JP4010924B2 - 電解式リン酸イオン含有水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚水などのリン酸イオンを含有する水からリンを除去する電解式リン酸イオン含有水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工場等の事業場排水や家庭用排水に含まれるリン化合物の除去を目的とした電解式リン酸イオン含有水処理装置が知られている。この技術は、電極を用いた電解反応により鉄イオンまたはアルミニウムイオン等の金属イオンを水中に溶出させ、この金属イオンを被処理水中のリン酸イオンと反応させることにより不溶性の塩(例えばFePO4など)として凝集沈殿させ、リン化合物を除去するものである。このような電解式リン酸イオン含有水処理装置として、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。
【0003】
この特許文献1に記載された電解式リン酸イオン含有水処理装置では、電解処理槽は平面形状が略長方形の箱型に形成されている。そして、電解処理槽の相対向する短辺の両側部に汚水流入口(水流入口)と汚水流出口(水流出口)とが設けられている。また、電解処理槽には、タンク本体の長手方向と直交する方向に複数の電極ユニット(一対の平行平板電極を構成するユニット)が一定の間隔をおいて列(電極ユニット列)をなして収納されている。また、電極ユニット列は、汚水(処理される水)の流れ方向に2列並べられている。
【0004】
また、電極ユニット列の中央部下方の底部には、ゴム栓を備えた汚泥排出口が設けられている。さらに、汚泥排出口の両側であって電極ユニット列の下部には散気管が設けられている。この散気管は、タンク本体の底面に向けて空気を噴出して気泡を上昇させることにより、散気管の両側に設けられた傾斜面部と電極とで形成される空間において、電極板の板表面に沿って流れる水の対流を形成している。これにより水酸化鉄やリン酸化合物を含む汚泥を浮遊させている。そして、浮遊した汚泥を処理された水とともに汚水流出口から排出させるように形成されている。
【0005】
なお、タンク本体内に生成される汚泥は、上記のように排出されるが完全に排出することが困難であり、底部に蓄積されることを避けることができない。このため、栓を備えた汚泥排出口が設けられており、電極ユニット交換時の電極ユニットが取り外された状態となったときに、栓を引き抜いてタンク本体内を清掃するように構成されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−254093号公報
【特許文献2】
特開平3−89998号公報
【特許文献3】
特開平6−254584号公報
【特許文献4】
特開平10−192869号公報
【特許文献5】
特開平2000−176456号公報
【特許文献6】
特開平2000−189977号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電極の交換の間隔は長期(例えば約1.5ヶ月)となるため、汚泥の貯まり量が多くなりすぎる。このため、電極を外した状態で栓を引き抜き、汚泥を流そうとしても、滞留している汚泥量が多くなり、汚泥により汚泥排出口が詰まってしまい流れなくなるという問題のあることが分かった。なお、電極交換時を待たずに短期間で栓を引き抜いてタンク本体内を清掃することは、電極の取り外しが面倒であるため実際上は困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に鑑みされたものである。その目的とするところは、タンク本体内に貯まる汚泥を適切な周期で容易に洗い流すことができるようにした電解式リン酸イオン含有水処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る電解式リン酸イオン含有水処理装置は、リン酸イオンを含む水を処理する電解処理槽と、電解処理槽に設けられた水流入口と、電解処理槽に設けられた水流出口と、電解処理槽内の水中に少なくとも一部が浸漬するように対向して配置された、鉄又はアルミニウムを含む導電体からなる少なくとも一対の電極板からなる電極と、電極下方から気泡を噴出させることにより電極板の板表面に沿って水の対流を形成するように構成された散気装置と、電極下方の電解処理槽底部に配置された汚泥排出口と、汚泥排出口に接続された汚泥排出管と、汚泥排出管中に設けられた開閉弁と、汚泥排出口と開閉弁との間の汚泥排出管に接続され、空気を噴出可能に構成された空気供給管とを備えたことを特徴とする。
