JP4010232B2 - 階段用手摺の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、階段用手摺の取付構造に関し、特に階段用桁に対する手摺用支柱の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来における階段用手摺は、図11(A)に示すように、踏板部100にボルト105によって支持金具102のフランジ103を固定し、係る金具102の凹部104に支柱108を挿入し、上記金具102に明けた複数の調整孔106の何れかに選択的に高さ調整ピン107を挿入することで、複数の支柱108を踏板100上に立設させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
尚、図11(A)に示すように、複数の支柱108の上に跨って笠木109が固定されることにより、階段用手摺101が形成される。
また、図11(B)に示すように、踏板110を両側で支持・固定するササラ桁112の外側にボルト113およびナット114によって手摺用支柱115を立設して固定するものもある(例えば、特許文献2参照)。尚、図11(B)に示すように、複数の支柱115の上下に笠木116や下桟117が掛け止めされ、これらの間に複数の手摺子118を立設して階段用手摺111を形成している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−115382号公報((0010)〜(0022)、図1〜図4)
【特許文献2】
特開平7−197616号公報((0021)〜(0022)、図8〜図10)
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された階段用手摺101では、高さ調整ピン107の剪断抵抗のみで当該手摺101の上方への抜け出しを防止しているため、安全上の上の観点で不十分である。しかも、踏板100の上に支持金具102の全体が露出しているため、意匠性が低く、特にデザイン性が要求される住宅や施設などの建物の階段には不向きである。
また、特許文献2に開示された階段用手摺111では、ササラ桁112に複数のボルト113を貫通してナット114と締結するため、手摺111の取付作業に労力を要する共に、係るボルト113の剪断抵抗のみにより手摺111の上方への抜け出しを防止しているため、安全上の観点から不十分である。しかも、ボルト113の頭が突出するため、スペースを要し且つ見栄えが劣る問題もある。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、階段に設置する階段用手摺を上下何れの方向からの外力にも十分に抵抗でき且つ取付作業性およびデザイン性に優れた階段用手摺の取付構造を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明は、上記課題を解決するため、階段用桁の上に配置される踏板を専用の支持ブラケットを介して固定し且つ係るブラケットに手摺用支柱の下端を抜け出し不能に固定する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による階段用手摺の取付構造(請求項1)は、階段用桁に踏板支持用ブラケットを固定し、当該ブラケットの上に踏板を支持および固定する階段に固定される手摺の取付構造であって、係る手摺は、複数の支柱、係る支柱の上端に固定される笠木、および上記支柱の下端に固定されるベース部材を含み、係るベース部材は、上記踏板支持用ブラケットの上面に設けた凹部に挿入して固定されると共に、上記支柱は、上記踏板に設けた挿通孔または切り欠き部を貫通して上記ベース部材に固定される、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、階段用手摺を形成する複数の支柱は、それらの下端に固定した固定部材が踏板支持用ブラケットの凹部に挿入され且つ固定されることにより、所定の位置に精度良く立設される。しかも、上記支柱は、踏板支持用ブラケットの上に固定される踏板の挿通孔または切り欠き部を貫通するため、上記笠木を含む支柱に上向きの外力が働いても抜け出すおそれは殆どない。従って、階段用手摺を比較的容易な作業によって、極めて安全に取り付けることができる。
