JP4016327B2 - ポリエステル系不織布およびフィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性が高く遮蔽性やフィルター特性に優れた不織布に関する。特に濾過操作時の流体抵抗により変形することの小さいフィルターとして好適な複合不織布に関する。さらに、ダスト払い落とし性の良いフィルターに関する。そして、プリーツ加工されてのちカートリッジに使用されるフィルター関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートよりなる不織布は、機械的特性及び化学的特性に優れており、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば土木・建築資材用や産業資材用の繊維に使用されている。
特に、代表的なポリエステルであるポリエチレンテレフタレートは、耐熱性、優れた強伸度特性、比較的安価な原料価格などの優位性から工業的に広く利用されている。
また、ポリエチレンテレフタレートと低密度ポリエチレンの2成分よりなる複合繊維を用いた長繊維不織布が特公平8−14069号公報に開示されるごとく熱接着性不織布として用いられている。たとえば、ポリエステル系複合繊維不織布は、微多孔分離膜材などと貼り合わせて分離膜の支持体として用いられることも多い。膜材は、ポリプロピレンやポリテトラフルオロエチレンなどで構成される場合も多いが、これらの構成樹脂は非常に薄く剛性が低いために単独で用いることが困難であるため、補強材として積層されている。
【0003】
これらの複合繊維不織布は、目付を大きく設定すると接点での接着強度が高くなり、その結果として剛性にすぐれるため構造材など高い剛性の必要な用途に用いられている。
【0004】
通常、不織布の繊維径を太くするほど、およびまたは目付を大きくするほど不織布の剛性を高くすることが可能となるが、複合繊維でない不織布を熱接着により一体化をはかった場合には目付がおおよそ150〜180g/m2くらいより高い場合に熱伝導差の問題で層間剥離の問題を生じやすい。その対策として、繊維径が大きく目付も大きいポリエステル系の芯鞘型複合繊維をも使用されているが、それでも部分的にエンボス加工された部分がフィルムに近い状態に変化しており、フィルターとして用いた際に流体透過抵抗が大きくなり、送液ポンプやブロアなどの動力費が高くなるという問題が有った。また、剛性を高めるためにエンボス押さえ部面積が大きくなることが多く、場合によっては溝状の長いエンボスパターンをつけることもあるが、表面に凹凸があるためにフィルターを逆洗やパルス払い落としなどの手段によりフィルターを再生する際に、ダストなどのケーキ剥離性が低下するという問題点が有った。また、不織布の剛性が高くなるとシートの巻き出しが不安定になりやすいが、表面の凹部があることによりプリーターなどの加工機供給部との接触面積が小さくなりすぎるためか供給時にシートが滑って供給が不安定になるという問題が顕著となる場合も少なくなかった。また、太い繊維を用いた場合には濾過精度が高く設定しにくいという問題が有った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点を鑑みて、剛性が高く、しかもフィルターとして用いた場合のフィルター性能が高くかつダストの剥離性が良い長繊維不織布およびそれを用いたフィルターを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる問題点を解決するために本発明は以下の手段をとる。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の構成からなる。
1.3点支持曲げ剛性が0.10〜1.50N/2cm、フラジール通気度が3〜20cc/cm2秒であることを特徴とするポリエステル系不織布。
2.繊維径が7〜15ミクロンの繊維よりなる目付が10〜50g/m2の不織布A層、繊維径が20〜50μmの芯鞘型複合繊維を50%以上含む目付が15〜270g/m2である不織布B層、目付が30〜200g/m2のポリエステル不織布C層からなる積層不織布であって、各層が積層一体化されてなることを特徴とする上記第1に記載のポリエステル系不織布。
3.不織布A層が表層材であることを特徴とする上記第2に記載のポリエステル系不織布。
4.芯鞘型複合繊維が、鞘成分の融点が110℃〜250℃のポリエステル、芯成分の融点が185℃〜300℃のポリエステルであることを特徴とする上記第2に記載のポリエステル系不織布。
5.熱接着により積層一体化されていることを特徴とする上記第2に記載のポリエステル系不織布。
6.プリーツ加工されてなることを特徴とする上記第2に記載のポリエステル系不織布。
7.上記第1記載のポリエステル系不織布を用いてなることを特徴とするフィルタ−。
