JP4014785B2 - 資源管理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のセンサを使用した多目標追尾システムにおいて、そこに含まれるセンサ群及び追尾フィルタ群を効率よく運用し、資源を節約するとともに高い追尾性能を得るための資源管理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は例えば特開平9−257923号公報に示された従来の資源管理装置を示す構成図であり、図において、1はn個の目標から構成された目標群であり、例えば、航空機が目標(1)〜目標(n)になる。2は目標(1)〜目標(n)を観測するm個のセンサ(例えば、レーダ装置)から構成されたセンサ群、3はセンサ群2を構成するセンサ(1)〜センサ(m)から観測情報を受けると、その観測情報を各目標毎に整理して、その観測情報を対応する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)に出力する観測情報融合器、4は観測情報融合器3から観測情報を受けると、目標(1)〜目標(n)の追尾計算を実行するn個の追尾フィルタから構成された追尾フィルタ群である。
【0003】
5は観測情報融合器3から観測情報を入力し、追尾フィルタ群4から追尾情報を入力すると、目標(1)〜目標(n)の観測の必要性を判断する観測必要性評価器、6は観測情報融合器3から観測情報を入力し、追尾フィルタ群4から追尾情報を入力すると、目標(1)〜目標(n)とセンサ(1)〜センサ(m)の位置関係などから、目標(1)〜目標(n)の観測に対するセンサ(1)〜センサ(m)の有効性を判定する観測効果判定器、7は目標(1)〜目標(n)に対するセンサ(1)〜センサ(m)の割当ルールを記憶するルール記憶部、8は割当ルールにしたがって割当処理を実行し、観測必要性評価器5の判断結果、観測効果判定器6の判定結果及び追尾フィルタ群4の追尾情報に基づいて目標(1)〜目標(n)に対するセンサ(1)〜センサ(m)の割り当てを決定する割当器である。
【0004】
次に動作について説明する。
追尾フィルタ群4を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)は、観測対象である目標(1)〜目標(n)と対応し、目標(1)〜目標(n)と同数分存在する。
【0005】
追尾フィルタ群4を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)は、対応する目標(1)〜目標(n)の観測情報をセンサ(1)〜センサ(m)から受けると、目標(1)〜目標(n)の位置と速度の推定・予測を実行し、目標(1)〜目標(n)の追尾情報を更新する。
【0006】
観測必要性評価器5は、観測情報融合器3から観測情報を入力し、追尾フィルタ群4から追尾情報を入力すると、目標(1)〜目標(n)の観測の必要性を判断する。即ち、目標の追尾誤差の期待値、目標の位置、目標までの距離、目標の進行方向、目標の速度、目標の動き、目標自体の重要度などの全部又は一部に基づいて、目標(1)〜目標(n)の観測の必要性評価を実行し、各目標毎の評価値を算出して出力する。
【0007】
観測効果判定器6は、観測情報融合器3から観測情報を入力し、追尾フィルタ群4から追尾情報を入力すると、目標(1)〜目標(n)とセンサ(1)〜センサ(m)の位置関係などから、目標(1)〜目標(n)の観測に対するセンサ(1)〜センサ(m)の有効性を判定する。即ち、目標(1)〜目標(n)までの距離や、センサ(1)〜センサ(m)の性能、観測前後の推定誤差分散の差などにより、目標(1)〜目標(n)とセンサ(1)〜センサ(m)との各組合せに対して評価値を決定する。
【0008】
割当器8は、観測必要性評価器5が出力する評価値と、観測効果判定器6が出力する評価値と、追尾フィルタ群4が出力する追尾情報とを入力すると、割当ルールにしたがって割当処理を実行することにより、目標(1)〜目標(n)に対するセンサ(1)〜センサ(m)の割り当てを決定する。
なお、割当器8の割当情報はセンサ群2に入力されて、新たな観測情報が取得される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の資源管理装置は以上のように構成されているので、目標(1)〜目標(n)に対するセンサ(1)〜センサ(m)の割り当てが逐次決定されるが、センサ(1)〜センサ(m)や追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)の動作条件を目標に合わせて調整することができず、所望の追尾性能を得ることが困難である課題があった。
また、省エネルギーを目的とする資源管理が行われず、観測の必要のない目標にもセンサが割り当てられるため、エネルギーの無駄遣いが発生したり、目標数又はセンサ数が多い場合には、計算量が計算機の能力を越えてしまう課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、センサ群や追尾フィルタ群を効率よく運用して、高い追尾性能を得ることができる資源管理装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る資源管理装置は、各目標を取りまく周辺状況に係る情報を抽出し、その情報を考慮して各目標の現在の追尾状態を評価するようにしたものである。
【0015】
この発明に係る資源管理装置は、各目標の運動諸元の推定値に関する情報を抽出し、その情報を考慮して各目標の現在の追尾状態を評価するようにしたものである。
【0016】
この発明に係る資源管理装置は、各目標の現在の追尾状態として、各目標の追尾維持の困難度を評価するとともに、各目標の運動諸元の推定精度を評価するようにしたものである。
【0017】
この発明に係る資源管理装置は、目標同士の近接状況、クラッタ領域への進入状況又は各目標の失検出連続回数を考慮して、各目標の追尾維持の困難度を評価するようにしたものである。
【0018】
