JP4017782B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性と耐衝撃性等の物性バランスに優れた、芳香族ポリカーボネートとポリオレフィン系樹脂とを主成分とした熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、難燃性、耐熱性、寸法安定性、非吸湿性及び電気特性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして知られているが、溶融流動性に劣り成形加工が困難であり、かつ耐溶剤性が不十分である。
一方、ポリオレフィン樹脂は、成形加工性、耐溶剤性、機械的強度に優れ、低比重で安価なプラスチックスとして、種々の分野で幅広く広く使用されているが、難燃性、耐熱性、寸法安定性などが不十分である。
【0003】
そこで、この二つの樹脂を混ぜ合わせ、両者の長所を有する成形性、機械的強度、耐熱性、コストなどに優れた樹脂を得ることが考えられる。しかしながらポリカーボネート樹脂とポリオレフィン樹脂は相溶性が悪く、ただ混ぜただけでは機械的強度が低く実用には耐え難い材料である。そこで両者の相溶性を向上させ、機械的強度を改良することを目的として様々な改良がなされている。例えば、特開昭63−215750号には、末端カルボキシル化PCとエポキシ化PPを使用すること、特開昭63−215752号には、末端カルボキシ化PCと無水マレイン酸変性PPを用いることが開示されているが、物性バランスの上で必ずしも充分に満足できる材料とは言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、剛性と耐衝撃性とに優れ、且つ、耐熱性と加工性にも優れた、芳香族ポリカーボネート樹脂とポリオレフィン樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その要旨は、下記成分(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対し、下記成分(D)および(E)を所定量含有する組成物よりなる熱可塑性樹脂組成物に存する。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂 5〜95重量部
(B)スチレン系樹脂 0〜40重量部
(C)ポリオレフィン樹脂 5〜95重量部
(D)部分水素添加芳香族アルケニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
2〜40重量部
(E)ポリフェニレンエーテルと飽和ポリエステルを含む溶融混練樹脂組成物
1〜20重量部
【0006】
以下、本発明につき詳細に説明する。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることによって作られる分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。
【0007】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。
【0008】
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどを前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよく、使用量は、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
【0009】
分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、mー及p−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2、2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、または2、2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。
【0010】
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、16,000〜30,000であり、好ましくは18,000〜23,000である。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いることもできる。
【0011】
(B)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体を重合してなる重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、およびスチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体としては、例えば、AS樹脂等が挙げられ、スチレン系グラフト共重合体としては、例えば、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が挙げられる。スチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
【0012】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンが挙げられる。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられ、好ましくは、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0013】
スチレン系共重合体としては、好ましくは、ゴム成分の存在下にスチレン系単量体を含む単量体を共重合させたグラフト共重合体が挙げられる。ゴム成分としては、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン/プロピレンゴム、シリコンゴム等が挙げられ、好ましくは、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム等が挙げられる。
【0014】
ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体、ブタジエン/スチレン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体等が挙げられ、(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。ブタジエン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体またはブタジエン/スチレン/(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体における(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルの割合は、ゴム重量の30重量%以下であることが好ましい。
【0015】
アクリル系ゴムとしては、例えば、アクリル酸アルキルゴムが挙げられ、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8である。アクリル酸アルキルゴムの具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル等が挙げられる。アクリル酸アルキルゴムには、任意に、架橋性のエチレン性不飽和単量体が用いられていてもよく、架橋剤としては、例えば、アルキレンジオール、ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。アクリル系ゴムとしては、更に、コアとして架橋ジエン系ゴムを有するコア−シェル型重合体が挙げられる。
【0016】
(C)ポリオレフィン樹脂
ポリオレフィン樹脂としては、既知の方法による重合または変性等により得られ、市販のものから適時選んで用いることもできる。ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1の単独重合体またはこれらを過半重量含む共重合体などが挙げられ、より好ましくは、プロピレン系樹脂が挙げられる。
【0017】
プロピレン系樹脂としては、プロピレンを主成分とする重合体であり、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレンとα−オレフィンとのブロック若しくはランダム共重合体などが挙げられ、好ましくは結晶性ポリプロピレンが挙げられる。α−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、4−メチルペンテン−1などが挙げられる。
【0018】
ポリオレフィン樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、230℃、荷重2.16kgの条件での測定で、好ましくは0.01〜300g/10分であり、より好ましくは0.05〜200g/10分であり、最も好ましくは0.1〜100g/10分である。MFRの値が低すぎると成形加工性に難点が生じ、高すぎると機械的物性バランスが低くなる。ポリオレフィン樹脂のMFRは、ラジカル発生剤、例えば有機過酸化物等の存在下でポリオレフィン樹脂を加熱処理することにより分子量を変化させて上記のMFRの範囲にすることもできる。
【0019】
ポリオレフィン樹脂の密度は、JIS K−7112に基ずく測定で、好ましくは0.89〜0.95g/cm3であり、より好ましくは0.90〜0.94g/cm3である。密度が低すぎると耐クリープ性が不十分であり、高すぎるものは製造が困難である。かかる密度のポリオレフィン樹脂は、重合によって該密度のポリオレフィン樹脂を得る方法や、ポリオレフィン樹脂に核剤を添加することによって密度を向上させる方法などによって製造することができる。
【0020】
核剤としては、例えば、芳香族カルボン酸の金属塩、ソルビトール系誘導体、有機リン酸塩、芳香族アミド化合物等の有機系核剤や、タルク等の無機核剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、ポリオレフィン樹脂と無機充填材との親和性を向上させる目的で、ポリオレフィン樹脂のカルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、ヒドロキシル基等の官能基を導入することもできる。ポリオレフィン樹脂における官能基濃度は、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%以上である。
【0021】
(D)部分水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体
部分水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体としては、アルケニル芳香族化合物に由来する連鎖ブロック[A]と共役ジエンに由来する連鎖ブロック[B]をそれぞれ少なくとも一個有する構造を持つアルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体のブロック[B]の脂肪族不飽和基が水素化により減少したブロック共重合体が挙げられる。ブロック[A]及びブロック[B]の配列は、線状構造をなすものあるいは分岐構造をなすものいわゆるテレブロック構造をなすものを含む。部分水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体の構造においては、その一部にアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共重合部分に由来するランダム鎖を含んでもよい。
【0022】
ブロック[A]及びブロック[B]の配列としては、好ましくは、線状構造をなすジブロック(A−Bブロック)、トリブロック(A−B−Aブロック)、テトラブロック(A−B−A−Bブロック)、ペンタブロック(A−B−A−B−Aブロック、B−A−B−A−Bブロック)あるいは、AとBのブロック数の合計が6以上のものを含む線状構造をなすものが挙げられ、より好ましくは、ジブロック、トリブロック、テトラブロックが挙げられる。
【0023】
