JP4014286B2 - 破壊工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物、基礎、道路、橋等のコンクリート構造物などの破壊対象物を破壊する工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、鉄筋コンクリート構造物などのコンクリート構造物を破壊する場合にはブレーカやスチールボール等を用いて外部から機械的衝撃を与える方法が一般に用いられているが、騒音、振動や粉塵が発生して周辺住民に多大な迷惑をかけることがあった。
そこで、このような機械的衝撃によらない鉄筋コンクリート構造物などのコンクリート構造物を破壊する方法として、例えば特開昭59−120257号公報や特開昭60−55169号公報には水和膨張性破砕剤をコンクリート破砕部に穿設した孔に充填する方法が開示されている。これらは、CaOを主成分とする水和膨張性破砕剤に水を加えて体積膨張を起こさせ、その膨張圧でコンクリートを破砕しようとするものであるが、CaOと水との化学反応により孔内温度が急激に上昇するために孔の内部気圧が高くなって破砕剤が孔から噴出することがある。しかもこの化学反応速度を制御することは困難であるため、予想外の破砕剤の噴出により作業員が被災するという危険があった。
【0003】
一方、機械的衝撃によらない他の鉄筋コンクリート構造物の破壊方法として、例えば特開昭52−101835号公報や特開昭52−107132号公報には鉄筋コンクリート中の鉄筋を直流電源のプラス端子に接続するとともに、前記コンクリート中に埋設した鉄、ニッケル、銅またはそれらの合金からなる陰極電極を前記直流電源のマイナス端子に接続して直流電流を通電し、鉄筋を酸化し膨張せしめて鉄筋コンクリートを破砕する方法、および、NaClやCaCl2 を酸化促進剤としてコンクリートに含浸させた後に鉄筋・陰極電極間に直流電流を通電して鉄筋を酸化し膨張せしめて鉄筋コンクリートを破砕する方法が開示されている。また、特開平9−256649号公報にはコンクリート表面に酸化促進剤を混入した陰極平板を被蔽し、鉄筋に直流電流を通じて鉄筋を酸化し膨張せしめて鉄筋コンクリート構造物を解体する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら鉄筋を酸化し膨張せしめるコンクリート破壊方法は鉄筋の腐食量が通電電流に比例して増えるために、コンクリート破壊速度を制御することができるという優れた点を有するが、酸化促進剤をコンクリートに含浸させる作業は煩雑で日数もかかり、部分的に解体しようとする場合でも解体しない部分にまで酸化促進剤が浸透して鉄筋を腐食させてしまうという欠点がある。また、酸化促進剤を混入した陰極平板でコンクリート表面を被蔽する方法においても、該陰極平板の全面をコンクリート表面に付着させなければならないために多数のコンクリートアンカーボルト等で固定しなければならず、また、鉄筋を腐食させた後は先ずこの陰極平板を取り外さなければコンクリートの破砕ができないなど作業が煩雑となる欠点がある。更に、これら従来の直流電流を通電して鉄筋を腐食膨張せしめて鉄筋コンクリートを破砕する方法では、鉄筋の膨張によるコンクリートの持ち上げ力のみに頼らざるを得ないために、埋め込み鉄筋の間隔が広かったり、コンクリートのかぶりが厚かったりすると、十分な破砕力が得られずにコンクリート構造物の破壊に長時間を要するという欠点があった。
また、これらの方法は鉄筋を酸化・膨張させるものであるため、鉄筋コンクリート構造物以外には適用できないという問題点もあった。
【0005】
本発明はこのような従来技術における問題点を解決し、作業が簡易かつ安全で、破壊力および破壊速度(破壊時間)の制御が容易であり、しかも部分的な破壊にも適し、さらに鉄筋コンクリート構造物以外のコンクリート構造物や岩石等の破壊にも適用できる破壊工法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を重ねた結果、次のような知見を得て本発明を完成するに至った。コンクリート中に陽極酸化性金属体を複数箇所に埋設し、これらの陽極酸化性金属体を二つの群に分け、その一方を直流電源装置の正極に接続し、他方を前記直流電源装置の負極に接続して直流電流を通じると、正極に接続された金属体は陽極となって酸化、腐食し膨張するので、コンクリートに強い膨張圧がかかり、埋め込み鉄筋の間隔が広かったりコンクリートのかぶりが厚い鉄筋コンクリートのみならず、内部に鉄筋を含まないコンクリートも容易に破壊することができる。この場合、負極に接続する陽極酸化性金属体の代わりに他の導電体を使用してもよい。