この発明に係る資源管理装置は、各目標の速度、各目標の機動力、各目標の運動諸元の推定誤差、運動モデルへの適合度又はセンサ群を構成する各センサの各目標に対する距離を考慮して、各目標の運動諸元の推定精度を評価するようにしたものである。
【0019】
この発明に係る資源管理装置は、センサ群の動作条件として、そのセンサ群を構成する各センサの観測時間又は各センサの運用パラメータを調整し、追尾フィルタ群の動作条件として、その追尾フィルタ群を構成する各フィルタの種類又は各フィルタの動作パラメータを調整するようにしたものである。
【0020】
この発明に係る資源管理装置は、センサ群及び追尾フィルタ群の負荷量を考慮して、センサ群及び追尾フィルタ群の動作条件を調整するようにしたものである。
【0021】
この発明に係る資源管理装置は、各目標の将来の追尾状態を予測し、各目標の将来の追尾状態を評価するようにしたものである。
【0022】
この発明に係る資源管理装置は、各目標の追尾の必要性を評価するようにしたものである。
【0023】
この発明に係る資源管理装置は、各目標の進行方向、各目標までの距離、各目標の速度、特定地域に対する各目標の到達予測時間又は各目標の識別結果を考慮して、各目標の追尾の必要性を評価するようにしたものである。
【0024】
この発明に係る資源管理装置は、センサ群及び追尾フィルタ群の動作条件を調整する際、上記センサ群及び上記追尾フィルタ群のパラメータを予め用意された許容範囲に収めるようにしたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による資源管理装置を示す構成図であり、図において、11はn個の目標から構成された目標群であり、例えば、航空機や航空機以外の飛翔体が目標(1)〜目標(n)になる。また、航空機には、その速度に応じて比較的高速なジェット機、比較的低速なヘリコプター、これらの中間のプロペラ機が含まれる。また、その大きさに応じてジャンボジェット機などの大型航空機、セスナ機などの小型航空機が含まれる。
【0026】
12は目標(1)〜目標(n)を観測するm個のセンサから構成されたセンサ群であり、センサとしてはレーダ装置などが該当する。レーダ装置は電波を発射して、その反射波を受信することにより航空機や船舶などの目標を検出する装置である。レーダによる観測では、目標以外からの反射波、例えば、地表面、海面、流氷、雨雲からの反射波が存在する。このような不必要な物体からの反射波はクラッタと呼ばれる。また、車載レーダや航空機搭載レーダなどの移動センサも該当する。13はセンサ群12を構成するセンサ(1)〜センサ(m)から観測情報を受けると、その観測情報を各目標毎に整理して、その観測情報を対応する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)に出力する観測情報融合器、14は観測情報融合器13から観測情報を受けると、目標(1)〜目標(n)の追尾計算を実行するn個の追尾フィルタから構成された追尾フィルタ群(追尾手段)である。
【0027】
15はセンサ群12を構成するセンサ(1)〜センサ(m)の動作状態に係る情報を抽出するセンサ状態抽出器、16は各目標を取りまく周辺状況に係る情報(例えば、地形やクラッタの観測情報)を抽出する観測情報抽出器、17は目標(1)〜目標(n)の運動諸元(例えば、位置や速度)の推定値に関する情報を抽出する追尾情報抽出器、18は追尾フィルタ群14を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)の動作状態に係る情報を抽出するフィルタ状態抽出器、19はセンサ状態抽出器15、観測情報抽出器16、追尾情報抽出器17及びフィルタ状態抽出器18の抽出結果から目標(1)〜目標(n)の現在の追尾状態を評価する目標状態評価部である。なお、センサ状態抽出器15、観測情報抽出器16、追尾情報抽出器17、フィルタ状態抽出器18及び目標状態評価部19から追尾状態評価手段が構成されている。
【0028】
20は目標の追尾状態に合わせた各種の追尾アルゴリズムの適用方式に関する知識を格納する追尾データベース、21は追尾データベース20を参照しながら、目標状態評価部19が出力する評価値に基づいて、目標(1)〜目標(n)に対するセンサ群12及び追尾フィルタ群14の配分方式を作成するとともに、その配分方式の追尾性能に対する向上度を評価する資源配分方式作成部である。
【0029】
22はセンサ群12を構成するセンサ(1)〜センサ(m)の機能や性能の他、追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)を動作させる計算機の能力に関する知識を格納する資源データベース、23は資源データベース22を参照しながら、最適な資源の配分方式を算出する資源管理計算部、24は資源管理計算部23により算出された配分方式にしたがって追尾フィルタ群14を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)の動作条件を出力するフィルタ群指示器、25は資源管理計算部23により算出された配分方式にしたがってセンサ群12を構成するセンサ(1)〜センサ(m)の動作条件を出力するセンサ群指示器である。なお、追尾データベース20、資源配分方式作成部21、資源データベース22、資源管理計算部23、フィルタ群指示器24及びセンサ群指示器25から調整手段が構成されている。
【0030】
図2は目標状態評価部19を示す構成図であり、図において、31は各目標の現在の追尾維持可能性(困難度)を評価する追尾維持可能性評価器、32は各目標の現在の追尾精度(運動諸元の推定精度)を評価する追尾精度評価器、33は追尾維持可能性評価器31の評価結果と追尾精度評価器32の評価結果を融合して、各目標に対する追尾性能を評価する目標状態評価器である。
【0031】