アルケニル芳香族化合物の具体例としては、スチレン、パラメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ブロムスチレン、クロロスチレンおよびこれらの混合物等が挙げられ、好ましくは、スチレン、パラメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルトルエンが挙げられ、より好ましくはスチレンが挙げられる。
【0024】
共役ジエンの具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等が挙げられ、好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらの共役ジエンに加えて、少量のエチレン、プロピレン、1−ブテン等の低級オレフィン系炭化水素やジシクロペンタジエン、非共役ジエン類が含まれてもよい。
【0025】
部分水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体におけるアルケニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合は、好ましくは15〜80重量%であり、より好ましくは30〜75重量%であり、最も好ましくは55〜70重量%である。アルケニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合が80重量%を越えると耐衝撃性が不十分であり、10重量%未満では剛性及び耐熱性が不十分になりやすい。
【0026】
部分水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体における脂肪族鎖部分のうち、共役ジエンに由来し、水素添加されずに残存している不飽和結合の割合は、50%以下が好ましく、より好ましくは20%以下、とりわけ好ましくは10%以下である。また、アルケニル芳香族化合物に由来する芳香族性不飽和結合の約25%以下が水素添加されてもよい。
【0027】
部分水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体の分子量の目安としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算法による数平均分子量が、好ましくは5,000〜500,000g/molであり、より好ましくは10,000〜300,000g/molであり、最も好ましくは30,000〜200,000g/molである。
【0028】
部分水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体としては、水素添加された共役ジエン重合連鎖部分を持ち、これに由来する結晶性を示すものがあり、こうした結晶性を示すものも使用可能であるが、融点が150℃以下の共重合体、あるいは明確な融点を示さない非晶性の共重合体が好ましい。また、これら水素添加ブロック共重合体の水素添加された共役ジエン重合連鎖部分に基づくガラス転移温度はいかなるものでも使用可能である。
部分水素添加アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体としては、シェル化学(株)より「クレイトンG」の商品名で、クラレ(株)より「セプトン」の商品名で、旭化成工業(株)より「タフテック」の商品名で、販売されており容易に入手することができる。
【0029】
(E)ポリフェニレンエーテルと飽和ポリエステルを含む溶融混練樹脂組成物
(a)ポリフェニレンエーテル
ポリフェニレンエーテルとしては、下記一般式(2)で示される構造を有する単独重合体又は共重合体が挙げられる。
【0030】
【化2】
【0031】
(式中、Q1は各々ハロゲン原子、第一級若しくは第二級アルキル基、フェニル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基を表し、Q2は各々水素原子、ハロゲン原子、第一級若しくは第二級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基を表し、mは10以上の数を表す。)
【0032】
Q1及びQ2の第一級アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−アミル、イソアミル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2−、3−若しくは4−メチルペンチル、ヘプチルなどが挙げられる。第二級アルキル基としては、イソプロピル、sec−ブチル、1−エチルプロピルなどが挙げられる。Q1は、好ましくはアルキル基又はフェニル基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、Q2は、好ましくは水素原子である。
【0033】
ポリフェニレンエーテルの単独重合体としては、例えば、2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエ−テル単位からなる重合体が挙げられる。共重合体としては、上記単位と2,3,6―トリメチル―1,4―フェニレンエ−テル単位との組合せからなるランダム共重合体が挙げられる。多くの単独重合体又はランダム共重合体が、特許、文献に記載されており、例えば、分子量、溶融粘度及び/又は耐衝撃強度等の特性を改良する分子構成部分を含むポリフェニレンエーテルも好ましい。
【0034】
ポリフェニレンエーテルの固有粘度は、クロロホルム中で、30℃での測定で好ましくは0.2〜0.8dl/gであり、更に好ましくは、0.25〜0.7dl/gであり、最も好ましくは、0.3〜0.6dl/gである。固有粘度が0.2dl/g未満であると耐衝撃性が不十分であり、0.8dl/g以上であるとゲル分が多く、成形品外観に難が生じる。
【0035】
(b)飽和ポリエステル
