JP4011140B2 - ステロイドサポニン、抗菌剤および抗腫瘍剤 - Google Patents

ステロイドサポニン、抗菌剤および抗腫瘍剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なステロイドサポニンならびに該サポニンを有効成分として含有する抗菌剤および抗腫瘍剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
植物由来の抗菌物質の研究は古くから行われている。この植物由来の抗菌物質を利用して加工食品における変敗を防ぐ試みも行われており、例えば、ユリ科の山菜であるギボウシ(Hosta) 属に属する植物の搾汁液を用いて醤油または醤油を原料とする調味料を製造する方法が知られている(特公昭55-42812号公報参照)。
【0003】
また、ギボウシ属に属する植物は解毒、骨硬などの薬効があることが知られており、その成分についての研究が行われている。例えば、ギボウシ属に属する植物であるタマノカンザシ(Hosta plantaginea) 、トウギボウシ(Hosta sieboldiana) およびイワギボウシ(Hosta longipes)からのギトゲニンやチトゲニン等のステロイドサポゲニンの単離が報告されている(K.Takeda, T.Okanishi and A.Shimaoka,Ann. Rept. Shionogi Res. Lab., 5, 633-634(1955)) 。また、イワギボウシ(Hosta longipes)については、数種のサポニンが配糖体の状態で単離されており、抗腫瘍活性を示すことも報告されている(Y.Mimaki, T.Kanmoto, M.Kuroda, Y.Sashida, A.Nishino, Y.Satomi and H.Nishino, Chem.Pharm.Bull., 43, 1190-1196(1995))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた抗菌性および抗腫瘍性を有する新規ステロイドサポニンを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ギボウシ属のオオバギボウシ(Hosta sieboldiana) から新規ステロイドサポニンを単離することに成功し、本発明を完成した。
本発明は、式(1) :
【0006】
【化2】
Figure 0004011140
【0007】
で表されるステロイドサポニンである。
また、本発明は、式(1) で表されるステロイドサポニンを有効成分として含有する抗菌剤である。
さらに、本発明は、式(1) で表されるステロイドサポニンを有効成分として含有する抗腫瘍剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の式(1) で表されるステロイドサポニンは、例えば、ギボウシ属のオオバギボウシ(Hosta sieboldiana) から抽出することができる。例えば、オオバギボウシの葉から適当な溶媒を用いて抽出を行い、得られた抽出液からカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を繰り返し行うことにより、式(1) で表されるステロイドサポニンを単離することができる。抽出に用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒;または水とこれらの有機溶媒との混合溶媒等を用いることができるが、その中でも50%エタノール−水を用いるのが好ましい。また、抽出は加熱還流しながら行ってもよい。得られた抽出液については、さらに酢酸エチルで抽出を行って酢酸エチル層を除去した後、残った層をブタノールにて抽出し、ブタノール抽出物について上記クロマトグラフィーによる分離を行うのがより好ましい。
【0009】
本発明のステロイドサポニンはデバリオマイセス ポリモルファス(Debaryomyces polymorphus)等のデバリオマイセス属に属する微生物、チゴサッカロマイセス ルキシイ(Zygosaccharomyce rouxii) 等のチゴサッカロマイセス属に属する微生物等に対して優れた優れた抗菌活性を示すので、抗菌剤として有用である。本発明の抗菌剤は、例えば、酵母による「湧き」が問題となる食品の加工の際に添加することにより「湧き」を防止することができる。本発明のステロイドサポニンを抗菌剤とする場合、ステロイドサポニンをそのままで直接用いることもできるが、適当な粉末担体と混合するかもしくはこれに吸着させて液剤、粉剤等の製剤として用いることもできる。また、必要に応じて乳化剤、分散剤、懸濁剤、安定剤等を添加することも可能である。本発明の抗菌剤を食品に添加する場合には、食品中のステロイドサポニンの濃度が、通常1〜1000ppm となるようにする。
【0010】
また、本発明のステロイドサポニンは抗腫瘍活性を示すので、抗腫瘍剤として有用である。本発明のステロイドサポニンを抗腫瘍剤として用いるにあたり、通常の製剤的担体とともに製剤組成の形態に加工することができ、経口的にまたは注射により投与しうる形態に加工することができる。例えば、注射剤として調製される場合、得られる製剤は殺菌されかつ血液と等張であるのが好ましい。注射剤の形態に成形するのに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものを使用することができる。例えば、水、生理食塩水等を挙げることができる。尚、この場合の等張性の溶液を調製するのに十分な量の食塩、或いはグリセリンを注射剤の形態の製剤中に含有せしめてもよい。また、上記製剤には通常の緩衝液、無痛化剤、保存剤等、更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品をも含有せしめるものである。また、上記有効成分は、使用時に注射用蒸留水に溶解し、用時溶解剤としても使用できる。
