JP4008349B2 - 靴の防水・通気性底革用間底およびこの間底を備えてなる防水・通気性底革 - Google Patents

靴の防水・通気性底革用間底およびこの間底を備えてなる防水・通気性底革 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
この発明は、靴の防水・通気性底革用の改良型間底に関するものである。
【0002】
この発明はまた、前記の間底を備えてなる防水・通気性底革に関するものである。
【0003】
背景技術
プラスチック製の、靴の防水・通気性底革は、すでに知られている。
【0004】
このような1つの底革は、この発明の出願人と同じ出願人による米国特許第5,983,524号およびヨーロッパ特許第0858270号の各公報に開示されており、それらの内容は引用によってこの明細書に組み入れられる。
【0005】
この場合、その底革は、
防水・通気性材料から作られた隔膜を有し、耐加水分解性、撥水性、通気性および/または孔明きの材料から作られた下部保護層に結合された間底と、
孔明きのエラストマーから作られ、間底に周辺で気密状に接合された接地部とを備えてなる。
【0006】
この発明の出願人と同じ出願人による米国特許出願第09/423,299号およびヨーロッパ特許出願第98924244.1号の各明細書に開示され、それらの内容が引用によってこの明細書に組み入れられる防水・通気性底革もまた知られているが、その底革は、組付ずみのインサートを備えてなり、そのインサートには、耐加水分解性、撥水性、通気性および/または孔明きの材料から作られた下部保護層に結合された防水・通気性隔膜がある。
【0007】
このインサートは、これを覆って成形されあるいは組み付けられて前記隔膜および前記保護層を取り囲み、かつ、それに気密状に接合された要素によって、仕上げられている。
【0008】
このインサートは、間底の一部であり、孔明きのプラスチックから作られてインサートおよび間底を覆って成形されあるいは組み付けられた接地部に、間底とともに接合されている。
【0009】
この発明の出願人と同じ出願人による米国特許第5,598,644号およびヨーロッパ特許第0619959号の各公報に開示され、それらの内容が引用によってこの明細書に組み入れられる底革もまた知られているが、その底革は革製接地部を備えてなり、この接地部は、防水・通気性隔膜で構成された間底によって、かつ、その隔膜に封止されるとともにその接地部に一体状に結合しているプラスチック製周辺要素によって、上寄り区域で少なくとも一部が覆われている。
【0010】
この接地部が孔明きのプラスチックから作られているときには、その隔膜の下方に配置された保護要素は、接地部の孔を偶然通過した異物により前記隔膜に孔が明くのを保護するように設計されている。
【0011】
前記の底革は、何年間も市販されており、また、靴の内側の微小環境と外側の微小環境との間における熱および水蒸気の適正な交換を保証するものとこぞって認められているが、それらには、欠点がないわけではなく、底革の引張弾性率と底革の周辺区域に一体状に組み付けられた接地部のそれとの間に差があるために、その隔膜が破れる傾向が含まれている。
【0012】
この隔膜は、実際には、きわめて制限された弾性を有する材料である発泡ポリテトラフルオロエチレンから作られているのが普通であり、一方、底革は、ゴムあるいは他のポリマー材料あるいは革から作られており、その固有の性質と用途の必要条件とのために、弾性および可撓性にきわめて富むものでなければならない。
【0013】
このため、この隔膜は、使用の間の動きにおける底革の曲げ変形によってその中に生じた応力を吸収することができず、そのため、破れやすく、かつ、その防水性を失いやすい。
【0014】
この隔膜の下方に配置された保護要素は、ポリエステル製フェルトから作られているのが普通であり、底革の変形によって生じた張力をそれ自体が吸収することはできない、ということがわかった。
【0015】
発明の開示
従って、この発明の目標は、その破れを引き起こすおそれのある限界を超えて防水・通気性隔膜が使用の間に伸びるのが防止される、靴の防水・通気性底革用間底を提供することにある。
【0016】
この目標の範囲内で、この発明の1つの目的は、間底および底革の防水性および通気性を低下させることなく前記従来技術の欠点を排除することにある。
【0017】
別の目的は、間底と、公知のものに対して特別な構造的複雑さを伴わない関連の底革とを提供することにある。
