスにおいては、第一及び第二グループの双方のボールが全てデフォルト配向にリセットされ(例えば、「完全にオフ」配向)、それに続く第二パスにおいては第二グループのボールだけが、選択されるカットオフ値と同等の強度を有する電界を印加することによって、デフォルトでない配向(例えば、「完全にオン」配向)に配向される。
このもう一つの方法の一例は、図14Fの2番目の及び3番目の前述の説明で示されており、その中において、示されるボール配向を得るために二つのアドレッシングパスがどのように用いられうるかを説明した。エラストマーの厚さTを横切って印加される電圧として表される、図14Fの2番目の図に対するカットオフ値Φcは、Φ1>Φc>Φ2となるように選択され、図14Fの3番目の図に対しては、Φ2>Φc>Φ3となるように選択される。
更に、カットオフ値ΦcがΦc>Φ1となるように選択されると(例えば、Φc=Δの場合)、もう一つの方法は図14Fの1番目の図に示されるボール配向を得るのに用いられうる。同様に、カットオフ値がΦ3>Φcとなるように選択されると(例えば、Φc=0の場合)、この方法は図14Fの4番目の最終図に示されるボール配向を得るのに用いられうる。これらの事例の各々において、二つのパスのアドレッシングは、単一パスのアドレッシングで十分である故に、やや冗長である。つまり、図14Fの1番目の図に対し、第一アドレッシングパスの結果は第二パスで完全に復元(undo)され、図14Fの4番目の図に対し、第一パスの結果は第二パスによるそれ以上の補正を必要としない。従って、そのような場合、アドレッシング時間を低減するために、冗長なアドレッシング工程を省くことは価値があることとなりうる。
複数のしきい値で複数のパスのアドレッシングに対するもう一つの、カットオフ値の方法は、より一般的だがより多くの時間を必要とする、前述の、色の存在(presence)の制御の適用に対するNのパスの方法より好まれる場合が多い。特に、二つのパスの方法はNが大きい場合色の存在を制御するのに特にうまく作用する。制御の利用可能な階調の数はN+1であり、アドレッシングパスの数は2以上になることはない。従って、色飽和度、グレイスケールのようなものに対する微調整が容易になる。
更に、カットオフ値アドレッシングの方法は、非常にシャープなしきい値の必要性を不要にすることが可能である。Δのゼロでない値は、ボールの所与の母集団に対するしきい値領域を画定する;この領域のカットオフ値Φcを選択すると、母集団は二つに分割される。例えば、再び図14Dを参照すると、第一の母集団の各ボールはほぼΦ1とΦ1+Δ1との間の回転しきい値を有する。(例えば)ボールの第三の母集団に関連する色飽和度は、第一パスにおいてΦ1+Δ1を超える印加電圧で第三の母集団のボールを全てデフォルト配向にリセットし、その後、第二パスにおいてΦ1<Φc<Φ1+Δ1となるカットオフ値Φcの印加電圧で、新規のデフォルトでない配向にボールのサブセットを配向することにより制限されうる。これは第二及び第三の母集団のボールに繰り返されることができ、各色に所望の飽和度が達成されるまで、印加電圧を毎回適切に低減させる。この例から、各母集団に対するしきい値幅Δが、色飽和度が制御されうる精度の段階に影響しえることが理解できる。Φcが選択されうる精度が制限されると仮定すると、Δがゼロに向かい低減されるにつれ、各母集団内に利用可能なカットオフ値が事実上より少なくなり、それに従ってその母集団に関連する色に対する色飽和度制御の階調がより少なくなる。従って、カットオフ値複数しきい値アドレッシングの方法は、広いしきい値幅を最良の状態になるまで変化させる;急なしきい値はこの方法では特に望まれない。
図14Dにおけるボールの3つの母集団に対し、カットオフ値複数しきい値アドレッシングの方法に必要なアドレッシングパスは多くて6つである。一般に、ボールのKの母集団に対し、この方法が必要とするアドレッシングパスは多くて2Kである。
図14Gの一連の図は一つの層につき一つの母集団を有する、3つのセグメントから成るボールの3つの母集団を有する3層ジャイリコンに適用されるカットオフ値アドレッシングの方法の一例を図示する。例えば、ジャイリコンはCMYジャイリコンでありうる。各層のボールの母集団は異なる関連最小しきい値Φ及びゼロでないしきい値幅Δを有すると仮定される。特に、この例の目的のために、各層のボールの母集団は幾つかのサブ母集団から成り、各サブ母集団は、ΦからΦ+Δまでの領域の明確な(シャープな)しきい値を有すると仮定される。一連の図は全て、厚さT(すなわち、シート1450の各層は厚さT/3を有する)及び幅Wを有するジャイリコンシート1450における単一ピクセル領域の側面図である。
エラストマーの厚さTに対し、層1453のボールは最低の最小しきい値電位Φ3及びゼロでないしきい値幅Δ3を有する;層1452のボールは中間のしきい値電位Φ2及びゼロでないしきい値幅Δ2を有する;層1451のボールは最高しきい値電位Φ1及びゼロでないしきい値幅Δ1を有する。各層は、シート1450の平面に平行又は垂直のいづれかに配向されうる電界でアドレス指定される。
