JP4010120B2 - 内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置 - Google Patents

内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば筒内直接噴射式のガソリン内燃機関に好適に用いられ、シリンダ内を往復動する燃料加圧用のプランジャを備えた高圧燃料ポンプに関し、特に、プランジャの両側に設けられる燃料室とオイル室とを液密に隔成するシール装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃焼室に直接的に燃料を噴射する筒内直接噴射式のガソリン内燃機関では、燃料噴射弁に供給する燃料を例えば3MPa以上に高圧化する高圧燃料ポンプが必要となる。このような高圧燃料ポンプとして、特開2001−3839号公報等には、プランジャ型の高圧燃料ポンプが開示されている。簡単に説明すると、カムシャフトから伝達される回転動力に応じて斜板が回転し、プランジャを押圧することにより、プランジャがシリンダ内を往復動して燃料が加圧される。プランジャの外周面とシリンダの内周面との間にはシール装置が介装され、このシール装置によって、潤滑油が満たされたオイル室と燃料が満たされた燃料室とが液密に隔成される。
【0003】
このようなシール装置の一従来例を図11に示す。同図に示すように、この従来例に係るシール装置は、シリンダの内周面に圧入により固定される略円筒状の一つの金属リング101に、オイル室に臨んだオイル側弾性リップ102と、燃料室に臨んだ燃料側弾性リップ103と、シリンダに当接するシリンダ側弾性部104と、が取り付けられた一体型の構造となっている。これらの弾性リップ102,103及びシリンダ側弾性部104は、一つの弾性部材として一体的に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来例に係る一体型のシール装置では、以下に列記するような課題がある。
【0005】
第1に、オイル室内に満たされている高温の潤滑油の熱や、シリンダからの熱が、金属リング101やオイル側弾性リップ102を伝って燃料側弾性リップ103へ伝達され易く、この熱によって、燃料側弾性リップ103の熱劣化や摩耗量の増加を招き易い。補足すると、潤滑油(エンジンオイル)に比して燃料(ガソリン)は粘性が低いため、もともとシール部分の液膜厚さが小さい。このため、燃料側弾性リップ103の温度上昇により液膜厚さが更に小さくなると、この燃料側弾性リップ103とプランジャとが実質的に接触して摺動摩耗量が更に増加するおそれがある。また、ゴム自体の熱劣化により摩耗が更に加速する。このように燃料側弾性リップ103の摩耗が局部的に進行することにより、全体的なシール機能の低下を招いてしまう。
【0006】
第2に、オイル側弾性リップ102はオイルの熱により経時的に熱硬化し易く、燃料側弾性リップ103はガソリン成分により経時的に軟化及び膨潤し易い傾向にある。このため、オイル側弾性リップ102と燃料側弾性リップ103との接続部分105に、両弾性リップ102,103の経時的な硬度差および膨潤量差に起因する内部歪み応力が発生し、シール強度の低下等を招き易い。
【0007】
第3に、燃料側弾性リップ103が取り付けられる金属リング101がシリンダの内周面に直接的に接触しているため、シリンダから入力される振動が金属リング101を経由して燃料側弾性リップ103へ伝わり易く、これに起因して摩耗量が増加するおそれがある。この燃料側弾性リップ103は、オイル側弾性リップ102に比して液膜厚さが一般的に小さいので、摩耗による悪影響が大きい。
【0008】
第4に、金属リング101をシリンダに圧入により固定する構造では、圧入時に金属リング101の変形に伴ってシリンダ側弾性部104がシリンダの内周面からめくれ上がるように変形してゴム圧入代が低下し、シール性の低下を招くおそれがある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、請求項1又は6に係る発明は、内燃機関の高圧燃料ポンプのシリンダの内周面と、外部から伝達される回転動力により上記シリンダ内を往復動して燃料を加圧するプランジャの外周面と、の間に介装され、燃料が満たされた燃料室と潤滑油が満たされたオイル室とを液密に隔成する内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置において、上記シリンダに嵌合するオイル側金属リング及び上記プランジャの外周面に摺接するオイル側弾性リップを有するオイル側シール体と、上記シリンダに嵌合する燃料側金属リング及び上記プランジャの外周面に摺接する燃料側弾性リップを有する燃料側シール体と、を有し、この燃料側シール体は、上記オイル側シール体とは別体であり、このオイル側シール体に対して燃料室側に同軸状に隣設配置されることを特徴としている。
