JP4009888B2 - 高速縦軸回転体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は縦軸を中心として回転する回転体が所定の速度を越えることがないように抑制するマグネットブレーキ及びこのブレーキを取り付けた回転体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回転体の回転速度がある設定領域を越えて大きくなる場合には自動的にブレーキが作用してその回転速度を抑制する制御装置が備えられている場合が多い。この場合の制御装置は回転体の速度をセンサーにて測定し、該センサーからの信号を受けてブレーキを作用するように構成しているのが一般的である。ところで、従来のブレーキ装置には色々あるが、回転ドラムや回転ディスクにブレーキパッド等を押し付けて接触摩擦を発生するようになっている。
【0003】
ブレーキパッドを回転ドラムや回転ディスクに直接押圧する方がブレーキ効果は優れることになるが、ブレーキパッド並びに回転ドラム等は擦り合って摩耗する為に一定期間ごとに交換しなくてはならない。それに、ブレーキパッドを作動する為の動力及び装置が必要となり、このような従来の接触型ブレーキ装置では回転速度に応じての自動調整は困難である。
【0004】
出願人は平成9年11月27日付で風力を利用して回転する屋外設置物に発電機を備えた装置の特許出願を行っている。今日CO2 の削減を地球温暖化止の為に実現しなくてはならない国際問題となっており、その為に、太陽エネルギーを利用した発電、風力発電等が一部で普及している。上記発電装置は一種のモニュメントとしても機能する風車であり、該モニュメントの回転速度が必要以上に高くなっては意味がなく、又危険でもある。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
このように従来のブレーキ装置並びに風力発電装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、風車ではなくモニュメントや看板等の屋外設置物を風力で回転させることで発電することが出来るようにした風力発電機を備えた高速縦軸回転体を提供する。そして一方においては回転速度が所定の領域を越えることがないように制御するブレーキ装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の高速縦軸回転体の具体的な形態は特に限定しないが、一つには平成9年11月27日出願の「発電機を備えた屋外設置物」のようなものである。この装置はモニュメント等を回転出来るように据え付けし、風力にて回転した力を利用して発電するように構成している。この場合、大きなプロペラ型風車と異なりモニュメントや看板は垂直に起立し、その結果、該モニュメント等を支える回転軸はおのずと垂直となる。従ってモニュメントの重量が軸のスラスト軸受けに作用したのでは回転摩擦にて回転効率が低下するが、本発明では回転軸に生じる摩擦を出来る限り小さくする為に磁気力を利用したスラスト磁気軸受けを採用して、僅かな風でも回転することが出来るようにしている。
【0007】
回転軸には回転体が取り付けられ、該回転体は風力にて回転するが、本発明では該回転体が弱い風速でも回転することが出来る一方、所定の速度以上にならないようにブレーキ装置を備えている。このブレーキ装置はパラソル型遠心力マグネットブレーキ装置であり、縦軸の回転に伴う遠心力を利用して該縦軸に取り付けたアームを揺動し、アーム先端の磁石と固定筒との間に渦電流抵抗を発生してブレーキが作用するように構成する。
【0008】
そこで、縦軸の回転速度が高くなるにしたがって該縦軸に取り付けされているアームは開き、先端の磁石と固定筒間の隙間は小さくなり、渦電流抵抗は大きくなる。従って縦軸の回転速度は抑えられ、一定速度以上になることはない。そして、本発明のブレーキ装置ではアーム先端の磁石は固定筒内面に接触することがないように、アームの揺動角(開き)を抑えるストッパーが備わっている。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
【実施例】
図1は本発明の高速縦軸回転体の1具体例である発電機を備えたモニュメントを表している実施例である。同図の1はモニュメント風車、2は台、3は回転軸、4は発電機を表しており、該モニュメント風車1は軸3を中心として回転することが出来る。該モニュメント風車1はその重量を軽くする為に材質をアルミニウム合金製とし、中心に設けている回転軸3によって支えられ、上記台2上に垂直に起立している。そして、モニュメント風車1に風が当たるならば回転軸3を中心として回転し、この回転が上記台2内に収容されている発電機4を回すことになる。