層1453のボールの母集団はボール1453a,1453b、1453c、1453d、及び1453eを含み、それらは個々の回転しきい値Φ3a、Φ3b、Φ3c、Φ3d及びΦ3eをそれぞれ有し、(Φ3+Δ3)>Φ3a>Φ3b>Φ3c>Φ3d>Φ3e>Φ3となる。層1452のボールの母集団はボール1452a,1452b、1452c、1452d、及び1453eを含み、それらは個々の回転しきい値Φ2a、Φ2b、Φ2c、Φ2d及びΦ2eをそれぞれ有し、(Φ2+Δ2)>Φ2a、Φ2b、Φ2c、Φ2d>Φ2d>Φ2e>Φ2となる。層1451のボールの母集団はボール1451a,1451b、1451c、1451d、及び1451eを含み、それらは個々の回転しきい値Φ1a、Φ1b、Φ1c、Φ1d及びΦ1eをそれぞれ有し、(Φ1+Δ1)>Φ1a>Φ1b>Φ1c>Φ1d>Φ1e>Φ1となる。
図14Gの1番目の図において、第一アドレッシングパスに対応して、電界E1‖はシート1450の平面に印加される。この電界は十分な強度を有し、3層全てのボール全てを回転する;つまり、印加電圧V1‖は(V1‖/W)>(Φ1+Δ1)/Tとなる。ボール1451a、1451b、1451c、1451d、1451e、1452a、1452b、1452c、1452d、1452e、1453a、1453b、1453c、1453d、及び1453eは全て回転され、それらの双極子モーメントは印加電界と一致し、それらの中心セグメントがシート1450の平面に垂直となるように配向させる。換言すれば、ボール全てがそれらの「完全にオフ」配向に置きかえされる。
図14Gの2番目の図において、第二アドレッシングパスに対応して、電界E1はシート1450の平面に垂直に印加される。この電界は十分な強度を有し、層1451のボールの幾つかと層1452及び1453のボールの全てを回転する;つまり、シート1450の厚さTを横切る印加電圧V1⊥は(Φ1+Δ1)>V1⊥>Φ1となる。この例においてより詳細には、ボール1451c、1451d、及び1451eが印加電圧で影響を受け、ボール1451a及び1452bが受けないように、印加電圧V1⊥は選択される。従って、Φ1b>V1⊥>Φ1cとなる。(換言すれば、V1⊥はボールの第一の母集団に対するカットオフ値Φcを画定する。)印加電界E1⊥に反応して、ボール1451c、1451d及び1451eは、ボール1452a、1452b、1452c、1452d、1452e、1453a、1453b、1453c、1453d、及び1453e全てと共に回転され、それらの双極子モーメントは印加電界と一致し、それらの中心セグメントがシート1450の平面に平行になるように配向させる。つまり、これらのボール1451c、1451d、1451e、1452a、1452b、1452c、1452d、1452e、1453a、1453b、1453c、1453d、及び1453e全てが、第二パスの端で「完全にオン」配向に配向される。ボール1451a及び1452bはそれらの置きかえでは変化せず、「完全にオフ」配向のままである。
第3アドレス指定パスに対応する図14Gの3番目の図において、電界E2‖はシート1450の面に印加される。電界は、層1452及び層1453の全てのボールを回転させるのに十分な力を持つ一方、層1451のいかなるボールにも影響を及ぼさずにいる。すなわち、印加電圧V2‖は、(φ1/T)>(V2‖/W)>(φ2+Δ2)/Tとなる。ボール1452a、1452b、1452c、1452d、1452e、1453a、1453b、1453c、1453d及び1453eは、双極子モーメントが供給された電界と整合するように回転されて、ボールの中心セグメントがシート1450の面に垂直に配向するようにする。換言すれば、層1452及び層1453の全てのボールは「完全オフ(fully off)」方向に再びリセットされると共に、層1451のボールをそのままにしておく。
第4アドレス指定パスに対応する図14Gの4番目の図において、電界E2⊥はシート1450の面に対して垂直に供給される。電界は、層1452の幾つかのボール及び層1453の全てのボールを回転させるのに十分な力を持ち、層1451のいかなるボールにも影響を及ぼさない。すなわち、シート1450の厚さTを横切る印加電圧V2⊥は、(φ2+Δ2)>V2⊥>φ2となる。本例をより具体的に示すと、印加電圧V2⊥は、ボール1452b、1452c、1452d及び1452eが印加電圧に影響される一方、ボール1452aが影響されないように選択されている。従って、φ2a>V2⊥>φ2bである。(言い換えれば、V2⊥はボールの第2母集団のカットオフ(臨界)値φcを定義する。)供給された電界V2⊥に応じて、ボール1452b、1452c、1452d、及び1452eは、ボール1453a、1453b、1453c、1453d、及び1453eの全てと共に、双極子モーメントが供給された電界と整合するように回転されて、ボールの中心セグメントがシート1450の面に平行に配向されるようにする。すなわち、これら全てのボール1452b、1452c、1452d、1452e、1453a、1453b、1453c、1453d、及び1453eは、第4パスの終わりで「完全オン(fully on)」方向に向けられる。ボール1452aは「完全オフ(fully off)」方向にリセットされたままである。
