JP4018033B2 - ブレード素材とその製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等において、感光体(ドラム、ベルト等)上の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードと現像器内でトナーを摩擦帯電させながら薄膜を形成する現像ブレード等の電子写真装置用ブレード(以下、ブレードともいう)、およびその製造方法並びにその製造装置に関し、詳しくは、熱硬化型ポリウレタンからなるブレードとその製造方法およびその製造装置に関する。
また、この発明は、トナーを除去するブレード用に限らず、ある表面に存在する他の粉体や液体皮膜を除去して掻き取る用途に用いるブレードに採用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の電子写真装置用ブレード(101)はに示すように、断面「へ」の字形の細長い金属板(103)(ホルダーという)に、同様に細長いポリウレタンシート(102)(ブレードという)を接着したものであり、そのブレード(102)のホルダー(103)と接着しない先端部は直線的に鋭利な稜線を形成している。なお、この電子写真装置用ブレード101をクリーニングブレードとして使用するときは、ホルダー(103)に接着剤を介してブレード(102)を接着し、そのブレード(102)の先端縁を、感光ドラムの外周面に当接している。その感光ドラムを回転させることにより、その外周面に付着した残留トナーを上記ドラムから掻き落とす。
【0003】
一般に、熱硬化性ポリウレタンエラストマーであるブレード(102)は、次の方法により製造されている。一つは、遠心成形法(図6(a)(b)参照)と呼ばれるもので、回転する中空のドラム51の内面に、予め混合された末端イソシアネートを有するウレタンプレポリマーと架橋剤(ポリオール等)との液状混合物(51A)を注入し、所定の時間、加熱を続けて反応させ大版の円筒状のポリウレタンシート(51B)を成形する。ドラム(51)から成形物を取り出し、切開し二次架橋から熟成工程を経て大判のポリウレタンシート(51B)を作り、所定寸法に裁断して多数の平板状のブレード(102)を得る。更にこのブレード(102)を図2に示すように支持体である金属製のホルダー(103)に接着固定して電子写真装置用ブレード101を得る。
【0004】
他の方法(図6(c)参照)として、型成形法と呼ばれるもので、予め接着剤を塗布処理された金属製のホルダーを所定の金型内56にセットし、予め混合された末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと架橋剤との液状混合物を注入し所定の時間、加熱を続けて一体に成形してブレード(102)を得る。次いでその金型からブレード(102)を取り出し二次架橋し、熟成工程を経て所定の寸法に裁断されて完成する。
【0005】
第3の方法は、本願発明者等が特許3004586号公報(特許文献1)等に提案している帯状連続成形法と呼ばれるものである。図3にしたがって説明する。末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、架橋剤とを、定量混合注型機により連続して所定量比で混合してなるポリウレタン液状物を回転している成形ドラム(3)の外周に形成された溝部に吐出口から吐出し、この溝部とエンドレスベルト(4)より構成される空間部内にこの混合物を充満させて所定時間加熱し重合させる。溝部はブレードの幅・厚みに対応する幅、深さを有するので、帯状に連続した成形物帯状ブレード素材Sを引き出し、冷却ロール(9)、冷却用コンベヤ(10)により冷却させて裁断装置(14)により定寸に切断することにより平板状のブレード(102)を得る。更に、このブレードは、支持体である金属製のホルダーに接着剤で、接着固定されて、必要に応じて、二次架橋を経て電子写真装置用ブレードを完成する。
【0006】
【特許文献1】
:特許第3004586号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の製造方法には、それぞれ次のような点で改善すべき余地がある。
【0008】
遠心成形法:一回の成形で多数のブレードが得られるという利点がある反面、バッチ処理になり注入から取り出しまでに長時間を要する。また、ブレードの成形工程では一度に多量のブレードを成形するのに対し、成形工程後はブレードを一個ずつホルダーに接着する必要があるなど、主要な工程間で連続性が欠けるため、製造工程を自動化するのが困難である。また、成形ドラムを高速で回転させる際に生じる振れや注入量のバラツキにより成形品に厚さのバラツキを生じ易い。
【0009】
型成形法:ブレードの寸法やホルダーの形状が異なるなど製品の種類ごとに金型を変更する必要があり、また大量生産するためには、各種類の金型をそれぞれ相当数ずつ準備しなければならず、しかもそれらの金型を収容し搬送する加熱炉も大型になり、設備全体の設置場所に広いスペースを要し、設備コストが高くなる。また、段取り替えに時間がかかるため、生産効率が低い。更に、一個づつ搬送されてくる金型に断続的に注入する必要があり、金型と金型の間はロスショット(ポリウレタン液状物の連続吐出)させるか、注型機の断続運転を必要とし、前者では材料ロスを生じ、後者では計量誤差を生じやすい。
【0010】
上記ポリウレタン液状物(未硬化ポリウレタン組成物)を金型内に吐出し、加圧し、加熱して帯状のブレードを成形する方法においては、加圧により、過剰のポリウレタン液状物をオーバーフローさせるため材料ロスが多く、加圧装置やオーバーフローしたバリの除去する装置等を必要とするため装置全体が大きくなる問題が予想される。
