JP4015603B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4015603B2
JP4015603B2 JP2003317860A JP2003317860A JP4015603B2 JP 4015603 B2 JP4015603 B2 JP 4015603B2 JP 2003317860 A JP2003317860 A JP 2003317860A JP 2003317860 A JP2003317860 A JP 2003317860A JP 4015603 B2 JP4015603 B2 JP 4015603B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
wire
porous body
electrolytic capacitor
solid electrolytic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003317860A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005086053A (ja
Inventor
長治郎 栗山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rohm Co Ltd
Original Assignee
Rohm Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rohm Co Ltd filed Critical Rohm Co Ltd
Priority to JP2003317860A priority Critical patent/JP4015603B2/ja
Priority to US10/939,126 priority patent/US7056357B2/en
Priority to CNB2004100784034A priority patent/CN100514519C/zh
Publication of JP2005086053A publication Critical patent/JP2005086053A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4015603B2 publication Critical patent/JP4015603B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/008Terminals
    • H01G9/012Terminals specially adapted for solid capacitors
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/04Electrodes or formation of dielectric layers thereon
    • H01G9/048Electrodes or formation of dielectric layers thereon characterised by their structure
    • H01G9/052Sintered electrodes

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Description

本願発明は、弁作用を有する金属の多孔質焼結体を用いた固体電解コンデンサの製造方法に関する。
従来、CPUなどのデバイスから発生するノイズの除去や、電子機器の電源系の安定化を目的として、弁作用を有する多孔質焼結体を備えた固体電解コンデンサが、広く用いられている。
そのような固体電解コンデンサの製造方法の一例として、図23および図24に示される方法が提案されている(特許文献1参照。)。図23に示すように、この製造方法に用いられる金型Bは、固定ブロック111、4つの押圧ブロック112A〜112D、および可動ブロック113を備えている。図24(a)〜(c)に示されるように、この製造方法においては、固定ブロック111および4つの押圧ブロック112A〜112Dにより形成された空間部117内にワイヤ105を配置し、弁作用を有する金属の粉末104を充填する。次いで、粉末104を、可動ブロック113により覆い、4つの押圧ブロック112A〜112Dを所定距離だけ空間部117の中央に向けて移動させて、四方から圧縮することにより、粉末104を加圧成形する。この後に、この多孔質体を加熱焼成することにより、多孔質焼結体が得られ、この多孔質焼結体を用いて固体電解コンデンサを製造する。
特開2003−77769号公報
近年、CPUの高クロック化や、電子機器の高速化およびデジタル化に伴い、上記コンデンサとしても、広い周波数帯域におけるノイズ除去特性の向上や、高い周波数に対応して高い応答性で大容量の電力供給を行なうことが求められている。このような要請に応える手段としては、コンデンサの大容量化、低抵抗化および低インピーダンス化が有効である。
コンデンサの大容量化を図る手段としては、複数個の多孔質体を用いたコンデンサとすることがあるが、製造工程の複雑化、コンデンサのサイズの増大などの不具合がある。また、複数個のコンデンサを電気回路に並列に接続させて、大容量のコンデンサと等価な機能を実現することも行なわれているが、これらのコンデンサに通電するための配線パターンの本数が増え、長さも長くなるために、配線パターンのインピーダンス増加、基板上のスペース効率の低下および部品点数の増加に伴うコストの増大を招く。したがって、コンデンサ単体として大型化を抑制しつつ大容量化を図ることが望ましい。多孔質焼結体を用いたコンデンサにおいては、多孔質焼結体の大型化と、高密度化とにより、コンデンサ自体のサイズをそれほど大きくすることなく、大容量化を図ることができる。
一方、多孔質焼結体を大型化すると、それに伴って、等価直列抵抗と等価直列インダクタンスとが大きくなってしまう。このような弊害を回避する手段として、多孔質焼結体を偏平化することがある。つまり、多孔質焼結体を偏平とすることにより、多孔質焼結体内を流れる電流の経路が短くなる。また、多孔質焼結体の表面積が大きくなるために、たとえば多孔質焼結体の表面に設けられるグラファイト層や銀層との接触面積が大きくなる。これらにより、低抵抗化と低インピーダンス化とが可能となる。一方、偏平な多孔質焼結体を用いたコンデンサは、高さの比較的低いものとすることが可能であり、コンデンサが組み込まれる機器の薄型化、省スペース化にも有利である。
このように、高周波数帯域におけるノイズ除去特性の向上および大容量の電力供給の高速応答化の要請に応えるためには、多孔質焼結体を備えた固体電解コンデンサの場合、この多孔質焼結体の大型化、高密度化および偏平化を図ることが望ましい。
しかしながら、従来の製造方法には、大型、高密度かつ偏平な多孔質体を形成する場合に、以下に述べるように未だ改善すべき点があった。
第1に、大型の多孔質体を形成するには、空間部117内の容積を大きくする必要があるために、これに伴って4つの押圧ブロック112A〜112Dの移動距離が長くなる。さらに、高密度な多孔質体を形成するには、上記加圧成形前後における空間部117内の容積の比を大きくする必要があるために、押圧ブロック112A〜112Dの移動距離がさらに長くなる。4つの押圧ブロック112A〜112Dの移動距離が長くなるほど、上記多孔質体の中心部付近と外縁部付近とで粉末104の密度に粗密が生じやすくなり、上記多孔質体内の密度分布が不均一となる。偏平な多孔質体において粉末104の密度分布が不均一であると、上記多孔質体を加熱焼成する際に、過度に変形したり、強度が不足して破損するなどの不具合が生じる虞れがあった。また、多孔質体の均一性が十分でないために、上記加熱焼成が適切に行なえないと、この多孔質体から製造されるコンデンサの漏れ電流を増大させる原因ともなり得る。さらに、粉末104の密度が不均一であると、上記多孔質体に進入して設けられるワイヤ105と粉末104との結合が不十分となり、これらの間の接触抵抗が大きくなる虞れがあった。
