JP4017642B2 - 球状チョコレートの製造方法 - Google Patents
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また、このため、処理時間も約120分前後必要となり、生産性、コストの面から改善が要望されていた。
台形立方錘状乃至立方体状のチョコレート素材を原料とした球状チョコレートの製造方法はこれまで確立されておらず、本発明により初めて達成されたものである。
即ち、本発明によれば、従来の約120分前後という処理時間に比べて、およそ6分の1の僅か20分以内に球状チョコレートを製造することができる。
しかも、1回あたりの処理量も実施例によれば38kgにのぼり、従来の5〜10kg程度と比べて、3.8倍以上という大量の球状チョコレートを製造することができる。
請求項1に係る本発明は、球状チョコレートの製造方法に関し、固定槽と回転釜とからなる回転被覆装置の回転釜に、台形立方錘状乃至立方体状のチョコレート素材を入れ、前記回転釜を毎分100回転以上の速度で回転させながら、回転スタート時には前記チョコレート素材に55〜75℃の温風を送り、前記チョコレート素材の温度が回転スタート時の温度よりも、3℃程度高くなった時点において、一旦送風を止めると共に、前記回転釜の回転速度を毎分130回転以上に上げ、次いで前記チョコレート素材に15℃以下の冷風を、送風時間と送風を止める時間とを、それぞれ1〜3分間の範囲内で間欠的に送りつつ前記チョコレート素材を球状化することを特徴とするものである。
そのような回転被覆装置としては、市販されているものを用いることができるが、回転釜内の前記チョコレート素材に送風ができるように、送風管を設けたものが好適である。また、送風温度を温風から冷風まで種々変更できるようにされたものが用いられる。
さらに、チョコレート素材が回転釜から飛び出すのを防止するために、飛び出し防止カバーを設けておくとよい。
送風管3は、チョコレート素材5に向けて送風できるように配置されている。
飛び出し防止カバー4は、回転釜2を回転させたときに、チョコレート素材5が回転釜2から外部へ飛び出してしまうのを防止するために回転釜2の縁に設けられており、通常、回転釜2の左右に2箇所程度設けられているが、これに限定されるものではない。
このときチョコレート素材5の投入量が多過ぎると、理想的な球状化を達成することは困難である。一方、チョコレート素材5の投入量が少な過ぎると、球状化を達成することはできるが、生産性が低下してしまう。回転釜2の容量の20〜30%の割合となるようにチョコレート素材5を投入することが好ましい。
チョコレート素材5の1辺の大きさとしては、特に限定されないが、10〜15mm程度のものが好適である。
例えば、上底の1辺が11mm前後の正方形、下底の1辺が13mm前後の正方形であり、高さが13mm前後の台形立方錘状のチョコレート素材を原料とした場合、最終的には直径が15mm前後の球状チョコレートが得られる。
回転釜2を上記速度で回転させながら、回転スタート時には前記チョコレート素材5に37〜75℃、好ましくは51〜61℃の温風を送る。
ここで前記チョコレート素材5に送る温風の温度が、前記温度範囲未満であっても、或いは前記温度範囲を超えても、いずれも本発明の目的を達成することはできない。
そこで、所定時間(2分間くらい)経過後、前記チョコレート素材5の温度が回転スタート時の温度よりも、3℃程度高くなった時点において、一旦送風を止めると共に、前記回転釜2の回転速度を毎分130回転以上に上げる。なお、回転釜2の回転速度は、これ以後、球状化処理の間中、概ね一定とし、球状化処理が終了する間際になって、回転速度を次第に落とすとよい。
このとき送風を止める時間は、1〜3分間程度であり、通常、2分程度である。
ここで温風を送り続けたりすると、チョコレート素材5同士が繋がり、球状化ができなくなってしまう。
冷風を送るときには、間欠的に行う。連続的に冷風を送り続けると、チョコレート素材5を球状化することが困難となる。
また、冷風を間欠的に送る際には、その温度を徐々に、例えば2℃程度ずつ下げるとよい。
より具体的には例えば、初めに13℃の冷風を1分間送ったら、2分間程度送風を止め、次いで、2℃下げた11℃の冷風を2分間送ったら、2分間程度送風を止め、もう一度11℃の冷風を2分間送ったら、2分間程度送風を止め、さらに2℃下げた9℃の冷風を3分間送るようにするとよい。送風時間と送風を止める時間とは、通常は、そのつど2分程度であるが、1〜3分間の範囲内であればよい。
チョコレート素材5の温度としては、実施例で示したように、例えば回転スタート時に20℃であった場合、2分経過後は23℃、4分経過後は25℃、5分経過後は23℃、7分経過後は25℃、9分経過後は23℃、11分経過後は25℃、13分経過後は23℃、14分経過後は24℃、15分経過後から17分までは22℃となっていることが好ましい。許容範囲は±1℃以内である。
