JP4006242B2 - 画像補正装置、プログラム、記憶媒体及び画像補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像補正装置、プログラム、記憶媒体及び画像補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラットベットスキャナを用いて読み取る原稿の多くはシート状の原稿であり、コンタクトガラス上に開閉自在の圧板を設け、コンタクトガラス上に原稿を載置した後に圧板を閉じて原稿をスキャンするようにしている。しかし、原稿としてはシート状のものに限られず、ブック原稿(本、冊子など)も原稿として扱われることがあり、そのような場合にもコンタクトガラス上にブック原稿を載置し、原稿をスキャンすることになる。
【0003】
ところが、原稿としてブック原稿を用いた場合には、図38に示すように、ブック原稿100のページ綴じ部101がコンタクトガラス102から浮き上がってしまう。このようにブック原稿100のページ綴じ部101がコンタクトガラス102から浮き上がってしまった場合には、ページ綴じ部101が焦点面から離れてしまうため、浮き上がった部分のスキャン画像には、画像歪み、影、文字ボケなどの画像劣化が発生する。劣化した画像のページ綴じ部101は読みにくく、OCRにより文字認識処理を行うときの認識率が著しく低下する。特に、厚手製本ではその割合が高く、また、ブック原稿100のページ綴じ部101を焦点面から離れないように加圧作業した場合には、ブック原稿100自体を破損してしまうこともある。
【0004】
このような問題を解決すべく、画像の濃度情報から物体の3次元形状を推定する方法を用いて、画像の歪みを補正する方法が提案されている。このような画像の濃度情報から物体の3次元形状を推定する方法としては、
T. Wada, H. Uchida and T. Matsuyama, “Shape from Shading with Interreflections under a Proximal Light Source: Distortion-Free Copying of an Unfolded Book”, International Journal Computer Vision 24(2), 125-135(1997)
に記載されているShape from Shadingと呼ばれる方法が代表的な例である。
【0005】
しかしながら、前述したShape from Shadingと呼ばれる方法によれば、計算量が多く、歪み補正処理の計算時間が長いので、実用化は困難である。
【0006】
また、特開平5-161002号公報に記載されている方法によれば、三角測量方式により書籍の形状を測定するための特別な形状計測装置が必要になるため、適当ではない。
【0007】
そこで、近年においては、少ない計算量で有効に歪みを補正すべく、読み取りスキャン画像のページ外形の形状を用いて書籍表面の3次元形状を推定する画像補正装置が提案されている(例えば、特開平11-41455号公報等を参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コンタクトガラスの上もしくは下にブック原稿をセットする場合、ブック原稿をコンタクトガラスに対して押圧する必要がある。そして、このようにブック原稿をコンタクトガラスに対して押圧した場合のスキャン画像には、図39に示すように、カタカナの「ハの字」のような歪み形状(以下、“「ハの字」歪み”という。)になるスキャン画像aが発生する場合がある。
【0009】
しかしながら、従来の画像補正方式においては、これらの状況を考慮していないので、このようなスキャン画像の歪みを補正すると十分な補正ができないばかりか、むしろ画質が劣化してしまうという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することができる画像補正装置、プログラム、記憶媒体及び画像補正方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像補正装置は、スキャン画像を補正する画像補正装置において、画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出手段と、このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出手段と、前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長手段と、この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正手段と、を備える。
【0012】
ここで、「ハの字」歪み角度とは、スキャン画像にカタカナの「ハの字」のような歪みを生じている場合におけるスキャン画像の左右各ページにおける歪み角度をいう。
【0013】
したがって、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいてスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度が検出される。そして、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪みが、「ハの字」歪み角度に応じて補正される。これにより、例えばブック原稿をコンタクトガラス等に強く押し付けた場合にはブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することが可能になる。
【0014】
本発明の画像補正装置は、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出手段と、この綴じ部境界線検出手段により検出された前記綴じ部境界線と画像読み取りの主走査方向との成す角度を前記ブック原稿の前記スキャン画像のスキュー角度として検出するスキュー角度検出手段と、このスキュー角度検出手段により検出された前記スキュー角度に応じ、前記ブック原稿の前記スキャン画像全体をスキュー補正するスキュー補正手段と、を備え、前記スキュー補正手段の実行後に前記ハの字歪み角度検出手段を実行する。
【0015】
したがって、ハの字歪み角度検出手段を実行する前段階で、ブック原稿のスキャン画像全体のスキューが補正されることにより、ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線が画像読み取りの主走査方向に対して確実に平行に位置付けられることになり、「ハの字」歪みの補正後に左右ページが重なったり離れすぎることを防止することが可能になる。
【0016】
本発明の画像補正装置において、前記画像伸長手段は、前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺及び下辺の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形がそれぞれ抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの上下辺両方の前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の2点を結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比が不変となるように伸長する。
【0017】
したがって、コンタクトガラスから浮き上がったブック原稿のスキャン画像の主走査方向の画像歪みを確実に補正することが可能になる。
【0018】
本発明の画像補正装置において、前記画像伸長手段は、前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺または下辺のいずれか一方の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形が抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの抽出されている前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の点と、当該ページ外形上の点と同じ主走査方向上に位置する前記画像読取手段の光軸軌跡上の点とを結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比、もしくは、2点を外分する点の伸長前後の外分比が不変となるように伸長する。
【0019】
したがって、コンタクトガラスから浮き上がったブック原稿のスキャン画像の主走査方向の画像歪みを確実に補正することが可能になる。
【0020】
本発明の画像補正装置において、前記画像伸長手段は、副走査方向のライン毎に伸長率を変化させずに前記スキャン画像を副走査方向に伸長する。
【0021】
したがって、例えばブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しい場合には副走査方向のライン毎に伸長率を変化させる必要が無いので、高速な処理を実現することが可能になる。
【0022】
本発明の画像補正装置において、前記ハの字歪み角度検出手段は、前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形の直線部と画像読み取りの副走査方向との成す角度を、それぞれ前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度として検出する。
【0023】
したがって、「ハの字」歪み角度が、スキャン画像の左右各ページのページ外形の直線部と画像読み取りの副走査方向との成す角度に基づいて検出される。これにより、ページ外形の直線部を検出するだけで「ハの字」歪み角度が検出されるので、「ハの字」歪み角度の検出を短時間で行うことが可能になる。
【0024】
本発明の画像補正装置において、前記「ハの字」歪み補正手段は、前記スキャン画像の左右各ページ毎に独立して対応する前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う。
【0025】
したがって、高精度の「ハの字」歪みの補正が可能になる。
【0026】