8.上記第2記載の不織布A層を濾過操作時に被濾過流体の流入側に設置して用いることを特徴とするフィルター。
9.不織布A層が熱カレンダープレスにより繊維の少なくとも一部が相互に融着されていることを特徴とする上記第8に記載のフィルター。
10.不織布がプリーツ加工されてなることを特徴とする上記第8に記載のフィルター。
【0008】
以下に本発明の用件について詳細に説明する。
先ず、本発明に係る不織布は、3点支持曲げ剛性が0.10〜1.50N/2cmであり、且つフラジール通気度が3〜20cc/cm2秒であることが望ましい。本発明に係る不織布は、かかる二律相反する特性を具備するものであって、3点支持曲げ剛性及び通気抵抗を上記範囲内とするには後述する不織布の積層一体化が好ましい態様である。剛性が上記範囲を下回ると、低いとプリーツ織りしてフィルターに用いたり、構造体の一部として不織布を用いた場合にたわみなどの変形を生じやすくなるため好ましくない。また剛性が上記範囲を上回るっても大きな問題はないが剛性を高くするためには厚みを大きくとる必要が出てくるため、カートリッジのプリーツ折り込み本数が少なくなるためあまり好ましくはない。好ましくは、0.15〜0.70N/2cmである。
また通気抵抗が上記範囲を下回ると被濾過流体を供給するポンプなどの動力費が高くなったり流体から受ける抗力でプリーツの山形状が変形したりするする問題が発生する場合がありあまり好ましくない。一方、剛性が上記範囲を上回ってもあまり問題はないが、発明者らの経験では濾過精度が低下する可能性が高く望ましくない場合が多かった。好ましくは5〜20cc/cm2秒、特に好ましくは7〜15cc/cm2秒である。
【0009】
本発明で用いられる不織布は、具体的には、下記の多層構造からなることが推奨される。
構成要素である不織布A層は、目付が10〜50g/m2の不織布であることが望ましい。繊維径が7〜15ミクロンの間にあることで、充填密度をあまり高く設定しないでも高い濾過精度を達成することが可能となる。繊維径が細すぎると摩耗などにより毛羽だちやすいという問題点が発現する。また、剛性を高くするために繊維径を太くするとフィルターとして用いた場合に充填率を高くしないと濾過精度が高く設定できなくなり、その結果流体透過抵抗が増加するという問題を生じる。本発明の複合不織布をフィルターとして用いる場合は、不織布A層を濾過面とするサーフェース濾過材として用いられることが一般的であると考えられるので、細い繊維径であるほど濾過精度が高くなり、かつ表面が平滑化されやすくその結果ケーキ剥離性が良くなって濾過ライフも長くすることが可能となる。
本発明のように複合構造をとらない場合は、濾過精度と濾過ライフの性能バランスを良くして、かつ剛性の高い不織布を得ることは極めて困難と考えられる。不織布が長繊維不織布であると、フィルターや遮蔽材として用いた場合に繊維の脱落の心配がないために特に好ましい。
【0010】
また、不織布A層の繊維はシートの長手方向中心線に沿ってプラスマイナス15度の角度の範囲に主に配列していることが好ましい。繊維を主に長手方向に配列させることで不織布の剛性を高めることが可能となる。この範囲に配列する繊維本数の割合が25%以上であれば(均一な繊維配列で有れば約17%)主に配列していると見なすことができるが、好ましくは30%以上、特に好ましくは50%以上である。不織布剛性を高めるためには、繊維径が細いほど長手方向に繊維配向の割合が高いことが好ましい。繊維径が15ミクロン以下である場合には、該方向への繊維配列が70%以上、特に好ましくは80%以上である。特に、横手方向に平行な折れ目をジグザグ状にいれてプリーツ折りして用いる場合にその曲げ剛性を高くする事が可能となり、水などの流体が透過するときの抵抗で不織布折れ曲がって隣接するシートが重なるために有効濾過面積が低下するという問題を防止することが容易となる。本不織布の構成繊維の融点は不織布C層の融点と同じであってもよいが、好ましくはそれより10〜50℃程度低くして、不織布張り合わせの過程で繊維の一部を融解させることで毛羽立ち防止をすることが可能であり特に好ましい。
【0011】
本発明で用いられる不織布の構成要素である不織布B層は、鞘成分が融点が110℃から250℃の間にある低融点ポリエステルであり、芯成分が融点が180℃〜300℃のポリエステルである芯鞘型複合繊維であることが望ましい。この構成により、本発明の目的である剛性の高い不織布およびそれを用いたフィルターを提供することが可能となる。不織布の形態は、長繊維不織布で有ればプロセス油剤を付与する必要がないため異物を無くすることが可能である。また、長繊維不織布はリントフリー性にもすぐれるため繊維の脱落が無いのでフィルターなどの用途に特に好適である。発明者らの検討の範囲では各ポリマーの融点が高いほど良好な剛性を得ることが可能であった。
【0012】