飽和ポリエステルとしては、種々のポリエステルが使用でき、例えば、通常の方法に従って、ジカルボン酸、その低級アルキルエステルまたは酸ハライド若しくは酸無水物誘導体と、グリコール又は二価フェノールとを縮合させて製造する熱可塑性ポリエステルが挙げられる。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられ、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、p,p’−ジカルボキシジフェニルスルホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−カルボキシフェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフェノキシ酪酸、p−カルボキシフェノキシ吉草酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸又は2,7−ナフタリンジカルボン酸等あるいはこれらのカルボン酸の混合物などが挙げられる。
【0036】
グリコールとしては脂肪族グリコールや芳香族グリコールなどが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、炭素数2〜12の直鎖アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブテングリコール、1,6−ヘキセングリコール、1,12−ドデカメチレングリコール等が挙げられる。芳香族グリコールとしては、p−キシリレングリコールなどが挙げられ、二価フェノールとしては、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン又はこれらの化合物のアルキル置換誘導体が挙げられる。他のグルコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0037】
他の好ましいポリエステルとしては、ラクトンの開環重合によるポリエステルが挙げられ、具体例としては、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン)等が挙げられる。更に他の好ましいポリエステルとしては、溶融状態で液晶を形成するポリマー(Thermotropic Liquid CrystalPolymer)であるポリエステルが挙げられる。これらの区分に入るポリエステルとしては、イーストマンコダック社のX7G、ダートコ社のXyday(ザイダー)、住友化学社のエコノール、セラニーズ社のベクトラ等が代表的な商品である。
【0038】
飽和ポリエステルとしては、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)、液晶性ポリエステル等が挙げられる。
【0039】
飽和ポリエステルの固有粘度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン=60/40重量%混合液中、20℃で測定で、好ましくは0.3〜5.0dl/gであり、更に好ましくは、0.4〜4.0dl/gであり、特に好ましくは0.5〜3.5dl/gである。固有粘度が0.3dl/g未満であると、耐衝撃性が不足し、5.0dl/gを越えると成形性が低下する。
【0040】
(c)亜リン酸エステル化合物
亜リン酸エステル化合物としては、亜リン酸トリエステル化合物が挙げられる。亜リン酸トリエステルとしては、好ましくは、下記一般式(1)で示される化合物および下記一般式(3)で示される化合物などが挙げられる。
【0041】
【化3】
【0042】
一般式(1)中、R1は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30の芳香族基若しくは置換芳香族基を示し、好ましくは、炭素数6〜30の芳香族基若しくは置換芳香族基を示す。nは1または2の数を示し、R2は、nが1の場合、炭素数2〜18のアルキレン基またはアリーレン基を示し、nが2の場合、炭素数4〜18のアルキルテトライル基を示し、R1は各々同じでも異なっていてもよい。また、R1およびR2の置換基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはハロゲン原子を含む置換基であってもよい。
【0043】
R1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、イソオクチル基、イソデシル基、デシル基、ステアリル基、ラウリル基、フェニル基、2-、3-または4-メチルフェニル基、2,4-、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2-、3-または4-エチルフェニル基、2,4-、2,6-ジエチルフェニル基、2,3,6-トリエチルフェニル基、2-、3-または4-tert-ブチルフェニル基、2,4-、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチル-6-エチルフェニル基、オクチルフェニル基、イソオクチルフェニル基、2-、3-または4-ノニルフェニル基、2,4−ジノリスフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0044】
R2としては、nが1の場合、例えば、1,2-フェニレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、nが2の場合、例えば、一般式(4)で示されるペンタエリスリチル構造のテトライル基等が挙げられる。
【0045】
【化4】
【0046】
一般式(4)において、R6〜R13は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6までのアルキル基を示す。
【0047】
【化5】
【0048】
一般式(3)において、R3、R4およびR5は、それぞれ、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30の芳香族基または置換芳香族基を示し、好ましくは、炭素数6〜30の芳香族基若しくは置換芳香族基を示す。R3、R4およびR5の置換基は、それぞれ、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはハロゲン原子を含む置換基であってもよい。
R3、R4およびR5の具体例としては、R1の具体例として示した各基が挙げられる。