本発明の画像補正装置において、前記「ハの字」歪み補正手段は、前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線と伸長後の前記スキャン画像のページ外形との交点を回転中心とし、この回転中心を基準として前記スキャン画像の左右各ページを分割し、前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ対応する前記ブック原稿の前記スキャン画像の左右各ページを回転させる。
【0027】
したがって、「ハの字」歪みの補正後に左右ページが重なったり離れすぎることを防止することが可能になる。
【0028】
本発明の画像補正装置において、前記「ハの字」歪み補正手段は、前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線の延長線と前記スキャン画像全体との交点を回転中心とし、この回転中心を基準として前記スキャン画像の左右各ページを分割し、前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ対応する前記スキャン画像の左右各ページを回転させる。
【0029】
したがって、「ハの字」歪みの補正後に左右ページが重なったり離れすぎることを防止することが可能になる。
【0030】
本発明の画像補正装置において、前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ回転された前記スキャン画像の左右各ページの間に新たに生じる画素を白画素とする。
【0031】
したがって、「ハの字」歪み補正画像の画像品質の向上を図ることが可能になる。
【0032】
本発明の画像補正装置において、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記スキャン画像の左右各ページ毎の前記「ハの字」歪み角度の絶対値に応じ、前記「ハの字」歪み補正手段による「ハの字」歪みの補正を前記スキャン画像の左右各ページ毎に選択的に実行する。
【0033】
したがって、スキャン画像の左右各ページ毎の「ハの字」歪み角度の絶対値の大小に応じて「ハの字」歪み補正手段による「ハの字」歪みの補正をスキャン画像の左右各ページ毎に選択的に実行することが可能になるので、例えば、「ハの字」歪み角度の絶対値が非常に小さいスキャン画像のページでは「ハの字」歪み補正をしなくても十分であるので、処理時間短縮のために「ハの字」歪み補正を省略することが可能になり、「ハの字」歪み角度の絶対値が非常に大きいスキャン画像のページでは歪み補正を施すとむしろ歪みが増大して画質が劣化してしまう場合もあり得るので、この場合には「ハの字」歪み補正を行わないようにすれば、歪み補正に伴う画質の劣化を回避することが可能になる。
【0034】
本発明の画像補正装置において、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記スキャン画像の左右各ページ毎の前記「ハの字」歪み角度の絶対値のうち、前記スキャン画像の左右各ページの少なくとも一方の前記「ハの字」歪み角度の絶対値が予め定められた第一の閾値以上である場合には、処理を中断し、前記スキャン画像の左右各ページの一方または両方の前記「ハの字」歪み角度の絶対値が前記第一の閾値未満であって予め定められた第二の閾値以上である場合には、前記「ハの字」歪み角度の絶対値が前記第一の閾値未満であって前記第二の閾値以上である前記スキャン画像のページについて対応する前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う。
【0035】
したがって、歪み補正に伴う画質の劣化を確実に回避することが可能になる。
【0036】
本発明のプログラムは、スキャン画像の画像補正をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記コンピュータに、画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出機能と、このページ外形抽出機能により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出機能と、前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出機能により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長機能と、この画像伸長機能により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出機能により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正機能と、を実行させる。
【0037】
したがって、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいてスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度が検出される。そして、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪みが、「ハの字」歪み角度に応じて補正される。これにより、例えばブック原稿をコンタクトガラス等に強く押し付けた場合にはブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することが可能になる。
【0038】
本発明の記憶媒体は、スキャン画像の画像補正をコンピュータに実行させるプログラムを記憶するコンピュータに読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータに、画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出機能と、このページ外形抽出機能により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出機能と、前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出機能により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長機能と、この画像伸長機能により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出機能により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正機能と、を実行させるプログラムを記憶する。
【0039】
したがって、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいてスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度が検出される。そして、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪みが、「ハの字」歪み角度に応じて補正される。これにより、例えばブック原稿をコンタクトガラス等に強く押し付けた場合にはブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することが可能になる。
【0040】
本発明の画像補正方法は、スキャン画像の画像補正方法であって、画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出工程と、このページ外形抽出工程により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出工程と、前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出工程により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長工程と、この画像伸長工程により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出工程により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正工程と、を含む。
【0041】
したがって、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいてスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度が検出される。そして、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪みが、「ハの字」歪み角度に応じて補正される。これにより、例えばブック原稿をコンタクトガラス等に強く押し付けた場合にはブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することが可能になる。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図30に基づいて説明する。本実施の形態の画像補正装置は画像形成装置であるデジタル複写機に備えられており、画像読取装置としてはデジタル複写機のスキャナ部が適用されている。
【0043】
ここで、図1はスキャナ部1の構成を示す縦断正面図である。図1に示すように、スキャナ部1は、原稿を載置するコンタクトガラス2と、原稿の露光用の露光ランプ3及び第一反射ミラー4からなる第一走行体5と、第二反射ミラー6及び第三反射ミラー7からなる第二走行体8と、原稿の画像を読み取る撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Device)9と、このCCD9に結像させるためのレンズユニット10と、原稿を載置する基準になるとともにコンタクトガラス2のズレや外れを防止する原稿スケール11と、この原稿スケール11の下側に設置されたシェーディング補正用の白基準板12と、フレーム14とを備えている。CCD9はセンサボード13上に形成されている。
【0044】
原稿の走査時には、第一走行体5及び第二走行体8はステッピングモータ24(図3参照)によって副走査方向に移動する。すなわち、第一走行体5及び第二走行体8がコンタクトガラス2の下を走行して、露光ランプ3で原稿を露光走査し、その反射光を第一反射ミラー4、第二反射ミラー6及び第三反射ミラー7で反射して、レンズユニット10を通してCCD9に結像させる。ここに、画像読取手段が実現されている。