第5アドレス指定パスに対応する図14Gの5番目の図において、電界E3‖はシート1450の面に供給される。電界は、層1453の全てのボールを回転させるのに十分な強度を持つ一方、層1451及び層1452のいかなるボールにも影響を及ぼさずにいる。すなわち、印加電圧V3‖は、(φ2/T)>(V3‖/W)>(φ3+Δ3)/Tとなる。ボール1453a、1453b、1453c、1453d及び1453eは、双極子モーメントが供給された電界と整合するように回転されて、ボールの中心セグメントがシート1450の面に垂直に配向されるようにする。換言すれば、層1453の全てのボールは「完全オフ(fully off)」方向に更にもう一度リセットされると共に、層1451及び1452のボールをそのままにしておく。
第6アドレス指定パスに対応する図14Gの最後の6番目の図において、電界E3⊥はシート1450の面に対して垂直に供給される。電界は、層1453の幾つかのボールを回転させるのに十分な力を持ち、層1451及び層1452のいかなるボールにも影響を及ぼさない。すなわち、シート1450の厚さTを横切る印加電圧V3⊥は、(φ3+Δ3)>V3⊥>φ3となる。本例をより具体的に示すと、印加電圧V3⊥は、ボール1453eが印加電圧に影響される一方、ボール1453a、1453b、1453c及び1453dが影響されないように選択されている。従って、φ3d>V3⊥>φ3eである。(言い換えれば、V3⊥はボールの第3母集団のカットオフ(臨界)値φcを定義する。)供給された電界V3⊥に応じて、ボール1453eは、双極子モーメントが供給された電界と整合するように回転されて、ボールの中心セグメントがシート1450の面に平行に配向されるようにする。他のいかなるボールも影響されない。
これで図14Gのアドレス指定シーケンスを終了する。第6パスが終了した後、観察者Iがピクセルを見ると、ピクセルは層1451のボールの中心セグメントによって提供される色が適度に飽和され、層1452のボールの中心セグメントによって提供される色が極めて飽和され(heavily saturated)、層1453のボールの中心セグメントによって提供される色が極めて僅かに飽和されている(very lightly saturated)。また、図14Gで、ボールが5個の不連続なしきい値を有し、減少する回転しきい値の順に整然と配されるように示されているが、これは単に説明をわかりやすくするためになされているだけである。実際は、ボールの各母集団は多数のしきい値を有し、統計的に、層1451ではφ1と(φ1+Δ1)の間の間隔に分配され、層1452ではφ2と(φ2+Δ2)の間の間隔に分配され、層1453ではφ3と(φ3+Δ3)の間の間隔に分配される。これらの異なるしきい値のボールは、それぞれの層を通じて空間的に分配される。
図14F及び図14Gに用いられる平行且つ垂直なアドレス指定電界は、図8Aを参照して前に記載された傾斜角度電界電極構造に似た電極構造を用いて、各ピクセル又は他の画像要素ごとに別個に生成される。しかしながら、平行且つ垂直なアドレス指定電界だけが必要とされるので、電圧V1、V2、V3及びV4は、V1=V2及びV3=V4またはV1=V3及びV2=V4でなければならない。従って、電圧制御回路は十分に一般的な傾斜電界能力を提供するのに必要な制御回路と比べて簡単であってもよい。
また、平行且つ垂直な電界は、図8Fに示される電極構造より簡単で且つより安価な構造で生成される。図8Fでは、面内「消失(erase)」電界は、一度にジャイリコンシート全体に供給され、垂直電界のみが各画像要素毎に別個にアドレス指定可能である。この構造は、マルチしきい値マルチパスアドレス指定よりも図14Gに示されるようなカットオフ値方法にうまくはたらく。これは、デフォルト方向が「完全オフ(fully off)」ならば、各ピクセルのボールの母集団毎の第1アドレス指定パスは常に大量の消去を伴うためである。幾つかのボールを「完全オン(fully on)」にする第2パスは、ピクセル毎の印加電圧によって変わる。図8Fの電極構造は、ボール方向の全ての2Nの可能な組み合わせにアクセス可能な、より一般的なNパス方法には十分でない。
なお、色存在(color presence)制御のためのマルチしきい値方法に関して、もしジャイリコンの各色のボールの異なる回転しきい値が異なるサイズのボールを用いることによって達成されるならば、どのボールが大きく、どのボールが小さくあるべきかの選択は、各色に必要とされる存在解像度(presence resolution)のステップの数によって決められることに注目したい。例えば、多層CMYKジャイリコンにおいて、シアン層のボールが第1平均半径を有し、マゼンタ層のボールが第2平均半径を有し、黄色層のボールが第3平均半径を有し、黒色層のボールが第4平均半径を有すると仮定する。この場合、最も大きな半径を有するボールは黄色層にあり、最も小さい半径を有するボールは黒色層にあるのが好ましい。これは、一般的に、人間の目が色飽和度の階調よりもグレースケールの階調をより一層分解し、他の色の階調よりも黄色の階調を分解しにくいためである。マルチしきい値方法が用いられると、所定のピクセルの所定の色の利用可能な階調の数は、ピクセルにおけるその色の別々にアドレス指定可能なボールの数に依存する。つまり、所定の色のボールの数がより多ければ、最終的な混色においてその色の存在に対する制御がより精密になる。従って、黄色には精密な制御が最も必要とされず、黒色には精密な制御が最も必要とされるので、1ピクセルあたりのシアン又はマゼンタボールの数に比べて1ピクセルあたりの黄色ボールの数は比較的少なく、1ピクセルあたりのシアン又はマゼンタボールの数に比べて1ピクセルあたりの黒色ボールの数は比較的多い。