【0018】
別の目的は、間底と、費用の点で公知の種類のものと競合することのできる関連の底革とを提供することにある。
【0019】
この目標、これらの目的および他の目的は、後にいっそう明らかになるであろうが、防水・通気性隔膜と、この隔膜の伸びを防止するための通気性のある伸び防止用複合材料から作られ、前記隔膜の周辺区域に一体状に結合され、かつ、その対応周辺区域で底革の接地部に一体状に結合された少なくとも1つの下部層とを備えてなり、
隔膜の伸びを防止する前記下部層が、異なった少なくとも4つの方位、つまり、横糸方位、縦糸方位、斜め右から左への方位および、斜め左から右への方位で織られた、炭素および/またはガラスおよび/またはポリプロピレンの繊維から作られており、これらの繊維は、破壊応力を繊維の全体へ伝達するように意図されているフェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂のような樹脂、天然ゴムあるいは合成ゴムで、高密度層が形成されないように、含浸されているか、または、これらの繊維は、低い融点を有し、それによって、繊維の一部が、溶融とその結果として生じる含浸とで一体状に結合するためのホットプレス加工処理によって溶融されている、ことを特徴とする、靴の防水・通気性底革用の改良型間底によって達成される。
【0020】
この発明のさらに別の特徴と利点は、添付図面において非限定的な例としてだけ示された、それのいくつかの実施態様についての詳細な説明からいっそう明らかになるであろう。
【0021】
発明の実施方法
図1および図2によれば、靴の底革は、参照符号10で全体として表され、かつ、複合材料製間底11と接地部12とを備えてなる。
【0022】
この発明によれば、間底11は、一般に市販されている防水・通気性材料、例えば発泡ポリテトラフルオロエチレンから作られた隔膜13と、耐加水分解性、撥水性、通気性および/または孔明きの材料(普通はポリエステル製フェルト)から作られた保護層14と、通気性のある伸び防止用複合材料から作られ、前記隔膜13の周辺区域に、かつ、対応区域で底革10の接地部12に一体状に結合された少なくとも1つの層15とを、上から下まで備えてなる。
【0023】
この場合には、接地部12は、ゴム、ポリウレタンあるいは他のポリマーのようなプラスチック材料から作られていて、地面との接触区域から層15まで延びるいくつかの貫通孔16が設けられている、ことが好ましい。
【0024】
隔膜13、伸び防止層15および接地部12は、適切な接着剤、例えばホットメルト系の接着剤によって、または、接地部12のホットプレス加工あるいはオーバーモールド加工によって、具合よく設けることができる。
【0025】
伸び防止層15については、すでに述べたように、それは、通気性のあるものでなければならず、また、きわめて高い引張弾性率を有していなければならず、 5%未満の極限伸びで1000N(ニュートン)/cmを超える破壊応力(織物について、この試験は、5cmの有効幅と20cmの有効長さとが備わり、厚さが無関係であるとみなされている試験片について行なわれる)を有しているのが好ましい。
【0026】
前記の層は、相異なる少なくとも4つの方位、つまり、横糸方位、縦糸方位、斜め右から左への方位および、斜め左から右への方位で織られた、炭素および/またはガラスおよび/またはポリプロピレンの繊維から作ることができる。
【0027】
これは、底革の長手方向および横断方向を効率のよいものとみなすことができるものの、複数の方向における高い弾性率を具合よく保証するために行なわれる。
【0028】
図2には格子17が示されており、これは、使うことができ、かつ、織られて含浸され、空気通路のためのゆったりした空間を残す繊維の束によって、構成されている。
【0029】
これらの繊維は、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂のような適切な樹脂、天然ゴムあるいは合成ゴムで含浸されており、前記応力を繊維の全体へ伝達するように設計されている。
【0030】
含浸は、通気性が損なわれるのを防止するため、高密度層が形成されないように行なわなければならない。
【0031】
代案として、層15は、前記のものと類似した特性を有しているが融点の低い繊維から作ることができ、その結果、ホットプレス加工処理によって、前記繊維の一部を、溶融で一体状に結合しかつこの方法で含浸状態を作ることができるように、溶融することができる。