鞘成分に用いるポリマーは、融点が110℃から250℃の間にある低融点ポリエステルであることが望ましい。融点が110℃以下であると、室温に於いても接着力が低下してしまったり、粘着性がでてブロッキングなどの問題が出るおそれがあるためあまり好ましくない。一方、融点が250℃より高くなると、接着加工温度が高くなり過ぎて接着対象物の表面温度が低いとすぐに固化が始まり接着性が低下したり操業性が悪くなる可能性があるためあまり好ましくない。ポリエステル系樹脂は、一般に異物の発生が少ないためフィルター関連用途への市場に特に好適である。用いる樹脂としては、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステルあるいはブロック共重合ポリエステルおよびそれらのいずれかを基本骨格の一分とする共重合ポリマーなどが好適に利用できる。
【0013】
また、芯成分のポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸あるいはそれらのいずれかを一部に含む共重合体であることが望ましい。これらのポリエステル系樹脂は、融点が180℃〜300℃の間にあれば高温時の寸法安定性や機械的強度特性に優れるため特に好ましい。最近、自然成分由来やバイオテクノロジーで原料を得ることが可能となってきており、環境保全の観点からも特に好ましい。特に、液体フィルターなどとして形態安定性を樹脂されるときには、ポリエステル繊維のもつ高い剛性が有効になる。芯成分のポリマーは、鞘成分のポリマーの融点あるいは軟化点より少なくとも20℃以上高い温度であることが、接着加工の操業性を考えると好ましい。融点の差が小さいと、加工温度のコントロールを厳密にする必要があるため高度な温度制御設備が必要になったり、加工速度が低速にせざるをえなくなりあまり好ましくない。
【0014】
複合繊維の芯成分と鞘成分の重量比は20:80〜70:30程度であることが好ましく、さらに好ましくは30:70〜60:40の間であり、特に好ましくは40:60〜55:45の間である。接着成分である鞘成分が30%より少ないと十分な接着力を得ることが難しくなる。一方、70%を超えると、接着加工時の温度コントロールが難しくなったり、機械的強度特性が低くなりやすいなど問題を生じやすいので余り好ましくない。
【0015】
また、該不織布B層を構成する主な繊維の繊維径が20〜50μmの間にあることが望ましく、好ましくは25〜50μmの間であり、特に好ましくは30〜50μmである。繊維径が20μmより小さいと接着部面積が小さくなり、接着力が低下しやすくなりあまり好ましくない。一方、繊維径が50μmより大きくなると不織布の不織布の地合が斑が大きくなり好ましくない。また、スパンボンド法で該不織布を製造する場合には紡糸過程で糸切れを生じたり、繊維牽引のエジェクターに繊維が付着したり詰まったりするなどの問題点を生じやすく操業性に問題を生じることも少なくなかった。また、太すぎる繊維よりなる不織布は繊維量が少ないために地合の斑が目立ちやすく、物性のバラツキにつながる。繊維の少ないところは、不織布の剛性不足や不織布の接着強度の低下を招き好ましくない。
【0016】
さらに、不織布B層の目付が15〜270g/m2の間であることが好ましい。また、目付が270g/m2より大きいと熱エンボス加工を行うときに、エンボスロールでの伝熱性の問題から接着強度が低くなると言う問題を生じやすくあまり好ましくない。本発明の不織布を、分離膜支持体として利用した場合には、目付が15〜70g/m2の間であることが好ましい。目付が15g/m2より小さいと先述の理由から適切な接着力を得ることが困難となったり、形態保持性が低下したりするためあまり好ましくない。一方、目付が70g/m2より大きくても接着力が高くなることはあまり期待できず、分離膜の支持体として用いる際に、厚みや重量が大きくなって取り扱い性が低下したり、圧力損失が大きくなるという問題を生じやすく余り好ましくない。また、厚みが厚いとプリーツ型フィルターに用いる場合に織り込み襞折り数が少なくなり結果として有効濾過面積が少なくなる。
【0017】
本発明で用いる不織布C層は、目付が30〜200g/m2のポリエステル不織布C層であることが望ましく、好ましくは40〜180g/m2、特に好ましくは100〜180g/m2である。不織布の製造方法は特に規定されないが、耐熱性が高くコストパフォーマンスにすぐれたポリエステル長繊維不織布を用いることができる。不織布C層は他の不織布に比べて厚みや目付が高い場合が多いので、熱カレンダー処理などで不織布相互を貼り合わせる際に伝熱不良を生じる恐れがある。その防止のためには、不織布C層をあらかじめ赤外線ヒータなどで予熱することも好ましい。電熱性を高くするために金属を表面に蒸着したり、カーボンなどを練り込んだりするのも好ましい形態の一つで有る。表裏の色を変えておくと使用時の間違い防止の効果も期待できて好ましい。また、不織布A層〜C以外の不織布を、これらの間あるいは片面に貼り合わせて用いても良い。