【0045】
このようなスキャナ部1は、このスキャナ部1で読み取られた原稿の画像に基づく画像データに応じ、例えば電子写真方式で用紙上に画像の形成を行う画像印刷装置であるプリンタ部(図示せず)を備えるデジタル複写機16に搭載されている。図2は、スキャナ部1を搭載したデジタル複写機16の上部部分を示す斜視図である。図2に示すように、スキャナ部1には、コンタクトガラス2に対して開閉自在な圧板17と、この圧板17の開閉を検出する開閉センサ18とが設けられている。なお、デジタル複写機16に備えられるプリンタとしては、電子写真方式のほか、インクジェット方式、昇華型熱転写方式、銀塩写真方式、直接感熱記録方式、溶融型熱転写方式など、種々の印刷方式を適用することができる。その具体的な構成については周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0046】
図3は、スキャナ部1の制御系の電気的な接続を示すブロック図である。図3に示すように、この制御系は、スキャナ部1の全体を制御するメイン制御部19に、CCD9で読み取った画像データに各種の画像処理を施す回路である画像処理部20と、第一走行体5及び第二走行体8を制御する回路である走行体制御部21と、デジタル複写機16への各種操作を受け付け、また、各種メッセージを表示する操作パネル22と、CCD9で読み取った画像データや所定のデータ等を記憶するメモリ23とが接続されている。なお、操作パネル22には、コピー開始を宣言するためのコピースタートキー等が設けられている。また、走行体制御部21には、露光ランプ3と、第一走行体5及び第二走行体8を駆動するステッピングモータ24と、第一走行体5及び第二走行体8がホームポジションにあるか否かを検出するスキャナホームポジションセンサ(HPセンサ)25と、開閉センサ18とが接続されている。
【0047】
ここで、図4は画像処理部20の基本的な内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、画像処理部20は、原稿をCCD9により読み取ったアナログ画像信号の増幅処理やデジタル変換処理等を行うアナログビデオ処理部26、シェーディング補正処理を行うシェーディング補正処理部27、シェーディング補正処理後のデジタル画像信号に、MTF補正、変倍処理、γ補正等の各種画像データ処理を行いスキャン画像を生成する画像データ処理部28、本実施の形態の特長的な機能であるスキャン画像の画像補正機能を実現する画像補正部29から構成されている。以上のような画像処理後のデジタル画像信号は、メイン制御部19を介してプリンタ部に送信されて、画像形成に供される。
【0048】
メイン制御部19は、図5に示すように、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)31を備えており、このCPU31には、BIOSなどを記憶した読出し専用メモリであるROM(Read Only Memory)32と、各種データを書換え可能に記憶してCPU31の作業エリアとして機能するRAM(Random Access Memory)33とがバス34で接続されており、マイクロコンピュータを構成している。さらにバス34には、制御プログラムが記憶されたHDD35と、CD(Compact Disc)−ROM37を読み取るCD−ROMドライブ36と、プリンタ部等との通信を司るインタフェース(I/F)38とが接続されている。
【0049】
図5に示すCD−ROM37は、この発明の記憶媒体を実施するものであり、所定の制御プログラムが記憶されている。CPU31は、CD−ROM37に記憶されている制御プログラムをCD−ROMドライブ36で読み取り、HDD35にインストールする。これにより、メイン制御部19は、後述するような各種の処理を行うことが可能な状態となる。
【0050】
なお、記憶媒体としては、CD−ROM37のみならず、DVDなどの各種の光ディスク、各種光磁気ディスク、フレキシブルディスクなどの各種磁気ディスク、半導体メモリ等、各種方式のメディアを用いることができる。また、インターネットなどのネットワークからプログラムをダウンロードし、HDD35にインストールするようにしてもよい。この場合に、送信側のサーバでプログラムを記憶している記憶装置も、この発明の記憶媒体である。なお、プログラムは、所定のOS(Operating System)上で動作するものであってもよいし、その場合に後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、ワープロソフトなど所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
【0051】
次に、メイン制御部19に設けられたCPU31が制御プログラムに基づいて実行する各種処理の内容について説明する。ここでは、CPU31が実行する処理のうち、本実施の形態のスキャナ部1が備える特長的な機能であるスキャン画像の画像補正機能を実現する画像補正装置である画像補正部29におけるスキャン画像の画像補正処理についてのみ説明する。
【0052】
図6は、スキャン画像の画像補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。なお、ここでは、図7に示すように、ブック原稿40のページ綴じ部41とスキャナ部1の画像読み取りの主走査方向とがほぼ平行になるように位置させてブック原稿40をコンタクトガラス2上に下向きに載置したことを意図した場合について説明する。
【0053】
まず、画像データ処理部28から出力されたコンタクトガラス2に載置されているブック原稿40のスキャン画像を入力する(ステップS1)。ここで、図8は入力した画像の一例を示したものである。そして、図8に示すように、入力されたブック原稿40のスキャン画像40'には、ページ綴じ部41のスキャン画像41'の近傍において歪みが生じている。なお、図8中、Aはスキャン画像の画像境界線である。
【0054】
次いで、ステップS2に進み、画像補正処理を実行する。
【0055】
画像補正処理においては、まず、スキャン画像からページ外形を抽出する(ステップS2−1)。ここで、図9は上端にページ外形が存在するスキャン画像の一例を示す説明図、図10は図9に示したスキャン画像の綴じ部境界線左側の黒画素ヒストグラムである。図10に示すヒストグラムのx軸はスキャン画像の主走査方向(図9の上下方向)を示すものであり、スキャン画像の上端はヒストグラムの左端に対応付けられている。なお、ページ外形が下端に存在するスキャン画像の場合には、スキャン画像の下端がヒストグラムの右端に対応付けられることになる。したがって、図9に示すようにスキャン画像の上端にページ外形が存在する場合、スキャン画像の上部に黒い帯が現れることから、図10に示すヒストグラムの左端には高い縦棒が現れることになる。本実施の形態では、このような特性を利用して、スキャン画像にページ外形が存在するか否かの判断を行う。
【0056】
より具体的には、図10に示すように、ページ綴じ部41のスキャン画像41'からスキャン画像の左端(図9の左端)までの距離AO、ヒストグラム縦棒の高さBOとし、その比率を下記に示す式(1)により算出し、
【数1】
算出された比率kが、予め定められた閾値よりも大きい場合に、スキャン画像にページ外形が存在すると判断する。
【0057】
なお、スキャン画像の上下にページ外形が存在する場合には、ヒストグラムの左右両端に高い縦棒が現れることになるので、このような場合には、ヒストグラムの左右両端の高い縦棒に基づいてスキャン画像にページ外形が存在するか否かの判断がそれぞれ実行される。
【0058】
このスキャン画像にページ外形が存在するか否かの判断処理は、スキャン画像の綴じ部境界線を境にした左右ページ毎に実行される。
【0059】
以上の処理により、スキャン画像にページ外形が存在すると判断された場合には、左右ページの上下辺のいずれにページ外形が存在しているのかという情報とともにページ外形を抽出し、RAM33に一時的に記憶する。ここに、ページ外形抽出手段の機能が実行される。
【0060】
なお、スキャン画像からのページ外形の抽出方法としては、これに限るものではなく、特開平11-41455号公報に記載されている方法等を用いるようにしても良い。
【0061】
また、スキャン画像にページ外形が存在することが予め解かっている場合には、ページ外形が存在するか否かの判断を省略し、ページ外形の抽出のみを行うようにしても良い。
【0062】
スキャン画像からページ外形が抽出されると、ステップS2−2に進み、スキャン画像の綴じ部境界線を検出する。ここに、綴じ部境界線検出手段の機能が実行される。より具体的には、図11に示すように、上辺のページ外形についてはその主走査方向(図11中、y方向)の座標値が最小の点Tを、下辺のページ外形についてはその主走査方向の座標値が最大の点Sを、それぞれ綴じ部境界線の端点とし、両端点を結ぶ線分を綴じ部境界線とみなす。これにより、ページ綴じ部41に対応する綴じ部境界線はスキャン画像の主走査方向上辺及び下辺のページ外形の内側へ最も食い込んだ2点を結ぶ線分であるため、確実にページ綴じ部41に対応する綴じ部境界線を検出することが可能になる。
【0063】
スキャン画像の綴じ部境界線が検出されると、ステップS2−3に進み、スキャン画像の綴じ部境界線に基づいてスキュー角度を検出する。より具体的には、図11に示すように、綴じ部境界線である線分STと主走査方向とのなす角度θをスキュー角度とする。θの算出については、各種既知の手法がいろいろあるが、一例としては、端点Sと端点Tの主走査方向と副走査方向の各座標値の差からtanを求め、線分STと主走査方向とのなす角度θを算出する手法がある。ここに、スキュー角度検出手段の機能が実行される。
【0064】
スキャン画像のスキュー角度θが検出されると、ステップS2−4に進み、スキュー角度θに基づくスキュー補正処理を実行する。スキャン画像のスキュー補正は、概略的には、スキャン画像全体をスキュー角度θだけ回転させることにより行われる。本実施の形態においては、図11に示すように、回転の中心をスキャナのレンズ光軸の軌跡との距離の関係がなるべく変化しないような「線分STとレンズ光軸の軌跡の交点(図11中、O)」とし、スキャン画像全体をスキュー角度θだけ回転させることによりスキャン画像のスキュー補正を行うものとする。ここに、スキュー補正手段の機能が実行される。なお、スキャン画像全体を回転させてスキュー補正する際に、そのままスキャン画像全体を回転させただけでは、補正した画像の画素の座標が小数になる場合があり、スキュー補正画像の画質を落としてしまう場合がある。そこで、これを解消するため、スキュー補正の際に画素の線形補間処理を併せて行うようにしても良い。
