JP4006453B2 - 光学活性ジホスフィンモノオキシド - Google Patents

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本発明は新規な光学活性ジホスフィンモノオキシドに関する。該化合物は種々の不斉合成反応に有用な配位子に誘導することができる。
従来、不斉合成に利用できる錯体について、例えば、不斉水素化反応、不斉異性化反応、不斉ヒドロシリル化反応等に用いられる遷移金属錯体について数多くの報告がなされている。これらの中でも、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム等の遷移金属錯体に光学活性な第三級ホスフィン化合物が配位した錯体は、不斉合成反応の触媒として優れた性能を有するものが多く、この性能を更に高めるために、特殊な構造のホスフィン化合物がこれまでに多数開発されてきた(日本化学会編 化学総説32" 有機金属錯体の化学 "237−238頁 昭和57年、" Asymmetric Catalysis In Organic Synthesis" 野依良治著 A Wiley−Interscience Publication)。
とりわけ、2、2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1、1’−ビナフチル(以下、単にBINAPという)は優れた光学活性ホスフィンのひとつであり、このBINAPを配位子としたロジウム錯体(特開昭55−61973号公報)、及びルテニウム錯体(特開昭61−6390号公報)が既に報告されている。更に、2, 2'-ビス「ジ−(p−トリル)ホスフィノ」−1,1’−ビナフチル(以下、p−TolBINAPという)を配位子としたロジウム錯体(特開昭60−199898号公報)、及びルテニウム錯体(特開昭61−63690号公報)についても、不斉水素化反応、不斉異性化反応において良好な結果を与えることが報告されている。さらには、2,2’−ビス〔ジ−(3,5−ジアルキルフェニル)ホスフィノ〕−1,1’−ビナフチルのルテニウム錯体がβ−ケトエステル類の不斉水素化反応に優れた結果をあたえることが、特開平3−255090号公報に報告されている。しかしながら、これらのホスフィン錯体を用いても、対象とする反応又はその反応基質によっては選択性(化学選択性、エナンチオ選択性)、触媒活性、持続性が充分でない場合が多かった。
従来、これらのホスフィン化合物の合成法は、ラセミ体のビナフトールをトリフェニルホスフィン−ジブロミドを用いて高温(240℃〜320℃)でブロム化し、ジグリニヤール試薬に導いた後にジアリールホスフィニルクロリドと縮合してホスフィンジオキシドとし、光学分割した後にトリクロロシランなどの還元剤を用いて第三級ホスフィン化合物(BINAP類)とする方法が工業的な方法として知られている(H.Takaya,K.Mashima,K.Koyano,M.Yagi,H.Kumobayashi,T.Takemori,S.Akutagawa,R.Noyori J.Org.Chem.,1986,51,629)。この他、光学活性なビナフトールを用いて、2、2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1、1’−ビナフチルを合成し、このものにニッケルホスフィン錯体の存在下にジフェニルホスフィンを反応せしめてBINAPを合成できることが報告されている(Dongwei Cai,Joseph F.Payyach,Dean R.Bender,David L.Hughes,Thomas R.Verhoeven,and Paul J.Reider,J.Org.Chem.,1994,59,7180−7181、米国特許第5,399,771号明細書) 。
特開昭55−61973号公報 特開昭61−6390号公報 特開昭60−199898号公報 特開昭61−63690号公報 米国特許第5,399,771号明細書 日本化学会編 化学総説32" 有機金属錯体の化学 "237−238頁 昭和57年、 野依良治著 " Asymmetric Catalysis In Organic Synthesis" A Wiley−Interscience Publication H.Takaya,K.Mashima,K.Koyano,M.Yagi,H.Kumobayashi,T.Takemori,S.Akutagawa,R.Noyori J.Org.Chem.,1986,51,629 Dongwei Cai,Joseph F.Payyach,Dean R.Bender,David L.Hughes,Thomas R.Verhoeven,and Paul J.Reider,J.Org.Chem.,1994,59,7180−7181
しかしながら、これまでに述べた公知の方法で光学活性ホスフィン化合物を合成する場合には、それぞれ、問題点が存在する。例えば、前者の方法では、ビナフトールのブロム化において高温を必要とすること、またその時に、臭化水素酸が発生するなどから反応容器に制限がある。また、この方法では、ラセミ体の光学分割も必要となり、鏡像体の一方のみを必要とする場合には高価なものとなる。さらに、光学分割が困難なものも多数ある。また、後者の方法においては、ラセミ体の光学分割は必要としないが、用いるジフェニルホスフィンは安定性(酸化され易い)及び悪臭、毒性の点から工業的に多量に使用するには適さない、という問題点がある。
