JP4012009B2 - データ再生方法及びデータ再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば放送データ等のデータストリームを再生するデータ再生方法及びデータ再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラジオ装置又はテレビジョン装置において、例えばオーディオデータ又はビデオデータ等、様々な種類のデータが再生されている。例えば、このオーディオデータ又はビデオデータは、生のデータストリーム及び/又は放送データストリームであり、このようなデータストリームは対応する装置により受信され、再生されてユーザに提供される。以下では、ラジオ装置について説明するが、本発明の適用範囲は、ラジオ装置に限定されるものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在のラジオ装置では、聴取者は、選局はできても番組に影響を与える機会はない。さらに、現在のラジオ装置は、非インタラクティブであり、聴取者は、通常、実際に聴取している番組に束縛されている。
【0004】
放送局が特定の嗜好を有するユーザに特化され、選択された音楽ジャンルからの曲のみを放送する場合であっても、一部の曲やニュースがユーザの好みに合わない可能性は十分にある。例えば、一時間毎にニュースが放送される場合、そのニュースに興味がないユーザも強制的にそのニュースを聴取しなければならない。
【0005】
交通情報の増大もラジオ放送局にとって問題となっている。ラジオ放送局は、自動車を運転中の聴取者に対しては、最良の交通情報提供サービスを行うことを望むが、屋内にいる聴取者又はルート設定を動的に行うカーナビゲーション装置を有するユーザは、このような交通情報提供サービスには興味がなく、交通情報のアナウンスメントを邪魔に感じる。さらに、聴取者は、自らの位置に近い場所に関する情報のみに興味があり、ラジオ放送局の受信可能な範囲全体の情報に興味があるわけではない。
【0006】
現在、聴取者がラジオ放送局に聴取料を支払っても、広告スポット(advertising spots)の聴取を回避する手法はない。聴取者は、通常、好みの放送局の放送を聴取するので、広告スポットをなくす代わりに聴取者から聴取料を徴収する新たなラジオ放送局を開局しても、根本的な解決にはならない。
【0007】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、放送データストリームからの情報を失うことなく、再生データストリームを柔軟に再生できるデータ再生方法及びデータ再生装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るデータ再生方法は、放送データのデータストリームを再生するデータ再生方法において、放送データストリームを受信するステップと、第1のデータストリームを準備するステップと、放送データストリーム及び第1のデータストリームを一時的記憶装置に記憶することにより、放送データストリーム及び第1のデータストリームの派生データストリームを生成するステップと、放送データストリーム及び/又は放送データストリームの派生データストリームに基づいて、再生データストリームを生成するステップと、再生データストリームを再生するステップとを有し、放送データストリームの代わりに、第1のデータストリーム及び/又は第1のデータストリームの派生データストリームの少なくとも一部を再生データストリームに含ませて再生する際に、放送データストリームのセグメントのカテゴリと第1のデータストリームのセグメントのカテゴリとが同じレベルの優先度を有する場合、第1のデータストリームのセグメントの再生が終了したときに、一時的記憶装置にバッファリングすることにより遅延された放送データストリームの派生データストリーム及び/又は放送データストリームの派生データストリーム又はその一部の最初から、放送データストリームの派生データストリームが放送データストリームと時間的に一致するまで、音声の歪みがユーザによって気づかれないような通常の再生速度よりも速い速度で再生し、放送データストリームのセグメントのカテゴリの優先度が、現在再生中の第1のデータストリームの派生データストリームのカテゴリの優先度よりも高い場合、第1のデータストリームの派生データストリームの再生を直ちに停止し、高い優先度を有する放送データストリームのセグメントを直ちに再生することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るデータ再生方法は、例えば、放送データストリームがラジオ番組であるラジオ装置に適用することができるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。本発明を適用したラジオ装置は、交通情報のアナウンスメントを非常に効率的且つ柔軟に行うことができる。すなわち、交通関連のアナウンスメントは、ユーザの要求に基づいてフィルタリングすることができる。さらに、本発明に基づくデータ再生方法により、ラジオ放送局は、異なるレベルの宣伝広告を提供することができ、したがって、新たなビジネスモデルを構築できる。なお、本発明に基づくデータ再生方法は、例えば、テレビジョンの音楽チャンネル等、テレビジョン放送にも適用することができる。本発明は、例えば数分程度の限定された長さを有する複数のセグメントから構成されたデータストリームに対応する全ての生のデータ放送に好適に適用することができる。
【0010】
また、本発明に基づくデータ再生方法は、好ましくは、少なくとも放送データストリームにセグメントデータ及び/又はカテゴリデータを準備するステップと、セグメントデータ及び/又はカテゴリデータに基づき、放送データストリームの少なくとも一部及び/又はセグメントを再生データストリームの一部及び/又はセグメントとして選択するステップとを有する。
【0011】
このラジオ装置の例からわかるように、本発明では、ラジオオーディオストリームの生来的なセグメントを利用する。このようなストリームは、曲、レポート、交通情報、使用情報(use)及び広告スポットを連続的に配列するように構成されている。これらのセグメントには、オーディオデータベースから曲及びスポットとして再生されるセグメントと、番組の司会による生の音声であるセグメントとがある。ラジオ装置におけるストレージバッファにおいて、セグメント情報を活用することにより、オーディオセグメントを再構築することができる。特に、第2のオーディオソース又は一時的記憶装置からの第1のデータストリームと、各セグメントのコンテキスト情報を組み合わせることにより、ユーザは、自らの好みの放送局の放送を聴取しながら、再生データを柔軟に制御することができる。