【0065】
以上の処理により、ステップS2−3で検出したスキュー角度θに基づくスキュー補正が終了する。スキュー補正後のスキャン画像を図12に示す。図12に示すように、スキュー補正前のスキャン画像の綴じ部境界線である線分STは、スキュー補正後には線分S'T'になり、主走査方向に対して正確に平行となっている。
【0066】
続く、ステップS2−5では、スキュー補正後のスキャン画像からページ外形を抽出する。このステップS2−5におけるページ外形抽出処理は、ステップS2−1で説明した処理と何ら変わるものではないため、その説明は省略する。
【0067】
スキュー補正後のスキャン画像からページ外形が抽出されると、ステップS2−6に進み、スキャン画像の上辺ページ外形又は下辺ページ外形の直線部分と副走査方向とのなす角度であるスキャン画像の「ハの字」歪み角度を検出する(「ハの字」歪み角度検出手段)。より具体的には、図13に示すように、スキャン画像の下辺ページ外形を基準とした場合には、スキャン画像の下辺ページ外形の直線部分と副走査方向とのなす角度である「ハの字」歪み角度θL,θRを検出することになる。
【0068】
ここで、スキャン画像の「ハの字」歪み角度検出処理の流れについて図14を参照しつつ説明する。スキャン画像の「ハの字」歪み角度検出処理としては、まず、スキャン画像の上辺又は下辺近傍に位置するページ外形上の2線分を左右ページから1つずつ選択する(ステップS11)。この選択にあたっては、ページ外形が歪んだ曲線部分上の点を基に「ハの字」歪み角度を求めると正しい「ハの字」歪み角度が得られないので、いかなる書籍画像の場合でも確実に直線が存在することが保証されているような副走査方向上の位置を直線部分の両端の位置として予め2か所定めておく必要がある。そこで、本実施の形態においては、図13に示すように、画像の横幅サイズをwとして、画像の左右両端から、予め定めた一定値w1分内側へ入った位置、あるいは、画像全体の横幅に対して予め定めた一定比率(w1/w)分内側へ入った位置を直線の一方の端点とし、副走査方向に関する画像中心線から、予め定めた一定値w2分離れた位置、あるいは、画像全体の横幅に対して予め定めた一定比率(w2/w)分離れた位置をもう一方の端点とするページ外形上の線分CD,EFを選択している。
【0069】
なお、副走査方向の綴じ部境界線の位置が既知の場合は、綴じ部境界線の位置から、予め定めた一定値w3分離れた位置、あるいは、画像全体の横幅に対して予め定めた一定比率(w3/w)分離れた位置をもう一方の端としてもよい。
【0070】
これらのw1,w2,w3の値は、スキャナの特性や、対象とする書籍原稿のサイズに応じて予め定めておくものとする。
【0071】
続くステップS12においては、ステップS11で選択した2線分CD,EFを構成する点C,D,E,Fについて、ページ外形上で点C,D,E,Fの各近傍の数点を選び、それぞれの主走査方向の位置の平均値を算出し、各平均値に基づき点C,D,E,Fの主走査方向の位置を修正する。言い換えれば、各平均値を点C,D,E,Fとみなす。これは、点C,D,E,Fだけを参照すると、これらがたまたま異常値を持っているために「ハの字」歪み角度の検出もおかしくなる恐れがあるので、結果を安定させるためである。図14に点Cの近傍の7点の平均位置を点Cの新たな位置と見なした例を示す。なお、本実施の形態においては、7点の平均値としたが、これに限るものではない。
【0072】
以上のようにして2線分CD,EFが確定すると、ステップS13に進み、線分CDと副走査方向とのなす角度である「ハの字」歪み角度θL、線分EFと副走査方向とのなす角度である「ハの字」歪み角度θRを検出する。なお、「ハの字」歪み角度θL及び「ハの字」歪み角度θRの検出については、各種既知の手法がいろいろあるが、一例としては、点Cと点Dの主走査方向と副走査方向の各座標値の差からtanを求め、線分CDと副走査方向とのなす角度θLを算出し、点Eと点Fの主走査方向と副走査方向の各座標値の差からtanを求め、線分EFと副走査方向とのなす角度θLを求める手法がある。
【0073】
なお、「ハの字」歪みの形状の態様としては、図13に示すようなスキャン画像の上辺に比べて下辺のほうが短くなっている「ハの字」歪みに限るものではなく、図16に示すようなスキャン画像の下辺に比べて上辺のほうが短くなっている「ハの字」歪みの形状も含まれる。そして、スキャン画像の下辺に比べて上辺のほうが短くなっている「ハの字」歪みの形状の場合、左ページの「ハの字」歪み角度θL及び右ページの「ハの字」歪み角度θRは、それぞれ図16に示すようになる。
【0074】
また、本実施の形態においては、図13に示すようなスキャン画像における左ページの「ハの字」歪み角度θLは「θL>0」と規定され、図16に示すようなスキャン画像における左ページの「ハの字」歪み角度θLは「θL<0」と規定される。一方、図13に示すようなスキャン画像における右ページの「ハの字」歪み角度θRは「θR<0」と規定され、図16に示すようなスキャン画像における右ページの「ハの字」歪み角度θRは「θR>0」と規定される。
【0075】
なお、本実施の形態においては、下辺ページ外形を利用して「ハの字」歪み角度を求めているが、これに限るものではなく、上辺ページ外形の直線部分の角度を「ハの字」歪み角度と見なしても構わない。
【0076】
以上により、ステップS2−6におけるスキャン画像の「ハの字」歪み角度の検出が終了する。ここに、ハの字歪み角度検出手段の機能が実行される。
【0077】
ステップS2−6のスキャン画像の「ハの字」歪み角度検出処理が終了すると、ステップS2−7に進み、スキャン画像の画像歪み補正処理を実行する。スキャン画像の画像歪み補正処理の流れを図17に示す。
【0078】
図17に示すように、まず、スキャン画像の左右ページのページ外形の直線部(前述したステップS11〜S12の処理と同様の処理により求められる。)を綴じ部境界線(図12中、S'−T'で示す線分)まで延長し、スキャン画像の左右ページのページ外形の歪んだ部分をそれぞれ対応するページ外形の直線部分の延長線に一致させるように主走査方向に伸長する(ステップS21)。ここで、一致させたページ外形上の点を「伸長基準点」と呼ぶことにする。
【0079】
図18に、スキャン画像の左右ページのページ外形の歪んだ部分をそれぞれ対応するページ外形の直線部分の延長線に一致させるように主走査方向に伸長した様子を示す。図18に示すように、綴じ部境界線に平行な線分GHにおいては、ページ外形上の点Gが点G'に、ページ外形上の点Hが点H'に、それぞれ一致するように伸長される。伸長前の伸長基準点が点G、点Hで、伸長後の伸長基準点が点G'、点H'である。なお、線分GHにおける点G、H以外の点については、伸長後の2つの伸長基準点(点G'、点H')を結ぶ直線上で、2基準点を内分する点の伸長前後の内分比が不変となるように伸長する。即ち、図18では、GP/HP=G'P'/H'P’となるように伸長する。
【0080】
ここで、P、P’の座標をそれぞれ(x,y)、(x,y’)、画素値をf(x,y)、f(x,y’)とすると、f(x,y’)=f(x,y)となるように伸長するのであるが、f(x,y)の値は、例えば、図19に示すように、周辺2画素の画素値f(x,i)、f(x,i+1)の線形補間により次式により算出する。
f(x,y)=f(x,i)*(1−dy)+f(x,i+1)*dy
なお、周辺画素の補間による画素値算出法は必ずしも線形補間に限るものではない。
【0081】
なお、本実施の形態においては、前述したステップS2−1(ステップS2−5)にて上下両方のページ外形を検出したので、上下ページ外形の歪んだ部分を、それぞれ対応する上下ページ外形の直線部分の延長線に一致するように主走査方向に伸長することができるものである。
【0082】
ステップS21の主走査方向への伸長処理が終了すると、ステップS22に進み、副走査方向への伸長処理を実行する。ステップS22の副走査方向への伸長処理は、例えば、特開平11-41455号公報に記載されているような手法を用いることが可能である。概略的には、綴じ部境界線の境界方向(主走査方向)の画像の復元後の長さが1画素以上となるようにして整数画素分のラインの画像濃度データを演算し、復元後の単位ラインの画像を算出するための周囲画素のデータが得られ次第、画像伸長の演算を行うものである。このため、リアルタイムの補正処理が可能となっている。
【0083】
具体的には、図20に示すように、ブック原稿40の形状を読み取ってライン毎の微少な三角形とし、ページの読み取り1ラインにおける画像長さLnを次の式
Ln=√{1+(Tn−Tn-1)2}
により算出し、画像長さLnの累積をページの伸長長さとする。その結果、近似した三角形の斜辺は湾曲したページの形状とほぼ等しくなるので、その累積をページの画像長さとすることにより、正確なページ長さを得る。特に、1ライン毎の最小ピッチによる形状近似により、その長さの復元精度は高い。
【0084】
ブック原稿40のページ綴じ部41は、ブック原稿40の見開き方向に読み取り画素ピッチがブック原稿40に対して変化していく。つまり、ブック原稿40のページ綴じ部41は、ブック原稿40の見開き方向に読み取り画素ピッチがブック原稿40に対して等間隔にはならない。そこで、ブック原稿40のページ綴じ部41の形状を検出し、サンプリングピッチの変化に対応して画素位置の復元演算を行う。
【0085】
すなわち、検出したページ綴じ部41の境界方向(主走査方向)について3次関数コンボリューション法で復元画像を算出し、その注目画素の画素間隔を基準“1”として演算することにより、読み取りライン間隔が変化、すなわち、平面状としたときの原稿に対してサンプリング画素間隔が逐次替わっていくのに対し、画像伸長処理を適応する。また、幾何学的に主走査方向の画像投影倍長さとページ綴じ部41の深さは比例関係にあり、図21に示すように、上述のように境界アドレスA3よりブック原稿40のページ綴じ部41の深さTを以下の式
T=焦点面距離*(A3−Ak)/{(Ak−Ka)−(A3−Ak)}
