JP4007077B2 - 再生骨材および/またはエコセメントを含むコンクリート用防食鉄筋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生骨材および/またはエコセメントを含むコンクリート中の鉄筋に用いられる耐食性に優れたCr(クロム)鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物による環境問題および資源リサイクルの観点から廃棄物の有効利用および再資源化が望まれ、熱心に研究されている。
とくに建築物解体の際に発生するコンクリート廃材は、その有効利用が求められており、このような要求からコンクリート廃材を骨材化した、いわゆる再生骨材としての再使用が進められている。また、ごみ焼却灰をセメント結合材の一部として利用するエコセメントも実用化が進められている。
しかしながらこのような再生骨材、エコセメントを使用したコンクリート(以下、リサイクルコンクリートと略称することもある)においては、中性化が生じやすいこと、塩素含有量の増加等により鉄筋腐食が促進されることが問題となっている。
【0003】
コンクリート用鉄筋としては、従来一般的にSD345鋼やSD390鋼などが使用されているが、このような普通鋼鉄筋は防(耐)食性がなく、中性化したコンクリート中あるいは塩素含有量が増加したコンクリート中では、容易に腐食してコンクリートの崩壊を引き起す。このため上記リサイクルコンクリート用鉄筋として使用することは適切ではない。
【0004】
また防食鉄筋として従来使用されているエポキシ被覆鉄筋は、被覆が損傷すると、その部分から内部の鉄筋が腐食するため曲げ加工時には疵を入れない特殊な加工機を必要とし、さらに施工時に入る疵あるいは溶接部は現地補修を必要とするなど、施工条件上の要求が多いため、素材コストに施工コストが加わり、コストがかさむという問題がある。
さらに耐食性鋼材としては、SUS304やSUS316などのステンレス鋼が知られているが非常に高価であり、使用範囲は限定されてしまう。たとえば海外において塩害地域用防食鉄筋として部分的に使用されている程度である。
【0005】
また上記ステンレス鋼に対し、化学組成を調整することにより海水塩害に対し耐食性を持たせた低Cr鋼も種々提案されている。たとえば特開昭60−92451(以下公報▲1▼)には、アルカリ性環境では中性環境における全面腐食型と異なり孔食タイプの腐食が問題であり、腐食の起点となりやすい硫化物系介在物、特にMnSを形成するS分が大きく影響するとして、S含有量を0.0001〜0.0100mass%に極力抑制するとともにC、Si、Mn、Cr、V、P含有量を特定量に限定したコンクリート用耐食性鉄筋が開示されている。さらにCuを0.50超〜1.50mass%含有させるとともに、C、Si、Mn、Cr、Al、Ni、Mo、V含有量を特定量に限定した耐食鋼(特開昭62−188754(以下公報▲2▼))、Alを7〜20mass%含有させるとともに、C、Si、Mn、P、S、Cr含有量を特定量に限定した耐海水鉄筋棒鋼(特開昭62−274050(以下公報▲3▼))なども提案されている。
【0006】
上記に開示される防食鉄筋は、塩素特に海水による腐食を防止することを中心に検討されており、このためたとえば公報▲1▼および▲2▼には、Cr量が多くなると逆に塩化物の孔食を受けやすくなると、公報▲1▼では3.00mass%以下に、公報▲2▼では5.00mass%以下に限定している。海水中などではコンクリートの中性化は生じにくく、塩素による腐食対策で充分である。
しかしながらこれら防食鉄筋を、上記のように中性化しやすく、このため塩化物による腐食と中性化腐食との複合劣化を生じるリサイクルコンクリート用鉄筋として用いても、耐食性が充分とはいえない。コンクリートの中性化が生じると、鉄筋腐食に関与する塩素分が増加するのみならず、鉄筋の表面に生じる不動態皮膜の性質が変わるため、鉄筋の防食性能を新たに検討する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来、化学組成を調整することにより鋼材そのものに耐食性をもたせたものは主として海水の塩害に対して防食性のあるコンクリート鉄筋が検討されてきたが、中性化と塩素による複合劣化に対する抵抗性はまだ充分検討されているといえない。長期間使用時のコンクリートの中性化については従来より知られており、たとえば上記公報▲1▼および▲3▼にも記載されているが、これら公報ででも塩害による腐食試験は行われているが中性化と塩害との複合劣化による腐食試験は具体的に記載されてない。またコスト面でも合理的な防食鉄筋はまだ開発されていないのが実情である。