【0032】
前記の間底については、底革10の接地部12によって生じた応力は、もはや隔膜13の上へ解放されることはないが、それとともに周辺に結合されて伸びを防止しそれゆえ破れを防止する伸び防止層15の上へ解放される。
【0033】
いくつかの場合に、伸び防止層15によって孔明き防止用保護を具合よく行なうことができるときには、保護層14はなしですませるのが好ましい。
【0034】
さて、図3によれば、第2実施態様において、底革は、全体として参照符号110で表されており、複合材料からなる間底111および接地部112を備えてなる。
【0035】
この発明のこの実施態様によれば、間底111は、第1実施態様で説明された種類の防水・通気性材料から作られた隔膜113を備えてなり、その下寄り区域で、たいていポリエステル製フェルトから作られている保護層114に結合されている。
【0036】
保護層114の下方には、通気性のある伸び防止用複合材料から作られた少なくとも1つの層115がある。
【0037】
この第2実施態様において、間底111の諸構成要素は、前記接地部112がホットプレス加工あるいは周辺封止法での接着あるいはオーバーモールド加工によって接合された、成形ずみの、あるいは組付ずみの周辺インサート118とともに組み付けられているが、前記接地部は、プラスチックから作られているとともに、前記の孔16と同じ型の貫通孔116を有しているのが好ましい。
【0038】
周辺インサート118は、プラスチックから作られているとともに、隔膜113の端部、保護層114の端部および伸び防止層115の端部を含みかつ/または結合している。
【0039】
従って、周辺要素118は、隔膜113の端部および伸び防止層115の端部を結合している要素であり、周辺で層115に接着する接地部112によって応力が生じるのを保証し、対照要素として直接作用するようにする要素である。
【0040】
この場合においてもまた、層115が孔明き防止機能を達成することもできるときには、保護層114を省略することができる。
【0041】
さて、図4によれば、この発明に係る底革は、全体として参照符号210で表されており、複合材料の間底211および接地部212を備えてなり、この場合には、革、獣皮あるいは、通気性の観点から同等である材料によって構成されている。
【0042】
間底211は、前記と同様な種類の防水・通気性材料から作られた隔膜113と、これまた前記と同様な種類の材料から作られた少なくとも1つの伸び防止用下部通気層215とを備えてなる。
【0043】
隔膜213の端部および層215の端部は、接地部212の端部の内側にある。
【0044】
間底211は、それを覆って成形されあるいは施され、かつ、とりわけ前記のさまざまな構成要素の端部に一体状に結合される周辺要素218によって、仕上げられている。
【0045】
この施工は、適切な接着剤、例えばホットメルト型接着剤によって、あるいはホットプレス加工によって、具合よく行なわなければならない。
【0046】
この場合には、保護層の存在は必要ではないが、これは、通気性が材料の真の特性によって保証されているため接地部212に孔が必要ないからである。
【0047】
実際に、この発明の意図した目標および諸目的が達成されたことはわかっている。
【0048】
このように考案されたこの発明は、すべてがこの発明の概念の範囲内にある数々の修正および変形を行なうことができる。
【0049】
靴の防水・通気性底革用間底は実際に、使用の間に、破れるおそれのある限度を超える防水・通気性隔膜の伸びが防止された。
【0050】
間底および靴の通気性および防水性は、どのような場合にも伸び防止層の透湿性によって変わることなく残っており、また、製品には構造的複雑さがまったく付加されなかった。
【0051】
すべての細部は、技術的に同等である他の諸要素でさらに置き換えることができる。
【0052】
実際に、使われた材料は、それらが偶然の使用と矛盾しない限り、寸法と同様に、要求に応じる任意のものであってよい。
【0053】
この出願が優先権を主張するイタリア特許出願第PD2000A000242号の内容は、引用によってこの明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、この発明の第1実施態様に係る間底の備わった靴の防水・通気性底革の断面図である。