により、求めることができる。このようにして算出される隣接する主走査ラインの深さの差により、1画素毎の微少ピッチの直線で近似してページの復元位置を算出することができる。
【0086】
このようにして算出されたブック原稿40のページ綴じ部41の深さTは、図20に示すように、1ライン毎の復元すべき副走査方向の画像長さLnの算出に用いられることになる。すなわち、前述した次の式
Ln=√{1+(Tn−Tn-1)2}
により、1ライン毎の復元すべき副走査方向の画像長さLnが算出される。したがって、画像長さLnの累積が副走査方向のページ長さになる。なお、画像拡大は主走査方向の拡大と同様に3次関数コンボリューション法による画素間補間を用いて行い、その計算精度は充分に高くとっている。
【0087】
通常、ブック原稿40のページ綴じ部41の深さが深くなるに連れてその深さの変化量が増す。そこで、本実施の形態においては、その位置のブック原稿40のページ綴じ部41の深さに応じて画像伸長に制限をかける。具体的には、隣合う境界アドレスの差をその位置の(深さ[mm]/5)[画素]に制限して境界の誤検出による副走査方向復元のエラーを抑制する。
【0088】
副走査方向の復元では画像長さLnは位置によって異なり、図22に示すように読み取り画像データは等間隔ではない。図22では、復元データの濃度として3'の位置の濃度を求めるために読み取り画像データにおける2,3,4,5の位置の濃度データを使うが、r1:(3〜3'の位置の間の距離)/(3〜4の位置の間の距離)、r2:(1−r1)、r3:(2〜3'の位置の間の距離)/(3〜4の位置の間の距離)、r4:(3'〜5の位置の間の距離)/(3〜4の位置の間の距離)は、3〜4の位置の間の距離を1としている。そして、これらをrとすることで、3次関数コンボリューション法により画素間補間が実行される。
【0089】
図23は副走査方向復元フローを示す。図22において、画像長さLnの累積が副走査方向のページの長さになり、これを読み取り原稿(ブック原稿40)の位置とする。図22の2,3,4,5は主走査ラインを表わし、それぞれの位置をf4[2]、f4[3]、f4[4]、f4[5]とする。wは、補間するラインの位置であって、f4[3]とf4[4]の間の位置で整数になるところである。
【0090】
まず、wに位置f4[3]の整数部分を代入する(ステップ7−a)。この時のwの位置はf4[2]とf4[3]との間になっている。
【0091】
次に、w+1がf4[4]以下であるか否かを判断し(ステップ7−b)、w+1がf4[4]以下でなければ(ステップ7−bのN)、ステップ7−fに進む。
【0092】
ステップ7−fでは、補間をせず、ライン4とライン5の間の補間に移るために4ラインのバッファで濃度データのシフトをする。すなわち、ライン3の濃度データをライン2の濃度データに置き換え、ライン4の濃度データをライン3の濃度データに置き換え、ライン5の濃度データをライン4の濃度データに置き換え、新しいラインの濃度データをライン5の濃度データに置き換え、また、位置f4[2]に位置f4[3]を置き換え、位置f4[3]に位置f4[4]を置き換え、位置f4[4]に位置f4[5]を置き換え、位置f4[5]に新しい位置f4[5]を置き換える。
【0093】
次に、読み取り画像の最終ラインであるか否かを判断し、読み取り画像の最終ラインであれば、ステップ7−gに進み、処理を終了する。また、読み取り画像の最終ラインでなければ、ステップ7−aに戻る。
【0094】
一方、w+1がf4[4]以下であれば(ステップ7−bのY)、ステップ7−cに進み、wの位置の濃度データを補間で求めるための3次関数コンボリューション法で必要なr1,r2,r3,r4を求める。読み取り画像のデータの間隔は等間隔ではない。そこで、以下のように補間する位置を挟む読み取りデータのライン位置の間隔(3から4、すなわち、f4[4]−f4[3])を1とする。すなわち、
r1=(3〜3'の距離)/(3〜4の距離)
=(w−f4[3])/(f4[4]−f4[3])
r2=1−r1
r3=(2〜3'の距離)/(3〜4の距離)
=(w−f4[2])/(f4[4]−f4[3])
r4=(3'〜5の距離)/(3〜4の距離)
=(w−f4[5])/(f4[4]−f4[3])
を算出する。
【0095】
そして、ステップ7−dでは、位置wのラインの濃度を3次関数コンボリューション法で補間して求め、ステップ7−aに戻る。
【0096】
以上の処理により副走査方向への伸長処理(ステップS22)が終了する。ステップS22の処理方法によれば、主走査方向で浮きの高さが一定であることを前提とした方式であり、ページ外形における浮きの高さのみを利用しており、副走査方向のライン毎に伸長率を変化させる必要が無いので、高速な処理が可能である。
【0097】
なお、本実施の形態においては、ステップS21の主走査方向への伸長処理を実行した後に、ステップS22の副走査方向への伸長処理を実行したが、これに限るものではなく、副走査方向への伸長処理を実行した後に、主走査方向への伸長処理を実行するようにしても良い。
【0098】
以上のステップS21〜S22において、画像伸長手段の機能が実行される。
【0099】
主走査方向への伸長処理及び副走査方向への伸長処理が終了すると、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRに基づいて、スキャン画像の「ハの字」歪み補正を行う(ステップS23〜S31:「ハの字」歪み補正手段)。
【0100】
スキャン画像の「ハの字」歪み補正処理は、まず、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が予め定めた閾値θ1及び閾値θ2より大きいか否かを判断する(ステップS23,S24,S25,S26)。なお、
閾値θ2<閾値θ1
とする。このように、検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値と閾値θ1及び閾値θ2とを比較するのは、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が非常に小さい画像では「ハの字」歪み補正をしなくても従来の歪み補正のみで十分に補正できるので、処理時間短縮のためには「ハの字」歪み補正を省略するのが望ましく、逆に「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が非常に大きい画像では「ハの字」歪み補正を施すとむしろ歪みが増大して画質が劣化してしまう場合もあり得るからである。そこで、本実施の形態においては、詳細は後述するが、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の一方もしくは両方が予め定められた閾値θ1より大きい場合には、画像歪み補正処理を中断し、そうでなければ画像歪み補正処理を続行する。そして、画像歪み補正処理を続行する場合であっても、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の両方が予め定められた閾値θ2より大きい場合にのみ、左右両ページの「ハの字」歪み補正を行い、「ハの字」歪み角度θLの絶対値のみが予め定められた閾値θ2より大きい場合には、左ページの「ハの字」歪み補正のみを行い、「ハの字」歪み角度θRの絶対値のみが予め定められた閾値θ2より大きい場合には、右ページの「ハの字」歪み補正のみを行う。また、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の両方が予め定められた閾値θ2未満である場合には、「ハの字」歪み補正は行わないものとする。
【0101】
すなわち、abs(θL)は左ページの「ハの字」歪み角度θLの絶対値を示し、abs(θR)は右ページの「ハの字」歪み角度θRの絶対値を示すものとすると、図17に示すように、
abs(θL)≧θ1、または、abs(θR)≧θ1の場合には(ステップS23のY)、画像歪み補正処理を中断する(ステップS27)。
【0102】
θ1>abs(θL)≧θ2、かつ、θ1>abs(θR)≧θ2の場合には(ステップS24のY)、左右両ページとも「ハの字」歪み補正処理を実行する(ステップS28〜S29)。
【0103】
θ1>abs(θL)≧θ2、かつ、θ2>abs(θR)の場合には(ステップS25のY)、左ページのみ「ハの字」歪み補正処理を実行する(ステップS30)。
【0104】
θ2>abs(θL)、かつ、θ1>abs(θR)≧θ2の場合には(ステップS26のY)、右ページのみ「ハの字」歪み補正処理を実行する(ステップS31)。
【0105】
θ2>abs(θL)、かつ、θ2>abs(θR)の場合には(ステップS26のN)、左右両ページとも「ハの字」歪み補正処理を実行せずに、処理を終了する。
【0106】
ここで、「ハの字」歪み角度θL,θRに基づく「ハの字」歪み補正処理について説明する。スキャン画像の「ハの字」歪み補正処理は、概略的には、スキャン画像の左右ページを綴じ部境界線で分割し、所定位置を中心にして、スキャン画像の左右ページを適宜「ハの字」歪み角度だけ回転させることにより行われる。その際、回転の中心を適切に定めておかねばならない。なぜなら、回転の中心を適切に定めておかないと、「ハの字」歪み補正後の左右ページが重なり合ったり、大きく離れすぎたりして不自然な補正画像となる恐れがあるからである。そこで、本実施の形態においては、左右ページが重ならず、かつ、あまり離れすぎないようにするため、次のように回転の中心を定める。
【0107】
本実施の形態においては、回転中心を、綴じ部境界線と伸長後のページ外形との交点、もしくは、綴じ部境界線の延長線とスキャン画像全体の外辺との交点を回転の中心とする。そして、左ページに関しては、「ハの字」歪み角度θLが正の場合(θL>0)は、綴じ部境界線と伸長後の上辺ページ外形の交点、もしくは、綴じ部境界線の延長線とスキャン画像全体の上辺との交点とし、「ハの字」歪み角度θLが負の場合(θL<0)は、綴じ部境界線と伸長後の下辺ページ外形の交点、もしくは、綴じ部境界線の延長線とスキャン画像全体の下辺との交点を回転の中心とする。一方、右ページに関しては、「ハの字」歪み角度θRが負の場合(θR<0)は、綴じ部境界線と伸長後の上辺ページ外形の交点、もしくは、綴じ部境界線の延長線とスキャン画像全体の上辺との交点とし、「ハの字」歪み角度θRが正の場合(θR>0)は、綴じ部境界線と伸長後の下辺ページ外形の交点、もしくは、綴じ部境界線の延長線とスキャン画像全体の下辺との交点を回転の中心とする。