図14F及び図14Gに示されるマルチしきい値マルチパス方法及び図8A乃至図8Cを参照して先に記載された傾斜角度電界方法は、ジャイリコンのいかなる1つの画像要素におけるあらゆる所定の色の存在の度合い(例えば、色飽和度、グレースケールレベル等)を制御するための2つの異なる方法のセットである。簡潔にまとめると、これら2つの方法のセットは以下のように対比される。
・傾斜角度電界方法は、ジャイリコン観察可能な表面に対する各ボールの角度、従って、各ボールが観察可能な色に寄与する度合い、を変えることによってはたらく。各ボールは、連続する角度の範囲のあらゆる角度に対する傾斜電界によって回転される。所定の領域の全てのボールは一度に回転される。アドレス指定は単一の動作で行う。
・マルチしきい値マルチパス方法は、回転されるボールの割合、従って、観察可能な色に寄与する利用可能なボールの数、を変えることによってはたらく。各ボールは、「完全オン(fully on)」(観察可能な色に対する最大の寄与)又は「完全オフ(fully off)」(観察可能な色に対する最小の寄与)の2つの位置の内の1つに対して回転可能である。傾斜角度電界方法と異なり、中間位置がない。アドレス指定は一連のパスで行われる。例えば、全てのボールが第1パスで「完全オフ(fully off)」にリセットされ、次にボールのサブセットが第2パスで「完全オン(fully on)」に配向されてもよい。
図14Eに述べたように、マルチしきい値方法及び傾斜角度電界方法は、単一のジャイリコンで一緒に用いてもよい。マルチしきい値方法が特定の群(例えば、層)を選択するのに用いられ、傾斜角度電界方法が各選択された群の中の色存在を制御するのに用いられる。
ジャイリコンシートにおいて異なるボールを戦略的に配置するための製造方法
図10A乃至図10CのRGBジャイリコンは、3つの異なる種類のボール、即ち、赤い中心セグメントを持ったボール、緑の中心セグメントを持ったボール、及び青の中心セグメントを持ったボール、で構成されている。これら3つの種類のボールは、ジャイリコンシートの異なるサブピクセル領域に配置される。赤のサブピクセルは、赤の中心セグメントをもったボールのみを含み、他の2種類のボールを含まない。同様の、緑のサブピクセルは緑の中心セグメントをもったボールのみを含み、青のサブピクセルは青の中心セグメントをもったボールのみを含む。次に、このジャイリコンを製造するには、異なる種類のボールをエラストマーシートのそれぞれの異なる場所に配置するための製造技術を要する。それによって、赤、緑、青のサブピクセルの所望の幾何学的パターン(例えば、図10Cのパターン)が得られる。
明確に着色されたジャイリコンボールの組み合わせパッチから、表示を作り出すのが望ましい他の例がある。一例として、自動車の表示の場合、速度計は赤と白の2色のボールを用い、路程計は緑と白の2色のボールの領域を用い、燃料計は黒と白の2色のボールを用い、タコメータは蛍光の青と白の2色のボールを用いて表示される。またもう1つの例は、図7A及び図7Eに従って作成される装飾的にパターン化されたジャイリコンに基づいたアーキテクチャ(建築用)スクリーンである。例えば、異なる種類の透明な中心セグメントを有する異なるボールのパターン(例えば、透明のもの、他には「スモークガラス(smoke-glass)」に着色したもの、更にはピンクがかった又は他の色がついたもの)が望ましい。
一般的に、製造工程中のエラストマー層の異なる好ましく選択された場所に、異なる種類のジャイリコンボールを配置するのが必要又は好ましい様々な状況がありうる。「異なる種類(different kinds)」とは、1つのセットのボールともう1つのセットのボールの間のあらゆる物理的相違を意味する。これには、(1)ボール内の領域の中の異なる光学的性質(どの色かは一例にすぎない)及び光学的性質の分配と、(2)ボール回転しきい値に影響を及ぼすことができる性質として前に述べた、大きさ、形、電気的単極子及び双極子モーメント等の幾つかの及び全ての前述の電気的、機械的、構造的及び物質的性質と、(3)一般的に、例えば、そうした性質を有するジャイリコンボールの強磁性の性質等の異なるボールを区別するのに用いられるあらゆる他の物理的性質と、を含む(この例として、米国特許第4、126、854号を参照のこと)。
ジャイリコンエラストマーシートを製造する間に、パターン化された配置又は他の戦略的ボール配置を得るための様々な方法が用いられる。そのような方法の1つとして、非定着ゼログラフィック技術がある。これは、異なる種類のジャイリコンボールの所望のパターンが、ジャイリコンボール自体を含む「トナー(toners)」を用いて、部分的に加硫されたエラストマー上にゼログラフィック的に「プリントされる(printed)」ものである。このようにして、異なる種類のジャイリコンボールは部分的に加硫されたシートのあらゆる所望の場所に配置される。一旦ボールが必要に応じて配置されると、未加硫の液状のエラストマー材料が更にボールに注がれ、結果として、エラストマーシートはその上部にではなくその内部に配置されるジャイリコンボールを有する。