更に、階段用手摺の各支柱の下端に固定するベース部材は、踏板により上方から覆われるため、デザイン性にも優れた階段用手摺を構成することができる。
尚、前記階段用桁には、踏板の中央を支持・固定する中桁、および踏板の両側を支持・固定する一対の側桁の双方が含まれる。また、係る階段用桁には、木材製やI型鋼などの型鋼などの他、後述するトラス構造を有する形態も含まれる。
【0008】
また、本発明には、前記ベース部材は、前記支柱の中空部に挿入して固定される筒部と、係る筒部の下端に位置し且つ前記踏板支持用ブラケットの凹部に挿入して固定されるベース板と、からなる、階段用手摺の取付構造(請求項2)も含まれる。これによれば、階段用桁の上に固定した踏板支持用ブラケットの凹部に、上記ベース部材のベース板を挿入して固定し、係るベース部材の筒体を上記ブラケット上に固定した踏板の挿通孔または切り欠き部に貫通させることにより、階段の組み立ておよび階段用手摺の基礎部分の配置を容易に行うことができる。
【0009】
そして、踏板の上方に突出した上記ベース部材の筒体に、支柱の中空部を挿入して固定し且つ係る支柱の上端に笠木を固定するか、あるいは予め複数の支柱の上端に跨って笠木を傾斜して固定した手摺ユニットを組み立てておき、係るユニットの各支柱の中空部に上記筒体を挿入して固定する。この結果、階段用手摺を比較的簡単な作業によって精度良く且つ迅速に取り付けることができ、特に後者の手順では係る効果が顕著である。
尚、本発明における階段用手摺には、複数の支柱および笠木のみからなる形態の他、複数の支柱間に落下防止用のパネル板を配置し形態や、複数の支柱間の下部に下桟を連結した形態も含まれる。また、踏板に設ける挿通孔や切り欠き部は、これらを貫通するベース部材の筒体の断面よりも大きめの寸法に設定される。
【0010】
更に、本発明には、前記ベース部材は、前記踏板支持用ブラケットの凹部に挿入して固定されるベース板からなり、係るベース板を貫通するネジが前記支柱に設けたネジ受けに螺入することにより、前記支柱に固定される、階段用手摺の取付構造(請求項3)も含まれる。これによれば、ベース部材はベース板のみからなる簡単な形態となる共に、予め支柱の下端にネジ止めした係るベース板を、踏板支持用ブラケットの凹部に挿入し且つ固定することにより、階段用手摺の支柱を上記ブラケットに迅速に固定することができる。
尚、挿通孔を設けた踏板の場合は、上記立設する支柱を係る挿通孔に差し通す作業が必要となるが、切り欠き部を設けた踏板の場合は、係る踏板を例えば傾斜させ且つその左右両側の短辺に開口する各切り欠き部に上記立設する支柱を差し通すことにより、当該踏板を前記ブラケットの上に固定できる。また、階段用手摺の上記支柱には、中空部および任意数のネジ受け(ビスホール)を一体に有するアルミニウム合金からなる押出形材が好適に用いられる。
【0011】
また、本発明には、前記踏板支持用ブラケットの凹部は、底面寄りが幅広の底広凹溝であり、前記ベース部材のベース板は、上記底広凹溝に両側辺の底面寄りに突出した一対の凸条を上記底広凹溝に嵌合(挿入)して固定される、階段用手摺の取付構造(請求項4)も含まれる。これによれば、筒体を有する形態か否かに拘わらず、上記ベース板を下端に固定した支柱を含む階段用手摺が上向きの外力を受けても強固に抵抗できるため、一層安全性が高められる。
【0012】
更に、本発明には、前記踏板支持用ブラケットは、前記凹部を上面に有し且つ前記階段用桁の上面に面接触可能な断面を有するアルミニウム合金の押出形材からなる、階段用手摺の取付構造(請求項5)も含まれる。
これによれば、階段用桁の上に上記ブラケットを、凹部を含むその上面を水平状態にして容易且つ確実に固定することができる。しかも、上記ブラケットはアルミニウム合金の押出形材からなるため、上面の凹部を前記底広凹溝とすることも極めて容易てなる。