【0010】
すなわち、オイル側シール体と燃料側シール体とは、典型的には軸方向に互いに接触する状態で、例えばシリンダに凹設される取付凹部に嵌合して固定される。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、上記オイル側弾性リップと燃料側弾性リップとが互いに異なる弾性材料により成形されていることを特徴としている。
【0012】
例えば、オイル弾性リップに耐油性・耐熱性に優れたゴム材料を用い、燃料側弾性リップに耐ガソリン性・耐圧性に優れたゴム材料を用いる。
【0013】
請求項に係る発明は、上記オイル側金属リング及び燃料側金属リングの互いに対向する軸方向端部に、径方向内方へ略直角に折曲して互いに対向する略円環状のフランジ部がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記オイル側金属リング及び燃料側金属リングの少なくとも一方のフランジ部の内周側の部分が、両フランジ部が互いに離間する方向へ更に折曲していることを特徴としている。
【0015】
言い換えると、両フランジ部の内周側の端部間に、所定の隙間が設けられている。
【0016】
請求項5に係る発明は、上記オイル側シール体及び燃料側シール体の少なくとも一方が、上記両フランジ間の接触を回避するように、両フランジ間に介装されるフランジ側弾性部を有していることを特徴としている。
【0017】
請求項3又は6に係る発明は、上記燃料側シール体が、上記燃料側金属リングの外周面と上記シリンダの内周面との間に介装されるシリンダ側弾性部を有し、上記オイル側金属リングが、上記シリンダの内周面に圧入により固定されることを特徴としている。
【0018】
これらフランジ側弾性部やシリンダ側弾性部は、好ましくは燃料側弾性リップと一体的に型成形される。
【0019】
【発明の効果】
請求項1又は6に係る発明によれば、シール装置がオイル側シール体と燃料側シール体とに分割して構成されているため、オイル室に満たされている潤滑油の熱が燃料側弾性リップへ伝達され難く、この燃料側弾性リップの熱劣化が抑制されるとともに、その摩耗量が低減される。また、オイル側弾性リップと燃料側弾性リップとが互いに別体として構成されているため、上述した従来例のように経時的な内部歪み応力が生じることがなく、これに起因するゴム強度の低下等を招くことがない。このため、疲労寿命が向上し、長期にわたって良好なシール性能を安定して維持できる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、硬度や膨潤率の変化等を考慮して、燃料側弾性リップ及びオイル側弾性リップのそれぞれを用途に応じた最適な圧縮率等に設定でき、そのシール性能が更に向上する。
【0021】
請求項に係る発明によれば、両金属リングの接触が平坦なフランジ部で行われるため、両者の相対的な位置精度が向上する。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、両フランジ部の接触範囲が効果的に低減されるため、両金属リング間の熱や振動の伝達が抑制される。このため、上述した燃料側弾性リップの熱劣化や摩耗量の増加をより確実に抑制することができる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、両金属リングのフランジ部の直接的な接触が回避され、熱や振動の伝達を更に確実に低減することができる。
【0024】
