JP4015581B2 - プラズマ滅菌装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療器具等のような被滅菌物の表面に存在する微生物を気状のプラズマで滅菌させるプラズマ滅菌装置に関し、より詳しくは、プラズマを別途のプラズマ発生容器で予め発生させた後、それを一定の距離を隔てて設けられている反応容器内に供給して被滅菌物を滅菌するプラズマ滅菌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
様々な使い捨て医療用器具を含む各種の一般の医療器具等を滅菌するために種々の方法が開発され利用されており、かかる滅菌方法としては、高温高圧を用いる伝統的な方法と、エチレンオキサイド(EtO)ガスを用いる方法と、近年、脚光を浴びている過酸化水素プラズマを用いる方法等がある。
【0003】
前記伝統的な滅菌方法では、熱や蒸気により悪影響を受けやすい被滅菌物を滅菌することができなく、また前記エチレンオキサイド(EtO)ガスを用いる方法では、キャリアガスとして地球環境汚染の主犯ともいえるCFCガスを使用するため、深刻な環境問題をもたらし得、また、滅菌処理後の残存するエチレンオキサイドを除去するためには、長時間の通気時間を更に要するという不具合があった。
【0004】
前記過酸化水素プラズマを用いる滅菌方法が韓国特許第132233号に開示されているが、該方法では、反応容器の上端に過酸化水素水を気化させたプラズマ発生用のガスを注入する気化器が連結され、下端に真空ポンプが連結され、無線周波数電極及び必須の無線周波数シグナルを発生させるための無線周波数発生器が備えられた滅菌装置を使用している。
【0005】
しかし、前記のような過酸化水素プラズマを用いる滅菌方法においては、滅菌すべき被滅菌物を投入した反応容器内の電極(カソードとアノードとの間)でプラズマが発生するため、被滅菌物とプラズマとが直に接触し、これにより、例えば、ポリマー系統の医療器具を滅菌する際、変色または物質硬化といった性質の変化が起こりやすいという問題点があった。
【0006】
また、反応容器の全体積の70%以上の滅菌すべき被滅菌物を反応容器内に充填し滅菌する時、被滅菌物とプラズマとの接触が隈なく行われないことから、被滅菌物の一部が滅菌されずに残る可能性が高く、従って、被滅菌物が投入された反応容器内で一様的にプラズマを発生させる必要があるため、反応容器の大きさに深刻な制限を受けるという問題点があった。
【0007】
特に、反応容器の電極のカソード近傍に置かれている被滅菌物は、無線周波数発生器を通じて電力を印加して電極(カソードとアノードとの間)で電界が形成される時、前記カソード側に電子が集中することで生じるセルフバイアス現象により、滅菌できない場合が非常に高いという問題点があった。
【0008】
また、米国所在のAbtox社の米国特許(特許番号第5084239号、5244629号、5413758号、5645796号、6261518号等)は、いずれもプラズマ発生室が反応容器から離れているというよりは別途に設けられたプラズマ発生室が反応容器に直に連通しており、また、これらの特許で採択しているマイクロウェーブプラズマ発生器が別途の電極のない無電極プラズマであるという特徴を有している。
【0009】
前記米国所在のAbtox社の米国特許においては、マイクロウェーブプラズマ発生器が別途の電極のない無電極プラズマであるため、プラズマ発生室と反応容器を別途に設ける必要があり、これらの特許で採択しているマイクロウェーブプラズマは、2.45GHzの超高周波を用いるため、発生したプラズマにより紫外線が放出する恐れが非常に高く、ゆえに、別途の紫外線遮蔽道具や遮蔽物が要求されることで商業的にも非常に高価であるという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、プラズマを別途のプラズマ発生容器で予め発生させた後、これを滅菌すべき被滅菌物が投入されている反応容器内に供給することで被滅菌物に接触させ、滅菌反応を進めることによりポリマーなどにおける物質の変色や硬化といった現象を防止することができ、またセルフバイアス電圧の影響が全くないようにしたプラズマ滅菌装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、滅菌すべき被滅菌物に関わらずプラズマ発生容器の電極間の隙間を狭くし、小型化することができることにより、小容量の高周波電力供給源でも容易にプラズマを発生させることができ、また電極間の隙間が