JP4008988B2 - 乗用車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関するもので、特に、溝幅が0.5乃至2mm程度で、溝深さが主溝の溝深さの50乃至100%程度の、トレッド幅の70%程度より外側のトレッド両側部に形成された、周方向または実質的に周方向に連続して延びる左右一対の周方向細溝をトレッドに備えた乗用車用空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗用車用空気入りタイヤの偏摩耗なかんずく肩落ち摩耗を抑制するために、溝幅が0.5乃至2mm程度で、溝深さが主溝の溝深さの50乃至100%程度の、周方向または実質的に周方向に連続して延びる左右一対の周方向細溝をトレッド幅の70%程度より外側のトレッド両側部に形成することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
乗用車用空気入りタイヤのトレッド両側部に、上記のような左右一対の周方向細溝を形成することによって、ある程度タイヤの偏摩耗(肩落ち摩耗)を抑制することができる。
しかしながら、上記のような左右一対の周方向細溝をトレッド両側部に備えたタイヤでは、周方向細溝を境にしてトレッド外側がラジアル方向外側に突出する傾向があり、その結果、トレッドの接地圧分布が不均一になり、偏摩耗(肩落ち摩耗)を抑制する効果が減殺されるとともに操縦安定性能が低下する原因となっていた。
【0004】
本発明の目的は、トレッド両側部に左右一対の周方向細溝を備えた乗用車用空気入りタイヤにおいて、上記のような従来技術の不具合を解消して、トレッドの接地圧分布をできるだけ均一にした、耐偏摩耗(肩落ち摩耗)性能および操縦安定性能に優れた乗用車用空気入りタイヤを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の空気入りタイヤは、溝幅が0.5乃至2mmの、トレッド幅の70%より外側のトレッド両側部に形成された、周方向または実質的に周方向に連続して延びる左右一対の周方向細溝をトレッドに備えた空気入りタイヤにおいて、(1)タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、内圧を充填する前の状態では、該周方向細溝が形成されている個所でラジアル方向内側に窪んでいて、(2)タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態では、凹凸のないなだらかな曲線であることを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤである。ある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の空気入りタイヤでは、
タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、内圧を充填する前の状態で、該周方向細溝からタイヤ回転軸方向内側および外側に向かって面取りされていること、および
該周方向細溝の位置における面取り深さは0.2乃至0.7mmで、面取り幅は3乃至10mmであること
が好ましい。
【0007】
空気入りタイヤは、それぞれのサイズに応じて、JATMA(日本)、TRA(米国)およびETRTO(欧州)などが発行する規格に定められた標準リムに装着して使用され、この標準リムが通常正規リムと称される。本明細書でもこの慣用呼称に従い、「正規リム」とは、JATMAすなわち社団法人日本自動車タイヤ協会が1997年度に発行したJATMA YEAR BOOKにおいて定められた、適用サイズ・プライレーティングにおける標準リムを指す。
同様に、本明細書において「正規荷重」および「正規内圧」とは、社団法人日本自動車タイヤ協会が1997年度に発行したJATMA YEAR BOOKにおいて定められた、適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力および最大負荷能力に対応する空気圧を指す。
ただし、乗用車用タイヤの場合は、社団法人日本自動車タイヤ協会が1997年度に発行したJATMA YEAR BOOKにおいて定められた「タイヤの測定方法」に従い、本明細書において「正規内圧」は180kPaを指し、「正規荷重」は適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力の88%を指す。
【0008】
本発明の空気入りタイヤは上記のような構成であり、特に、タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、内圧を充填する前の状態では、該周方向細溝が形成されている個所でラジアル方向内側に窪んでいて、正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態では、凹凸のないなだらかな曲線であるので、周方向細溝を境にしてトレッド外側がラジアル方向外側に突出するという従来技術の不具合が解消され、耐偏摩耗(肩落ち摩耗)性能および操縦安定性能に優れた乗用車用空気入りタイヤが得られる。
また、本発明の空気入りタイヤは上記のような構成であり、特に、タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、内圧を充填する前の状態で、該周方向細溝からタイヤ回転軸方向内側および外側に向かって面取りされていて、該周方向細溝の位置における面取り深さは0.2乃至0.7mmで、面取り幅は3乃至10mmであるので、内圧を充填した状態でトレッドのクラウン部外輪郭が凹凸のないなだらかな曲線となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明に従う実施例のタイヤおよび従来例のタイヤについて説明する。タイヤ・サイズはいずれも195/70R14である。