また、コンクリート中にアルカリ腐食を生じる金属体を複数箇所に埋設し、これらのアルカリ腐食を生じる金属体を二つの群に分け、一方の金属体を直流電源装置の正極に接続し、他方を前記直流電源装置の負極に接続して直流電流を通じるか、またはコンクリート中に陽極酸化性金属体およびアルカリ腐食を生じる金属体を複数箇所に埋設し、陽極酸化性金属体を直流電源装置の正極に接続し、アルカリ腐食を生じる金属体を直流電源装置の負極に接続して直流電流を通じると、直流電源装置の正極に接続された金属体は陽極となって酸化、腐食し膨張するとともに、負極に接続されたアルカリ腐食を生じる金属体は陰極となってアルカリ腐食を起こして膨張する。従って、コンクリート中に埋設された金属体の全てが膨張することになるため、前記の正極に接続した陽極酸化性金属体の膨張圧のみを利用する場合よりも強い膨張圧がコンクリートにかかることになり、埋め込み鉄筋の間隔が広かったり、コンクリートのかぶりが厚い鉄筋コンクリートや、内部に鉄筋を含まないコンクリートを更に容易に破砕することができる。
【0007】
なお、コンクリートに穿設した孔中に前記金属体を単に挿入、埋設したのみではコンクリートと金属体との電気的接触抵抗が高く、前記金属体が十分に腐食・膨張しないおそれがあるが、このような場合にはコンクリートと金属体との間に芒硝、塩化ナトリウム若しくは粘土のうちのいずれか1種以上と水との混合体、またはモルタルなどのバックフィルを介在させて電気的接触を向上させるのが好ましい。
また、バックフィルは前記金属体の腐食・膨張による圧力を効果的にコンクリートに伝達する効果もあるが、前記金属体の腐食生成物やバックフィルがコンクリートの外にはみ出ると腐食・膨張による圧力が十分にコンクリートにかからないおそれがあり、このような場合には前記腐食生成物等がコンクリートからはみ出るおそれがある部分を封止材を用いて封止するのが好ましい。
【0008】
本発明は次の(1)〜(7)の構成を有するものである。
(1)破壊対象物に複数の孔を穿設して陽極酸化性金属体を挿入し、該陽極酸化性金属体を二つの群に分け、一方の群の金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、他方の群の金属体を前記直流電源装置の負極に接続し、直流電流を通じて前記直流電源装置の正極に接続した金属体を腐食・膨張させることによって破壊対象物を破壊することを特徴とする破壊工法。
(2)破壊対象物に複数の孔を穿設してアルカリ腐食を生じる金属体を挿入し、該アルカリ腐食を生じる金属体を二つの群に分け、一方の群の金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、他方の群の金属体を前記直流電源装置の負極に接続し、直流電流を通じて双方の金属体を腐食・膨張させることによって破壊対象物を破壊することを特徴とする破壊工法。
(3)破壊対象物に複数の孔を穿設し、該孔を二つの群に分け、一方の群の孔には陽極酸化性金属体を、他方の群の孔にはアルカリ腐食を生じる金属体を挿入し、前記陽極酸化性金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、前記アルカリ腐食を生じる金属体を前記直流電源装置の負極に接続し、直流電流を通じて双方の金属体を腐食・膨張させることによって破壊対象物を破壊することを特徴とする破壊工法。
【0009】
(4)前記破壊対象物に穿設した孔に、前記陽極酸化性金属体および/またはアルカリ腐食を生じる金属体をバックフィルを介在させて挿入することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つの破壊工法。
(5)前記破壊対象物に穿設した孔に、前記陽極酸化性金属体および/またはアルカリ腐食を生じる金属体を挿入した後、あるいは前記陽極酸化性金属体および/またはアルカリ腐食を生じる金属体をバックフィルを介在させて挿入した後、前記孔の入口を封止材で封止することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1つの破壊工法。
(6)前記陽極酸化性金属体が、鉄、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウム、ならびにこれらの金属の1種以上を基体とする合金からなる群から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする前記(1)または(3)〜(5)のいずれか1つの破壊工法。
(7)前記アルカリ腐食を生じる金属体が、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムの金属、ならびにこれらの金属の1種以上を基体とする合金からなる群から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする前記(2)〜(5)のいずれか1つの破壊工法。