【図2】 図2は、図1における間底の構成要素の斜視図である。
【図3】 図3は、この発明の第2実施態様に係る間底の備わった靴の防水・通気性底革の断面図である。
【図4】 図4は、この発明の第3実施態様に係る間底の備わった靴の防水・通気性底革の断面図である。

Claims (10)

  1. 防水・通気性隔膜(13,113,213)と、
    この隔膜の伸びを防止するための通気性のある伸び防止用複合材料から作られ、前記隔膜(13,113,213)の周辺区域一体状に結合され、かつ、その対応周辺区域で底革(10,110,210)の接地部(12,112,212)に一体状に結合された少なくとも1つの下部層(15,115,215)とを備えてなり、
    隔膜の伸びを防止する前記下部層(15,115,215)が、異なった少なくとも4つの方位、つまり、横糸方位、縦糸方位、斜め右から左への方位および、斜め左から右への方位で織られた、炭素および/またはガラスおよび/またはポリプロピレンの繊維から作られており、これらの繊維は、破壊応力を繊維の全体へ伝達するように意図されているフェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂のような樹脂、天然ゴムあるいは合成ゴムで、高密度層が形成されないように、含浸されているか、または、これらの繊維は、低い融点を有し、それによって、繊維の一部が、溶融とその結果として生じる含浸とで一体状に結合するためのホットプレス加工処理によって溶融されている、ことを特徴とする靴の防水・通気性底革用の改良型間底。
  2. 前記隔膜(13)と前記下部層(15)との間に配置された、耐加水分解性、撥水性、通気性または孔明きの材料から作られた保護層(14)があることを特徴とする請求項1に記載の間底。
  3. 前記隔膜(13)と前記下部層(15)との間の結合が、接着剤によって、かつ/またはホットプレス加工によってもたらされていることを特徴とする請求項1または2に記載の間底。
  4. 前記隔膜(13,113)と前記下部層(15,115)との間の結合が、ホットプレス加工、接着あるいはオーバーモールド加工による周辺封止法で、成形ずみインサートで、あるいは組付ずみインサートでもたらされていることを特徴とする請求項1または2に記載の間底。
  5. 前記下部層が、5%未満の極限伸びで1000N/cmを超える破壊応力を有していることを特徴とする請求項1に記載の間底。
  6. 前記下部層(15)が、織られて含浸された繊維の束からなる格子(17)によって構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の間底。
  7. プラスチックから作られ、かつ、地面との接触区域から複合材料で作られた前記下部層(15,115)まで延びている貫通孔(16,116)が設けられた前記接地部(12,112)を備え、前記接地部(12,112)が、周辺の接着あるいはホットプレス加工によって前記間底(11,111)へ組み付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の間底を備えてなる底革。
  8. プラスチックから作られ、かつ、地面との接触区域から複合材料で作られた前記下部層(115)まで延びている貫通孔(116)が設けられた前記接地部(112)を備え、前記接地部(112)が、周辺の接着あるいはホットプレス加工あるいはオーバーモールド加工によって前記間底(111)へ組み付けられていることを特徴とする請求項4に記載の間底を備えてなる底革。
  9. 革、獣皮あるいは、通気性の点に関して同等である材料によって構成されている前記接地部を備え、前記接地部(112)が、周辺の接着によって前記間底(111)へ組み付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の間底を備えてなる底革。
  10. 革、獣皮あるいは、通気性の点に関して同等である材料によって構成されている前記接地部(212)を備え、前記接地部(212)が、周辺の接着あるいはホットプレス加工によって、または前記インサートの上へのオーバーモールド加工によって前記間底(211)へ組み付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の間底を備えてなる底革。
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