従って、チョコレート素材5の温度は、回転スタート時から上がったときに、最大5℃までに抑えておくことが望ましい。
このようにして得られた球状チョコレートは、そのままで、或いは他の食品素材と組合わせることにより、様々な形態のチョコレート製品とすることができる。
市販の回転被覆装置(株式会社チップトン製;製品名:コータローECMタイプ;容量200リットル)を用い、これに図1のようにして送風管3を設け、さらに回転2の左右に飛び出し防止カバー4を設けたものを用いた。
また、チョコレート素材5としては、図2に示すような台形立方錘状(立方台形状ということもできる)のチョコレート素材を用いた。このものは、上底は1辺が11.12mmの正方形、下底は1辺が12.97mmの正方形であり、高さは12.97mmであった。また、チョコレート素材5の硬度は、チョコレート素材の上下から0.185kNの荷重をかけ、圧縮したときの縮みが、1.10mmのものを用いた。
さらに、室温は、22℃であり、±3℃となるように維持した。また、湿度は34%であり、±10%となるように維持した。
なお、回転スタート時のチョコレート素材5の温度は20℃であり、±1℃となるように維持しておいた。
・回転スタート時より2分間:56℃(温風)
・次の2分間(3〜4分まで):送風停止
・次の1分間(4〜5分まで):13℃(冷風)
・次の2分間(5〜7分まで):送風停止
・次の2分間(7〜9分まで):11℃(冷風)
・次の2分間(9〜11分まで):送風停止
・次の2分間(11〜13分まで):11℃(冷風)
・次の1分間(13〜14分まで):送風停止
・次の3分間(14〜17分まで):9℃(冷風)
・回転スタート時より2分間:500m3/hの送風量であり、合計送風量は約16m3
・次の2分間(3〜4分まで):送風停止
・次の1分間(4〜5分まで):950m3/hの送風量であり、合計送風量は約16m3
・次の2分間(5〜7分まで):送風停止
・次の2分間(7〜9分まで):930m3/hの送風量であり、合計送風量は約32m3
・次の2分間(9〜11分まで):送風停止
・次の2分間(11〜13分まで):920m3/hの送風量であり、合計送風量は約30m3
・次の1分間(13〜14分まで):送風停止
・次の1分間(14〜15分まで):1000m3/hの送風量であり、合計送風量は約17m3
・次の2分間(15〜17分まで):600m3/hの送風量であり、合計送風量は約20m3
・回転スタート時より2分間:毎分114回転
・次の1分間(2〜3分まで):毎分130回転
・次の12分間(3〜15分まで):毎分140回転
・次の1分間(15〜16分まで):毎分130回転
・次の1分間(16〜17分まで):毎分114回転
平均回転数は、毎分126回転となる。
・回転スタート時:20℃
・2分経過後:23℃
・4分経過後:25℃
・5分経過後:23℃
・7分経過後:25℃
・9分経過後:23℃
・11分経過後:25℃
・13分経過後:23℃
・14分経過後:24℃
・15分経過後から17分まで:22℃
回転釜内に投入されたチョコレート素材は、回転しながら個々にも自転を繰り返し、チョコレート素材全体が螺旋流動を起こし、さらに制御しながらチョコレート素材を回転させて行くと、幾筋もの縄状と化し、螺旋縄状流動体となって、チョコレート素材全体が太い縄のようになって行くことが初めて確認された。
なお、チョコレート素材が縄状化して行くことは、回転スタート時から約8分乃至9分が経過した頃によく観察できる。
以上のようにして前記チョコレート素材を球状化し、これによって、直径が15mm前後とほぼ一定である球状チョコレートが得られた。
従って、本発明は、食品産業において有効に利用することができる。
2 回転釜
3 送風管
4 飛び出し防止カバー
5 チョコレート素材
Claims (1)
- 固定槽と回転釜とからなる回転被覆装置の回転釜に、台形立方錘状乃至立方体状のチョコレート素材を入れ、前記回転釜を毎分100回転以上の速度で回転させながら、回転スタート時には前記チョコレート素材に55〜75℃の温風を送り、前記チョコレート素材の温度が回転スタート時の温度よりも、3℃程度高くなった時点において、一旦送風を止めると共に、前記回転釜の回転速度を毎分130回転以上に上げ、次いで前記チョコレート素材に15℃以下の冷風を、送風時間と送風を止める時間とを、それぞれ1〜3分間の範囲内で間欠的に送りつつ前記チョコレート素材を球状化することを特徴とする球状チョコレートの製造方法。
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