【0011】
帯状連続成型法:この方法によれば、エンドレスベルトは成形ドラムの外周面の溝部を覆って空間部(キャビテイともいう)を形成して、その空間部に前記混合物(流動性のある未硬化ポリウレタン)を充満させ、回転しながら加熱し硬化させて帯状のブレード成形物を成形する。成形ドラムの回転速度と吐出量とは、微調整されバランスされながら連続成形可能である。また、加圧しないのでいわゆるバリ(ハミダシ)を生じることがなく材料ロスも少ない。また、このブレード成形物は所定巾で一連に連続して取り出せるから、製品の個数に応じて必要な長さだけ成形し、製品の長さに合わせてブレード成形物を所定長さごとに切断することができる。したがって、あとはブレードを支持するホルダーにブレード成形物を接着剤で接着すれば、製品となる。このように、本発明の製造方法によると、所定巾であって所定長さのブレード成形物を必要な個数だけ連続的に製造することができるから、無駄がなく、またブレード成形物を一個ずつ順に送り出せるから、ホルダーに対するブレード成形物の接着を含めて自動化が容易に図られる。
【0012】
ただし、この連続成形方法では、エンドレスベルトが成形ドラムに接する位置において、ポリウレタン樹脂が成型溝から漏れだしたり、ポリウレタン樹脂の流動性が高すぎて、成型不良のブレードが発生する危険がある。これは、ポリウレタンの組成や成型溝の大きさに関係する。とくに、同組成のポリウレタンを用いる場合は、成形溝の深さが大きな要因である。
例えば、成形ドラムの外周面の溝の深さが0.80mmと浅い、すなわち、薄いブレードの作成には、熱の回りが早く硬化が進むためにポリウレタン液状物の流動が少ない状態で、成形ドラムのエンドレスベルトとの接触点に達するので、成形ドラムと従動して回転する金属製エンドレスベルトに押さえられて仕上がりの良好なブレードが成形されるが、中厚のブレード素材用である溝の深さが1.20mm以上になると、ポリウレタン液状物の流動による流れ込みが生じて、エンドレスのスチールベルトで押さえた場合に長さ方向にうねり状の不安定な凹みをもつブレードが生じる。さらに、厚手のブレード素材用である溝の深さが2.00mmになるとこの現象がさらに助長された凹みとなるため高品質のブレードを作成することが困難であった。
【0013】
本発明は上述の点を鑑みてなされたもので、厚み等の寸法制約に影響されることなく高品質のブレードを連続して製造することができ、生産効率が高く、簡単な構造で製造工程の自動化が容易な装置であり、設備コストも安くできるブレードとその製造方法およびその製造装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、成形用の成形ドラムの外部に加熱装置設けて、エンドレスベルトで成形溝表面を封鎖する前に注型された樹脂の表面の硬化を促進して、流動性を低下させることによって、ブレード素材の成形精度を向上させる製造方法、精度の高いブレード素材、ブレード素材製造装置を提供するものである。この製造方法によって成形ドラムの溝の深さが深くてもあるいは流動性が高い樹脂であっても、成形ドラムと接触していない液状の樹脂の上面が外部加熱装置により加熱されて反応が促進され、液の流動が抑えられて流れ込みが少なくなる。そのため硬化したポリウレタン液状物等の樹脂液は、その表面がわずかに凸状となっており、この部分を金属ベルトで押しているため、厚さが一定した高品質のブレードを作成することができる。
【0015】
上記の外部加熱装置を配設せずに成形ドラム外周面の溝である金型温度を上げることにより硬化速度を速くして流動性を低下させることも一案であるが、この場合は金型温度が高くなっているため熱硬化性であるポリウレタンであっても、液状物の粘度がいったん低下して流動性が増した後、硬化が始まって流動性が低下する挙動を示す。これは、液状物の粘度が温度の上昇に従って低下し、流動性が高くなるという一般的な現象の表れであると考えられる。熱硬化性樹脂であっても、反応が始まるまでの時間が流動性の上昇に対して遅れるために、このような現象が表れると考えられる。このため、回転ドラムの斜面に沿ってエンドレスベルトの成形ドラムに対する接触開始位置に液状の樹脂が流れ込む弊害を回避できない。また、使用する樹脂の種類や組成に応じて、大きな成形ドラムの加熱温度を調整することは困難である。発明者は、研究開発続けた結果、注型した樹脂の流動性を低下させるためには、液状の樹脂の表面側を加熱する手段が有効であることを見い出した。これによって、加熱ドラムからの熱によって成形溝の面に接する樹脂の硬化が始まると同時に表面側から硬化を開始させることができるので全体として流動性を低下させることができる。
【0016】
この出願の発明は、次の構成を主なものとする。
(1)内部加熱装置を備えた形成ドラムであって、その外周に周回する断面凹状の成形溝が形成された成形ドラムの外周に沿って、成形溝に合成樹脂供給手段、外部加熱手段、成形ドラムの成形溝を覆いながら成形ドラムに回転に従動して回送するエンドレスベルトを順次配置し、成形溝に供給した熱硬化性合成樹脂原料を成形ドラムの熱と外部加熱手段からの熱と、エンドレスベルトと成形溝から形成される成形空間によって、所定の幅と厚さを有する帯状のブレード素材を、成形ドラムの回転に従い連続製造する方法であって、
成形溝に供給された液状熱硬化性合成樹脂の表面を外部加熱手段から供給する熱によって重合を促進して、エンドレスベルトに接触するときの流動性を低下させることを特徴とするブレード素材を連続して製造する方法。