【0012】
この場合、例えば、聴取中のセグメントの残りの部分をスキップして、例えば曲又はニュースである次のセグメントを開始させることもでき、現在再生されているセグメントを最初から再生し直すこともでき、ユーザからの要求に応じて現在再生中のセグメントを記録することもでき、所定の異なる基準に基づいてセグメントをフィルタリングすることもできる。スキップ及び記録は、あらゆるセグメントに適用できるが、フィルタリングは、特に交通情報及び広告スポットに好適に適用できる。さらに、スキップ機能に加えて、上述した再生データストリームに含まれる第1のデータストリームの部分及び/又はセグメントに対して巻戻し又は早送り機能を適用することもできる。第1のデータストリームに含まれる曲を巻戻しすことにより、ユーザは、お気に入りの曲又はその一部を繰り返し聴取することができる。また、早送り機能により、ユーザは、気に入らない曲又はその一部の再生を回避することもできる。これにより、ユーザは、再生データストリームに含まれる第1のデータストリームの再生を個別に制御することができる。
【0013】
各派生データストリームは、例えば、対応するデータストリームを一時的バッファ及び/又はオーディオカセット等の永久記憶装置に保存、記録及び/又はバッファリングすることにより生成される。本発明に基づくデータ再生方法の特徴の1つは、例えば放送データストリームに対応するラジオ番組をフィルタリング又はスキップしても、データストリームに中断が発生しない点にある。例えば、一時的記憶装置によりオーディオデータをバッファリングすることにより、上述のようなデータ再生方法に基づいて番組が処理されていることをユーザに感じさせることなく、データストリームの一部及び/又はセグメントを再構成することができる。この場合も、番組は生の番組のままである。
【0014】
上述のように、本発明は、ラジオ放送のみではなく、テレビジョンの音楽チャンネル等のテレビジョン放送にも適用でき、或いはインターネットを介して伝送されるラジオ番組及び/又はテレビジョン番組に適用することもできる。すなわち、本発明は、例えば数分程度の限定された長さを有する複数のセグメントから構成されたデータストリームに対応する全ての生のデータ放送に好適に適用することができる。
【0015】
好ましくは、再生データストリームの一部及び/又はセグメントは、再生中にユーザの要求に応じて記録できるようにするとよい。
【0016】
さらに、上述した第1のデータストリームの一部及び/又はセグメントは、例えば一時的記憶装置からの一時的データストリームから選択してもよい。この場合、第1のデータストリームの特定の部分及び/又はセグメントは、ユーザの要求に応じて一時的記憶装置に記憶され、これにより、第1のデータストリームの一部及び/又はセグメントを再生データストリームに含ませ、再生することができる。これに代えて、ユーザは、特定の曲をこの一時的記憶装置に保存し、この曲を再生データストリームに含ませることもできる。この場合、ユーザが曲のリストをスクロールして所望の曲を選択できるようにしてもよい。
【0017】
セグメントデータ及び/又はカテゴリデータは、放送データストリームから生成され、及び/又は放送データストリームとともに供給される。放送データストリームのセグメント構造に関する情報は、ラジオ放送局が直接提供するようにしてもよい。セグメント情報がラジオ放送局から直接提供される場合、セグメント情報は、放送データストリームと正確に整合するため、上述の処理は非常に高い精度で実行することができる。これに代えて、セグメント情報を抽出する信号プロセッサを備える独立した外部サーバを設けてもよい。例えば、複数のラジオ装置をクライアントとする中央サーバを設けることにより、強力な演算リソースを効率的に共有することができ、したがって、より良好なセグメント化を実行することができる。
【0018】
さらに、再生データストリームの選択及び/又は再生を制御するための再生制御データを生成してもよい。この場合、再生データストリームに所望とするデータストリームを含ませて再生する際に、この再生制御データから生成され、及び/又は再生制御データに基づいて生成される第1の制御信号に基づいて再生されるようにしてもよい。再生制御データは、例えば、ユーザが好みのデータストリームセグメントの種類を定義することにより設定されたデフォルト設定に基づいて生成してもよい。ユーザは、デフォルトとして、例えば、放送データストリームに含まれるセグメントのうち、交通情報以外の全てのセグメントが再生データストリームとして再生されるような設定を行うこともできる。この場合、放送データストリームにおいて交通情報が放送されている期間は、第1のデータストリーム、すなわちユーザの好みの曲が再生データストリームに含まれ、再生される。放送データストリームにユーザが興味を持たない種類のセグメントが含まれていることが認識されると、上述した再生制御データに基づいて、第1の制御信号が生成される。
【0019】
また、第1の制御信号は、ユーザからの要求に応じて生成してもよい。この場合、ユーザは、例えばラジオ装置に設けられた操作ボタンを操作し、これにより、再生データストリームとして再生されている放送データストリームの実際の部分及び/又はセグメントの聴取を自発的に拒否することができる。すなわち、この操作ボタンを押すことにより、第1の制御信号が生成され、これにより第1のデータストリーム、例えばユーザの好みの曲が再生データストリームに含まれ、再生される。なお、第1のデータストリームの少なくとも一部に由来するユーザの好みの曲の再生の間、放送データストリームに含まれるユーザが興味を有する情報は失われず、すなわち、後に再生できるように保存される。
【0020】
さらに、第1のデータストリーム及び/又はその派生データストリームの一部は、これら第1のデータストリーム及び/又はその派生データストリームの一部が記憶されたリストから選択されるようにしてもよい。この場合、ユーザは、例えばラジオ装置に設けられたディスプレイに表示されるリストから、第1のデータストリームに含まれる好みの曲の1つを選択し、再生データストリームに含ませ、再生させることができる。
【0021】