狭いことから高密度のプラズマを得ることができるため、反応容器の大きさに制約を受けることなく、1回で滅菌可能な被滅菌物の体積を増加させることができるようにしたプラズマ滅菌装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記のような目的を達成するための本発明のプラズマ滅菌装置は、被滅菌物を入れることができる反応容器と;前記反応容器と一定の距離を隔ててこの反応容器と連通するように設けられ、内部に一対の電極が設けられたプラズマ発生容器と;前記反応容器と連通し、反応容器及びプラズマ発生容器内の空気を吸い出して真空状態にすることができる真空ポンプと;前記プラズマ発生容器の一方の電極(カソード)にインピーダンス整合調節器とインピーダンス整合回路とを介して連結されている高周波電力供給源;及び前記プラズマ発生容器と連通し、過酸化水素水を気化させるとともに気化させた過酸化水素水を空気と混合してプラズマ発生用の混合気体とし、この混合気体を前記プラズマ発生容器に注入する気化器;を含むことを特徴とする。
【0013】
前記プラズマ発生容器の電極の隙間は、小容量の高周波電力供給源でも高密度のプラズマが発生できるように、0.5〜40cmに近接配設されることを特徴とする。
【0014】
前記反応容器とプラズマ発生容器との間及び前記反応容器と真空ポンプとの間には、反応容器とプラズマ発生容器の内圧が調節できるように自動圧力調節バルブが設けられることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明によるプラズマ滅菌装置を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明によるプラズマ滅菌装置を概略的に示す図であって、医療器具のような被滅菌物11の表面に存在する微生物を滅菌するためのプラズマ発生用の滅菌剤として過酸化水素水32と空気34とを用いており、プラズマが発生する間、反応活性種の生成源として過酸化水素水と空気とを混合して用いている。このように、過酸化水素水32と空気34とを気化器30で気化させた混合気体を滅菌剤として使用するに際し、空気34を用いる理由は、本発明が酸化力による滅菌工程を採択しているためである。
【0017】
言い換えれば、過酸化水素は、それ自体の酸化力をオゾン(Ozone)と比較してみると、オゾンの85%に過ぎないため、過酸化水素による酸化力と空気によるオゾンの酸化力とを一緒に利用した方が、より大きな酸化力を得ることができるためである
【0018】
前記酸化力は、過酸化水素に比べてフッ素、水酸基及びオゾンの方が高いが、前記フッ素は、非常に大きな腐食性と毒極性を有しており、オゾンと水酸基は自然としては安定相を呈しておらず、現実的に供給することが不可能である。
【0019】
反応容器10は、医療器具や手術用器具である被滅菌物11を包装材12で包んで入れることができるチャンバであり、前記反応容器10の下部には、その内部の空気を吸い出して真空状態にすることができるように真空ポンプ14が連通している。
【0020】
プラズマ発生容器20は、前記反応容器10と連通し、プラズマにより発生した反応活性種を反応容器の内部に供給することができ、また、その内部には、一対の電極であるアノード22とこのアノード22の相対電極であるカソード24が設けれれる。
【0021】
前記プラズマ発生容器20は、滅菌すべき被滅菌物と直に接触しないため、内部の電極、即ちカソード24とアノード22との隙間を0.5〜40cm程度まで近接させることができ、これにより、小容量の高周波電力供給源40でも高密度のプラズマを発生させることができるようになる。
【0022】
前記カソード24とアノード22との隙間が0である場合は、電気的にショートした状態であるため、プラズマの発生が行われず、0.5cm以下の場合は、カソード24とアノード22との隙間が狭いことから、プラズマを容易に発生させることができる反面、電極の温度上昇による損傷乃至低温プラズマという特性が喪失しやすく、また、40cm以上になると、プラズマを発生させるに非常に大容量の電力源を必要とし、その結果、装備が大きくなり、高価となる。
【0023】
また、前記プラズマ発生容器20には、均一な密度のプラズマを発生させるための滅菌剤の過酸化水素水32を気化させ、空気34と共に反応容器10内に注入する気化器30が連通している。
【0024】