第2に、従来の製造方法においては、上記多孔質体の厚み方向と交差する方向において、4つの押圧ブロック112A〜112Dにより粉末104を圧縮するために、上記多孔質体の表面のうち厚み方向を向いている上下表面が、これらと対向する固定ブロック111および可動ブロック113の表面と擦れ合うこととなる。上記したように大型化および高密度化に伴って4つの押圧ブロック112A〜112Dの移動距離が長くなると、上記上下表面が擦れ合う距離も長くなる。さらに、上記多孔質体を高密度に仕上げるためには、大きな圧縮力で上記粉末を圧縮する必要があり、上記上下表面と固定ブロック111および可動ブロック113との接触圧も大きくなる。これらにより、上記上下表面は、その表層部に存在する微細な孔が摩擦により塞がれて目詰まりが発生する可能性が高くなる。上記多孔質体の表面に目詰まりが発生すると、この多孔質体を加熱焼成により多孔質焼結体とした後に、たとえば誘電体層を形成するためのリン酸水溶液や、電解質層を形成するための二酸化マンガン水溶液を、この面から多孔質焼結体内に含浸させることが困難となる。特に、上記多孔質焼結体が偏平であるほど、上記上下表面は、上記多孔質体の全表面に対する割合が大きくなるために、上記多孔質焼結体内の上記誘電体層や電解質層の形成が阻害される虞れが大きくなり、極性を有する固体電解コンデンサとしての機能を適切に発揮することが困難な場合があった。また、上記目詰まりが発生すると、たとえば上記多孔質焼結体の表面に形成されるグラファイト層および銀層と、上記多孔質焼結体に形成された電解質層との接触面積が減少し、これらの間の接触抵抗が大きくなる虞れがあった。
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、大型、高密度かつ偏平な多孔質体を適切に形成可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
本願発明の第1の側面によって提供される固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用を有する金属の粉末を、金型の上向きの底面と内向きの側面とにより囲まれた空間部に充填する工程と、上記空間部に充填された上記粉末を加圧成形することにより、偏平な多孔質体を形成する工程と、を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、上記粉末の加圧成形は、上記側面が固定された状態において、上記粉末を上記多孔質体の厚み方向としての上下方向に圧縮することにより行ない、上記金型としては、上記側面を形成する可動ブロックが水平方向に移動自在とされたものを使用し、上記粉末の加圧成形の前に、弁作用を有する金属製のワイヤの一部を上記可動ブロックの内向きの側面から上記空間部に向けて略水平に延出させるワイヤ配置工程と、上記粉末の加圧成形の後に、上記可動ブロックを上記多孔質体から離間する方向に退避させる工程と、をさらに含んでいるとともに、上記粉末の加圧成形は、上記底面が固定された状態において、上記空間部の上方から上記空間部に向けて上記金型の押圧ブロックを下降させることにより行ない、上記可動ブロックを退避させる工程においては、上記粉末を加圧成形するときよりも弱い圧縮力で上記多孔質体を上記金型の上記上向き底面と上記押圧ブロックとによって挟持させておくことを特徴としている。なお、本願発明でいうワイヤとは、円形状の断面を有するいわゆる針金に限らず、たとえば矩形状の断面を有する帯状のものも含む概念である。
このような構成によれば、上記偏平な多孔質体の加圧成形において、上記粉末を上記多孔質体の厚み方向に圧縮することにより、従来技術と比べて金型の移動距離が短くなる。そのために、上記粉末の密度に粗密を生じにくく、上記多孔質体内における上記粉末の密度分布の均一化を図ることが可能である。したがって、加熱焼成する工程において、上記多孔質体が反ったり破損するなどの不具合が生じる虞れが少ない。また、上記粉末の加圧成形においては、上記多孔質体の表面のうち、上記厚み方向に起立する複数の側面が、上記金型の側面と擦れ合うこととなり、上記多孔質体の上下表面は、上記金型とほとんど擦れ合うことが無い。そのために、比較的大きな面積を有する上記上下表面においては、目詰まりが発生する虞れが少なく、これらの面から上記誘電体層や電解質層を形成するための水溶液を十分に含浸させることが可能である。したがって、上記多孔質焼結体内に誘電体層や電解質層を適切に形成可能であり、極性を有する固体電解コンデンサとしての機能を適切に発揮することができる。また、上記多孔質焼結体の表面に形成されるグラファイト層や銀層の接触抵抗を小さくすることができる。特に、大型かつ高密度な焼結体を形成する場合に、上記粉末の均一化や、上記表面の目詰まり抑制に好適である。さらに、上記粉末を上記厚み方向に対して交差する四方から圧縮する構成と比べて、上記粉末を加圧成形に必要な所定の圧縮力で移動する金型の部分が少なくなるために、簡素な装置とすることができる。また、このような構成によれば、上記多孔質体に設けられた上記ワイヤが、上記多孔質体に一部が進入する陽極となり、このような陽極と多孔質体とを備えた固体電解コンデンサの中間品を適切に製造することができる。上記陽極を上記多孔質体に接合するなどの工程をあらたに必要としないために、作業効率が良い。また、上記粉末は、上記ワイヤの軸方向に交差する方向に圧縮される。さらに、偏平な上記多孔質体の厚み方向と交差する方向に上記ワイヤを進入させるために、上記ワイヤを覆う粉末は厚みが薄くなり、高い密度に仕上げることが可能である。これらより、上記粉末と上記ワイヤとを確実に結合させることができる。また、上記押圧ブロックのみを所定の圧縮力で移動させればよいために、製造装置をさらに簡素なものとすることができる。さらに、上記可動ブロックを退避させる工程において、上記多孔質体が不当に移動することを防止できる。そのために、上記多孔質体の上下表面が金型と擦れ合うことが抑制され、上下表面に目詰まりを生じる虞れが少なく、誘電体層および電解質層を適切に形成できる。