請求項3又は6に係る発明によれば、シリンダ側弾性部によりシリンダ内周面からの熱や振動の入力が低減され、ひいては燃料側弾性リップの熱劣化等をより確実に防止できる。また、圧入固定されるオイル側金属リングとは別体の燃料側金属リングにシリンダ側弾性部が設けられているため、このシリンダ側弾性部がオイル側金属リングの圧入による悪影響を受けることがない。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るシール装置を備えた高圧燃料ポンプ4が適用される筒内直噴式のガソリン内燃機関1の燃料系システムを示す構成図である。燃料タンク2内に配置される低圧燃料ポンプ3から低圧燃料配管10へ供給された低圧燃料は、低圧プレッシャーレギュレータ8で一定の圧力に調整され、高圧燃料ポンプ4により更に加圧されて、高圧燃料配管9を通して燃料噴射インジェクタ5へ圧送される。高圧燃料配管9を通過する高圧燃料は、燃圧センサ6によりその燃圧値が読み取られ、メモリ及びCPU等を備えた周知のエンジンコントロールユニット11からの制御信号に基づいて、高圧プレッシャーレギュレータ7で所望の燃圧に調整される。
【0026】
図2は、高圧燃料ポンプ4の内部構造を示す断面対応図である。この高圧燃料ポンプ4は、外部のカムシャフト12から伝達される回転動力によりシリンダ13内を往復動して燃料を加圧するプランジャ15を備えたプランジャ式の高圧燃料ポンプである。このようなプランジャ式の高圧燃料ポンプの構成は、上記特開2001−3839号公報にも開示されているように、後述するシール装置40を除いて基本的に公知であるため、ここでは簡単に説明する。
【0027】
高圧燃料ポンプ4は、シリンダヘッド16に固定されるケーシング17と、このケーシング17内に嵌合保持されるシリンダ13と、このシリンダ13の後面を覆うようにケーシング17の後面にボルト18等を介して固定されるリヤボディ19と、を有している。シリンダ13には、プランジャ15が摺動可能に嵌合するシリンダボア14が穿設されており、このシリンダボア14がシリンダ13の内周面を形成している。また、シリンダ13には安全弁38が配設されている。
【0028】
ケーシング17には、プランジャ15を軸方向に押圧する斜板20が、ボール軸受21及びスラスト軸受22を介してカムシャフト12の軸線23回りに回転可能に支持されている。斜板20には、ケーシング17の外部へ突出する軸部24が設けられ、この軸部24の先端とカムシャフト12の一端とがカップリング25を介して連結されている。このカップリング25によりカムシャフト12から斜板20へ回転動力が伝達され、斜板20がカムシャフト12と一体的に軸線23周りに回転する。
【0029】
ケーシング17内に臨んだ斜板20の軸方向端面すなわち摺接面27は、軸線23と直交する面に対して傾斜する平坦な面であり、この摺接面27に、プランジャ15の一端に取り付けられたスリッパ28の端面が摺接している。このスリッパ28により、斜板20の回転運動がプランジャ15の往復運動に変換される。つまり、斜板20の回転に伴って、プランジャ15がシリンダボア14内を軸線23に沿って往復駆動される。
【0030】
プランジャ15の外周面とシリンダボア14との間には、本実施形態に係るシール装置40が介装されており、このシール装置40によって、潤滑油が満たされたオイル室29と、燃料(ガソリン)が満たされた燃料室30と、が液密に隔成されている。オイル室29には、低圧燃料配管10(図1)からオイル導入通路31を通して潤滑油が供給される。この潤滑油は、プランジャ15外周面とシリンダボア14の摺接部分,スリッパ28とプランジャ15の摺接部分,スラスト軸受22,及びボール軸受21等を潤滑した後、例えばボール軸受21の部分から機関内部へ排出される。
【0031】
燃料室30には、逆止弁(ワンウェイバルブ)である吸入チェックバルブ32及び吐出チェックバルブ33が設けられ、これらチェックバルブ32,33がプランジャ15の往復運動に伴って適宜に開閉することにより、低圧燃料の吸入・加圧・吐出が行われる。すなわち、燃料室30は吸入チェックバルブ32によって低圧室34と高圧室35とに仕切られており、低圧燃料配管10(図1)から低圧室34へ供給された低圧燃料は、吸入チェックバルブ32を介して高圧室35へ吸入される。この高圧室35内の高圧燃料は、プランジャ15の往復運動に伴って加圧され、吐出チェックバルブ33を介して高圧燃料配管9(図1)へ吐出される。
【0032】
低圧室34は、シリンダボア14の周囲に凹設される周方向油路37を含んでおり、この周方向油路37がシール装置40に臨んでいる。つまり、燃料室30の中でも相対的に低い圧力(フィード圧)の低圧室34をシール装置40でシールするように設定されている。
【0033】