【0010】
図1は本発明に従う実施例の乗用車用空気入りラジアル・タイヤのトレッド・パターンの一部拡大図で、図2は上記実施例のタイヤのトレッドのクラウン部左半分の外輪郭を示す断面略図である。
本発明に従う実施例1の空気入りタイヤは、図1乃至2に示すように、周方向に連続して延びる3本の周方向主溝1と周方向に連続して延びる左右一対の周方向細溝2とをトレッドに備えている。
周方向細溝2の溝幅は1.1mmで、溝深さは7.0mmである。周方向主溝1の溝深さが8.0mmであるから、周方向細溝2の溝深さは周方向主溝1の溝深さの88%である。
実施例のタイヤのトレッド幅TWは142mmで、左右一対の周方向細溝2の間隔GWは109mmであるから、GW/TWは77%である。
タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、図2に示すように、内圧を充填する前の状態では、周方向細溝2が形成されている個所でラジアル方向内側に窪んでいて、正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態では、2点鎖線で示すような凹凸のないなだらかな曲線である。
タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、内圧を充填する前の状態で、周方向細溝2からタイヤ回転軸方向内側および外側に向かって面取りされていて、周方向細溝2の位置における面取り深さdは0.3mmで、タイヤ回転軸方向外側の面取り幅D1 もタイヤ回転軸方向内側の面取り幅D2 もともに5mmで、面取り半径R1 もR2 もともに33.5mmである。
なお、実施例のタイヤのサイズは195/70R14であるから、正規リムつまり標準リムは6JJ−14であり、正規内圧は180kPa(1.8kgf/cm2 )で、正規荷重は最大負荷能力615kgの88%、すなわち540kgである。
【0011】
従来例の空気入りタイヤは、内圧を充填する前の状態では、タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が凹凸のないなだらかな曲線で形成され、つまり周方向細溝2が形成されている個所でラジアル方向内側に窪んでおらず、面取りもされていないことを除いて、上記の実施例の空気入りタイヤとほぼ同じタイヤである。
【0012】
上記本発明に従う実施例の乗用車用空気入りラジアル・タイヤおよび上記従来例の乗用車用空気入りラジアル・タイヤについて、接地圧分布、耐偏摩耗性能および操縦安定性能の比較試験を実施した。
【0013】
接地圧分布の比較試験は、上記供試タイヤを正規リム6JJ−14にリム組みして正規内圧240kPaを充填し、正規荷重540kgを静的に負荷したときのトレッド中央部の接地圧とトレッド両側部の接地圧を測定し、トレッド中央部の接地圧に対するトレッド両側部の接地圧の比率を算出したものである。
接地圧分布の比較試験結果では、トレッド中央部の接地圧に対するトレッド両側部の接地圧の比率が、上記従来例の空気入りタイヤでは1.8であったのに対し、上記実施例の空気入りタイヤでは1.1であった。
【0014】
耐偏摩耗性能の比較試験は、上記供試タイヤを実地試験に投入し、一定距離走行した段階で供試タイヤを引き上げてトレッド中央部のゴムの摩耗量とトレッド両側部のゴムの摩耗量を測定し、トレッド中央部のゴムの摩耗量に対するトレッド両側部のゴムの摩耗量の比率を算出したものである。
耐偏摩耗性能の比較試験結果では、トレッド中央部のゴムの摩耗量に対するトレッド両側部のゴムの摩耗量の比率が、上記従来例の空気入りタイヤでは1.5であったのに対し上記実施例の空気入りタイヤは1.0であった。
【0015】
操縦安定性能の比較試験は、テストコースを走行したときのテストドライバーによるフィーリングで評価したものである。
操縦安定性能の比較試験結果では、比較試験結果を10点満点の評点で表示すると、上記従来例の空気入りタイヤが5.5であったのに対し上記実施例の空気入りタイヤは6.0であった。
【0016】
【発明の効果】
上記の評価結果から、本発明に基づく実施例の空気入りタイヤは従来例の空気入りタイヤと比べて、接地圧分布が均一化され、耐偏摩耗性能および操縦安定性能に優れたタイヤであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気入りタイヤのトレッド・パターンを示す略図である。
【図2】本発明による空気入りタイヤの左半分の外輪郭を示す断面略図である。
【符号の説明】
1 周方向主溝
2 周方向細溝

Claims (3)

  1. 溝幅が0.5乃至2mmの、トレッド幅の70%より外側のトレッド両側部に形成された、周方向または実質的に周方向に連続して延びる左右一対の周方向細溝をトレッドに備えた空気入りタイヤにおいて、(1)タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、内圧を充填する前の状態では、該周方向細溝が形成されている個所でラジアル方向内側に窪んでいて、(2)タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態では、凹凸のないなだらかな曲線であることを特徴とする乗用車用空気入りタイヤ。
  2. タイヤ回転軸を含む断面におけるトレッドのクラウン部外輪郭が、内圧を充填する前の状態で、該周方向細溝からタイヤ回転軸方向内側および外側に向かって面取りされていることを特徴とする請求項1記載の乗用車用空気入りタイヤ。
  3. 該周方向細溝の位置における面取り深さは0.2乃至0.7mmで、面取り幅は3乃至10mmであることを特徴とする請求項2記載の乗用車用空気入りタイヤ。
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