本願発明の第2の側面によって提供される固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用を有する金属の粉末を、金型の上向きの底面と内向きの側面とにより囲まれた空間部に充填する工程と、上記空間部に充填された上記粉末を加圧成形することにより、偏平な多孔質体を形成する工程と、を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、上記粉末の加圧成形は、上記側面が固定された状態において、上記粉末を上記多孔質体の厚み方向としての上下方向に圧縮することにより行ない、上記金型としては、上記側面を形成する可動ブロックが水平方向に移動自在とされたものを使用し、上記粉末の加圧成形の前に、弁作用を有する金属製のワイヤの一部を上記可動ブロックの内向きの側面から上記空間部に向けて略水平に延出させるワイヤ配置工程と、上記粉末の加圧成形の後に、上記可動ブロックを上記多孔質体から離間する方向に退避させる工程と、をさらに含んでいるとともに、上記粉末の加圧成形は、上記空間部の上方から上記空間部に向けて上記金型の第1の押圧ブロックを下降させ、かつ上記底面を形成する上記金型の第2の押圧ブロックを上記空間部に向けて上昇させることにより行ない、上記可動ブロックを退避させる工程においては、上記粉末を加圧成形するときよりも弱い圧縮力で上記多孔質体を上記第1の押圧ブロックと上記第2の押圧ブロックとによって挟持させておくことを特徴としている。このような構成によれば、上記第1および第2の押圧ブロックの双方が、上記空間部の中心に向けて移動するために、たとえば上記第1の押圧ブロックのみが移動する構成における第1の押圧ブロックの移動量と比べて、上記第1および第2の押圧ブロックの移動量が少なくなる。そのために、上記第1および第2の押圧ブロックにより圧縮される上記粉末の移動量も少なくなり、粗密の発生を抑制できる。さらに、上記可動ブロックを退避させる工程において、上記多孔質体が不当に移動することを防止できる。そのために、上記多孔質体の上下表面が金型と擦れ合うことが抑制され、上下表面に目詰まりを生じる虞れが少なく、誘電体層および電解質層を適切に形成できる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記ワイヤとしては、長尺のワイヤを使用し、上記可動ブロックを退避させる工程の後に、上記ワイヤを上記多孔質体から離間した位置において切断する工程をさらに含んでいる。このような構成によれば、多数の上記陽極を備えたコンデンサの中間品、連続的に作業効率良く製造するのに好適である。さらに、上記切断する工程においては、所望の箇所で切断することが可能であるために、1つの長尺ワイヤを材料として、長さの異なる陽極を備えた複数種類の中間品を製造することができる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記ワイヤとしては、所定の長さに切断された非長尺のワイヤを使用する。このような構成によっても、上記陽極を備えたコンデンサの中間品を適切に製造可能である。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記ワイヤ配置工程においては、上記ワイヤを、上記空間部を貫通するように配置する。
このような構成によれば、上記陽極が貫通するように設けられた上記多孔質焼結体を適切に製造可能である。このような多孔質焼結体から製造されたコンデンサにおいては、回路電流が上記陽極を流れるような構成とすることできる。上記陽極は、内部に多数の微小な孔を有する上記多孔質焼結体よりも、電気抵抗が小さいために、上記多孔質焼結体のみを上記回路電流が流れる場合と比べて、電気的損失を抑制することができる。また、通電による発熱を抑制し、発火防止の信頼性が高められる。さらに、電力供給の高速応答化を図ることができる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、それぞれに孔が設けられた1対の上記可動ブロックを使用し、上記ワイヤ配置工程においては、上記ワイヤを、上記1対の可動ブロックのいずれか一方の孔から延出させ、他方の上記可動ブロックの孔に通すようにして上記空間部を貫通させる。
このような構成によれば、たとえば一方の上記可動ブロックの側に備えられた送り出し装置を用いて、上記ワイヤを延出させて上記空間部を貫通するように配置することにより、比較的短時間でワイヤを配置することができる。そのために、上記陽極が上記多孔質体を貫通するように設けられたコンデンサの中間品を作業効率良く製造することができる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記ワイヤを上記空間部に貫通させるときには、上記1対の可動ブロックを接近させて、これらの間隔が上記粉末を加圧成形するときよりも小さい状態としておく。
このような構成によれば、上記ワイヤを一方の可動ブロックの孔から延出させた後に、他方の可動ブロックの孔へとより確実に通すことが可能である。したがって、上記ワイヤを上記可動ブロックの側面などに不当に接触させて、曲げたり折損してしまうことなどの不具合の発生を抑制可能であり、作業効率を向上することができる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記可動ブロックおよび上記ワイヤを、複数ずつ使用し、上記ワイヤ配置工程においては、上記複数のワイヤの一部を上記複数の可動ブロックの側面から上記空間部に向けて延出させる。
このような構成によれば、複数の上記陽極を備えた多孔質焼結体を容易に形成可能である。複数の上記陽極を備えた多孔質焼結体が用いられたコンデンサは、電流を複数の陽極に分散して流すことが可能であり、低抵抗化と低インピーダンス化とを図ることができる。そのために、発熱の虞れが少なく、発火防止の信頼性を向上させることができるとともに、大容量の電力供給の高速応答化が可能となる。さらに、上記コンデンサを流れるすべての電流が、上記ワイヤを流れる構成とすれば、この電流が上記コンデンサの等価直列インダクタンスを流れることとなり、特に高周波数帯域のノイズを遮断するのに好適である。また、上記多孔質体が偏平であるために、複数のワイヤを設けるためのスペースを十分に確保可能であり、上記複数のワイヤ間を適切な間隔を置いて設けることができる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記ワイヤを複数使用し、上記ワイヤ配置工程においては、上記複数のワイヤの一部を上記可動ブロックの1つの側面から上記空間部に向けて延出させる。このような構成によれば、上記1つの可動ブロックのみに上記ワイヤを配置するための機構を備えればよい。したがって、製造装置を比較的簡素な構造とし、コスト抑制に有利である。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記ワイヤを切断する工程においては、上記複数のワイヤのうち少なくとも1本は、他のワイヤよりも上記多孔質体からの突出寸法が長くなるように切断する。
このような構成によれば、上記他の陽極よりも突出部分が長い陽極を把持することにより、上記多孔質体が大型かつ偏平であっても、上記多孔質体を容易に搬送することができる。したがって、加圧成形された上記多孔質体を装置から取出す際や、上記多孔質体を加熱焼成して多孔質焼結体とした後に、その内部に誘電体層や電解質層を形成するために水溶液に浸漬する際などに便利である。また、1本の陽極のみを突出部分が長いものとすれば、その他の陽極は上記コンデンサの機能を発揮するために最低限必要な長さとすればよく、ワイヤ使用量の節約を図ることが可能であり、コスト抑制に有利である。
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本願発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図9は、本願発明に係る実施形態における固体電解コンデンサの製造方法の一例を示している。本実施形態においては、2本の陽極が進入した多孔質焼結体を備えた固体電解コンデンサが以下の工程により製造される。
まず、図1に示すように、金型A1の固定ブロック10の1対の内向きの側面10aおよび上向きの底面10cと、1対の可動ブロック11の内向きの側面11aとによって、矩形状の空間部17を形成しておく。1対の可動ブロック11は、固定ブロック10に形成された溝部10gに移動自在に嵌入している。これら1対の可動ブロック11を所定の位置において固定しておき、空間部17の平面視寸法が後述する工程により形成する多孔質体の平面視寸法と等しい大きさとしておく。