【0008】
本発明の課題は、再生骨材および/またはエコセメントを使用したコンクリートにおける中性化と塩素の複合作用による鉄筋腐食に対する抵抗性があり、しかもエポキシ被覆などの表面被覆鉄筋のように施工に厳しい制約がなく、さらにSUS304あるいはSUS316などに比して安価であって、再生骨材、エコセメント用防食鉄筋を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記のような課題に鑑み、再生骨材、エコセメントにおける鉄筋の複合劣化現象について研究した。具体的には、再生骨材を用いたコンクリートおよび通常のコンクリート中に、Cr量、C量、N量およびその他成分元素量を種々変えたCr鋼鉄筋2本を電気的回路ができるようなペアでつないで埋め込み、流れる電流を測定したところ、再生骨材を使用した場合、セメントがポーラスになりやすく、またエコセメントの場合は残留不純物の影響が生じるためと考えられるが、そのため中性化の進行によりコンクリート内部への酸素の浸透が促進され、鉄筋腐食における酸素還元のカソード反応が腐食反応を律速する割合が従来の鉄筋腐食以上に大きくなること、この酸素還元のカソード反応は、Cr炭窒化物が触媒的作用をしていることを見出した。したがってCr炭窒化物量を低減してカソード反応を抑制することが再生骨材、エコセメントの腐食抑制には特に有効であるという知見を得た。
またエコセメントの場合は、元々含有されている塩分量が多いため、中性化が進行するとフリーデル氏塩として固定されていた塩素が放出され、腐食を促進する塩素含有量が局所的に増大する。したがってエコセメントの場合は、中性化が進行すると鉄筋腐食によるアノード反応が非常に大きくなる。
【0010】
Crは、塩素含有コンクリートのアノード反応を抑制しうる元素であり、これを 4.0mass%以上の量で含有させればアノード反応を充分に抑制しうることも見出した。この検討ではCr量は10.0mass%以下であれば、コスト高とならずかつ靱性を低下させないという結果を得た。さらにこの特定量のCrを含むCr鋼において、上記CおよびNをC:0.001 mass%以上、0.09mass%以下、N:0.001 mass%以上、0.09mass%以下の特定量で含有させれば、強度不足を生じずに上記効果を得ることができ、再生骨材、エコセメントを含むコンクリートにおける中性化と塩素の複合劣化作用による腐食に抵抗性のある鉄筋を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、C含有量が 0.001mass%以上、0.09mass%以下、N含有量が 0.001mass%以上、0.09mass%以下であり、かつCr含有量が5.1mass%以上、10.0mass%のクロム鋼からなる再生骨材および/またはエコセメント用防食鉄筋である。
【0012】
本発明に係る防食鉄筋は、具体的には、
C:0.001 mass%以上、0.09mass%以下、
N:0.001 mass%以上、0.09mass%以下、
Cr:5.1 mass%以上、10.0mass%以下、
Si:0.01mass%以上、 2.0mass%以下、
Mn:0.01mass%以上、 2.0mass%以下、
Al:0.1 mass%以下の量で含有し、かつ
P含有量が0.05mass%以下、
S含有量が0.05mass%以下であり、
残部がFeおよび不可避的不純物であるCr鋼からなる再生骨材および/またはエコセメント用防食鉄筋。
【0013】
上記Cr鋼は、 0.5mass%未満の量のCu、 2.0mass%以下の量のNiおよび 2.0mass%以下の量のMoからなる群より選ばれる少なくとも1成分をさらに含有することが好ましい。
【0014】
上記Cr鋼は、再生骨材および/または焼結材としてのエコセメントを含むコンクリート用の防食性鉄筋として有用であり、したがって本発明では、上記Cr鋼を鉄筋とする、再生骨材および/またはエコセメントを用いた鉄筋コンクリートも提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、まず本発明に係る防食鉄筋の好適用途である再生骨材および/またはエコセメントを用いたコンクリートについて具体的に説明する。