図3は、第1実施形態に係るシール装置40の近傍を示す図2の要部拡大図であり、図4は、このシール装置40を単体で示す断面対応図である。このシール装置40は、互いに別体として形成されるオイル側シール体41と燃料側シール体42とにより分割構成されている。オイル側シール体41は、略筒状のオイル側金属リング43と、このオイル側金属リング43より突出してプランジャ15の外周面に摺接するオイル側弾性リップ44と、を有している。また、燃料側シール体42は、略筒状の燃料側金属リング45と、この燃料側金属リング45より突出してプランジャ15の外周面に摺接する燃料側弾性リップ46と、燃料側金属リング45とシリンダ13との間に介装されるシリンダ側弾性部47と、を有している。
【0034】
これらのシール体41,42の金属リング43,45は、シリンダ13のシリンダボア14の開放端部に凹設される相対的に大径な取付凹部14aに嵌合される。より具体的には、先ず燃料側シール体42を取付凹部14aに嵌合した後、オイル側シール体41を取付凹部14a内に圧入固定することにより、オイル側シール体41がオイル側シール体41と取付凹部14aの段差面14bとの間に狭持される。このような組付後の状態では、燃料側シール体42がオイル側シール体41に対して燃料室30側(図3及び図4で右側)に同軸状に隣設配置される。
【0035】
このように、オイル側シール体41では、オイル側金属リング43の外周面が、シリンダ13の取付凹部14aの内周面に直接的に圧接している。なお、所定の圧入固定力を得るために、オイル側金属リング43の外径が取付凹部14aの内径よりも所定の圧入代だけ大きく設定されている。これに対し、燃料側シール体42では、燃料側金属リング45とシリンダ13の取付凹部14aとの間にシリンダ側弾性部47が介装されており、燃料側金属リング45がシリンダ13と直接的に接触していない。
【0036】
なお、この燃料側シール体42も、上記のオイル側シール体41と同様、取付凹部14a内に圧入されるが、ゴム製のシリンダ側弾性部47の圧入となるために、その固定力は弱い。しかしながら、機関運転中には、燃料室30にオイル室29の大気圧よりも高いフィード圧が常に作用するため、燃料側シール体42はオイル側シール体41の方向(図3,4の左方向)に押さえつけられる。従って、燃料側シール体42が軸方向に移動してオイル側シール体41から離れるおそれはない。
【0037】
オイル側弾性リップ44や燃料側弾性リップ46の内径は、オイル室29や燃料室30内の液体を確実にシールするように、プランジャ15の外径よりも所定の締め代だけ小さく設定されている。これらのオイル側弾性リップ44と燃料側弾性リップ46(及びシリンダ側弾性部47)とは、用途に応じた最適な圧縮率が得られるように、互いに異なるゴム材料から成形されている。例えば、オイル側弾性リップ44には耐油性・耐熱性に優れたゴム材料が用いられ、燃料側弾性リップ46(及びシリンダ側弾性部47)には耐ガソリン性・耐圧性に優れたゴム材料が用いられる。
【0038】
オイル側金属リング43及び燃料側金属リング45の互いに対向する軸方向端部には、主に両シール体41,42の位置精度を向上するために、径方向内方へ略直角に折曲して互いに対向する略円環状のフランジ部48がそれぞれ折曲形成されている。また、図5に示すように、両フランジ部48の接触幅49を極力小さくして熱や振動の伝達量を低減するために、フランジ部48の少なくとも一方(この実施形態ではオイル側金属リング43のフランジ部)の内周側の部分50が、両フランジ部48が互いに離間する方向へ更に折曲している。つまり、両フランジ部48の内周側の端部間に所定の隙間51が設けられている。
【0039】
次に、図6〜9を参照して、本実施形態の作用効果を上述した従来例と比較しつつ説明する。なお、図6〜9では、従来例の一体型シール装置を左側に、本実施形態の分割型シール装置40を右側に描いている。
【0040】
図6を参照して、従来例のような一体型シール装置では、シリンダ13の内周面に直接的に接触するとともにオイル室29へ直接的に臨んでいる金属リング101に、燃料側弾性リップ103が取り付けられているため、シリンダ13やオイル室29からの熱が金属リング101を介して燃料側弾性リップ103へ伝わり易い。これに対し、本実施形態のような分割型のシール装置40では、シリンダ13に直接的に接触するとともにオイル室29へ臨んでいるオイル側金属リング43とは別体の燃料側金属リング45に燃料側弾性リップ46が取り付けられており、かつ、この燃料側金属リング45とシリンダ13の内周面との間にシリンダ側弾性部47が介装されており、この燃料側金属リング45がシリンダ13の内周面に直接的に接触していない。このため、オイル室29やシリンダ13から燃料側弾性リップ46へ熱が伝わり難く、この燃料側弾性リップ46の温度上昇が抑えられる。従って、燃料側弾性リップ46の熱劣化が抑制されるとともに、燃料側弾性リップ46とプランジャ15外周面との間の液膜厚さが適宜に確保され、燃料側弾性リップ46の摩耗量が抑制される。
