JP4017306B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容易且つ衛生的に廃棄処理を行うことができる使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在された液保持性の吸収体とを具備し、腹側部の左右両側縁と背側部の左右両側縁とが接合固定されているパンツ型の使い捨ておむつが種々知られている(実公平8−10305号,実開平6−75444号等)。
斯かるパンツ型の使い捨ておむつにおいては、通常、外表面に廃棄時止着用の止着テープが設けられており、該止着テープにより、おむつの丸めた状態を維持して廃棄できるようになっている。
【0003】
しかし、斯かる止着テープは、おむつ着用中に剥がれて、廃棄時に廃棄用テープとして使用できなくなる場合がある。
また、止着テープは、誤って不適切な位置に貼り付けてしまうと、適切な位置に貼り直しても、その機能が充分に発揮されない場合があり、特に止着用テープの接着力が強い場合には、一度貼り付いたテープを引き剥がすこと自体が困難である。
【0004】
また、異なるタイプの使い捨ておむつとして、背側部の左右両側部に、装着時止着用の一対のファスニングテープを有する、いわゆる展開型の使い捨ておむつが知られており、廃棄の際には、おむつを腹側部から丸め上げ、その丸めた状態を、ファスニングテープを用いて固定していた。
しかし、おむつを丸め上げる際に、ファスニングテープに便が付着する場合があり、このような場合に衛生的に処理するには、他のテープ等で固定して廃棄しなければならなず、廃棄処理に手間が掛かる。
【0007】
従って、本発明の目的は、容易且つ衛生的に廃棄処理することができ、フィット性、漏れ防止性の向上を図ることのできる、使い捨ておむつを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を具備する使い捨ておむつにおいて、前記使い捨ておむつは、廃棄用の伸縮性部材を有しており、該伸縮性部材は、一対のレッグ開口形成部それぞれに、それぞれ伸長状態で固設されており、前記伸縮性部材は、それぞれ、紐状又は帯状をなし、長手方向の両端部が固定され、長手方向の中間部が該長手方向の複数箇所において剥離可能に仮着されている使い捨ておむつを提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態としての使い捨ておむつ1は、図1〜4に示すように、液透過性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート3と、表面シート2及び該裏面シート3の間に介在された液保持性の吸収体4とを具備し、着用者の腹側に配される腹側部5の両側縁部と背側に配される背側部6の両側縁部とが互いに接合固定されることにより、ウエスト開口部7及び一対のレッグ開口部8が形成されている、パンツ型の使い捨ておむつである。
【0010】
更に詳述すると、使い捨ておむつ1は、腹側部5の側縁部5aと背側部6の側縁部6a及び腹側部5の側縁部5bと背側部6の側縁部6bとが、それぞれ公知の接合方法により接合固定されて一対の接合部9,9が形成されている。また、ウエスト開口部7の周縁部を形成するウエスト開口形成部1Aには、ウエスト開口部6の周縁部の全周に亘って実質的に連続したギャザーを形成するように、弾性部材71が配設されている。
【0011】
また、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は、それぞれ中央が括れた砂時計状に形成されており、吸収体4は、表面シート2と裏面シート3との間に挟まれた状態で固定されている。このような構成は、従来公知のパンツ型の使い捨ておむつと同様である。
【0012】
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4それぞれの形成材料としては、従来公知の各種の材料を特に制限なく用いることができる。
例えば、表面シート2の形成材料としては、排泄物を吸収体4へ透過させ得る液透過性シートで、肌着に近い感触を有したものが好ましく、織布、不織布、多孔性フィルム等が好ましい。また、裏面シート3の形成材料としては、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸した多孔性のフィルム等の液不透過性かつ水蒸気透過性のシートや斯かるシートと他の肌着に近い感触を有した不織布や織布との複合シートが好ましい。また、吸収体4の形成材料としては、解繊パルプ等の繊維成分を主材とし、高分子吸水ポリマーを併用したものが好ましい。
