JP4013452B2 - 樹脂封止型半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来のビーム状のリードを備えたリードフレームに代えて、外部端子となるランド体を半切断状態で備えたフレームであるターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法に関するもので、特に生産効率を向上させた樹脂封止型半導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化に対応するために、樹脂封止型半導体装置などの半導体部品の高密度実装が要求され、それにともなって、半導体部品の小型、薄型化が進んでいる。また小型で薄型でありながら、多ピン化が進み、高密度の小型、薄型の樹脂封止型半導体装置が要望されている。
【0003】
従来の樹脂封止型半導体装置としては、QFP(Quad Flat Package)等の半導体パッケージが代表されるが、将来のさらなる多ピン化、薄型化の要望に応えられる樹脂封止型半導体装置としては、特許第2986787号、特許第2986788号および特許第2997255号に記載の技術がある。
【0004】
以下、本発明の先行する技術として、特許第2986787号、特許第2986788号および特許第2997255号に示された技術を援用して説明する。
【0005】
図15は、先行技術のターミナルランドフレームの構成を示す平面図であり、図16はターミナルランドフレームを示す断面図であり、図15におけるA−A1箇所の一部の断面を示している。図17は図16におけるランド構成体部分を拡大して示す断面図である。
【0006】
図示するようにターミナルランドフレームは、銅材または、42−アロイ等の通常のリードフレームに用いられている金属板よりなるフレーム本体1と、そのフレーム本体1の領域内に格子状に配設されて、薄厚部2によりフレーム本体1と接続し、かつフレーム本体1よりも突出して形成された複数のランド構成体3とよりなるものである。すなわち、フレーム本体1、ランド構成体3および薄厚部2は同一の金属板より一体で形成されているものである。そしてランド構成体3はフレーム本体1から突出した方向への押圧力により、薄厚部2が破断されてランド構成体3がフレーム本体1より分離される構成を有するものである。ランド構成体3の格子状の配列は、千鳥格子状、碁盤の目格子状、またはランダムに面配置してもよいが、搭載する半導体素子との金属細線による接続に好適な配置を採用するものである。
【0007】
また図17に示すように、ランド構成体3の底面部分3aに対して、突出した方向への押圧力を印加することにより、薄厚部2の破線部分で破断されることになり、フレーム本体1からランド構成体3が分離するものである。ここで、薄厚部2はフレーム本体1自体に対して、打ち抜き加工の半切断手段により形成される「繋ぎ部分」であり、フレーム本体1のランド構成体を形成したい部分をパンチ部材を用いて打ち抜き加工し、完全に打ち抜かずに、途中、好ましくは半分程度の打ち抜きで止め、途中まで打ち抜かれた部分がフレーム本体1から突出し、その突出した部分がランド構成体3を構成するとともに、フレーム本体1と切断されずに接続している繋ぎ部分が薄厚部2を構成するものである。したがって、薄厚部2は極薄であり、ランド構成体3の底面部分3aに対して、突出した方向への押圧力を印加する程度で、薄厚部2が破断する厚みを有するものである。
【0008】
また、フレーム本体1よりも突出して形成されたランド構成体3は、その突出量はフレーム本体1自体の厚みの過半数以上の突出量を有しており、ランド構成体3がフレーム本体1から突出した方向への押圧力により、薄厚部2が破断されてランド構成体3がフレーム本体1より分離される構成を実現できるよう構成されている。例えば、ターミナルランドフレーム自体の厚み、すなわちフレーム本体1の厚みを200[μm]とし、ランド構成体3の突出量を140[μm]〜180[μm](フレーム本体10の厚みの70[%]〜90[%])としている。なお、フレーム本体1の厚みは、200[μm]に限定するものではなく、必要に応じて、400[μm]の厚型のフレームとしてもよい。また、ランド構成体3の突出量に関しても、過半数以上のフレーム本体厚みの70[%]〜90[%]の突出量としているが、半数以下の突出量としてもよく、薄厚部2部分が破断される範囲で、突出量を設定できるものである。
【0009】
またこの技術のターミナルランドフレームは、その表面がメッキ処理されたものであり、必要に応じて例えば、ニッケル(Ni),パラジウム(Pd)および金(Au)などの金属が積層されて適宜メッキされているものである。メッキ処理については、ランド構成体3を成形した後に行ってもよく、または金属板へのランド構成体の成形前に行ってもよい。またターミナルランドフレームの表面粗さについては、極めて平坦であって、0.1[μm]以下であり、封止樹脂との剥離性に影響するものであり、ランド構成体3以外の部分には無用な凹凸がないようにする必要がある。
【0010】
またこのターミナルランドフレームにおいては、ランド構成体3の突出した上面部分は、コイニングと称されるプレス成形により、その突出した上面形状が上面平坦なキノコ状を構成するものである。このコイニングによる形状により、ターミナルランドフレームに対して、半導体素子を搭載し、樹脂封止した際、封止樹脂のランド構成体への食いつきを良好にし、封止樹脂との密着性を向上させ、片面封止であっても樹脂封止の信頼性を得ることができるものである。また形状は上面平坦なキノコ状に限定されるものではなく、鍵状等の封止樹脂とのアンカー作用のある上面平坦な形状であればよい。
【0011】
この技術のターミナルランドフレームでは、あえて半導体素子が搭載される部材であるダイパッド部を設けていないが、フレーム本体1の領域内に設けたランド構成体3の群の内、一部のランド構成体をダイパッド部として使用し、半導体素子の支持用のランド構成体とすることができる。このことにより、品種の違いにより、ターミナルランドフレーム上に搭載する半導体素子の大きさに差があった場合でも、適宜、ランド構成体3の群の一部を支持用のランド構成体として使用し、その他のランド構成体3をその搭載した半導体素子との電気的な接続用のランド構成体として使用することにより、ターミナルランドフレームを共用することができ、1枚のフレーム中で複数の大きさの異なる半導体素子を搭載し、樹脂封止型半導体装置を得ることができる。