図3は資源配分方式作成部21を示す構成図であり、図において、41は目標状態評価部19が出力する評価値である各目標の追尾状態に基づいて、各目標に対する資源の配分方式を算出する資源配分器である。ここで、資源とは、センサ群12を構成するセンサ(1)〜センサ(m)と追尾フィルタ群14を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)であり、その配分方式とは、各目標に割り当てるセンサ(1)〜センサ(m)、観測時刻、センサの運用パラメータ、追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)の種類及び動作パラメータである。42は資源配分器41が出力する配分方式の追尾性能に対する効果(向上度)を評価する配分効果評価器である。
【0032】
図4は資源管理計算部23を示す構成図であり、図において、51は資源配分方式作成部21により作成された資源の配分方式と追尾フィルタ群14の動作状況を受けると、追尾フィルタ群14に係る配分が現在の追尾フィルタ群14において実行可能か否かを監視する追尾機能監視器、52は資源配分方式作成部21により作成された資源の配分方式とセンサ群12の動作状況を受けると、センサ群12に係る配分が現在のセンサ群12において実行可能か否かを監視する観測機能監視器、53は資源配分方式作成部21から資源の配分方式と配分効果の評価値を受けると、追尾機能監視器51から出力される各資源配分方式が追尾フィルタ群14にかける負荷量と、観測機能監視器52から出力される各資源配分方式がセンサ群12にかける負荷量とを考慮して、追尾フィルタ群14とセンサ群12の最適な資源配分方式を決定する最適配分計算機である。
【0033】
次に動作について説明する。
センサ群12は、センサ群指示器25が出力する動作条件にしたがって目標(1)〜目標(n)を観測し、その観測情報を出力する。
ここで、センサ群指示器25が出力する動作条件とは、どのセンサ(1)〜センサ(m)が、どの目標(1)〜目標(n)を、どのような運用パラメータで、いつ観測するかということである。
【0034】
観測情報融合器13は、センサ群12を構成するセンサ(1)〜センサ(m)から観測情報を受けると、センサ群指示器25が出力する動作条件を参照して、その観測情報を各目標毎に整理し、各目標と対応関係のある追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)に対して、各目標の観測情報を出力する。
なお、1つの目標に対して複数のセンサが同時に割り当てられている場合には、複数のセンサが出力する観測情報の平均値、あるいは、他の演算値を求めて、1つの追尾フィルタに出力する。
このように、観測情報融合器13は、複数のセンサ(1)〜センサ(m)と複数の追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)を結びつける働きをしている。
【0035】
追尾フィルタ群14を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)は、フィルタ群指示器24が出力する動作条件にしたがってフィルタの種類を変更するとともに、フィルタの動作パラメータを設定する。
そして、追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)は、それぞれ対応する目標(1)〜目標(n)の追尾計算を実行することにより、目標(1)〜目標(n)の位置と速度の推定と予測を行い、目標(1)〜目標(n)の追尾情報を更新する。
【0036】
センサ状態抽出器15は、センサ群12を構成するセンサ(1)〜センサ(m)の配置と観測範囲の重なり状況の把握を可能にするため、センサ(1)〜センサ(m)の動作状態に係る情報を抽出し、その情報を目標状態評価部19に出力する。
観測情報抽出器16は、各目標を取りまく周辺の状況(例えば、クラッタの分布や地形の状況)の把握を可能にするため、観測情報融合器13が出力する全観測情報から、各目標を取りまく周辺状況に係る情報を抽出し、その情報を目標状態評価部19に出力する。
【0037】
追尾情報抽出器17は、追尾フィルタ群14が出力する目標(1)〜目標(n)の追尾情報から、目標(1)〜目標(n)の運動諸元(例えば、位置や速度)の推定値に関する情報(推定誤差に関する情報を含む)を抽出し、その情報を目標状態評価部19に出力する。
フィルタ状態抽出器18は、追尾フィルタ群14を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)の動作状態に係る情報を抽出し、その情報を目標状態評価部19に出力する。なお、動作状態に係る情報としては、追尾フィルタのゲインを調節するパラメータ設定値や、多重運動モデルの追尾フィルタにおけるモデル適合度などがある。
【0038】
目標状態評価部19は、センサ状態抽出器15、観測情報抽出器16、追尾情報抽出器17及びフィルタ状態抽出器18から各種の情報を受けると、各種の情報から目標(1)〜目標(n)が現在どのような追尾状態にあるかを評価して、その評価値を出力する。
即ち、目標状態評価部19の追尾維持可能性評価器31は、各目標間の追尾結果が入れ替わったり、クラッタへの乗り移りが起こりそうな目標に対して評価値を大きく設定する。例えば、以下の事項を評価の対象とする。
【0039】
1.目標同士の近接
目標(1)〜目標(n)の推定位置を入力して、各目標同士が距離的に近づいていて、入れ替わりが発生すると予測される目標の評価値を大きくする。
2.クラッタ領域への通過
目標(1)〜目標(n)の推定位置とクラッタ領域を入力して、目標がクラッタ領域を通過中であると判断される場合に評価値を大きくする。
【0040】
3.失検出連続回数
目標を観測しようとしても、センサで目標を捕らえることができず、観測情報が得られないことを失検出といい、失検出が連続すると目標を見失ってしまうことがある。そのため、失検出の連続回数を各目標毎にカウントし、そのカウント値に応じて評価値を大きくする。
なお、追尾維持可能性評価器31は、上記評価値を重み付け平均して追尾維持可能性評価値とする。
【0041】
目標状態評価部19の追尾精度評価器32は、追尾精度が劣化しやすい状況にある目標に対して評価値を大きく設定する。例えば、以下の事項を評価の対象とする。
1.目標の速度
目標(1)〜目標(n)の速度推定値より、目標の速度の大きさが大きいと判断される場合に評価値を大きくする。
2.目標の機動力