放送データストリームの少なくとも一部の派生データストリームは、再生データストリームとして、放送データストリームに時間的に一致するように、通常の再生速度より速く又は遅く再生してもよい。上述の例では、ユーザの好みの曲の再生中も放送データストリームに対応するラジオ放送局からの生の番組が継続して受信される。したがって、この好みの曲が終了しても、生の番組に対応する放送データストリームの再生を直接開始するのではなく、派生データストリームとして保存されている放送データストリームのセグメントを再生し、これにより、番組が処理されていることをユーザに感じさせることなく、処理を行うことができる。生の番組に「追いつく」ためには、放送データストリーム又は少なくともその一部の派生データストリームの再生速度を通常の再生速度より若干速く再生する。この場合、オーディオ的な歪みがユーザに知覚されない程度に再生速度を速めることが望ましい。この放送データストリームの派生データストリームは、放送データストリームからの遅延が解消され、放送データストリームに実質的に同期するまで通常より速い速度で再生される。或いは、この派生データストリームを放送データストリームに同期させるために、派生データストリームを通常の再生速度よりも遅く再生する場合もある。すなわち、放送データストリームの派生データストリームを通常より速く又は遅く再生することにより、生の番組に「追いつく」ことができる。
【0022】
また、再生データストリーム及び/又は第1のデータストリームのセグメントのカテゴリは、複数の異なる優先度を有し、この優先度が高い放送データストリームのセグメント又はその派生セグメントについては、再生データストリームに無条件に含まれ、略即時的に再生される。
【0023】
本発明は、例えば、ラジオ番組とともに放送される交通関連のメッセージの処理に好適に適用できる。交通関連のメッセージは、通常、純粋に所要時間に関連する一般交通関連メッセージと、運転者に潜在的な危険を告知し、したがって運転者の安全に直接関わる警告メッセージとの2つのカテゴリに分類される。ここで、例えば、上述した再生制御データのデフォルト設定により、運転者が興味を有さない放送データストリームに含まれる一般交通関連メッセージについては、再生データストリームに含ませず、したがって再生されないようにすることができる。放送データストリームにおいてこのような一般交通関連メッセージが含まれている場合、これに代えて、第1のデータストリームの一部である運転者の好みの曲を再生データストリームに含ませ、再生してもよい。一方、警告メッセージの優先度は、運転者の好みの曲の優先度より高い。したがって、放送データストリームに警告メッセージが含まれている場合、好みの曲の再生は即時に中断され、警告メッセージ又は警告メッセージの派生セグメントが再生データストリームに含まれ、即時に再生される。
【0024】
さらに好適な実施の形態においては、例えばカーナビゲーション装置により提供されるラジオ装置の現在位置に関する情報に基づき、警告メッセージをフィルタリングしてもよい。これにより、運転者は、自らの現在位置付近における安全に関わる交通メッセージのみを聴取することができる。さらに、ラジオ装置にこのオプションを設けてもよい。例えば、自動車に搭載されたラジオ装置では、通常、交通関連メッセージを再生し、家庭内に設置されたラジオ装置では、交通関連メッセージを再生しないようにしてもよい。さらに、このデフォルト設定は、ユーザにより上書きすることができる。この処理は、例えばラジオ装置に交通関連メッセージのオン/オフボタンを設け、ユーザがこのオン/オフボタンを操作することにより行うことができる。
【0025】
また、再生データストリームは、放送データストリーム又はその派生データストリームを連続的に及び/又は中断することなく再生することにより構築してもよい。或いはこれに代えて、又はこれに加えて、再生データストリームは、第1のデータストリーム及び/又はその派生データストリームを連続的又は中断することなく再生することにより構築してもよい。このような再生データストリームは、選択された一部又はセグメント又はその派生セグメントの終端と始端を順次円滑に連結することにより構築できる。この結果、ユーザは、バックグランドチャンネルが存在することを意識せず、生のラジオ番組が本発明に基づいて処理されていると感じることもない。
【0026】
放送データストリームは、アナログ信号により表されていてもデジタル信号により表されていてもよい。放送データストリームがアナログデータストリームである場合、FM方式において知られる、いわゆるラジオデータシステム(RadioData System:RDS)信号を用いて、少なくとも放送データストリームに関するセグメント情報を提供してもよい。一方、放送データストリームがデジタルデータストリームである場合、セグメント情報は、いわゆる番組関連データ(Program Associated Data:PAD)により提供できる。また、セグメント情報は、インターネットを用いて、インターネットプロトコル(Internet Protocol:IP)を介して送信してもよく、このラジオ装置において使用できる他のネットワーク接続を介して送信してもよく、他のいかなるデジタル通信チャンネルを介して送信してもよい。
【0027】
さらに、放送データストリームは、テレビジョン番組に対応するものであってもよい。
【0028】
また、上述の目的を達成するために、本発明に係るデータ再生装置は、上述のデータ再生方法に基づいてデータストリームを再生する。
【0029】
以下、本発明をより明瞭にするための説明を行う。以下の説明では、上述のデータ再生方法を適用したラジオ装置の具体例を説明する。しかしながら、本発明はこのような具体例に限定されるわけではなく、様々な態様で実現できる。具体例に示すラジオ装置は、アナログ又はデジタル方式を用いた従来のラジオ伝送チェインに基づくものであってもよい。さらに、スキップ又はフィルタリング処理により生じる間隙を埋めるために、この他のオーディオソースからのデータを使用してもよい。
【0030】
この他のオーディオソースは、ラジオ装置におけるダブルチューナコンセプト(double tuner concept)により実現でき、この場合、追加される曲は、代替となるラジオ放送局からの放送に基づくものであってもよく、優先度を有するリストにおいて編成してもよい。デジタルオーディオ放送(Digital Audio Broadcast:DABシステム)においては、アンサンブル(ensemble)内の他のオーディオソースとして使用してもよい。また、DAB等のデジタル放送チャンネルでは、番組提供業者(provider)は、DABパケットモード等により狭帯域データチャンネルを用いて、代替的なオーディオソースを提供してもよい。この狭帯域チャンネルは、オーディオチャンネルとして完全な帯域幅を有する必要はなく、さらに、この狭帯域チャンネルを他のラジオ番組と共有してもよい。代替的なオーディオソースは、放送というよりは、むしろファイル転送の意味合いが濃く、したがって、この目的のためにマルチメディアオブジェクト転送(Multimedia Object Transfer:MOT)を用いてもよい。さらに、ローエンドのラジオ装置では、ユーザがラジオ装置をオフにしている間に、通常の番組から代替として使用する曲を入手してもよい。ラジオ装置をオンにしてから代替的なオーディオセグメントが使用できるようになるまでのスタートアップ時間を短縮するために、少なくとも1つの曲を永久記憶装置の媒体に永久的に保存しておいてもよい。