(2)合成樹脂が、非溶剤型の2液性の熱硬化性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする(1)記載のブレードの素材を製造する方法。
(3)(1)または(2)に記載の製造方法により製造された厚みが0.40〜3.00mmであることを特徴とするブレード素材。
(4)(3)記載のブレード素材が電子写真装置用であることを特徴とするブレード素材。
(5)内部加熱装置を備えた形成ドラムであって、その外周に形成された周回する断面凹状成形溝及び内部加熱装置を備えた成形ドラム及び成形ドラムの外周面の一部を覆って回装されるエンドレスベルトによって形成されたキャビティを用いて、液状熱硬化性合成樹脂を成形用原料とするブレードの素材をテープ状に連続成形する装置において、成形用原料である液状熱硬化性合成樹脂を成形溝に吐出した直後にキャビティに入る前に液状熱硬化性合成樹脂の表面流動性を低下させる外部加熱手段を設けることを特徴とするブレード素材の製造装置。
(6)断面凹状の成形用溝を全外周面に形成され、内部加熱装置を備えた回転する成形ドラムと、
液状熱硬化性合成樹脂原料を調整して吐出する樹脂原料定量注型機と、
前記成形ドラム上方に配設された液状熱硬化性合成樹脂の表面流動性を低下させる外部加熱装置と、
前記成形ドラムの外周面に当接して成形用溝を覆いキャビティを構成する前記成形ドラムに従動して回走する金属製のエンドレスベルトと、
取出部に一端部を近接してテープ状のブレード用成形物を搬出する装置とを備えたブレード素材の製造装置であって、
成型ドラムの回転方向に沿って、
前記樹脂原料定量注型機の注型口、外部加熱装置、金属製エンドレスベルトの順に配設したことを特徴とするブレード素材の製造装置。
(7)樹脂原料定量注型機の注型口を成型ドラムの頂点よりも反回転方向に配置したことを特徴とする(6)記載の電子写真装置用ブレード素材の製造装置。
(8)搬出装置が冷却あるいは非冷却搬送用コンベヤであり、コンベヤベルトが金属製のエンドレスコンベヤベルトで構成され、該搬送用コンベヤの後工程に、帯状ブレード素材を定尺寸法に切断する裁断装置を配置した(6)又は(7)記載のブレード素材の製造装置。
(9)外部加熱装置として、加熱ロール、加熱板等の接触式の加熱装置あるいは遠赤外線発生装置、レーザー光発生装置、誘導加熱装置等の非接触式の加熱装置のいずれかからなることを特徴とする(5)〜(8)記載のブレード素材の製造装置。
(10)合成樹脂として、非溶剤型の2液性の熱硬化性ポリウレタンを用いることを特徴とする(5)〜(9)のいずれかに記載のブレード素材の製造装置。
【0017】
【発明の実施の形態】
ブレード用の合成樹脂の種類は、特に限定されるものではない。熱硬化性樹脂、特に非溶剤型の熱硬化性樹脂が適している。
例えば、2液性の熱硬化性ポリウレタン樹脂が用いられる。本願出願人が先に特許第3004586号公報、特許第2942183号公報、特許第2645980号公報に提案したポリウレタン樹脂を例示することができる。
特許第3004586号公報では次のポリウレタンを提案している。
ウレタンプレポリマーの液状物および架橋剤との液状物のうち少なくとも一方に混合される高分子量ポリオールの成分が数平均分子量1000〜3000の2官能ポリオールと、数平均分子量92〜980の3官能ポリオールとを平均官能基数が2.02〜2.20となるポリオールにイソシアネート基の含量が5〜20%となる量のジイソシアネート化合物を混合してプレポリマーを調製し、そのプレポリマーに、OH基/NCO基の当量比が0.90〜1.05となる量の架橋剤とを40〜70゜Cにおいて混合してポリウレタン液状物(未硬化ポリウレタン組成物)を調製する。
なお、前記高分子量ポリオール成分の数平均分子量は、好ましくは1000〜3000の範囲がより望ましい。この組成物を注型することにより反応が円滑に行われ、得られるブレードの物性も好ましい。すなわち、使用される2官能ポリオールの数平均分子量は、1000〜3000の範囲であり、1000未満であると、できあがったウレタンゴムが硬くなりすぎて必要な物性(柔軟性)が得られず、3000を超えると成形時の粘度が高く、注型加工することが困難となる。また平均官能基数(f)がf=1ではモノオールとなるため重合せず、f≧5では多官能になりすぎるために、重合物の粘度が増大し且つ物性が低下するからである。
【0018】
本発明のブレードの製造装置は、断面凹状の成形用溝を外周面の全周にわたり形成し、水平に支持されその水平中心軸を中心に回転する成形ドラムと、回転方向を時計回りとした場合、下端の混合液吐出口を前記成形用溝内に臨ませて前記成形ドラムの頂点より反回転方向である反時計方向の9時から12時の位置に配設され、熱硬化型ポリウレタンの原料成分であるウレタンプレポリマーの液状物と架橋剤の液状物とを計量、混合撹拌し吐出するための定量混合注型機と、前記成形ドラム上方に配設された外部加熱装置と前記成形ドラムの外周面に当接され、前記成形ドラムに従動して回走する金属製のエンドレスベルトと、前記成形ドラムの前記成形用溝における帯状ブレード素材成形物の取出部に一端部を近接して前記帯状ブレード素材成形物の搬送部を水平に配置したコンベヤ(冷却可能)と、このコンベヤを必要応じて冷却する冷却装置と、成形された前記帯状ブレード素材を所定長さごとに切断する裁断装置とを備えている。
【0019】