一方、キラル化合物の有用性から、従来のBINAP類とは異なった選択制(化学選択性、エナンチオ選択性)、触媒活性を持つ光学活性なホスフィンの開発が強く要望されている。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1’−ビナフチルに、遷移金属−ホスフィン錯体の共存下、ジ置換ホスフィンオキシドを反応せしめると、光学活性ジホスフィン化合物(2,2’−ビス( ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル) 及び/又は光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル) が容易に合成され、そして上記光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物は還元することにより容易に光学活性ジホスフィン化合物が合成できることを見い出した。
すなわち、本発明者らは、次の(1)〜(3)に示す光学活性ジホスフィン化合物の製造方法を見い出した。
(1) 一般式(II)
Figure 0004006453
(式中、Tfは、トリフルオロメタンスルホニル基を示す。)
で表される2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1’−ビナフチルに、遷移金属−ホスフィン錯体の存在下、一般式(III)
2 P(O)H (III)
(式中、Aは、フェニル基、置換フェニル基(置換基は1〜3個置換され、それぞれの置換基は同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基からなる群から任意に選ばれる。)、低級アルキル基又は低級アルコキシル基で置換されてもよいナフチル基を示す。)
で表されるホスフィンオキシドを反応せしめることを特徴とする一般式(I)
Figure 0004006453
(式中、Aは、フェニル基、置換フェニル基(置換基は1〜3個置換され、それぞれの置換基は同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基からなる群から任意に選ばれる。)、低級アルキル基又は低級アルコキシル基で置換されてもよいナフチル基を示す。)
で表される光学活性ジホスフィンの製造方法。
(2) ホスフィンオキシドとして、一般式(III)
2 P(O)H (III)
(式中、Aは、フェニル基、4−トリル基、3−トリル基、3,5−キシリル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−ビフェニル基、3−ビフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、6−メトキシ−α−ナフチル基、6−メトキシ−β−ナフチル基からなる群から任意に選ばれる。)
で表されるホスフィンオキシドを用いることを特徴とする上記第1項記載の光学活性ジホスフィンの製造方法。
(3) 遷移金属ホスフィン錯体の金属が、銅、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムより選ばれたものである上記第1項又は第2項記載の光学活性ジホスフィンの製造方法。
本発明は、上記の製造方法において得られた以下の(1)に記載する新規な光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル)に関するものである。
(1) 一般式(IV)
Figure 0004006453
(式中、Aは、置換フェニル基(置換基は1〜3個置換され、それぞれの置換基は同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基からなる群から任意に選ばれる。)、低級アルキル基又は低級アルコキシル基で置換されてもよいナフチル基を示す。)
で表される光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物。
本発明は、不斉合成反応の触媒として用いられる遷移金属錯体の中間体としてきわめて有用な新規な光学活性ジホスフィンモノオキシド(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチルを提供する。
光学活性なホスフィンから合成できる遷移金属錯体は、不斉合成反応、例えば不斉水素化反応や不斉ヒドロシリル化反応の触媒として用いると、高い収率で且つ高い不斉収率で目的物を与える。また、本発明に係わる配位子の(−)体又は(+)体のいずれか一方を選択し、これを配位子とした遷移金属錯体を触媒として用いることによって、不斉合成反応において所望する絶対配置の目的物を得ることができる。
本発明の光学活性なジホスフィンモノオキシド化合物(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル)は、例えば、次に示す反応式〔化5〕に従って合成することができる。
Figure 0004006453
すなわち、光学活性なビナフトール(V)を、文献(M.Vondenhof and J.Mattay,Tetrahedron Lett.,Vol.31,p985−988,1990、L.Kurz,G.Lee,D.Morgans,Jr.,M.J.Waldyke and T.Ward,Tetrahedron Lett.,Vol.31,p6321−6324,1990、及びY.Uozumi,A.Tanahashi,S.Y.Lee,and T.Hayashi,J.Org.Chem.,1993,58,p1945−1948)記載の方法で、2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1’−ビナフチル(II)に誘導した後、これに、触媒量の遷移金属−ホスフィン錯体の存在下、ジ置換ホスフィンオキシド(III)を反応せしめることによって、光学活性ジホスフィン化合物(2,2’−ビス( ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル) (I)及び/又は光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル) (IV)を含む混合物を合成することができる。そして、上記光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物(IV)は還元することにより容易に光学活性ジホスフィン化合物(I)とすることができる。