【0010】
ところで、本発明の上記モニュメント風車1はその形状を特に限定しないが、受風効率が高くなる形状となっている。一般には風力発電機のプロペラの基本形状が応用されていて、サボニウス型、ダリウス型、パドル型等を基にした形状となっている。そしてこのモニュメント風車1は風速が3m/sになったところで回転を開始し、発電機は風速が5m/sに達したところで回転するように制御されている。勿論、風速に関係なくモニュメント風車1及び発電機4を回すようにすることは自由である。
【0011】
モニュメント風車1は材質をアルミ合金とし、その重量を軽くしているが、回転軸3を支えるスラスト荷重による摩擦でモニュメント風車1の回転に悪影響を及ぼさないように、マグネットスラスト軸受装置5を採用している。回転軸3には回転体を取着し、該回転体の下端面には回転部永久磁石を設け、一方の台2側には固定部永久磁石を配置している。回転部永久磁石と固定部永久磁石は上下方向に対向させて配置され、両永久磁石の反発力によって回転体を浮上させることが出来る構造としている。(このマグネットスラスト軸受け装置の詳細は特願平9−944332号参照)
【0012】
ところで、このモニュメント風車1は風速が3m/sでゆっくり回転を開始し、風速が5m/s〜6m/sに達したところで発電機4が回るようにしている。モニュメント風車1と同時に発電機4も回転するようにすることも出来、むしろその方が簡単であるが、モニュメント風車1の回転速度がある程度に達して慣性が大きくなったところで発電機に連結するようにしている。発電機4は回転速度が1000rpm〜2000rpmにならなくては効率よく発電することが出来ない為に、該発電機4を高速回転するには大きな慣性トルクとエネルギーが必要である為に、発電機4が作動するモニュメント風車1の回転速度が定められている。
【0013】
そこで、モニュメント風車1の回転軸3を発電機4に直結したのでは発電機4が発電することが出来ない為に、間には増速機を設けている。図1に示している増速機は大歯車6を回転軸3に取着し、小歯車7を発電機の主軸に設けて両歯車6、7間にはタイミングベルト8が巻き掛けられている。増速機の形態は他にも色々あり、特に限定しない。
【0014】
そして、小歯車7は発電機4を高速回転することが出来るが、間にはカップリング(図示なし)が介在しており、小歯車7の回転速度が一定以上になったところで発電機4を回すようにしている。この速度は風速で約5m/sに達した場合である。発電機4としては3相交流発電機が使用され、発生した電気はそれぞれの用途に使用することが出来る。又電気が不要な場合には制御盤を介して直流に変換してバッテリーに蓄電することが出来る。
【0015】
ところで、上記モニュメント風車1は風速が約3m/sに達したところで回転することになるが、台風時にはこの風速が30m/s〜40m/sにも達する。この場合、モニュメント風車1の回転速度は非常に高くなって危険であることから、回転軸にはパラソル型遠心力マグネットブレーキ装置9が備わっていて、所定の速度以上にならないように制御している。
【0016】
図2は上記回転軸3にマグネットスラスト軸受け装置5とパラソル型遠心力マグネットブレーキ装置を取り付けしている実施例を示している。長さの調整が可能な非磁性金属で出来ているブーム10を回転軸3に対して放射状に取り付け、その先端には回転軸3が回転することで遠心力の作用で開くことが出来る非磁性体金属から成り平行四辺形関節を構成しているアーム11、11…を備えている。該アーム11の先端には磁性金属のヨーク12を有し、このヨーク12には強力なマグネット13が取着されている。
【0017】
そこで、回転軸3が回転して遠心力の作用でアーム11が開くならば、アーム11は平行四辺形関節を構成している為にマグネット面は常に垂直を保った状態で移動し、固定筒14の内周面に近づく。この固定筒14は銅合金又はアルミ合金等の非磁性金属から成り、台側に固定されている。アーム先端のマグネット13は該アーム11が開いても固定筒14の内周面に接触しないように、アーム11の開き度をストッパー15にて規制している。
【0018】
ところで、マグネット13が固定筒14の内周面との間に適度な隙間を残して回転する場合、渦電流抵抗が発生し、回転軸3の回転を抑制するトルクが作用する。そして回転軸3の回転速度が大きくなって、遠心力の作用でマグネット13と固定筒内周面との隙間がより小さくなるならば、上記渦電流抵抗はより大きくなって回転軸3には大きなブレーキが働く。