上記の製造装置によると、定量混合注型機の吐出口からポリウレタン液状物を、加熱され回転している成形ドラムの成形用溝部に吐出し、成形ドラムで加熱されつつ、成形ドラム上方の外部加熱装置でポリウレタン液状物を加熱し、さらに、この成形用溝部と金属製エンドレスベルトとにより構成される空間部(キャビテイ)内に充満しながら、そのキャビテイ内で所定の時間成形ドラムにより加熱して重合反応させ、所定の幅と厚さで帯状に連続するポリウレタンエラストマー(ブレード素材成形物)を連続的に成形する。成形ドラムの成形用溝部の底面を高精度の鏡面に仕上げることにより、ブレード成形物の一面を平滑な鏡面に形成することができる。そして、成形ドラムの成形用溝部から連続的に取り出されるブレード成形物は、コンベヤの平坦なベルト上で放熱冷却されながら形状も整えられる。一方、コンベヤのベルトはブレード成形物の熱を吸収し温度が上昇するが、必要に応じて冷却装置によって冷却される。こうして、帯状のブレード素材成形物は常温付近まで冷却されると、硬化して安定する。この状態で、製品としてのブレードの長さに裁断装置で次々と切断され、所定の幅と厚さおよび長さを有する熱硬化型ポリウレタン製のブレードが完成する。
【0020】
切断操作は、一旦搬送を止めて行われる場合には、間欠搬送となるので、搬送タイミングを調整するために、裁断装置の前に、間欠駆動する送りロールと帯状のブレード素材をたるませて余裕をもたせる弛み部分を形成して、切断操作と送りの同調制御を行う装置構成を設ける。刃物にセラミックを使用することにより、ポリウレタンとの滑りがよく、切断面が鋭利でかつ長期間連続して切断できる。
【0021】
ところで、本発明に係るポリウレタンエラストマー製造の為の成分としては、従来公知のものが使用できる。高分子量ポリオールとしては、ポリエチレングルコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類あるいは、ビスフェノールA、グリセリンのエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシド付加物類のポリエーテル型ポリオールおよびアジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマール酸等の2塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等のグリコール類との重合反応により得られるポリエステル型ポリオールならびにポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等をあげることができる。
【0022】
ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4シクロヘキサンジイソシアネート等を挙げることができる。 鎖延長剤として、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の低分子量ジオール並びにエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミンを挙げることができる。望ましくは、低分子量ジオールが用いられる。さらに必要に応じて多官能成分としてトリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、グリセリン、及びこれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物を添加してもよい。
【0023】
上記のポリウレタンの製造においては、OH基/NCO基の当量比は生成するポリウレタンの物性から0.8〜1.05がよく、望ましくは0.90〜1.05の範囲である。また必要に応じて一般的なアミン化合物や有機錫系化合物等の反応促進剤がもちいられる。例えば、特許第2942183号公報第0022段落に開示される反応促進剤は下記の一般化学式で表されるイミダゾール誘導体等であって、その具体例としては、化学構造上から反応温度依存性の高い2-メチルイミダゾールや1,2ジメチルイミダゾール等を挙げることができる。
【0024】
【化1】
式中Rは水素、メチル基,又はエチル基を示す。
【0025】
かかる、反応促進剤は有効量としてプレポリマー100重量部に対して、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部の範囲で用いられる。望ましくは更に感温性、或は遅効性を有するものが混合した樹脂の可使時間を長くとれ脱型時間が短くなるため好適に用いられる。その具体例としては、ブロックアミンと称される1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7-有機酸塩、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5-有機酸塩またはこれらの混合物等があげられる。本発明では熱硬化型ポリウレタンの原料成分であるウレタンプレポリマーの液状物と架橋剤の液状物との混合撹拌に使用する2液混合注型機には、市販のものを使用できる。また計量ポンプはその定量精度を考慮して、3連以上のプランジャータイプを使用することが好ましいがギアーポンプタイプも使用可能である。特に、本発明の製造装置では、脱型時に所定の硬度を得るために反応促進剤を使用して速硬化処方にする必要があるので、撹拌混合室は、特公平6−11389号公報に開示されているような、混合室内での滞留を防ぎ、且つ反応熱による発熱を抑制した小容量のタイプが好ましい。
【0026】