目標(1)〜目標(n)の残差(予測位置と観測位置の差)を入力して、目標が旋回運動や上昇下降を繰り返したりして機動力が大きいと判断される場合に評価値を大きくする。
【0042】
3.目標運動諸元の推定誤差
追尾フィルタ群14を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)が出力する推定誤差に基づいて、推定誤差が大きいと判断される場合に評価値を大きくする。
4.運動モデルへの適合度
多重運動モデルの追尾フィルタからフィルタ状態抽出器18によって抽出される運動モデルの適合度を参照し、複数の運動モデルの適合度が高くなっていて目標の運動が曖昧になっていると判断される場合に評価値を大きくする。
5.目標とセンサの距離
目標(1)〜目標(n)の推定位置とセンサ(1)〜センサ(m)の配置とを入力して、目標がセンサから遠く離れた位置にいると判断される場合に評価値を大きくする。
なお、追尾精度評価器32は、上記評価値を重み付け平均して追尾精度評価値とする。
【0043】
一つの確定した運動モデルを用いる通常のカルマンフィルタ型追尾フィルタでは、等速直線運動をしたり、旋回運動をしたりする機動力の高い目標に対して追尾維持性能と追尾精度を同時に確保することが困難である。そのため、複数の運動モデルを並列に設定することで、機動力の高い目標の追尾性能の向上を図るのが多重運動モデルの追尾フィルタである。この方式では各運動モデルに基づいたカルマンフィルタによる追尾結果を各運動モデルの適合度により重み付けて統合している。
目標状態評価部19の目標状態評価器33は、追尾維持可能性評価器31と追尾精度評価器32の重み付け平均をとって、目標(1)〜目標(n)に対する目標状態評価値を算出する。
【0044】
目標状態評価値は、目標に対する追尾性能が高ければ小さな値になり、追尾性能が低ければ大きな値になる。
なお、目標状態評価部19は、その算出結果である評価値をそのまま出力してもよい。この場合、追尾データベース20に各評価値をふまえたパラメータ設定方式が蓄積されていれば、資源配分方式作成部21において配分効果の高い資源配分方式が算出されることになる。
また、目標状態評価部19は、センサ状態抽出器15、観測情報抽出器16、追尾情報抽出器17及びフィルタ状態抽出器18からの入力の一部をそのまま資源配分方式作成部21に出力する。
【0045】
次に、資源配分方式作成部21は、目標状態評価部19から評価値を受けると、追尾データベース20を参照しながら、目標状態評価部19が出力する評価値に基づいて、目標(1)〜目標(n)に対するセンサ群12及び追尾フィルタ群14の配分方式と配分効果評価値とを複数組算出して出力する。
【0046】
即ち、資源配分方式作成部21の資源配分器41は、目標状態評価部19が出力する評価値である各目標の追尾状態に基づいて、目標(1)〜目標(n)に対する観測センサ、観測時刻、観測条件(精度、探知確率、誤警報確率、分解能)、追尾フィルタの種類、及び追尾フィルタの動作パラメータの全部又は一部を配分方式として決定する。なお、センサが移動可能な場合には、目標を観測し易い場所へのセンサの移動先も配分方式に含められる。
資源配分方式作成部21の配分効果評価器42は、目標状態評価部19が出力する目標状態評価値と追尾データベース20を参照して、目標(1)〜目標(n)の追尾性能の向上度を算出するとともに、その追尾性能の向上度を目標状態評価値の大きさで重み付けして配分効果評価値を算出する。
【0047】
次に、資源管理計算部23は、資源配分方式作成部21から各資源の複数の配分方式と配分効果評価値を受け、また、センサ群12及び追尾フィルタ群14の現在の動作状態を受けると、資源データベース22を参照しながら、各配分方式の配分効果と、配分方式がセンサ群12と追尾フィルタ群14に及ぼす負荷量とを考慮して、最適な配分方式を選択する。
【0048】
即ち、資源管理計算部23の追尾機能監視器51は、資源配分方式作成部21から各資源の複数の配分方式を受け、追尾フィルタ群14から現在の追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)の動作状態を受けると、複数の配分方式のうち、追尾フィルタ群14に係る部分が現在の追尾フィルタ群14において実行可能か否かを監視する。実行不可能な配分が含まれる配分方式については削除し、実行可能な配分方式については、資源データベース22を参照して、実行時に追尾フィルタ群14にかかる追尾処理負荷を算出する。
ここで、追尾処理負荷とは、例えば追尾計算を行う際の計算量のことである。
【0049】
資源管理計算部23の観測機能監視器52は、資源配分方式作成部21から各資源の複数の配分方式を受け、センサ群12から現在のセンサ(1)〜センサ(m)の動作状態を受けると、複数の配分方式のうち、センサ群12に係る部分が現在のセンサ群12において実行可能か否かを監視する。実行不可能な配分が含まれる配分方式については削除し、実行可能な配分方式については、資源データベース22を参照して、実行時にセンサ群12にかかる観測負荷を算出する。
ここで、観測負荷とは、例えばセンサの観測ビームで消費されるエネルギー量のことである。
【0050】
資源管理計算部23の最適配分計算機53は、追尾機能監視器51が出力する実行可能な配分方式と、観測機能監視器52が出力する実行可能な配分方式との共通部分を計算し、この共通部分を配分方式の採用候補とする。
そして、この配分方式の採用候補の中から、観測負荷と追尾処理負荷をなるべく小さくしながら、配分効果評価値が大きくなるような最適な配分方式を決定する。
【0051】
フィルタ群指示器24は、資源管理計算部23が最適な配分方式を決定すると、その最適な配分方式にしたがって追尾フィルタ群14を構成する追尾フィルタ(1)〜追尾フィルタ(n)の動作条件(動作に関する指示)を出力する。
センサ群指示器25は、資源管理計算部23が最適な配分方式を決定すると、その最適な配分方式にしたがってセンサ群12を構成するセンサ(1)〜センサ(m)の動作条件(動作に関する指示)を出力する。