1対の可動ブロック11のそれぞれには、側面11aからその反対側に位置する側面へと貫通する孔11hが形成されている。これらの孔11hを通して2本のワイヤ40を2つの側面11aのそれぞれから空間部17内へと所定の長さだけ延出するように配置する。ワイヤ40は、たとえばニオブやタンタルなどの弁作用を有する金属製であり、この後の工程において形成される陽極の材料として用いられるものである。なお、空間部17から1対の可動ブロック11を挟んで溝部10gの延びる方向には、2本のワイヤ40を送り出すための2つの送り出し装置(図示略)が備えられており、ワイヤ40を可動ブロック11を通して空間部17へと所望の長さだけ送り出し、保持することが可能となっている。また、図2によく表われているように、2本のワイヤ40を、空間部17内における下方寄りに配置しており、この後の加圧成形により形成される偏平な多孔質体の厚み方向における中央付近に2本のワイヤ40が位置するような配置としている。
次いで、図3に示すように空間部17内に、弁作用を有する金属の粉末30を充填する。この弁作用を有する金属としては、たとえばニオブやタンタルを用いることができる。そして、図4によく表われているように、スキージSを、その下端部が固定ブロック10の上面10dおよび可動ブロック11の上面11dに沿うように空間部17上を移動させて、粉末30のうち上面10d,11dから余分に盛り上がっている部分を取り除く。これにより、所定の量の粉末30を空間部17内に均一に充填することができる。また、2本のワイヤ40のうち空間部17内に延出する部分は、粉末30に覆われることとなる。
粉末30を空間部17内に充填した後に、図5に示すように、粉末30を上下方向において圧縮することにより加圧成形する。より具体的には、空間部17の上方に備えられた押圧ブロック15を空間部17に向けて下降させる。押圧ブロック15は、空間部17と嵌合するサイズとされており、下降するにつれて空間部17内に進入しつつ、粉末30を所定の圧縮力で圧縮する。そしてこの押圧ブロック15を所定位置において停止させる。これにより、粉末30は加圧成形されて、偏平な矩形状の多孔質体31となる。
この工程においては、押圧ブロック15のみが移動し、可動ブロック11は、上記所定位置において固定された状態であるために、粉末30は上下方向において圧縮される。多孔質体31は偏平な矩形状であり、その幅に対して厚みが小さいものであるために、従来技術のように押圧ブロックを空間部の中央に向けて移動させて粉末を四方から加圧成形する構成と比べて、押圧ブロック15の移動距離は短くなる。したがって、粉末30が圧縮される距離も短くなり、粉末30に粗密が生じにくくなる。そのために、たとえば多孔質体31を多孔質焼結体とするための加熱焼成においても、多孔質体31内における粉末30の粗密に起因する反りや破損などを抑制することができる。
また、粉末30の加圧成形においては、多孔質体31の側面は固定ブロック10および可動ブロック11の側面10a,11aと擦れ合うこととなるが、多孔質体31の上下表面は固定ブロック10の底面10cおよび押圧ブロック15の下面とほとんど擦れ合うことが無い。そのために、上記上下面に形成された微細な孔が不当に目詰まりすることが抑制可能である。多孔質体31は偏平であるために、多孔質体31の全表面に対する上記上下表面の割合が大きい。したがって、これらの上下表面から誘電体層や電解質層を形成するための水溶液を多孔質体31内に適切に含浸させることが可能であり、極性を有する固体電解コンデンサとしての機能を適切に発揮させることができる。
さらに、粉末30はワイヤ40を覆うように充填された後に、粉末30の加圧成形においてワイヤ40の軸と略直交する方向に圧縮される。そのために、たとえば従来技術のように、上記粉末がワイヤの軸方向に圧縮される場合と比べて、粉末30とワイヤ40とはより強く圧着されることとなり、これらの接合の確実化を図ることができる。
粉末30を加圧成形することにより多孔質体31を形成したの後に、図6に示すように、1対の可動ブロック11を退避させる。この退避に先立ち、まず押圧ブロック15の圧縮力を弱めて、多孔質体31を押圧ブロック15と固定ブロック10により保持しておく。そして、多孔質体31を保持した状態において1対の可動ブロック11のそれぞれを、多孔質体31から離間する方向における所定位置まで退避させる。多孔質体31は、押圧ブロック15と固定ブロック10とにより弱い圧縮力で挟まれているために、1対の可動ブロック11を退避させる最中に不当にずれることを回避可能である。また、この退避させる工程は、ワイヤ40を、上記送り出し装置(図示略)により保持した状態において行なう。これにより、1対の可動ブロック11を退避させる最中に、ワイヤ40に不当な力が加わることが回避可能であり、ワイヤ40と多孔質体31との結合が弱くなったり、ワイヤ40が抜け出たりすることを防止することができる。
1対の可動ブロック11を退避させた後には、図7に示すように、2本のワイヤ40のそれぞれを多孔質体31から所定距離だけ離間した位置において切断する。この切断により、2本のワイヤ40のうち多孔質体31側に残された切断片が、多孔質体31に一部が進入する2本の陽極41となる。この後に、押圧ブロック15を上方に退避させて、図8に示すように、2本の陽極41が進入した多孔質体31を装置から取出す。これにより、図9に示される多孔質体31と2本の陽極41とを備えた固体電解コンデンサの中間品を形成することができる。このような方法によれば、たとえば陽極41を多孔質体31に接合する工程を新たに行なうこと無く、多孔質体31に2本の陽極41を設けることができる。そのために、上記中間品を作業効率良く形成することができる。
この後は、たとえば多孔質体31を多孔質焼結体とするための加熱焼成の工程や、上記多孔質焼結体内に誘電体層および電解質層を形成するための化成処理の工程を経ることにより、固体電解コンデンサを製造する。このようなコンデンサは、たとえば、上記多孔質焼結体を、上記2つの陽極の一方から他方へと回路電流が流れるように電気回路に接続することにより、広い周波数帯域におけるノイズ除去特性を向上させることが可能であり、また、高い周波数に対応して、高い応答性で大容量の電力供給を行なうことができる。
このように、本実施形態によれば、偏平な多孔質体の形成において、密度の均一化および目詰まり発生の抑制が可能であり、加熱焼成における変形および損傷を抑制し、誘電体層および電解質層を適切に形成することができる。また陽極が進入した多孔質焼結体を備えた固体電解コンデンサを、作業効率良く製造することができる。
なお、本実施形態により製造される固体電解コンデンサの低抵抗化を図るためには、多孔質体31をさらに偏平なものとすることが望ましい。多孔質体31が偏平であるほど、押圧ブロック15の移動距離は相対的に短くなるために、粉末30の粗密もさらに生じにくくなる。したがって、低抵抗な固体電解コンデンサを製造するのに好適である。
また、ノイズ除去性能の向上および大容量の電力供給への対応の一手段として固体電解コンデンサの大容量化を図る場合には、多孔質体を大型かつ高密度なものとすることが有効である。多孔質体31を大型かつ高密度に仕上げるためには、空間部17の大型化に併せて押圧ブロック15の移動距離を長くし、かつ押圧ブロック15の圧縮力も高める必要がある。このような場合においても、本実施形態によれば、多孔質体31の側面に目詰まりが発生する可能性は高くなるが、多孔質体31の上下表面は、ほとんど擦れ合うことが無く、これら上下表面に目詰まりが発生する虞れは少ない。したがって、大型かつ高密度な多孔質焼結体を備えることにより大容量とされた固体電解コンデンサを製造するのに好適である。