観察により、ゼログラフィー方法では、球状のジャイリコンボールが、ある意味で従来のゼログラフィーで用いられるトナー粒子に非常に似ていることが分かっている。特に、ジャイリコンボールはトナー粒子のように誘電的且つ容易に摩擦電気的に帯電され、一般的にトナー粒子と略同じ大きさである。これは、ジャイリコンボールが通常のトナーの代わりにゼログラフィック現像装置に配置され、続いて現像装置がゼログラフィック機械装置に配置されるならば、機械装置はボールでできた画像を生成する。
一般的な形式のゼログラフィック現像装置は、サンプ中で、トナー粒子を鋼又はフェライト(磁性の)ビーズと混ぜ合わせることによってはたらく。トナー粒子を鋼又はフェライトビーズと混ぜ合せる工程において、トナー粒子は摩擦電気的帯電を行う。このトナーとビーズの混合物の一部分は、表面に反対の極性を持つ荷電の像様の分配を有する光導電ドラムの表面に対してブラシかけされる。ゼログラフィック技術でよく理解されるように、これは、光導電ドラムの表面をコロナ放電装置からのイオンによって均一に帯電し、次に画像からの光へと露光することによって光導電ドラムを像様に放電することで得られる。トナー粒子は、高濃度の反対の極性の電荷を有する。これによって、像様のトナー画像が生成される。
従来のゼログラフィーでは、1枚の紙を光導電ドラムと接して配置し、もう1つのコロナ放電装置を紙の反対側に配置し、トナーを紙の表面に引きつけることによって、次に光導電ドラム上に形成されるトナー画像が紙に転写される。その後、トナーは紙に定着(溶融)される。ここでは、勿論、ジャイリコンボールを溶融するのは好ましくなく、好ましい受像表面は紙ではなくむしろジャイリコン自体のエラストマーシートである。従って、非定着ゼログラフィック工程が用いられる。(他の非定着ゼログラフィック工程は公知である。例えば、米国特許第5、075、186号を参照のこと。)ジャイリコンボールでできたトナーは、光導電ドラム上に生成され、光導電ドラムから好ましくは粘性のある、部分的に加硫された状態のエラストマー材料でできた粘着性受像媒体上に転写される。
ジャイリコンボール配置に適した非定着ゼログラフィックカラープリンタの一例が、図15Aに示されている。図15Aの説明のため、1つが赤、1つが緑、1つが青の3つのセットから成るジャイリコンボール(例えば、それぞれ赤、緑、青の中心セグメントを持つ3セグメントボール)がジャイリコンシートに配置されるとすると、全ての2つ以上のセットがこの方法で配置されることが分かる。
光導電ドラム1505は、第1レーザ光画像で露光されて、像様にドラム1505を放電する。公知のレーザプリント及びディジタルゼログラフィック技術で用いられるように、画像のためのレーザ光はミラー1503及びレンズ1504と共にレーザ1502を走査することによって生成される。ドラム1505が反時計回り方向(矢印aの方向)に回転するにつれて、フェライトビード及び赤のボールでできたトナーの混合物を含む赤現像ハウジング1510がドラム1505と略接するように動かされる(矢印dに示される)。磁気ビードとトナーの混合物は、光導電ドラム1505の表面をブラシかけする。磁界(図示せず)は磁気ビード上に保持される。現像ハウジング1510とドラム1505の間のバイアス電圧によって、トナー(ここでは赤いボール)は、電荷が第1レーザ光画像で露光することで除去された、光導電ドラムの領域にあるドラム1505の表面に付着する。このようにして、赤ボールから成る像様層は光導電ドラムの表面上に作成される。次に、この画像1526は、光導電ドラム1505の表面と記憶ドラム1525の表面の間に高い電界を生成することによって記憶ドラム1525へ転写される。記憶ドラム1525は、ドラム1505と反対方向に回転される(矢印bに示される)赤いボールでできた画像1526は、記憶ドラム1525に記憶されるように示されている。
次に、光導電ドラム1505は、再びコロナ放電装置によって均一に帯電され、このときレーザ1502によって再び生成された第2レーザ光画像によって放電される。このとき、緑のボールでできたフェライトビードとトナーの混合物を含む緑現像ハウジング1511が係合され、赤ボール画像1526で行われたのと同じ方法で光導電ドラム1505の表面上に緑のボールを像様に付着する。ここでは、ドラム1505上に存在したままの緑ボール画像1527は、すでにある赤のボール画像1526上に正確に重ね合うように記憶ドラム1525へ転写される。
同様に、現像ハウジング1512からのトナーでできた第3画像(図示せず)は、光導電ドラム1505上で生成され、予め重ね合わせられた赤のボール画像1526及び緑のボール画像1527上に正確に重ね合うように記憶ドラム1525へ転写される。
3つ(又はそれ以上)の全ての色付けされた画像が、記憶ドラム1525の表面上に積み上げられると、画像は受像表面1530へ転写される。従来のゼログラフィックプリンタでは、受像表面は通常紙であり、その次のステップではトナー画像を紙に熱定着させる。ここで、受像表面は、含まれるボールをジャイリコンのエラストマー層に配置する粘着性表面であり、定着ステップはない。