【0010】
このように構成すると、電解処理槽内で生成される汚泥は、通常の汚水処理時にあっては、散気装置が形成する水の対流により電解処理槽内に浮遊され、大半の汚泥が処理された水とともに水流出口から排出される。なお、残部の汚泥は電解処理槽内に蓄積される。しかしながら、空気供給管から汚泥排出管に気泡を噴出させることにより、汚泥排出管内に流入する汚泥を電解処理槽内へ戻すことができるので、汚泥排出口や汚泥排出管に汚泥が貯まることを防止することができる。さらに、電解処理槽内に貯まった汚泥を電解処理槽の外部に排出するときは、汚泥排出管中に汚泥が貯まっていない状態で汚泥排出管に設けられた開閉弁を開放することができるので、電極を取り外すことなく適切な周期で電解処理槽内の汚泥を容易に電解処理槽の外部に排出させることができる。
【0011】
また、前記電極を、電解処理槽内の水流入口から水流出口への水の流れ方向に対し電極板表面が平行となるように複数列状に配置し、さらに、この電極の列を、電解処理槽内の水流入口から水流出口への水の流れ方向に複数配置し、それぞれの電極の列には散気装置を独立的に設け、水の流れの上流側に設けられた散気装置からの空気噴出量を水の流れの下流側に設けられた散気装置からの空気噴出量より多くなるように構成してもよい。
このように構成すると、電極を多数配置することができるので、電解処理槽の処理能力を増大させることができる。また、電解処理槽内に発生した汚泥が上流側から下流側へ流れ易くなり、水処理中における汚泥の排出が良好となる。このため、電解処理槽内に蓄積される汚泥量が減少し、汚泥排出周期を長くすることができる。
【0012】
また、前記空気供給管を前記開閉弁の近傍で汚泥排出管に接続してもよい。
このように構成すると、空気供給管から噴出される気泡により汚泥排出管内に流入する汚泥をより確実に電解処理槽内へ戻すことができる。
【0013】
また、前記汚泥排出管を電解処理槽の底部からL字形に曲げて形成し、L字形に曲げられた水平配管部に前記開閉弁を設け、この水平配管部における前記開閉弁の近傍に前記空気供給管をしてもよい。
このように構成すると、汚泥排出管を電解処理槽に沿ってコンパクトに纏めることができながら、汚泥排出管内に流入する汚泥を空気供給管から噴出される気泡により確実に電解処理槽内へ戻すことができる。
【0014】
また、前記空気供給管から噴出させる空気量を前記散気装置から噴出させる空気量よりも少なく設定してもよい。
このように構成すると、電解処理槽内の汚泥の浮遊と汚泥排出管内の汚泥の排出とを効率よく行うことができる。
【0015】
また、前記空気供給管から常時気泡を噴出させるようにしてもよい。
このように構成すると、汚泥排出管内の汚泥の蓄積を確実に防止することができる。
【0016】
また、前記空気供給管から気泡を所定期間おいて噴出させるようにしてもよい。
このように構成すると、空気の消費量を節約することができ、省エネルギー効果を奏することができる。
【0017】
また、前記散気装置と前記空気供給管とに対し、空気配管を介して共通のブロワから空気を供給するように接続してもよい。