【0052】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、センサ群12及び追尾フィルタ群14の動作状態に係る情報等から各目標の現在の追尾状態を評価し、その評価結果に基づいてセンサ群12及び追尾フィルタ群14の動作条件を調整するように構成したので、センサ群12や追尾フィルタ群14を効率よく運用して、高い追尾性能を得ることができる効果を奏する。
【0053】
また、この実施の形態1によれば、追尾性能の劣化が見られる目標の評価値を高くし、追尾性能の向上度が大きい配分方式の配分効果評価値を高くするので、追尾性能の劣化の大きい目標に有利な配分方式が選択される結果、目標全体の追尾性能が高く保たれる効果を奏する。
さらに、この実施の形態1によれば、目標状態評価部19が追尾維持可能性と追尾精度の両方の評価基準を用いて目標状態を評価するので、追尾をはずしそうな目標と追尾精度が劣化している目標に資源が配分され易くなり、その結果、目標群11の全体の追尾性能が向上するような資源配分方式が適用される効果が得られる。
【0054】
この実施の形態1によれば、目標状態評価部19の追尾維持可能性評価器31が目標同士の接近、クラッタ領域の通過、失検出連続回数に基づいて追尾維持可能性評価値を算出するので、追尾維持が困難となる状況を的確に把握して資源配分方式が算出される結果、目標群11の全体の追尾維持性能が向上する効果が得られる。
また、この実施の形態1によれば、目標状態評価部19の追尾精度評価器32が目標の速度、目標の機動力、目標の推定誤差、運動モデルへの適合度、目標とセンサとの距離に基づいて追尾精度評価値を算出するので、追尾精度が劣化する状況を的確に把握して資源配分方式が算出される結果、目標群11の全体の追尾精度が向上する効果が得られる。
【0055】
この実施の形態1によれば、目標への資源の配分方式を算出する資源配分器41と配分方式による追尾性能の向上度を評価する配分効果評価器42を設けたので、目標とセンサの割り当てのみならず、観測時刻、センサの動作パラメータ、追尾フィルタの種類、及び追尾フィルタの動作パラメータの適切な組合せを算出して、有効な追尾を実行することができる効果を奏する。
また、この実施の形態1によれば、資源管理計算部23が各配分方式の配分効果評価値だけでなく、各配分方式がセンサ群12と追尾フィルタ群14にかかる負荷量も考慮して、最適な配分方式を決定するので、資源を節約しながら高い追尾性能を得ることができる効果を奏する。また、センサ群12と追尾フィルタ群14の能力を越えるような配分方式が選択される危険を回避することができる効果を奏する。
【0056】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2による資源管理装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
61は各目標の将来の追尾状態を予測する予測器、62は目標状態評価部19と同様の項目を評価するとともに、予測器61の予測結果に基づいて各目標の将来の追尾状態を評価する目標状態評価部である。なお、予測器61及び目標状態評価部62は追尾状態評価手段を構成する。
【0057】
図6は目標状態評価部62を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
63は追尾維持可能性評価器31と同様の項目を評価するとともに、目標同士の近接予測やクラッタ領域への到達予測などの項目を評価する追尾維持可能性評価器、64は追尾精度評価器32と同様の項目を評価するとともに、目標の運動諸元の予測誤差や運動モデルへの適合度などの項目を評価する追尾精度評価器である。
【0058】
次に動作について説明する。
予測器61及び目標状態評価部62以外は、上記実施の形態1と同様であるため、予測器61及び目標状態評価部62の動作のみを説明する。
予測器61は、目標状態評価部62から各目標の運動諸元の推定値と、追尾フィルタ群14の動作状態を入力して、各目標の将来の追尾状態を予測し、任意の時間後の予測値を算出する。
【0059】
目標状態評価部62は、上記実施の形態1における目標状態評価部19が評価する事項の他に、予測器61の予測結果を参照して、各目標の将来の追尾状態を評価する。
即ち、目標状態評価部62の追尾維持可能性評価器63は、上記実施の形態1における追尾維持可能性評価器31が評価する事項の他に、例えば、以下の事項を評価対象に追加する。
【0060】
1.目標同士の近接予測
各目標の予測位置より、ある目標同士が近い将来に接近すると判断される場合に評価値を大きくする。
2.クラッタ領域への到達予測
各目標の予測位置を受けて、ある目標が近い将来にクラッタ領域に進入すると判断される場合に評価値を大きくする。
なお、追尾維持可能性評価器63は、上記評価値を重み付け平均して追尾維持可能性評価値とする。
【0061】
目標状態評価部62の追尾精度評価器64は、上記実施の形態1における追尾精度評価器32が評価する事項の他に、例えば、以下の事項を評価対象に追加する。
1.目標運動諸元の予測誤差
推定誤差の将来の広がりを予測し、推定誤差が近い将来にセンサの観測ビーム内に捕らえられないくらい大きくなると判断される場合に評価値を大きくする。2.運動モデルへの適合度
運動モデルの適合度を予測し、目標運動が近い将来に曖昧になると判断される場合に評価値を大きくする。
なお、追尾精度評価器64は、上記評価値を重み付け平均して追尾精度評価値とする。
【0062】
目標状態評価部62の目標状態評価器33は、追尾維持可能性評価器63と追尾精度評価器64の重み付き平均をとって、目標(1)〜目標(n)に対する目標状態評価値を算出する。
【0063】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、目標状態評価部62が目標の現在の状態だけでなく将来の状態も評価するように構成したので、現在の目標状態を評価していた上記実施の形態1とは異なり、今現在は目標状態の評価値が低くても、将来的に評価値が高くなるような目標に早くから注目して、将来の目標の追尾状態に基づく資源管理が可能になる効果が得られる。
【0064】
実施の形態3.