【0013】
加えて、本発明には、前記踏板支持用ブラケットは、平行な一対の階段用桁の上に跨って固定されるか、あるいは平行な一対の階段用桁の上に個別に固定される、階段用手摺の取付構造(請求項6)も含まれる。
これによれば、一対の階段用桁の上に跨って長尺な踏板支持ブラケットを固定したり、あるいは各桁ごとに短尺な踏板支持用ブラケットを固定することができ、これらの上に1枚の踏板にを固定することにより、当該階段の設置位置に応じてデザインの多様化を図ることが容易となる。特に、踏板支持用ブラケットを前記押出形材にした場合には、その押出方向と直交して切断する長さを選択することにより、所定長さの上記ブラケットを容易に形成することができる。
尚、階段用桁が踏板の中央を下から支持する中桁の場合は、当該踏板に応じた長尺な踏板支持ブラケットが用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明による階段用手摺の取付構造を適用した階段Sおよびこれに取り付けた階段用手摺T(以下、単に手摺Tとする)を示す側面図である。
上記階段Sは、図1に示すように、階段用桁K、その上に固定される複数の踏板40、および両者の間に配置される踏板支持用ブラケット20からなる。また、上記手摺Tは、複数の踏板40上における両側または一側に個別に立設する支柱50と、これらの支柱50の上端に跨って傾斜して固定される笠木60と、隣接する支柱50,50間に配置されるパネル板Pとから構成されている。
図1に示すように、上記笠木60は、垂直な下端部62と水平な上端部64とを有し、各パネル板Pは、金具66を介して、隣接する支柱50に固定される。
【0015】
階段用桁Kは、図1,図2(B)に示すように、左右一対の平行な上弦材1a,1bと、これらを水平に連結する連結材9と、上弦材1a,1bの中間の下方に位置し且つ平行な下弦材1cと、上弦材1a,1bおよび下弦材1cを連結するラチス材12〜15と、を備えた三角柱を呈するトラス構造の中桁である。
上弦材1a,1b、下弦材1c、および連結材9は、図2(A)に示すように、アルミニウム合金などのパイプからなり、その両端にテーパ部3を介して偏平で且つ両側面に複数の凹凸を軸方向に沿って設けた接続部4を有する。
また、ラチス材12〜15は、上記と同じパイプからなるが、その両端にテーパ部3および接続部4を軸方向に対し傾斜しつつ形成している。
【0016】
図2(B)に示すように、上弦材1a,1a間、上弦材1b,1b間、および上弦材1a,1b間は、節点部材であるハブ6により連結され、下弦材1c,1c間は、同様のハブ10により連結される。また、ラチス材12〜15は、係るハブ6,10間をそれぞれ斜めに連結する。
ハブ6,10は、図2(A)に示すように、アルミニウム合金の押出形材を所定長さで切断したもので、全体がほぼ円柱形を呈し、その中心に沿って貫通する連結孔8と、その周面に軸方向に沿い且つ放射状に形成された複数の接続溝7とを有している。係る接続溝7には、上弦材1aなどの接続部4が挿入可能で且つ抜け出し不能となるような凹凸形状が径方向に沿って付されている。
【0017】
図1,図2(B)に示すように、階段用桁Kは、ハブ6,10を節点部材とする多数の上弦材1a,1b、下弦材1c、連結材9、およびラチス材12〜15により形成され、これらの構成部材がほぼ正三角形を交互に逆向きにし且つ連続して形成している。このため、何れの上記構成部材の軸方向に沿った引張り力および圧縮力が作用しても、十分な支持強度を発揮することができる。
尚、図1に示すように、階段用桁Kは、階下フロアF1上に金具e1,e2を介して下端のハブ6,10を固定し、階上フロアF2の側面に金具e3を介して上端のハブ6を固定することにより、フロアF1,F2間に斜めに固定される。
【0018】