2液性の熱硬化性のポリウレタン樹脂について詳しく例示したが、本発明で使用できるブレード用の樹脂としては、これに限られることはない。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。加熱された回転する成型ドラムを使用するので、加熱硬化反応が注型直後から開始されるので、溶剤を含まない非溶剤型が好ましい。
【0027】
この発明のブレードおよびその製造装置の実施の形態を製造方法と併せて図1,図4、図7に基づいて説明する。
図1は電子写真装置に使用するブレードの製造装置の実施例を概要的に示す全体正面図である。図1に示すように、ブレードの製造装置は、成形ドラム(3)、樹脂を供給する供給口(1)、外部加熱装置(2)、エンドレスベルト(4)、冷却用コンベア(10)、裁断装置(14)、搬出用のコンベア(15)等から構成される。
ポリウレタン樹脂の液状物の吐出口(1)は、成形ドラム(3)頂点より約10時の時計方向の位置に配設され、続いて外部加熱装置(2)が配設され、それに続いて成形ドラムの外周面に接してその約半分覆うエンドレスベルト(4)が配設され、引き続き、剥離された帯状のブレード素材を冷却搬送、定尺切断する切断装置、搬送装置の順に工程に沿って配設されている。
成形ドラム(3)は、材質を例えば、硬質アルミニウムやステンレスとし、回転駆動、成形溝、内蔵された加熱構造から構成される(図7参照)。
成形溝は、ブレード素材の巾と厚みに相当する所定の寸法で彫り込まれた断面凹状の成形溝が外周に沿って周回形成されている。この成形溝は金型に相当することとなる。また、加熱手段は、ポリウレタン等の樹脂を硬化させる熱を供給する。この加熱手段は、電気ヒータ、加熱オイル、蒸気等であって、特に限定されるものではない。その加熱温度は、使用される樹脂や回転速度等によって適宜決定される。例えば、110℃〜150℃に設定される。回転駆動は、水平な回転軸(5)により回転自在に支持され、図示を省略した駆動装置により、所定速度で回転する。回転方向は、図示では、時計回りに設定してある。
樹脂の供給口(1)は、使用する樹脂の成分を混合調整して一定量を連続して、成形ドラム(3)の成形溝に供給する。
外部加熱装置(2)は、供給口(1)から成形溝に注型された樹脂に熱を照射して加熱する機能を果たす。この熱によって、樹脂の表面側の硬化が促進される。注型された樹脂は成形ドラムの熱と外からの熱によって硬化が促進され、粘度が上がって、エンドレスベルトの接触始端部への流れ込みを制御することができる。
外部加熱手段として、非接触タイプである遠赤外線、レーザー光、紫外線、誘導加熱などがある。加熱温度の調整は、使用する樹脂、製造スピード、ブレードの厚さなどによって、変更する必要がある。出力を調整することや溝までの距離を調整するこでも加熱条件の調整が可能である。使用する樹脂との関係では、紫外線硬化剤を添加した樹脂を用いた場合は、紫外線を照射することによっても、効果を促進することができる。
また、外部加熱装置の設置位置は、吐出口(1)と予熱ロール(6)の間で調整可能とすることができる。この位置も樹脂の種類やブレードの厚みによって決定することができる。本例では、成形ドラムの頂点上方付近に設置している。
エンドレスベルト(4)は、成形溝を覆って空間部を形成して、ポリウレタン液状物を充満する構造となっている。エンドレスベルト(4)と成形溝によって、成形用のキャビティが形成され、ブレード素材の外形が整えられて樹脂の硬化反応が進行される。エンドレスベルト(4)が成形ドラム(3)の成形溝を覆う区間は、樹脂の硬化が進み帯状のテープとして成形溝から剥離して取り出すことができる程度に設計する必要がある。例えば、時計で2時から8時までの区間に相当する180°が操作し易い領域である。
冷却コンベヤ(10)は、成型ドラムの(3)成型溝から剥離された樹脂製の帯状のテープに成型されたブレード素材を冷却しながら後工程に搬送するものである。なお、この冷却コンベヤは、ブレード素材によっては冷却を必要としない場合もあり、冷却が不要な場合は、このコンベヤは後工程への搬送装置となるか、あるいは、省略することができる。
裁断装置(14)は、連続した帯状の素材をブレードの長さに切断する装置である。この裁断によって、ブレード素材は最終形状に成型されることとなる。この後は、金属製のブレード支持体への固着工程へ搬出される。この裁断装置の作用と同期させるために、裁断装置(14)の直前に送りを制御する送りロール(13)を配置し、送りロール(13)による送りスピードの緩急に対応させるために、送りロール(13)の前にテープのたるませる空間を持たせて、冷却用のコンベア(10)と裁断装置(14)のタイミング調整を計る。
なお、さらに二次架橋を行って、硬化反応を最終的に実施させる二次架橋のために加熱工程を後工程として必要に応じて加えることができる。
次に、装置の各部分の構成例について、さらに記載する。
【0028】
成形ドラム(3)のほぼ半分の外周面には、ステンレスなどの金属帯板からなる成形用空間(金型)形成用のエンドレスベルト(4)が当接され、このエンドレスベルト(4)は、このエンドレスベルト(4)を予熱する予熱ロール(6)、ベルト走行を調整するガイドロール(7)、エンドレスベルトに張力を付与するテンションロール(8)およびエンドレスベルト(4)を冷却する冷却ロール(9)に掛け渡されて、成形ドラム(3)の回転に従動して回転する。また、エンドレスベルト(4)は、ヒータにより所定温度(例えば、成形ドラムと同程度の145℃前後)に加熱されており、この温度によってポリウレタン液状物の温度低下を防止する。
【0029】