図7は目標状態評価部62を示す構成図であり、図において、図6と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
65は各目標の追尾の必要性を評価する追尾必要性評価器、66は追尾維持可能性評価器63の評価結果と追尾精度評価器64の評価結果と追尾必要性評価器65の評価結果とを融合して、各目標に対する追尾性能を評価する目標状態評価器である。
【0065】
次に動作について説明する。
この実施の形態3では、各目標の追尾の必要性を評価対象に追加する点で、上記実施の形態2と相違している。以下、上記実施の形態2と相違する部分を説明する。
【0066】
目標状態評価部62の追尾必要性評価器65は、センサ状態抽出器15、観測情報抽出器16、追尾情報抽出器17及びフィルタ状態抽出器18から各種の情報を受けると、各目標の進行方向、各目標までの距離、各目標の速度、特定地域に対する各目標の到達予測時間、及び各目標の識別結果の全部又は一部を考慮して、各目標の追尾の必要性を評価する。例えば、以下の事項を評価する。
【0067】
1.目標の進行方向
センサ(1)〜センサ(m)又はある特定地域に近づいている目標が重要であり、遠ざかる目標は重要でないと判断される場合には、センサ(1)〜センサ(m)又はある特定地域に近づいている目標の追尾必要性を高くする。
2.目標の距離
センサ(1)〜センサ(m)又はある特定地域から遠く離れた目標は重要でないと判断される場合には、そのような目標の追尾必要性を低くする。
3.目標の速度
センサ(1)〜センサ(m)又はある特定地域へ近づいている目標の中で、速度が大きいものが重要であると判断される場合には、速度の大きい目標の追尾必要性を高くする。
【0068】
4.特定地域への到達予測時間
目標の位置と速度の推定値を利用して、ある特定地域までの到達時間を算出し、その到達時間が短い目標が重要であると判断される場合には、この目標の追尾必要性を高くする。
5.追尾目標の識別結果
何らかの手段で目標(1)〜目標(n)の大きさ、特性、種類などが識別できる場合には、その識別結果より目標が注目すべきであると判断される場合に追尾必要性を高くする。
【0069】
目標状態評価器66は、追尾維持可能性評価器63と追尾精度評価器64の評価結果に加えて、追尾必要性評価器65の追尾必要性評価値も目標状態評価の基準として用い、これら3入力の重み付け平均をとって各目標に対する目標状態評価値を算出する。
なお、追尾必要性評価器65が目標の追尾必要性を評価するための指標は、これらのみに限定されるものではなく、追尾の必要性が高いか低いかに関して何らかの意味で目標を評価できるものであれば、上記以外の指標であってもよい。
【0070】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、追尾必要性評価器65より得られる各目標の追尾必要性も目標状態の評価基準として用いているので、目標の価値がすべて等しいとして資源管理を行っていた上記実施の形態1,2とは異なり、各目標の追尾必要性を客観的に評価することが可能となるため、特に注目して追尾を行う必要がある目標を選択し、その目標を特に見失わないように資源管理を行うことが可能になる効果が得られる。
【0071】
実施の形態4.