【0031】
このようなラジオ装置が機能するためには、ラジオ装置は、少なくとも各オーディオセグメントの開始点に関する情報、例えばオーディオストリームのセグメント情報を知る必要がある。このセグメント情報は、例えば、上述した放送データストリームに対応する入力オーディオストリームを処理する信号プロセッサをラジオ装置内に設けることにより抽出することができる。オーディオストリームのセグメントを抽出するために、ポーズ検出、音声/音楽の区別、又は拍数の検出など、幾つかの周知の手法を用いることができる。基本的には、信号の音量及びスペクトルを時間的に分析することにより、セグメントを検出することができる。これに代えて、さらに設けられる通信インタフェースを介して、セグメント情報を外部から供給するようにしてもよい。
【0032】
セグメントの再生に関しては、セグメントのコンテンツに応じていくつかの制約を設けることができる。すなわち、幾つかのセグメントをスキップ又はフィルタリングする一方で幾つかのセグメントの再生を保証することができる。さらに、遅延することなく即時にユーザに提供すべき情報を含むセグメントもあり、この場合、他のセグメントの再生を中断する必要がある。もちろん殆どのコンテンツは、遅延させることができ、或いはラジオ装置によりスキップ又はフィルタリングすることができるカテゴリに属している。スキップ又はフィルタリングすることができるカテゴリとしては、例えば、運転者の安全に直接関わらない一般交通関連情報、ニュース、音楽、レポート又はスポーツ中継等がある。一方、即時に再生すべきカテゴリとしては、交通に関する警告及び交通又はその他の緊急メッセージ等がある。
【0033】
このようなコンテンツの特徴付けは、セグメントのコンテンツが既知である場合にのみ行うことができる。ラジオ放送局がセグメントのコンテンツを識別する情報を提供していない場合、交通メッセージ以外の全て(広告スポットを含む)をスキップし、フィルタリングし、或いは遅延させることができる。交通関連のアナウンスメントは、通常、ラジオ放送局により送信(signal)されており、このようなアナウンスメントは、再生中の音声を中断して、ユーザに即時に提供する必要がある。
【0034】
上述のラジオ装置の機能を完全に実現するためには、ラジオ放送局又はサーバは、各セグメントに関する開始時刻情報、期間情報、カテゴリ情報、及び可能であれば出来事に関連する位置情報といった4つのパラメータを送信する必要がある。セグメントの開始時刻は、ラジオ装置が機能するために必要な基本的情報であり、他のパラメータは、追加的な特徴及び機能を実現するために必要な情報である。
【0035】
また、RDS方式において周知の手法により、各曲又はニュースのタイトル、解説等のコンテキスト情報を送信することもできる。さらに、例えば、レポート、ニュース、音楽等の異なるサブカテゴリにラベルを割り当てることもできる。この場合、ラジオ装置は、所定のカテゴリを自動的にスキップし、例えば、ユーザは、毎時のニュースがスキップされた同じラジオ番組を聴取することができる。
【0036】
このような拡張機能は、例えば、ラジオ装置に2つの操作ボタンを追加することにより実現できる。第1の操作ボタンは、スキップボタンであり、ユーザは、例えば、好みに合わないニュースや曲等、現在の放送データストリームに含まれる現在の曲又はレポートをスキップすることができる。第1の制御信号は、このスキップボタンを押すことにより生成され、これにより、放送データストリームに代えてユーザの好みの曲を含む第1のデータストリームの少なくとも一部が再生データストリームに含まれて再生される。
【0037】
第2のボタンは、録音ボタンである。このボタンによりユーザは、ラジオ装置が曲又はレポートを再生しているとき、その曲又はレポートを永久記憶装置の媒体に記録することができる。曲又はレポートについては、開始時刻及び終了時刻に関する情報が提供されているため、永久記憶装置の媒体には、例えば曲の前後の無駄な部分が録音されてしまうこともない。
【0038】
ユーザが現在のセグメントをスキップできれば、ユーザが聴取する放送局を変更する可能性が低くなる。したがって、本発明によれば、放送局は、聴取率を維持することができる。
【0039】
さらに、操作ボタンの付近にインジケータを設け、ラジオ装置が現在、対応する動作を行うことができるか否かを示してもよい。ラジオ装置が時間的に十分な代替セグメントを保存しており、この異なる代替セグメントへの切換が可能な場合、利用可能な代替セグメントのリストをディスプレイに表示するようにしてもよい。この場合、ラジオ装置には、利用可能なオーディオセグメントのリストを順方向及び逆方向にスクロールするための2つの操作ボタンを設けてもよい。
【0040】
セグメントのスキップ及び記録に加えて、異なるレベルのオーディオストリームに対するフィルタリングを行ってもよい。例えば、交通関連のアナウンスメントをオン又はオフに切り換えてもよく、ユーザの現在位置に基づいて、メッセージをフィルタリングしてもよい。さらに、ユーザの要求に応じて、ニュース、レポート、スポーツ中継をフィルタリングにより再生データストリームから除外してもよい。
【0041】
本発明に基づいて実現される交通情報通知システム(traffic handling system)は、非常に柔軟であり、広範囲に亘る受信機に適応することができる。すなわち、従来の受信機は、現状のまま全てのサービスを受信及び再生し、本発明に基づく新たなラジオ装置は、メッセージをフィルタリング及びスキップでき、及び交通関連のアナウンスメントをオン又はオフに切り換えることができる。
【0042】
放送局は、警告のための音声によるメッセージと、一般交通情報用のデータチャンネルとを組み合わせて交通サービスとして提供することができる。放送局は、このような交通関連サービスの提供により、他の放送局に対するサービスの明確な差別化を図ることができる。
【0043】
フィルタリング及びスキップ機能は、番組に適用されるが、ユーザは生の番組を聴取することができ、ラジオ装置によりバックグランドで実行されている処理を意識する必要はない。特に、新たに配列されたセグメント間に空隙や中断は生じない。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るデータ再生方法及びデータ再生装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
本発明が適用される複数のデータストリームを図1に示す。図1の下部に示す矢印tは、左から右にデータストリームの時間の流れを表している。また、各データストリームは、特定のカテゴリに属する少なくとも1つのセグメントを含む。