部分的に硬化されたシルガード(SYLGARD)184エラストマーの薄層、すなわちジャイリコン(gyricon)シートを作るのに好適なエラストマー材料は、とても粘着性があるということがわかった。受像面1530が部分的に硬化されたエラストマーの表面であり、またこの表面がストレージドラム1525の表面と同じ方向(矢印c)に同じ表面速度で移動され、ストレージドラム1525の表面に非常に接近するようにされるとすると、ストレージドラム1525上に格納された着色されたボール画像のかなりの部分は、受像面1530に移動される。(ストレージドラム1525の表面は、受像面1530の粘着性があるエラストマーに直接接するように実際配置できるように、例えばテフロン(TEFLON)のような粘着性のない物質で都合よく被覆され得る。)これら2つの表面を横切って強力な電界が配置されるとすると、着色されたボール画像のさらに多くの部分が移動される。
非硬化エラストマーを移動された着色されたボール画像の表面上に注ぎ、閉じ込められた空気を(例えば、真空装置の利用又は遠心分離装置の使用により)除去し、エラストマーを硬化すると、着色されたボール画像のカプセル化が生じる結果となる。従って、ストレージドラム1525上に形成された着色されたボール画像の重ね合わせは、ジャイリコンのエラストマーシートにおけるボールのパターンとなる。ボールを中で回転自由にさせるようにエラストマーシートを膨張させるために、誘電流体可塑剤を利用して可塑化を行った後、ジャイリコンはすぐに使用できる状態となる。
図15Bは、図15Aのゼログラフィック装置の現像ハウジング1510、1511、1512で用いる、トナーとビードとのパウダー混合物を示す超拡大図である。パウダー1515は、フェライト(ferrite)又は他の磁性体でできた多数のビード1517と一緒に混ぜ合わされた、多数のジャイリコンボールを含む。ビード1517は、フェライトビードが摩擦電荷を、従来のゼログラフィックトナーにおけるドライインク又は他のマーキング物質の粒子に与えるのに役立つ方式と類似した方式で、摩擦電荷をボール1516に与えるのに役立つ。典型的には、ビード1517の数はボール1516の数にほぼ等しく、またビード1517はボール同様球状であるが、大きさの順についてはビードの方がボール1516よりもサイズが大きい。しかし、個々のアプリケーションに適するように、異なる種類のジャイリコンボールや、異なる材料及びサイズのビードや、混合におけるボールのビードに対する異なる割合を用いることができる、ということは理解されるであろう。
図15Cは、非硬化エラストマーを移動された着色されたボール画像上に注ぐステップを例示している。受像面1530からの部分的に硬化されたエラストマー上に、ストレージドラム1525から移動された着色されたボール画像があるセクション1542は、保持台1538へ移動され、図示されているように保持壁1539a、1539bの間に配置される。ボール1545は、移動された着色されたボール画像を構成するジャイリコンボールである。非硬化エラストマー1541は液体であるが、ボール1545をエラストマーにおけるそれぞれの位置から動かさずにボールを覆うような方式で、容器1540から、部分的に硬化されたエラストマーセクション1542及びボール1545上に分配される。従って、非硬化エラストマー1541がさらに加えてボール上に注がれるとき、ボール1545で形成された着色されたボール画像は、乱されないでそこにとどまる。保持壁1539a、1539bは、分配された非硬化エラストマーを、硬化処理の間同じ場所に保持する。
ゼログラフィックボール配置方法は、エラストマー材料全体に均一には分配されない、2つ又はそれ以上の異なった種類のボールを含む、あらゆるジャイリコンを製造するのに有用である。コストを低く抑えるためのもう1つの方法は、画像状の着色されたボールを分配するのに、ジャイリコンボールは非常に球状であり、またボールの表面に静電荷がないときには優れた流動特性を示す、という事実を利用することである。従って、“シルクスクリーニング(silk screening)”のようなことが可能なのである。
シルクスクリーンボール配置方法が、図15Dに例示されている。ボール1575はディスペンサー1570から、部分的に硬化されたエラストマーの粘着性のある層1590の上に配置されるスクリーン1580上に分配される。スクリーン1580は、ボール1575がこれからジャイリコンシートに配置される、所望の画像又はパターンを画定する複数の穴を有する。その穴は、ボール1575が通過するのに十分なほど大きいが、ボール配置の所望の解像度をもたらすのに十分なほど小さい。ボール1575はスクリーン1580上に配置され、攪拌機1581により与えられる適切な振動で、画像状にスクリーン1580の穴を通過する。部分的に硬化されたエラストマー層1590の表面に衝撃を与えると、ボール1575は層の表面に固着される。
