JP4016235B2 - 内燃機関の空燃比制御方法と内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の空燃比制御装置に関する従来技術として特開平5―18232号公報がある。図7により、この従来技術を説明する。図7は従来技術の基本構成を示すブロック図である。
【0003】
図7に示すように、従来技術の構成は、機関の排気通路に配設されて機関排気を浄化する触媒51と、触媒51の上流側の排気通路に供給する二次空気量を調整する二次空気量調整手段56と、触媒51の温度を検出する触媒温度検出手段52と、機関吸入混合気の空燃比を検知する空燃比検知手段55と、触媒温度検出手段52で検出された触媒の温度に基づいて空燃比の最適値を設定する最適空燃比設定手段53と、最適空燃比設定手段53で設定された最適空燃比と空燃比検知手段55で検知された空燃比との比較に基づいて二次空気調整手段56を制御する最適空燃比に基づく制御手段54とを含んで構成された内燃機関の二次空気制御装置である。
【0004】
次に、従来技術の作用を説明する。触媒温度検出手段52により検出された触媒51の温度に基づいて、最適空燃比設定手段53により最適空燃比が設定される。最適空燃比に基づく制御手段54により、最適空燃比設定手段53により設定された最適空燃比と空燃比検知手段55により検知された実際の空燃比との比較に基づいて、二次空気量が調整される。
【0005】
このように、触媒温度に基づいて、二次空気量を制御するようにしたので、始動時など触媒温度が低いときには二次空気の供給により酸化反応を積極的に促進させ、触媒の活性化を図るものである。また、触媒温度に基づいて設定した最適空燃比と実際の空燃比との比較に基づいて、二次空気を制御するので、必要量のみ供給させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記説明の通り、従来技術の内燃機関の空燃比制御装置は、触媒温度に基づいて設定した最適空燃比と実際の空燃比との比較に基づいて、二次空気を制御するものであり、機関運転状態、たとえば、機関負荷を考慮していない。ところが、内燃機関においては、機関負荷が高くなるほど吸気管圧力が高くなり、燃料の蒸発が遅くなり、燃焼が悪化しドライバビリティが悪化するという問題が発生する。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するために、触媒温度に基づいて目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御方法において、目標空燃比を目標空燃比ガード値でガードするようにした内燃機関の空燃比制御方法を提供することを目的にしたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するために、請求項1の発明は、触媒温度に基づいて目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御方法において、理論空燃比よりリーン側に設定され、機関負荷が高いほど理論空燃比に近づくように設定される目標空燃比ガード値で前記目標空燃比をガードするようにしたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御方法である。前述の目的を達成するために、請求項2の発明は、触媒温度に基づいて前記目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御方法において、前記目標空燃比を触媒の劣化度に基づいて設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御方法である。前述の目的を達成するために、請求項3の発明は、触媒を活性化させるリーン化制御実行中に行われることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御方法である。前述の目的を達成するために、請求項4の発明は、前記目標空燃比ガード値はコンプレッション不足により燃焼悪化が発生する極低負荷域では理論空燃比よりリーン側に設定され、機関負荷が低いほど理論空燃比に近づくように設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずか一項に記載の内燃機関の空燃比制御方法である。
【0011】