【0010】
本発明で使用する陽極酸化性金属体は電気分解の際に陽極で酸化反応を起こす金属体であり、陽極溶解によって生じた腐食生成物が膨張する特性を有するものであれば問題なく使用でき、その具体例としては鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムまたはこれらの金属の1種以上を基体とする合金類を挙げることができる。
また、本発明で使用するアルカリ腐食を生じる金属体はアルカリ域において腐食を生じる金属体であり、その例としては、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カドミウム、インジウム、スズ、ガリウム、ジルコニウム、ベリリウム等またはこれらの金属の1種以上を基体とする合金類を挙げることができるが、コンクリート中で陰極として作用した場合の腐食性、電気電導度、人体に対する安全性および経済性等を総合すると、亜鉛、マグネシウム若しくはアルミニウムまたは亜鉛、マグネシウム若しくはアルミニウムを基体とした合金が本発明に使用するアルカリ腐食を生じる金属体として特に好ましい。
なお、アルカリ腐食を生じる金属体は一般に陽極酸化性金属体であり、直流電源装置の正極に接続する金属体としても使用できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明の工法を鉄筋コンクリート構造物の破壊に適用した状態の1例を示す概略断面図であり、図2は陽極酸化性金属体またはアルカリ腐食を生じる金属体が腐食・膨張した後のコンクリート構造物の表面を示す図である。図1において1は鉄筋であり2はコンクリートである。この鉄筋コンクリート構造物に本発明を適用する際は、コンクリート2にコンクリートドリル等を用いて適宜穿孔した後、この孔4にバックフィル11を充填した状態で鉄、亜鉛、マグネシウム若しくはアルミニウムまたはこれらの合金などからなる陽極酸化性金属体5a、5bを挿入、設置してリード線3a、3bを接続し、更に孔4の入口をモルタルまたは金属キャップなどの封止材12で封止する。金属体5aを直流電源装置6の正極に、金属体5bを負極に接続して直流電流を流すと、金属体5aは陽極となって酸化、腐食されて表面に腐食生成物を蓄積するために、図2に示すようにコンクリート2にはこれらの膨張圧で亀裂7が生じ破壊される。
なお、この場合において負極に接続する金属体5bは必ずしも陽極酸化性金属体である必要はなく、腐食を生じない金属体やグラファイトなど、任意の導電体を使用することができる。
【0012】
また、前記孔4にバックフィル11を充填した状態で亜鉛、マグネシウム若しくはアルミニウムまたはこれらの合金などからなるアルカリ腐食を生じる金属体5a、5bを挿入、設置してリード線3a、3bを接続し、孔4の入口をモルタルまたは金属キャップなどの封止材12で封止して金属体5aを直流電源装置6の正極に、金属体5bを負極に接続して直流電流を流せば、金属体5aは陽極となって酸化、腐食され、また、金属体5bは陰極となって、例えばAlO2 - やHZnO2 2-イオンをつくり、アルカリ環境中で腐食される。
この酸化、腐食された金属体5aおよびアルカリ腐食された金属体5bは共に表面に腐食生成物を蓄積するために、図2に示すようにコンクリート2にはこれらの膨張圧で亀裂7が生じ破壊される。
【0013】
なお、金属体5aに例えば鉄鋼のようなアルカリ腐食性を示さない陽極酸化性金属を用いて直流電源装置6の正極に接続し、アルカリ腐食を生じる金属体5bを負極に接続して直流電流を流しても同様の結果が得られる。
金属体5a、5bを挿入する孔4の数、穿孔位置、孔径および孔の深さ等は、破壊対象とする鉄筋コンクリート構造物の構成、破壊個所の大きさ、形状等により適宜設定すればよい。
なお、金属体5a、5bの数は必ずしも同数である必要はなく、適宜一方を多くした構成とすることもできる。
また、これらの実施態様においてはいずれもバックフィルおよび封止材を使用する例を示したが、破壊条件によってはこれらを使用しないか、またはどちらか一方をのみを適用することも可能である。
【0014】
【実施例】
次に従来例および本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図3及び図4に示すように直径13mmの異径棒鋼の鉄筋1を20cm間隔で3本づつ格子状に組み、コンクリートかぶり深さを5cmとした縦横1.0m、厚さ20cmの鉄筋コンクリート供試体8を4台製作し、鉄筋格子の間に1か所づつコンクリート表面から垂直に直径32mm、深さ120mmの孔4を穿設した後、孔4に芒硝、塩化ナトリウム、粘土および水を混合したバックフィル11を充填してこれらの供試体8を垂直に起こした。
【0015】
(従来法による比較例)