【0041】
図7を参照して、弾性リップの経時的な劣化に関し、オイル室をシールするオイル側弾性リップでは熱硬化の傾向が強く、燃料室をシールする燃料側弾性リップでは軟化及び膨潤化の傾向が強い。このため、従来例のようにオイル側弾性リップ102と燃料側弾性リップ103とが一体的に成形されていると、両者の硬度差及び膨潤量差に起因して、両者の接続部分105に内部歪み応力が生じ、この部分の耐久性等が問題となる。これに対し、本実施形態ではオイル側弾性リップ44と燃料側弾性リップ46とが互いに別体となっているため、両者に硬度差および膨潤量差が生じた場合でも、従来例のようにゴム内部歪みが生じることはない。このため、経時的なシール強度の低下が抑制され、疲労寿命が向上し、長期にわたって所期のシール性能を安定して得ることができる。
【0042】
図8を参照して、シリンダから入力される振動が燃料側弾性リップに伝達すると、燃料側弾性リップの摩耗が増し、好ましくない。しかしながら、従来例では、シリンダ13に直接的に圧接する金属リング101に燃料側弾性リップ103が取り付けられているため、金属リング101を介してシリンダ13から燃料側弾性リップ103へ振動が伝達され易く、この燃料側弾性リップ103の摩耗が促進され易い。これに対し、本実施形態では、燃料側金属リング45がシリンダ13の内周面に直接的に接しておらず、燃料側金属リング45とシリンダ13との間にシリンダ側弾性部47が介装されているため、このシリンダ側弾性部47でシリンダ13から入力される振動が適宜に遮断,減衰され、上記振動に起因する燃料側弾性リップ46の摩耗が抑制される。
【0043】
加えて、2つの金属リング43,45が互いに固定されておらず、かつ、図5にも示すように両金属リング43,45のフランジ部48の接触幅49を十分に小さくしているため、両金属リング43,45間の振動の伝達も抑制され、燃料側弾性リップ46への振動の伝達を更に確実に抑制することができる。
【0044】
図9を参照して、金属リングは典型的には圧入によりシリンダへ固定される。ここで、従来例のような一体型のシール装置では、金属リング101の圧入時に、この金属リング101に取り付けられるシリンダ側弾性部104がめくれ上がるように変形し、そのシール性が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態では、シリンダ13の内周面との隙間をシールするシリンダ側弾性部47が、圧入により固定されるオイル側金属リング43とは別体の燃料側金属リング45に取り付けられているため、シリンダ側弾性部47がオイル側金属リング43の圧入による悪影響を受けることはほとんどなく、このシリンダ側弾性部47のシール性の低下を招くことはない。
【0045】
また、シリンダ側弾性部47が、剛性の高い燃料側金属リング45の外周面とシリンダ13の内周面との間に介装される薄膜状であるため、上記従来例のようにめくれ上がるような変形を生じることもなく、所期のシール圧を十分に確保でき、ガソリン浸漬によりシリンダ側弾性部47が経時的に軟化,膨潤化した場合でも、従来例に比して十分に高いシール性を維持できる。
【0046】
図10は第2実施形態に係るシール装置40’を示している。上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明すると、この第2実施形態では、金属リング43,45間の振動及び熱の伝達をより確実に抑制するために、互いに対向するフランジ部48間にフランジ弾性部52を介装して、両フランジ部48間の接触を完全に無くしている。このフランジ弾性部52は、この実施形態では燃料側金属リング45のフランジ部48に取り付けられ、燃料側弾性リップ46及びシリンダ側弾性部47と一体的に型成形される。
【0047】
以上のように本発明を具体的な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形,変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシール装置が適用される内燃機関の燃料系システムを示す構成図。
【図2】図1の内燃機関の高圧燃料ポンプの内部構造を示す断面対応図。
