JP4016781B2 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の製造方法に関し、特にトレンチ内に絶縁膜を介してゲート電極が埋め込まれたトレンチゲート構造を有する縦型MOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、ノートブック型などのパーソナルコンピュータや、携帯電話等の携帯機器の普及に伴い、電池電圧での動作が可能な、オン抵抗の低い半導体素子の要求が高まっている。トレンチゲート構造を有する縦型MOSFET(以下、トレンチゲートMOSFETとする)は、チャネルを縦型にして高集積化を図ることにより、低オン抵抗化を実現した素子である。トレンチゲートMOSFETは、低損失であるため、携帯機器用だけでなく、電力用MOSFETにおいても採用され始めている。
【0003】
図9は、従来のトレンチゲートMOSFETの製造プロセスを示す工程図である。まず、N+高濃度層からなるシリコン基板11上に、おおよそ10μmの厚さのN-エピタキシャル層12を成長させた半導体基板を用意し、これにP型不純物であるホウ素(B)を注入し、拡散させてPベース層13を形成する。ついで、基板表面に形成されたマスク1を用いて、トレンチ2を形成する(図9(a))。
【0004】
ついで、トレンチ2の内側および基板表面に、ゲート酸化膜14を形成する(図9(b))。このとき、ゲート酸化膜14中にPベース層13のホウ素がとりこまれるため、ゲート酸化膜14付近におけるPベース層13のホウ素濃度が薄くなる。このため、トレンチの底部付近のN-エピタキシャル層12が盛り上がったような形状となっている。そして、トレンチ2内を、ゲート電極となるポリシリコン層(以下、ゲートポリシリコン層とする)15で埋める(図9(c))。ついで、基板表面に形成したレジスト3およびゲートポリシリコン層15をマスクとして、N型不純物であるヒ素(As)をイオン注入し、これを熱拡散させて、ソース領域16を形成する(図9(d))。
【0005】
ついで、ゲートポリシリコン層15に電気的に接続する金属ゲート電極17、層間絶縁膜18、ソース領域16と、P+コンタクト領域19を介してPベース層13とに電気的に接続するソース電極20を形成する。そして、ドレイン領域となるシリコン基板11の裏面にドレイン電極21を形成し、図10に示す構成のトレンチゲートMOSFETができあがる(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−85686号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来方法では、ソース領域16を形成するためのヒ素の拡散長が0.5μm以上であるため、基板表面におけるヒ素注入領域の面積が大きくなり、隣り合うトレンチ同士の間隔を小さくすることが困難であるという問題点がある。また、ヒ素をイオン注入する際のマスク(レジスト3)の位置合わせにずれが生じると、注入されるヒ素量が変化し、ヒ素の拡散長が変化してしまうため、MOSFETのしきい値電圧の変動を招く。これを抑制するため、イオン注入マスク(レジスト3)の位置合わせ誤差を見込むことにより、ソース領域を形成するために必要な面積がさらに大きくなってしまい、トレンチゲートMOSFETを高集積化することは困難であるという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、トレンチゲートMOSFETを製造するにあたって、ソース領域を形成するために必要な、基板表面における不純物注入部位の面積を小さくし、不純物注入マスクの位置合わせ誤差を緩和することにより、プロセスマージンを大きくし、高集積化することができる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、トレンチ内にゲート絶縁膜を介してゲート電極が埋め込まれたトレンチゲート構造を有する縦型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを製造するにあたって、半導体基板にトレンチを形成し、前記トレンチの内側および基板表面にゲート酸化膜を形成し、前記トレンチ内の前記ゲート酸化膜の内側をポリシリコンで埋める工程と、前記ポリシリコンの上端が前記基