前記4台のうちの1つの供試体8については、図3に示すように鉄筋1の露出部分にリード線3aを接続し直流電源装置6の正極に接続して鉄筋1を陽極9とし、孔4にはリード線3bを接続した直径25.4mm、長さ10cmの鋼棒を挿入した後、孔4の入口をモルタルで封止し、リード線3bを直流電源装置6の負極に接続して鋼棒を陰極10とした。
この状態で直流電源装置6からの出力電流を2Aに調整して通電した結果、通電開始約2時間35分後に鉄筋格子直上に亀裂が現れ始め、亀裂が鉄筋格子直上全体に広がったのは通電開始約3時間40分経過後であった。供試体8のコンクリートかぶり部分をハンマーで軽く叩いたところ、亀裂周辺部のコンクリートかぶり部分は浮いていたが、その他のコンクリートかぶり部分は完全には浮いておらず、かなりの力を入れてハンマーで叩いても剥がれ落ちなかった。
【0016】
(実施例1)
残りの供試体8のうちの1つについては、4個の孔4に図4に示すようにリード線3a、3bを接続した直径25.4mm、長さ10cmのアルミニウム合金棒(亜鉛:5重量%、インジウム:0.02重量%、残部:アルミニウム)を挿入した後、孔4の入口をモルタルで封止し、対角にある2つのアルミニウム合金棒のリード線3aをそれぞれ直流電源6の正極に接続して陽極9とし、残りの2つのアルミニウム合金棒のリード線3bをそれぞれ直流電源6の負極に接続して陰極10とした。
比較例と同様に該直流電源装置6からの出力電流を2Aに調整して通電した結果、約2時間経過後には全ての孔4から最長約10cmの亀裂が放射状に伸び、約2時間45分経過後にはそれぞれの孔4から伸びた亀裂と所々で繋がったので通電を止めた。供試体8のコンクリートかぶり部分をハンマーで軽く叩いたところ、コンクリートかぶり部分全体が完全に浮いており、亀裂に沿った小さな破片となって剥がれ落ちた。
【0017】
(実施例2)
残りの供試体8の1つについては、4個の孔4のうちの対角にある2個に図4に示すようにリード線3aを接続した直径25.4mm、長さ10cmの鋼棒を挿入して直流電源装置6の正極に接続して陽極9とし、残りの2個の孔4にリード線3bを接続した直径25.4mm、長さ10cmのアルミニウム合金棒(亜鉛:5重量%、インジウム:0.02重量%、残部:アルミニウム)を挿入して直流電源装置6の負極に接続して陰極10とした。なお、鋼棒およびアルミニウム合金棒を挿入した後、孔4の入口をモルタルで封止した。
比較例および実施例1と同様に該直流電源装置6からの出力電流を2Aに調整して通電した結果、約1時間50分経過後には全ての孔4から最長約10cmの亀裂が放射状に伸び、約2時間30分経過後にはそれぞれの孔4から伸びた亀裂が隣の孔4から伸びたき裂と所々で繋がったので通電を止めた。供試体8のコンクリートかぶり部分をハンマーで軽く叩いたところ、コンクリートかぶり部分全体が完全に浮いており、亀裂に沿った小さな破片となって剥がれ落ちた。
【0018】
(実施例3)
残りの1つの供試体8については、4個の孔4のうちの3個に図5に示すようにリード線3aを接続した直径25.4mm、長さ10cmの鋼棒を挿入して直流電源装置6の正極に接続して陽極9とし、残りの1個の孔4にリード線3bを接続した陽極9と同様の鋼棒を挿入して直流電源装置6の負極に接続して陰極10とした。なお、鋼棒を挿入した後、孔4の入口をモルタルで封止した。
比較例および実施例1と同様に該直流電源装置6からの出力電流を2Aに調整して通電した結果、約2時間20分経過後には陽極9となる鋼棒を挿入した孔4から最長約10cmの亀裂が放射状に伸び、約2時間45分経過後にはそれぞれの陽極9となる鋼棒を挿入した孔4から伸びた亀裂が隣の陽極9となる鋼棒を挿入した孔4から伸びたき裂と所々で繋がったので通電を止めた。供試体8のコンクリートかぶり部分をハンマーで軽く叩いたところ、陰極10の周囲部分を除いたコンクリートかぶり部分が完全に浮いており、亀裂に沿った小さな破片となって剥がれ落ちた。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明の工法(1)は、コンクリート構造物等の破壊対象物に複数の孔を穿設して陽極酸化性金属体を挿入し、これらの陽極酸化性金属体を二つの群に分け、一方の陽極酸化性金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、他方の陽極酸化性金属体を前記直流電源装置の負極に接続して電圧を印加するように構成されており、コンクリート等の破壊速度を通電量で制御できる他、陽極となる陽極酸化性金属体が腐食し膨張するためコンクリートの表面に無数の亀裂を発生させることができるので、コンクリート中の鉄筋の有無に関わらず簡易かつ安全にコンクリート構造物等を破壊することができる。