【0012】
なお、ランド構成体3の数は、搭載する半導体素子のピン数などにより、その数を適宜設定できるものである。そして図15に示すように、ランド構成体3はフレーム本体1の領域に形成するが、左右・上下に連続して形成できるものである。またランド構成体3の形状は円形としているが、角形や長方形でもよく、また大きさは、ターミナルランドフレーム内ですべて同一としてもよいし、樹脂封止型半導体装置を構成し、ランド電極とした場合、基板実装の際の応力緩和のために、周辺部に位置するランド構成体3を大きくするようにしてもよい。この技術では、ランド構成体3の上面の大きさは、半導体素子を搭載し、電気的接続手段として、金線等の金属細線により接続する際、ボンディング可能な大きさであればよく、100[μm]φ以上の大きさとしている。
【0013】
また、ここで示したターミナルランドフレームは、従来のようなインナーリード部、アウターリード部、ダイパッド部などを有さず、ランド電極としてランド構成体3を有し、そのランド構成体3を半導体素子が搭載される面内に格子状、千鳥状に配列することにより、このターミナルランドフレームを用いて樹脂封止型半導体装置を構成した場合、底面にランド電極を備えた樹脂封止型半導体装置を実現することができる。また従来のように電極となる構成が、ビーム状のリード構成ではなく、ランド構成体3であるため、それらを面状に配置することができ、ランド構成体3の配置の自由度が向上し、多ピン化に対応することができる。勿論、搭載する半導体素子のピン数により、ランド構成体3の配置は設定するものであり、従来のような一連の配置でもよい。
【0014】
次にこの技術のターミナルランドフレームの製造方法について説明する。
【0015】
図18および図19は、ターミナルランドフレームの製造方法を示す断面図であり、ランド構成体部分を示す断面図である。
【0016】
まず図18に示すように、ターミナルランドフレームのフレーム本体となる金属板4を打ち抜き金型のダイ部5に載置し、金属板4の上方から押え金型6により押さえる。ここで図18において、ダイ部5には、打ち抜き用の開口部7が設けられている。また、金属板4に対して上方には、パンチ部材8が設けられており、パンチ部材8により金属板4が押圧され打ち抜き加工された際、金属板4の押圧された箇所が開口部7に打ち抜かれる構造を有している。
【0017】
次に図19に示すように、ダイ部5上の所定の位置に固定した金属板4に対して、その上方からパンチ部材8により押圧による打ち抜き加工を行い、金属板4の一部をダイ部5側の開口部7側に突出するように押圧して、金属板4の所定箇所を半切断状態にし、ランド構成体3を形成する。ここで薄厚部2により金属板4と接続されて残存し、かつ金属板4の本体部よりも突出して形成されたランド構成体3を形成するものである。
【0018】
ここでは、パンチ部材8により金属板4の一部を打ち抜き加工する際、完全に打ち抜かず、途中でパンチ部材8の押圧を停止させることで、半切断状態を形成し、金属板4の押圧された部分を切り離すことなく、金属板4の本体に接続させて残存させるものである。また、金属板4のランド構成体3を形成する部分に接触するパンチ部材8の接触面積はダイ部5に設けた開口部7の開口面積よりも小さく、そのパンチ部材8により、金属板4の一部を押圧して金属板4から突出したランド構成体3を形成する工程においては、金属板4から突出したランド構成体3の上面部分3bの面積が、金属板4側に接続したランド構成体3の底面部分3aの面積よりも大きく、ランド構成体3の突出した側の上面のエッジ部は抜きダレによる曲面を有しているランド構成体3を形成するものである。この構造により、形成されたランド構成体3は、それが突出した方向に対しての押圧力、すなわちランド構成体3の底面部分3a側からの押圧力により、容易に分離されるものであり、またそれが突出した方向、すなわちランド構成体3の上面部分3bからの押圧力によっては分離しないものであり、一方向からの押圧力にのみ分離する構造となる。
【0019】
また、ランド構成体3の突出した上面部分に対して、コイニングと称されるプレス成形を行うことにより、その突出した上面形状が上面平坦なキノコ状を構成するようにしてもよい。このコイニングによる形状により、ターミナルランドフレームに対して、半導体素子を搭載し、樹脂封止した際、封止樹脂のランド構成体への食いつきを良好にし、アンカー効果を得て、封止樹脂との密着性をさらに向上させ、片面封止であっても樹脂封止の信頼性を得ることができるものである。
【0020】
また、金属板4に対してランド構成体3を形成する際、金属板4の一部を突出させるその突出量については、金属板4自体の厚みの過半数以上とし、ここでは、200[μm]の金属板4の厚みに対して、140[μm]〜180[μm](金属板自体の厚みの70[%]〜90[%])突出したランド構成体3を形成している。したがって、突出して形成されたランド構成体3は、金属板4の本体に対して、極めて薄い厚みの薄厚部2により接続されていることになる。ここでは、薄厚部2の厚みとしては、20[μm]〜60[μm](金属板自体の厚みの10[%]〜30[%])の微少な厚みであり、ランド構成体3自体が突出した方向に対しての押圧力により、容易に分離されるものである。なお、フレーム本体の厚みは、200[μm]に限定するものではなく、必要に応じて、400[μm]の厚型のフレームとしてもよい。また、ランド構成体3の突出量に関しても、過半数以上の突出量としたが、半数以下の突出量としてもよく、薄厚部2部分が破断される範囲で、突出量を設定できるものである。
【0021】
ここでこの技術のランド構成体3を形成する際の半切断について説明する。図20は金属板4に対して押圧し、半切断状態を構成した際のランド構成体3と金属板4、および薄厚部2の部分の構造図である。
【0022】