本実施形態においては、押圧ブロック15のみを移動させて粉末30の加圧成形を行なうために、たとえば従来技術のように4つの押圧ブロックを移動させて加圧成形する方法と比べて、製造装置の可動部分を少なくし、製造装置を簡素な構造とすることが可能である。
図10〜図16は、本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示している。図10以降の図面においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略する。
図10に示す実施形態においては、図11に示すように4本の陽極41と多孔質体31とを備えた中間品が形成される点が、上記実施形態と相違する。
より具体的には、図10によく表われているように、金型A2の1対の可動ブロック11の内向きの側面11aと、1対の可動ブロック12の内向きの側面12aと、固定ブロック10の底面10cとにより、空間部17を形成しておく。1対の可動ブロック11,12のそれぞれは、固定ブロック10に形成された溝部10g,10hに移動自在に嵌入している。空間部17の形成においては、1対の可動ブロック11を所定の位置において固定しておき、これらの可動ブロック11に1対の可動ブロック12を押し当てるようにして所定の位置に固定する。なお、1対の可動ブロック11,12のそれぞれが独立に固定される構成としても良い。
次に、4本のワイヤ40を、1対の側面11a,12aから空間部17内へと延出するように配置する。1対の可動ブロック11,12には孔11h,12hが形成されており、これらの孔11h,12hを通して、4本のワイヤ40が4つの送り出し装置(図示略)により、空間部17内へと送り出され、所望の長さが延出した状態で固定される。
この後は、上記実施形態と同様に、弁作用金属の粉末の充填、押圧ブロック15による加圧成形、1対の可動ブロック11,12の退避、ワイヤ40の切断、押圧ブロック15の退避を経て、図11に示す4本の陽極41と多孔質体31とを備えた中間品が得られる。このような中間品から製造される固体電解コンデンサは、電流を複数の陽極に分散して流すことにより、低抵抗化と低インピーダンス化を図ることが可能であり、発火防止の信頼性向上や、大容量の電力供給の高速応答化に好適である。
このように、本実施形態によれば、4本の陽極41を備えた固体電解コンデンサを適切に製造可能である。陽極の本数が多くなっても、ワイヤ40の空間部17内への配置、粉末30の加圧成形などの工程に要する時間は上記実施形態と同程度であり、陽極の本数の多い固体電解コンデンサを、作業効率良く製造することができる。また、上記実施形態と同様に、多孔質体31に粗密を生じにくく、多孔質体31の上下面に目詰まりを生じる虞れも少ないために、偏平な多孔質体を大型かつ高密度に仕上げることが可能であり、大容量化、低抵抗化および低インピーダンス化が図られた固体電解コンデンサの製造に好適である。
なお、4本の陽極を備えた固体電解コンデンサに限らず、側面11a,12aのいずれかから延出するようにワイヤ40を配置すれば、本実施形態に用いた製造装置により、本実施形態により得られる固体電解コンデンサよりも陽極の本数の少ない固体電解コンデンサを容易に製造することができる。
図12〜図14は、本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示している。本実施形態においては、図14に示すように、3本の陽極が多孔質体31の1つの側面から多孔質体31内に進入する構成とされた中間品が形成される点が、上記実施形態と相違する。
より具体的には、図12によく表われているように、金型A3の可動ブロック13の内向きの側面13aと、固定ブロック10の3つの内向きの側面10aと、底面10cとにより、空間部17を形成しておく。可動ブロック13は、固定ブロック10に形成された溝部10gに移動可能に嵌入している。可動ブロック13には、3つの孔13hが形成されており、これらの孔13hを通して、3本のワイヤ40を空間部17内に延出するように配置する。
次に、上記実施形態と同様に、粉末の充填および加圧成形により、多孔質体31を形成する。この多孔質体31を形成した後に、図13に示すように、多孔質体31を押圧ブロック15と固定ブロック10とにより保持した状態で、可動ブロック13を所定位置まで退避させる。そして、3本のワイヤ40を所定の位置において切断する。ここで、3本のワイヤ40のうちそれらの中央に位置するワイヤ40を、その他の2本のワイヤ40よりも、多孔質体31から離間した位置において切断する。これにより、多孔質体31側に残されたワイヤ40の切断片が、多孔質体31から突出する部分が長い1本の陽極41aと、上記突出する部分が短い2本の陽極41bとなる。
このような実施形態によれば、多孔質体31の1つの側面から3本の陽極が進入する中間品を適切に形成可能である。このような中間品から製造された固体電解コンデンサは、回路の配線パターンを一方向からこのコンデンサに向かうように配置することが可能であり、回路上のスペース効率を向上させることができる。
また、製造工程において製造装置から上記中間品を取り出す際や、誘電体層および電解質層を形成するために水溶液に上記中間品を浸漬する際には、上記陽極を把持して搬送し、多孔質体31を直接把持することを回避することが望ましい。このように搬送すれば、多孔質体31の表面に形成された多数の微細な孔に目詰まりを生じさせたり、多孔質体31に不当な力を加えて変形および損傷を与えることなどの虞れを少なくすることができる。本実施形態により得られる中間品においては、陽極41aのうち多孔質体31から突出する部分を把持可能な長さとすれば、上記中間品の搬送に好適である。さらに、他の2本の陽極41bの上記突出する部分を、たとえば、この後の工程により樹脂パッケージタイプのコンデンサとするために必要最低限な長さとすれば、ワイヤ40の使用量の抑制が可能であり、コスト低減に有利である。なお、陽極41aを、たとえばこれを把持して上記搬送を行なった後に、上記樹脂パッケージタイプのコンデンサとするために必要最低限な長さとなるように切断し、陽極41a,41bを同一長さに揃えても良い。
なお、1つの側面から進入する陽極の本数は3本に限らず、2本でも良いし、3本より多くても良い。また、上記中間品を搬送するために突出部分の長さを把持可能な長さとする陽極の本数も、本実施形態におけるように1本に限らず、複数本としても良い。さらに、上記実施形態における構成と組み合わせることにより、多孔質体31の1つの側面から複数の陽極が進入し、かつその他の側面からも陽極が進入する構成とされた中間品を形成することができる。
図15,16は、本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示している。本実施形態においては、弁作用金属の粉末の加圧成形において、2つの押圧ブロックにより上記粉末を上下から挟むように圧縮する点が、上記実施形態と相違する。
より具体的には、図15によく表われているように、金型A4の固定ブロック10に形成された孔部10iに移動可能に嵌入した押圧ブロック16が備えられている。押圧ブロック16は、押圧ブロック15と同様に平面視寸法がこの後の工程により形成される多孔質体の平面視寸法と等しい大きさとされている。その他の構成要素については、図1に示した実施形態に用いられた製造装置と同様である。