【0018】
本発明の不織布の積層方法は特に規定されないが、好ましい実施形態のひとつとして熱により不織布B層の鞘成分のみあるいは、これに不織布A層の一部の繊維を溶融させて接着して分離膜として用いることも好ましい形態のひとつである。このとき、熱により不織布表面積の15%以上の部分が鞘成分のみを溶融させて変形接着していることが好ましい。接着部分の面積が15%以下だと接着力が弱く剥離しやすくなるのであまり好ましくない。また、圧力をかけすぎてフィルム化するとフィルターとして用いた場合の濾過対象流体による透過抵抗が上昇するためあまり好ましくない。本発明の不織布と多孔膜の接着性を良くするためには、不織布が熱エンボス処理不織布で有る場合には、平滑面(プレーンロール)により積層することが、不織布A層面の表面平滑性を向上させるために特に好ましい。フィルターとして用いる場合に、ケーキ剥離性を向上することが可能となり、工業用集塵フィルターや放電加工などのクーラントフィルターとして用いる場合に特に好適である。
【0019】
本発明の複合不織布あるいはそれを一部に用いたフィルターは剛性が高いためにプリーツ加工されてのちカートリッジにされることが好ましい。積層加工していることで曲げ剛性を高く設定することが可能である。また、不織布B層が低融点成分を持つことで、プリーツ加工の成形性が良好となり、レシプロ加工はもとより従来のスパンボンド不織布では加工の難かしいといわれていた高速ロータリー方式の襞折り加工が可能となる。この際、不織布A層は加工機で滑りを生じやすいので、シート上方に位置するようにセットして加工することが好ましい。不織布C層が加工時の下面となるが、不織布C層がエンボス加工によって処理されている場合はその面積が50%以上であると不織布と加工機の支持体部との間で滑りを生じる問題が生じやすくあまり好ましくない。好ましくは、エンボス部面積が5〜40%の間にあることが好ましい。本発明の複合不織布は、不織布A層が上流になるようにセットすることがケーキ剥離性の観点から好ましい。
【0020】
(繊維径)
走査型電子顕微鏡(SEM)の拡大写真より、100本以上の繊維を読み取り、その算術平均値を繊維径とした。
(目付)
JIS-L-1906に準拠して評価する。
(曲げ剛性)
評価用試料片を幅2cm×長さ10cmの大きさに採取し、支持幅5cmによる3点支持曲げ剛性を測定した。加圧子はJIS-L-1096 曲げ反発性 C法(ループ圧縮法)で使用される形状とする。
(融点)
PERKIN-ELMER社製 DSC7を使用し、昇温速度20℃/分で評価した。
(繊維配列)
画像処理プログラム(東洋紡績株式会社より発売中Image32)によりフーリエ変換法により測定した。繊維の配列を長手方向に対してプラスマイナス90度の範囲で30度刻みで測定し、長手方向プラスマイナス15度の範囲にある繊維の割合を測定した。画像処理装置がない場合は、−90度から+60度の範囲で30度刻みの角度で不織布を、20cm長、5cm幅に切り出してのち引っ張り強度を測定して、それらの値の合計が100になるように規格化したときの長手方向の値を採用しても大きな誤りがないと推定される。
(エアーフィルター性能)
大気塵を用いて5cm/sで濾過操作を行った時の直径50mmのサンプルの前後の粒子濃度をパーティクルカウンターにより測定して1〜2ミクロンの間の粒子径の捕集効率を求めた。また、通気抵抗を、精度測定時にマノメータによりフィルター前後の差圧を測定することにより求めた。
(フラジール通気度)JIS L1096に準じて測定を行った。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
繊維径約10ミクロン、目付20g/m2のポリエチレンテレフタレートスパンボンド不織布(日石プラスト株式会社製T20)を不織布A層とした。繊維は95%以上がシートの長手方向中心線に沿ってプラスマイナス15度の角度の範囲に配列していた。イソフタル酸を導入した共重合ポリエステル(融点約130℃)を芯成分に、融点が約270℃のポリエチレンテレフタレートである繊維径が約40μmの芯鞘型複合繊維よりなるスパンボンド不織布B層(目付40g/m2)を作成した。芯鞘比は重量ベースで50:50であった。不織布C層として繊維径14ミクロン、目付180g/m2のポリエチレンテレフタレートスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製6A81AD)を不織布C層として、3枚の不織布をプレーンカレンダーにより150℃、設定線圧約50kg/cm、速度18m/分で貼り合わせた。不織布の曲げ剛性は0.80N/2cmであった。不織布A層が上面になるようにしてロータリー方式の襞折り加工機で処理したところ問題なく処理することが可能であった。エアーフィルタ性能は、捕集効率が59%、通気抵抗が5.8mmAqとフィルター性能がすぐれていた。
