JP4014190B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとする)製造方法、特にPDPの電極および透明誘電体層の構造製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にPDPは、2枚の対向したガラス基板にそれぞれ規則的に配列した一対の電極を設け、その間にNe,He,Xe等を主体とするガスを封入した構造をなしている。
これらの電極間に電圧を印加し、電極周辺の微小なセル内で放電を発生させることにより、各セルを発光させて情報の表示を行っていた。
すなわち、この様に規則的に並んだセルを選択的に放電発光させることによって情報の表示を行っていた。
このPDPには、電極が放電空間に露出している直流型(DC型)と、電極が絶縁層で覆われている交流型(AC型)とに分類され、表示機能躍動方法の違いによって、双方ともリフレッシュ駆動方式とメモリ駆動方式とに分類される。
【0003】
ここで、前記前面ガラス基板上には透明電極及び電極がパターン形成され、その上面に透明誘電体層が所定の膜厚で形成されている。
透明誘電体層は電極を放電から保護すると共に、放電電圧を制御することを目的として設けられる絶縁膜である。
近年では、パネルの高精細化が進んでおり、この様な構造をなすパネルに採用した場合には、パネルの高精細化に伴って電極の幅の精細化が必要となる。
すなわち、パネルの高精細化が進むにつれて、電極の抵抗を下げるために電極の膜厚を高厚化することが求められ、係る電極を透明誘電体層で隙間なく被覆することが困難となっていた。
その結果として、保護膜にピンホールが発生することとなり、前記電極による透明誘電体層の表面の凹凸化が顕著になっていた。
また、前記電極間でデンドライトやマイグレーション等による過剰電流や電極間の短絡が発生する可能性が大となり、透明誘電体本来の役割を全うすることができなかった。
【0004】
この様な電極の形成による透明誘電体層の表面の凹凸をなくすために、ガラス基板上に透明誘電体層をパターン形成し、それによって形成された溝部に電極材料を埋設した構造も採用されていた。
係る構造とすることによって、誘電体の表面が平滑化し、電極の断線等を防止するという利点があった。
しかし、この様な構造においてもデンドライトやマイグレーション等による過剰電流や電極間の短絡といった問題を解消することはできなかった。
【0005】
以上の様なデンドライト及びマイグレーション等といった現象は、ソーダガラスなどの絶縁膜中のNaイオンがそれらの現象を引き起こす原因であることが知られている。
従って、Naイオンを含有しない絶縁膜、すなわち透明誘電体層をガラス基板と透明電極及び電極との間に形成することによって、透明電極及び電極がガラス基板に直接接触しない構造が採用されてきた。
また、高精細かつ高膜厚の電極を形成するために透明誘電体層をパターン化し、それによって形成された溝部に電極が形成されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のPDP製造方法においては、電極をガラス基板に接触させない様に透明誘電体層を途中まで削り取って形成する電極溝部は、単にサンドブラスト法等を用いて彫り込んだり所定時間の露光で精度良く形成されるものではなかった。
【0007】
ここで、特開平11−250798号公報によれば、背面基板電極に形成された凸部による転写不良を防止するために、下地透明ガラス材料による電極のコート構造が提案されている。
しかしながら、前記下地透明ガラス材料で電極をコートするだけでは、電極による誘電体層の凹凸(この場合、ガラス基板側の凹凸)を改善することができない。
従って、係る発明に開示された構造では、転写不良の防止を満足に抑制することはできない。
【0008】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、デンドライトやマイグレーションなどによる金属拡散の発生を抑制することができるPDP製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高精細化に対応できる精密構造の電極を有し、信頼性の高い透明誘電体層が形成されたPDP製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、ガラス基板上に第一の誘電体層を形成し、前記第一の誘電体層の上面に前記第一の誘電体層よりも除去加工されやすい材料で構成される第二の誘電体層を形成し、前記第二の誘電体層を貫通するまで除去加工して、前記第一の誘電体層が露出するような溝部を形成し、前記溝部の底部に露出する前記第一の誘電体層上に電極を形成し、前記第二の誘電体層及び前記電極の上面に第三の誘電体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