【0013】
而して、第1実施形態の使い捨ておむつ1においては、図1及び2に示すように、使い捨ておむつ1における一対のレッグ開口形成部に、それぞれ、おむつ廃棄用の伸縮性部材10が、伸長状態で固設されている。ここで、レッグ開口形成部とは、おむつの長手方向の中央部Cにおける左右両側に位置する部分であり、レッグ開口部8,8の周縁部を形成する部分である。
【0014】
各伸縮性部材10は、弾性素材からなる帯状材からなり、おむつの長手方向に沿って配されている。また、各伸縮性部材10は、その長手方向の両端部11,11がおむつ1の外表面Pに固定されている。
ここで、おむつの長手方向とは、腹側部5と背側部6とを結ぶ方向を意味し、おむつの外表面Pとは、着用者の肌側とは反対側に位置される表面を意味し、具体的には、裏面シート3により形成される面である。
【0015】
より詳細に説明すると、伸縮性部材10の両端部11,11は、図3に示すように、それぞれおむつの外表面Pに、接着剤11a等の固定手段により実質的に剥離不可能に固定されている。即ち、両端部11,11が固定されて形成された一対の固定部12,12それぞれは、両固定部12,12間に位置する中間部13を手で引っ張る程度では剥離しないように強固に固着されている。
【0016】
他方、伸縮性部材10の中間部13は、手で引っ張ることにより伸長し、外表面Pから容易に離間させ得るようになっている。また、中間部13は、手を離すことにより弾性収縮するようになっている。
【0017】
また、伸縮性部材10は、伸長状態で固定されており、単独で測定した自然長に対して、100〜180%の長さに伸長されて固定されていることが好ましい。
両固定部12,12間の長さ(外表面Pに沿う長さ)Lは、該固定部間を外表面Pから離間させて用いる際に、その長さを充分なものとする観点、及び該固定部間を該外表面Pから離間させる前の状態における、おむつの外観を見映えの良いものとする観点から、5〜25cmが好ましく、10〜20cmが特に好ましい。また、両固定部12,12間に位置する中間部13は、固定状態における長さLの3〜8倍の長さ、特に4〜6倍の長さに更に伸長し得るなされていることが好ましい。
【0018】
また、おむつの丸めた状態が安定に維持されるようにする観点から、伸縮性部材10の100%伸長時の伸長強力は、30〜600cNが好ましく、100〜400cNが特に好ましい。
尚、伸縮性部材10の伸長強力は、下記の方法により測定される。
伸縮性部材を引張試験機に初期長が50mmとなるように取付ける。これを300mm/minの速度で引張り、試料長が100mmとなった時の荷重を100%伸長時の伸長強力とする。初期長を50mm取れない場合は、初期長の2倍の長さに伸長させた時の荷重値を100%伸長時の伸長強力とする。
【0019】
また、各伸縮性部材10の幅W(図2参照)は、伸長強力を好ましい範囲とする観点及び優れた外観とする観点から、1〜50mmが好ましく、5〜30mmが特に好ましい。
【0020】
また、本実施形態における伸縮性部材10は、その一部がおむつ1の外表面Pに剥離可能に仮着されている。即ち、伸縮性部材10の中間部13は、接着剤13a等の仮着手段により、おむつ1の外表面1に手で容易に剥離可能なように弱く接合されている。より詳細には、中間部13は、長手方向の複数の箇所において、接着剤13aを介して非連続的に接合されている。伸縮性部材10における固定部12,12以外の部分は、その一部のみが仮着されていても良いが、その全領域が仮着されていても良い。
【0021】
伸縮性部材10の形成素材としては、伸縮性が得られる限り特に制限はなく、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレンーブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンープロピレンゴム、ウレタンゴム、及び熱可塑性エラストマーとして知られている各種ゴム、例えば、ウレタン系、スチレン系、エステル系、オレフィン系、アミド系のハードセグメントを有するゴムや、エチレン−α−オレフィン共重合体等、又はこれらの混合物、複合物等の各種の弾性素材が挙げられ、固定手段としてヒートシールを採用し得る等の観点から、スチレン系エラストマーが好ましい。
【0022】
また、伸縮性部材10の一部(端部11)を固定する固定手段としては、ホットメルト接着剤、スチレン・ブタジエン共重合体、アルリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル、エチレン・オレフィン共重合体、石油系樹脂、コールドクルー等の接着剤や、ヒートシール等を使用することができ、固定強度の強いヒートシールが好ましい。