【0022】
(実施例2)
不織布B層が、繊維径約35ミクロンの芯鞘型短繊維(日本エステル株式会社製メルティー2080、芯部融点約200℃)よりなる目付40g/m2の不織布に変更した以外は実施例1と同じ方法にて積層不織布を作成した。不織布の曲げ剛性は0.58N/2cmであった。不織布A層が上面になるようにしてロータリー方式の襞折り加工機で処理したところ問題なく処理することが可能であった。エアーフィルタ性能は、捕集効率が62%、通気抵抗が6.1mmAqとフィルター性能がすぐれていた。
【0023】
(比較例1)
繊維径が17ミクロン、目付250g/m2のポリエチレンテレフタレートスパンボンド不織布をプレーンカレンダーにより210℃、設定線圧約80kg/cm、速度3m/分で貼り合わせた。繊維は約38%がシートの長手方向中心線に沿ってプラスマイナス15度の角度の範囲に配列していた。不織布を折り曲げたところ、簡単に層間剥離を生じて不織布の曲げ剛性は測定できず、襞折り加工機での処理ができなかった。エアーフィルタ性能は、捕集効率が52%、通気抵抗が13.0mmAqと圧力損失が高い割に捕集効率が低く問題であった。
【0024】
(比較例2)
実施例1で用いた不織布B層と同じ構成の複合繊維で繊維径が約20ミクロン、目付約250g/m2のスパンボンド不織布をプレーンカレンダーにより180℃、設定線圧約50kg/cm、速度10m/分で貼り合わせた。繊維は約23%がシートの長手方向中心線に沿ってプラスマイナス15度の角度の範囲に配列していた。ロータリー方式の襞折り加工機で処理したところ滑りを若干生じたがほぼ問題なく処理することが可能であった。不織布の曲げ剛性は0.32N/2cmであった。エアーフィルタ性能は、捕集効率が55%、通気抵抗が10.1mmAqと圧力損失が高い割に捕集効率が低く問題であった。
【0025】
(比較例3)
比較例2で用いた目付250g/m2のスパンボンド不織布を熱エンボスカレンダー(押さえ部面積約50%)により180℃、設定線圧約50kg/cm、速度15m/分で貼り合わせた。ロータリー方式の襞折り加工機で処理したところ、不織布が機械機のシート供給部で滑って襞折りの間隔がそろわないため問題であった。不織布の曲げ剛性は0.41N/2cmであった。エアーフィルタ性能は、捕集効率が49%、通気抵抗が9.7mmAqと実施例1,2より性能が劣り問題であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、剛性が高く遮蔽性やフィルター特性に優れた不織布を得ることができる。特に濾過操作時の流体抵抗により変形することの小さいフィルターとして好適な複合不織布となる。さらに、ダスト払い落とし性の良いフィルターにとして使用しうる。また、プリーツ加工されてのちカートリッジ化して使用される高性能のフィルターを提供することを可能とした。
Claims (9)
- 繊維径が7〜15ミクロンの繊維よりなる目付が10〜50g/m2の長繊維不織布A層、繊維径が20〜50μmの芯鞘型複合繊維を50%以上含む目付が15〜270g/m2である不織布B層、目付が30〜200g/m2のポリエステル長繊維不織布C層からなる積層不織布であって、各層が積層一体化されてなり、3点支持曲げ剛性が0.10〜1.50N/2cm、フラージール通気度が3〜20cc/cm2秒であることを特徴とするポリエステル系不織布。
- 不織布A層が表層材であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系不織布。
- 芯鞘型複合繊維が、鞘成分の融点が110℃〜250℃のポリエステル、芯成分の融点が185℃〜300℃のポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系不織布。
- 熱接着により積層一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系不織布。
- プリーツ加工されてなることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系不織布。
- 請求項1記載のポリエステル系不織布を用いてなることを特徴とするフィルタ−。
- 請求項1記載の不織布A層を濾過操作時に被濾過流体の流入側に設置して用いることを特徴とするフィルター。
- 不織布A層が熱カレンダープレスにより繊維の少なくとも一部が相互に融着されていることを特徴とする請求項7に記載のフィルター。
- 不織布がプリーツ加工されてなることを特徴とする請求項7に記載のフィルター。
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