踏板支持用ブラケット20は、アルミニウム合金(例えば、JIS:A6063−T5)の押出形材を所定長さで切断したもので、図3に示すように、断面全体が変形5角形を呈する。係るブラケット20は、凹部22を中央に有する水平な上面21、前記階段用桁Kの上弦材1a,1bとほぼ面接触可能に傾斜する傾斜面24、係る傾斜面24の反対側に位置する幅広の傾斜面26、および上記断面形状にほぼ倣った中空部23を全長(押出方向)に沿って備えている。
図3,図4に示すように、係るブラケット20の中空部23における上面21の下側の左右には、断面が矩形で下向きに幅の狭い開口部を有するナット挿入溝25,25が、凹部22の下側には、上記同様の断面形状のナット挿入溝27,27が、それぞれ長手方向に沿って一体に形成されている。
【0019】
尚、図3に示すように、凹部22の両端寄りの少なくとも一方には、後述するベース板を固定するボルト用の通し孔28が4個ずつ穿孔されている。また、踏板支持用ブラケット20の左右両端面には、その断面形状と同じキャップ30が固定される。係るキャップ30は、図3に示すように、その内側面32の上辺に沿って前記中空部23に挿入可能な複数の凸条34が突設されている。
図1,3,4に示すように、階段用桁Kの上弦材1a,1bなどの上に、複数の踏板支持用ブラケット20がその傾斜面24を面接触するように固定される。この固定は、図4に示すように、上記ブラケット20の中空部23側から挿入されたボルト17が、上弦材1a,1bの上に載置したズレ止め材36を介して階段用桁Kのハブ6(10)の連結孔8に貫通し、係るハブ6(10)の下側において当該ハブ6(10)の底面全体を覆う座金16を介してナット18と締結される。係るナット18には、半球形のカバー19が被着される。
【0020】
図3,4に示すように、踏板40は、上面41が長方形を呈する木材からなり、左右には支柱50などを貫通させる一対の挿通孔42と、それらの幅方向に位置する一対の凹み部43およびその中心部から底面45に貫通する通し孔44と、を対称に形成している。尚、挿通孔42は、手摺Tが階段Sの左右何れかのみに取り付けられる場合、係る手摺Tが取り付けられる端部側にのみ設けられる。
また、支柱50は、断面円形で中空部51aを有するパイプ51からなり、その下端寄りには、通し孔52が穿孔されている。尚、パイプ51には、アルミニウム合金からなり表面処理された押出形材、または表面塗装した鋼管を用いる。
更に、図1,図3に示すように、複数の支柱50の上端に跨って、笠木60を公知の金具などの接続手段を介して固定する共に、隣接する支柱50,50間に前記パネル板Pを配置することで、手摺Tが形成される。
【0021】
階段Sの形成およびこれへの手摺Tの取付作業は、以下のようにして行う。
先ず、図3,図4に示すように、階段用桁Kの上に踏板支持用ブラケット20を前述したボルト17などにより所要数固定する。
次に、上記各ブラケット20における凹部22の両端部または一端部に、ベース部材54のベース板56を挿入し且つ固定する。係るベース部材54は、図3に示すように、円筒形で金属製の筒体55およびその下端に溶接などにより固着した矩形で金属製のベース板56からなる。上記筒体55には雌ネジ孔57が、上記ベース板54の各コーナー付近には通し孔58がそれぞれ穿孔されている。
【0022】
図4に示すように、踏板支持用ブラケット20における凹部22の両端部または一端部に、ベース部材54のベース板56を挿入した状態で、皿ネジ59を通し孔58および凹部22の底面の各通し孔28に貫通し、予めナット挿入溝27内に挿入しておいたナット37に締結する。この結果、上記ブラケット20の上にベース部材54が固定され、その筒体55が上面21より高く立設する。
係る状態で、踏板支持用ブラケット20の両端面に、前記キャップ30を固定する。係るキャップ30の固定は、ネジを上記ブラケット20の図示ないネジ受けに螺入するか、あるいは構造用接着剤の塗布により行う。
【0023】