また、伸縮性部材10の一部(中間部13)を仮着する仮着手段としては、スチレン系やオレフィン系等の接着剤、粘着剤、更にヒートシール、機械的フック状係止物を使用することができる。
【0023】
第1実施形態の使い捨ておむつ1は、表面シート2、裏面シート3及び吸収性物品4からなる吸収性本体、即ちおむつ1における伸縮性部材10を除く部分を従来公知の方法により製造し、その外表面に伸縮性部材10を固設することにより容易に製造することができる。
【0024】
第1実施形態の使い捨ておむつ1によれば、一対のレッグ開口形成部に、一対の伸縮性部材10が伸長状態で固定されているため、図4に示すように、レッグ開口部8,8の周縁部が着用者の脚廻りに良好にフィットする。従って、例えば、従来のおむつにおいて、レッグ開口形成部に配されていたレッグ部弾性部材を省略することができ、あるいは、配するレッグ部弾性部材の本数を減らすことができる。また、従来のようなレッグ部弾性部材を併用する場合においても、その配置位置を、よりフィット性や漏れ防止性を向上させ得る位置に変更できるなど、設計の自由度が増大する。
また、廃棄時におむつをどのような形態や大きさに丸めた場合であっても、確実にその丸めた状態を保持することができる。
【0025】
使い捨ておむつ1の使用後には、図5に示すように、おむつ1を丸めた後、伸縮性部材10を伸長させ、伸縮性部材10とおむつ外表面Pとの間に形成される空間内に、丸めたおむつを挿入して手を離すことにより、その丸めた状態が安定に維持される。
【0026】
使い捨ておむつ1によれば、伸縮性部材10をその両端部を固定して設けてあるので、例えば、着用中に伸縮性部材10の中間部13が外表面Pから引き離されるようなことがあっても、伸縮性部材10の機能は損なわれない。従って、おむつを確実に丸めた状態に保持することができ、衛生的に廃棄することができる。
【0027】
また、伸縮性部材10により、丸めた状態のおむつの周囲に適度な弾性押圧力が加わるため、おむつの丸めた状態を安定に維持することができ、例えば、排便時及び大量の排尿を吸収した時の処理においても、おむつを衛生的に廃棄処理することができる。
また、伸縮性部材10が当接する位置を適宜ずらすことができるので、該伸縮性部材10により適切な位置を押圧することができる。
【0028】
また、伸縮性部材10の中間部13が、剥離可能に仮着されているため、着用中に、伸縮性部材10を他の物等に引っ掛ける危険性が低減され、また、おむつの外観が、すっきりとして見映えも良い。
【0029】
また、乳幼児の健康状態は、便の状態の観察により、ある程度判ると言われているが、本発明の使い捨ておむつによれば、おむつを丸めた後に、便の観察が必要となった場合等であっても、伸縮性部材10を外すだけで容易におむつを広げることができ、また、観察後には、おむつの丸めた形態を容易に固定することができる。
更に、伸縮性部材10の製造及びその固設が容易であり、おむつの製造工程の簡易化、製造コストの低減を図ることができる。
【0030】
図6に、本発明の第2実施形態としての使い捨ておむつを示した。第2実施形態としての使い捨ておむつ1’は、図6に示すように、液透過性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート3と、表面シート2及び裏面シート3の間に介在された液保持性の吸収体4とを具備し、着用者の背側に配される背側部6の左右両側部に着用時止着用の一対のファスニングテープ61,61を有する、いわゆる展開型の使い捨ておむつであり、このような構成は、従来の展開型使い捨ておむつにおけるのと同様である。
【0031】
第2実施形態の使い捨ておむつ1’の背側部6における外表面Pには、第1実施形態におけるのと同一の廃棄用の伸縮性部材10が設けられている。
詳細には、伸縮性部材10は、第1実施形態におけるのと同様に、一対のレッグ開口形成部に、それぞれ、長手方向がおむつの長手方向に沿うように伸長状態で固定されており、伸縮性部材10は、図3に示すように、その両端部11,11が剥離不可能に固定され、その中間部13の一部が剥離可能に仮着されている。伸縮性部材10の構成、その固定(固着)及び仮着の態様、その好ましい特性等については、第1実施形態と同様であり、これらに関し上述した説明は、第2実施形態にも適用される。
第2実施形態の使い捨ておむつ1’は、一対のファスニングテープ61,61を、それぞれ腹側の外表面に設けられたランディングテープ51に貼り付けて使用される。