有効成分の投与量は使用目的、症状等により適宜決定されるが、通常1人1日当たり1〜100mg /kg(体重)程度の範囲で使用するのが好ましい。
【0011】
【実施例】
〔実施例1〕
(抽出)
オオバギボウシの真空乾燥葉1kgを50%エタノール−水17Lと混合し、1時間保持して抽出を行った。その後、得られたエタノール抽出液を減圧濃縮して水溶液とした。この水溶液5Lを酢酸エチル5Lで抽出した。次いで、水層を酢酸エチル層から分離し、該水層をn-ブタノール 7.5Lで抽出した。n-ブタノール層を水層から分離し、該n-ブタノール層を濃縮した。このようにしてn-ブタノール抽出物57.2gを得た。
【0012】
(分画操作1)
得られたブタノール抽出物57.2gを、展開溶媒としてメタノールを用いてHW-40 ゲル濾過カラムクロマトグラフィーにて分画した。その後、各画分をTLC(吸着剤:シリカゲル/キーゼルゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水)にて分析し、5個に分画した(画分1-1 〜1-5 )。
【0013】
上記画分1-1 〜1-5 について、D.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。供試菌をYM培地(麦芽エキス 0.3%、酵母エキス 0.3%、ポリペプトン 0.5%、グルコース 1.0%、pH6.2 )5mlの入った試験管で30℃で24時間振盪培養した(前培養)。別にジメチルホルムアミドに溶解したサンプルを含んだYM培地(サンプル濃度:100ppm)5mlを試験管にて調製した。次いで前述の前培養液0.05mlを上記サンプルを含んだ培地に無菌的に接種し、30℃で24時間振盪培養を行って供試菌の生育状況を観察した。活性の判定は以下のように行った。
【0014】
++:全く生育がみられない
+ :やや懸濁している
± :コントロール程ではないが、ある程度懸濁している
− :コントロールと同程度懸濁している
結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
Figure 0004011140
【0016】
(分画操作2)
上記分画操作1において、抗菌活性試験で強い活性の見られた画分1-3(15.92 g)を、展開溶媒としてクロロホルム/メタノール/水を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Wacogel C-300 (和光純薬工業製))にて分画した。溶出は溶媒の極性を順次高くしながら行った。その後、各画分をTLC(吸着剤:シリカゲル/キーゼルゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水)にて分析し、14個に分画した(画分2-1 〜2-14)。
【0017】
上記画分2-1 〜2-14について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は25ppm とした。結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
Figure 0004011140
【0019】
(分画操作3)
上記分画操作2において活性の見られた画分2-9(0.95g)を、展開溶媒としてメタノールを用いてLH-20 ゲル濾過カラムクロマトグラフィーにて分画した。その後、各画分をTLC(吸着剤:シリカゲル/キーゼルゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水)にて分析し、11個に分画した(画分3-1 〜3-11)。
【0020】
上記画分3-1 〜3-11について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は25ppm とした。結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
Figure 0004011140
【0022】
(分画操作4)
上記分画操作2において活性の見られた画分2-10(3.21g) を、展開溶媒としてジクロロメタン/メタノール(1/1)を用いてLH-20 ゲル濾過カラムクロマトグラフィーにて分画した。その後、各画分をTLC(吸着剤:シリカゲル/キーゼルゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水)にて分析し、7個に分画した(画分4-1 〜4-7 )。
【0023】
上記画分4-1 〜4-7 について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は25ppm とした。結果を表4に示す。
【0024】
【表4】
Figure 0004011140
【0025】
(分画操作5)
上記分画操作2において活性の見られた画分2-11(2.31g) を、展開溶媒としてジクロロメタン/メタノール(1/1)を用いてLH-20 ゲル濾過カラムクロマトグラフィーにて分画した。その後、各画分をTLC(吸着剤:シリカゲル/キーゼルゲル、展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水)にて分析し、5個に分画した(画分5-1 〜5-5 )。
【0026】
上記画分5-1 〜5-5 について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は25ppm とした。結果を表5に示す。
【0027】
【表5】
Figure 0004011140
【0028】
(分画操作6)