次いで、図4に示すように、踏板支持用ブラケット20の上面21に踏板40を載置する。この際、前記一対のベース部材54の筒体55を、踏板40の挿通孔42に貫通させる。係る状態で、4本のボルト46を踏板40の各凹み43および各通し孔44に個別に貫通させ、上記ブラケット20のナット挿入溝25に予め挿入しておいたナット38と締結する。この結果、上記ブラケット20の上に踏板40が固定され、前記図1に示した階段Sが形成される。
更に、図4,図5に示すように、ベース部材54から立設する筒体55を支柱50の中空部51aに挿入する。この際、支柱50の下端付近は、踏板40の挿通孔42内に進入する。
【0024】
尚、図5に示すように、踏板40の各凹み部43は蓋47で上面41と平坦にして塞がれると共に、係る踏板40の上面には、滑り止めを兼ねるシート48が敷設される。こられにより、歩行者は安全に踏板40の上を歩くことができる。
前記の状態で、皿ネジ59aを支柱50の通し孔52から挿入し且つベース部材54の筒体55の雌ネジ孔57に螺入する。この結果、図5に示すように、支柱50は、ベース部材54を介して踏板支持用ブラケット20に固定される。
そして、図5に示すように、上記のように立設した複数の支柱50,50の上端に金具68を介して笠木60を斜めに固定する。最後に、支柱50,50間に、金具66によりアクリル樹脂製のパネル板Pを配置する。この結果、前記図1に示したように、階段Sに手摺Tを取り付けた取付構造を形成できる。
【0025】
以上のような階段用手摺の取付構造によれば、階段用桁K上に押出形材からなり所要の断面形状を有する踏板支持用ブラケット20を固定し、その凹部22にベース部材54のベース板56を挿入して固定した後、係るベース部材54の筒体55を踏板40に貫通させ且つ支柱50を嵌合して固定する。従って、手摺Tを構成する支柱50は、上記ブラケット20および踏板40によって挟まれつつ固定されているため、下向きはもとより上向きの外力に対しても十分に耐えることができる。しかも、ベース板56は、押出形材からなる上記ブラケット20の凹部22に挿入・固定されるため、支柱50の立設位置の精度が高く、その作業を容易且つ迅速に行うことができる。加えて、手摺Tの支柱50を立設して固定する踏板40および踏板支持用ブラケット20には、階段用桁Kの上にて歩行者側の視点からボルトなどの突起物がないため、デザイン性の点でも優れている。
【0026】
図6,図7は、異なる形態の階段用手摺の取付構造に関する。尚、以下において、前記形態と共通する要素や部分には、同じ符号を用いるものとする。
図6に示すように、前記同様に階段用桁Kの上に踏板支持用ブラケット20aがボルト17などにより所要数固定される。上記ブラケット20aは、前記踏板支持用ブラケット20と殆ど同じであるが、図6に示すように、上面21の中央には、底面寄りが幅広で且つ左右の開口部に沿って凸条21aを対向して突設した底広凹溝(凹部)22aを有する点で相違する。
【0027】
図6に示すように、ベース部材70は、ベース板71のみからなり、その両側辺72の底面寄りに一対の凸条74が対称に突出し、複数の通し孔75が垂直に貫通している。尚、係るベース部材70は、両側辺72に凸条74,74を一体に有する前記同様の押出形材を所定長さに切断し且つ孔明けしたものである。
また、図6に示すように、手摺Tを構成する支柱80は、前記同様の押出形材を所定の長さで切断したもので、断面が正方形の本体82、これとほぼ相似形の中空部84、およびその四隅に位置するネジ受け(ビスホール)86を有する。
【0028】
以上のようなベース部材70および支柱80を含む手摺Tを階段Sへ取り付けには、以下のようにして行う。
予め、図6に示すように、階段用桁Kの上に踏板支持用ブラケット20aを前記同様に固定し、支柱80の下端にベース部材70のベース板71を固定する。係る固定は、ベース板71の底面76からネジ78を貫通させ、係るネジ78を支柱80のネジ受け86に螺入することによって行う。
次に、図7に示すように、踏板支持用ブラケット20aの底広凹溝22a内に、支柱80と共にベース部材70を側方(水平方向)から嵌合(挿入)する。
【0029】