係る方法を採用することにより、除去加工で溝を形成するにあたって、第一の誘電体層は第二の誘電体層よりも除去されにくいので、第二の誘電体層の除去加工速度が部分的に変動しても、第一の誘電体層の除去量はそれほど変動しない。このため、溝の底面がガラス基板に到達する事態が発生しにくく、溝深さのばらつきも小さい。従って、電極形状を精密に形成することができ、電極の膜厚ムラがなく、安定した電流を確保することができる。
【0016】
前記第一の誘電体層は前記第二の誘電体層よりも樹脂比率が高いことが好ましい。
係る方法を採用することにより、乾燥状態では樹脂比率の大きい材料は、樹脂比率の小さい材料に比べてブラストされにくいため、適正なブラストレイトを選択することによって樹脂比率の小さい第二の誘電体層のみをブラストすることができる。
従って、電極底部が第一の誘電体層の表面に相当するため電極形状を精密に形成することができ、電極の膜厚ムラがなく安定した電流を確保することができる。
また、乾燥膜で処理できるため、第一の誘電体層及び第二の誘電体層を同時焼成することが可能になる。
【0017】
前記第一の誘電体層と前記第二の誘電体層とは感光特性が異なる樹脂であることが好ましい。
係る方法を採用することにより、第一の誘電体層と第二の誘電体層との除去加工性に差を設けることが実現される。具体例として第一の誘電体層を非感光性透明誘電体とし、第二の誘電体層を感光性誘電体とすれば、露光工程によって感光するのは第二の誘電体層のみであるので溝部を精密に形成することができ、各誘電体層は乾燥膜で処理するため、第一の誘電体層及び第二の誘電体層を同時に焼成することができる。
従って、このような焼成工程を少なくすることによって、製造コストを下げることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るPDP製造方法の一実施の形態におけるPDPの構成について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るPDPの製造方法の一実施の形態におけるPDPの構成を示す斜視図である。
図1に示すように、第1透明誘電体層41が電極3および透明電極(図示せず)の下地となるようにガラス基板2上に形成され、その上にパターン形成された第2透明誘電体層42の溝部6に電極3が形成されている。また、溝部6に電極3が形成された第2透明誘電体層42の上面を第3透明誘電体層43で覆うことにより、電極3及び透明電極とガラス基板2との直接的な接触がない構造をなしている。ここで、前記第1透明誘電体層41は、電極3及び透明電極とガラス基板2との間に形成されるものであり、電極3及び透明電極とガラス基板2との直接的な接触を回避する役割を果たしている。従って、ガラス基板2と電極3及び透明電極が直接接触している場合にガラス基板2上に電極3を形成し、その上から透明誘電体層で電極3を覆う構造やガラス基板2上に透明誘電体をパターン形成し、その溝部6に電極3を埋設する構造と異なり、第1透明誘電体層41と第2透明誘電体層42を異なる性質の誘電体材料で形成することによって溝部6を精密に形成することができ高精細パネルの電極3の形状にも対応できる。
更には電極3を埋め込むことにより電極3サイドの透明誘電体のピンホール発生を抑制する事が可能になると共に、表面凹凸による電圧ムラ・表示ムラを解消でき、電極3の膜厚を厚くすることが要求される高精細パネルで得られる効果は大きくなる。
【0022】
次に、本発明に係るPDPの一実施の形態における製造方法について図面を参照して以下に説明する。
図2は、本発明に係るPDPの一実施の形態における製造方法を示す断面図である。
図2に示すように、まず、ガラス基板2(図2(a))上に、第1透明誘電体層41として樹脂比率Aの透明誘電体シート(もしくはペースト)を塗布し乾燥または乾燥・焼成する(図2(b))
次に、第2透明誘電体層42として樹脂比率B(A>B)の透明誘電体シート(もしくはペースト)を塗布し乾燥後(図2(c))、サンドブラスト法により適正なブラストレイトで第2透明誘電体層42のみを削り(図2(d)、(e))、電極3パターンを刻み乾燥または乾燥・焼成する(図2(f))。その溝部6に電極3材料を埋め込み乾燥または乾燥・焼成し(図2(g))、その上に第3透明誘電体層43を所要膜厚確保して乾燥・焼成する(図2(h))
ここで、透明電極は第1・第2透明誘電体層41、42の間もしくは第2・第3透明誘電体層42、43の間に形成される。この様に形成することによって、乾燥状態では樹脂比率の大きい材料は、樹脂比率の小さい材料に比べてブラストされにくいため、適正なブラストレイトを選択することによって樹脂比率の小さい第2透明誘電体層42のみをブラストすることができる。
従って、電極3底部が第1透明誘電体層41の表面に相当するため電極3形状を精密に形成することができ、電極の膜厚ムラがなく安定した電流を確保することができる。
また、乾燥膜で処理できるため第1・第2透明誘電体層41、42を同時焼成することが可能になる。