例えば、後記する実施例1の(2)に代表的に示すように、ジ置換ホスフィンオキシド(III)として、ジ(2−ナフチル)ホスフィンオキシドを用いることによって、光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物(IV)である(S)−2−ジ(2−ナフチル)ホスフィニル−2’−ジ(2−ナフチル)ホスフィノ−1,1’−ビナフチルを主として含む混合物を合成することができる。
また、例えば、後記する実施例1の(4)に代表的に示すように、ジ置換ホスフィンオキシド(III)として、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィンオキシドを用いることによって、光学活性ジホスフィン化合物(I)である(R)−2,2’−ビス〔ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ〕−1,1’−ビナフチルを主として含む混合物を合成することができる。
また、例えば、後記する実施例2に代表的に示すように、ジ置換ホスフィンオキシド(III)として、ジフェニルホスフィンオキシドを用いることによって、光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物(IV)である(R)−2−ジフェニルホスフィニル−2’−ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフチル及び光学活性ジホスフィン化合物(I)である(R)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを主として含む混合物を合成することができる。
上記反応において使用されるジ置換ホスフィンオキシド(III)のAとしては、フェニル基、置換フェニル基(置換基は1〜3個置換され、それぞれの置換基は同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基からなる群から任意に選ばれる。)、低級アルキル基又は低級アルコキシル基で置換されてもよいナフチル基からなる群から選ばれる。なお、ここで、低級とは炭素数1〜4を表す。
Aの代表例としては、フェニル、4−トリル、3−トリル、3,5−キシリル、3,4,5−トリメチルフェニル、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、4−tert−ブチルフェニル、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−ビフェニル、3−ビフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、6−メトキシ−α−ナフチル、6−メトキシ−β−ナフチル、などの基を挙げることができる。
使用する置換ホスフィンオキシドの量は、ジトリフルオロメタンスルホニルオキシビナフチル( トリフラート) に対して2〜5倍モル等量が必要である。好ましくは、3〜4倍モル等量である。
ジ置換ホスフィンオキシド(III)は、再結晶あるいはシリカゲルカラムで精製したものを用いることが好ましい。
なお、ジ置換ホスフィンオキシド(III)は、B.B.Hunt,B.C.SaundersらのJ.Chem.Soc.,2413−2414(1957)、H.R.HaysらのJ.Org.Chem.,33,3690−3694(1968)の方法に従い、合成することができる。AXをGrignard試薬とし、次いで亜燐酸ジエチルと反応させ、合成することができる。〔化6〕にその反応式を示す。
Figure 0004006453
前記反応において使用する触媒量の遷移金属−ホスフィン錯体としては、銅、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属錯体を挙げることができる。これらの遷移金属−ホスフィン錯体の代表的なものを例示すると、以下のとおりである。なお、以下の例示において、Meはメチルを、Phはフェニルを、dppeは1,2−ビスジフェニルホスフィノエタンを、dpppは1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパンを、dppbは1,4−ビスジフェニルホスフィノブタンを示す。
Cu: CuMe(PPh33 、(CuMe)2 (dppe)、
CuCl(PPh33
Fe: Fe(CO)2 (PPh33 、FeCl2 (PPh3 )、
FeCl2 (dppe)、FeHCl(dppe)、
FeCl3 (PPh33 、FeCl2 (dppp)、
FeCl2 (dppb)
Co: CoCl(PPh33 、CoCl2 (dppe)、
CoCl2 (dppp)、CoCl2 (dppb)
Ni: Ni(PPh34 、Ni(PPh32
NiCl2 (dppe)、NiCl2 (dppp)、
NiCl2 (dppb)
Pd: PdCl2 (PPh32 、PdCl2 (dppe)、
PdCl2 (dppp)、PdCl2 (dppb)
前記反応に併用される塩基としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン(DABCO)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジメチルアニリン、1,4−ジメチルピペラジン、1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジン、キヌクリジン、1−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、などの塩基を用いることができる。