【0046】
具体的には、図1の最上部には、様々なセグメントS1,1〜S1,7を含む放送データストリームRDSを示す。以下の説明においては、この放送データストリームRDSは、放送されるラジオ番組の生のデータストリームに対応する。すなわち、放送データストリームRDSは、本発明に基づくデータ再生方法を実現するラジオ装置に供給される。なお、本発明は、このような具体例により制限されるものではなく、他のいかなる適切なデータストリームに適用してもよい。
【0047】
放送データストリームRDSのセグメントS1,1は、例えば、「音楽」のカテゴリに関連し、他のセグメントは、例えば「ニュース」、「交通情報」、「司会(moderations)」等のカテゴリに関連している。
【0048】
さらに、図1の最下部に示す第1のデータストリームDS2は、様々なセグメントS2,1〜S2,6を含んでいる。この第1のデータストリームDS2は、例えば、一時的記憶装置(instant memory means)に記憶されている。ユーザは、この第1のデータストリームDS2のセグメントS2,1〜S2,6をユーザの嗜好に適合するように編成する(organize)ことができる。換言すれば、セグメントS2,1〜S2.6には、ユーザの好みの作曲者又はアーチストによる楽曲を含ませることができる。
【0049】
さらに、図1の中央に示す再生データストリームPDSは、様々なセグメントPS1〜PS6を含む。放送データストリームRDSと再生データストリームPDSとの間の領域は、一時的記憶装置(temporary storage means)に対応し、ここでは、放送データストリームRDSの派生データストリーム(derivative)D−RDSが生成される。派生データストリームD−RDSは、放送データストリームRDSに含まれるセグメントS1,1〜S1,6に基づくセグメントSS1,1〜SS1,6を含む。同様に、再生データストリームPDSと第1のデータストリームDS2との間の領域は、他の一時的記憶装置(temporary storagemeans)に対応し、ここでは、第1のデータストリームDS2の派生データストリームD−DS2が生成される。
【0050】
再生データストリームPDSでは、セグメントPS1の次にセグメントPS2が再生され、セグメントPS2の次にPS3が再生され、このように各セグメントが順番に再生される。すなわち、再生データストリームPDSの各セグメントは、矢印tで示す時間軸に沿って、中断することなく連続的に順次再生される。
【0051】
ラジオ装置が放送データストリームRDSを受信すると、この放送データストリームRDSのセグメントS1,1のコンテンツは、再生データストリームPDSのセグメントPS1として再生される。例えば、セグメントS1,1は、音楽のカテゴリに属し、セグメントPS1が再生されると、ユーザはセグメントS1,1に含まれている音楽を聴取することができる。
【0052】
セグメントデータ(segmentation data)又はカテゴリデータは、放送データストリームRDSを放送するラジオ放送局が生成してもよく、各セグメント情報を抽出する信号プロセッサを備える外部の独立したサーバにより提供してもよい。セグメントデータにより、放送データストリームRDS及び/又は第1のデータストリームDS2における先行するセグメントの終端及び後続するセグメントの始端を検出することができる。
【0053】
ラジオ装置は、入力回路(input means)(図示せず)を備え、これによりユーザは、放送データストリームRDSにおいて、自らが興味を持たないセグメントをスキップするための個別のデフォルト設定を行うことができる。例えば、放送データストリームRDSのセグメントS1,2は、ユーザが聴取を望まない「毎時のニュース」に属する。ユーザが個別のデフォルト設定を定義した後、ユーザが好きな作曲家による楽曲を含む第1のデータストリームDS2のセグメントS2,2が再生データストリームPDSにセグメントPS2として含まれ、第1の制御信号に応じて、セグメントS1,2の代わりに再生される。この第1の制御信号は、再生データストリームPDSの選択及び/又は再生を制御する再生制御データ(reproduction control data:RCD)から、及び/又は再生制御データRCDに基づいて生成される。この具体例においては、セグメントS1,2をスキップし、セグメントS2,2をこのセグメントS1,2に代えて再生データストリームPDSに含ませるための第1の制御信号が生成される。この結果、ユーザは、毎時のニュースに代えて好みの作曲家による楽曲を聴取することができる。
【0054】
さらに、第1のデータストリームDS2及び/又はその派生データストリームD−DS2のセグメントに巻戻し又は早送り機能を適用することもできる。上述の具体例においては、ユーザは、実際に聴取している楽曲を巻戻し、その楽曲又は楽曲の一部を再び聴取することができる。或いは、ユーザは、上述の早送り機能を用いて、好みではない楽曲又は楽曲の一部の聴取を回避することもできる。
【0055】
図1に示すように、放送データストリームRDSの派生データストリームD−RDS及び第1のデータストリームの派生データストリームD−DS2を生成し、それぞれの対応するコピーが例えば一時的記憶装置(temporary storage means)に保存される。上述の具体例においては、セグメントS2,2は、再生データストリームPDSに含まれ、セグメントPS2として再生されるとともに、放送データストリームRDSのセグメントS1,3に派生するセグメントSS1,3が生成され、これによりセグメントS1,3のコピーが対応する一時的記憶装置に保存される。このユーザの好みの作曲家による楽曲の終了と同時に、すなわち、再生データストリームPDSのセグメントPS2の終了と同時に、再生データストリームPDSにおいて、上述したセグメントS1,3の派生セグメントSS1,3が再生される。派生セグメントSS1,3の始端は、セグメントPS2の終端に一致するため、再生データストリームが不用意に中断されることはない。このような処理により、ユーザは、放送データストリームRDSに対応する生の番組のセグメントのうち、好みに合わないセグメントをスキップできるとともに、ユーザは、番組がこのように処理されていることを意識する必要がない。したがって、放送データストリームRDSのあるセグメントに代えて、第1のデータストリームDS2の一部が再生データストリームPDSに含まれて再生されるとともに、放送データストリームRDSの後続するセグメントの派生セグメントが生成される。これにより、ユーザにとって重要な情報は欠落せず、放送データストリームRDSのセグメントに対応する派生セグメントは、再生データストリームにおける先行するセグメントに連結される。