板表面に形成された前記ゲート酸化膜の表面よりも低くなるまで前記ポリシリコンを除去する工程と、前記ゲート酸化膜の、トレンチ側壁と前記ポリシリコンとに挟まれた部分の上端が前記ポリシリコンの上端よりも低くなるまで、前記ゲート酸化膜の露出部分を除去して、トレンチ側壁と前記ポリシリコンの上端との間に凹部を形成する工程と、基板表面、前記凹部内および前記ポリシリコンの上端面をスクリーン酸化膜で被覆し、該凹部にポリシリコンの上端よりも低いスクリーン酸化膜の凹部を形成する工程と、前記基板表面のスクリーン酸化膜上にイオン注入マスクを形成する工程と、前記イオン注入マスクを用い、前記スクリーン酸化膜を介して、基板表面領域に不純物を注入するとともに、トレンチ側壁と前記ポリシリコンとの間に形成された凹部よりトレンチ側壁に不純物を注入し、注入された不純物を拡散させてソース領域を形成する工程と、前記スクリーン酸化膜を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、トレンチ側壁とゲートポリシリコンとの間に凹部を形成し、その凹部よりトレンチ側壁に、ソース領域を形成するための不純物が注入されるので、このトレンチ側壁に注入された不純物の拡散により、基板表面から注入された不純物の拡散距離よりも深い位置までソース領域が形成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明にかかるトレンチゲートMOSFETの製造プロセスを示す工程図である。まず、N+高濃度層からなるシリコン基板31上にN-エピタキシャル層32を成長させてなる半導体基板に、P型不純物であるホウ素を、たとえば加速電圧を40keVとし、注入量を4×1013atoms/cm2として、イオン注入する。そして、1150℃で210分間の熱拡散をおこなってホウ素を拡散させ、Pベース層33を形成する。このとき、Pベース層33は、基板表面からおおよそ2.8μmの深さまで形成される。また、基板表面上には酸化膜が形成される。
【0012】
ついで、基板表面上の酸化膜上にフォトレジストを塗布し、露光および現像をおこなって、トレンチ開口パターンを有するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いてエッチングをおこない、基板表面上の酸化膜を一部除去して、トレンチ形成領域を露出させる。残ったレジストをマスク1として、たとえばCl2とO2の混合ガスを用いた異方性ドライエッチングをおこない、たとえば幅が0.6μmで、深さが2.8μmのトレンチ2を形成する。このトレンチ2は、Pベース層33を貫通し、ドレイン領域となるN-エピタキシャル層32に達する。つづいて、たとえばCF4とO2の混合ガスを用いて等方性ドライエッチングをおこない、トレンチ2の底部および開口部の角部を丸める(図1(a))。
【0013】
マスク1を除去した後、フッ酸溶液を用いて、トレンチ形成時の残渣を除去する。ついで、たとえば乾燥酸素雰囲気中で、1050℃、30分間程度の熱処理をおこない、基板表面およびトレンチの内側に、厚さがたとえば100nmの犠牲酸化膜層を形成する。そして、フッ酸混合液を用いて、犠牲酸化膜層を除去する。これによって、トレンチ形成時の物理的エッチングによって生じた結晶欠陥や反応生成物が取り除かれる。また、トレンチ肩部におけるゲート酸化膜の均一性が増加し、さらに電界集中が緩和されることにより、耐圧が向上することになる。また、トレンチ底部に関しては、トレンチ2の底部をPベース層33と同じか、またはそれよりも少し浅めに形成することによって、同様の効果が期待される。
【0014】
ついで、たとえば水蒸気雰囲気中で、1000℃、30分間の熱処理をおこない、トレンチ2の内側および基板表面に、たとえば厚さが100nmのゲート酸化膜34を形成する(図1(b))。このように水蒸気雰囲気中で熱処理をおこなうと、ホウ素が酸化膜中に吸い出されて偏析するため、Pベース層33のゲート酸化膜34に沿う領域、すなわちチャネルとなる領域では、ホウ素の濃度が下がる。それによって、しきい値電圧が低くなる。たとえば、ゲート酸化膜34の厚さが100nmの場合、しきい値電圧はおおよそ3Vである。
【0015】