前記電極のカソード24には、最適のプラズマを発生し得る周波数を有する高周波電力供給源40がインピーダンス整合調節器42とインピーダンス整合回路44とを介して連結されている。前記高周波電力供給源40の周波数は、様々な周波数帯域を使用することができるが、周波数が高いほど発生するプラズマの密度は増加するものの、装備が高価であり、また、電磁波遮蔽等の付帯装備が必要となるため、使用装備に適する周波数帯域を採択することが好ましい。
【0025】
前記プラズマ発生容器20と反応容器10との間及びこの反応容器10と真空ポンプ14との間には、前記プラズマ発生容器20の内圧と反応容器10の圧力が調節できるように自動圧力調節バルブ23a、23bが設けられている。
【0026】
前記のように構成された本発明のプラズマ滅菌装置は、反応容器10内に滅菌すべき医療器具や手術用器具等の被滅菌物11を包装材12で包んで入れ、反応容器10のドアを閉める。かかる状態で、自動圧力調節バルブ23a、23bを開放した後、反応容器10と連通する真空ポンプ14を駆動させることにより、反応容器10及びプラズマ発生容器20内の空気を吸い出して所望する所定の真空圧にする。
【0027】
このように、反応容器10及びプラズマ発生容器20の内部が真空ポンプ14により所定の真空圧になると、滅菌剤の過酸化水素水32と空気34を気化器30で混合気体にしてプラズマ発生容器20内に注入する。この時の混合気体の圧力は、プラズマ発生容器20と反応容器10との間及び反応容器10と真空ポンプ14との間に設けられている自動圧力調節バルブ23a、23bにより調節される。
【0028】
このようにプラズマ発生容器20内に滅菌剤の過酸化水素水32と空気34との混合気体を注入し、所定の反応圧に調節した後、高周波電力供給源40をインピーダンス整合回路44とインピーダンス整合調節器42を通じて反応容器10内のカソード24に印加すると、プラズマ発生容器20内のカソード24とアノード22との間に高密度のプラズマが発生するようになる。
【0029】
前記高周波電力供給源40は、13.56MHzの周波数を使用し、このように低い周波数で発生したプラズマでは紫外線が放出する恐れがなく、ゆえに、別途の紫外線遮蔽具や遮蔽物を必要としない。
【0030】
この時、高周波電力供給源40は、断続的に印加されるパルス形態の高周波電力印加方式、即ち、高周波容量結合型を使用して100℃以下の低温を有するプラズマを発生させる。前記高周波電力印加方式として断続的な印加方式を採択する理由は、滅菌すべき被滅菌物11と反応容器10内での反応ガスの過熱を防止するためである。
【0031】
このようにして発生した高密度のプラズマ中の反応活性種は、プラズマ発生容器20から反応容器10に至るまで均一に拡散し、プラズマ雰囲気が保持され、このように反応容器10まで拡散した反応活性種が、滅菌すべき被滅菌物11と接触することで反応し始め、滅菌が行われるようになる。
【0032】
この時、反応容器10内のプラズマは、前記プラズマ発生容器20で発生され搬送されてきたものであるため、反応容器10の内部の温度がプラズマ発生容器20の温度より低い温度を有する。
【0033】
前記反応容器10内の雰囲気は、プラズマ発生容器20のカソード24に印加された高周波電力供給源40の供給電力と、滅菌剤の過酸化水素水32と空気34との混合気体の濃度により、滅菌は、プラズマの発生開始から約5分程度の短時間で終わる。このように短時間で滅菌が終わった後も滅菌が十分に行われるように所定の時間持続的にプラズマ雰囲気を保持させることが良い。
【0034】
前記反応容器10内での滅菌効率は、主に滅菌剤の過酸化水素水32と空気34との混合気体の濃度によるが、高周波電力供給源40の供給電力にもよるため、最適の滅菌効率が得られるように最適の電力を印加することが良い。
【0035】
前記包装材12は、滅菌すべき被滅菌物11を包んで反応容器10内に入れるものであるため、プラズマ雰囲気で反応することなく、通気性の良い繊維のものであれば何でも良い。
【0036】
このようにプラズマ雰囲気を所定の時間持続的に保持すると、被滅菌物11は完璧に滅菌される。
【0037】
前記反応容器10内における滅菌が完了すると、高周波電力供給源40をオフし、自動圧力調節バルブ23a、23bを開放した状態で真空ポンプ14を稼動させ、反応容器10内の混合気体(過酸化水素蒸気と空気とが混合された気体)を充分に吸い出した後、前記反応容器10の内圧を再び大気圧に保持し、包装材12で包まれている被滅菌物11を取り出すと、全ての過程が終了する。
【0038】