このように構成すると、ブロワの数を減少させることができ、装置のコンパクト化、コスト軽減を図ることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態につき、図1〜図5に基づいて説明する。なお、図1は本実施の形態に係る電解式リン酸イオン含有水処理装置の正面図であり、図2は同電解式リン酸イオン含有水処理装置の平面図であり、図3は同電解式リン酸イオン含有水処理装置の側面図であり、図4は同電解式リン酸イオン含有水処理装置の背面図であり、図5は同電解式リン酸イオン含有水処理装置における電解処理槽の断面図である。なお、以下の説明においては、図1における紙面から見る方向を正面、図1における左側を左側、図1における右側を右側として説明する。
【0019】
これら図に示すように、本実施の形態に係る電解式リン酸イオン含有水処理装置は、電解処理槽1が基台2上に取り付けられている。そして、電解処理槽1の底壁に汚泥排出管3が接続され、電解処理槽1の右上面部に水流入管4が接続され、電解処理槽1の左側に水流出管5が接続されている。
【0020】
電解処理槽1は、汚水を流入させ、電極から被処理水中に金属イオンを溶出させるものであって、平面形状が左右に長い略長方形を成す上部開放の箱型の容器であるタンク本体10と、タンク本体10の上端に被せられた、高さがタンク本体10の約1/4程度である中蓋20と、中蓋20の上部に取り付けられた2個の上蓋30とから構成されている。
【0021】
タンク本体10は、流入された水中に電極から金属イオンを溶出させてリン酸化合物を形成するところであり、この処理に必要な高さ、容積等を備えて形成されている。また、タンク本体10は、正面から見て左右側壁の下部が中央側に傾斜して傾斜面部11、12を形成し、さらに、正面から見て底壁の中央部に小さな山形部分13が形成されている。タンク本体10の左側側壁に水流出口14が形成され、この水流出口14に水流出管5が接続されている。
また、タンク本体10の底壁の山形部分13と左右側壁の傾斜面部11、12との間の中央部に汚泥排出口15が形成され、この汚泥排出口15に汚泥排出管3が接続されている。
【0022】
中蓋20は、タンク本体10の蓋と電解処理槽1内に収納する電極7の固定部とを兼ねたものであって、電極7のホルダー部71、電源ターミナル部72などを収納するために、2箇所の凹部21が設けられている。また、この凹部21の底面には電極7をタンク本体10内に突出させるための穴部22が形成されている。また、中蓋20の右上面部には水流入口23が設けられ、この水流入口23に水流入管4が接続されている。
上蓋30は、中蓋20のこの凹部21の上部開口部を覆うものである。
【0023】
電極7は、長方形の鉄製又はアルミニウム製の板状電極を2枚一組とした平行平板電極である。また、電極7は、一対の電極板を上部のホルダー部71により所定の間隔に保持して電極ユニット73として構成されている。
電極7は、電極板面が水流入口23から水流出口14への水の流れと平行するように(タンク本体10の短辺方向に電極板面が重なるように)複数列状に配置されている。このように配置された電極7の列は、水流入口23から水流出口14への水の流れ方向に対し2列配列されている。
【0024】
電極7の列は、タンク本体10の山形部分13と左右側壁下部の傾斜面部11、12とで挟まれる2箇所の位置にそれぞれ配列されている。また、電極7をこのように重ねて配置するに当たっては、電極板の消耗量の均一化を図るために隣接する電極ユニット73間に、プラスチック等の絶縁板からなるセパレータ74が配置されている。図5においては、左側の電極7の列の位置にセパレータ74が示されており、右側の電極7の列の位置に電極ユニット73が示されている。
【0025】
この電極ユニット73及びセパレータ74は、中蓋20の凹部21に設けられた穴部22より、電極ユニット73及びセパレータ74の所定部分がタンク本体10内の水に浸るように挿入され、中蓋20の凹部21内には、電極7のホルダー部71や電源ターミナル部72を収納し、この凹部で電極ユニット73及びセパレータ74を固定するように構成している。したがって、中蓋20の凹部21における左右方向の中心をなす前後方向に延びる中心線は、タンク本体10の山形部分13と左右側壁下部の傾斜面部11、12とで挟まれる部分の前後方向に延びる中心線とが略同一となるように形成されている。