この結果、ベース板71の凸条74は、底広凹溝22aの底面寄りに挿入され且つ一対の凸条21aにより上方への移動が不能とされる。係るベース板71や中空部23を目隠しするため、上記ブラケット20aの両端面に、前記キャップ30が固定される。係る状態で、皿ネジ59をベース板71の通し孔75および底広凹溝22aの底面に位置する通し孔28に貫通し、予め踏板支持用ブラケット20aのナット挿入溝27に挿入しておいたナット37に締結する。
【0030】
更に、図7に示すように、固定された上記ベース板71から立設する支柱80を、踏板40の挿通孔42aに貫通させ、当該踏板40を上記ブラケット20aの上面21に載置する。次いで、前記同様にボルト46とナット38とを締結して、踏板40を上記ブラケット20aに固定して階段Sを形成する。尚、図7に示すように、蓋43で凹み43を塞いで踏板40の上にシート48を敷設する。
そして、図7に示すように、上記のようして立設した複数の支柱80,80の上端に金具68を介して笠木60を斜めに固定する。最後に、支柱80,80間に、金具66により前記同様のパネル板Pを配置する。この結果、前記図1と同様にして、階段Sに手摺Tを取り付けた取付構造を形成することができる。
【0031】
以上のような階段用手摺の取付構造によれば、ベース板71のみからなるベース部材70を用い、これを支柱80の下端に固定した後、踏板支持用ブラケット20aの底広凹溝22aに嵌合(挿入)し且つ固定する。従って、支柱80を含む手摺Tに上向きの外力が加わっても、係る手摺Tの抜け出しを確実に防止できるため、一層安全性が向上する。しかも、押出形材からなる上記ブラケット20aおよびベース部材70(ベース板71)を用いるため、支柱80の立設位置精度も高く、踏板40および上記ブラケット20aには、歩行者から視点でボルトなどの突起物がないため、デザイン性の点でも良好となる。
尚、上記支柱80の下端に平板からなるベース部材をネジ78により固定し、係るベース部材を、前記踏板支持用ブラケット20の凹部22に挿入し且つ固定することによって手摺Tを形成することも可能である。また、前記ベース板71にの上に前記筒体55を固定したベース部材とすることにより、前記ブラケット20aの上方に前記支柱50を立設することも可能である。
【0032】
図8,図9は、異なる形態の階段用桁K′およびこれを用いた階段Sと手摺Tの取付構造に関する。階段用桁K′は、図8に示すように、平行な一対の階段用桁k1,k2からなる。係る桁k1,k2は、互いに平行な上弦材1aおよび下弦材1cと、これらの間に斜めに配置されるラチス材12,13と、これらの節点部材となるハブ6,10とから形成される。即ち、桁k1,k2は、上弦材1a、下弦材1c、およびラチス材12,13により形成され、交互に逆向きの連続した複数の三角形を有するトラス構造体である。尚、左右に隣接するハブ6,6間を水平な前記連結材9によって連結しても良い。
【0033】
図8,図9(A)に示すように、階段用桁k1,k2の上弦材1aに沿って前記ズレ止め材36を介しつつ、複数の踏板支持用ブラケット20を上記桁k1,k2のハブ6,6間に跨って前記と同様にして固定する。尚、係るブラケット20に替えて、前記踏板支持用ブラケット20aを同様に固定しも良い。
あるいは、図9(B)に示すように、階段用桁k1,k2のハブ6に、前記ブラケット20,20aを短尺に切断した踏板支持用ブラケット20′,20a′を、前記と同様にして固定しても良い。
【0034】
図9(A),(B)に示すように、踏板支持用ブラケット20,20′の凹部22に前記ベース部材54のベース板56を挿入・固定し且つ踏板40を載置・固定することで階段Sを形成する。そして、係る踏板40の両端部または一端部から立設する上記ベース部材54の筒体55を支柱50の中空部23を挿入して立設し、複数の支柱50の上端に前記笠木60を固定して前記手摺Tを形成する。