ついで、ウェハ全面に、減圧CVD法によりポリシリコンを、たとえばおおよそ0.6μmの厚さに堆積する。そして、堆積したポリシリコンをエッチバックして、ソース領域の上端となる位置まで残し、それよりも上の部分を除去する。それによって、トレンチ2内に、ゲート電極となるゲートポリシリコン層35が残る(図1(c))。ついで、フッ酸溶液を用いて、ゲート酸化膜34の、基板表面に露出した部分を除去する。その際、ゲート酸化膜34の、Pベース層33とゲートポリシリコン層35とに挟まれた部分の上端は、ゲートポリシリコン層35の上端よりも低い凹部4となる(図1(d))。
【0016】
ついで、たとえば1000℃で、30分間の熱酸化をおこない、表面に、たとえば厚さが30nmのスクリーン酸化膜5を形成する。その際、平坦面よりも凹部内のほうが酸化膜の成長速度が遅いため、スクリーン酸化膜5は、基板表面よりも前記凹部4において薄くなる。そして、このスクリーン酸化膜5の上にフォトレジストを塗布し、露光および現像をおこなって、ソース領域を形成するためのイオン注入マスク3を形成する。このマスク3を用いて、たとえば加速電圧を120keVとし、注入量を5×1015atoms/cm2として、N型不純物としてヒ素をイオン注入する。そして、たとえば1000℃で30分間の熱拡散をおこなってヒ素を拡散させ、ソース領域36を形成する(図1(e))。
【0017】
マスク3およびスクリーン酸化膜5を除去した後、図2に示すように、上部をゲートポリシリコン層35の上をHTO(High temperature oxide)膜およびBPSG膜等の酸化膜により絶縁し、また、ゲートポリシリコン層35に電気的に接続する金属ゲート電極37をセル外部に形成し、ソース領域36と、P+コンタクト領域39を介してPベース層33とに電気的に接続するソース電極40を形成する。そして、ドレイン領域となるシリコン基板31の裏面にドレイン電極41を形成し、トレンチゲートMOSFETができあがる。なお、図2において、符合38は層間絶縁膜である。
【0018】
つぎに、加速電圧を120keVとし、注入量を5×1015atoms/cm2としてヒ素をイオン注入し、拡散させた場合の、ソース領域36の形状の変化の様子を示す。図3〜図5は、スクリーン酸化膜5の厚さを、上述した30nmとしたものであり、図3はイオン注入直後、図4は拡散中期、図5は拡散終了時の像である。図4および図5より明らかなように、スクリーン酸化膜5の厚さが30nmの場合には、トレンチ側壁にヒ素が注入されており、このトレンチ側壁に注入されたヒ素の拡散により、ソース領域36の下端は、基板表面から注入されたヒ素の拡散距離よりも深い位置になっていることがわかる。
【0019】
図6〜図8は、比較のため、加速電圧およびイオン注入量を同じにし、スクリーン酸化膜5’の厚さを60nmとしたときのソース領域36’の形状を示しており、図6はイオン注入直後、図7は拡散中期、図8は拡散終了時の像である。図7および図8より明らかなように、スクリーン酸化膜5’の厚さが60nmの場合には、トレンチ側壁にはヒ素が注入されていないので、ソース領域36’の下端位置は、基板表面から注入されたヒ素の拡散によって決まる。
【0020】
上述した実施の形態によれば、トレンチ側壁とゲートポリシリコン層35との間に形成された凹部4よりトレンチ側壁にヒ素が注入され、このトレンチ側壁に注入されたヒ素の拡散により、基板表面から注入されたヒ素の拡散距離よりも深い位置までソース領域36が形成されるので、ソース領域36の形状を任意に制御することができる。したがって、トレンチの深さ方向の距離にかかわらず、ソース領域を形成するために必要な、基板表面におけるヒ素注入部位の面積を小さくすることができ、それによってヒ素注入用マスクの位置合わせ精度が緩和されるので、プロセスマージンを大きくして高集積化を図ることができる。
【0021】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。たとえば、上述した実施の形態に記載した不純物の注入濃度や寸法、種々の処理時の雰囲気や温度や時間、および使用するガス種や溶液等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、トレンチ側壁とゲートポリシリコン層との間に形成された凹部よりトレンチ側壁に不純物が注入され、このトレンチ側壁に注入された不純物の拡散により、基板表面から注入された不純物の拡散距離よりも深い位置までソース領域が形成されるので、ソース領域の形状を任意に制御することができる。したがって、トレンチの深さ方向の距離にかかわらず、ソース領域を形成するために必要な、基板表面における不純物注入部位の面積を小さくすることができ、それによって不純物注入用マスクの位置合わせ精度が緩和されるので、プロセスマージンを大きくして高集積化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製造方法のプロセスを示す工程図である。