【0026】
タンク本体10内の各電極7の列の下方部には、汚泥排出口15を挟んで2本の散気管81が散気装置として配設されている。また、各散気管81は、気泡を噴出するように配管の管壁に複数の穴が開けられており、その端部が空気配管82により、電解処理槽1の前方下方に配置されたブロワ83に接続されている。また、散気管81からの散気量は、水の流れの上流側、つまり水流入口23側の散気管81の方が水の流れの下流側、つまり水流出口14側の散気管81の方より多くなるように構成されている。
【0027】
汚泥排出管3は、各電極7の列の下方の汚泥排出口15からエルボを介し水平配管部31を形成し、この水平配管部31を前面側に回し、各汚泥排出口15からの汚泥排出管3を1本の集合管32に纏めて処理部(図示せず)に連絡するようにしている。
また、汚泥排出管3は、上記の構成において、汚泥排出口15の下部の位置から前面側に至る水平配管部31に開閉弁33を接続し、また、汚泥排出口15の下部の位置から前面側に至る水平配管部31における開閉弁33の近傍に空気供給管85を接続している(図3参照)。
【0028】
この空気供給管85(図3参照)は、通常のリン除去運転中に汚泥排出管3に気泡を送り込み、汚泥が汚泥排出口15を塞いだり、汚泥排出管3を詰まらせたりすることがないようにしたものである。また、この空気供給管85は、空気配管86により前述の散気管81と共用のブロワ83に接続されている。空気供給管85から噴出される空気量は、散気管81から噴出される空気量より少なく設定されている。
なお、図中、87は空気流量を可変とし得る開閉弁であり、88はユニオン接手であり、89は空気配管系等の異常を検出する圧力センサーである。
【0029】
上記のように構成された電解式リン酸イオン含有水処理装置は、例えば、前述の特許文献4〜6に記載されているような廃水処理システムにおける電解式リン酸イオン含有水処理装置(これら特許文献では、溶出槽、電解処理槽又は電解槽と称されている)として使用される。また、事業場用の排水処理の場合には、汚水が活性汚泥槽及び中間流量調整槽を経て本実施の形態に係る電解処理槽1に導かれ、この電解処理槽1の後段側に凝集沈殿槽が設けられる。以下事業場用廃水処理システムとして利用される場合について、本電解処理槽1におけるリン除去の動作について説明する。
【0030】
事業場から排水される汚水は、まず、活性汚泥槽にてBOD成分が微生物により分解され、活性汚泥槽内の汚水が中間流量調整槽を介して一定量の処理される水として電解処理槽1に導入される。この処理される水は、電解処理槽1の上部から導入される。電解処理槽1の上部から導入された水は、タンク本体10に落下して分散され、ほぼ均一な流れとなって電極7相互間を通って水流出口14へ流れる。特に本実施の形態では、電極7の列を汚水の流れる方向に対し略直交する方向に形成したものであり、水の流れに対し2列形成している。このように形成することにより、電解処理槽1の前後方向の寸法を小さくして、電解処理槽1の前後方向端部での水の淀みを少なくするとともに、タンク本体10の前後方向端部における電極7のリン除去効率の低下を防止している。
【0031】
電解処理槽1内では、電極7の陽極から金属イオン(鉄イオン又はアルミニウムイオン)が発生される。金属イオンは、水中のオルトリン酸と反応し、難溶性のリン化合物が生成される。このリン化合物を含む汚泥は、散気管81からのばっ気により積極的に電解処理槽1内の水中に浮遊され、水流出口14から次の工程である凝集沈殿槽(図示せず)に水とともに排出される。そして、この凝集沈殿槽でリン化合物を含む浮遊物が沈殿除去される。
なお、電極7の陰極からは水素ガスが発生するので、何らかの対策を施さない場合は、電解処理槽1内の水素濃度が高くなり爆発に至る危険が生ずるが、散気管81から噴出される空気により水素ガス濃度が薄められるので、爆発の危険が回避されている。
【0032】