また、本発明の工法(2)および(3)はコンクリート構造物等の破壊対象物に複数の孔を穿設してアルカリ腐食を生じる金属体を挿入し、これらのアルカリ腐食を生じる金属体を2つの群に分け、一方のアルカリ腐食を生じる金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、他方のアルカリ腐食を生じる金属体を前記直流電源装置の負極に接続して電圧を印加するように構成するか、あるいは、前記2つの群のうち一方の群の孔には陽極酸化性金属体を、他方の群の孔にはアルカリ腐食を生じる金属体を挿入し、前記陽極酸化性金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、前記アルカリ腐食を生じる金属体を前記直流電源装置の負極に接続して電圧を印加するように構成されており、コンクリート等の破壊速度を通電量で制御できる他、アルカリ腐食を生じる金属体や陽極酸化性金属体の双方が腐食し膨張するため、より速くコンクリートの表面に無数の亀裂を発生させることができるので、コンクリート中の鉄筋の有無に関わらず、一層簡易かつ安全にコンクリート構造物等を破壊することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を鉄筋コンクリート構造物に適用した状態の1例を示す概略断面図である。
【図2】アルカリ腐食を生じる金属体を腐食・膨張させた後のコンクリート構造物の表面を示す図である。
【図3】従来例を表した俯瞰図である。
【図4】本発明の1実施例を表した俯瞰図である。
【図5】本発明の他の実施例を表した俯瞰図である。
【符号の説明】
1 鉄筋 2 コンクリート 3a,3b リード線 4 孔
5a,5b 金属体 6 直流電源装置 7 亀裂
8 コンクリート供試体 9 陽極 10 陰極
11 バックフィル 12 封止材
Claims (7)
- 破壊対象物に複数の孔を穿設して陽極酸化性金属体を挿入し、該陽極酸化性金属体を二つの群に分け、一方の群の金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、他方の群の金属体を前記直流電源装置の負極に接続し、直流電流を通じて前記直流電源装置の正極に接続した金属体を腐食・膨張させることによって破壊対象物を破壊することを特徴とする破壊工法。
- 破壊対象物に複数の孔を穿設してアルカリ腐食を生じる金属体を挿入し、該アルカリ腐食を生じる金属体を二つの群に分け、一方の群の金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、他方の群の金属体を前記直流電源装置の負極に接続し、直流電流を通じて双方の金属体を腐食・膨張させることによって破壊対象物を破壊することを特徴とする破壊工法。
- 破壊対象物に複数の孔を穿設し、該孔を二つの群に分け、一方の群の孔には陽極酸化性金属体を、他方の群の孔にはアルカリ腐食を生じる金属体を挿入し、前記陽極酸化性金属体を直流電源装置の正極に接続するとともに、前記アルカリ腐食を生じる金属体を前記直流電源装置の負極に接続し、直流電流を通じて双方の金属体を腐食・膨張させることによって破壊対象物を破壊することを特徴とする破壊工法。
- 前記破壊対象物に穿設した孔に、前記陽極酸化性金属体および/またはアルカリ腐食を生じる金属体をバックフィルを介在させて挿入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の破壊工法。
- 前記破壊対象物に穿設した孔に、前記陽極酸化性金属体および/またはアルカリ腐食を生じる金属体を挿入した後、あるいは前記陽極酸化性金属体および/またはアルカリ腐食を生じる金属体をバックフィルを介在させて挿入した後、前記孔の入口を封止材で封止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の破壊工法。
- 前記陽極酸化性金属体が、鉄、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウム、ならびにこれらの金属の1種以上を基体とする合金からなる群から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1または3〜5のいずれか1項に記載の破壊工法。
- 前記アルカリ腐食を生じる金属体が、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムの金属、ならびにこれらの金属の1種以上を基体とする合金からなる群から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の破壊工法。
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