【0056】
放送データストリームRDSの派生セグメントを再生している間、この派生セグメントの再生速度は、再生音声に歪みを生じさせることなく若干速められ、これにより派生データストリームD−RDSのセグメントと、対応する放送データストリームRDSのセグメントとの間の遅延が解消される。この具体例においては、再生データストリームPDSのセグメントPS3として再生される派生セグメントSS1,3は、セグメントPS3の終端が後続する放送データストリームRDSのセグメントS1,4の始端に一致するように通常の再生速度より若干速く又は遅く再生される。これにより、この後、派生ストリームではない放送データストリームRDSのセグメントS1,4が再生データストリームPDSのセグメントPS4として再生され、ユーザは、遅延がない生の番組を再び聴取することができる。
【0057】
第1のデータストリームDS2の派生データストリームD−DS2における派生セグメントSS2,5、SS2,6は、第1のデータストリームDS2のセグメントから派生したセグメントである。放送データストリームRDSのセグメントS1,5、S1,6がユーザにとって興味がないカテゴリに属するものである場合、これらのセグメントS1,5、S1,6に代えて、対応する派生セグメントSS2,5、SS2,6が再生データストリームPDSのPS5、PS6として再生される。セグメントS2,2に関して先に説明したように、セグメントSS2,5、SS2,6は、例えばユーザが視聴を好む楽曲等を含むカテゴリに属する。
【0058】
上述の説明は、放送データストリームRDSのセグメントのカテゴリと、第1のデータストリームDS2のセグメントのカテゴリが同レベルの優先度を有し、特定のセグメントの選択は、再生制御データ及びユーザによる個別のデフォルト設定に基づいて行われるとの仮定に基づいている。ところが、例えば交通情報の分野では、一時的に再生データストリームPDSに含まれる第1のデータストリームDS2におけるユーザの好みの楽曲より優先度が高い交通に関する重要な警告(以下、交通警告という。)が発生する場合がある。例えば、放送データストリームRDSのセグメントS1,7が交通警告のカテゴリに属するとする。このカテゴリは、再生データストリームPDSのPS6に含まれる派生セグメントSS2,6における楽曲より高い優先度を有するため、派生セグメントSS2,6が直ちに中断され、再生データストリームPDSにおいて、この重要な交通警告が直ちに再生される。これにより、例えば自動車を運転しているユーザの安全が保証される。
【0059】
以下、上述の処理を実行するに当たり、ユーザにとって有益な本発明の更なる利点について説明する。第1のデータストリームDS2からの一楽曲が再生可能な状態となると、ユーザは、現在再生中の楽曲又はニュースをスキップし、このだい1のデータストリームDS2に含まれる楽曲に切り換えることができる。この切換は、第1のデータストリームDS2からの楽曲の全体が再生可能な状態となる以前に実行することもできる。すなわち、再生時間の終了時までに、楽曲全体のデータが再生可能な状態となっていればよい。この第1のデータストリームDS2からの楽曲再生が終了すると、再び放送データストリームRDSのセグメントが再生される。このとき、再生音声が中断しないように、この処理では、放送データストリームRDS自体を再生するのではなく、放送データストリームRDSの派生データストリームD−RDSのセグメントを再生する。したがって、バッファリングにより、楽曲又はニュースの再生を遅延させることができる。ユーザは、自らの要求に基づく代替的な楽曲への切換を意識するのみで、放送データストリームRDSへの再帰は意識しなくてよい。これにより、放送データストリームRDSに対応する生の番組は、スキップ処理が実行された後に極めて短い時間遅延されるだけで、ユーザは生の番組との同期を維持することができる。
【0060】
この放送データストリームRDSからの派生セグメントの再生は、放送データストリームRDSの再生と同様に中断される。再生音声は、ユーザの要求に応じて、一時的記憶装置に格納されている第1のデータストリームDS2に切り換えることができる。また、再生音声は、ユーザの要求に応じて、この一時的記憶装置から再び放送データストリームRDSに切り換えることもできる。ユーザの観点からは、この処理は、代替的な楽曲に切り換えた後に直ぐに実行可能なもう1つのスキップ処理であるといえる。ユーザは、通常、バックグランドチャンネル(background channel)の存在を意識する必要はない。ユーザは、常に現在の楽曲をスキップする操作を行うのみであり、この操作の後、番組は、中断又は不連続を生じさせることなく、継続する。
【0061】
このラジオ装置が多くの楽曲を記憶する十分な記憶容量を有していれば、ユーザは、次の楽曲をランダムに又はリストから楽曲を選択することにより切り換えることができる。この場合、ラジオ装置には、再生可能な楽曲のリストをスクロールするための2つの操作ボタンを設けてもよい。
【0062】
このような処理を実行するラジオ装置の具体例について、図2を用いて説明する。このラジオ装置は、デジタル信号を出力するチューナ1と、このチューナ1が出力したデジタル信号を保存する一時的記憶装置2と、上述した再生データストリームPDSに対応する、一時的記憶装置2から再生されたデジタルオーディオ信号を処理する出力部3とを備える。さらに、ラジオ装置は、オーディオ信号をセグメント化する第1の信号プロセッサ4と、この信号プロセッサ4によるセグメント情報に基づき、オーディオセグメントの再生を制御するコントローラ5とを備える。さらに、このラジオ装置には、他のオーディオソースからの信号を受信する第2のチューナ6を設けてもよい。さらに、ラジオ装置には、オーディオ再生中に単に操作ボタンを押すだけで、オーディオセグメントを記録することができる永久記憶装置(permanent storage means)7を設けてもよい。さらに、このラジオ装置は、放送データストリームRDSのセグメント情報及びセグメントに関する追加的コンテキスト情報を外部から受信する追加的通信ポート8を備えていてもよい。デジタルオーディオ放送(Digital Audio Broadcast:DAB)においては、この情報はプログラム関連データ(Program Associated Data:PAD)チャンネルを介して送信してもよく、周波数変調(Frequency Modulation:FM)方式においては、ラジオデータシステム(Radio Data System)を介して送信してもよい。これに代えて、これらの情報は、インターネットを用いて、インターネットプロトコル(Internet Protocol:IP)を介して送信してもよく、このラジオ装置において使用できる他のネットワーク接続を介して送信してもよく、他のいかなるデジタル通信チャンネルを介して送信してもよい。