冷却ロール(9)に隣接して、冷却用コンベヤ(10)が水平に設けられている。この冷却用コンベヤ(10)は、ステンレスなどの金属製のエンドレスコンベヤベルトを、2つのロール間に掛け渡されている。冷却用コンベヤ(10)の下部には冷却装置(11)が配設され、エンドレスコンベヤベルトを介してブレード成形物を冷却する。
【0030】
冷却用コンベヤ(10)のロールの下流に隣接して、弛み検知機(12)、送りロール(13)、裁断装置(14)およびコンベヤ(15)がこの順序で配備されている。弛み検知機(12)は、鉛直に立設された一対の支柱に上下一対のセンサーを取り付け、その間に帯状のブレード成形素材を案内してその弛み状態を検知する。送りローラ(13)は、裁断装置(14)と連動して弛み検知機(12)の信号を受けて所定の速度でブレード成形物を裁断装置(14)に送り、帯状のブレード成形素材を所定の長さに裁断する。コンベヤ(15)は、裁断されたブレード成形素材を次工程(架橋工程、金具接着工程、検査工程等)に搬送する。
【0031】
次に、上記のようにして本実施例のブレード製造装置が構成されるが、この製造装置による電子写真装置用ブレードの製造工程を図1に基づいて説明する。プレポリマーと架橋剤とを計量して、均一に撹拌・混合しながら吐出口(1)より所定温度、例えば、145℃に温度調節された成形ドラム(3)の成形用溝内にポリウレタン液状物を吐出して注型する。このとき、成形ドラム(3)は所定の速度(例えば80秒/1回転)で時計方向に回転しており、ドラム(3)の周速と溝の彫り込み深さおよび幅に対応する必要量が連続的に注入される。
【0032】
ポリウレタン液状物は、成形ドラム(3)の上方から約10時の時計位置に配設された吐出口(1)の真下のA点から成形ドラムの真上C点(外部加熱装置による加熱位置)までの間で反応が開始された後、C点で外部加熱装置により加熱され、その後成形ドラムによる加熱のみで、エンドレスベルトの当接開始位置E点から余熱ロールで、例えば145℃に加熱された成形用のエンドレスベルトにより、成形ドラム(3)のE点からG点までの間で、加熱・保持される。これにより、液状物のウレタン重合反応がほぼ完了し、必要な幅と厚さおよび平滑な鏡面を備えたブレード成形素材が帯状に連続的に成形される。
吐出口(1)の位置は、樹脂の種類やブレードの厚み、製造スピードなどによって、調整される。 本例では、成形ドラムの反回転方向で9時から12時の時計位置に設置している。好ましくは、10時付近に設置している。反回転方向に寄せて吐出された合成樹脂の液状物は重力に従い落下しようとする一方、成形ドラム回転に従って、成形ドラムの頂点に向って持ち上げられることとなる。
吐出口から成形溝の全巾域に均一の厚みで吐出することは困難であるので、例えば、成形ドラムの頂点に吐出したとすると、不均一な厚みのままエンドレスベルト(4)に接触することとなり、また、層の厚い部分(普通は、巾方向中央部)の硬化が遅れ、高い流動性をもったまま流れ下ることとなって、弊害が助長される。
これに対して、反回転方向に吐出した場合、自重により反回転方向に落下しようとする流下力と成形ドラムの回転による持ち上げ力によってバランスがとられる。頂上より反回転方向に吐出口を配置した構成は、合成樹脂の液状物の自重による反回転方向への流下力と成形ドラムの回転による持ち上げ力とのバランスによって、均一な厚みのブレードを製造するために有効な構成のひとつである。
そして、吐出口(1)の位置を振ったことによって、予熱ロール(6)との間にスペースを作ることができ、外部加熱装置(2)の配置の自由度も大きくすることができるものである。
なお、本例では、ポリウレタン液状物がA点からE点まで回転して移動する時間が13秒、E点からG点への移動時間が約40秒に設定されているが、上記したように予熱ロール(6)の成形ドラム(3)に対する接近・離間操作でE点の位置を変更し、A点とE点間の角度およびC点とG点間の角度を変えることで、液状物の反応および成形時間を微調整できる。
【0033】
こうして連続的に成形された帯状のブレード成形物は、G点で成形ドラム(3)の溝から剥離され、冷却用コンベヤ(10)のエンドレスコンベヤベルト上に導かれる。エンドレスコンベヤベルトは冷却装置(11)で冷却されているため、帯状ブレード成形素材はエンドレスコンベヤベルト上で常温(20℃前後)近くまで冷却されつつ搬送される。ブレードの種類によっては、冷却コンベヤを積極的に冷却する必要がないことは前述のとおりである。この場合は、このコンベヤ(10)上で、搬送されながら帯状のブレード成型物は自然と放熱する。
【0034】
そして、冷却された帯状ブレード成形素材は、冷却用コンベヤ(10)より弛み検知機(12)、送りロール(13)、裁断装置(14)およびコンベヤ(15)に導かれる。弛み検知機(12)は、支柱に取り付けられたセンサーの間を通って帯状ブレード成形素材を、送りロール(13)に誘導する。送りロール(13)は、帯状ブレード成形素材を挟持して冷却用コンベヤ(10)より速く走行するので、その帯状ブレード成形素材が上側センサー(16)に接するときは停止し、下側センサー(17)に接するとき送りを開始して、帯状ブレード成形素材の製造速度と、裁断装置(14)の処理速度とを調整する(帯状ブレード成形素材に過剰な張力を掛けない)。裁断装置(14)は、上刃および下刃の間にブレード成形物を誘導して所定の長さ(製品としての長さ)に裁断する。これによって、所定の長さに裁断された平板状のブレードの製造工程が終了する。
裁断装置は、上下の刃に限定されることはなく、テーブルと上側に刃を設けた構成によっても構成することができる。送りロールからテーブル上に載置されたテープを押さえて刃を作用させて、所定長に切断することができる。
【0035】