前述のプロセスは、異なる種類のボールに対して異なるスクリーンを用いて、異なるボールの所望のパターンがエラストマー表面上に配置されるまで、繰り返すことができる。例えば、第1のシルクスクリーンをエラストマー層1590にレッドのボールを配置するのに用い、その後第2のシルクスクリーンをエラストマー層1590にグリーンのボールを配置するのに用いることができる。さらなるスクリーニングステップが、さらなる各カラーに対して用いられる。最後に、全てのボールが配置されたとき、非硬化エラストマーは、図15Cで示された方式と類似した方式で、配置されたボールを覆うように、ボール表面上に注ぐことができる。次に、閉じ込められた空気がエラストマーから除去され、そうするとエラストマーはすぐに硬化し可塑化できる状態となる。
結論
前述の特定の実施例は、本発明を実施する可能性のいくつかを述べているにすぎない。多くの他の実施例が、本発明の趣旨の範囲内で可能である。例えば、以下のような例が挙げられる。
・フルカラーディスプレイ又はフルカラーエレクトリックペーパーアプリケーション(full-color electric paper application)において用いられるジャイリコンは、従来のRGB又はCMY/CMYKカラー構成に限定される必要がない。色再現域を向上させるために、さらにカラーを加えて組み入れることができる。さらに、ハイライトカラーアプリケーション(highlight color application)に関しては上記に記載したように、例えば会社ロゴの正確な表現を確実にするために、特別のカスタムカラーを提供することができる。
・ジャイリコンボールの電気異方性は、ゼータ電位に基づく必要がない。ボールと関連した電気双極子モーメントがあり、その双極子モーメントが、印加された外部電界があるときには容易にボールを有用に回転させるような方法で、ボールに対して整合されることで十分である。(典型的には双極子モーメントは、ボールの対称軸に沿って配向される。)さらに、例えば、双極子モーメントが大きさが異なる2つの正の電荷の分離から生じるとき、得られた電荷分布は電気双極と重畳された正の電気単極子と同等であるように、ジャイリコンボールは電気双極子モーメントに加えて電気単極子モーメントを有することができる、ということに注目するべきである。
・上述したジャイリコンボールは、DCアドレッシング電圧に対して回転して応答するが、これらのボールはまた、一定のACアドレッシング電圧に対しても応答することができる。特に、マルチセグメントゼータ電位ベースのジャイリコンボールは、ビデオフレーム速度で動作する、ラスタ走査されたアドレス可能なディスプレイで用いるのに適している。さらに、本発明の態様のある程度は、ボールが非DC電圧(例えばRF電圧)に対してのみ回転して応答するジャイリコンにさえも適用できる、ということが認められるであろう。
・ジャイリコンボールの光学異方性は、カラーに基づく必要がない。(限定されないが)分極、複屈折、位相遅延、光散乱、及び光反射を含む他の光学的特性は、ジャイリコンボールの異なる相が観察者に向けられると、変化することができる。一般的にジャイリコンボールは、広くさまざまな方法で光を変調するのに用いることができる。
・ジャイリコンに当たる入射光は、可視光に限定する必要がない。ジャイリコンボールに適した材料が与えられれば、入射“光”は例えば赤外光又は紫外光であってもよく、またこのような光はジャイリコンにより変調することができる。
・いくつかの場合において前述の記載は、平面状のジャイリコンシート及び、シートに平行、シートの水平面、シートに垂直、シートに対して特定の角度でなどの位置にある、電界について言及している。しかし当業者は、可撓性材料で作られたジャイリコンシートは、厳密には全体が平面にならないように、一時的又は永久的に変形させる(例えば、曲げ、折り、又は丸め)ことができる、ということを認めるであろう。このような場合、例えば、ジャイリコンボール又は問題となるボールを含む、局部的な平面の近傍におけるシートに対して、電界角度を測ることができる。また、実際には電界は、例えば、個々のジャイリコンシート及び電極アセンブリの製造時における許容誤差又はわずかな欠陥のため、平行、垂直、及び述べられた他の角度での位置とはいくらか異なることもあり得る、ということがさらに認められるであろう。
・可撓性、軽量など、ジャイリコンの紙のような利点は、エレクトリックペーパーアプリケーションに特に有用である。しかし、早くから注目されているように、ジャイリコンは例えば、コンピュータースクリーン、自動車のダッシュボード、標識(display sign)などのような、動かない又は固定されたフラットパネルディスプレイ(flat-panel display)にも用いることができる。さらに、電導ベニス風ブラインド(electric Venetian blind)及び窓の日除け(windowshade)に関して上記に見られるように、ジャイリコンは情報表示媒体として用いる必要はない。本発明のジャイリコンにより提供された光を変調する能力は、多くの他のアプリケーションでも見られる。