再生骨材は、コンクリートをクラッシャなどで粉砕し、人工的につくった骨材と定義(JIS A 0203)され、コンクリート構造物を解体したコンクリート塊を破砕して造ったコンクリート用骨材のことである。この再生骨材を用いたコンクリートを再生コンクリートという(JIS TR A 0006)。
本発明で使用する再生骨材は、粗骨材および細骨材のいずれか一方であってもよく、両方であってもよい。
【0016】
エコセメントは、都市部で発生する廃棄物をセメントクリンカーの主原料に用いて製造される資源リサイクル形セメントの一種である。具体的には、都市部で発生する廃棄物のうち、主たる廃棄物である都市ごみを焼却した際に発生する灰を主とし、必要に応じて下水汚泥などの廃棄物を従としてセメントクリンカーの主原料として用い、製品1トンにつき少なくともこれらの廃棄物を500キログラム程度使用してつくられるセメントをいう(JIS TR R 0002)。
【0017】
上記のような再生骨材またはエコセメント、あるいはこれら両方を含むコンクリートは、通常の骨材およびセメントを使用したコンクリートよりも、中性化および塩素の複合劣化作用による鉄筋腐食が進行する。
本発明で提供する防食鉄筋は、このような再生骨材および/またはエコセメントを用いたコンクリートのための鉄筋であり、該鉄筋は以下に示すような特定量の化学成分を含むCr鋼(合金)からなる。
なお以下に示す化学成分の含有率(mass%)はCr鋼中の含有率である。また本明細書では、不可避的不純物を含むが実質的にFeからなる残部以外のCr鋼の化学成分の含有率組成を単に化学組成と称することもある。
【0018】
本発明において、Cr鋼の化学組成が上記範囲に限定される理由は、以下のとおりである。
C:Cは、 0.001mass%未満では強度が不足するが、0.09mass%超ではCr炭化物の生成量が多くなり、カソード反応が促進されて鉄筋腐食が促進する。本発明において、C量を0.09mass%以下とすることは非常に重要である。したがって本発明に係るCr鋼は、Cを 0.001mass%以上、0.09mass%以下、好ましくは 0.001mass%以上、0.03mass%以下の量で含有する。
【0019】
N:従来の防食性コンクリート鉄筋では、Nに着目したものは見当たらない。
Nは 0.001mass%未満では強度が不足するが、上述したように本発明者らの知見によれば、0.09mass%超ではCr窒化物の生成量が多くなり、カソード反応が促進されて鉄筋腐食が促進する。本発明において、N量を0.09mass%以下とすることは非常に重要である。
したがって本発明に係るCr鋼は、Nを 0.001mass%以上、0.09mass%以下、好ましくは 0.001mass%以上、0.03mass%以下の量で含有する。
【0020】
Cr:従来のステンレスを除く鉄筋では、塩化物による孔食を受けやすくなるとし、Cr量を3.00mass%以下(特開平60−92451)、5.00mass%以下(特開平62−188754)としている。また 7.0mass%以上の高Al鋼において、脆化することがあるとしてCr量を 5.5mass%以下としたものもある(特開平62−274050)。
本発明では、Crは再生骨材および/またはエコセメントを用いたコンクリート用防食鉄筋として必要な耐食性を確保するために不可欠な元素である。コンクリート中において鉄筋の長期使用が可能となるレベルの耐食性を確保するため、少なくとも4mass%のCr量が必要である。このCr量は10mass%であれば、アノード反応は充分に低減され、これより多くてもアノード反応の低減効果は飽和状態である。一方、Cr量が10mass%を超えると靭性が劣化し、またコストアップとなるため、Cr量の上限は10mass%が適正である。したがって本発明の防食鉄筋は、Crを5.1mass%以上、10.0mass%以下、好ましくは 6.0mass%以上、10.0mass%以下の量で含有するCr鋼である。
【0021】
本発明に係るCr鋼は、上記特定量のC、N、Crとともに、腐食の起点ともなる酸化物系介在物を製鋼過程において除去するため、脱酸剤として有効な下記元素を特定量含有することが望ましい。
【0022】
Si:Siは脱酸剤として有用な元素であり、その含有量が0.01mass%以上であれば充分な脱酸効果を発現することができる。一方、Si含有量が 2.0mass%を超えると硬くなって靭性が劣化する傾向がある。このため本発明に係るCr鋼は、Siを0.01mass%以上、 2.0mass%以下の量で含有することが好ましく、より好ましくは 0.1mass%以上、 1.0mass%以下の量で含有する。
【0023】
Mn:Mnは脱酸剤および熱間加工性改善に有用な元素であり、その含有量が0.01mass%以上であれば充分な脱酸効果と熱間加工性改善を発現することができる。一方、Mn含有量が 2.0mass%を超えるとMnSなどの介在物が増加して耐食性を低下させる傾向がある。このためMn含有量は0.01mass%以上、 2.0mass%であることが好ましく、より好ましくは 0.1mass%以上、 1.0mass%以下の量で含有する。
【0024】
Al:上記Siによる脱酸では不充分な場合には、脱酸剤としてAlを利用することができるが、Al含有による介在物が増加して耐食性を低下させる傾向があるため、Al含有量は 0.1mass%以下とすることが望ましい。
【0025】
また本発明に係るCr鋼のPおよびS含有量は、以下のように制限される。
塩化物による腐食環境下でのコンクリート鉄筋の耐食性を向上させることを目的とする場合には、鋼の腐食性改善のためにはP含有量が0.05mass%未満では所望の耐食性改善効果が得られないとし、0.05mass%以上含有させる必要があるとするものもある(たとえば特開昭60−92451)。一方、0.05mass%以上では鋼の脆性が著しくなるが、耐食性改善効果のため0.01mass%以上必要とするもの(たとえば特開昭62−188754)もある。またPはコンクリートなどのアルカリ性雰囲気で錆生成を抑制する効果はなく、むしろ助長すると傾向にあるとして 0.015mass%以下とするもの(たとえば特開昭62−274050)もある。
【0026】
本発明では、Pは、靭性・延性等の機械的性質を劣化させるばかりでなく、耐食性に対しても有害な元素である。本発明において、P含有量が特に0.05mass%を超えると、その影響が顕著になるため、P含有量は0.05mass%以下に制限する。
【0027】
Sは、上記Mnと結合してMnSを形成し、腐食の起点となる。またSは結晶粒界に偏析して、粒界脆化を促進する有害物質であるので、極力低減することが好ましい。特にS含有量が0.05mass%を超えるとその悪影響が顕著になるため、S含有量は0.05mass%以下に制限する。
【0028】
本発明に係るCr鋼は、耐食性向上に有効なさらにCu、NiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1成分を特定量で含有することが好ましい。
Cuは、Cr鋼のアノード反応を低減して耐食性を向上させる。しかし、その含有量が 0.5mass%以上になると、熱間圧延においてゴマヘゲと呼ばれる表面欠損を生じる。このためCu含有量は 0.5mass%未満とすることが望ましい。
NiもCr鋼のアノード反応を低減して耐食性を向上させる。しかし、その含有量が 2.0mass%を超えるとコストアップが大きくなるので 2.0mass%以下とすることがことが望ましい。
Moも耐食性を向上させることに極めて有効であるが、 2.0mass%を超えるとコストアップが大きくなるので 2.0mass%以下とすることがことが望ましい。
上記Cu、NiおよびMoのいずれも各々の効果を発揮するためには、 0.1mass%以上添加することが望ましい。
【0029】
なお必要に応じて他の元素たとえばTi、Nb,Bなどを含有していてもよい。
上記Cr鋼は、特に再生骨材および/または焼結材としてのエコセメントを含むコンクリート用の防食性鉄筋として有用である。、したがって本発明では、上記Cr鋼を鉄筋として用い、再生骨材および/またはエコセメントを用いたコンクリートとから構築される鉄筋コンクリートも提供される。
【0030】
上記Cr鋼からなる鉄筋は、上記組成を有する以外特に限定されず、通常の溶解、鋳造、圧延工程などにより製造することができる。