尚、階段用桁k1,k2の上に踏板支持用ブラケット20a,20a′を固定した場合は、それらの底広凹溝22aに前記ベース部材70のベース板71を側方から挿入し、係るベース板71の上に予め固定した前記支柱80の上端に前記笠木60を固定し、且つ前記パネル板Pを配置して前記手摺Tを形成する。
短尺な踏板支持用ブラケット20′,20a′を用いることにより、階段Sの軽量化、素材の節約、および当該階段Sや手摺Tの設置位置に応じたデザインにすることが可能となる。尚、上記ブラケット20′,20a′の場合、前記キャップ30は、左右外側の端面のみに固定しても良い。
【0035】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、図10に示すように、左右の短辺に開口した切り欠き部92を対称に有する踏板90を用いて階段Sを形成しても良い。係る踏板90を用いる場合、階段Sおよび手摺Tは、次のようにして形成および取り付けられる。
図10に示すように、階段用桁Kの上に踏板支持用ブラケット20を前記同様に固定し、係るブラケット20の凹部22における両端部の少なくとも一方に、ベース部材94のベース板96を挿入・固定する。係るベース部材94は、矩形のベース板96およびその外側寄りに立設する筒体95からなる。
図10中の矢印で示すように、ベース部材94のベース板96を凹部22に挿入し、その四隅の通し孔98から前記皿ネジ59を凹部22の底面の通し孔28を介して、上記ブラケット20内に配置した前記ナット37に螺合する。
【0036】
次に、踏板90の切り欠き部92が、踏板支持用ブラケット20の両端部から立設する一対のベース部材94の筒体95を囲むように、当該踏板90を上記ブラケット20の上面21に載置する。係る踏板90の表面91側から凹み部を含む通し孔93に前記ボルト46を挿通して、前記同様に当該踏板90を固定することにより階段Sを形成する。係る状態で、上記ブラケット20の両端面にキャップ30を固定しする。尚、切り欠き部92の寸法は、上記筒体95の断面寸法よりもやや大きめに設定されている。
次いで、図10中の矢印で示すように、前記支柱80とほぼ同様で中空部84が断面四角形の支柱81を、各ベース部材94の筒体95に嵌合して立設する。係る支柱81の本体82における下部に穿孔した通し孔88から図示しないネジを挿入し、筒体95に刻設した雌ネジ孔97に螺入する。尚、係る支柱81の下端付近は、上記切り欠き部92内に位置する。
【0037】
そして、踏板90の上面91に前記シート48を敷設し、上記支柱81の上端に前記笠木60を固定し、且つ前記パネル板Pを配置して手摺Tを形成する。
尚、図10において、前記ベース部材54および支柱50を用いても良い。この際、踏板90の切り欠き部92は、奥部を半円形にすることが望ましい。
また、踏板90の切り欠き部92は、左右何れか一端部のみに設けても良い。更に、図10において、前記踏板支持用ブラケット20a、ベース部材70、および支柱80を前記踏板90と共に用いても良い。
加えて、図10に示す形態において、階段用桁Kに替えて前記一対の桁k1,k2からなる階段用桁K′を用いても良い。この場合、短尺な前記踏板支持用ブラケット20′,20a′を用いると共に、以上のベース部材54,70,94や支柱50,80,81、あるいは踏板40,90をの何れか用いて階段Sの形成および手摺Tの取り付けが行われれる。
【0038】
付言すれば、階段用桁は、無垢の木材または型鋼などの鋼材からなる中桁または側桁を用いて良い。また、踏板支持用ブラケットは、底広凹溝を含む凹部を上面に有するものであれば、金属板の曲げ加工材や鋳造材、あるいは木材の加工材を用いることも可能である。更に、ベース部材は、金属製の他、硬質合成樹脂からなる一体成形物を用いても良い。加えて、支柱および笠木は、金属材の表面における全体または一部に樹脂を被覆した複合材を用いることもできる。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の階段用手摺の取付構造を適用して係る手摺を取り付けた階段を示す側面図。
【図2】 (A),(B)は図1の階段を構成する階段用桁またはこれを構成する要素を示す概略。