まず、1対の可動ブロック11の内向き側面11aと、固定ブロック10の内向き側面10aと、押圧ブロック16の上面16aとにより空間部17を形成しておく。この際、押圧ブロック16の上面16aが、固定ブロック10の溝部10gの底面と略同じ高さとなるように、押圧ブロック16を固定しておく。そして、2本のワイヤ40を、空間部17の高さ方向における略中央に配置しておく。
次いで、弁作用金属の粉末を空間部17に充填した後に、図16に示すように、押圧ブロック15,16により、上記粉末を加圧成形する。押圧ブロック15,16は、上記粉末を加圧成形可能な圧縮力で、空間部17の中央に向けて互いに略等しい距離だけ移動する。これにより、上記粉末が加圧成形されて多孔質体31が形成される。また、多孔質体31の厚さ方向の略中央において、2本のワイヤ40が多孔質体31に結合される。この後は、上記実施形態と同様の工程により、図9に示された中間品と同様の中間品を得られる。
このような実施形態によれば、たとえば、押圧ブロック15のみにより一方向から粉末30を圧縮する場合と比べて、押圧ブロック15,16それぞれの移動距離は、たとえば略半分となり短くなる。押圧ブロック15,16の移動距離が短くなると、これらにより圧縮される粉末の移動距離も短くなるために、圧縮による粉末の密度の粗密を生じにくくなり、粉末の密度の均一化を図ることができる。したがって、多孔質体31を加熱焼成して多孔質焼結体とする工程において、上記粗密に起因して多孔質焼結体が反ってしまったり、破損したりする虞れが少なくなり、歩留まりの向上に好ましい。
図17〜図22は、本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示している。本実施形態においては、図22に示すように、陽極41が多孔質体31内を貫通するように設けられた中間品が形成される点が、上記実施形態と相違する。
より具体的には、まず、図17および図18によく表われているように、金型A5の1対の可動ブロック11の一方のみに、ワイヤ40の一部が進入した状態とする。次いで、図19に示すように、1対の可動ブロック11を移動させて互いに接近させ、それぞれの側面11aどうしを接触させる。これにより、1対の可動ブロック11に設けられた1対の孔部11hは、一時的に結合されて1つの孔部となる。1対の側面11aどうしを接触させた状態で、図20に示すように、ワイヤ40を、一方の可動ブロック11の孔部11hから延出させて、他方の可動ブロック11の孔部11hに所定の長さだけ進入させる。このワイヤ40を、送り出し装置(図示略)により固定保持した状態で、図21に示すように、1対の可動ブロック11を、互いに離間する方向に移動させ、それぞれの間隔をこの後の加圧成形を行なうための所定の寸法とする。これにより、空間部17を貫通するようにワイヤ40が配置される。この後は、上記実施形態と同様に、粉末の充填、加圧成形、ワイヤ切断などの工程を経ることにより、図22に示すように、陽極41が貫通するように設けられた多孔質体31が形成される。
このような実施形態によれば、多孔質体31内に陽極41が貫通するように設けられた中間品を適切に形成可能である。特に、ワイヤ40の配置においては、1対の可動ブロック11どうしを接触させることにより、一方の可動ブロック11から他方の可動ブロック11に、一時的に1つの孔部とされた1対の孔部11hを通して、スムーズにワイヤ40を進入させることができる。そのために、ワイヤ40を曲げてしまったり、折損してしまうなどの虞れが少ない。なお、ワイヤ40が十分な直進度を有している場合には、1対の可動ブロック11を接触させずに、その直進度に応じて適当な寸法を隔てた状態でワイヤ40を進入させても良い。
陽極41が貫通するように設けられた中間品から製造されたコンデンサにおいては、回路電流が、陽極41を流れるような構成とすることが可能となる。多孔質焼結体は、その内部に多数の微小な孔を有しているために、電気を導通させるための実際の断面積が小さく、導通する経路が微小な孔の間を迂回するような配置となるために、電気抵抗が大きくなる。これに対して、陽極41は、中実な構造であり、多孔質焼結体よりも電気抵抗およびインピーダンスが小さい。したがって、発火防止の安全性の向上と、大容量の電力供給の高速応答化に好適である。
なお、多孔質体31を貫通する陽極41の本数は、複数とすることもできる。複数の孔部11hが設けられた可動ブロック11を使用し、それぞれの孔部11hにワイヤ40を貫通させることにより、上記実施形態と同様の工程により、同程度の作業時間で形成可能である。複数の陽極41が貫通して設けられた中間品から製造されたコンデンサにおいては、これらの陽極41に分散して電流を流すことが可能である。そのために、抵抗値とインピーダンスをより小さくすることが可能であり、大容量の電力供給の高速応答化をさらに図ることができる。また、あらかじめ所定の長さに切断されたワイヤを用意し、このワイヤを空間部に貫通するように配置して、その後に粉末の加圧成形を行なう構成としても良い。
なお、本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。
本願発明により形成される多孔質体は、矩形状に限定されず、それ以外のたとえば多角形状であってもよい。
本願発明により形成される固体電解コンデンサに備えられる陽極の本数および多孔質体に進入する位置は、上記実施形態に限定されない。陽極の本数および多孔質体に進入する位置は、個々の固体電解コンデンサの仕様に応じて種々設計変更されるものである。また、本願発明によれば、陽極の本数や多孔質体に進入する位置、および多孔質体の1つの側面に進入する陽極の本数には、特に制限が無く、高い自由度で製造可能である。
本願発明に係る固体電解コンデンサの用途は、CPUに代表されるデバイスのノイズ除去のみに限らず、DC−DCコンバータの出力平滑化や、バイパス回路のリップル除去などにも用いることもできる。
本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に用いる金型の一例を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一例により形成される中間品の斜視図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に用いる金型の他の例を示す斜視図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例により形成される中間品の斜視図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に用いる金型の他の例の斜視図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示す平面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの中間品の一例を示す斜視図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法に用いる金型の他の例の斜視図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例を示す断面図である。 本願発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の他の例により形成される中間品の斜視図である。 従来の製造方法に用いられる金型である。 (a),(b),(c)は、従来の製造方法を説明するための図である。