本発明による滅菌装置では、医療器具や手術用器具等の被滅菌物11を滅菌すると、従来のガス殺菌方式であるエチレンオキサイド方式とは異なって、滅菌剤として使用された過酸化水素と空気がプラズマ化しても生成される副産物が無毒性の物質に分解されるため、滅菌された被滅菌物11や包装材12に残存する過酸化水素を除去する付加的な工程が不要となる。
【0039】
[実験例1]
以下の表1は、本発明によるプラズマ滅菌装置とプラズマ発生容器と反応容器とが一体型のプラズマ滅菌装置を用いてそれぞれの滅菌効果を立証すべく滅菌処理実験を行った結果を表わすものである。
【0040】
滅菌実験に使用した微生物試料は、多くの病院で過酸化水素プラズマ滅菌装置を用いて滅菌臨床実験を行っている米国のA社の“Cyclesure”という商標名で市販されているBiological Indicator(BI)である“Bacillus Stearothermophilus”[Spore No.2.04×10]試料を用いて相対的な滅菌臨床実験を行った結果を比較しようとした。
【0041】
臨床実験方法では、反応容器とプラズマ発生容器とが一体型の滅菌装置と本発明の装置(反応容器とプラズマ発生容器とが別途の分離型)に同じBIを入れ、それぞれの装備で求められる最適の実験条件下で同一の実験を行った後、採取したBI試料を同一のインキュベーターに入れ、55℃で最大72時間まで培養実験を行った後、採取したBI試料のカラーを比較した。なお、試料の実験回数は、いずれも50回であった。
【0042】
【表1】
Figure 0004015581
【0043】
前記の表1から分かるように、プラズマ発生容器と反応容器とが別途に設けられた本発明によるプラズマ滅菌装置でも反応容器とプラズマ発生容器とが一体型のプラズマ滅菌装置と同様な滅菌効果を有することが立証された。一方、過酸化水素だけを使用する一体型のプラズマ滅菌装置でのBI実験の結果と、過酸化水素に空気を混合した混合気体を使用する本発明のプラズマ滅菌装置でのBI実験の結果、両者はいずれも実験を通過した。このように、過酸化水素と空気との混合気体を滅菌剤として使用するに際し、空気を混合する理由は、前記のような滅菌工程が酸化工程による滅菌工程であるためであり、一般に、滅菌剤は、当該滅菌剤がもっている酸化力の程度に基づいて選び得る。
【0044】
[実験例2]
以下の表2は、本発明のプラズマ滅菌装置を用いてポリマーなどの物質の変色や硬化などに関する実験を行った結果を表わすものである。
【0045】
滅菌試験は、前記[実験例1]で提示した方法と同じ方法で行ったが、物質の変色や硬化に対する影響を立証すベく使用された試片は、プラズマ滅菌装置で使用することができる厚さが約0.5mm、横縦の長さが約40mmのPEを使用した。滅菌試験が終了した後、採取した試片の外観を色差計(Luci100;Spectral two−beam colorimeter)を用いて3種の試片(試片1:滅菌工程を行っていない元のPE、試片2:一体型プラズマ滅菌装置で試験したPE、試片3:本発明によるプラズマ滅菌装置で試験したPE)の色差の程度を測定した。
【0046】
【表2】
Figure 0004015581
【0047】
前記の表2から分かるように、過酸化水素だけを使用する一体型プラズマ滅菌装置の実験結果と過酸化水素に空気を混合した混合気体を使用する本発明のプラズマ滅菌装置で実験した結果とを比べてみると、元の試片の試片1と試片2及び試片3の色差計での測定の結果、試片2の波長偏差が約160nm、試片3の波長偏差が約60nmと差が生じた。
【0048】
これは、一体型プラズマ滅菌装置で試験を行った試片の方が、本発明によるプラズマ滅菌装置で試験を行った試片より滅菌試験による変色が大きいことを立証する結果である。前記の結果は、本発明によるプラズマ滅菌装置ではプラズマ発生容器が別途に装着されていて、滅菌すべき被滅菌物がプラズマによる影響を全く受けないことに起因することと判断される。
【0049】
[実験例3]
以下の表3は、本発明のプラズマ滅菌装置と一体型滅菌装置に対するそれぞれの滅菌容積を立証すべく滅菌処理実験を行った結果を表わすものである。
【0050】
本発明のプラズマ滅菌装置と一体型プラズマ滅菌装置において1回で滅菌可能な反応容器内の滅菌容積を評価するために使用された試片は、サクションチューブ70本、ネラトンチューブ70本及びバルーンチューブ70本を用意し、これを[実験例1]で提示したものと同じBI試料と一緒に滅菌用ポーチで包装した。
【0051】