また圧延工程における熱間でのスケールを除去するために、ショットブラスト処理と酸洗を行うこともできるが、場合によってはショットブラスト処理のみでもよく、または脱スケールなしでもよい。また熱間圧延により、鉄筋を製造した後、強度を調整するために熱処理を行ってもよい。以下の実施例では、ショットブラスト処理を行った後、さらに酸洗を施す例を示す。
【0031】
(実施例)
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜10および比較例1〜5)
(1)Cr鋼の製造
表1に示す各化学組成の鋼塊50kgを真空溶解した。鋼塊の表面5mmを研削した後、1200℃×1hrの焼鈍を施し、熱間鍛造により50mm角のビレットを作成した。このビレットに1100℃×1hrの焼鈍を施し、線棒圧延機により15mmφの棒鋼を製造した。
次いで熱間でのスケールを除去するために、ショットブラスト処理と酸洗を行った。具体的には、この棒鋼にショットブラストと3%フッ酸−12%硝酸の混合酸による酸洗を施して脱スケールを行った。
【0032】
(2)鉄筋コンクリートの作成
上記で製造されたCr棒鋼を鉄筋として用いて、下記の条件で鉄筋コンクリート試験体を作成した。
<コンクリート組成物>
骨材:廃コンクリートを解体整粒した再生粗骨材:約1000kg/m3
廃コンクリートを解体整粒した再生細骨材:約800kg/m3
結合材:ごみ焼却灰を含有するエコセメント:300kg/m3
水:200kg/m3
さらに、腐食を促進させるため、0.6kg/m3 量のCl- (NaClにて添加)を添加した。
上記コンクリート組成物の表面から20mm位置に供試用の鉄筋を埋込み、28日間の水中養生と7日間の大気養生を行って、鉄筋コンクリート試験体を作成した。
【0033】
<耐食性試験>
上記で得られた鉄筋コンクリート試験体を中性化促進試験(温度40℃、相対湿度60%、CO2 濃度5%、90日間暴露)を行った後、腐食促進試験(〔温度60℃、相対湿度95%、24時間暴露→温度30℃、相対湿度50%、24時間暴露〕のサイクルを50サイクル実施)を行い、コンクリートに生じた割れの幅を測定した。結果を表1に示す。
さらに、コンクリートより鉄筋を取り出し、錆落しした後に腐食減量を測定することにより耐食性を調査した。
これら結果を表1に示す。
なおコンクリートの割れ発生状況は、割れなしが合格と判定される。
鉄筋の腐食減量は、1%以下が合格と判定される。
【0034】
(比較例6)
前記(2)において、市販のSD345鉄筋を用いた以外は、実施例と同様にして鉄筋コンクリート試験体を作成した。実施例と同様の耐食性試験を行った。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
前記表1に示されるように、本発明の鉄筋を用いたコンクリートは、割れを生じず、また鉄筋の腐食減量も1%以下で良好である。
一方、比較例1〜6では、割れ幅が0.3mm以上になるものが殆どである。
また腐食減量は1%以上である。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、再生骨材および/またはエコセメントを用いたコンクリート中での耐食性に優れた防食鉄筋、さらには、これらを含む鉄筋コンクリートが提供される。本発明の防食鉄筋は、SUS304に比べて安価であるが、中性化および塩素による腐食の複合劣化に対して同等の耐食性がある。
Claims (2)
- C:0.001 mass%以上、0.09mass%以下、
N:0.001 mass%以上、0.09mass%以下、
Cr:5.1 mass%以上、10.0mass%以下、
Si:0.01mass%以上、 2.0mass%以下、
Mn:0.01mass%以上、 2.0mass%以下、
Al:0.1 mass%以下の量で含有し、かつ
P含有量が0.05mass%以下、
S含有量が0.05mass%以下であり、
残部がFeおよび不可避的不純物であるCr鋼からなる、再生骨材および/またはエコセメントを含むコンクリート用防食鉄筋。 - 前記Cr鋼が、 0.5mass%未満の量のCu、 2.0mass%以下の量のNiおよび 2.0mass%以下の量のMoからなる群より選ばれる少なくとも1成分をさらに含有する請求項1に記載の再生骨材および/またはエコセメントを含むコンクリート用防食鉄筋。
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