図20に示すように、金属板4に対してランド構成体3を形成した際、金属板4のランド構成体3部分は、図18,図19に示したパンチ部材8による打ち抜き加工によって発生した抜きダレ部9と、パンチ部材8によりせん断されたせん断部10と、ランド構成体3自体が突出した方向に対しての押圧力により、容易にランド構成体3が分離した際の破断面となる破断部11を有している。ランド構成体3の形成としては、パンチ部材8により打ち抜き加工した際、抜きダレ部9,せん断部10,破断部11の順に形成されていくものである。破断部11となる部分は薄厚部2であり、図面上はモデル的に示している関係上、相当の厚みを有しているように示されているが、実質的には極めて薄い状態である。また金属板4の打ち抜き加工においては、理想的な状態は、A:B=1:1であり、パンチ部材8が金属板4を打ち抜き、金属板4の厚みの1/2を打ち抜いた時点でパンチ部材8を停止させ、打ち抜きを完了させるものであるが、その条件は適宜、設定するものである。
【0023】
また打ち抜き加工において、クリアランスの値を変更することにより、せん断部10と破断部11との長さを操作することができ、クリアランスを小さくすると、せん断部10を破断部11よりも大きくすることができ、逆にクリアランスを大きくすると、せん断部10を破断部11よりも小さくすることができる。したがって、クリアランスをゼロとし、破断部11の長さを短く抑えることで、金属板4の抜き完了のタイミングを遅らせ、パンチ部材8が金属板4の1/2以上入っても、抜きが完了しないようにできるものである。ここでクリアランスは、パンチ部材8の大きさとダイ部5の開口部7の大きさとの差により形成された隙間の量を示している。
【0024】
次にこのターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。図21〜図26はターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す工程ごとの断面図である。
【0025】
まず図21に示すように、前述した通りのフレーム本体1と、そのフレーム本体1の領域内に配設されて、薄厚部2によりフレーム本体1と接続し、かつフレーム本体1よりも突出して形成された複数のランド構成体3とよりなり、ランド構成体3はフレーム本体1からそれが突出した方向への押圧力により、薄厚部2が破断されてランド構成体3がフレーム本体1より分離される構成を有するターミナルランドフレームを用意する。
【0026】
次に図22に示すように、ターミナルランドフレームのランド構成体3が突出した面側であって、ランド構成体3の内、所定の第1のランド構成体3上に導電性接着剤、または絶縁性ペーストなどの接着剤12により半導体素子13を載置、接合する。この工程は半導体装置の組立工程におけるダイボンド工程に相当する工程であり、ターミナルランドフレームへの接着材12の塗布、半導体素子13の載置、加熱処理により半導体素子13を接合するものである。ここで、ターミナルランドフレームは、ランド構成体3が突出した方向に対しての押圧力、すなわちランド構成体3の底面部分側からの押圧力により、容易に分離されるものであるが、それが突出した方向、すなわちランド構成体3の上面部分からの押圧力によっては分離しないものであり、一方向からの押圧力にのみ分離する構造であるため、半導体素子13を搭載する際、フレームに対して下方の押圧力が作用しても、ランド構成体3は分離せず、安定してダイボンドできるものである。
【0027】
次に図23に示すように、ターミナルランドフレーム上に接合した半導体素子13とランド構成体3の内、外部ランド電極となる第2のランド構成体3とを金属細線14により電気的に接続する。したがって、ランド構成体3は上面の金属細線14が接続される面の直径は100[μm]φ以上である。また、この工程においても、ランド構成体3は一方向からの押圧力にのみ分離する構造であるため、金属細線14をランド構成体3の上面に接続する際、下方に押圧力が作用しても、ランド構成体3は分離せず、安定してワイヤーボンドできるものである。
【0028】
次に図24に示すように、ターミナルランドフレーム上に接合した半導体素子13、および電気的接続手段である金属細線14の領域に対して、個々の半導体素子単位で封止樹脂15により封止する。通常は上下封止金型を用いたトランスファーモールドにより片面封止を行う。ここではターミナルランドフレームの半導体素子13が搭載された面のみが封止樹脂15により封止されるものであり、片面封止構造となっている。そして各ランド構成体3は突出して設けられているため、封止樹脂15がその段差構造に対して、食いつくため片面封止構造であっても、ターミナルランドフレームと封止樹脂15との密着性を得ることができる。
【0029】
次に図25に示すように、ターミナルランドフレームを固定した状態、例えばターミナルランドフレームの端部を固定し、封止樹脂15で封止した領域をフリーにした状態で、ターミナルランドフレームの下方からランド構成体3の底面に対して、押圧力を印加する。この場合、ターミナルランドフレームの端部を固定し、その下方から突き上げピンにより突き上げて押圧力を印加することにより、ランド構成体3とターミナルランドフレームのフレーム本体1とが分離するものである。すなわちランド構成体3とフレーム本体1とを接続している極薄の薄厚部2が突き上げによる押圧力で破断されることにより分離されるものである。また、突き上げる場合は、一部の例えば中央部付近の半導体素子13の下方に位置するランド構成体3のみを突き上げてもよく、または周辺部のランド構成体3を突き上げてもよく、またはすべてのランド構成体3を突き上げてもよい。ただし、部分的な突き上げによりランド構成体3が封止樹脂15から剥離したり、破損しない範囲で突き上げを行う。
【0030】
そして図26に示すように、ランド構成体とフレーム本体とを接続している極薄の薄厚部が突き上げによる押圧力で破断されることにより分離されて、樹脂封止型半導体装置16を得ることができる。
【0031】