臨床実験は、装備の反応容器内の容積を100%とした時、一体型プラズマ滅菌装置の場合は、滅菌容積が70%を超えることができないが、実験のために約80%を充填(滅菌用上・下トレイに168本の試片を積載)し、本発明によるプラズマ滅菌装置では、95%を充填(滅菌用上・下トレイに200本の試片を積載)し、それぞれの装備で要求される最適の実験条件下で同一に実験を行った後、採取したBI試料を同一のインキュベータに入れ、55℃で最大72時間まで培養実験を行って得られた結果を表わした。なお、試料の実験回数は、いずれも10回であった。
【0052】
【表3】
Figure 0004015581
【0053】
前記の表3から分かるように、過酸化水素だけを使用する一体型プラズマ滅菌装置での実験結果と過酸化水素に空気を混合した混合気体を使用する本発明のプラズマ滅菌装置で実験した結果とを比べてみると、本発明によるプラズマ滅菌装置の滅菌容積は、一体型プラズマ滅菌装置の滅菌容積とは異なって、反応容器の大きさに制限を受けないことが分かる。
【0054】
これは、本発明によるプラズマ滅菌装置では、プラズマを別途に装着されたプラズマ発生容器で発生するため、発生されたプラズマの影響を全く受けないためであると判断される。
【0055】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明のプラズマ滅菌装置によると、プラズマを別途のプラズマ発生容器で予め発生させた後、これを滅菌すべき被滅菌物が投入されている反応容器内に供給することで被滅菌物に接触させ、滅菌反応を進めることによりポリマーのような物質の変色や硬化といった現象を防止することができ、またセルフバイアス電圧の影響が全くない特有の効果を奏する。
【0056】
また、滅菌すべき被滅菌物に関わらずプラズマ発生容器の電極間の隙間を狭くし、小型化することができることにより、小容量の高周波電力供給源でも容易にプラズマを発生させることができ、また電極間の隙間が狭いことから高密度のプラズマが得られ、その結果、反応容器の大きさに制約を受けることなく、1回で滅菌可能な被滅菌物の容積を増加させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラズマ滅菌装置を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
10 反応容器
11 被滅菌物
12 包装材
14 真空ポンプ
20 プラズマ発生容器
22 アノード
23a、23b 自動圧力調節バルブ
24 カソード
30 気化器
32 過酸化水素水
34 空気
40 高周波電力供給源
42 インピーダンス整合調節器
44 インピーダンス整合回路

Claims (3)

  1. 被滅菌物(11)を入れることができる反応容器(10)と、
    前記反応容器(10)と一定の距離を隔ててこの反応容器と連通するように設けられ、内部に一対の電極(22,24)が設けられたプラズマ発生容器(20)と、
    前記反応容器(10)と連通し、反応容器(10)及びプラズマ発生容器(20)内の空気を吸い出して真空状態にすることができる真空ポンプ(14)と、
    前記プラズマ発生容器(20)の一方の電極(24)にインピーダンス整合調節器(42)とインピーダンス整合回路(44)とを介して連結されている高周波電力供給源(40)と、
    前記プラズマ発生容器(20)と連通し、過酸化水素水(32)を気化させるとともに気化させた過酸化水素水を空気(34)と混合してプラズマ発生用の混合気体とし、この混合気体を前記プラズマ発生容器(20)に注入する気化器(30)と、
    を含むことを特徴とするプラズマ滅菌装置。
  2. 前記プラズマ発生容器(20)の電極(22,24)の隙間が、小容量の高周波電力供給源(40)でも高密度のプラズマが発生できるように、0.5〜40cmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ滅菌装置。
  3. 前記反応容器(10)と前記プラズマ発生容器(20)の内圧が調節できるように反応容器(10)とプラズマ発生容器(20)との間及び反応容器(10)と真空ポンプ(14)との間に自動圧力調節バルブ(23a,23b)が設けられることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ滅菌装置。
JP2003118758A 2002-04-23 2003-04-23 プラズマ滅菌装置 Expired - Fee Related JP4015581B2 (ja)

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