【図3】図1に示した階段用手摺の取付構造を示す分解斜視図。
【図4】図1に示した階段用手摺の取付構造を形成する状態を示す垂直断面図。
【図5】図4に続いて階段用手摺の取付構造を形成した状態を示す垂直断面図。
【図6】異なる形態の階段用手摺の取付構造を形成する状態を示す垂直断面図。
【図7】図6に続いて階段用手摺の取付構造を形成した状態を示す垂直断面図。
【図8】異なる形態の階段用桁などを示す概略図。
【図9】 (A),(B)は図8の階段用桁を用いて階段の形成および階段用手摺を取り付ける状態を示す概略図。
【図10】更に異なる形態の階段用手摺の取付構造を形成する状態を示す分解斜視図。
【図11】 (A),(B)は従来における階段用手摺の取付構造を示す概略図。
【符号の説明】
20,20′,20a,20′…踏板支持用ブラケット
21…………………………………上面
22…………………………………凹部
22a………………………………底広凹溝(凹部)
40,90…………………………踏板
42…………………………………挿通孔
50,80,81…………………支柱
51a,84………………………中空部
54,70,94…………………ベース部材
55,95…………………………筒体
56,71,96…………………ベース板
60…………………………………笠木
72…………………………………側辺
74…………………………………凸条
78…………………………………ネジ
86…………………………………ネジ受け
92…………………………………切り欠き部
K,K′,k1,k2……………階段用桁
S……………………………………階段
T……………………………………階段用手摺
Claims (6)
- 階段用桁に踏板支持用ブラケットを固定し、当該ブラケットの上に踏板を支持および固定する階段に固定される手摺の取付構造であって、
上記手摺は、複数の支柱、係る支柱の上端に固定される笠木、および前記支柱の下端に固定されるベース部材を含み、
上記ベース部材は、上記踏板支持用ブラケットの上面に設けた凹部に挿入して固定されると共に、
上記支柱は、上記踏板に設けた挿通孔または切り欠き部を貫通して上記ベース材部に固定される、ことを特徴とする階段用手摺の取付構造。 - 前記ベース部材は、前記支柱の中空部に挿入して固定される筒部と、係る筒部の下端に位置し且つ前記踏板支持用ブラケットの凹部に挿入して固定されるベース板と、からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の階段用手摺の取付構造。 - 前記ベース部材は、前記踏板支持用ブラケットの凹部に挿入して固定されるベース板からなり、係るベース板を貫通するネジが前記支柱に設けたネジ受けに螺入することにより、前記支柱に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の階段用手摺の取付構造。 - 前記踏板支持用ブラケットの凹部は、底面寄りが幅広の底広凹溝であり、前記ベース部材のベース板は、上記底広凹溝に両側辺の底面寄りに突出した一対の凸条を上記底広凹溝に嵌合して固定される、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の階段用手摺の取付構造。 - 前記踏板支持用ブラケットは、前記凹部を上面に有し且つ前記階段用桁の上面に面接触可能な断面を有するアルミニウム合金の押出形材からなる、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の階段用手摺の取付構造。
- 前記踏板支持用ブラケットは、平行な一対の階段用桁の上に跨って固定されるか、あるいは平行な一対の階段用桁の上に個別に固定される、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の階段用手摺の取付構造。
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