上記分画操作3〜5において、活性の見られた画分3-3 、3-4 、3-5 、4-2 、4-3 、4-4 、4-5 、5-2 および5-3 のうち、収量の多い画分4-3 についてさらに分画を行った。
【0029】
画分4-3 (1.65g)を、展開溶媒としてメタノール/水(8/2)を用いて逆相系カラムクロマトグラフィー(Merck 社、Lobar Fertigsalr Grobe B (310-25)Li ChroprepRP-8)にて分画した。その後、各画分をTLC(Merck 社、HPTLC-Fertigplatten RP-8 F254S) 、展開溶媒:メタノール/水(8/2))にて分析し、5個に分画した(画分6-1 〜6-5 )。
【0030】
上記画分6-1 〜6-5 について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は12ppm とした。結果を表6に示す。
【0031】
【表6】
Figure 0004011140
【0032】
(分画操作7)
上記分画操作6において、TLCで同じスポットが観察された画分6-3 、6-4 および6-5 を一つにまとめて、展開溶媒としてメタノール/水(8/2)を用いて逆相系カラムクロマトグラフィー(分画操作6で用いたものと同じもの)にて分画した。その後、各画分をTLC(分画操作6で用いたものと同じもの) 、展開溶媒:メタノール/水(8/2))にて分析し、3個に分画した(画分7-1 〜7-3 )。
【0033】
上記画分7-1 〜7-3 について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は6ppmとした。結果を表7に示す。
【0034】
【表7】
Figure 0004011140
【0035】
(分画操作8)
上記分画操作7において活性の見られた画分7-1 (184mg) を、展開溶媒としてクロロホルム/メタノール/水系を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Wacogel C-300 (和光純薬工業製))にて分画した。その後、各画分をTLC(Merck 社、DC-Fertigplatten Kieselgel 60 F254、展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水(7/3/0.5))にて分析し、4個に分画した(画分8-1 〜8-4 )。
【0036】
上記画分8-1 〜8-4 について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は6ppm とした。結果を表8に示す。
【0037】
【表8】
Figure 0004011140
【0038】
(分画操作9)
上記分画操作8において活性の見られた画分8-3(84mg) を、分取HPLC(装置:HPLCモデル6000A (Waters社製)、カラム:Cosmosil 5C18-AR(ODS) (ナカライテスク社製)、溶離液:アセトニトリル/水(45/55)、流速:1ml/min 、検出器:RI)にて2個に分離した(画分9-1 〜9-2 )。
【0039】
上記画分9-1 〜9-2 について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は6ppm とした。結果を表9に示す。
【0040】
【表9】
Figure 0004011140
【0041】
(分画操作10)
上記分画操作8において活性の見られた画分8-4(44mg) を、分取HPLC(装置:HPLCモデル6000A (Waters社製)、カラム:Cosmosil 5C18-AR(ODS) (ナカライテスク社製)、溶離液:アセトニトリル/水(45/55)、流速:1ml/min 、検出器:RI)にて3個に分離した(画分10-1〜10-3)。
【0042】
上記画分10-1〜10-3について、上記と同様のD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。尚、サンプル濃度は6ppm とした。結果を表10に示す。
【0043】
【表10】
Figure 0004011140
【0044】
上記分画操作9および10において得られた画分9-1 および10-3から、本発明の化合物である式(1) で表されるステロイドサポニン(38mg)を得ることができた。
【0045】
(物性)
得られたステロイドサポニンについて、マススペクトル、旋光度、 1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、およびFT−IRスペクトルの測定を行った。また、1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトル測定の際に、水素の位置関係を調べるための 1H−1H COSY(1H-1H correlation spectroscopy)実験、2ないし3結合を介した水素と炭素の位置関係を調べるためのHMBC(heteronuclear multiple bond connectivity)実験、および水素間の距離の近さを調べるNOESY(nuclear overhauser effect spectroscopy)実験を行った。
【0046】
(1) 物質の色、形状
白色非晶質個体
(2) マススペクトル(HRFAB MS法)
HRMSのJOEL JMS-D300 で測定
図1にマススペクトル図を示す。
この結果から、分子式C6110031であることがわかった。
【0047】
(3) 旋光度
JASCO DIP-370 型で測定
[α] D 27:−89.4°(c=0.40、CHCl3/MeOH(1/1))
(4) FT−IRスペクトル(KBr)