【0049】
亜リン酸エステル化合物の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジノリルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジラウリルフェニルホスファイト、ジイソデシルフェニルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)フェニルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイオト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、(フェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(4−メチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジメチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(4−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(フェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(4−メチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジメチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(4−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,4−ブタンジオール)ホスファイト等、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(3−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,3,6−トリメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(3−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ビフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジナフチルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0050】
さらに、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、亜リン酸エステル化合物の加水分解や熱分解等により生じる化合物を含んでいてもよい。
【0051】
<構成成分の組成比>
本発明の熱可塑性樹脂組成物における成分(A)〜(E)の組成比は、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量部とし、下記の通りである。
成分(A)の芳香族ポリカーボネート樹脂の割合は、5〜95重量部であり、好ましくは15〜90重量部であり、より好ましくは30〜80重量部である。成分(B)のスチレン系樹脂の割合は、0〜40重量部であり、好ましくは0〜30重量部であり、スチレン系樹脂を必須成分とする場合は、好ましくは1〜25重量部であり、より好ましくは5〜20重量部である。スチレン系樹脂を使用することで流動性が向上する。成分(C)のポリオレフィン樹脂の割合は、5〜95重量部であり、好ましくは10〜85重量部であり、より好ましくは20〜70重量部である。
【0052】
成分(A)の割合が5重量部未満であると耐衝撃性が不十分であり、95重量部を越えると成形性が不十分であり、成分(B)の割合が40重量部を越えると耐衝撃性が不十分であり、成分(C)の割合が5重量部未満であると成形性が不十分であり、95重量部を越えると耐衝撃性が不十分である。
【0053】
成分(D)の部分水素添加芳香族アルケニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の割合は、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対し2〜40重量部である。2重量部未満であると、芳香族ポリカーボネート樹脂とポリオレフィン樹脂との相溶化改良剤としての添加効果が小さく、樹脂組成物の物性改良効果は不十分であり、40重量部を越えると、成形品外観に難点が生じやすい。成分(D)の部分水素添加芳香族アルケニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の割合は、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対し好ましくは5〜30重量部であり、より好ましくは7〜20重量部である。
【0054】
成分(E)ポリフェニレンエーテル(PPE)と飽和ポリエステルを含む溶融混練樹脂組成物の割合は、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対し1〜20重量部である。1重量部未満であると、芳香族ポリカーボネート樹脂とポリオレフィン樹脂との相溶化改良剤としての添加効果が小さく、樹脂組成物の物性改良効果は不十分であり、20重量部を越えると、成形品外観に難点が生じやすい。成分(E)の割合は、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対し、好ましくは2〜18重量部であり、より好ましくは3〜15重量部である。
【0055】
成分(E)を構成する(a)〜(c)の組成比は、(a)と(b)の合計量を100重量部とし、下記の通りである。
成分(a)の飽和ポリエステルは、5〜80重量部であり、好ましくは10〜75重量部であり、より好ましくは15〜70重量部である。成分(b)のポリフェニレンエーテルは、20〜95重量部であり、好ましくは25〜90重量部であり、より好ましくは30〜85重量部である。樹脂組成物中、成分(a)の割合が5重量部未満であると流動性が不充分であり、80重量部を越えると耐衝撃性、耐熱性、難燃性が不充分である。また、成分(b)の割合が20重量部未満であると耐衝撃性、耐熱性、難燃性が不充分であり、95重量部を越えると流動性が不充分である。