また、電解処理槽1内では、散気管81からタンク本体10の底面に向けて空気が噴出され、気泡を上昇させている。また、タンク本体10の左右側壁の下部に設けられた傾斜面部11、12及びタンク本体10底壁の山形部分13の傾斜面部が電極7の下部近傍に形成されている。このため、電解処理槽1内の水は、散気管81から気泡が上昇されることに伴い、散気管81の周囲からタンク本体10の底部に向けて引き込まれ、電解処理槽1内で対流を生起し、汚泥が活発に浮遊される。なお、電解処理槽1内における水流入口23から水流出口14への水の流れも、前述のように電極板表面に沿うように形成されている。したがって、散気管81からの気泡の噴出により形成される水の対流がスムーズに生起され、効率よくリン化合物が浮遊される。
さらには、処理される水の上流側、つまり水流入口23側の散気管81からの空気量を、水の下流側、つまり水流出口14側の散気管81からの空気量より多くなるように構成しているので、浮遊した汚泥が下流側に流れ易くなっており、汚泥を処理された水とともに水流出口14から効率よく排出させることができる。
【0033】
また、電極板表面は、前述の気泡を含む水の対流により洗浄される。その結果、電極7間における汚泥の滞留が防止され、電極7の短絡などの事故が回避される。
【0034】
電解処理槽1内で発生する汚泥は、上記のように浮遊されて水流出管5から水とともに排出されるが、発生した全ての汚泥を水流出管5から排出することは困難である。したがって、少しずつ電解処理槽1内に貯留される。なお、このように貯留される汚泥が汚泥排出口15付近や汚泥排出管3内に貯留されることはない。すなわち、汚泥排出管3にはリン除去運転中、常時一定量の空気が空気供給管85に送られているため、気泡が汚泥排出管3からタンク本体10内に流れており、汚泥排出口15付近に沈殿する汚泥や汚泥排出管3内に流入しようとする汚泥が電解処理槽1内に押し戻される。
【0035】
しかし、電解処理槽1内で発生した汚泥は処理される水の流れが淀む部分に少しずつ溜まることは避け難い。そして、この電解処理槽1内に溜まる汚泥量が増加してくると、散気管81付近などにも汚泥が貯まるようになり、所定時間間隔で汚泥を排出しないと正常な運転を保持することができなくなる。そこで、予め定められた所定期間が経過した場合に汚泥排出管3に設けられた開閉弁33を開放して、電解処理槽1内の汚泥の排出を行う。また、汚泥排出の際、汚泥が一度に汚泥排出管3に流れ込んで汚泥排出口15や汚泥排出管3が詰まってしまうのを防止するために空気供給管85からの空気の吹き込みは、そのまま継続して行われる。
【0036】
電極7は、陽極から金属イオンを溶出させることにより電極板が溶けて消耗するため、交換が必要となる。本実施の形態においては、陽極、陰極いずれも鉄又はアルミニウム製とされているので、定期的に極性転換が行われ、一方の電極のみが消耗するのを回避している。なお、隣接する電極ユニット73間にはセパレータ74が配置されているため、各電極板の消耗が略均一化される。仮にセパレータ74がない場合は、中間に位置する電極板は両面で電解作用が行われ、最外側の電極板に比し2倍の速さで溶けていくことになり、電極板の消耗の均一化を図ることができなくなる。
【0037】
本実施の形態に係る電解式リン酸イオン含有水処理装置は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏する。
(1) リン酸イオンを含む水を処理する電解処理槽1と、電解処理槽1に設けられた水流入口23と、電解処理槽1に設けられた水流出口14と、電解処理槽1内の水中に少なくとも一部が浸漬するように対向して配置された、鉄又はアルミニウムを含む導電体からなる少なくとも一対の電極板からなる電極7と、電極7の下方から気泡を噴出させることにより電極板の板表面に沿って水の対流を形成するように構成された散気装置81と、電極7の下方の電解処理槽1底部に配置された汚泥排出口15と、汚泥排出口15に接続された汚泥排出管3と、汚泥排出管3中に設けられた開閉弁33と、汚泥排出口15と開閉弁33との間の汚泥排出管3の水平配管部31に接続され、空気を噴出可能に構成された空気供給管85とを備えているので、電解処理槽1内で生成される汚泥は、通常の汚水処理時にあっては、散気装置81から噴出される気泡により水の対流が形成される。そして、この対流により電解処理槽1内に汚泥が浮遊され、大半の汚泥が処理された水とともに水流出口14から排出される。なお、残部の汚泥は、電解処理槽1内に対流蓄積されていくが、汚泥排出管3に接続された空気供給管85から気泡を噴出させることにより、汚泥排出口15や汚泥排出管3に貯まることはない。さらに、電解処理槽1内に貯まった汚泥を電解処理槽1の外部に排出するときは、汚泥排出管3中に汚泥が貯まっていない状態で汚泥排出管3に設けられた開閉弁33を開放することができるので、電極7を取り外すことなく適切な周期で電解処理槽1内の汚泥を容易に排出させることができる。
【0038】
(2) また、電極7を、電解処理槽1内の水流入口23から水流出口15への水の流れ方向に対し電極板表面が平行となるように複数列状に配置し、さらに、この電極7の列を、電解処理槽1内の水流入口23から水流出口15への水の流れ方向に複数列配置し、それぞれの電極7の列には散気装置81を独立的に設け、水の流れの上流側に設けられた散気装置81からの空気噴出量を水の流れの下流側に設けられた散気装置81からの空気噴出量より多くなるように構成しているので、電解処理槽1内に発生した汚泥が水流入口23から水流出口15への水の流れの上流側から下流側へ流れ易くなり、水処理中における汚泥の排出が良好となる。このため、電解処理槽1内に蓄積される汚泥量が減少する。この結果、汚泥排出周期を長くすることができる。
【0039】
(3) また、空気供給管85を開閉弁33の近傍で汚泥排出管3に接続しているので、空気供給管85から噴出される気泡により汚泥排出管3内に流入する汚泥をより確実に電解処理槽1内へ戻すことができる。
【0040】
(4) また、汚泥排出管3を電解処理槽1の底部からL字形に曲げて形成し、このL字形に曲げられた水平配管部31に開閉弁33を設け、水平配管部31における開閉弁33の近傍に空気供給管85を接続しているので、汚泥排出管3を電解処理槽1に沿ってコンパクトに纏めることができ、かつ、汚泥排出管3内に流入する汚泥を空気供給管85から噴出される気泡により確実に電解処理槽1内へ戻すことができる。
【0041】
(5) また、空気供給管85から噴出させる空気量を散気装置81から噴出させる空気量よりも少なく設定しているので、電解処理槽1内の汚泥の浮遊と汚泥排出管3内の汚泥の排出とを効率よく行うことができる。
(6) また、空気供給管85から常時気泡を噴出させるようにしているので、汚泥排出管3内の汚泥の蓄積を確実に防止することができる。
(7) また、散気装置81と空気供給管85とに対し、空気配管を介し共通のブロワ83から空気を供給するように構成しているので、ブロワ83の数を減少させることができ、装置のコンパクト化、コスト軽減を図ることが可能となる。
【0042】
なお、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
(1) 空気供給管85から噴出させる気泡を、常時ではなく、所定期間をおいて噴出させるようにしてもよい。例えば、1週間に一度ぐらいの頻度で汚泥を汚泥排出管3から排出させるようにし、汚泥排出の都度空気供給管85から汚泥排出管3内に気泡を排出させるように構成してもよい。このように構成すると、空気の消費量を節約することができ、省エネルギー効果を奏することができる。
【0043】
(2) 上記実施の形態においては、各電極7の列に対応する散気管81及び空気供給管85への空気の供給源となるブロワ83を共用にしているが、このような構成に代えて両電極7の列の下方に配置されている両散気管81へ空気を供給するブロワを共用とし、他方、両電極7の列の下方に配置されている両汚泥排出管3へ空気を供給する空気供給管85用のブロワを共用するようにしてもよい。さらには、上記の両散気管81への空気を供給するブロワと両空気供給管85への空気を供給するブロワとを1個にまとめても良い。