なお、ここで封止樹脂とフレーム本体との剥離は、フレーム本体のランド構成体を形成した部分以外の領域と封止樹脂との密着性が弱く、ランド構成体が分離されることにより、樹脂封止型半導体装置16を取り出すことができるものである。ランド構成体部分はその凹凸形状が封止樹脂に食い込むため、剥離せずに封止樹脂内に形成されるものである。図示するように、樹脂封止型半導体装置16は、ランド構成体3がその底面に配列され、またランド構成体3が封止樹脂15の底面よりも突出して設けられ、基板実装時のスタンドオフが形成されているものである。ここで樹脂封止型半導体装置16のランド構成体3の突出量は、フレーム本体の厚み量からランド構成体3が突出した量を差し引いた量となり、ランド構成体3の外部ランド電極としてのスタンドオフが形成されるものである。ここでは、200[μm]の厚みのフレーム本体に対して、ランド構成体3を140[μm]〜180[μm](フレーム本体の厚みの70[%]〜90[%])突出させているため、スタンドオフ高さの量は、20[μm]〜60[μm](フレーム本体の厚みの10[%]〜30[%])となり、基板実装時のスタンドオフを有したランド電極を得ることができる。
【0032】
以上のように、本発明の先行技術としては、複数のランド構成体が破断容易な薄厚部でその板材に接続されたターミナルランドフレームを用いることにより、将来のさらなる多ピン化、薄型化の要望に応えられる樹脂封止型半導体装置を製造できるものであった。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記したターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法では、樹脂封止型半導体装置を個々にフレーム本体から押圧力により分離させて製造するには優れた工法であるものの、樹脂封止型半導体装置を個々にフレーム本体から押圧して破断分離させる際、押圧力の均一性が劣化した場合には、樹脂封止型半導体装置が破損する恐れがあり、また押圧力印加による樹脂封止型半導体装置内に封止されている半導体素子へのダメージ、金属細線部分へのダメージ等の問題がある。
【0034】
またターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造においては、その製造個数が増大になった場合、製造工程として合理化する必要があり、ターミナルランドフレーム上に複数の半導体素子を搭載、金属細線接続後、上面の樹脂封止を一括でフレーム全面に行い、フレーム面内に複数の樹脂封止型半導体装置が形成された樹脂封止型半導体装置構成体を得た後、個々に分割するという一括工法が検討されている。この場合において、フレーム全面を封止樹脂で封止して形成した樹脂封止型半導体装置構成体をフレーム本体から破断分離させる際、その押圧力が相当な値となり、またフレーム本体全面のランド構成体を均一に押圧してランド構成体とフレーム本体とを精度よく分離させるには、前述の問題に加えて、現実問題として設備問題等の多くの課題と制約がある。
【0035】
本発明は前記したターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法において、得られる樹脂封止型半導体装置の品質を劣化することなく、また製造個数の大量化にも、工法面、コスト面、設備面で対応できる樹脂封止型半導体装置の製造方法を提供するものであり、ターミナルランドフレームの構造上の特徴を活かし、内蔵される半導体素子等へのダメージをなくすことができるターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の樹脂封止型半導体装置の製造方法は、金属板よりなるフレーム本体と、前記フレーム本体の領域内に配設されて、薄厚部により前記フレーム本体と接続し、かつ前記フレーム本体よりも突出して形成され、その底面の面積よりも上面の面積が大きい複数のランド構成体群とよりなり、前記ランド構成体群は前記フレーム本体から突出した方向への押圧力によってのみ、前記薄厚部が破断されて前記ランド構成体群が前記フレーム本体より分離される構成であるターミナルランドフレームを用意する工程と、前記ターミナルランドフレームの前記ランド構成体群の一部のランド構成体の突出した側に半導体素子を複数個搭載する工程と、搭載した各半導体素子と各ランド構成体とを金属細線により電気的に接続する工程と、搭載した複数の半導体素子の外囲であって、前記ターミナルランドフレームの上面側を封止樹脂により全面封止する工程と、前記上面側を封止樹脂により全面封止したターミナルランドフレームの底面を研削し、前記ターミナルランドフレームのフレーム本体を研削除去して樹脂封止型半導体装置構成体を形成する工程と、前記樹脂封止型半導体装置構成体に対して、個々の半導体素子の単位に分割し、個々の樹脂封止型半導体装置を得る工程とを有する樹脂封止型半導体装置の製造方法である。
【0037】
具体的には、上面側を封止樹脂により全面封止したターミナルランドフレームの底面を研削し、前記ターミナルランドフレームのフレーム本体を研削除去して樹脂封止型半導体装置構成体を形成する工程では、上面側を封止樹脂により全面封止したターミナルランドフレームのその上面側をシートに貼付した状態で行う樹脂封止型半導体装置の製造方法である。
【0038】
また、樹脂封止型半導体装置構成体に対して、個々の半導体素子の単位に分割し、個々の樹脂封止型半導体装置を得る工程では、樹脂封止型半導体装置構成体の個々の半導体素子間の封止樹脂をダイシングブレードで切断して分割する樹脂封止型半導体装置の製造方法である。
【0039】
前記構成の通り、ターミナルランドフレーム上に半導体素子を搭載、金属細線接続、全面樹脂封止後には、ターミナルランドフレームのフレーム本体を研削して除去するので、形成された樹脂封止型半導体装置構成体の底面にはランド構成体を外部電極として残存させることができ、そしてその樹脂封止型半導体装置構成体に対してダイシングブレード等で各樹脂封止型半導体装置間の封止樹脂を切断するので、樹脂封止型半導体装置に対するダメージをなくし、信頼性の高い樹脂封止型半導体装置を効率よく製造できるものである。
【0040】