【図3】図2の要部拡大図。
【図4】本発明の第1実施形態に係るシール装置を示す断面対応図。
【図5】図4のシール装置の金属リングを示す説明図。
【図6】上記実施形態と従来例の比較説明図。
【図7】同じく比較説明図。
【図8】同じく比較説明図。
【図9】同じく比較説明図。
【図10】本発明の第2実施形態に係るシール装置を示す断面対応図。
【図11】従来例に係るシール装置の断面対応図。
【符号の説明】
13…シリンダ
15…プランジャ
29…オイル室
30…燃料室
40…シール装置
41…オイル側シール体
42…燃料側シール体
43…オイル側金属リング
44…オイル側弾性リップ
45…燃料側金属リング
46…燃料側弾性リップ
47…シリンダ側弾性部
48…フランジ部
52…フランジ弾性部

Claims (6)

  1. 内燃機関の高圧燃料ポンプのシリンダの内周面と、外部から伝達される回転動力により上記シリンダ内を往復動して燃料を加圧するプランジャの外周面と、の間に介装され、燃料が満たされた燃料室と潤滑油が満たされたオイル室とを液密に隔成する内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置において、
    上記シリンダに嵌合するオイル側金属リング及び上記プランジャの外周面に摺接するオイル側弾性リップを有するオイル側シール体と、
    上記シリンダに嵌合する燃料側金属リング及び上記プランジャの外周面に摺接する燃料側弾性リップを有する燃料側シール体と、を有し、
    この燃料側シール体は、上記オイル側シール体とは別体であり、このオイル側シール体に対して燃料室側に同軸状に隣設配置され
    かつ、上記オイル側金属リング及び燃料側金属リングの互いに対向する軸方向端部に、径方向内方へ略直角に折曲して互いに対向する略円環状のフランジ部がそれぞれ形成されていることを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置。
  2. 上記オイル側弾性リップと燃料側弾性リップとが互いに異なる弾性材料により成形されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置。
  3. 上記燃料側シール体が、上記燃料側金属リングの外周面と上記シリンダの内周面との間に介装されるシリンダ側弾性部を有し、
    上記オイル側金属リングが、上記シリンダの内周面に圧入により固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置。
  4. 上記オイル側金属リング及び燃料側金属リングの少なくとも一方のフランジ部の内周側の部分が、両フランジ部が互いに離間する方向へ更に折曲していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置。
  5. 上記オイル側シール体及び燃料側シール体の少なくとも一方が、上記両フランジ間の接触を回避するように、両フランジ間に介装されるフランジ側弾性部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置。
  6. 内燃機関の高圧燃料ポンプのシリンダの内周面と、外部から伝達される回転動力により上記シリンダ内を往復動して燃料を加圧するプランジャの外周面と、の間に介装され、燃料が満たされた燃料室と潤滑油が満たされたオイル室とを液密に隔成する内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置において、
    上記シリンダに嵌合するオイル側金属リング及び上記プランジャの外周面に摺接するオイル側弾性リップを有するオイル側シール体と、
    上記シリンダに嵌合する燃料側金属リング及び上記プランジャの外周面に摺接する燃料側弾性リップを有する燃料側シール体と、を有し、
    この燃料側シール体は、上記オイル側シール体とは別体であり、このオイル側シール体に対して燃料室側に同軸状に隣設配置されるととともに、上記燃料側金属リングの外周面と上記シリンダの内周面との間に介装されるシリンダ側弾性部を有し、
    上記オイル側金属リングが、上記シリンダの内周面に圧入により固定されることを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプのシール装置。
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