図8は資源配分方式作成部21を示す構成図であり、図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
71はセンサ群12の運用パラメータと追尾フィルタ群14の動作パラメータの設定範囲を決定するパラメータ設定範囲算出器、72はセンサ群12と追尾フィルタ群14のパラメータが設定範囲に収まるように各目標に対する資源の配分方式を算出する資源配分器である。
【0072】
次に動作について説明する。
この実施の形態4では、センサ群12と追尾フィルタ群14のパラメータが設定範囲に収まるように各目標に対する資源の配分方式を算出する点で、上記実施の形態1〜3と相違している。以下、上記実施の形態1〜3と相違する部分を説明する。
【0073】
資源配分方式作成部21のパラメータ設定範囲算出器71は、目標状態評価部62が目標状態評価値を出力すると、資源配分器72が算出する配分方式の要素の全て又は一部について設定範囲を決定する。
例えば、目標の観測時刻については、目標の推定誤差に着目する。現時刻より数秒後の推定誤差の大きさを予測し、その大きさが所定の閾値を越える時刻を観測時刻の上限Tmaxとする。その目標の観測時刻に係る配分方式は、次の観測時刻が時刻Tmax以内という設定範囲を算出する。
その他の動作パラメータに関しても、その動作パラメータが目標の観測や追尾に対して、どのような影響を与えるかを、追尾データベース20を参照して算出し、追尾精度や追尾維持性能などが所定の性能以下にならないように、その設定範囲を決定する。
【0074】
資源配分方式作成部21の資源配分器72は、パラメータ設定範囲算出器71がパラメータの設定範囲を決定すると、目標(1)〜目標(n)に対する観測センサ、観測時刻、観測条件(精度、探知確率、誤警報確率、分解能)、追尾フィルタの種類、及び追尾フィルタの動作パラメータのすべて、または、一部の配分方式を決定する。この配分方式はパラメータ設定範囲算出器71から出力される各パラメータの設定範囲を越えないように決定される。
【0075】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、資源配分器72が各パラメータの設定範囲を越えないように資源の配分方式を算出するので、パラメータの範囲を限定せずに配分方式を算出していた上記実施の形態1〜3とは異なり、配分方式の算出数を絞って最適配分に近い配分方式のみを算出することが可能となる。このため、資源管理計算部23は最適な配分方式を選択するための計算量を減らすことができる効果が得られる。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、各目標を取りまく周辺状況に係る情報を抽出し、その情報を考慮して各目標の現在の追尾状態を評価するように構成したので、追尾維持が困難となる状況や追尾精度が劣化する状況を的確に把握して資源配分方式が算出されるようになり、その結果、各目標の追尾精度が向上する効果がある。
【0080】
この発明によれば、各目標の運動諸元の推定値に関する情報を抽出し、その情報を考慮して各目標の現在の追尾状態を評価するように構成したので、追尾精度が劣化する状況を的確に把握して資源配分方式が算出されるようになり、その結果、各目標の追尾精度が向上する効果がある。
【0081】
この発明によれば、各目標の現在の追尾状態として、各目標の追尾維持の困難度を評価するとともに、各目標の運動諸元の推定精度を評価するように構成したので、追尾精度が劣化する状況を的確に把握することができる効果がある。
【0082】
この発明によれば、目標同士の近接状況、クラッタ領域への進入状況又は各目標の失検出連続回数を考慮して、各目標の追尾維持の困難度を評価するように構成したので、各目標の追尾維持の困難度を正確に評価することができる効果がある。
【0083】
この発明によれば、各目標の速度、各目標の機動力、各目標の運動諸元の推定誤差、運動モデルへの適合度又はセンサ群を構成する各センサの各目標に対する距離を考慮して、各目標の運動諸元の推定精度を評価するように構成したので、各目標の運動諸元の推定精度を正確に評価することができる効果がある。
【0084】
この発明によれば、センサ群の動作条件として、そのセンサ群を構成する各センサの観測時間又は各センサの運用パラメータを調整し、追尾フィルタ群の動作条件として、その追尾フィルタ群を構成する各フィルタの種類又は各フィルタの動作パラメータを調整するように構成したので、センサ群及び追尾フィルタ群の動作条件を的確に調整することができる効果がある。
【0085】
この発明によれば、センサ群及び追尾フィルタ群の負荷量を考慮して、センサ群及び追尾フィルタ群の動作条件を調整するように構成したので、資源を節約しながら高い追尾性能を得ることができる効果がある。また、センサ群と追尾フィルタ群の能力を越えるような配分方式が選択される危険を回避することができる効果がある。
【0086】
この発明によれば、各目標の将来の追尾状態を予測し、各目標の将来の追尾状態を評価するように構成したので、今現在は目標状態の評価値が低くても、将来的に評価値が高くなるような目標に早くから注目して、将来の目標の追尾状態に基づく資源管理が可能になる効果がある。
【0087】
この発明によれば、各目標の追尾の必要性を評価するように構成したので、各目標の追尾必要性を客観的に評価することが可能となり、その結果、特に注目して追尾を行う必要がある目標を選択し、その目標を特に見失わないように資源管理を行うことが可能になる効果がある。
【0088】
この発明によれば、各目標の進行方向、各目標までの距離、各目標の速度、特定地域に対する各目標の到達予測時間又は各目標の識別結果を考慮して、各目標の追尾の必要性を評価するように構成したので、各目標の追尾必要性を客観的に評価することができる効果がある。
【0089】