また本発明の樹脂封止型半導体装置の製造方法は、その具体構成として、上面側を封止樹脂により全面封止したターミナルランドフレームの底面を研削し、前記ターミナルランドフレームのフレーム本体を研削除去して樹脂封止型半導体装置構成体を形成する工程では、上面側を封止樹脂により全面封止したターミナルランドフレームのその上面側をシートに貼付した状態で行い、前記シートに貼付した状態のまま、次工程の樹脂封止型半導体装置構成体に対して、個々の半導体素子の単位に分割し、個々の樹脂封止型半導体装置を得る工程を行う樹脂封止型半導体装置の製造方法である。
【0041】
この構成により、既存の半導体ウェハーのバックグラインド工程と同様に、シートに樹脂封止後のターミナルランドフレームを貼付した状態で底面研削して一括で樹脂封止型半導体装置構成体を形成することができ、さらにそのシートに貼付した状態のまま、次の個々の樹脂封止型半導体装置への分割工程に移行し、既存のダイシング工程と同様に連続して分割できるため、既存の製造工程を応用して製造することが可能となり、製造効率を向上させることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のターミナルランドフレームを用いた場合の樹脂封止型半導体装置の製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1は本実施形態のターミナルランドフレームを示す平面図である。図2は本実施形態のターミナルランドフレームを示す断面図であり、図1において、B−B1箇所の一部の断面を示している。なお、本実施形態のターミナルランドフレームは、前述した先行技術で示したターミナルランドフレームと同様の構成を有しているものである。
【0044】
図示するように本実施形態のターミナルランドフレームは、銅材または、42−アロイ等の通常のリードフレームに用いられている金属板よりなるフレーム本体1と、そのフレーム本体1の領域内に格子状に配設されて、薄厚部2によりフレーム本体1と接続し、かつフレーム本体1よりも突出して形成された複数のランド構成体3とよりなるものである。すなわち、フレーム本体1、ランド構成体3および薄厚部2は同一の金属板より一体で形成されているものである。そしてランド構成体3はフレーム本体11から突出した方向への押圧力により、薄厚部2が破断されてランド構成体3がフレーム本体1より分離される構成を有するものである。ランド構成体3の格子状の配列は、千鳥格子状、碁盤の目格子状、またはランダムに面配置してもよいが、搭載する半導体素子との金属細線による接続に好適な配置を採用するものである。
【0045】
また、フレーム本体1よりも突出して形成されたランド構成体3は、その突出量はフレーム本体1自体の厚みの過半数以上の突出量を有しており、ランド構成体3がフレーム本体1から突出した方向への押圧力により、薄厚部2が破断されてランド構成体3がフレーム本体1より分離される構成を実現できるよう構成されている。本実施形態では例えば、ターミナルランドフレーム自体の厚み、すなわちフレーム本体1の厚みを200[μm]とし、ランド構成体3の突出量を180[μm](フレーム本体10の厚みの90[%])としている。なお、フレーム本体1の厚みは、200[μm]に限定するものではなく、必要に応じて、400[μm]の厚型のフレームとしてもよい。
【0046】
また本実施形態のターミナルランドフレームは、その表面がメッキ処理されたものであり、必要に応じて例えば、ニッケル(Ni),パラジウム(Pd)および金(Au)などの金属が積層されて適宜メッキされているものである。メッキ処理については、ランド構成体3を成形した後に行ってもよく、または金属板へのランド構成体の成形前に行ってもよい。またターミナルランドフレームの表面粗さについては、極めて平坦であって、0.1[μm]以下であり、封止樹脂との剥離性に影響するものであり、ランド構成体3以外の部分には無用な凹凸がないようにする必要がある。
【0047】
また本実施形態のターミナルランドフレームにおいては、ランド構成体3の突出した上面部分は、コイニングと称されるプレス成形により、その突出した上面形状が上面平坦なキノコ状を構成するものである。このコイニングによる形状により、ターミナルランドフレームに対して、半導体素子を搭載し、樹脂封止した際、封止樹脂のランド構成体への食いつきを良好にし、封止樹脂との密着性を向上させ、片面封止であっても樹脂封止の信頼性を得ることができるものである。また形状は上面平坦なキノコ状に限定されるものではなく、鍵状等の封止樹脂とのアンカー作用のある上面平坦な形状であればよい。
【0048】
本実施形態のターミナルランドフレームでは、あえて半導体素子が搭載される部材であるダイパッド部を設けていないが、フレーム本体1の領域内に設けたランド構成体3の群の内、一部のランド構成体をダイパッド部構成とし、半導体素子の支持用のランド構成体とすることができる。このことにより、品種の違いにより、ターミナルランドフレーム上に搭載する半導体素子の大きさに差があった場合でも、適宜、ランド構成体3の群の一部を支持用のランド構成体として使用し、その他のランド構成体3をその搭載した半導体素子との電気的な接続用のランド構成体として使用することにより、ターミナルランドフレームを共用することができ、1枚のフレーム中で複数の大きさの異なる半導体素子を搭載し、樹脂封止型半導体装置を得ることができる。
【0049】
なお、ランド構成体3の数は、搭載する半導体素子のピン数などにより、その数を適宜設定できるものである。そして図1に示すように、ランド構成体3はフレーム本体1の領域に形成するが、左右・上下に連続して形成できるものである。またランド構成体3の形状は円形としているが、角形や長方形でもよく、また大きさは、ターミナルランドフレーム内ですべて同一としてもよいし、樹脂封止型半導体装置を構成し、ランド電極とした場合、基板実装の際の応力緩和のために、周辺部に位置するランド構成体3を大きくするようにしてもよい。本実施形態では、ランド構成体3の上面の大きさは、半導体素子を搭載し、電気的接続手段として、金線等の金属細線により接続する際、ボンディング可能な大きさであればよく、100[μm]φ以上の大きさとしている。
【0050】
また、本実施形態のターミナルランドフレームは、従来のようなインナーリード部、アウターリード部、ダイパッド部などを有さず、ランド電極としてランド構成体3を有し、そのランド構成体3を半導体素子が搭載される面内に格子状、千鳥状に配列することにより、このターミナルランドフレームを用いて樹脂封止型半導体装置を構成した場合、底面にランド電極を備えた樹脂封止型半導体装置を実現することができる。また従来のように電極となる構成が、ビーム状のリード構成ではなく、ランド構成体3であるため、それらを面状に配置することができ、ランド構成体3の配置の自由度が向上し、多ピン化に対応することができる。勿論、搭載する半導体素子のピン数により、ランド構成体3の配置は設定するものであり、従来のような一連の配置でもよい。
【0051】
さらに本実施形態で示したような半導体素子を搭載するランド構成の代わりにランド構成体よりも面積的に大きいダイパッド部を半切断で形成してターミナルランドフレームを構成してもよい。
【0052】
本実施形態のターミナルランドフレームの製造方法については、前述の先行技術で示した方法と同様であるのでここでは省略する。
【0053】
次に本実施形態のターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。図3〜図12はターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す工程ごとの断面図である。
【0054】
まず図3に示すように、前述した通りのフレーム本体1と、そのフレーム本体1の領域内に配設されて、薄厚部2によりフレーム本体1と接続し、かつフレーム本体1よりも突出して形成された複数のランド構成体3とよりなり、ランド構成体3はフレーム本体1からそれが突出した方向への押圧力により、薄厚部2が破断されてランド構成体3がフレーム本体1より分離される構成を有するターミナルランドフレームを用意する。
【0055】
次に図4に示すように、ターミナルランドフレームのランド構成体3が突出した面側であって、ランド構成体3の内、所定の第1のランド構成体3上に導電性接着剤、または絶縁性ペーストなどの接着剤12によりマイコンロジック素子、メモリー素子等の集積回路素子である半導体素子13を載置、接合する。この工程は半導体装置の組立工程におけるダイボンド工程に相当する工程であり、ターミナルランドフレームへの接着剤12の塗布、半導体素子13の載置、加熱処理により半導体素子13を接合するものである。ここで、ターミナルランドフレームは、ランド構成体3が突出した方向に対しての押圧力、すなわちランド構成体3の底面部分側からの押圧力により、容易に分離されるものであるが、それが突出した方向、すなわちランド構成体3の上面部分からの押圧力によっては分離しないものであり、一方向からの押圧力にのみ分離する構造であるため、半導体素子13を搭載する際、フレームに対して下方の押圧力が作用しても、ランド構成体3は分離せず、安定してダイボンドできるものである。なお、図中、半導体素子13は2個搭載した状態を示しているが、実際には2個以上の複数個搭載するものである。
【0056】
次に図5に示すように、ターミナルランドフレーム上に接合した半導体素子13とランド構成体3の内、外部ランド電極となる第2のランド構成体3とを金(Au)線等の金属細線14により電気的に接続する。したがって、ランド構成体3は上面の金属細線14が接続される面の直径は100[μm]φ以上である。また、この工程においても、ランド構成体3は一方向からの押圧力にのみ分離する構造であるため、金属細線14をランド構成体3の上面に接続する際、下方に押圧力が作用しても、ランド構成体3は分離せず、安定してワイヤーボンドできるものである。
【0057】
次に図6に示すように、ターミナルランドフレーム上に接合した半導体素子13、および電気的接続手段である金属細線14の領域に対して、ターミナルランドフレーム上の全面をエポキシ樹脂等の絶縁性の封止樹脂15により封止する。通常は上下封止金型を用いたトランスファーモールドにより片面封止を行う。ここではターミナルランドフレームの半導体素子13が搭載された面のみが封止樹脂15により封止されるものであり、片面封止構造となっている。そして各ランド構成体3は突出して設けられているため、封止樹脂15がその段差構造に対して、食いつくため片面封止構造であっても、ターミナルランドフレームと封止樹脂15との密着性を得ることができる。またフレームに対して突出して設けられたランド構成体3は、フレーム厚の90[%]が突出して設けられており、封止樹脂15内にその90[%]の厚み分が封止され、樹脂封止型半導体装置を構成した際の外部電極を構成できるものである。
【0058】
次に図7,図8に示すように、その上面を封止樹脂15で封止したターミナルランドフレームに対して、その封止樹脂15の上面に樹脂テープ材17を貼付し、ターミナルランドフレーム底面のフレーム本体1の部分を研削部材18により研削除去する。この場合、研削部材18によりターミナルランドフレーム底面のフレーム本体1の部分のみを研削して除去するものであるが、フレーム本体1の部分を研削除去することにより、それと接続していた各ランド構成体3は各々分離独立することになり、封止樹脂15の面が露出するとともに、その封止樹脂15の面にランド構成体3の底面が露出して配列されるものである。そして仕上げには、封止樹脂15、ランド構成体3の底面の表面状態をより平坦にするためにポリッシング加工(研磨)を行うものである。また、封止樹脂15の上面に貼付する樹脂テープ材17は、紫外線硬化型の接着剤を有したテープ材を用いることにより、後に樹脂テープ材17を除去する際は、紫外線照射によりその接着力を低下させ、容易に除去できるようにする。通常、樹脂テープ材17としては、半導体ウェハーの裏面研削(バックグラインド)で使用するテープ材、または半導体ウェハーを個々の半導体素子に分割(ダイシング)する際に使用するテープ材を利用してもよい。
【0059】
図9には、ターミナルランドフレーム底面のフレーム本体の部分を研削部材により研削除去した状態を示し、ここで複数の半導体素子13が封止樹脂15内に搭載され、底面にランド構成体3が配列した1枚構成の樹脂封止型半導体装置構成体19を得るものである。またこの状態では樹脂テープ材17は貼付させた状態である。
【0060】
次に図10,図11に示すように、樹脂テープ材17にその上面側が貼付された樹脂封止型半導体装置構成体19に対して、個々の樹脂封止型半導体装置単位に分割する。この分割としては、ダイシング工程で用いるダイシング用の回転ブレード20により目的とする個々の半導体素子13の単位にフルカットすることにより分割し、個々の樹脂封止型半導体装置21を得るものである。なお、個々の樹脂封止型半導体装置21への分割は、ダイシング用のブレードの使用に限定するものではなく、樹脂封止型半導体装置に対してダメージが印加されない分割切断方法であればよい。
【0061】
そして樹脂テープ材より個々の樹脂封止型半導体装置を取り出すことにより、図12に示すような樹脂封止型半導体装置を得る。本実施形態の樹脂封止型半導体装置21は、ランド構成体3上に銀ペースト等の接着剤12により搭載、接合された半導体素子13と、その半導体素子13の周辺に配置され、半導体素子13と金属細線14により電気的に接続されたランド構成体3と、各ランド構成体3の底面を外部電極として露出させて半導体素子13の外囲を封止した封止樹脂15とよりなる樹脂封止型半導体装置である。
【0062】
また個々の樹脂封止型半導体装置に分割する前の底面研削、研磨後に、その底面において外部電極を構成するランド構成体3上に半田ボール等のボール電極を付設することにより、フレーム部材を用いたBGA(ボールグリッドアレイ)を形成することもできる。もちろん個々の樹脂封止型半導体装置に分割した後にでも、個別にランド構成体3上にボール電極を形成してもよい。
【0063】
図13は本実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法で得られた樹脂封止型半導体装置を示す図であり、図13(a)は平面図、図13(b)は底面図である。
【0064】
本実施形態の樹脂封止型半導体装置は、外囲が封止樹脂15で封止されたものであり、底面が露出され、側面および上面が封止樹脂15内に封止され、その上面に半導体素子が搭載されたランド構成体3とを有し、ランド構成体3は封止樹脂15の底面にグリッド状に配置されてランドグリッドアレイ(LGA)を構成する樹脂封止型半導体装置である。なお、図13に示した樹脂封止型半導体装置はパッケージに対してエッジカットしたものである。
【0065】
また本実施形態の樹脂封止型半導体装置は、図14の断面図に示すように、外部電極として露出したランド構成体3間の封止樹脂15はその厚み方向に曲面を有した凹部22を有しているものである。図14において、図14(a)は樹脂封止型半導体装置の主要な断面図であり、図14(b)は図14(a)の円内領域を拡大した断面図である。
【0066】
ランド構成体3間の封止樹脂15に凹部22を有した構造により、本実施形態のランド構成体3はスタンドオフを有さないものの、このランド構成体3間の樹脂部分の凹部22によりランド構成体3が封止樹脂15面よりも微少量突出しているので、基板実装の際の実装強度を向上させることができる。この封止樹脂15の凹部22は、前述した樹脂封止型半導体装置の製造方法の研削工程において、ランド構成体3(金属)と封止樹脂15との材料の研削レートの違いにより、封止樹脂15がランド構成体3よりも研削レートが高いために凹部22となって研削される作用によるものである。そして特に研削に使用する研削部材として、研削面が弾性を有したものを使用することにより、効率的に凹部22を形成できるものである。したがって本実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法により、その製造工法の効率化および製造される樹脂封止型半導体装置の信頼性を高める効果に加えて、製造された樹脂封止型半導体装置の基板実装時の実装強度向上という効果も得ることができるものである。
【0067】
以上、本実施形態で示したようなターミナルランドフレームを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法により、ターミナルランドフレーム上に半導体素子を搭載、金属細線接続、全面樹脂封止後には、ターミナルランドフレームのフレーム本体を研削して除去するので、形成された樹脂封止型半導体装置構成体の底面にはランド構成体を外部電極として残存させることができ、そしてその樹脂封止型半導体装置構成体に対してダイシングブレード等で各樹脂封止型半導体装置間の封止樹脂を切断するので、樹脂封止型半導体装置に対するダメージをなくし、信頼性の高い樹脂封止型半導体装置を効率よく製造できるものである。
【0068】
また、本実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法では、既存の半導体ウェハーのバックグラインド工程と同様に、シート材に樹脂封止後のターミナルランドフレームを貼付した状態で底面研削して一括で樹脂封止型半導体装置構成体を形成することができ、さらにそのシート材に貼付した状態のまま、次の個々の樹脂封止型半導体装置への分割工程に移行し、既存のダイシング工程と同様に連続して分割できるため、既存の製造工程を応用して製造することが可能となり、製造効率を向上させることができるものである。
【0069】
もちろん、製造した樹脂封止型半導体装置の底面部分には、半導体素子と電気的に接続したランド構成体を外部電極として配列することができ、面実装タイプの半導体装置が得られ、従来のようなリード接合による実装に比べて、基板実装の信頼性を向上させることができる。また、本実施形態で製造された樹脂封止型半導体装置は、BGAタイプの半導体装置のように、ランド電極を設けた基板を用いるものでなく、ターミナルランドフレームという金属板からなるフレーム本体から半導体装置を構成するので、量産性、コスト性などの面においては、従来のBGAタイプの半導体装置よりも有利となる。さらに製品加工工程において、従来のようなフレームからの分離において必要であったリードカット工程、リードベンド工程をなくし、リードカットによる製品へのダメージやカット精度の制約をなくすことができ、製造工程の削減によってコスト力を強めた画期的な技術を提供できるものである。
【0070】
【発明の効果】
以上、本発明の樹脂封止型半導体装置の製造方法は、ターミナルランドフレーム上に半導体素子を搭載、金属細線接続、全面樹脂封止後には、ターミナルランドフレームのフレーム本体を研削して除去するので、形成された樹脂封止型半導体装置構成体の底面にはランド構成体を外部電極として残存させることができ、そしてその樹脂封止型半導体装置構成体に対してダイシングブレード等で各樹脂封止型半導体装置間の封止樹脂を切断するので、樹脂封止型半導体装置に対するダメージをなくし、信頼性の高い樹脂封止型半導体装置を生産性よく効率的に製造できる優れた工法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のターミナルランドフレームを示す平面図
【図2】本発明の一実施形態のターミナルランドフレームを示す断面図
【図3】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図4】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図5】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図6】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図7】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図8】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図9】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図10】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図11】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図12】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図13】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置を示す断面図
【図14】本発明の一実施形態の樹脂封止型半導体装置を示す断面図
【図15】先行技術に示されるターミナルランドフレームを示す平面図
【図16】先行技術に示されるターミナルランドフレームを示す断面図
【図17】先行技術に示されるターミナルランドフレームを示す断面図
【図18】先行技術に示されるターミナルランドフレームの製造方法を示す断面図
【図19】先行技術に示されるターミナルランドフレームの製造方法を示す断面図
【図20】先行技術に示されるターミナルランドフレームを示す構成図
【図21】先行技術に示される樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図22】先行技術に示される樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図23】先行技術に示される樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図24】先行技術に示される樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図25】先行技術に示される樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【図26】先行技術に示される樹脂封止型半導体装置の製造方法を示す断面図
【符号の説明】
1 フレーム本体
2 薄厚部
3 ランド構成体
4 金属板
5 ダイ部
6 押え金型
7 開口部
8 パンチ部材
9 抜きダレ部
10 せん断部
11 破断部
12 接着剤
13 半導体素子
14 金属細線
15 封止樹脂
16 樹脂封止型半導体装置
17 樹脂テープ材
19 樹脂封止型半導体装置構成体
20 回転ブレード
21 樹脂封止型半導体装置
22 凹部
Claims (6)
- 金属板よりなるフレーム本体と、前記フレーム本体と薄厚部により接続し、かつ前記フレーム本体よりも上面側に突出して形成された複数のランド構成体とよりなるターミナルランドフレームを用意する工程と、
前記ターミナルランドフレームの前記ランド構成体の突出した側に半導体素子を搭載する工程と、
前記半導体素子と前記ランド構成体とを電気的に接続する工程と、
前記ターミナルランドフレームの上面側であって、前記半導体素子と前記ランド構成体の上面とを封止樹脂により封止する工程と、
前記ターミナルランドフレームの底面を研削し前記フレーム本体を研削除去して、前記ランド構成体をそれぞれ独立させ、かつ隣り合う前記ランド構成体の間の前記封止樹脂に凹部を形成する工程とを有することを特徴とする樹脂封止型半導体装置の製造方法。 - 前記凹部を形成する工程では、前記凹部を曲面とすることを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止型半導体装置の製造方法。
- 前記凹部を形成する工程では、前記ランド構成体を前記封止樹脂より突出させることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止型半導体装置の製造方法。
- 格子状に配列した複数のランド構成体と、
前記ランド構成体に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子と前記ランド構成体とを電気的に接続する接続部材と、
前記ランド構成体の底面を露出するように前記ランド構成体の上面および少なくとも側面の一部と前記半導体素子と前記接続部材とを封止する封止樹脂とを備え、
隣り合う前記ランド構成体の間の前記封止樹脂は凹部を有することを特徴とする樹脂封止型半導体装置。 - 前記凹部は曲面を有することを特徴とする請求項4に記載の樹脂封止型半導体装置。
- 前記ランド構成体は前記封止樹脂の底面から突出していることを特徴とする請求項4または5に記載の樹脂封止型半導体装置。
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