前述の目的を達成するために、請求項5発明は、触媒温度に基づいて目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御装置において、理論空燃比よりリーン側に設定され、機関負荷が高いほど理論空燃比に近づくように設定される目標空燃比ガード値で前記目標空燃比をガードする目標空燃比設定手段と、前記目標空燃比設定手段により設定された目標空燃比に基づき内燃機関に対し空燃比制御を行う空燃比制御手段を備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置である。前述の目的を達成するために、請求項6発明は、触媒温度に基づいて前記目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御装置において、前記目標空燃比を触媒の劣化度に基づいて設定することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の空燃比制御装置である。前述の目的を達成するために、請求項7発明は、触媒を活性化させるリーン化制御実行中に前記空燃比制御を行う空燃比制御手段を備えたことを特徴とする請求項5もしくは請求項6に記載の内燃機関の空燃比制御装置である。前述の目的を達成するために、請求項8発明は、前記目標空燃比ガード値はコンプレッション不足により燃焼悪化が発生する極低負荷域では理論空燃比よりリーン側に設定され、機関負荷が低いほど理論空燃比に近づくように設定されることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置である。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明の実施形態を図に基づき説明する。図1は、本発明の1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置のシステム構成図である。図1は、内燃機関9として、4気筒4サイクル火花点火式内燃機関に適用した例であり、後述するマイクロコンピュータ1によって制御される。
【0014】
エアフローメータ2の下流側には、スロットルバルブ3を介してサージタンク4が設けられている。エアフローメータ2の近傍には吸気温を検出する吸気温センサ5が取り付けられている。スロットルバルブ3には、スロットルバルブ3が全閉状態でオンとなるアイドルスイッチ6が取り付けられている。
【0015】
サージタンク4は、吸気通路7および吸気弁8を介して内燃機関9の燃焼室10に連通されている。吸気通路7内に一部が突出するよう各気筒毎に燃料噴射弁11が配設されている。燃料噴射弁11により、吸気通路7を通る空気内に燃料が噴射される。
【0016】
燃焼室10は、排気弁12および排気通路13を介して触媒装置14に連通されている。点火プラグ15は燃焼室10に突出するよう設けられている。ピストン16は図中、上下方向に往復運動する。
【0017】
イグナイタ17は高電圧を発生し、この高電圧をディストリビュータ18により気筒の点火プラグ15に分配供給する。回転角センサ19はディストリビュータ18のシャフトの回転を検出して例えば、30°CA毎にエンジン(内燃機関)回転信号をマイクロコンピュータ1に出力する。
【0018】
水温センサ20は、エンジンブロック21を貫通した一部がウォータジャケット内に突出するように設けられ、エンジン冷却水の水温を検出して水温センサ信号を出力する。酸素濃度検出センサ(O2センサ)22はその一部が排気通路13を貫通突出するように配置され、触媒装置14に入る前の排気ガス中の酸素濃度を検出する。警告灯23はマイクロコンピュータ1に接続され、燃料噴射系の異常時に点灯し、異常を運転者に知らせる。
【0019】
このような構成の各部の動作を制御するマイクロコンピュータ1は図2に示すようなハードウエア構成を備えている。図2は、図1中のマイクロコンピュータのハードウエア構成を示す図である。図2において、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0020】
図2において、マイクロコンピュータ1は、CPU(中央処理装置)30、処理プログラムを格納したROM(リード・オンリ・メモリ)31、作業領域として使用されるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)32、内燃機関停止後もデータを保持するバックアップRAM33,A/Dコンバータ34および入出力インターフェース回路35などから構成されており、それらはバス36を介して互いに接続されている。
【0021】
A/Dコンバータ34は、エアフローメータ2からの吸入空気量検出信号、吸気温センサ5からの吸気温検出信号、水温センサ20からの水温検出信号、酸素濃度検出センサ(O2センサ)22からの酸素濃度検出信号を順次切換えて取り込み、それをアナログ・ディジタル変換してバス36に順次送出する。
【0022】
入出力インターフェース回路35はアイドルスイッチ6からの検出信号および回転角センサ19からの回転数に応じた回転数信号がそれぞれ入力され、それをバス36を介してCPU30に入力する一方、バス36から入力された各信号を燃料噴射弁11、イグナイタ17および警告灯23へ送出してそれらを制御する。これにより、燃料噴射弁11は、その燃料噴射時間が制御され、イグナイタ17の点火信号が入力されてイグニッションコイルの一次電流を遮断し、点火プラグ15に点火する。
【0023】
上記構成のマイクロコンピュータ1は、図3に示す本発明の基本構成をソフトウエアで実現する電子制御装置であり、ROM31内に格納されたプログラムに従い、後述するフローチャートの処理を実行する。
【0024】