【0032】
使用後のおむつ1’を処理する際には、おむつを丸め上げ、伸縮性部材10を伸長させた後、伸縮性部材10とおむつ1’の外表面Pとの間に形成される空間内に、丸めたおむつを挿入して手を離す。これにより、その丸めた状態が安定に維持される。
【0033】
本使い捨ておむつ1’によれば、ファスニングテープ61,61に便等が付着した場合であっても、伸縮性部材10によりおむつを丸めた状態に固定することができるので、容易且つ衛生的に廃棄処理することができる。また、必要に応じて、おむつを背側部6側から丸め上げることもできる。
【0034】
また、ファスニングテープ61,61と伸縮性部材10との両方を用いれば、おむつ1’の丸めた状態を、より安定に保持させることができる。更に、伸縮性部材10を設けてあるので、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0035】
本発明の使い捨ておむつは、上述した第1及び第2実施形態に何ら制限されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0042】
また、伸縮性部材は、伸縮性材料からなる伸縮部と非伸縮性材料からなる非伸縮部とから形成されたものでも良い。斯かる伸縮性部材を用いれば、非伸縮部をヒートシール、高周波シール又は超音波シールにより、容易且つ確実に固定することができるので、製造工程の簡易化、製造コストの低減を図ることができる。尚、非伸縮部を形成する非伸縮性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、アイオノマー等の熱可塑性樹脂を挙げることができ、特に、容易且つ確実なシールの観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはそれらの混合物が好ましい。
【0043】
例えば、伸縮性部材は、吸収性物品の外表面Pに固設することが好ましいが、肌側に配される内表面に設けても良い。また、伸縮性部材は、向きを揃え、あるいは向きを異ならせて設けても良い。また、伸縮性部材の仮着は、部分的な融着等によりなされていても良い。また、一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態が有する要件は、それぞれ他の実施形態に適用可能であり、また、各実施形態における要件は、実施形態間で相互に置換可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつは、容易且つ衛生的に廃棄処理することができ、また、フィット性や漏れ防止性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態としてのパンツ型の使い捨ておむつにおける背面を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつを展開した状態を示す一部破断平面図である。
【図3】図3は、図1に示す使い捨ておむつに固設された伸縮性部材を示す拡大図である。
【図4】図4、図1に示す使い捨ておむつの装着時の状態を示す正面図である。
【図5】図5、図5に示す使い捨ておむつの廃棄時の形態を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態としての展開型の使い捨ておむつを、その外表面側から視た一部破断平面図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 腹側部
6 背側部
10 廃棄用の伸縮性部材
11 伸縮性部材の端部
11a 固定用の接着剤(固定手段)
12 固定部
13 中間部
13a 仮着用の接着剤(仮着手段)
51 ランディングテープ
61 ファスニングテープ
Claims (2)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を具備する使い捨ておむつにおいて、
前記使い捨ておむつは、廃棄用の伸縮性部材を有しており、該伸縮性部材は、一対のレッグ開口形成部それぞれに、それぞれ伸長状態で固設されており、
前記伸縮性部材は、それぞれ、紐状又は帯状をなし、長手方向の両端部が固定され、長手方向の中間部が該長手方向の複数箇所において剥離可能に仮着されている使い捨ておむつ。 - 前記伸縮性部材は、おむつの外表面に固定されている請求項1記載の使い捨ておむつ。
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