この発明によれば、センサ群及び追尾フィルタ群の動作条件を調整する際、上記センサ群及び上記追尾フィルタ群のパラメータを予め用意された許容範囲に収めるように構成したので、配分方式の算出数を絞って最適配分に近い配分方式のみを算出することが可能となり、その結果、最適な配分方式を選択するための計算量を減らすことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による資源管理装置を示す構成図である。
【図2】 目標状態評価部を示す構成図である。
【図3】 資源配分方式作成部を示す構成図である。
【図4】 資源管理計算部を示す構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態2による資源管理装置を示す構成図である。
【図6】 目標状態評価部を示す構成図である。
【図7】 目標状態評価部を示す構成図である。
【図8】 資源配分方式作成部を示す構成図である。
【図9】 従来の資源管理装置を示す構成図である。
【符号の説明】
11 目標群、12 センサ群、13 観測情報融合器、14 追尾フィルタ群(追尾手段)、15 センサ状態抽出器(追尾状態評価手段)、16 観測情報抽出器(追尾状態評価手段)、17 追尾情報抽出器(追尾状態評価手段)、18 フィルタ状態抽出器(追尾状態評価手段)、19 目標状態評価部(追尾状態評価手段)、20 追尾データベース(調整手段)、21 資源配分方式作成部(調整手段)、22 資源データベース(調整手段)、23 資源管理計算部(調整手段)、24 フィルタ群指示器(調整手段)、25 センサ群指示器(調整手段)、31 追尾維持可能性評価器、32 追尾精度評価器、33 目標状態評価器、41 資源配分器、42 配分効果評価器、51 追尾機能監視器、52 観測機能監視器、53 最適配分計算機、61 予測器(追尾状態評価手段)、62 目標状態評価部(追尾状態評価手段)、63 追尾維持可能性評価器、64 追尾精度評価器、65 追尾必要性評価器、66 目標状態評価器、71 パラメータ設定範囲算出器、72 資源配分器。
Claims (13)
- 複数の目標を観測するセンサ群の観測結果を受けると、上記複数の目標の追尾計算を実行する追尾手段と、上記センサ群の動作状態に係る情報を抽出し、その情報から上記複数の目標の現在の追尾状態を評価する追尾状態評価手段と、上記追尾状態評価手段の評価結果に基づいて上記センサ群の動作条件を調整する調整手段とを備えた資源管理装置において、上記追尾状態評価手段は、各目標を取りまく周辺状況に係る情報を抽出し、その情報を考慮して各目標の現在の追尾状態を評価することを特徴とする資源管理装置。
- 複数の目標を観測するセンサ群の観測結果を受けると、上記複数の目標の追尾計算を実行する追尾手段と、上記追尾手段を構成する追尾フィルタ群の動作状態に係る情報を抽出し、その情報から上記複数の目標の現在の追尾状態を評価する追尾状態評価手段と、上記追尾状態評価手段の評価結果に基づいて上記追尾フィルタ群の動作条件を調整する調整手段とを備えた資源管理装置において、上記追尾状態評価手段は、各目標を取りまく周辺状況に係る情報を抽出し、その情報を考慮して各目標の現在の追尾状態を評価することを特徴とする資源管理装置。
- 複数の目標を観測するセンサ群の観測結果を受けると、上記複数の目標の追尾計算を実行する追尾手段と、上記センサ群の動作状態及び上記追尾手段を構成する追尾フィルタ群の動作状態に係る情報を抽出し、その情報から上記複数の目標の現在の追尾状態を評価する追尾状態評価手段と、上記追尾状態評価手段の評価結果に基づいて上記センサ群及び上記追尾フィルタ群の動作条件を調整する調整手段とを備えた資源管理装置において、上記追尾状態評価手段は、各目標を取りまく周辺状況に係る情報を抽出し、その情報を考慮して各目標の現在の追尾状態を評価することを特徴とする資源管理装置。
- 追尾状態評価手段は、各目標の運動諸元の推定値に関する情報を抽出し、その情報を考慮して各目標の現在の追尾状態を評価することを特徴とする請求項3記載の資源管理装置。
- 追尾状態評価手段は、各目標の現在の追尾状態として、各目標の追尾維持の困難度を評価するとともに、各目標の運動諸元の推定精度を評価することを特徴とする請求項4記載の資源管理装置。
- 追尾状態評価手段は、目標同士の近接状況、クラッタ領域への進入状況又は各目標の失検出連続回数を考慮して、各目標の追尾維持の困難度を評価することを特徴とする請求項5記載の資源管理装置。
- 追尾状態評価手段は、各目標の速度、各目標の機動力、各目標の運動諸元の推定誤差、運動モデルへの適合度又はセンサ群を構成する各センサの各目標に対する距離を考慮して、各目標の運動諸元の推定精度を評価することを特徴とする請求項5記載の資源管理装置。
- 調整手段は、センサ群の動作条件として、そのセンサ群を構成する各センサの観測時間又は各センサの運用パラメータを調整し、追尾フィルタ群の動作条件として、その追尾フィルタ群を構成する各フィルタの種類又は各フィルタの動作パラメータを調整することを特徴とする請求項5記載の資源管理装置。
- 調整手段は、センサ群及び追尾フィルタ群の負荷量を考慮して、上記センサ群及び上記追尾フィルタ群の動作条件を調整することを特徴とする請求項5記載の資源管理装置。
- 追尾状態評価手段は、各目標の将来の追尾状態を予測し、各目標の将来の追尾状態を評価することを特徴とする請求項5記載の資源管理装置。
- 追尾状態評価手段は、各目標の追尾の必要性を評価することを特徴とする請求項5記載の資源管理装置。
- 追尾状態評価手段は、各目標の進行方向、各目標までの距離、各目標の速度、特定地域に対する各目標の到達予測時間又は各目標の識別結果を考慮して、各目標の追尾の必要性を評価することを特徴とする請求項11記載の資源管理装置。
- 調整手段は、センサ群及び追尾フィルタ群の動作条件を調整する際、上記センサ群及び上記追尾フィルタ群のパラメータを予め用意された許容範囲に収めることを特徴とする請求項5記載の資源管理装置。
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