符号の説明
A1,A2,A3,A4,A5 金型
10 金型の固定ブロック
11,12,13 金型の可動ブロック
10a,11a,12a,13a 内向きの側面
10c 固定ブロックの底面
15 金型の(第1の)押圧ブロック
16 金型の(第2の)押圧ブロック
17 空間部
30 弁作用を有する金属の粉末
31 弁作用を有する金属の多孔質体
40 弁作用を有する金属のワイヤ
41,41a,41b 陽極
S スキージ

Claims (10)

  1. 弁作用を有する金属の粉末を、金型の上向きの底面と内向きの側面とにより囲まれた空間部に充填する工程と、
    上記空間部に充填された上記粉末を加圧成形することにより、偏平な多孔質体を形成する工程と、
    を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
    上記粉末の加圧成形は、上記側面が固定された状態において、上記粉末を上記多孔質体の厚み方向としての上下方向に圧縮することにより行ない、
    上記金型としては、上記側面を形成する可動ブロックが水平方向に移動自在とされたものを使用し、
    上記粉末の加圧成形の前に、弁作用を有する金属製のワイヤの一部を上記可動ブロックの内向きの側面から上記空間部に向けて略水平に延出させるワイヤ配置工程と、
    上記粉末の加圧成形の後に、上記可動ブロックを上記多孔質体から離間する方向に退避させる工程と、
    をさらに含んでいるとともに、
    上記粉末の加圧成形は、上記底面が固定された状態において、上記空間部の上方から上記空間部に向けて上記金型の押圧ブロックを下降させることにより行ない、
    上記可動ブロックを退避させる工程においては、上記粉末を加圧成形するときよりも弱い圧縮力で上記多孔質体を上記金型の上記上向き底面と上記押圧ブロックとによって挟持させておくことを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 弁作用を有する金属の粉末を、金型の上向きの底面と内向きの側面とにより囲まれた空間部に充填する工程と、
    上記空間部に充填された上記粉末を加圧成形することにより、偏平な多孔質体を形成する工程と、
    を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
    上記粉末の加圧成形は、上記側面が固定された状態において、上記粉末を上記多孔質体の厚み方向としての上下方向に圧縮することにより行ない、
    上記金型としては、上記側面を形成する可動ブロックが水平方向に移動自在とされたものを使用し、
    上記粉末の加圧成形の前に、弁作用を有する金属製のワイヤの一部を上記可動ブロックの内向きの側面から上記空間部に向けて略水平に延出させるワイヤ配置工程と、
    上記粉末の加圧成形の後に、上記可動ブロックを上記多孔質体から離間する方向に退避させる工程と、
    をさらに含んでいるとともに、
    上記粉末の加圧成形は、上記空間部の上方から上記空間部に向けて上記金型の第1の押圧ブロックを下降させ、かつ上記底面を形成する上記金型の第2の押圧ブロックを上記空間部に向けて上昇させることにより行ない、
    上記可動ブロックを退避させる工程においては、上記粉末を加圧成形するときよりも弱い圧縮力で上記多孔質体を上記第1の押圧ブロックと上記第2の押圧ブロックとによって挟持させておくことを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 上記ワイヤとしては、長尺のワイヤを使用し、
    上記可動ブロックを退避させる工程の後に、上記ワイヤを上記多孔質体から離間した位置において切断する工程をさらに含んでいる、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 上記ワイヤとしては、所定の長さに切断された非長尺のワイヤを使用する、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 上記ワイヤ配置工程においては、上記ワイヤを、上記空間部を貫通するように配置する、請求項1ないしのいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. それぞれに孔が設けられた1対の上記可動ブロックを使用し、
    上記ワイヤ配置工程においては、上記ワイヤを、上記1対の可動ブロックのいずれか一方の孔から延出させ、他方の上記可動ブロックの孔に通すようにして上記空間部を貫通させる、請求項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 上記ワイヤを上記空間部に貫通させるときには、上記1対の可動ブロックを接近させて、これらの間隔が上記粉末を加圧成形するときよりも小さい状態としておく、請求項6に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 上記可動ブロックおよび上記ワイヤを、複数ずつ使用し、
    上記ワイヤ配置工程においては、上記複数のワイヤの一部を上記複数の可動ブロックの側面から上記空間部に向けて延出させる、請求項1ないし7のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 上記ワイヤを複数使用し、上記ワイヤ配置工程においては、上記複数のワイヤの一部を上記可動ブロックの1つの側面から上記空間部に向けて延出させる、請求項1ないしのいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 上記複数のワイヤのうち少なくとも1本を、他のワイヤよりも上記多孔質体からの突出寸法が長くなるように設ける、請求項に記載の固体電解コンデンサの製造方法
JP2003317860A 2003-09-10 2003-09-10 固体電解コンデンサの製造方法 Expired - Fee Related JP4015603B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003317860A JP4015603B2 (ja) 2003-09-10 2003-09-10 固体電解コンデンサの製造方法
US10/939,126 US7056357B2 (en) 2003-09-10 2004-09-09 Method for making solid electrolytic capacitor
CNB2004100784034A CN100514519C (zh) 2003-09-10 2004-09-10 固体电解电容器的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003317860A JP4015603B2 (ja) 2003-09-10 2003-09-10 固体電解コンデンサの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005086053A JP2005086053A (ja) 2005-03-31
JP4015603B2 true JP4015603B2 (ja) 2007-11-28

Family

ID=34417300

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003317860A Expired - Fee Related JP4015603B2 (ja) 2003-09-10 2003-09-10 固体電解コンデンサの製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US7056357B2 (ja)