【0063】
上述した処理における全体のデータフローを図3に示す。図3に示すシステムは、3つのブロック、すなわちラジオ放送局9、ラジオ装置10及び独立した外部サーバ11から構成されている。なお、外部サーバ11は、特に設けなくてもよい。ラジオ装置10においては、オーディオデータベース9a及び番組司会者によって発声されたアナウンスメント9bから、曲及びニュースとしてオーディオセグメントを結合することにより、上述した放送データストリームRDSに対応するオーディオストリームが生成される。ラジオ装置10は、放送データストリームRDSとして受信したオーディオストリームからセグメント情報を抽出する信号プロセッサ12を備える。信号プロセッサ12は、抽出したセグメント情報をオーディオスプリッタ13に供給し、オーディオスプリッタ13は、オーディオストリームから元のセグメントを抽出する。
【0064】
上述のセグメント構造は、最良の場合における構造にすぎない。すなわち、セグメントの抽出は、完全なものではなく、いかなる場合も正しく機能することが保証されているわけではない。そこで、この基本的な処理の性能を向上させる2つの手法を説明する。第1の手法では、セグメント構造は、ラジオ放送局9から直接供給される。ラジオ放送局から直接入手されるセグメント情報は、放送ストリームに正確に整合していることが期待され、したがって、この手法は最も望ましい手法である。ラジオ放送局は、コマーシャルが挿入されない番組を提供するために聴取者に課金することにより、より高品質なサービスを提供でき、新たなビジネスを確立できる。ラジオ放送局によるセグメント情報の提供に対応して、ラジオ装置10は、セグメント情報を提供するラジオ放送局からの放送データに対しては、広告スポットをスキップ及びフィルタリングできるようにしてもよい。
【0065】
第2の手法では、独立した外部サーバ11を用いる。外部サーバ11は、セグメント情報を抽出する第3の信号プロセッサ12aを備える。外部サーバ11は、全ての受信クライアントにサービスを提供する中央サーバとしても機能するため、ラジオ装置において行うよりも良好なセグメント化を実現できるより充実した演算リソースを設けることができる。
【0066】
図4は、上述の処理により実行される異なる種類の交通メッセージのより高度な処理オプションを説明する図である。通常、交通関係のアナウンスメントは、例えば、純粋に所要時間に関連する一般交通関連メッセージ14と、運転者に潜在的な危険を告知し、したがって運転者の安全に直接関わる警告メッセージ15との2つのカテゴリに分類される。ラジオ装置10の能力に応じて、これらのメッセージは、それぞれ異なる手法で処理することができる。第1のユーザ16は、ナビゲーション装置16aを使用している。このナビゲーション装置16aは、道路渋滞を考慮して目的地に最も早く到達できるルートを選択するため、第1のユーザ16は、一般交通関連メッセージ14を聴取する必要がない。ナビゲーション装置16aは、RDS−TMC等、ナビゲーション装置16aにより読取可能なデータチャンネルを介して交通関連データを受信してもよい。ナビゲーション装置16aは、第1のユーザ16に進行方向に関する情報のみを提供するものであってもよい。
【0067】
この場合も、ユーザ16は、警告メッセージ15の音声アナウンスメントを聴取する必要がある。音声によるアナウンスメント9b(図3参照)により放送を介して提供される警告メッセージ15は、RDS−TMC等のデータサービスにおいてコード化された警告メッセージより遙かに柔軟である。音声メッセージの数を最適化する(削減する)ために、ナビゲーション装置16aにより検出されるラジオ装置10の現在の位置に基づき、第1のフィルタ17を用いて警告メッセージをフィルタリングしてもよい。これにより、ナビゲーション装置16aのユーザ16は、自らの現在位置周辺の安全に関わる交通メッセージのみを聴取することができる。
【0068】
標準的なラジオ受信機では、現在位置を検出することができないため、標準的なラジオ受信機を使用する第2のユーザ18は、全ての警告メッセージを聴取する。なお、ここで、第2のフィルタ19を設け、このラジオ受信機の種類又は構成に応じて、一般交通関連メッセージをフィルタリングしてもよい。例えば、車載用ラジオ受信機は、一般交通関連メッセージを提供し、家庭用ラジオ受信機は、一般交通関連メッセージを提供しないようにしてもよい。また、ラジオ受信機に例えば交通アナウンスメントオン/オフボタン(図示せず)を設け、ユーザによりデフォルト設定を上書きできるようにしてもよい。
【0069】
本発明に基づく交通情報処理システムは、高い柔軟性を有し、広範囲に亘る受信機に適用することができる。当分野における現在の受信機は、既に様々なサービスを享受しているが、本発明によれば、さらにメッセージをフィルタリング及びスキップし、交通情報をオン又はオフに制御することができる。
【0070】
放送局は、警告のための音声メッセージと、一般交通関連メッセージのためのデータチャンネルとを組み合わせて交通関連サービスとして提供することができる。放送局は、このような交通関連サービスの提供により、他の放送局に対するサービスの明確な差別化を図ることができる。フィルタリング及びスキップ機能は、番組に適用されるが、ユーザは生の番組を聴取することができ、受信機によりバックグランドで実行されている処理を意識する必要はない。特に、新たに配列されたセグメント間に空隙や中断は生じない。
【0071】
本発明の効果は以下の通りである。
・ユーザは、放送局との同期を失うことなく、曲やニュースをスキップできる。スキップの後も生の番組は中断なく継続する。
・放送局は、聴取者を失うことなく、より品質の高いサービスを提供できる。すなわち、視聴者は、チャンネル内で自らが望まないサービスの聴取を回避する機会があれば、放送局を変更しない。
・ユーザは、一般交通情報をオン及びオフに切り換えることができる。
・交通情報は、ユーザの位置にフィルタリングできる。
・ユーザは、カテゴリにより番組をフィルタリングできる。
・全ての交通情報は、音声アナウンスメントにより告知できるため、放送局が交通関連サービスを行うことができる。
・本発明に基づくラジオ装置は、拡張された機能を有するとともに、従来の受信機も従来通り制限なく使用できるため、非常に柔軟な交通情報システムを構築できる。