このようにして製造されるブレードは、その一側縁部を、図2に図示するように金属製ホルダー(103)を接着剤によって接着して、最終製品としてのブレード用具101が完成する。
なお、ブレード(102)の金属製ホルダー(103)を接着した側の他の側縁部をセラミックカッター等により、さらに調整裁断して稜線を形成することも可能である。
また本発明の場合には、従来の遠心成形法と違って、ブレード(102)が連続して一本ずつ製造されていくので、ホルダーと接着する工程、または稜線形成工程においてもブレード(102)を一本ごとに処理すればよいので、これらの工程の自動化が容易となる。これに対し、成形型を用いる方法では、バリが発生することが避けられず、ブレードの先端側の稜線を裁断により形成する必要がある。バリの裁断などによる廃棄物が発生し、無駄になる樹脂原料が多く発生する。
【0036】
【実施例】
熱硬化型ポリウレタンの配合処方と生成条件
ポリカプロラクトンエステルジオール(平均分子量2000)66.1重量部を70℃で3時間、減圧下(5mmHg)にて加熱・撹拌し脱水した後、これを反応容器に仕込み、引き続いて27.8重量部の4,4ジフェニルメタンジイソシアナートを反応容器に加え窒素ガス雰囲気下に70℃で1〜4時間撹拌して残留イソシアナート基含有量7.0%の液状ウレタンプレポリマーを得た。一方、架橋剤成分として1,4ブタンジオール4.3重量部、、トリメチロールプロパン1.8重量部および1,2ジメチルイミダゾール0.07重量部を70℃で3時間、減圧下(5mmHg)にて加熱・撹拌し脱水し水酸基当量45の架橋剤を得た。
【0037】
以上のようにして得られたウレタンプレポリマーと架橋剤をそれぞれ2液定量混合注型機に投入し、液温度70゜Cに成るよう加熱・撹拌した。これをOH基/NCO基の当量比0.95に成るように均一に撹拌・混合しながら図1に示す製造装置の吐出口(1)より145℃に温度調節された成形ドラム(3)の成形用溝内に吐出した。このあとの製造方法については、製造装置を用いた製造工程で説明したのと同様の方法による。
【0038】
【実施例1】
図1における成形ドラム(3)の成形用溝の深さを0.80mmとして、外部加熱装置に遠赤外線装置を用いて加熱すると、成形用溝にスチールベルトで押さえられたポリウレタン液状物の流動は抑えられ、不安定な凹みも認められず、高品質のブレードが得られた。
【0039】
【実施例2】
実施例1と同様に成形ドラム(3)の成形用溝の深さを1.20mmとして外部加熱装置に遠赤外線装置を用いて加熱すると、ポリウレタン液状物の流動は抑えられて、成形用溝への液状物の流れ込みが少なく、高品質のブレードが得られた。
【0040】
【実施例3】
実施例1と同様に成形ドラム(3)の成形用溝の深さを2.00mmとして、遠赤外線ヒーターを用いて加熱すると、実施例1や実施例2と同様にブレードに凹みなどの不良はなく、高品質のブレードが得られた。
実施例1〜実施例3の外部加熱装置としては、レーザ光を利用した加熱、誘導加熱による非接触加熱によっても同様に高品質のブレードを製造することができた。
【0041】
【比較例1】
実施例1における遠赤外線加熱を用いない例。成形用溝とスチールベルトで押さえられたポリウレタン液状物の流動が少なく、液の流れ込みが少なく、不安定な凹みも認められず、実施例1と同様に高品質のブレードが得られた。
【0042】
【比較例2】
実施例2において、遠赤外線を照射しない比較例である。ポリウレタン液状物の流動による流れ込みが認められて、ブレードに不安定な凹みが生じていた。ブレードとしては不良品である。
【0043】
【比較例3】
実施例3において、遠赤外線を照射しない比較例である。ポリウレタン液状物の流動による流れ込みが著しく、成形用溝を覆うスチールベルト界面に明確な凹みのあるブレードが生成した。ブレードとしては不良品である。
【0044】
成型溝内での樹脂の成形過程を説明する。
第4図は、供給口からエンドレスベルトの接触位置までの成形溝内での樹脂の断面状態を観察することを模式的に示す説明図である。供給口位置をA位置、約11時の位置をB位置、頂点をC位置、1時位置をD位置、エンドレスベルトの接触直前の位置をE位置、エンドレスベルトとの接触直後の位置をF位置とする。
ブレードの厚さの違いによる硬化過程と流動性に関する実施例1(比較例1と同じ)、実施例2、比較例2、比較例3における成形過程を観察した模式図を第5図(a)、(b)、(c)、(d)として示す。5図(a)に示す実施例1の0.80mmの厚さのブレードでは、エンドレスベルトに接触する直前の位置Eではほぼ全体が硬化し始めて流動性が抑えられている。これに対して、比較例2を示す5図(b)、比較例3を示す5図(c)では、接触直前位置Eでは表面側の流動性が高く、盛り上がっており、そのままエンドレスベルトで押さえ込まれるために、硬化後にブレードの表面に凹部が生じることになると考えられる。
これに対して、実施例2を示す第5図(d)では、遠赤外線の照射によって、照射位置であるCから表面側の硬化も始まり、D、E位置と傾斜がきつくなっても表面側の樹脂の流動性が抑えられる結果、エンドレスベルトに接触する位置では、ほぼ流動性が無い状態となって、きれいな表面性状をもったブレード素材が作成できる結果を観察することができた。実施例3の観察状態の図示は省略するが、実施例2と同様の状態が観察された。