【図2】本発明方法により製造されたトレンチゲートMOSFETの構成を示す縦断面図である。
【図3】スクリーン酸化膜の厚さが30nmである場合のイオン注入直後におけるソース形状を示す図である。
【図4】スクリーン酸化膜の厚さが30nmである場合の拡散中期におけるソース形状を示す図である。
【図5】スクリーン酸化膜の厚さが30nmである場合の拡散終了後におけるソース形状を示す図である。
【図6】スクリーン酸化膜の厚さが60nmである場合のイオン注入直後におけるソース形状を示す図である。
【図7】スクリーン酸化膜の厚さが60nmである場合の拡散中期におけるソース形状を示す図である。
【図8】スクリーン酸化膜の厚さが60nmである場合の拡散終了後におけるソース形状を示す図である。
【図9】従来の製造方法のプロセスを示す工程図である。
【図10】従来方法により製造されたトレンチゲートMOSFETの構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
2 トレンチ
4 凹部
5 スクリーン酸化膜
31,32 半導体基板
34 ゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)
35 ポリシリコン層
36 ソース領域
Claims (5)
- トレンチ内にゲート絶縁膜を介してゲート電極が埋め込まれたトレンチゲート構造を有する縦型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタを製造するにあたって、
半導体基板にトレンチを形成し、前記トレンチの内側および基板表面にゲート酸化膜を形成し、前記トレンチ内の前記ゲート酸化膜の内側をポリシリコンで埋める工程と、
前記ポリシリコンの上端が前記基板表面に形成された前記ゲート酸化膜の表面よりも低くなるまで前記ポリシリコンを除去する工程と、
前記ゲート酸化膜の、トレンチ側壁と前記ポリシリコンとに挟まれた部分の上端が前記ポリシリコンの上端よりも低くなるまで、前記ゲート酸化膜の露出部分を除去して、トレンチ側壁と前記ポリシリコンの上端との間に凹部を形成する工程と、
基板表面、前記凹部内および前記ポリシリコンの上端面をスクリーン酸化膜で被覆し、該凹部にポリシリコンの上端よりも低いスクリーン酸化膜の凹部を形成する工程と、
前記基板表面のスクリーン酸化膜上にイオン注入マスクを形成する工程と、
前記イオン注入マスクを用い、前記スクリーン酸化膜を介して、基板表面領域に不純物を注入するとともに、トレンチ側壁と前記ポリシリコンとの間に形成された凹部よりトレンチ側壁に不純物を注入し、注入された不純物を拡散させてソース領域を形成する工程と、
前記スクリーン酸化膜を除去する工程と、
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 前記スクリーン酸化膜を、基板表面よりも前記凹部において薄くなるように成長させることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記スクリーン酸化膜を、基板表面上において30nmの厚さとなるように成長させることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記スクリーン酸化膜を、1000℃で、30分間の熱酸化処理により形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体素子の製造方法。
- 前記ゲート酸化膜を、水蒸気雰囲気中で、1000℃、30分間の熱処理により形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体素子の製造方法。
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