【0019】
以上述べたように、本発明の高速縦軸回転体はパラソル型マグネットブレーキ装置を備え、所定の回転速度を越えないようにブレーキが作用するようにしたものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0020】
【発明の効果】
本発明の高速縦軸回転体は例えば風力を利用して回転することが出来るモニュメントや看板等であり、この回転体はマグネットスラスト軸受け装置を備えている為に軸受けの摩擦抵抗は極めて小さく、従って弱い風であっても回転することが出来る。しかし逆に台風等強い風が吹いた場合にはブレーキが作用して所定の回転速度を越えることがないようになっている。
【0021】
そして上記ブレーキはパラソル型マグネットブレーキ装置であり、回転軸の回転に伴う遠心力の作用でアームが開き、アーム先端に取り付けているマグネットが固定筒との間で適度な隙間を残して回転することになる。その結果、渦電流抵抗が発生し、回転軸の回転を抑制するトルクが作用する。しかも、回転速度が大きくなってマグネットと固定筒との隙間がより小さくなるに従って渦電流抵抗は一段と大きくなり、ブレーキトルクは増大する。従って、強い風が吹いても回転軸は所定の速度以上に高くならない。又このパラソル型マグネットブレーキ装置のマグネットと固定筒は接触することなく、常に安定したブレーキ作用を呈し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であり、発電機を備えたモニュメント。
【図2】モニュメントの回転軸にマグネットスラスト軸受け装置とパラレル型遠心力マグネットブレーキ装置を取り付けした実施例。
【符号の説明】
1 モニュメント風車
2 台
3 回転軸
4 発電機
5 マグネットスラスト軸受け装置
6 大歯車
7 小歯車
8 タイミングベルト
9 パラレル型遠心力マグネットブレーキ装置
10 ブーム
11 アーム
12 ヨーク
13 マグネット
14 固定筒
15 ストッパー
Claims (2)
- モニュメントや看板等で風力を受けて回転することが出来る高速縦軸回転体において、該回転体は台上に垂直を成して回転するように回転軸に取付けられ、そして回転軸には回転部永久磁石と固定部永久磁石を上下方向に対向して配置することで回転体を浮上させることが出来るマグネットスラスト軸受装置を備えると共に、風速が速くなることで回転軸の回転が所定の回転速度を超えることがないようにブレーキを働かせ、該ブレーキ装置は、外方向へ開くことが出来る複数のアームを回転軸に揺動可能に取付けし、そしてアーム先端にはマグネットを取着し、回転軸と同軸を成して非磁性金属から成る固定筒をアーム外側に設け、回転軸の回転に伴う遠心力によりアームが開いて固定筒の内周面との間に適度な隙間を残してマグネットが回転することで渦電流抵抗を発生し、該渦電流抵抗にて回転軸にブレーキトルクを作用するように構成し、しかもアーム先端のマグネットが上記固定筒の内周面に接触しないように開き度を規制するストッパーを取付け、一方、回転軸には増速機を連結し、該増速機によって発電機を回すことを特徴とする高速縦軸回転体。
- モニュメントや看板等で風力を受けて回転することが出来る高速縦軸回転体において、該回転体は台上に垂直を成して回転するように回転軸に取付けられ、そして回転軸には回転部永久磁石と固定部永久磁石を上下方向に対向して配置することで回転体を浮上させることが出来るマグネットスラスト軸受装置を備えると共に、風速が速くなることで回転軸の回転が所定の回転速度を超えることがないようにブレーキを働かせ、該ブレーキ装置は、外方向へ開くことが出来る複数のアームを回転軸に揺動可能に取付けし、そしてアーム先端にはマグネットを取着し、回転軸と同軸を成して非磁性金属から成る固定筒をアーム外側に設け、回転軸の回転に伴う遠心力によりアームが開いて固定筒の内周面との間に適度な隙間を残してマグネットが回転することで渦電流抵抗を発生し、該渦電流抵抗にて回転軸にブレーキトルクを作用するように構成し、しかもアーム先端のマグネットが上記固定筒の内周面に接触しないように開き度を規制するストッパーを取付け、一方、回転軸には増速機を連結し、該増速機によって発電機を回すようにすると共に、増速機の回転速度が一定以上に達した場合に発電機が回転するようにカップリングを介在したことを特徴とする高速縦軸回転体。
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