JP (1) JP4015603B2 (ja)
CN (1) CN100514519C (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7116548B2 (en) * 2004-04-23 2006-10-03 Kemet Electronics Corporation Fluted anode with minimal density gradients and capacitor comprising same
US8257463B2 (en) * 2006-01-23 2012-09-04 Avx Corporation Capacitor anode formed from flake powder
US20100085685A1 (en) * 2008-10-06 2010-04-08 Avx Corporation Capacitor Anode Formed From a Powder Containing Coarse Agglomerates and Fine Agglomerates
JP5391444B2 (ja) * 2009-02-18 2014-01-15 Oppc株式会社 薄型コンデンサチップ成形機
US8760852B2 (en) * 2012-04-24 2014-06-24 Avx Corporation Solid electrolytic capacitor containing multiple sinter bonded anode leadwires

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4975412A (en) * 1988-02-22 1990-12-04 University Of Kentucky Research Foundation Method of processing superconducting materials and its products
JP3233084B2 (ja) * 1997-11-06 2001-11-26 日本電気株式会社 固体電解コンデンサの陽極体の製造方法
JP2003077769A (ja) 2001-09-04 2003-03-14 Nec Corp 固体電解コンデンサ用ペレットの製造方法およびその製造装置
US6836401B2 (en) * 2001-09-20 2004-12-28 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Capacitor, laminated capacitor, and capacitor built-in-board
US7207103B2 (en) * 2003-12-08 2007-04-24 Kemet Electronics Corporation Powder compaction press for capacitor anodes

Also Published As

Publication number Publication date
CN1595565A (zh) 2005-03-16
US20050141172A1 (en) 2005-06-30
CN100514519C (zh) 2009-07-15
JP2005086053A (ja) 2005-03-31
US7056357B2 (en) 2006-06-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10867739B2 (en) Ceramic core, wire-wound electronic component, and method for producing ceramic core
US7359181B2 (en) Solid electrolytic capacitor
US7320924B2 (en) Method of producing a chip-type solid electrolytic capacitor
JP4657204B2 (ja) 固体電解コンデンサ
US10256046B2 (en) Solid electrolytic capacitor and method for making the same
JP4015603B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
US10665394B2 (en) Solid electrolytic condenser and method of manufacturing the same
JP4015602B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法、および製造装置
JP2005123505A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
CZ20031704A3 (cs) Kondenzátor
JP4775958B2 (ja) 下面電極型固体電解コンデンサ
JP2014022586A (ja) コンデンサおよびその製造方法
JP3196679B2 (ja) 固体電解コンデンサ素子の製造方法
JP5784974B2 (ja) 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法
CN103035395A (zh) 电感元件的成型方法
JP2012230990A (ja) 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサの製造方法
US20220367105A1 (en) Integrated power inductor with bottom electrode without carrier and manufacturing method thereof
JP5329319B2 (ja) 固体電解コンデンサ
CN114068152A (zh) 一种高性能高品质一体电感元件结构及其制成方法
JP2015216346A (ja) タンタルキャパシタ及びその製造方法
CN113035528A (zh) 无载具底部电极一体成型功率电感及其制造方法
JP2015088656A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
KR101148369B1 (ko) 적층형 칩 부품 및 그 제조방법
JPH07272987A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法およびこれを用いた陽極端子の切断装置
JP2019145669A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061121

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070709

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070911

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070913

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees