JP4014541B2 - インライン形光アイソレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システム,光センサシステムなどの光信号路において、光信号の逆方向の伝送を遮断するために用いられる光アイソレータ、特に、各光学素子が直線状に配置されるインライン形光アイソレータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インライン形光アイソレータは、光通信システムや光センサシステムにおいて、伝送光信号の反射光信号が光伝送装置の信号処理部へ入力されることを防止するために使用される。通常、伝送光信号の偏波状態は一定しないため、偏波無依存の光アイソレータが必要とされている。
【0003】
従来、この種の光アイソレータとしては、例えば、下記の特許文献1に開示されている偏光非依存型光アイソレータがある。この偏光非依存型光アイソレータは、逆方向の伝送を遮断(アイソレーション)するために1個の複屈折板を使用して構成されており、複屈折板,第1及び第2の可逆回転手段,非可逆回転手段,レンズ、及び凹面鏡がこの順に配置されて構成されている。
【0004】
この構成において、入力光ファイバから順方向に入射して伝搬する入力光信号は、複屈折板に入射し、入力光ファイバ及び出力光ファイバのそれぞれの光軸を含む平面内で常光線(O光線)と異常光線(E光線)とに分離される。分離された各光線は、次に、第1の可逆回転手段を通過するが、その偏波方向の回転角には影響しない。続いて各光線は、非可逆回転手段であるファラデー回転子に入射し、ここで、偏波方向が反時計方向に22.5°回転される。その後、各光線は、レンズと凹面鏡からなる反射手段に衝突し、反射後再びファラデー回転子に入射する。このとき、ファラデー回転子の非可逆性により、各光線は再びその偏波方向が反時計方向に22.5°回転される。なお、この反射によって各光線のそれぞれの空間位置が入れ替えられるが、それぞれの偏光状態は反射前の状態を維持している。
【0005】
次に、各光線は第2の可逆回転手段を通過し、それぞれの偏波方向が反時計方向に45°回転される。この結果、各光線の偏波方向の回転角の総和は90°となり、各光線の偏光状態と空間位置とが入れ替えられたことになる。続いて、各光線は複屈折板に入射し、異常光線の方向をとる元の常光線が空間変位作用を受けて常光線の方向をとる元の異常光線と再結合し、入力光信号が出力光ファイバへ入射される。また、逆方向(アイソレーション方向)では、ファラデー回転子と一対の可逆回転手段によって各光線の偏波方向の回転角の総和は0°となり、出力光ファイバから入射された各光線は複屈折板において再結合されず、従って入力光ファイバ内へは入射されない。
【0006】
また、従来、下記の特許文献2に開示されている偏光非依存型光アイソレータもある。この光アイソレータは、光ファイバアレイ,ルチル結晶(複屈折板),半波長板及びガラス板(可逆回転手段),ロッドレンズ,ガーネット結晶(非可逆回転手段),反射鏡がこの順に配置されて構成されている。半波長板及びガラス板は、それぞれロッドレンズの半分の面積を覆うように配置されている。
【0007】
この構成において、入力光ファイバから入射して順方向に伝搬する光信号は最初にルチル結晶に入射し、入力光ファイバ及び出力光ファイバのそれぞれの光軸を含む平面内で常光線と異常光線とに分離される。分離された各光線はガラス板を通過してからロッドレンズに入射し、平行光線に変換される。ロッドレンズを通過した各光線はファラデー回転子であるガーネット結晶に入射し、その偏波方向が反時計方向に22.5°回転される。続いて、各光線は反射鏡で反射され、それぞれの空間位置が入れ替えられる。反射鏡で反射された各光線は再びガーネット結晶に入射し、ガーネット結晶の非可逆性により再びその偏波方向が反時計方向に22.5°回転される。そして、ロッドレンズ通過後に半波長板を通過することでさらに偏波方向は反時計方向に45°回転される。
【0008】
この結果、各光線の偏波方向の回転角の総和は90°となり、各光線の偏光状態と空間位置とが入れ替えれられたことになる。その後、各光線はルチル結晶に入射するが、ルチル結晶内において異常光線の方向をとる元の常光線は空間変位を受けて常光線の方向をとる元の異常光線と再結合し、出力光ファイバに入射される。また、逆方向(アイソレーション方向)では、ガーネット結晶と半波長板が使用されて各光線の偏波方向の回転角の総和が0°となり、常光線と異常光線とはルチル結晶内において再結合されず、従って入力光ファイバ内へは入射されない。
【0009】
【特許文献1】
特許第2710451号公報(第3頁右欄第14行〜第4頁右欄第15行、第1図)
【特許文献2】
特開平5−313094号公報(段落[0010]〜[0014]、図1及び図2)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている偏光非依存型光アイソレータには、以下に示す4つの問題点がある。
【0011】
第1に、複屈折板によって分離された常光線及び異常光線、並びに反射手段で反射した常光線及び異常光線がいずれも入力光ファイバ及び出力光ファイバの各光軸を含む平面にあるため、常光線がレンズの中心光軸を中心に伝搬する光路長と、異常光線がレンズの中心光軸を中心に伝搬する光路長とは異なっている。このため、再結合が行われる複屈折板まで伝搬するのに要する時間が常光線と異常光線とでそれぞれ異なってしまい、これらの各偏波による光信号の分散現象(偏波モード分散)が発生する。例えば、厚さ450[μm]のルチル結晶を複屈折板に使用した場合、常光線と異常光線との伝搬時間に0.5[psec]程度の違いが見積もられ、伝搬速度が10[Gb/s]以上などの高速光伝送装置に適用するには、光アイソレータの使用個数などに制限が生じる。
【0012】
第2に、光信号の低挿入損失と高アイソレーションを確保するためには、複屈折板と可逆回転手段との間で各光軸を所定の角度で精度良く合わせる必要があるが、光軸方向の異なる1対の可逆回転手段を使用すると、その光軸角度調整が2回必要であった。つまり、入力光ファイバから入射して複屈折板によって分離される光信号の偏光方向と第1の可逆回転手段の結晶光軸方向とを精度良く合わせ、さらに、複屈折板に入射される反射光信号の偏光方向が複屈折板の合成方向に合致するように、第2の可逆回転手段の結晶光軸方向を所定の角度に調整する必要がある。
【0013】
第3に、入出力光ファイバを整列させるために、入出力光ファイバの光軸間距離は250[μm]程度の大きな間隔が必要であった。
【0014】
第4に、光信号は、入力光ファイバから入射後、複屈折板,可逆回転手段及びファラデー回転子を通過してからレンズを通過する構成になっているため、入力光ファイバからの入射光が広がってしまい、レンズの有効径を大きくしなければならなかった。従って、光アイソレータを小型化するのが難しかった。
【0015】
また、特許文献2に開示されている光アイソレータでは、各光学素子について予め光軸角度調整が行われて、各光学素子は相互に接着されて固定されている。このため、特許文献1における第2の問題点は発生しない。また、特許文献2に開示されている光アイソレータでは、光ファイバがアレイ化されており、また、入力光ファイバからの入射光はロッドレンズを通過してからファラデー回転子及び反射鏡に入射するため、特許文献1における第3の問題点及び第4の問題点は発生しない。
【0016】
しかし、特許文献2に記載の光アイソレータにおいても、常光線及び異常光線による光信号の分散現象(偏波モード分散)は発生する。例えば、厚さ1300[μm]のルチル結晶を使用した場合、再結合が行われるルチル結晶まで常光線と異常光線とが伝搬するのに要する時間に約1.2[psec]程度の差が見積もられる。この伝搬時間の差によって、伝送速度が10[Gb/s]以上の高速光伝送装置にこの光アイソレータを適用するには、その使用個数などに制限が発生する。
【0017】
また、特許文献2に記載の光アイソレータでは、波長0.98[μm]の励起光を入力した場合、ファラデー回転子の材料である鉄成分が波長0.98[μm]の光を吸収して発熱する。このため、ファラデー回転子とこれに隣接したロッドレンズや反射鏡との接着固定界面において、温度上昇により接着剤が変質劣化し、その特性が変化することがあった。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、光軸が互いに平行に並列配置された,順方向の光信号を入射する第1の光ファイバ及び順方向の光信号を出射する第2の光ファイバと、結晶光学軸に対して所定方向にある光信号の異常光線に対して空間変位を作用させて順方向の光信号を常光線と異常光線とに分離する偏波分離素子と、第1の光ファイバの光軸側または第2の光ファイバの光軸側のいずれか一方に設けられ,順方向とその逆の逆方向との伝搬方向によって常光線及び異常光線の偏波方向をそれぞれ逆の回転方向に回転させる偏波面回転素子と、光信号の常光線及び異常光線の集光状態を変換する集光手段と、常光線及び異常光線の偏波方向を伝搬方向に関係なく一定の回転方向に回転させる非相反偏波面回転素子と、この非相反偏波面回転素子から出射される光信号の常光線及び異常光線を集光手段の焦点位置近傍で反射し,光信号を再び非相反偏波面回転素子に入射させる反射手段とがこの順に整列しており、常光線及び異常光線は、偏波面回転素子によって回転される偏波方向の角度と非相反偏波面回転素子によって回転される偏波方向の角度とが、順方向に伝搬するときには同じ回転方向になり、偏波分離素子によって一致する相互位置に戻る空間変位作用を受けて再結合して第2の光ファイバへ出射され、逆方向に伝搬するときには逆の回転方向になって相殺され、偏波分離素子によって相互が離される空間変位作用を受けて第1の光ファイバに再結合しないインライン形光アイソレータであって、偏波分離素子の結晶光学軸は、常光線及び異常光線の分離方向が、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの光軸を含む平面に垂直で、それぞれの光ファイバの光軸に平行な面内に配置されており、集光手段の集束中心光軸は、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの各光軸にほぼ平行に配置され、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの各光軸から等距離に配置されていると共に、集光手段の偏波面回転素子と対峙する側において、第1の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号の常光線及び異常光線,並びに第2の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号の常光線及び異常光線の4つの光線の各光軸からほぼ等距離に配置されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1の光ファイバまたは第2の光ファイバから入射される光信号は、偏波分離素子において、常光線及び異常光線が第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの光軸を含む平面に垂直で、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの光軸に平行な方向に分離され、集光手段の偏波面回転素子と対峙する側において、常光線及び異常光線の各光軸は、その集束中心光軸とほぼ平行になるとともに、集束中心光軸からほぼ等距離に位置する。また、反射手段で反射した反射光信号の常光線及び異常光線も、集光手段の偏波面回転素子と対峙する側において、その各光軸が集束中心光軸とほぼ平行になるとともに、集束中心光軸からほぼ等距離に位置し、偏波分離素子において、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの光軸を含む平面に垂直で、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの光軸に平行な方向で再結合する。
【0020】
また、本発明は、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバが光ファイバアレイとして一体化され、この光ファイバアレイの端面が、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの光軸を含む平面に対して垂直で,いずれの光ファイバの光軸に対しても垂直に形成されており、偏波分離素子及び偏波面回転素子の各光入出力端面,並びに集光手段の偏波面回転素子に対峙する端面が,光ファイバアレイの端面にほぼ平行にされていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、第1または第2の光ファイバから入射される光信号は偏波分離素子の端面に垂直に入射し、偏波分離素子によって分離された常光線及び異常光線は、偏波分離素子,偏波面回転素子の各光入出力端面及び集光手段の偏波面回転素子に対峙する端面に垂直な方向に伝搬する。また、反射手段で反射した反射信号も、集光手段の偏波面回転素子に対峙する端面,偏波面回転素子及び偏波分離素子の各光入出力端面に垂直な方向に伝搬する。
【0022】
また、本発明は、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバが光ファイバアレイとして一体化され、この光ファイバアレイの端面が、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの光軸を含む平面内にあっていずれの光ファイバの光軸にも垂直な軸を中心に回転されて、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの光軸を含む平面に対して垂直でかついずれの光ファイバの光軸に対しても垂直な面に対して所定角度傾けられ、集光手段の光ファイバアレイに対峙する面が、光ファイバアレイの端面とほぼ平行になるように、集光手段の集束中心光軸に垂直な面に対して所定角度傾けられ、偏波分離素子及び偏波面回転素子の各光入出力端面が、光ファイバアレイの端面の傾きにならって傾いて整列していることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、第1または第2の光ファイバから入射された光信号、及び反射手段で反射した反射光信号が、偏波分離素子,偏波面回転素子の各光入出力端面及び集光手段の偏波面回転素子に対峙する端面で反射する反射光は、第1または第2の光ファイバ内に入射されなくなる。
【0024】
また、本発明は、偏波分離素子と集光手段との間には、第1の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号または第2の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号の一方が通過する位置に偏波面回転素子が配置され、他方が通過する位置に非晶性光学素子が配置されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、第1または第2の光ファイバから入射された光信号は、その常光線及び異常光線が偏波分離素子で分離された直後にその偏波方向が偏波面回転素子によって所定角度回転されるか、偏波分離素子で分離されて反射手段で反射した後にその偏波方向が偏波面回転素子によって所定角度回転される。
【0026】
また、本発明は、集光手段と非相反偏波面回転素子との間に断熱手段が設けられていること特徴とする。
【0027】
この構成によれば、非相反偏波面回転素子の鉄成分が所定波長の光信号を吸収して熱を発生しても、この熱は、断熱手段により、非相反偏波面回転素子に隣接する集光手段に伝導されなくなる。
【0028】
また、本発明は、反射手段が、非相反偏波面回転素子の集光手段に対峙する面と反対側の面に直接加工されて形成されていることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、非相反偏波面回転素子の集光手段に対峙する面と反対側の面がそのまま反射手段として機能する。
【0030】
また、本発明は、非相反偏波面回転素子が予め磁化されていることを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、非相反偏波面回転素子が有する磁界によって、非相反偏波面回転素子を通過する光信号の偏波方向を回転させることができる。
【0032】
また、本発明は、光ファイバアレイが多心フェルールから構成されていることを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、光ファイバアレイは、光信号路を構成する光ファイバと多心フェルールを介して接続される。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるインライン形光アイソレータを、光ファイバ通信システムに適用した第1の実施形態について説明する。
【0035】
図1(a)は、本実施形態によるインライン形光アイソレータ1の平面図、同図(b)はその側面図である。インライン形光アイソレータ1は、光ファイバアレイ2,ルチル結晶3,石英ガラス板4並びに半波長板5,集束性ロッドレンズ6,空隙7,着磁ガーネット結晶8及び全反射鏡9がこの順に配列されて構成されている。
【0036】
光ファイバアレイ2には、光軸が互いに平行な光ファイバ10及び11が125[μm]の間隔で平行に配置されて一体化されている。インライン形光アイソレータ1は、一方の光ファイバ10から入射した順方向の光信号が他方の光ファイバ11から出射する構成になっている。光ファイバ10,11の各一端10a,11aは図示しない多心または単心のフェルールで固定されており、このフェルールを介して光ファイバからなる光信号路に接続されている。また、光ファイバ10,11の他端10b,11bは光ファイバアレイ2の端面2aに配置されている。この端面2aは、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に対して垂直で,いずれの光軸に対しても垂直に研磨されて形成されており、ルチル結晶3,石英ガラス板4及び半波長板5の各光入出力端面3a,3b,4a,4b,5a,5b、及び集束性ロッドレンズ6の石英ガラス板4並びに半波長板5に対峙する端面6aは、それぞれ光ファイバアレイ2の端面2aにほぼ平行に配置されている。
【0037】
ルチル結晶3は、厚さ300[μm]の複屈折結晶であり、順方向から入射される光信号Aを常光線Oと異常光線Eとに分離する偏波分離素子を構成している。このルチル結晶3は、その結晶光学軸3cに平行な方向の偏波を有する光信号の常光線Oまたは異常光線Eに対して空間変位3dを作用させる。ルチル結晶3の結晶光学軸3cは、常光線O及び異常光線Eの分離方向が、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直で、光ファイバ10,11の光軸に平行な面内に配置されている。
【0038】
ルチル結晶3と集束性ロッドレンズ6との間には、光ファイバ10から入射された光信号が通過する位置に、順方向または逆方向の伝搬方向によって常光線O及び異常光線Eの偏波方向を逆に回転させる偏波面回転素子である半波長板5が配置されている。また、全反射鏡9で反射した反射光信号が通過する位置に、非晶性光学素子である石英ガラス板4が配置されている。石英ガラス板4は、順方向動作において、入力光ファイバ10から入射された光信号Aのみが半波長板5を通過し、全反射鏡9から反射された反射光信号Aのみが通過するように半波長板5と並列配置されている。半波長板5の光軸は、分離されて順方向に進む常光線Oの偏波方向に対して反時計方向に22.5°の角度で配向されており、半波長板5は、光信号Aが同図(a)に矢示する順方向に伝搬する場合、常光線O及び異常光線Eの偏波方向をそれぞれ反時計方向に45°回転させ、光信号Aが図3(a)に矢示する逆方向に伝搬する場合、常光線O及び異常光線Eの偏波方向をそれぞれ時計方向に45°回転させる。
【0039】
集束性ロッドレンズ6は、位相差が約π/2の屈折率分布型ロッドレンズからなる集光手段を構成しており、常光線O及び異常光線Eが順方向に伝搬するときはこれらの各光線O,Eを平行光線に変換してから近接させて集光し、逆方向に伝搬するときは端面6a側においてこれらの各光線O,Eを遠ざけると共に平行光線に変換する。また、集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cは、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸と平行に配置されていると共に、これらの各光軸から等距離な位置に配置されている。また、この集束中心光軸6cは、端面6a側において、光ファイバ10の光軸側を伝搬する常光線O及び異常光線E,並びに光ファイバ11の光軸側を伝搬する常光線O及び異常光線Eの4つの各光線からほば等距離の位置に配置されている。
【0040】
着磁ガーネット結晶8は、本実施形態においては予め磁化されており、常光線O及び異常光線Eの偏波方向を、その伝搬方向に関係なく、常に一定の反時計方向に22.5°だけ回転させる非相反偏波面回転素子を構成している。また、集束性ロッドレンズ6と着磁ガーネット結晶8との間には、断熱手段として約200[μm]の空隙7が設けられている。全反射鏡9は、着磁ガーネット結晶8の集束性ロッドレンズ6と対峙する面と反対側の面に直接蒸着加工されて形成されている。全反射鏡9は、着磁ガーネット結晶8から出射される光信号の常光線O及び異常光線Eを反射して反射光信号とし、この反射光信号を再び着磁ガーネット結晶8に入射させる反射手段を構成している。
【0041】
次に、上記の構成において、波長1.55[μm]の光信号Aがインライン形光アイソレータ1を順方向に伝搬する場合の動作について説明する。前述した図1には、光信号Aが光ファイバ10から順方向に入射されたときの光信号経路が示されている。また、図2(a)〜(i)には、図1に示すFA,FB,FC,FD,FE,FF,FG,FH,FJの各位置における光信号Aの常光線O及び異常光線Eの偏波状態と配置関係とが示されている。同図は、図1において光ファイバアレイ2側からルチル結晶3側を見た状態で表示されており、紙面に垂直な方向が光ファイバ10,11のそれぞれの光軸方向になっている。また、同図において、水平に描かれた点線は光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面、垂直に描かれた一点鎖線は光ファイバ10,11の光軸間中心を通り、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な平面を示す。この平面は集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cを含んでいる。
【0042】
光ファイバ10の他端10bから順方向に入射された光信号Aは、始めにルチル結晶3の端面3aに垂直に入射される。図2(a)には、このときの光信号Aの偏波状態および配置関係が示されており、常光線Oと異常光線Eとは直交している。前述したように、ルチル結晶3の結晶光学軸3cは光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な方向に配向されているため、光信号Aは、ルチル結晶3を通過する際に、結晶光学軸3cに平行な方向の偏波を有する異常光線Eが、結晶光学軸3cに垂直な方向の偏波を有する常光線Oから空間変位3dを受け、常光線O及び異常光線Eは、図2(b)に示すように、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に対して垂直な方向に分離される。
【0043】
分離された常光線O及び異常光線Eは半波長板5の端面5aに垂直に入射される。このとき、前述したように半波長板5の光軸は、図2(b)に示す状態の常光線Oの偏波方向に対して反時計方向に22.5°の角度で配向されているため、常光線O及び異常光線Eの偏波方向は、図2(c)に示すように、それぞれ反時計方向に45°回転される。
【0044】
半波長板5を通過した常光線O及び異常光線Eは、次に、集束性ロッドレンズ6の端面6aに垂直に入射される。その際、常光線O及び異常光線Eは、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に平行で集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cを含む平面を、常光線Oと異常光線Eとがほぼ等間隔に上下で挟む位置に入射される。このとき、常光線O及び異常光線Eは集束中心光軸6cからほぼ等距離の位置にある。集束性ロッドレンズ6内において常光線O及び異常光線Eは、平行光線に変換され、進むに連れて互いに近接するとともに集束中心光軸6cにも近接し、約1°の出射角でレンズ端面から出射される。このときの常光線O及び異常光線Eの状態が図2(d)に示されている。
【0045】
集束性ロッドレンズ6のレンズ端面から出射された常光線O及び異常光線Eは、次に、約200[μm]の空隙7を通過して着磁ガーネット結晶8に入射される。常光線O及び異常光線Eは、この着磁ガーネット結晶8によってその偏波方向が反時計方向に22.5°回転される。着磁ガーネット結晶8からの光信号Aは、次に、全反射鏡9によって反射されるが、この全反射鏡9上では、常光線O及び異常光線Eの位置は、図2(e)に示すように、ほぼ一致する。
【0046】
次に、全反射鏡9によって反射された常光線O及び異常光線Eは、反射光信号Aになって、再び着磁ガーネット結晶8に入射され、この着磁ガーネット結晶8によってさらに反時計方向に22.5°回転される。着磁ガーネット結晶8を往復して通過することで、各光線O,Eはそれぞれの偏波方向が反時計方向に45°回転されたことになり、半波長板5での45°の回転と合わせると、結果的に反時計方向に90°回転されたことになる。この状態が図2(f)に示されている。
【0047】
また、全反射鏡9での反射により、集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cを通り光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な面内では、常光線O及び異常光線Eは物理的位置が入れ替えられるが、各々の偏波状態は反射前と同じ状態を保持している。また、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に平行な面内では、常光線O及び異常光線Eは集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cを挟んで、光ファイバ10側から光ファイバ11側に空間位置が入れ替えられる。
【0048】
次に、着磁ガーネット結晶8から出射した常光線O及び異常光線Eは、約200[μm]の空隙を通過して集束性ロッドレンズ6に入射される。集束性ロッドレンズ6の効果により、常光線O及び異常光線Eは平行光線に変換され、進むに連れて互いに離されるとともに集束中心光軸6cからも離される。このときの状態が図2(g)に示されている。続いて、常光線O及び異常光線Eは石英ガラス板4を通過するが、各光線の偏波方向は影響されない。このときの状態が図2(h)に示されている。
【0049】
次に、常光線O及び異常光線Eはルチル結晶3の端面3bに垂直に入射される。ルチル結晶3内において、常光線Oは、その偏波方向が90°回転されてルチル結晶3の結晶光学軸3cに平行な方向の偏波を有する状態になっているため、空間変位作用を受ける。しかし、異常光線Eは、その偏波方向が90°回転されてルチル結晶3の結晶光学軸3cに垂直な方向の偏波を有する状態になっているため、空間変位作用を受けずに通過する。従って、空間変位を受けた常光線Oは、図2(i)に示すように、異常光線Eと再結合する。再結合した常光線O及び異常光線Eは光ファイバ11に入射し、順方向の出力光信号として外部の光信号路へ伝送される。
【0050】
次に、波長1.55[μm]の光信号Aがインライン形光アイソレータ1を逆方向に伝搬する場合の動作について説明する。図3には、光信号Aが光ファイバ11から逆方向に入射されたときの光信号経路が示されており、同図(a)はインライン形光アイソレータ1の平面図、同図(b)はその側面図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。図4(a)〜(i)には、図3に示すBA,BB,BC,BD,BE,BF,BG,BH,BJの各位置における光信号Aの常光線O及び異常光線Eの偏波状態と配置関係とが示されている。また、同図は、上述の図2と同様に、光ファイバアレイ2側からルチル結晶3側を見た状態で表示されており、紙面に垂直な方向が光ファイバ10,11のそれぞれの光軸方向になっている。また、同図においても、水平に描かれた点線は光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面、垂直に描かれた一点鎖線は光ファイバ10,11の光軸間中心を通り、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な平面を示しており、この平面は集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cを含んでいる。
【0051】
図3に示すように波長1.55[μm]の光信号Aは光ファイバ11から逆方向に入射され、始めにルチル結晶3の端面3aに垂直に入射される。このときの状態が図4(a)に示されており、常光線Oと異常光線Eとは直交している。ルチル結晶3に入射された光信号Aは、前述したようにルチル結晶3内において、図4(b)に示すように、結晶光学軸3cに平行な方向の偏波を有する異常光線Eが、結晶光学軸3cに垂直な方向の偏波を有する常光線Oからの空間変位3dを受け、常光線Oと異常光線Eとは光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に対して垂直な方向に分離される。続いて、分離された常光線O及び異常光線Eは石英ガラス板4を通過するが、常光線O及び異常光線Eの偏波方向は影響されず、回転しない。このときの状態が図4(c)に示されている。
【0052】
次に、石英ガラス板4から出射した常光線O及び異常光線Eは、集束性ロッドレンズ6の端面6aに垂直に入射される。その際、常光線O及び異常光線Eは、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に平行で集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cを含む平面を、常光線Oと異常光線Eとがほぼ等間隔に上下で挟む位置に入射される。このとき、常光線O及び異常光線Eは、集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cからほぼ等距離の位置にある。集束性ロッドレンズ6内において常光線O及び異常光線Eは、平行光線に変換され、進むに連れて互いに近接するとともに集束中心光軸6cにも近接し、約1°の出射角でレンズ端面から出射される。このときの常光線O及び異常光線Eの状態が図4(d)に示されている。
【0053】
集束性ロッドレンズ6のレンズ端面から出射された常光線O及び異常光線Eは、約200[μm]の空隙7を通過して着磁ガーネット結晶8に入射される。入射された常光線O及び異常光線Eは、この着磁ガーネット結晶8によってその偏波方向が反時計方向に22.5°回転される。着磁ガーネット結晶8からの光信号Aは、次に、全反射鏡9によって反射されるが、この全反射鏡9上では常光線O及び異常光線Eの位置は、図4(e)に示すように、ほぼ一致する。全反射鏡9によって反射された常光線O及び異常光線Eは、反射光信号Aになって、再び着磁ガーネット結晶8に入射され、この着磁ガーネット結晶8によってさらに反時計方向に22.5°回転される。着磁ガーネット結晶8を往復して通過することで、結果的に各光線O,Eはその偏波方向が反時計方向に45°回転されたことになる。このときの状態が図4(f)に示されている。
【0054】
また、全反射鏡9での反射により、集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cを通り光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な面内では、常光線O及び異常光線Eは物理的位置が入れ替えられるが、各々の偏波状態は反射前と同じ状態を保持している。また、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に平行な面内では、常光線O及び異常光線Eは集束性ロッドレンズ6の集束中心光軸6cを挟んで、光ファイバ11側から光ファイバ10側に空間位置が入れ替えられる。
【0055】
次に、着磁ガーネット結晶8から出射した常光線O及び異常光線Eは、約200[μm]の空隙7を通過して集束性ロッドレンズ6に入射される。常光線O及び異常光線Eは、集束性ロッドレンズ6の効果により平行光線に変換され、進むに連れて互いに離されるとともに集束中心光軸6cからも離される。このときの状態が図4(g)に示されている。
【0056】
続いて、分離された常光線O及び異常光線Eは半波長板5の端面5bに垂直に入射されるが、半波長板5は、図4(g)に示す状態の常光線Oの偏波方向に対して−22.5°の角度で光軸が配向されているため、常光線O及び異常光線Eの偏波方向は反時計方向に−45°回転される。この結果、半波長板5によって回転される偏波方向の角度−45°と、着磁ガーネット結晶8によって回転される偏波方向の角度45°とが相殺され、常光線O及び異常光線Eの偏波方向の回転角度の総和は0°になる。この状態が図4(h)に示されている。
【0057】
半波長板5を通過した常光線O及び異常光線Eは、次にルチル結晶3の端面3bに垂直に入射される。このとき、常光線Oは、ルチル結晶3の結晶光学軸3cに垂直な方向の偏波を有する状態になっているため、空間変位作用を受けずに通過する。また、異常光線Eは、ルチル結晶3の結晶光学軸3cに平行な方向の偏波を有するため、図4(i)に示すように、常光線Oから離れる空間変位作用を受ける。この結果、常光線O及び異常光線Eは再結合されず、いずれも光ファイバ10から30[μm]程度ずれるため、光ファイバ10には入射されない。このため、逆方向のアイソレーションが実現される。
【0058】
このような本発明の第1の実施形態によるインライン形光アイソレータ1によれば、上述したように、光ファイバ10から順方向に入射される光信号Aは、ルチル結晶3において、常光線O及び異常光線Eが光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な方向に分離され、集束性ロッドレンズ6において、常光線O及び異常光線Eの各光軸は、その集束中心光軸6cとほぼ平行になるとともに、集束中心光軸6cからほぼ等距離に位置する。また、全反射鏡9で反射した反射光信号Aの常光線O及び異常光線Eも、集束性ロッドレンズ6において、その各光軸が集束中心光軸6cとほぼ平行になるとともに、集束中心光軸6cからほぼ等距離に位置し、ルチル結晶3において、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な方向で再結合する。このため、光ファイバ10から入射されて伝搬した常光線O及び異常光線Eの光路長差はほぼ無くなる。よって順方向における、偏波モード分散は、本実施形態のように厚さ300[μm]のルチル結晶3を使用した場合でも約0.01[psec]となり、その発生をほぼ無くすことが出来る。従って、ルチル結晶3まで常光線O及び異常光線Eとが伝搬するのに要する時間の差はほぼ無くなるので、10[Gb/s]以上の高速光伝送装置内にこのインライン形光アイソレータ1を適用する場合でも、その使用個数などの制限も無くなって実用上問題が無くなる。
【0059】
また、上記の実施形態において、半波長板5及び石英ガラス板4の位置を入れ替えても、光信号に対する作用は変わらず、これらの位置を入れ替えることが可能である。つまり、ルチル結晶3と集束性ロッドレンズ6との間に、入射した光信号Aまたは反射光信号Aの一方が通過する位置に半波長板5が配置され、他方が通過する位置に石英ガラス板4が配置されていればよい。いずれの配置においても、第1の光ファイバ10から入射された光信号Aは、その常光線O及び異常光線Eがルチル結晶3で分離された直後にその偏波方向が半波長板5によって45°回転されるか、ルチル結晶3で分離されて全反射鏡9で反射した後に、その偏波方向が半波長板5によって45°回転される。
【0060】
また、上記の実施形態においては、集束性ロッドレンズ6と着磁ガーネット結晶8との間に約200[μm]の空隙7が設けられているため、着磁ガーネット結晶8の鉄成分が波長0.98[μm]光を吸収して熱を発生しても、この熱は、空隙7により、着磁ガーネット結晶8に隣接する集束性ロッドレンズ6に伝導されにくくなる。このため、光信号の光路上に接着剤が無く、着磁ガーネット結晶8とこれに隣接する集束性ロッドレンズ6との間で、発熱の温度上昇により接着剤が変質劣化して特性変化が従来のように発生することはない。波長0.98[μm]で100[mW]の光を24時間実際に照射したところ、照射の前後で特性変化がないことを確認した。
【0061】
また、上記の実施形態においては、全反射鏡9が、着磁ガーネット結晶8の集束性ロッドレンズ6に対峙する面と反対側の面に直接蒸着加工されて形成されているため、着磁ガーネット結晶8の集束性ロッドレンズ6に対峙する面と反対側の面がそのまま全反射鏡9として機能する。このため、新たに着磁ガーネット結晶8に隣接させて別体の反射手段を設ける必要が無くなり、インライン形光アイソレータ1をコンパクトに構成することが出来る。
【0062】
また、上記の実施形態においては、着磁ガーネット結晶8が予め磁化されているため、着磁ガーネット結晶8が有する磁界によって、着磁ガーネット結晶8を通過する光信号の偏波方向を回転させることができる。このため、外部から着磁ガーネット結晶8に磁界を印加する装置を設ける必要がなくなり、インライン形光アイソレータ1をコンパクトに構成することが出来る。
【0063】
また、上記の実施形態においては、光ファイバアレイ2が多心フェルールから構成されているため、光ファイバアレイ2は、光信号路を構成する光ファイバと多心フェルールを介して接続される。このため、インライン形光アイソレータ1は光ファイバと容易に接続可能となる。
【0064】
次に、本発明によるインライン形光アイソレータを、光ファイバ通信システムに適用した第2の実施形態について説明する。
【0065】
図5(a)は、本実施形態によるインライン形光アイソレータ20の平面図、同図(b)はその側面図である。なお、本実施形態によるインライン形光アイソレータ20の以下の説明においては、第1の実施形態によるインライン形光アイソレータ1の各構成要素と同一または相当する構成要素には同一の符号を用いてその説明は省略する。
【0066】
インライン形光アイソレータ20は、光ファイバアレイ22,ルチル結晶3,石英ガラス板4並びに半波長板5,集束性ロッドレンズ26,空隙7,着磁ガーネット結晶8及び全反射鏡9がこの順に配列されて構成されている。本実施形態において、光ファイバアレイ22の端面22aは、光ファイバ10,11の光軸を含む平面内にあっていずれの光軸にも垂直な軸を中心に回転され、光ファイバ10,11の光軸を含む平面に対して垂直でかついずれの光軸に対しても垂直な面に対して8°傾けて形成されている。ルチル結晶3,石英ガラス板4及び半波長板5の各光入出力端面3a,3b,4a,4b,5a,5bは、光ファイバアレイ22の端面22aに平行に、つまり8°傾けて配置されている。さらに、集束性ロッドレンズ26の石英ガラス板4並びに半波長板5に対峙する端面26aは、光ファイバアレイ22の端面22aとほぼ平行になるように、8°傾けて形成されている。そして、半波長板5は、入力光信号Aが8°斜め入射した場合に光軸が合わせてある。これら以外の構成は、第1の実施形態におけるインライン形光アイソレータ1と同じ構成となっている。
【0067】
上記の構成において、波長1.55[μm]の光信号Aがインライン形光アイソレータ20を順方向に伝搬する場合の動作について説明する。図5には、入力光信号Aが光ファイバ10から順方向に入射されたときの光信号経路が示されている。また、図6(a)〜(i)には、図5に示すFA,FB,FC,FD,FE,FF,FG,FH,Fjの各位置における光信号Aの常光線O及び異常光線Eの偏波状態と配置関係とが示されている。また、同図は、前述の図2,図4と同様に、光ファイバアレイ22側からルチル結晶3側を見た状態で表示されており、紙面に垂直な方向が光ファイバ10,11のそれぞれの光軸方向になっている。また、同図において、水平に描かれた点線は光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面、垂直に描かれた一点鎖線は光ファイバ10,11の光軸間中心を通り、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な平面を示す。
【0068】
図5に示すように、光ファイバ10の他端10bから順方向に入射された波長1.55[μm]の光信号Aは、始めにルチル結晶3の端面3aに所定角度で入射される。図6(a)には、このときの光信号Aの偏波状態および配置関係が示されており、常光線Oと異常光線Eとは直交している。前述したように、ルチル結晶3の結晶光学軸3cは光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な方向に配向されている。このため、光信号Aは、ルチル結晶3を通過する際に、異常光線Eが常光線Oから空間変位3dを受け、図6(b)に示すように、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に対して垂直な方向において常光線Oと異常光線Eとに分離される。
【0069】
分離された常光線O及び異常光線Eは半波長板5の端面5aに所定角度で入射される。半波長板5の光軸は、図6(b)に示す状態の常光線Oの偏波方向に対して反時計方向に22.5°の角度で配向されているため、常光線O及び異常光線Eの偏波方向は、図6(c)に示すように反時計方向に45°回転される。
【0070】
続いて、常光線O及び異常光線Eは集束性ロッドレンズ26に入射される。その際、常光線O及び異常光線Eは、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に平行で集束性ロッドレンズ26の集束中心光軸26cを含む平面を、常光線Oと異常光線Eとがほぼ等間隔に上下で挟む位置に入射される。このとき、常光線O及び異常光線Eは集束中心光軸6cからほぼ等距離の位置にある。集束性ロッドレンズ26内において常光線O及び異常光線Eは、平行光線に変換され、進むに連れて互いに近接するとともに集束中心光軸6cにも近接し、約1°の出射角でレンズ端面から出射される。このときの常光線O及び異常光線Eの状態が図6(d)に示されている。
【0071】
集束性ロッドレンズ26のレンズ端面から出射された常光線O及び異常光線Eは、次に、約200[μm]の空隙7を通過して着磁ガーネット結晶8に入射される。常光線O及び異常光線Eは、この着磁ガーネット結晶8によってその偏波方向が反時計方向に22.5°回転される。着磁ガーネット結晶8からの光信号Aは、次に、全反射鏡9によって反射されるが、この全反射鏡9上では、常光線O及び異常光線Eの位置は、図6(e)に示すように、ほぼ一致する。
【0072】
全反射鏡9によって反射された常光線O及び異常光線Eは、反射光信号Aになって、再び着磁ガーネット結晶8に入射され、この着磁ガーネット結晶8によってさらに反時計方向に22.5°回転される。着磁ガーネット結晶8を往復して通過することで、各光線O,Eはそれぞれの偏波方向が反時計方向に45°回転されたことになり、半波長板5での45°の回転と合わせると、結果的に反時計方向に90°回転されたことになる。この状態が図6(f)に示されている。
【0073】
また、全反射鏡9での反射により、集束性ロッドレンズ26の集束中心光軸6cを通り光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な面内では、常光線O及び異常光線Eは物理的位置が入れ替えられるが、各々の偏波状態は反射前と同じ状態を保持している。また、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に平行な面内では、常光線O及び異常光線Eは集束性ロッドレンズ26の集束中心光軸6cを挟んで、光ファイバ10側から光ファイバ11側に空間位置が入れ替えられる。
【0074】
次に、着磁ガーネット結晶8から出射した常光線O及び異常光線Eは、約200[μm]の空隙を通過して集束性ロッドレンズ26に入射される。集束性ロッドレンズ26の効果により、常光線O及び異常光線Eは、平行光線に変換され、進むに連れて互いに離されるとともに集束中心光軸6cからも離される。このときの状態が図6(g)に示されている。続いて、常光線O及び異常光線Eは石英ガラス板4を通過するが、各光線の偏波方向は影響されない。このときの状態が図6(h)に示されている。
【0075】
次に、常光線O及び異常光線Eはルチル結晶3の端面3bに所定角度で入射される。ルチル結晶3内において、常光線Oは、その偏波方向が90°回転されてルチル結晶3の結晶光学軸3cに平行な方向の偏波を有する状態になっているため、空間変位作用を受ける。しかし、異常光線Eは、その偏波方向が90°回転されてルチル結晶3の結晶光学軸3cに垂直な方向の偏波を有する状態になっているため、空間変位作用を受けずに通過する。従って、空間変位を受けた常光線Oは、図6(i)に示すように、異常光線Eと再結合する。再結合した常光線O及び異常光線Eは光ファイバ11に入射し、順方向の出力光信号として外部の光信号路へ伝送される。
【0076】
次に、波長1.55[μm]の光信号Aがインライン形光アイソレータ20を逆方向に伝搬する場合の動作について説明する。図7には、光信号Aが光ファイバ11から逆方向に入射されたときの光信号経路が示されており、同図(a)はインライン形光アイソレータ20の平面図、同図(b)はその側面図である。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。図8(a)〜(i)には、図7に示すBA,BB,BC,BD,BE,BF,BG,BH,BJの各位置における光信号Aの常光線O及び異常光線Eの偏波状態と配置関係とが示されている。また、同図は、前述の図2、図4、図6と同様に、光ファイバアレイ22側からルチル結晶3側を見た状態で表示されており、紙面に垂直な方向が光ファイバ10,11のそれぞれの光軸方向になっている。また、同図においても、水平に描かれた点線は光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面、垂直に描かれた一点鎖線は光ファイバ10,11の光軸間中心を通り、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な平面を示しており、この平面は集束性ロッドレンズ26の集束中心光軸6cを含んでいる。
【0077】
図7に示すように波長1.55[μm]の光信号Aは光ファイバ11から逆方向に出射され、始めにルチル結晶3の端面3aに所定角度で入射される。このときの状態が図8(a)に示されており、常光線Oと異常光線Eとは直交している。ルチル結晶3に入射された光信号Aは、前述したようにルチル結晶3内において、図8(b)に示すように、結晶光学軸3cに平行な方向の偏波を有する異常光線Eが、結晶光学軸3cに垂直な方向の偏波を有する常光線Oからの空間変位を受け、常光線Oと異常光線Eとは光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に対して垂直な方向に分離される。続いて、分離された常光線O及び異常光線Eは石英ガラス板4を通過するが、常光線O及び異常光線Eの偏波方向は影響されず、回転しない。このときの状態が図8(c)に示されている。
【0078】
次に、石英ガラス板4から出射した常光線O及び異常光線Eは、集束性ロッドレンズ26の端面26aに所定角度で入射される。その際、常光線O及び異常光線Eは、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に平行で集束性ロッドレンズ26の集束中心光軸6cを含む平面を、常光線Oと異常光線Eとがほぼ等間隔に上下で挟む位置に入射される。このとき、常光線O及び異常光線Eは、集束性ロッドレンズ26の集束中心光軸6cからほぼ等距離の位置にある。集束性ロッドレンズ26内において常光線O及び異常光線Eは、平行光線に変換され、進むに連れて互いに近接するとともに集束中心光軸6cにも近接し、約1°の出射角でレンズ端面から出射される。このときの常光線O及び異常光線Eの状態が図8(d)に示されている。
【0079】
集束性ロッドレンズ26のレンズ端面から出射された常光線O及び異常光線Eは、約200[μm]の空隙7を通過して着磁ガーネット結晶8に入射される。入射された常光線O及び異常光線Eは、この着磁ガーネット結晶8によってその偏波方向が反時計方向に22.5°回転される。着磁ガーネット結晶8からの光信号Aは、次に、全反射鏡9によって反射されるが、この全反射鏡9上では常光線O及び異常光線Eの位置は、図8(e)に示すように、ほぼ一致する。全反射鏡9によって反射された常光線O及び異常光線Eは、反射光信号Aになって、再び着磁ガーネット結晶8に入射され、この着磁ガーネット結晶8によってさらに反時計方向に22.5°回転される。着磁ガーネット結晶8を往復して通過することで、結果的に各光線O,Eはその偏波方向が反時計方向に45°回転されたことになる。このときの状態が図8(f)に示されている。
【0080】
また、全反射鏡9での反射により、集束性ロッドレンズ26の集束中心光軸6cを通り光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に垂直な面内では、常光線O及び異常光線Eは物理的位置が入れ替えられるが、各々の偏波状態は反射前と同じ状態を保持している。また、光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に平行な面内では、常光線O及び異常光線Eは集束性ロッドレンズ26の集束中心光軸6cを挟んで、光ファイバ11側から光ファイバ10側に空間位置が入れ替えられる。
【0081】
次に、着磁ガーネット結晶8から出射した常光線O及び異常光線Eは、約200[μm]の空隙7を通過して集束性ロッドレンズ26に入射される。常光線O及び異常光線Eは、集束性ロッドレンズ26の効果により平行光線に変換され、進むに連れて互いに離されるとともに集束中心光軸6cからも離される。このときの状態が図8(g)に示されている。
【0082】
続いて、分離された常光線O及び異常光線Eは半波長板5の端面5bに所定角度で入射されるが、半波長板5は、図8(g)に示す状態の常光線Oの偏波方向に対して−22.5°の角度で光軸が配向されているため、常光線O及び異常光線Eの偏波方向は反時計方向に−45°回転される。この結果、半波長板5によって回転される偏波方向の角度−45°と、着磁ガーネット結晶8によって回転される偏波方向の角度45°とが相殺され、常光線O及び異常光線Eの偏波方向の回転角度の総和は0°になる。この状態が図8(h)に示されている。
【0083】
半波長板5を通過した常光線O及び異常光線Eは、次にルチル結晶3の端面3bに所定角度で入射される。このとき、常光線Oは、ルチル結晶3の結晶光学軸3cに垂直な方向の偏波を有する状態になっているため、空間変位作用を受けずに通過する。また、異常光線Eは、ルチル結晶3の結晶光学軸3cに平行な方向の偏波を有するため、図8(i)に示すように、常光線Oから離れる空間変位作用を受ける。この結果、常光線O及び異常光線Eは再結合されず、いずれも光ファイバ10から30[μm]程度ずれるため、光ファイバ10には入射されない。このため、逆方向のアイソレーションが実現される。
【0084】
このような本発明の第2の実施形態によるインライン形光アイソレータ20によれば、第1の実施形態におけるインライン形光アイソレータ1と同様な作用効果が得られる。
【0085】
さらに、この第2の実施形態によるインライン形光アイソレータ20によれば、光ファイバアレイ22の端面22aが光ファイバ10,11の光軸に垂直な軸に対して8°傾けて形成されており、ルチル結晶3及び半波長板5の各光入出力端面3a,3b,5a,5bが光ファイバアレイ22の端面22aの傾きにならって配置されており、集束性ロッドレンズ26の石英ガラス板4並びに半波長板5に対峙する端面26aが、光ファイバアレイ22の端面22aとほぼ平行になるように、8°傾けて形成されているため、光ファイバ10から出射された光信号A、及び全反射鏡9で反射した反射光信号Aがルチル結晶3,半波長板5の各光入出力端面3a,3b,5a,5b及び集束性ロッドレンズ26の端面26aで反射する反射光は、元の方向に戻って光ファイバ10内に入射されなくなる。このため、光ファイバ10から出射された光信号A、及び全反射鏡9で反射した反射光信号Aが各端面3a,3b,5a,5b及び26aで反射して生じる反射光の影響は低減される。従って、光ファイバ10に接続される光装置へ反射光が入力されることが少なくなり、光信号が順方向に伝搬するときに反射光が光装置のノイズにならなくなる。
【0086】
なお、上述の各実施形態においては、光ファイバ10から出射された光信号Aが通過する側に半波長板5を配置した場合を説明したが、前述したように、全反射鏡9で反射した反射光信号Aが通過する側に配置しても構わない。さらに、半波長板5と対にして石英ガラス板4を用いる代わりに偏波方向を回転させない媒質を用いることも可能である。
【0087】
また、非相反偏波面回転素子として着磁ガーネット結晶を使用したが、使用する光信号波長において、偏波を22.5°回転させる非相反偏波面回転素子であれば他の媒質を用いることも可能である。例えば、非相反偏波面回転素子が磁性体で覆われる構成、すなわち、着磁されていない非相反偏波面回転素子に所定の磁界を与える磁石を素子の外部に設置することも可能である。また、集光手段として屈折率分布型の集束性ロッドレンズ6,26を用いたが、光ファイバ10から入射された光信号Aがルチル結晶3によって常光線Oと異常光線Eとに分離される場合、常光線O及び異常光線Eの分離方向が光ファイバ10,11のそれぞれの光軸を含む平面に対して直交するようにルチル結晶3の結晶光学軸3cが配向され、常光線O及び異常光線Eがそれぞれレンズの中心光軸からほぼ等距離の位置に配置されている限りにおいて、多くの異なる集光手段が使用可能である。
【0088】
また、上述の第2の実施形態では、光ファイバアレイ22の端面22a、並びにルチル結晶3,石英ガラス板4,半波長板5の各光入出力端面3a,3b,4a,4b,5a,5b、及び集束性ロッドレンズ26の端面26aを光ファイバ10,11の光軸に垂直な平面に対して8°傾けた場合について説明したが、3〜16°の範囲で傾けるようにしてもよく、この場合においても上述した第2の実施形態と同様な作用効果が奏される。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によるインライン形光アイソレータによれば、第1の光ファイバから入射される光信号は、偏波分離素子において、常光線及び異常光線が第1及び第2の光ファイバのそれぞれの光軸を含む平面に垂直な方向に分離され、集光手段において、常光線及び異常光線の各光軸は、その集束中心光軸とほぼ平行になるとともに、集束中心光軸からほぼ等距離に位置する。また、反射手段で反射した反射光信号の常光線及び異常光線も、集光手段において、その各光軸が集束中心光軸とほぼ平行になるとともに、集束中心光軸からほぼ等距離に位置し、偏波分離素子において、第1及び第2の光ファイバのそれぞれの光軸を含む平面に垂直な方向で再結合する。このため、再結合が行われる偏波分離素子まで伝搬する常光線及び異常光線の光路長に差はほぼ無くなり、偏波モード分散の発生をほぼ無くすことが出来る。従って、偏波分離素子まで常光線と異常光線とが伝搬するのに要する時間の差はほぼ無くなるので、高速光伝送装置内にこのインライン形光アイソレータを適用する場合、その使用個数などの制限も無くなる。
【0090】
また、第1及び第2の光ファイバが光ファイバアレイとして一体化され、その端面が第1及び第2の光ファイバの光軸に垂直な平面に対して所定角度回転されて傾けられており、集光手段の光ファイバアレイに対峙する端面が光ファイバアレイの端面とほぼ平行になるように、集光手段の集束中心光軸に垂直な面に対して所定角度傾けられ、偏波分離素子及び偏波面回転素子の各光入出力端面が、光ファイバアレイの端面の傾きにならって傾いて整列している構成の場合、第1または第2の光ファイバから入射された光信号、及び反射手段で反射した反射光信号が、偏波分離素子及び偏波面回転素子の各光入出力端面,並びに集光手段の偏波面回転素子に対峙する端面で反射する反射光は、元の方向に戻って第1または第2の光ファイバ内に入射されなくなる。このため、第1及び第2の光ファイバから入射された光信号、及び反射手段で反射した反射光信号が各端面で反射して生じる反射光の影響は低減される。従って、第1及び第2の光ファイバに接続される光装置へ反射光が入力されることが少なくなり、光信号が順方向に伝搬するときに反射光が光装置のノイズにならなくなる。
【0091】
また、偏波分離素子と集光手段との間に、第1の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号または第2の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号の一方が通過する位置に偏波面回転素子が配置され、他方が通過する位置に非晶性光学素子が配置されている構成の場合、第1または第2の光ファイバから入射された光信号は、その常光線及び異常光線が偏波分離素子で分離された直後にその偏波方向が偏波面回転素子によって所定角度回転されるか、偏波分離素子で分離されて反射手段で反射した後にその偏波方向が偏波面回転素子によって所定角度回転される。このため、偏波面回転素子及び非晶性光学素子の位置を入れ替えても、光信号に対する作用は変わらず、これらの位置を入れ替えることが可能である。
【0092】
また、集光手段と非相反偏波面回転素子との間に断熱手段が設けられている構成の場合、非相反偏波面回転素子の鉄成分が所定波長の光信号を吸収して熱を発生しても、この熱は、断熱手段により、非相反偏波面回転素子に隣接する集光手段に伝導されなくなる。このため、非相反偏波面回転素子とこれに隣接する集光手段との間で、発熱の温度上昇により接着剤が変質劣化して特性変化が発生するという従来の問題は生じなくなる。
【0093】
また、反射手段が、非相反偏波面回転素子の集光手段に対峙する面と反対側の面に直接加工されて形成されている構成の場合、非相反偏波面回転素子の集光手段に対峙する面と反対側の面がそのまま反射手段として機能する。このため、新たに非相反偏波面回転素子に隣接させて別体の反射手段を設ける必要が無くなり、インライン形光アイソレータをコンパクトに構成することが出来る。
【0094】
また、非相反偏波面回転素子が予め磁化されている構成の場合、非相反偏波面回転素子が有する磁界によって、非相反偏波面回転素子を通過する光信号の偏波方向を回転させることができる。このため、外部から非相反偏波面回転素子に磁界を印加する装置を設ける必要がなくなり、インライン形光アイソレータをコンパクトに構成することが出来る。
【0095】
また、光ファイバアレイが多心フェルールから構成されている場合、光ファイバアレイは、光信号路を構成する光ファイバと多心フェルールを介して接続される。このため、インライン形光アイソレータは光ファイバと容易に接続可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインライン形光アイソレータにおいて、順方向に光信号が伝搬するときの構成を示しており、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるインライン形光アイソレータ内の各位置における常光線及び異常光線の偏波状態と配置関係とを示す状態関係図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるインライン形光アイソレータにおいて、逆方向に光信号が伝搬するときの構成を示しており、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるインライン形光アイソレータ内の各位置における常光線及び異常光線の偏波状態と配置関係とを示す状態関係図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるインライン形光アイソレータにおいて、順方向に光信号が伝搬するときの構成を示しており、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるインライン形光アイソレータ内の各位置における常光線及び異常光線の偏波状態と配置関係とを示す状態関係図である。
【図7】本発明の第2の実施形態によるインライン形光アイソレータにおいて、逆方向に光信号が伝搬するときの構成を示しており、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態によるインライン形光アイソレータ内の各位置における常光線及び異常光線の偏波状態と配置関係とを示す状態関係図である。
【符号の説明】
1,20…インライン形光アイソレータ
2,22…光ファイバアレイ
3…ルチル結晶
3c…結晶光学軸
4…石英ガラス板
5…半波長板
6,26…集束性ロッドレンズ
6c…集束中心光軸
7…空隙
8…着磁ガーネット結晶
9全反射鏡
10,11…光ファイバ
Claims (10)
- 光軸が互いに平行に並列配置された,順方向の光信号を入射する第1の光ファイバ及び順方向の光信号を出射する第2の光ファイバと、結晶光学軸に対して所定方向にある光信号の異常光線に対して空間変位を作用させて前記順方向の光信号を常光線と異常光線とに分離する偏波分離素子と、前記第1の光ファイバの光軸側または前記第2の光ファイバの光軸側のいずれか一方に設けられ,前記順方向とその逆の逆方向との伝搬方向によって前記常光線及び前記異常光線の偏波方向をそれぞれ逆の回転方向に回転させる偏波面回転素子と、光信号の前記常光線及び前記異常光線の集光状態を変換する集光手段と、前記常光線及び前記異常光線の偏波方向を前記伝搬方向に関係なく一定の回転方向に回転させる非相反偏波面回転素子と、この非相反偏波面回転素子から出射される光信号の前記常光線及び前記異常光線を前記集光手段の焦点位置近傍で反射し,光信号を再び前記非相反偏波面回転素子に入射させる反射手段とがこの順に整列しており、
前記常光線及び前記異常光線は、前記偏波面回転素子によって回転される偏波方向の角度と前記非相反偏波面回転素子によって回転される偏波方向の角度とが、前記順方向に伝搬するときには同じ回転方向になり、前記偏波分離素子によって一致する相互位置に戻る空間変位作用を受けて再結合して前記第2の光ファイバへ出射され、前記逆方向に伝搬するときには逆の回転方向になって相殺され、前記偏波分離素子によって相互が離される空間変位作用を受けて前記第1の光ファイバに再結合しないインライン形光アイソレータであって、
前記偏波分離素子の結晶光学軸は、前記常光線及び前記異常光線の分離方向が、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの光軸を含む平面に垂直で、それぞれの光ファイバの光軸に平行な面内に配置されており、前記集光手段の集束中心光軸は、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの各光軸にほぼ平行に配置され、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの各光軸から等距離に配置されていると共に、前記集光手段の前記偏波面回転素子と対峙する側において、前記第1の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号の前記常光線及び前記異常光線,並びに前記第2の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号の前記常光線及び前記異常光線の4つの光線の各光軸からほぼ等距離に配置されていることを特徴とするインライン形光アイソレータ。 - 前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバは光ファイバアレイとして一体化され、この光ファイバアレイの端面は、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの光軸を含む平面に対して垂直で、いずれの光ファイバの光軸に対しても垂直に形成されており、前記偏波分離素子及び前記偏波面回転素子の各光入出力端面、並びに前記集光手段の前記偏波面回転素子に対峙する端面は、前記光ファイバアレイの前記端面にほぼ平行にされていることを特徴とする請求項1に記載のインライン形光アイソレータ。
- 前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバは光ファイバアレイとして一体化され、この光ファイバアレイの端面は、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの光軸を含む平面内にあっていずれの光ファイバの光軸にも垂直な軸を中心に回転されて、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの光軸を含む平面に対して垂直でかついずれの光ファイバの光軸に対しても垂直な面に対して所定角度傾けられ、前記集光手段の前記光ファイバアレイに対峙する面は、前記光ファイバアレイの前記端面とほぼ平行になるように、前記集光手段の前記集束中心光軸に垂直な面に対して所定角度傾けられ、前記偏波分離素子及び前記偏波面回転素子の各光入出力端面は、前記光ファイバアレイの前記端面の傾きにならって傾いて整列していることを特徴とする請求項1に記載のインライン形光アイソレータ。
- 前記偏波分離素子と前記集光手段との間には、前記第1の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号または前記第2の光ファイバの光軸側を伝搬する光信号の一方が通過する位置に前記偏波面回転素子が配置され、他方が通過する位置に非晶性光学素子が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインライン形光アイソレータ。
- 前記集光手段と前記非相反偏波面回転素子との間に断熱手段が設けられていること特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインライン形光アイソレータ。
- 前記反射手段は、前記非相反偏波面回転素子の前記集光手段に対峙する面と反対側の面に直接加工されて形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインライン形光アイソレータ。
- 前記非相反偏波面回転素子は予め磁化されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインライン形光アイソレータ。
- 前記非相反偏波面回転素子は磁性体で覆われていることを特徴とする請求項7に記載のインライン形光アイソレータ。
- 前記光ファイバアレイは多心フェルールから構成されていることを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか1項に記載のインライン形光アイソレータ。
- 前記集光手段は屈折率分布型のロッドレンズから構成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のインライン形光アイソレータ。
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