【0072】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るデータ再生方法においては、少なくとも1つの放送データストリームを受信し、第1のデータストリームを準備し、放送データストリーム及び第1のデータストリームを一時的記憶装置に記憶することにより、放送データストリーム及び第1のデータストリームの派生データストリームを生成し、放送データストリーム及び派生データストリームに基づいて、再生データストリームを生成し、再生データストリームを再生する。また、放送データストリームの代わりに、第1のデータストリーム(DS2)及び/又は第1のデータストリームの派生データストリームの少なくとも一部を再生データストリームに含ませて再生する際に、放送データストリームのセグメントのカテゴリと第1のデータストリームのセグメントのカテゴリとが同じレベルの優先度を有する場合、第1のデータストリームのセグメントの再生が終了したときに、一時的記憶装置にバッファリングすることにより遅延された放送データストリームの派生データストリーム、及び/又は放送データストリームの派生データストリーム又はその一部の最初から、放送データストリームの派生データストリームが放送データストリームと時間的に一致するまで、音声の歪みがユーザによって気づかれないような通常の再生速度よりも速い速度で再生し、放送データストリームのセグメントのカテゴリの優先度が、現在再生中の第1のデータストリームの派生データストリームのカテゴリの優先度よりも高い場合、第1のデータストリームの派生データストリームの再生を直ちに停止し、高い優先度を有する放送データストリームのセグメントを直ちに再生する。これにより、放送データストリームからの情報を失うことなく、再生データストリームを柔軟に再生できるデータ再生方法及びデータ再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づくデータ再生方法に基づき再生データストリームを生成する原理を説明する図である。
【図2】 本発明を適用したラジオ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明に基づくデータ再生方法の他の具体例におけるデータフローを説明する図である。
【図4】 本発明に基づく高度な交通情報処理システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
RDS 放送データストリーム、D−RDS 派生データストリーム、DS2 第1のデータストリーム、D−DS2 派生データストリーム、PDS 再生データストリーム
Claims (11)
- 放送データのデータストリームを再生するデータ再生方法において、
上記放送データストリームを受信するステップと、
第1のデータストリームを準備するステップと、
上記放送データストリーム及び第1のデータストリームを一時的記憶装置に記憶することにより、該放送データストリーム及び第1のデータストリームの派生データストリームを生成するステップと、
上記放送データストリーム及び/又は該放送データストリームの派生データストリームに基づいて、再生データストリームを生成するステップと、
上記再生データストリームを再生するステップとを有し、
上記放送データストリームの代わりに、上記第1のデータストリーム及び/又は該第1のデータストリームの派生データストリームの少なくとも一部を上記再生データストリームに含ませて再生する際に、
上記放送データストリームのセグメントのカテゴリと上記第1のデータストリームのセグメントのカテゴリとが同じレベルの優先度を有する場合、上記第1のデータストリームのセグメントの再生が終了したときに、上記一時的記憶装置にバッファリングすることにより遅延された上記放送データストリームの派生データストリーム、及び/又は該放送データストリームの派生データストリーム又はその一部の最初から、該放送データストリームの派生データストリームが該放送データストリームと時間的に一致するまで、音声の歪みがユーザによって気づかれないような通常の再生速度よりも速い速度で再生し、
上記放送データストリームのセグメントのカテゴリの優先度が、現在再生中の第1のデータストリームの派生データストリームのカテゴリの優先度よりも高い場合、該第1のデータストリームの派生データストリームの再生を直ちに停止し、該高い優先度を有する放送データストリームのセグメントを直ちに再生することを特徴とするデータ再生方法。 - 少なくとも上記放送データストリームにセグメントデータ及び/又はカテゴリデータを準備するステップと、
上記セグメントデータ及び/又はカテゴリデータに基づき、上記放送データストリームの少なくとも一部及び/又はセグメントを上記再生データストリームの一部及び/又はセグメントとして選択するステップとを有する請求項1記載のデータ再生方法。 - 上記セグメントデータ及び/又はカテゴリデータは、上記放送データストリームから生成及び/又は受信されることを特徴とする請求項2記載のデータ再生方法。
- 上記再生データストリームの選択及び/又は再生を制御し、上記放送データストリームのセグメントのカテゴリを示す再生制御データを生成するステップを有する請求項1乃至3のいずれか1項記載のデータ再生方法。
- 上記放送データストリームの代わりに、上記第1のデータストリーム及び/又は該第1のデータストリームの派生データストリームの少なくとも一部を上記再生データストリームに含ませて再生するステップは、上記再生制御データから及び/又は再生制御データに基づき、上記セグメントのカテゴリを評価することによって生成される第1の制御信号に基づいて再生されることを特徴とする請求項4記載のデータ再生方法。
- 上記第1の制御信号は、ユーザからの要求に応じて生成されることを特徴とする請求項5記載のデータ再生方法。
- 上記第1のデータストリーム及び/又は該第1のデータストリームの派生データストリームの少なくとも一部は、該一部が記録されたリストから選択されることを特徴とする請求項1記載のデータ再生方法。
- 上記再生データストリームの一部及び/又はセグメントは、該一部及び/又はセグメントの再生中に、ユーザからの要求に応じて記録されることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のデータ再生方法。
- 上記放送データストリームは、アナログ信号及び/又はデジタル信号であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のデータ再生方法。
- 上記放送データストリームは、ラジオ番組又はテレビジョン番組に対応していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のデータ再生方法。
- 請求項1乃至10のいずれか1項記載のデータ再生方法に基づいてデータストリームを再生するデータ再生装置。
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