【0108】
なお、左右両ページとも「ハの字」歪み補正をする場合は、「ハの字」歪み補正後の画像にずれを生じないように、両ページの回転中心を一致させるものとする。
【0109】
図24は、図18の画像に対して左右ページをそれぞれ「ハの字」歪み補正処理を実行する様子を示す説明図である。図24に示すように、この場合の左ページの「ハの字」歪み角度θLは、「θL>0」であるので、綴じ部境界線と伸長後の上辺ページ外形の交点を回転中心Qとしている。
【0110】
このように回転中心が決まると、ブック原稿40のスキャン画像40’の左右ページを綴じ部境界線で分割し、回転中心に基づいてスキャン画像の左右ページを適宜「ハの字」歪み角度θL,θRだけ回転することによるスキャン画像の「ハの字」歪み補正を行う。「ハの字」歪み角度だけ回転させるページは、前述したように、ステップS27〜S31において決められている。
【0111】
ただし、スキャン画像の左右ページを回転させて「ハの字」歪み補正する際に、そのままスキャン画像の左右ページを回転させただけでは、補正した画像の画素の座標が小数になる場合があり、「ハの字」歪み補正画像の画質を落としてしまう場合がある。そこで、本実施の形態においてはこれを解消するため、画素の線形補間処理を行う。
【0112】
図25は、画素値の線形補間処理による求め方を示す説明図である。ここで、回転前後の座標をそれぞれ(x,y)、(x’,y’)、画素値をf(x,y)、f(x’,y’)とすると、f(x’,y’)=f(x,y)となるように回転するのであるが、f(x,y)の値は、その周辺ブロック[i,j]、[i+1,j]、[i,j+1]、[i+1,j+1]の平滑化処理後の画素値f(i,j)、f(i+1,j)、f(i,j+1)、f(i+1,j+1)の線形補間値として計算される。より具体的には、座標(x,y)での線形補間処理後の画素値f(x,y)は、
【数2】
により、算出される。
【0113】
以上の処理により、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRに基づくスキャン画像の「ハの字」歪み補正が終了する。一例として、図18の画像に対して左右ページをそれぞれ「ハの字」歪み補正した後のスキャン画像を図26に示す。ここで、図26に示す網掛け領域Zは、「ハの字」歪み補正により新たに生じた画素であるが、これが黒画素や色画素であると綴じ部境界線の見栄えが非常に劣化する。そこで、「ハの字」歪み補正における回転により新たに生じる画素は白画素とする。すると、図26に示す網掛け領域Zが図27のように全て白抜きされることになり、「ハの字」歪み補正画像の品質が向上する。
【0114】
以上、左ページの「ハの字」歪み角度θLが正(θL>0)で、右ページの「ハの字」歪み角度θRが負(θR<0)の場合についての「ハの字」歪み補正について説明したが、左ページの「ハの字」歪み角度θLが負(θL<0)で、右ページの「ハの字」歪み角度θRが正(θR>0)の場合についての「ハの字」歪み補正についても簡単に説明する。
【0115】
図28は、左ページの「ハの字」歪み角度θLが負(θL<0)で、右ページの「ハの字」歪み角度θRが正(θR>0)の場合の画像に対して左右ページをそれぞれ「ハの字」歪み補正処理を実行する様子を示す説明図である。図28に示すように、この場合の左ページの「ハの字」歪み角度θLは、「θL<0」であるので、綴じ部境界線と伸長後の下辺ページ外形の交点を回転中心Qとしている。そして、ブック原稿40のスキャン画像40’の左右ページを綴じ部境界線で分割し、回転中心Qに基づいてブック原稿40のスキャン画像40’の左右ページを適宜「ハの字」歪み角度θL,θRだけ回転させることによるスキャン画像の「ハの字」歪み補正を行う。図28の画像に対して左右ページをそれぞれ「ハの字」歪み補正(白抜き処理を含む)した後のスキャン画像を図29に示す。
【0116】
なお、以上においては綴じ部境界線と伸長後のページ外形の交点を回転中心とした例について説明したが、図30に綴じ部境界線の延長線とスキャン画像全体の上辺の交点を回転中心Q’として左右両ページにおいて「ハの字」歪み角度θL,θRだけ回転させる例を示し、図31にその「ハの字」歪み補正後のスキャン画像を示す。
【0117】
ここに、スキャン画像40’から抽出されたブック原稿40のページ外形に基づいてスキャン画像40’の左右各ページの「ハの字」歪み角度θL,θRが検出される。そして、スキャン画像40’から抽出されたブック原稿40のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像40’の左右各ページの「ハの字」歪みが、「ハの字」歪み角度θL,θRに応じて補正される。これにより、例えばブック原稿40をコンタクトガラス2等に強く押し付けた場合にはブック原稿40のページ綴じ部41における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿40のスキャン画像40’を高速かつ適切に補正することが可能になる。
【0118】
また、「ハの字」歪み角度θL,θRを検出する前段階で、ブック原稿40のスキャン画像40’全体のスキューが補正されることにより、ページ綴じ部41に対応する綴じ部境界線が画像読み取りの主走査方向に対して確実に平行に位置付けられることになり、「ハの字」歪みの補正後に左右ページが重なったり離れすぎることを防止することが可能になる。
【0119】
次に、本発明の第二の実施の形態を図32に基づいて説明する。なお、本発明の第一の実施の形態において説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。本実施の形態は、前述した第一の実施の形態とは、スキャン画像の画像歪み補正処理(図6に示すステップS2−7)が異なるものである。
【0120】
本実施の形態のスキャン画像の画像歪み補正処理の流れを図32に示す。図32に示すように、本実施の形態のスキャン画像の画像歪み補正処理は、まず、主走査方向への伸長処理(ステップS41)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS42)を実行する。これら主走査方向への伸長処理(ステップS41)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS42)については、第一の実施の形態で説明した主走査方向への伸長処理(ステップS21)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS22)と何ら変わるものではないので、ここでの説明は省略する。
【0121】
主走査方向への伸長処理及び副走査方向への伸長処理が終了すると、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRに基づいて、スキャン画像の「ハの字」歪み補正を行う(ステップS43〜S49:「ハの字」歪み補正手段)。
【0122】
スキャン画像の「ハの字」歪み補正処理は、まず、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が予め定めた閾値θ3より大きいか否かを判断する(ステップS43,S44,S45)。このように、検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値と閾値θ3とを比較するのは、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が非常に小さい画像では「ハの字」歪み補正をしなくても従来の歪み補正のみで十分に補正できるので、処理時間短縮のためには「ハの字」歪み補正を省略するのが望ましいからである。そこで、本実施の形態においては、詳細は後述するが、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の一方もしくは両方が予め定められた閾値θ3より大きい場合には、「ハの字」歪み補正処理を実行し、そうでなければ「ハの字」歪み補正処理を実行しない。そして、「ハの字」歪み補正処理を実行する場合であっても、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の両方が予め定められた閾値θ3より大きい場合にのみ、左右両ページの「ハの字」歪み補正を行い、「ハの字」歪み角度θLの絶対値のみが予め定められた閾値θ3より大きい場合には、左ページの「ハの字」歪み補正のみを行い、「ハの字」歪み角度θRの絶対値のみが予め定められた閾値θ3より大きい場合には、右ページの「ハの字」歪み補正のみを行う。
【0123】
すなわち、abs(θL)は左ページの「ハの字」歪み角度θLの絶対値を示し、abs(θR)は右ページの「ハの字」歪み角度θRの絶対値を示すものとすると、図32に示すように、
abs(θL)≧θ3、かつ、abs(θR)≧θ3の場合には(ステップS43のY)、左右両ページとも「ハの字」歪み補正処理を実行する(ステップS46〜S47)。
【0124】
abs(θL)≧θ3、かつ、θ3>abs(θR)の場合には(ステップS44のY)、左ページのみ「ハの字」歪み補正処理を実行する(ステップS48)。
【0125】
θ3>abs(θL)、かつ、abs(θR)≧θ3の場合には(ステップS45のY)、右ページのみ「ハの字」歪み補正処理を実行する(ステップS49)。
【0126】
θ3>abs(θL)、かつ、θ3>abs(θR)の場合には(ステップS45のN)、左右両ページとも「ハの字」歪み補正処理を実行せずに、処理を終了する。
【0127】
なお、「ハの字」歪み角度θL,θRに基づく「ハの字」歪み補正処理については、第一の実施の形態で説明した処理と何ら変わるものではないので、ここでの説明は省略する。
【0128】
ここに、スキャン画像の左右各ページ毎の「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の大小に応じて「ハの字」歪みの補正をスキャン画像40’の左右各ページ毎に選択的に実行することが可能になるので、例えば、「ハの字」歪み角度の絶対値が非常に小さいスキャン画像40’のページでは「ハの字」歪み補正をしなくても十分であるので、処理時間短縮のために「ハの字」歪み補正を省略することが可能になる。