【0044】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、電解処理槽内で生成される汚泥は、通常の汚水処理時にあっては、散気装置が形成する水の対流により電解処理槽内に浮遊され、大半の汚泥が処理された水とともに水流出口から排出される。なお、通常の汚水処理時に水流出口から排出されずに電解処理槽内に残る一部の汚泥は、水の滞留が淀んでいる個所に溜まり易い。しかし、汚泥排出管に接続された空気供給管から気泡を噴出させることにより、汚泥排出管内に流入する汚泥を電解処理槽内へ戻すことができるので、汚泥排出口や汚泥排出管内に汚泥が貯まっていない状態で、汚泥排出管に設けられた開閉弁を開放することができ、電極を取り外すことなく適切な周期で電解処理槽内の汚泥を排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る電解式リン酸イオン含有水処理装置の正面図である。
【図2】同汚水処理施設に用いられている電解式汚水処理装置の正面から見た構成図である。
【図3】同電解式リン酸イオン含有水処理装置の側面図である。
【図4】同電解式リン酸イオン含有水処理装置の背面図である。
【図5】同電解式リン酸イオン含有水処理装置における電解処理槽の断面図である。
【符号の説明】
1 電解処理槽
3 汚泥排出管
4 水流入管
5 水流出管
7 電極
31 水平配管部
33 開閉弁
81 散気管(散気装置)
85 空気供給管
Claims (8)
- リン酸イオンを含む水を処理する電解処理槽と、電解処理槽に設けられた水流入口と、電解処理槽に設けられた水流出口と、電解処理槽内の水中に少なくとも一部が浸漬するように対向して配置された、鉄又はアルミニウムを含む導電体からなる少なくとも一対の電極板からなる電極と、電極下方から気泡を噴出させることにより電極板の板表面に沿って水の対流を形成するように構成された散気装置と、電極下方の電解処理槽底部に配置された汚泥排出口と、汚泥排出口に接続された汚泥排出管と、汚泥排出管中に設けられた開閉弁と、汚泥排出口と開閉弁との間の汚泥排出管に接続され、空気を噴出可能に構成された空気供給管とを備えた電解式リン酸イオン含有水処理装置。
- 前記電極は、電解処理槽内の水流入口から水流出口への水の流れ方向に対し電極板表面が平行となるように複数が列状に配置され、この電極の列は、電解処理槽内の水流入口から水流出口への水の流れ方向に複数列配置され、それぞれの電極の列には散気装置が独立的に設けられ、水の流れの上流側に設けられた散気装置からの空気噴出量が水の流れの下流側に設けられた散気装置からの空気噴出量より多くなるように構成されてなる請求項1記載の電解式リン酸イオン含有水処理装置。
- 前記空気供給管は、前記開閉弁の近傍で汚泥排出管に接続されてなる請求項1又は2記載の電解式リン酸イオン含有水処理装置。
- 前記汚泥排出管は電解処理槽の底部からL字形に曲げて形成され、L字形に曲げられた水平配管部に前記開閉弁が設けられ、水平配管部における前記開閉弁の近傍に前記空気供給管が接続されてなる請求項1又は2記載の電解式リン酸イオン含有水処理装置。
- 前記空気供給管から噴出させる空気量は、前記散気装置から噴出させる空気量よりも少なく設定されてなる請求項1〜4の何れか1項記載の電解式リン酸イオン含有水処理装置。
- 前記空気供給管は、常時気泡を噴出させるように構成されてなる請求項1〜5の何れか1項記載の電解式リン酸イオン含有水処理装置。
- 前記空気供給管は、所定の期間をおいて気泡を噴出させるように構成されてなる請求項1〜5の何れか1項記載の電解式リン酸イオン含有水処理装置。
- 前記散気装置と前記空気供給管とは、空気配管を介して共通のブロワから空気の供給を受けるように接続されてなる請求項1〜7の何れか1項記載の電解式リン酸イオン含有水処理装置。
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