また、その際用いられる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA)、などを用いることができる。
反応温度は、一般には80〜140℃である。好ましくは100〜120℃である。
このようにして、2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1’−ビナフチル(II)から、光学活性ジホスフィン化合物(2,2’−ビス( ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル) (I)及び/又は光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル) (IV)を含む混合物を容易に製造することができる。
そして、ジホスフィンモノオキシド化合物( 2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル) (IV)もしくは該化合物(IV)を含む混合物は、精製され又は精製されずにそのまま、例えば以下に示す反応式〔化7〕に従って、トリクロロシランなどの還元剤で還元することによって、目的物である光学活性ジホスフィン化合物(2,2’−ビス(ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル誘導体)(I)を製造することができる。
Figure 0004006453
なお、前記の方法で得られる、一般式(I)
Figure 0004006453
(式中、Aは、フェニル基、置換フェニル基(置換基は1〜3個置換され、それぞれの置換基は同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基からなる群から任意に選ばれる。)、低級アルキル基又は低級アルコキシル基で置換されてもよいナフチル基を示す。)
で表される光学活性ジホスフィン化合物( 2,2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル) のうち、Aが、3,4,5−トリメチルフェニル、3−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−ビフェニル、3−ビフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、6−メトキシ−α−ナフチル、6−メトキシ−β−ナフチル、などの化合物は新規化合物である。これらAの構造式の一部を、以下の〔化9〕に示す。
Figure 0004006453
前記の方法で得られるこれらの新規化合物は、後述するように、遷移金属と錯体を形成する。この遷移金属錯体は、不斉合成反応の触媒としてきわめて有用である。
また、前記の方法で得られる、一般式(IV)
Figure 0004006453
(式中、Aは、フェニル基、置換フェニル基(置換基は1〜3個置換され、それぞれの置換基は同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基からなる群から任意に選ばれる。)、低級アルキル基又は低級アルコキシル基で置換されてもよいナフチル基を示す。)
で表される光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル) のうち、Aがフェニル基以外のすべての化合物が新規化合物である。
前記の方法で得られるこれらの新規化合物は、後述するように、不斉合成反応の触媒として用いられる遷移金属錯体の中間体としてきわめて有用である。
前記の方法で得られる2,2’−ビス(ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(I)は、配位子として、遷移金属と共に錯体を形成することができる。
当該化合物と錯体を形成することのできる遷移金属としては、例えば、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、ニッケルなどを挙げることができる。
これらの各種遷移金属錯体を製造する場合には、以下に示すとおり、公知の方法を用いて製造することができる。なお、以下に示す各種遷移金属錯体の式中において使用されている記号は、それぞれ、Lは式(I)のジホスフィン化合物を、codは1,5−シクロオクタジエンを、nbdはノルボルナジエンを、Phはフェニルを、Acはアセチルを示す。
ロジウム錯体:
日本化学会編(丸善)「第4版実験化学講座」第18巻,有機金属錯体,339〜344頁(1991年)に記載の方法に従って、本発明の2,2’−ビス(ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(I)を、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ロジウム(I)テトラフルオロホウ酸塩と反応させることによりロジウム錯体を製造することができる。
ロジウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
Rh(L)Cl、Rh(L)Br、Rh(L)I、
〔Rh(cod)(L)〕BF4 、〔Rh(cod)(L)〕ClO4
〔Rh(cod)(L)〕PF6 、〔Rh(cod)(L)〕BPh4
〔Rh(nbd)(L)〕BF4 、〔Rh(nbd)(L)〕ClO4
〔Rh(nbd)(L)〕PF6 、〔Rh(nbd)(L)〕BPh4
ルテニウム錯体:
ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー(J.Chem.Soc.,Chem. Commun.,922頁(1988年))に記載の方法に従って、2,2’−ビス(ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(I)と〔Ru(cod)Cl2 〕n とを、トルエン溶媒中トリエチルアミンの存在下、加熱還流することにより製造することができる。また、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー(J.Chem.Soc.,Chem. Commun.,1208頁(1989年))に記載の方法に従って、2,2’−ビス(ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(I)と〔Ru(p−cymene)I22 とを、塩化メチレンとエタノール中で加熱撹拌することによりルテニウム錯体を製造することができる。
ルテニウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
Ru(OAc)2 (L)、Ru2 Cl4 (L)2 N(C253
〔RuCl(benzene)(L)〕Cl、
〔RuBr(benzene)(L)〕Br、
〔RuI(benzene)(L)〕I、
〔RuCl(p−cymene)(L)〕Cl、
〔RuBr(p−cymene)(L)〕Br、
〔RuI(p−cymene)(L)〕I、
〔Ru(L)〕(BF42 、〔Ru(L)〕(ClO42
〔Ru(L)〕(PF62 、〔Ru(L)〕(BPh42
イリジウム錯体:
ジャーナル・オブ・オルガノメタル・ケミストリー(J.Organomet.Chem.,第428巻,213頁(1992年))に記載の方法に従って、2,2’−ビス(ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(I)と〔Ir(cod)(CH3 CN)2 〕BF4 とを、テトラヒドロフラン中にて攪拌下に反応させることによりイリジウム錯体を製造することができる。
イリジウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
Ir(L)Cl、Ir(L)Br、Ir(L)I、
〔Ir(cod)(L)〕BF4 、〔Ir(cod)(L)〕ClO4
〔Ir(cod)(L)〕PF6 、〔Ir(cod)(L)〕BPh4
〔Ir(nbd)(L)〕BF4 、〔Ir(nbd)(L)〕ClO4
〔Ir(nbd)(L)〕PF6 、〔Ir(nbd)(L)〕BPh4
パラジウム錯体:
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.,第113巻,9887頁(1991年))に記載の方法に従って、2,2’−ビス(ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(I)とπ−アリルパラジウムクロリドを反応せしめることによりパラジウム錯体を製造することができる。
パラジウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
PdCl2 (L)、(π−allyl)Pd(L)、
〔Pd(L)〕BF4 、〔Pd(L)〕ClO4 、〔Pd(L)〕PF6
〔Pd(L)〕BPh4
ニッケル錯体:
日本化学会編(丸善)「第4版実験化学講座」第18巻、有機金属錯体,376頁(1991年)に記載の方法に従って、2,2’−ビス(ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(I)と塩化ニッケルとを、イソプロパノールとメタノールの混合溶媒に溶解し、加熱、攪拌することによりニッケル錯体を製造することができる。
ニッケル錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
NiCl2 (L)、NiBr2 (L)、NiI2 (L)
本発明の実施の形態は、一般式(II)
Figure 0004006453
(式中、Tfは、トリフルオロメタンスルホニル基を示す。)
で表される2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)─1,1’−ビナフチルに、遷移金属−ホスフィン錯体の存在下、一般式(III)
2 P(O)H (III)
(式中、Aは、フェニル基、4−トリル基、3−トリル基、3,5−キシリル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−ビフェニル基、3−ビフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、6−メトキシ−α−ナフチル基、6−メトキシ−β−ナフチル基からなる群から任意に選ばれる。)
で表されるホスフィンオキシドを反応せしめて、光学活性ジホスフィン(2,2’−ビス( ジ置換ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル) (I)及び/又は光学活性ジホスフィンモノオキシド(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチル) (IV)を含む混合物を製造する。
上記の光学活性ジホスフィン及び/又は光学活性ジホスフィンモノオキシドを含む混合物は、精製するか又はさらにトリクロロシランなどの還元剤で還元することによって、下記一般式(I)
Figure 0004006453
(式中、Aは、フェニル基、4−トリル基、3−トリル基、3,5−キシリル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−ビフェニル基、3−ビフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、6−メトキシ−α−ナフチル基、6−メトキシ−β−ナフチル基からなる群から任意に選ばれる。)
で表される光学活性ジホスフィンを製造する。
前記の方法で得られる光学活性ジホスフィンは、配位子として、遷移金属と錯体を形成し、この遷移金属錯体は、不斉合成反応の触媒としてきわめて有用である。