図3により、本発明の基本構成を説明する。図3は、本発明の基本構成を示すブロック図である。図3に示すように、触媒温度を推定する触媒温度推定手段41と触媒劣化度を推定する触媒劣化度推定手段42からの情報に基づき目標空燃比設定手段44にて目標空燃比AFRが算出される。
【0025】
機関運転状態、たとえば機関負荷を検出する機関運転状態検出手段43からの情報に基づき目標空燃比設定手段44にて目標空燃比ガード値AFRGDが算出される。
【0026】
目標空燃比設定手段44にて目標空燃比AFRと目標空燃比ガード値AFRGDが比較され、目標空燃比ガード値AFRGDの方が目標空燃比AFRより大きい場合、目標空燃比AFR=目標空燃比ガード値AFRGDとされる。
【0027】
空燃比制御手段45は、目標空燃比設定手段44にて算出された目標空燃比AFPに基づき内燃機関46に対し空燃比制御を行う。
【0028】
空燃比制御手段45の制御方法としては、排気管に設置した図1および図2に示す酸素濃度検出センサ(O2センサ)22からの情報に基づくフィードバック制御を実施してもよいし、酸素濃度検出センサ(O2センサ)22の活性前で空燃比情報が得られない場合にはオープン制御を実施してもよい。
【0029】
図4により、本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置の目標空燃比設定ルーチンを示すフローチャートを説明する。図4は、本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置の目標空燃比設定ルーチンを示すフローチャートである。
【0030】
S1(ステップ1。以下同様)では、リーン化制御実行中か否かが判断される。内燃機関の始動後、触媒を早期活性化させるため、空燃比をリーンにさせているか否かを判断させるものである。YESの場合、S2に進み、NOの場合、S5に進む。
【0031】
S5では、目標空燃比AFR=理論空燃比と設定されてRETURNに進む。
【0032】
S2では、目標空燃比AFRのマップ検索が実行される。すなわち、触媒温度を推定する触媒温度推定手段41と触媒劣化度を推定する触媒劣化度推定手段42からの情報に基づき目標空燃比設定手段44にて目標空燃比AFRが算出される。
【0033】
図5により、目標空燃比AFRマップの例を説明する。図5は、図4における本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置の目標空燃比AFRマップの例を示した図である。図5から明らかなように、目標空燃比は、触媒温度が低いほど、また触媒劣化度が大きいほどリーンに設定される。
【0034】
S3では、目標空燃比ガード値AFRGDのテーブル検索が実行される。すなわち、機関運転状態検出手段43からの情報、たとえば、機関負荷情報に基づき目標空燃比設定手段44にて目標空燃比ガード値AFRGDが算出される。
【0035】
図6により、目標空燃比ガード値AFRGDのテーブルを説明する。図6は、図4における本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置の目標空燃比ガード値AFRGDのテーブルの例を示した図である。図6から明らかなように、目標空燃比ガード値AFRGDは、基本的に機関負荷が高いほど、リッチ側に設定される。これは、機関負荷が高いほど、吸気管圧力が高くなり、燃料の蒸発が遅くなることに起因する燃焼の悪化を回避させるためである。また、コンプレッション不足により燃焼悪化が発生する極軽負荷域の場合も目標空燃比ガード値AFRGDをリッチ側にシフトすることで燃焼悪化を回避させるようにしている。
【0036】
S4では、目標空燃比AFR>目標空燃比ガード値AFRGDか否かが判断される。すなわち、目標空燃比設定手段44にて目標空燃比AFRと目標空燃比ガード値AFRGDが比較され、目標空燃比ガード値AFRGDの方が目標空燃比AFRより大きい場合、S6に進み、小さい場合、RETURNに進む。
【0037】
S6では、目標空燃比AFR=目標空燃比ガード値AFRGDとされ、 RETURNに進む。
【0038】
以上説明した本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御方法および装置によれば、触媒温度や触媒劣化度などの触媒状態に基づいて目標空燃比を設定したので、触媒の早期活性化を達成するのに最適な空燃比に設定することができ、排気エミッションの低減が可能になる。
【0039】
また、機関負荷など機関運転状態に基づいて目標空燃比に目標空燃比ガードを設けることで、ドライバビリティを維持することができる。
【0040】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明では、排気エミッションの低減が可能で、ドライバビリティを維持することができる内燃機関の空燃比制御方法を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置のシステム構成図である。
【図2】図1中のマイクロコンピュータのハードウエア構成を示す図である。