【0129】
次に、本発明の第三の実施の形態を図33に基づいて説明する。なお、本発明の第一の実施の形態において説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。本実施の形態は、前述した第一の実施の形態とは、スキャン画像の画像歪み補正処理(図6に示すステップS2−7)が異なるものである。
【0130】
本実施の形態のスキャン画像の画像歪み補正処理の流れを図33に示す。図33に示すように、本実施の形態のスキャン画像の画像歪み補正処理は、まず、主走査方向への伸長処理(ステップS51)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS52)を実行する。これら主走査方向への伸長処理(ステップS51)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS52)については、第一の実施の形態で説明した主走査方向への伸長処理(ステップS21)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS22)と何ら変わるものではないので、ここでの説明は省略する。
【0131】
主走査方向への伸長処理及び副走査方向への伸長処理が終了すると、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRに基づいて、スキャン画像の「ハの字」歪み補正を行う(ステップS53〜S56:「ハの字」歪み補正手段)。
【0132】
スキャン画像の「ハの字」歪み補正処理は、まず、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が予め定めた閾値θ4より大きいか否かを判断する(ステップS53)。このように、検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値と閾値θ4とを比較するのは、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が非常に大きい画像では「ハの字」歪み補正を施すとむしろ歪みが増大して画質が劣化してしまう場合もあり得るからである。そこで、本実施の形態においては、詳細は後述するが、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の一方もしくは両方が予め定められた閾値θ4より大きい場合には、画像歪み補正処理を中断し、そうでなければ左右両ページの「ハの字」歪み補正を行う。
【0133】
すなわち、abs(θL)は左ページの「ハの字」歪み角度θLの絶対値を示し、abs(θR)は右ページの「ハの字」歪み角度θRの絶対値を示すものとすると、図33に示すように、
abs(θL)≧θ4、または、abs(θR)≧θ4の場合には(ステップS53のY)、画像歪み補正処理を中断する(ステップS54)。
【0134】
θ4>abs(θL)、かつ、θ4>abs(θR)の場合には(ステップS53のN)、左右両ページとも「ハの字」歪み補正処理を実行する(ステップS55〜S56)。
【0135】
なお、「ハの字」歪み角度θL,θRに基づく「ハの字」歪み補正処理については、第一の実施の形態で説明した処理と何ら変わるものではないので、ここでの説明は省略する。
【0136】
ここに、スキャン画像の左右各ページ毎の「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の大小に応じて「ハの字」歪みの補正をスキャン画像40’の左右各ページ毎に選択的に実行することが可能になるので、例えば、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が非常に大きいスキャン画像40’のページでは歪み補正を施すとむしろ歪みが増大して画質が劣化してしまう場合もあり得るので、この場合には「ハの字」歪み補正を行わないようにすれば、歪み補正に伴う画質の劣化を回避することが可能になる。
【0137】
次に、本発明の第四の実施の形態を図34に基づいて説明する。なお、本発明の第一の実施の形態において説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。本実施の形態は、前述した第一の実施の形態とは、画像歪み補正処理(図6に示すステップS2−7)が異なるものである。
【0138】
本実施の形態のスキャン画像の画像歪み補正処理の流れを図34に示す。図34に示すように、本実施の形態のスキャン画像の画像歪み補正処理は、本発明の第一ないし第三の実施の形態とは異なり、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値によらず、常にスキャン画像の「ハの字」歪み補正処理を実行するようにしたものである。
【0139】
つまり、本実施の形態においては、主走査方向への伸長処理(ステップS61)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS62)を実行した後、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRに基づいて左右両ページとも「ハの字」歪み補正処理を実行する(ステップS63〜S64)。
【0140】
これら主走査方向への伸長処理(ステップS61)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS62)については、第一の実施の形態で説明した主走査方向への伸長処理(ステップS21)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS22)と何ら変わるものではないので、ここでの説明は省略する。また、「ハの字」歪み角度θL,θRに基づく「ハの字」歪み補正処理についても、第一の実施の形態で説明した処理と何ら変わるものではないので、ここでの説明は省略する。
【0141】
次に、本発明の第五の実施の形態を図35に基づいて説明する。なお、本発明の第一の実施の形態において説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。本実施の形態は、前述した第一の実施の形態とは、画像歪み補正処理(図6に示すステップS2−7)が異なるものである。
【0142】
本実施の形態のスキャン画像の画像歪み補正処理の流れを図35に示す。図35に示すように、本実施の形態のスキャン画像の画像歪み補正処理は、本発明の第一の実施の形態とは異なり、主走査方向への伸長処理(ステップS21)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS22)の前段階で、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の一方もしくは両方が予め定められた閾値θ1より大きいか否かを判断するものである。このように、主走査方向への伸長処理(ステップS21)、及び副走査方向への伸長処理(ステップS22)の前段階で、検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値と閾値θ1及び閾値θ2とを比較するのは、「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値が非常に大きい画像では「ハの字」歪み補正を施すとむしろ歪みが増大して画質が劣化してしまう場合もあり得るため、ステップS2−6で検出した「ハの字」歪み角度θL,θRの絶対値の一方もしくは両方が予め定められた閾値θ1より大きい場合には(ステップS23のY)、画像歪み補正処理を中断したほうが(ステップS27)、処理時間の短縮を図ることができるからである。
【0143】
なお、各実施の形態においては、ステップS2−5におけるページ外形抽出処理において、スキャン画像の上辺ページ外形と下辺ページ外形との両方を抽出するようにしたが、これに限るものではなく、スキャン画像の上辺ページ外形または下辺ページ外形のいずれか一方のみを抽出するようにしても良い。ただし、この場合には、図17中のステップS21等における主走査方向への伸長処理が異なる。
【0144】
スキャン画像の下辺ページ外形のみが抽出されている場合を例に説明する。図36に、スキャン画像の左右ページの下辺ページ外形の歪んだ部分をそれぞれ対応するページ外形の直線部分の延長線に一致させるように主走査方向に伸長した様子を示す。図36に示すように、綴じ部境界線に平行な線分GHにおいては、下辺ページ外形上の点Gが点G'に一致し、かつ、点Mの位置が不変となるように伸長される。伸長前の伸長基準点が点G、点Mで、伸長後の伸長基準点が点G'、点Mである。ここで、一致させたページ外形上の点、及びレンズ光軸軌跡上の点を「伸長基準点」と呼ぶことにする。なお、線分GHにおける点G、M以外の点については、伸長後の2つの伸長基準点(点G'、点M)を結ぶ直線上で、2基準点を内分する点の伸長前後の内分比、もしくは、2基準点を外分する点の伸長前後の外分比が不変となるように伸長する。即ち、図36では、GP/MP=G'P'/MP’となるように伸長する。
【0145】
ここで、P、P’の座標をそれぞれ(x,y)、(x,y’)、画素値をf(x,y)、f(x,y’)とすると、f(x,y’)=f(x,y)となるように伸長するのであるが、f(x,y)の値は、例えば、図19に示すように、周辺2画素の画素値f(x,i)、f(x,i+1)の線形補間により次式により算出する。
f(x,y)=f(x,i)*(1−dy)+f(x,i+1)*dy
なお、周辺画素の補間による画素値算出法は必ずしも線形補間に限るものではない。
【0146】
また、各実施の形態においては、「ハの字」歪み角度θL,θRの検出処理を、主走査方向への伸長処理及び副走査方向への伸長処理の前段階で行うようにしたが、主走査方向への伸長処理及び副走査方向への伸長処理の後に行うようにしても良い。
【0147】
なお、各実施の形態においては、画像読取装置としてデジタル複写機のスキャナ部1を適用したが、これに限るものではなく、例えば自動ページ捲り機能を搭載したスキャナ等に適用するようにしても良い。
【0148】