以下に、代表的な実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
なお、各実施例における物性の測定に用いた装置は次の通りである。
1H NMR : Bruker AM400(400MHz)
31P NMR : Bruker AM400(162MHz)
融点(mp): Yanaco MP-500D
旋光度 : 日本分光製 DIP-4
GLC : HEWLETT Packard 5890-II
HPLC : 島津製作所製 LC10AT and SPD10A
MASS : Hitachi M-80B
〔実施例1〕
(1)(S)−2,2’−ビス〔トリフルオロメタンスルホニルオキシ〕−1,1’−ビナフチルの合成
(S)−ビナフトール36.2g(127 mmol)、ピリジン25.2g(319 mmol)を塩化メチレン181mlに溶かし、0℃に冷却した。そこへ、無水トリフラート(トリフルオロメタンスルホン酸無水物)76.5ml(271 mmol)を滴下し、その後室温で18時間撹拌した。得られた反応混合物に2N塩酸200mlを加えて洗浄した。有機層を水、食塩水で洗った後、溶媒を留去すると69.3gの粗生成物が得られた。ヘキサン280mlから再結晶すると表題化合物が64.1g(収率92%)で得られた。
1H NMR (CDCl3) δ 7.25 - 8.15 (m, ArH)
(2)(S)−2−ジ(2−ナフチル)ホスフィニル−2’−ジ(2−ナフチル)ホスフィノ−1,1’−ビナフチルの合成
(S)−2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1’−ビナフチル19.92g(36.2 mmol) 、NiCl2 (dppe)3.82g(7.2 mmol)、N−メチルピペリジン11.8g(119.4 mmol)を、DMF80mlに溶かし、室温で15分、100℃で15分間撹拌した。これに、ジ(2−ナフチル)ホスフィンオキシド41.6g (137.5 mmol)をDMF100mlに溶かした溶液を加え、100℃で24時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を留去した後、塩化メチレン75mlを加えた。この溶液を氷浴中で冷却し、1N塩酸240mlをゆっくり滴下し、室温で24分撹拌した。分液後、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を集め水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、4:1〜1:4)で精製したところ、表題化合物が40.0g(収率40%)、黄白色の結晶として得られた。
mp 285-287℃
[α] D 24 -51.4 °( c 1.08, CHCl3)
1H NMR (CDCl3) δ 6.45-8.17(m,ArH)
31P NMR (CDCl3) δ-13.05(S) 28.28(s)
CI-Mass spectrum m / z 840(M+ +H+1)
(3)(S)−2,2’−ビス〔ジ(2−ナフチル)ホスフィノ〕−1,1’−ビナフチルの合成
(S)−2−ジ(2−ナフチル)ホスフィニル−2’−ジ(2−ナフチル)ホスフィノ−1,1’−ビナフチル15.04g(17.9 mmol) 、ジメチルアニリン12.5g(103 mmol)、トルエン270ml中にトリクロロシラン14.1g(104 mmol)を加え、90℃で1時間、還流下で28時間撹拌した。反応混合物を氷浴下冷却し、20%NaOH 120mlを加えた。水層をトルエンで抽出し、有機層を水50ml、2N塩酸10ml、水50mlで洗浄した。溶液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、1:0〜1:1) で精製したところ、表題化合物が14.9g(87%)、白色固体として得られた。
mp 291-293 ℃
[α] D 24 -132.2° (c 0.99、CHCl3)
31P NMR (CDCl3) δ -13.57(S)
CI-Mass spectrum m/z (M + +H+1)
(4)(R)−2,2’−ビス〔ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ〕−1,1’−ビナフチルの合成
(R)−2,2’−ビス〔トリフルオロメタンスルホニルオキシ〕−1,1’−ビナフチル1.01g(1.83 mmol) 、NiCl2 (dppe)97mg(0.18mmol) 、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィンオキシド2.48g(7.33 mmol) 、DABCO457mg( 4.1mmol)をDMF10mlに溶かし、100℃で48時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、塩化メチレン30mlを加え、水洗する。5%塩酸10ml、飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、4:1〜1:4)で精製したところ、表題化合物が0.57g(収率34%)、黄白色の結晶として得られた。
mp 62-64 ℃
[α] D 25 3.57°(c 0.50, CHCl3)
31P NMR (CDCl3) δ5.4ppm
CI-Mass spectrum m/z 912 (M+ )
〔実施例2〕
(1)(R)−2−ジフェニルホスフィニル−2’−ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフチルの合成