成形ドラムの回転スピード、樹脂の硬化速度性も含めて、外部加熱、ブレードの厚みの関係を決めると良い。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、ポリウレタン液状物の注入口を成形ロール頂点から反時計方向にずらして配設し、成形ロール頂上付近に外部加熱装置を設置することにより、成形ロールに彫り込まれた成形用溝の深さを深くしても、ポリウレタン液状物の粘度が上昇して流動が抑えられ、液状物のエンドレスベルトの接触位置への流れ込みが少なく、高品質の電子写真装置用ブレードを自動化し、簡略化した生産性の高い製造工程により安価に製造することが可能となった。
ブレードの厚みは、実施例に限定されることはなく、さらに厚いものを製造することも可能である。実用的には、0.40〜3.00mm、好ましくは0.80〜2.00mmである。
また、外部加熱によって、硬化を早めることができるので、成形ドラムの回転速度を上げて、生産性を向上させることもできる。
本発明で得られるブレードは、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真装置用のブレードに限らず、トナー、粉体、製版用のインク、シルクスクリーンなどの掻取り用のブレードとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブレードの製造装置の実施例を概要的に示す全体正面図
【図2】本発明のブレードを備えたブレード用具を示す一部を省略した斜視図で
【図3】従来例の製造装置例
【図4】観察用説明図
【図5】供給後の樹脂の挙動状態図
【図6】従来のブレード製造例を示す図
【図7】成形ドラムの例を示す図
【符号の説明】
1 ポリウレタン液状物の吐出口
2 外部加熱装置
3 成形ドラム
4 エンドレスベルト
5 成形ロールの回転軸
6 予熱ロール
7 ガイドロール
8 テンションロール
9 冷却ロール
10 冷却コンベヤ
11 冷却装置
12 弛み検知器
13 送りロール
14 裁断装置
15 コンベア
16 上側センサー
17 下側センサー
101 電子写真用ブレード
102 ブレード
103 金属製ホルダー
Claims (10)
- 内部加熱装置を備えた形成ドラムであって、その外周に周回する断面凹状の成形溝が形成された成形ドラムの外周に沿って、成形溝に合成樹脂供給手段、外部加熱手段、成形ドラムの成形溝を覆いながら成形ドラムに回転に従動して回送するエンドレスベルトを順次配置し、成形溝に供給した熱硬化性合成樹脂原料を成形ドラムの熱と外部加熱手段からの熱と、エンドレスベルトと成形溝から形成される成形空間によって、所定の幅と厚さを有する帯状のブレード素材を、成形ドラムの回転に従い連続製造する方法であって、
成形溝に供給された液状熱硬化性合成樹脂の表面を外部加熱手段から供給する熱によって重合を促進して、エンドレスベルトに接触するときの流動性を低下させることを特徴とするブレード素材を連続して製造する方法。 - 合成樹脂が、非溶剤型の2液性の熱硬化性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1記載のブレードの素材を製造する方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により製造された厚みが0.40〜3.00mmであることを特徴とするブレード素材。
- 請求項3記載のブレード素材が電子写真装置用であることを特徴とするブレード素材。
- 内部加熱装置を備えた形成ドラムであって、その外周に形成された周回する断面凹状成形溝及び内部加熱装置を備えた成形ドラム及び成形ドラムの外周面の一部を覆って回装されるエンドレスベルトによって形成されたキャビティを用いて、液状熱硬化性合成樹脂を成形用原料とするブレードの素材をテープ状に連続成形する装置において、成形用原料である液状熱硬化性合成樹脂を成形溝に吐出した直後にキャビティに入る前に液状熱硬化性合成樹脂の表面流動性を低下させる外部加熱手段を設けることを特徴とするブレード素材の製造装置。
- 断面凹状の成形用溝を全外周面に形成され、内部加熱装置を備えた回転する成形ドラムと、
液状熱硬化性合成樹脂原料を調整して吐出する樹脂原料定量注型機と、
前記成形ドラム上方に配設された液状熱硬化性合成樹脂の表面流動性を低下させる外部加熱装置と、
前記成形ドラムの外周面に当接して成形用溝を覆いキャビティを構成する前記成形ドラムに従動して回走する金属製のエンドレスベルトと、
取出部に一端部を近接してテープ状のブレード用成形物を搬出する装置とを備えたブレード素材の製造装置であって、
成型ドラムの回転方向に沿って、
前記樹脂原料定量注型機の注型口、外部加熱装置、金属製エンドレスベルトの順に配設したことを特徴とするブレード素材の製造装置。 - 樹脂原料定量注型機の注型口を成型ドラムの頂点よりも反回転方向に配置したことを特徴とする請求項6記載の電子写真装置用ブレード素材の製造装置。
- 搬出装置が冷却あるいは非冷却搬送用コンベヤであり、コンベヤベルトが金属製のエンドレスコンベヤベルトで構成され、該搬送用コンベヤの後工程に、帯状ブレード素材を定尺寸法に切断する裁断装置を配置した請求項6又は7記載のブレード素材の製造装置。
- 外部加熱装置として、加熱ロール、加熱板等の接触式の加熱装置あるいは遠赤外線発生装置、レーザー光発生装置、誘導加熱装置等の非接触式の加熱装置のいずれかからなることを特徴とする請求項5〜8記載のブレード素材の製造装置。
- 合成樹脂として、非溶剤型の2液性の熱硬化性ポリウレタンを用いることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載のブレード素材の製造装置。
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