【0056】
成分(c)の亜リン酸エステル化合物の配合量は、成分(a)と成分(b)の合計量100重量部に対し0.1〜10重量部であり、好ましくは0.2〜9重量部であり、より好ましくは0.3〜8重量部である。0.1重量部未満であると、相容化改良剤としての添加効果が小さく、組成物の物性改良効果は不充分であり、10重量部を越えると成形品外観に難点が生じる場合がある。
【0057】
<付加的成分>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造においては、上記の成分(A)〜(D)以外に他の成分を添加できる。付加的成分としては、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して可塑効果のある可塑剤が挙げられ、具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘプタン、シクロヘキサン等の鎖状及び環状の脂肪炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類、エチルアセテート、プロピオラクトン等のエステル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール類、その他ニトロベンゼン、スルホラン等が挙げられる。これらは単独で用いるか、あるいは混合物として使用することができる。芳香族ポリカーボネート樹脂に対して可塑効果のある可塑剤としては、好ましくは、溶解度パラメーターが7〜11.5の範囲にある化合物である。
【0058】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における付加的成分としては、例えば、耐衝撃改良材、充填剤や補強剤などが挙げられる。耐衝撃改良材としては、部分水素添加芳香族アルケニル化合物−共役ジエンブロック共重合体以外の耐衝撃改良材であり、例えばα−オレフィン系ラバー、スチレン系ラバー、ジエン系ラバーおよびシリコン系ラバーなどが挙げられ、具体例としては、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体などが挙げられる。耐衝撃改良材の割合としては、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは1〜10重量部である。
【0059】
充填剤や補強剤としては、例えば、有機充填剤、無機充填剤、有機補強剤、無機補強剤などが挙げられ、具体例としては、ガラス繊維、マイカ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。充填剤および補強剤の配合は、剛性、耐熱性、寸法精度等の向上に有効である。充填剤および補強剤の配合割合としては、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対し、好ましくは1〜50重量部であり、より好ましくは5〜40重量部である。
【0060】
本発明の樹脂組成物における付加的成分としては、更に、種々の公知の助剤を挙げることができ、こうした付加的成分の割合としては、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対し、酸化防止剤、耐候性改良剤、アルカリ石鹸、金属石鹸、ハイドロタルサイトは0.01〜5重量部、可塑剤、流動性改良剤は5〜30重量部、造核剤は0.5〜2重量部、難燃剤は5〜50重量部、ドリッピング防止剤0.1〜10重量部程度である。また、着色剤およびその分散剤等も0.5〜5重量部配合できる。更に必要に応じて、ポリフェニレンエーテル、ポリエステルやポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を1〜30重量部程度配合することもできる。
【0061】
<組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されないが、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練方法が適用できる。
製造方法の例としては、成分(A)、(B)、(D)および(E)を予め溶融混練法等によりペレットもしくはパウダーにした後、成分(C)を、必要であれば、付加的成分等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練することができる。付加的成分を含め各成分は混練機に一括でフィードしても、順次フィードしてもよく、付加的成分を含め各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合したものを用いてもよい。
【0062】
混練温度と混練時間は望まれる樹脂組成物や混練機の種類等の条件により任意に選ぶことができるが、混練温度は150〜350℃程度、混練時間は20分程度以下が好ましい。350℃または20分を越えると芳香族ポリカーボネート樹脂や部分水素添加芳香族アルケニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の熱劣化が問題となり、成形品の物性の低下や外観の悪化が生じることがある。
【0063】
<樹脂組成物の成形方法>
本発明の樹脂組成物の成形加工方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、すなわち射出成形、中空成形、押出成形、プレス成形等の成形法を適用でき、好ましい成形方法としては、中空、押出成形法等が挙げられる。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において用いた原材料
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチック(株)製、ユーピロンS−2000、粘度平均分子量23,000。(以下、PC−1とも称する。)