【0023】
【発明の他の実施例】
次に、本発明に係るPDPの他の実施の形態における製造方法について説明する。
まず、ガラス基板2上に、第1透明誘電体層として非感光性透明誘電体シート(もしくはペースト)を塗布し乾燥または乾燥・焼成する。
その後、第2透明誘電体層として感光性透明誘電体シート(もしくはペースト)を塗布し乾燥後に露光・現像を行い電極3パターンを刻み乾燥または乾燥・焼成する。
その溝部6に電極3材料を埋め込み乾燥または乾燥・焼成し、その上に第3透明誘電体層を所要膜厚確保して乾燥・焼成するという方法もある。
ここで、透明電極は前述の本発明の一実施の形態と同様に第1・第2透明誘電体層の間もしくは第2・第3透明誘電体層の間に形成する。
露光によって感光するのは第2透明誘電体層のみであるため溝部6を精密に形成でき、電極3の形状を精密に形成する事ができる。
また乾燥膜で処理できるため第1・第2透明誘電体層を同時焼成することが可能である。
【0024】
この様に、露光によって溝部6を形成するため、透明電極を第1・第2透明誘電体層間に形成する場合であっても透明電極を傷つけることがなく、更にはサンドブラスト法に比べて工程が少なくなるという利点もある。
本発明に係るPDPの実施の形態においては透明誘電体層についての形成方法を示したが、誘電体層は必ずしも前面基板に使用される透明誘電体層のように透明である必要はなく、背面基板の誘電体層形成にも適用することができる。
すなわち、従来のPDPでは、背面基板に形成される電極の凹凸によって隔壁の密着性が低下し隔壁崩れが生じたり、隔壁をサンドブラスト法によって形成する場合には特に膜厚の薄くなる電極際がブラストされてブレイクダウンや断線などの不良を生じやすくなり、また蛍光体を塗布した際、電極上で盛り上がっているために蛍光体膜厚が不均一になり、書き込み電圧異常や輝度低下などの不良も生じやすいといった問題があったが、本発明に係るPDPの構造を適用することによって、隔壁崩れやブレイクダウン又は断線等の問題だけでなく、突出した電極3による蛍光体膜厚の不均一化を解消し、書き込み電圧異常や輝度低下などの問題を解決することができる。
また、前面基板でも問題になっていたデンドライトやマイグレーションなどの金属拡散も防止することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るPDPの製造方法によれば、ガラス基板2と電極3及び透明電極とが直接接触していないためにガラス基板2中のNaイオンが関与して生じるデンドライトやマイグレーションなどの金属拡散の発生を抑制することができる。従って、電極3及び透明電極相互の短絡や過剰電流によって生じるPDPの誤灯を軽減することができる。また、第1透明誘電体層と第2透明誘電体層を異なる性質の誘電体材料で形成することにより、溝部6を精密に形成することができ、結果として高精細パネルの電極3の形成を行うことが容易となる。さらに、電極3を埋め込むことにより電極3のサイドの透明誘電体のピンホール発生を抑制することが可能になると共に、表面凹凸による電圧ムラ・表示ムラを解消できる。従って、電極3の膜厚を厚くすることが要求される高精細パネルに容易に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPDPの製造方法の一実施の形態におけるPDPの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るPDP製造方法の一実施の形態における製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1.PDP(プラズマディスプレイパネル)
2.ガラス基板
3.電極
4.透明誘電体層
5.レジスト
6.溝部
41.第1透明誘電体層
42.第2透明誘電体層
43.第3透明誘電体層

Claims (3)

  1. ガラス基板上に第一の誘電体層を形成し、
    前記第一の誘電体層の上面に前記第一の誘電体層よりも除去加工されやすい材料で構成される第二の誘電体層を形成し、
    前記第二の誘電体層を貫通するまで除去加工して、前記第一の誘電体層が露出するような溝部を形成し、
    前記溝部の底部に露出する前記第一の誘電体層上に電極を形成し、
    前記第二の誘電体層及び前記電極の上面に第三の誘電体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 前記第一の誘電体層は前記第二の誘電体層よりも樹脂比率が高いことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記第一の誘電体層と前記第二の誘電体層とは感光特性が異なる樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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