【図3】本発明の基本構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置の目標空燃比設定ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図4における本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置の目標空燃比AFRマップの例を示した図である。
【図6】図4における本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置の目標空燃比ガード値AFRGDのテーブルの例を示した図である。
【図7】従来技術の基本構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1……マイクロコンピュータ
2……エアフローメータ
3……スロットルバルブ
4……サージタンク
5……吸気温センサ
6……アイドルスイッチ
7……吸気通路
8……吸気弁
9……内燃機関
10……燃焼室
11……燃料噴射弁
12……排気弁
13……排気通路
14……触媒装置
15……点火プラグ
16……ピストン
17……イグナイタ
18……ディストリビュータ
19……回転角センサ
20……水温センサ
21……エンジンブロック
22……酸素濃度検出センサ(O2センサ)
23……警告灯
30……CPU
31……ROM
32……RAM
33……バックアップRAM
34……A/Dコンバータ
35……入出力インターフェース回路
36……バス
41……触媒温度推定手段
42……触媒劣化度推定手段
43……機関運転状態検出手段
44……目標空燃比設定手段
45……空燃比制御手段
46……内燃機関
51……触媒
52……触媒温度検出手段
53……目標空燃比設定手段
54……最適空燃比に基づく制御手段
55……空燃比検知手段
46……二次空気量調整手段
Claims (8)
- 触媒温度に基づいて目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御方法において、理論空燃比よりリーン側に設定され、機関負荷が高いほど理論空燃比に近づくように設定される目標空燃比ガード値で前記目標空燃比をガードするようにしたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御方法。
- 触媒温度に基づいて目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御方法において、前記目標空燃比を触媒の劣化度に基づいて設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御方法。
- 触媒を活性化させるリーン化制御実行中に、前記目標空燃比を設定し、前記目標空燃比ガード値で前記目標空燃比をガードするようにしたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御方法。
- 前記目標空燃比ガード値はコンプレッション不足により燃焼悪化が発生する極低負荷域では理論空燃比よりリーン側に設定され、機関負荷が低いほど理論空燃比に近づくように設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずか一項に記載の内燃機関の空燃比制御方法。
- 触媒温度に基づいて目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御装置において、理論空燃比よりリーン側に設定され、機関負荷が高いほど理論空燃比に近づくように設定される目標空燃比ガード値で前記目標空燃比をガードする目標空燃比設定手段と、前記目標空燃比設定手段により設定された目標空燃比に基づき内燃機関に対し空燃比制御を行う空燃比制御手段を備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
- 触媒温度に基づいて目標空燃比を設定する内燃機関の空燃比制御装置において、前記目標空燃比を触媒の劣化度に基づいて設定することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 触媒を活性化させるリーン化制御実行中に、前記目標空燃比を設定し、前記目標空燃比ガード値で前記目標空燃比をガードするようにしたことを特徴とする請求項5もしくは請求項6に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
- 前記目標空燃比ガード値はコンプレッション不足により燃焼悪化が発生する極低負荷域では理論空燃比よりリーン側に設定され、機関負荷が低いほど理論空燃比に近づくように設定されることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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- 1999-10-29 JP JP30873599A patent/JP4016235B2/ja not_active Expired - Lifetime
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