(2)スチレン系樹脂:三菱化学(株)製、ダイヤレックスHT478(ハイインパクトポリスチレン)。(以下、HIPS−1とも称する。)
【0065】
(3)ポリプロピレン:日本ポリケム社製、ノバテックBC5D、MFR4.0、密度0.90。(以下、PP−1とも称する。)
(4)部分水素添加芳香族アルケニル化合物−共役ジエンブロック共重合体:クラレ社製、セプトン2104、アルケニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合60重量%、不飽和結合の割合1%、数平均分子量60,000g/mol。(以下、SEPS−1とも称する。)
(5)エチレン−オクテン共重合体:デュポン−ダウ−エラストマー社製、エンゲージ8180。(以下、耐衝撃改良材−1とも称する。)
(6)タルク:勝光山社製、SKC−M。
【0066】
(7)ポリブチレンテレフタレート:鐘紡(株)製、PBT124(射出成形グレード)、固有粘度1.09。(以下、PBT−1とも称する。)
(8)ポリフェニレンエーテル:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、日本ポリエーテル(株)製、30℃におけるクロロホルム中で測定した固有粘度が0.41dl/g。(以下、PPE−1とも称する。)
(9)亜リン酸エステル化合物:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト:旭電化(株)製、商品名MARK PEP−36。(以下、PEP−36とも称する。)
【0067】
(10)曲げ弾性率:ISO R178−1974 Procedure12(JIS K 7203)に準じ、インストロン試験機を用いて測定した。
(11)アイゾット衝撃強度:ISO R180−1969(JIS K7110)ノッチ付アイゾット衝撃強度に準じ、東洋精機製作所製アイゾット衝撃試験機を用いて測定した。
(12)熱変形温度:東洋精機製作所製のHDTテスターを用いて、JIS K7207に準じて4.6Kg荷重で評価した。
【0068】
〔実施例1〜2〕
予め成分(E)の各成分を、表−1に示した配合比でスーパーミキサーにて十分混合攪拌し、次いでこれをベント口付の日本製鋼(株)製TEX44二軸型押出機を用いて第1ホッパーより下流に設置したベント口より10トールの減圧にし、設定温度210℃、スクリュー回転数250rpmの混練条件下で、溶融混練し、溶融混練樹脂組成物としてペレット化した。これを105℃で8時間熱風乾燥機にて乾燥した。次に、得られた成分(E)のペレットと成分(A)〜(D)を表−1に示した配合比でスーパーミキサーにて十分混合攪拌し、次いでこれをベント口付の日本製鋼(株)製TEX44二軸型押出機を用いて第1ホッパーより下流に設置したベント口より10トールの減圧にし、設定温度210℃、スクリュー回転数250rpmの混練条件下で、溶融混練し、組成物とした後、ペレット化した。得られたペレットを105℃で8時間熱風乾燥機にて乾燥し、各種評価を実施した。結果を表−1に示す。
【0069】
〔実施例3〜5〕
予め成分(E)の各成分を、表−1に示した配合比で、実施例1と同様に、混合攪拌、溶融混練し、溶融混練樹脂組成物としてペレット化し、乾燥した。次に、得られた成分(E)のペレット、成分(A)〜(D)、耐衝撃改良材およびタルクを表−1に示した配合比で、実施例1と同様に、混合攪拌、溶融混練し、溶融混練樹脂組成物としてペレット化し、乾燥し、各種評価を実施した。結果を表−1に示す。
【0070】
〔比較例1〜3〕
表−2に示した各成分を、表−2に示した配合比でスーパーミキサーにて十分混合攪拌し、次いでこれをベント口付の日本製鋼(株)製TEX44二軸型押出機を用いて第1ホッパーより下流に設置したベント口より10トールの減圧にし、設定温度210℃、スクリュー回転数250rpmの混練条件下で、溶融混練し、溶融混練樹脂組成物としてペレット化した。得られたペレットを105℃で8時間熱風乾燥機にて乾燥し、各種評価を実施した。結果を表−2に示す。
〔比較例4〕
予めPBT−1とPPE−1を、表−2に示した配合比で、実施例1と同様に、混合攪拌、溶融混練し、溶融混練樹脂組成物としてペレット化し、乾燥した。次に、得られたペレットおよび成分(A)〜(D)を表−2に示した配合比で、実施例1と同様に、混合攪拌、溶融混練し、溶融混練樹脂組成物としてペレット化し、乾燥し、各種評価を実施した。結果を表−2に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、剛性と耐衝撃性とに優れ、且つ、耐熱性と加工性にも優れており、自動車部品、電気・電子機器部品、一般工業部品、家電製品等の分野で幅広く広く使用でき、各種用途において有用である。
Claims (4)
- 下記成分(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対し、下記成分(D)および(E)を所定量含有する組成物よりなる熱可塑性樹脂組成物に存する。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂 5〜95重量部
(B)スチレン系樹脂 0〜40重量部
(C)ポリオレフィン樹脂 5〜95重量部
(D)部分水素添加芳香族アルケニル化合物−共役ジエンブロック共重合体
2〜40重量部
(E)ポリフェニレンエーテルと飽和ポリエステルを含む溶融混練樹脂組成物
1〜20重量部 - 成分(E)の溶融混練樹脂組成物が、下記成分(a)と(b)の合計100重量部に対して、下記成分(c)を所定量含有する組成物よりなる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(a)飽和ポリエステル 5〜80重量部
(b)ポリフェニレンエーテル 20〜95重量部
(c)亜リン酸エステル化合物 0.1〜10重量部 - 上記成分(E)を構成するポリフェニレンエーテルと飽和ポリエステルの溶融混練を、150〜350℃の温度で行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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