JASCO FT/IR-5300型で測定
3420, 2930, 2126, 1645, 1454, 1379, 1244, 1157, 1049, 924, 896,
600cm -1
【0048】
(5) 1H−NMRスペクトル
UNITY-600 型で測定
溶媒:重ピリジン、600MHz
図2に1H−NMRスペクトル図を示す。
図4にアグリコン部分の1H−NMRスペクトルのデータを示す。
図5に糖部分の1H−NMRスペクトルのデータを示す。
【0049】
(6) 13C−NMRスペクトル
UNITY-600 型で測定
溶媒:重ピリジン、150MHz
図3に13C−NMRスペクトル図を示す。
図4にアグリコン部分の13C−NMRスペクトルのデータを示す。
図5に糖部分の13C−NMRスペクトルのデータを示す。
(7) 1H−1H COSY実験
図6にアグリコン部分のH−H COSYを示す。
図7に糖部分のH−H COSYを示す。
【0050】
(8) HMBC実験
図8にアグリコン部分のHMBCを示す。
図9に糖部分のHMBCを示す。
(9) NOESY実験
図8にアグリコン部分のNOESYを示す。
図9に糖部分のNOESYを示す。
【0051】
〔実施例2〕
抗菌活性試験
実施例1で得られた式(1) で表されるステロイドサポニンについてD.polymorphus NCI 8022、Z.rouxii NCI 8032 およびZ.rouxii NCI 8033 に対する抗菌活性試験を行った。
【0052】
まず、供試菌をYM培地(麦芽エキス 0.3%、酵母エキス 0.3%、ポリペプトン 0.5%、グルコース 1.0%、pH6.2 )5mlの入った試験管で30℃で24時間振盪培養した(前培養)。
【0053】
別にジメチルホルムアミドに溶解した、10ppm のステロイドサポニンを含んだYM培地5mlを試験管にて調製した。次いで前述の前培養液0.05mlを上記サンプルを含んだ培地に無菌的に接種し、30℃で24時間振盪培養を行って供試菌の生育状況を観察した。また、順次希釈することにより種々の濃度での供試菌の生育状況を観察して、24時間培養後の最小発育抑制濃度(MIC)を調べた。その結果を表11に示す。
【0054】
【表11】
Figure 0004011140
【0055】
〔実施例3〕
アルテミア幼生による生物検定
乾燥状態で保存したアルテミアの卵を、濾過した海水に適量浮かべ25℃の恒温槽で孵化させた。約24時間後、個体差をなくすために、走光性のあるものだけピペットで別の容器に移した。水温を20℃に変え、さらに24時間後、上記式(1) で表されるステロイドサポニンを含む試料溶液の中に一定量のアルテミアを移し、24時間後に観察を行った。判定は、致死個体と半致死個体の2段階によって行い、下記式によって致死率を求めて検定の結果とした。
【0056】
【数1】
Figure 0004011140
【0057】
このうち半致死個体は、器底に沈んで刺激を与えても泳ぐことはできないが、付属肢がわずかに動いている程度のものとした。試料溶液は、濾過海水に所定量のステロイドサポニンをジメチルスルオキシド(DMSO)で溶かし込んだ。その時、DMSOの量は海水 100mlに対し 0.4mlを超えない範囲で行った。その結果、式(1) で表されるステロイドサポニンのLD50は31ppm であった。
【0058】
〔実施例4〕
ホヤ受精卵による生物検定
フタスジボヤの被嚢をハサミで切り取り、残りの部分をピンセットでほぐして精子と卵子を取り出した。手回し遠心機を用いて精子と卵子を分離し、底に沈んだ卵をスポイトで取り出した。精子の入った海水は、10mlに対し 0.1mlの 0.1N NaOH を加え、約pH9.5 に調整して活性化させた後、卵の入った海水の中に加えて受精させた。顕微鏡で10分ほど観察を行い、受精の進行状況を確認してから、新たに受精させた受精卵を用いて検定を行った。所定量の上記式(1) で表されるステロイドサポニンを溶かし込んだ濾過海水の中に一定量のホヤ受精卵をピペットですくい移した。水温20℃の恒温槽の中に放置し、 1.5時間後双眼実態顕微鏡で視野に入る分の観察を行い、次に示した方法で卵割率を求めて検定の結果とした。
【0059】
【数2】
Figure 0004011140
【0060】
その結果、式(1) で表されるステロイドサポニンのIC50は6ppm であった。上記実施例3および本実施例から、本発明のステロイドサポニンは抗腫瘍活性があることが示された。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた抗菌活性を示し、さらに抗腫瘍活性を示す新規ステロイドサポニンを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物のマススペクトル図を示す。
【図2】本発明の化合物の1H−NMRスペクトル図を示す。
【図3】本発明の化合物の13C−NMRスペクトル図を示す。
【図4】本発明の化合物のアグリコン部分の1H−NMRスペクトルのデータを示す。
【図5】本発明の化合物の糖部分の1H−NMRスペクトルのデータを示す。
【図6】本発明の化合物のアグリコン部分のH−H COSYを示す。
【図7】本発明の化合物の糖部分のH−H COSYを示す。
【図8】本発明の化合物のアグリコン部分のHMBCを示す。
【図9】本発明の化合物の糖部分のHMBCを示す。

Claims (3)

  1. 式(1) :
    Figure 0004011140
    で表されるステロイドサポニン。
  2. 請求項1に記載のステロイドサポニンを有効成分として含有する抗菌剤。
  3. 請求項1に記載のステロイドサポニンを有効成分として含有する抗腫瘍剤。
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