・上記に記載した傾斜電界(canted-field)及びマルチしきい値(multithreshold)方法は、さらなるアプリケーションに役立つ。1つの可能性は、従来技術の白黒のジャイリコンボールを含むエラストマーシートと関連した。傾斜電界電極を用いることである。傾斜電界はボールを、あらゆる所望の角度に回転させることができ、つまり黒と白をあらゆる所望の混合にすることができ、それによってジャイリコンは、グレースケールイメージング(gray-scale imaging)が可能となる。もう1つの可能性は、3つの異なる電圧又は電圧幅を与える電動針(powered stylus)のような電圧源で、RGBマルチしきい値エレクトリックペーパー上に書くことである。これは使用者に、3つの異なるカラーでエレクトリックペーパー上に書けるようにさせる。
・上記に記載したフルカラージャイリコンは、例えば傾斜電界及びマルチしきい値方法を用いて、色飽和度の制御を行う。しかし、ピクセルごとの各カラーに対して2つの飽和度、つまり完全な飽和か又は最小の飽和のみを提供し、またさまざまな色飽和度の制御を行わない、フルカラーのピクセルアドレス可能なジャイリコンは、それにもかかわらず有用である。特に、ハーフトーンカラーアプリケーションに適している、CMYディスプレイを形成することができる。

Claims (2)

  1. 互いに実質的に平行に配列された複数のセグメントを有するスフェロイド状ボールであって、各セグメントは少なくとも1つの他のセグメントと隣接するとともに2つまでのセグメントと隣接し、隣接したセグメントは実質的に平面の境界面で互いに隣接され、該複数のセグメントは、
    第1のゼータ電位に関連付けられかつ第1の厚さと無彩色の第1の色を含む第1の光学変調特性を有する第1のセグメントと、
    第2のゼータ電位に関連付けられかつ第2の厚さと有彩色の第2の色を含む第2の光学変調特性を有する第2のセグメントと、
    前記第1と第2のゼータ電位の内の少なくとも1つとは異なるゼータ電位に関連付けられ、前記第1と第2の厚さの内の少なくとも1つとは異なる厚さと、前記第1と第2の光学変調特性とは異なる無彩色、有彩色または透明性を含む光学的変調特性を有する第3のセグメントとを有し、
    前記ボールは電気双極子モーメントを付与するための異方性を有し、該ボールの電気双極子が前記セグメントの内の少なくとも2つのセグメント間のゼータ電位の差によって生成されている間に該ボールが非振動電界中に回転可能に配置される場合に、電気双極子モーメントが該電界と整合する幾つかの向きの内の1つの向きに回転して、明確で観察可能な光学的特性を与える傾向があるように、該電気双極子モーメントが該ボールに電気的反応を起こさせる、スフェロイド状ボール。
  2. 表面を有する基板と、
    基板に配置される複数のスフェロイド状ボールと、
    を有する光学的変調装置であって、
    各スフェロイド状ボールは互いに近接する複数のセグメントを有し、各セグメントは少なくとも1つの他のセグメントに隣接するとともに、2つまでのセグメントに隣接し、
    該セグメントは、
    第1のゼータ電位に関連付けられかつ第1の厚さと無彩色の第1の色を含む第1の光学変調特性を有する第1のセグメントと、
    第2のゼータ電位に関連付けられかつ有彩色の第2の色を含む第2光学変調特性を有する第2のセグメントと、
    第3のゼータ電位に関連付けられかつ前記第1と第2の光学変調特性の少なくとも1つとは異なる無彩色、有彩色または透明性を含む光学的変調特性を有する第3のセグメントとを有し、
    各スフェロイド状ボールは電気双極子モーメントを付与するための異方性を有し、該ボールの電気双極子モーメントが前記セグメントの内の少なくとも2つのセグメント間のゼータ電位の差によって生成されている間に該ボールが非振動電界中に回転可能に配置される場合に、電気双極子モーメントが該電界と整合する幾つかの向きの内の1つの向きに回転する傾向があるように、該電気双極子モーメントは該ボールに電気的反応を起こさせ、
    各スフェロイド状ボールは複数の観測可能的アスペクトを有し、該アスペクトは基板の表面を観察するのに好ましい位置にいる観察者によって観察可能であるとともに、該アスペクトは、
    第1の光学変調特性に関連付けられる第1のアスペクトを有し、該第1のアスペクトは、該ボール基板内で回転可能に配置されるとともに該ボールの電気双極子が前記セグメントの内の少なくとも2つのセグメント間のゼータ電位の差によって生成されている間に、該ボールと該ボールの近傍に印加される第1の電界の影響を受けて観察者に対して第1の向きに回転により方向づけされる場合に観察可能であり、第1の印加電界は該ボールの近傍に最も近い表面の平面部分に垂直な電界ベクトルを有し、
    第2の光学変調特性に関連付けられる第2のアスペクトを有し、該第2のアスペクトは、該ボール基板内で回転可能に配置されるとともに該ボールの電気双極子が前記セグメントの内の少なくとも2つのセグメント間のゼータ電位の差によって生成されている間に、該ボールと該ボールの近傍に印加される第2の電界の影響を受けて観察者に対して第2の向きに回転により方向づけされる場合に観察可能であり、第2の印加電界は該ボールの近傍に最も近い表面の平面部分に垂直な電界ベクトルを有し、幾つかの明確で観察可能な光学的特性を提供する、
    光学的変調装置
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