(S)−2,2’−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1’−ビナフチル2.05g(3.7 mmol)、NiCl2 (dppe)0.20g(0.37 mmol) 、ジフェニルホスフィンオキシド2.89g(13.3 mmol) 、N−メチルピペリジン1.13g(11.4mmol)をDMF16mlに溶かし、100℃で39時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を留去し、塩化メチレン20mlを加えた。この溶液を氷浴中で冷却し、2N塩酸100mlをゆっくり滴下し、室温で30分撹拌した。分液後、水層を塩化メチレンで抽出した。有機層を集め水洗したあと、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、4:1〜1:4) で精製したところ、表題化合物が0.83g(収率35%)、黄白色の結晶として得られた。
mp 236-238 ℃
[α] D 25 +97.5゜ (c 0.82,CHCl3)
1H NMR (CDCl3) δ 6.65-7.91 (m,ar)
31P NMR (CDCl3) δ -14.55(S),27.74(S)
CI-Mass spectrum m/z 622(M + )
(2)(R)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルの合成
(R)−2−ジフェニルホスフィニル-2'-ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフチル1.5g(2.35 mmol) 、ジメチルアニリン4.8ml(4.4 mmol)、トルエン30ml中にトリクロロシラン0.95ml(9.4 mmol)を加え、90℃で1時間、還流下で16時間撹拌した。反応混合物を氷浴下冷却し、3N NaOH20mlを加える。水層をトルエンで抽出し、有機層を水10ml、1N塩酸20ml、水10mlで洗浄した。溶液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、1:0〜1:1)で精製したところ、表題化合物が1.34g(92%)、白色固体として得られた。
mp 241-242 ℃
[α] D 24 -228 ゜ (c 0.68,benzene )
31P NMR (CDCl3) δ -12.8(s)
CI-Mass spectrum m/z 622 (M+)
〔実施例3〜5〕
実施例1、2と同様な操作に従い、ジホスフィンモノオキシド(IV)を製造した。以下に、得られた化合物の具体例を表1として示す。
Figure 0004006453
〔実施例6〜8〕
実施例1、2と同様な操作に従い、ジホスフィン化合物(I)を製造した。以下に、得られた化合物の具体例を表2として示す。
Figure 0004006453
〔参考例1〜5〕
ルテニウム錯体及びロジウム錯体の合成
実施例1、実施例2及び実施例6〜8で得られたジホスフィン化合物を配位子として用い、ルテニウム錯体及びロジウム錯体合成を行った。
〔Ru(p−cymene)I22 48.9mg(0.05 mmol) 、配位子0.1mmolを、塩化メチレン6mlとEtOH3mlに溶かし、50℃で3時間撹拌した。溶媒を濃縮し、得られた固体のNMRを測定した。
また、Rh錯体は、〔Rh(cod)2 〕BF4 40.5mg(0.1 mmol)と配位子0.1mmolを、THF5mlと塩化メチレン5mlに溶かし、室温で2時間撹拌した。溶媒を濃縮し、得られた固体のNMRを測定した。表3にその結果を示す。
Figure 0004006453
〔参考例6〕
ジホスフィン化合物を配位子とするルテニウム錯体を用いて、2−ベンズアミドメチル−3−オキソブタン酸メチルの水素化反応を行った。
参考例5で合成した〔RuI(p−cymene)(3,4−methylenedioxyphenyl−BINAP)〕I 13mg ( 0.01 mmol )、2−ベンズアミドメチル−3−オキソブタン酸メチル2.49g(10 mmol )、塩化メチレン8.7ml、メタノール1.2mlを、100mlのオートクレーブに入れ、60℃、水素圧50atmで21時間反応した。
HPLC (カラム: COSMOSIL 5C-18AR, 4.6×250 mm,溶液:MeCN/H2O=30/70,流速:1 ml/min ,検出波長:254 nm)で分析したところ、syn−アルコールとanti−アルコールが87:13の比率で生成していることが分かった。光学純度は、水素化生成物25mg、(S)−α−トリフルオロメチルフェニルアセチルクロリド75mg、ピリジン0.5mlを攪拌し、(S)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルアセテートとして高速液体クロマトグラフィー(HPLC)( カラム: COSMOSIL 5SL 4.6 ×250 mm,溶液:ヘキサン/THF/メタノール=1000/100/1,流速: 1 ml/min.,検知波長: 254nm) を用いて測定したところ、syn−アルコール(99%e.e.)であった。
本発明の新規な光学活性ジホスフィンモノオキシド(2−ジ置換ホスフィニル−2’−ジ置換ホスフィノ−1,1’−ビナフチルは、例えば不斉水素化反応や不斉ヒドロシリル化反応等の不斉合成反応の触媒にとってきわめて有用である。このような触媒を用いると、高い収率で且つ高い不斉収率で目的物を得ることができる。

Claims (1)

  1. 一般式(IV)
    Figure 0004006453
    (式中、Aは、置換フェニル基(置換基は1〜3個置換され、それぞれの置換基は同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基からなる群から任意に選ばれる。)、低級アルキル基又は低級アルコキシル基で置換されてもよいナフチル基を示す。)
    で表される光学活性ジホスフィンモノオキシド化合物。
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