また、各実施の形態においては、ブック原稿40のページ綴じ部41とスキャナ部1の画像読み取りの主走査方向とが平行になるように位置させてブック原稿40をコンタクトガラス2上に下向きに載置した場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、図37に示すように、上向きのブック原稿40をコンタクトガラス2の下方からコンタクトガラス2に対して押し付けるように接触させるものであっても良い。
【0149】
さらに、各実施の形態においては、画像補正装置を画像形成装置であるデジタル複写機16に備え、デジタル複写機16のスキャナ部1で読み取ったスキャン画像に対して画像補正処理を施すようにしたが、これに限るものではない。例えば、原稿画像を読み取る画像読取手段を備えたイメージスキャナを、図5に示したメイン制御部19と同等なシステム構成を備えたパーソナルコンピュータに接続するとともに、このパーソナルコンピュータのHDDに記憶媒体であるCD−ROM37に格納されたプログラムをインストールし、このプログラムに従ってパーソナルコンピュータのCPUを動作させることによって画像補正装置を構成しても、前述したような各種の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。また、記憶媒体であるCD−ROM37に格納されたプログラムを、図5に示したメイン制御部19と同等なシステム構成を備えたパーソナルコンピュータのHDDにインストールし、このプログラムに従ってパーソナルコンピュータのCPUを動作させることによって画像補正装置を構成し、予め画像読取手段により読み取られたスキャン画像に対して画像補正処理を施すようにしても良い。
【0150】
【発明の効果】
本発明の画像補正装置によれば、スキャン画像を補正する画像補正装置において、画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出手段と、このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出手段と、前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長手段と、この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正手段と、を備え、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいてスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出する。そして、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪みを、「ハの字」歪み角度に応じて補正することにより、例えばブック原稿をコンタクトガラス等に強く押し付けた場合にはブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することができる。
【0151】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出手段と、この綴じ部境界線検出手段により検出された前記綴じ部境界線と画像読み取りの主走査方向との成す角度を前記ブック原稿の前記スキャン画像のスキュー角度として検出するスキュー角度検出手段と、このスキュー角度検出手段により検出された前記スキュー角度に応じ、前記ブック原稿の前記スキャン画像全体をスキュー補正するスキュー補正手段と、を備え、前記スキュー補正手段の実行後に前記ハの字歪み角度検出手段を実行することにより、ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を画像読み取りの主走査方向に対して確実に平行に位置付けることができるので、「ハの字」歪みの補正後に左右ページが重なったり離れすぎることを防止することができる。
【0152】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記画像伸長手段は、前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺及び下辺の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形がそれぞれ抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの上下辺両方の前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の2点を結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比が不変となるように伸長することにより、コンタクトガラスから浮き上がったブック原稿のスキャン画像の主走査方向の画像歪みを確実に補正することができる。
【0153】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記画像伸長手段は、前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺または下辺のいずれか一方の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形が抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの抽出されている前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の点と、当該ページ外形上の点と同じ主走査方向上に位置する前記画像読取手段の光軸軌跡上の点とを結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比、もしくは、2点を外分する点の伸長前後の外分比が不変となるように伸長することにより、コンタクトガラスから浮き上がったブック原稿のスキャン画像の主走査方向の画像歪みを確実に補正することができる。
【0154】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記画像伸長手段は、副走査方向のライン毎に伸長率を変化させずに前記スキャン画像を副走査方向に伸長することにより、例えばブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しい場合には副走査方向のライン毎に伸長率を変化させる必要が無いので、高速な処理を実現することができる。
【0155】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記ハの字歪み角度検出手段は、前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形の直線部と画像読み取りの副走査方向との成す角度を、それぞれ前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度として検出することにより、ページ外形の直線部を検出するだけで「ハの字」歪み角度を検出することができるので、「ハの字」歪み角度の検出を短時間で行うことができる。
【0156】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記「ハの字」歪み補正手段は、前記スキャン画像の左右各ページ毎に独立して対応する前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行うことにより、高精度の「ハの字」歪み補正を行うことができる。
【0157】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記「ハの字」歪み補正手段は、前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線と伸長後の前記スキャン画像のページ外形との交点を回転中心とし、この回転中心を基準として前記スキャン画像の左右各ページを分割し、前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ対応する前記ブック原稿の前記スキャン画像の左右各ページを回転させることにより、「ハの字」歪みの補正後に左右ページが重なったり離れすぎることを防止することができる。
【0158】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記「ハの字」歪み補正手段は、前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線の延長線と前記スキャン画像全体との交点を回転中心とし、この回転中心を基準として前記スキャン画像の左右各ページを分割し、前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ対応する前記スキャン画像の左右各ページを回転させることにより、「ハの字」歪みの補正後に左右ページが重なったり離れすぎることを防止することができる。
【0159】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ回転された前記スキャン画像の左右各ページの間に新たに生じる画素を白画素とすることにより、「ハの字」歪み補正画像の画像品質の向上を図ることができる。
【0160】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記スキャン画像の左右各ページ毎の前記「ハの字」歪み角度の絶対値に応じ、前記「ハの字」歪み補正手段による「ハの字」歪みの補正を前記スキャン画像の左右各ページ毎に選択的に実行することにより、例えば、「ハの字」歪み角度の絶対値が非常に小さいスキャン画像のページでは「ハの字」歪み補正をしなくても十分であるので、処理時間短縮のために「ハの字」歪み補正を省略することができ、「ハの字」歪み角度の絶対値が非常に大きいスキャン画像のページでは歪み補正を施すとむしろ歪みが増大して画質が劣化してしまう場合もあり得るので、この場合には「ハの字」歪み補正を行わないようにすれば、歪み補正に伴う画質の劣化を回避することができる。
【0161】
本発明によれば、本発明の画像補正装置において、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記スキャン画像の左右各ページ毎の前記「ハの字」歪み角度の絶対値のうち、前記スキャン画像の左右各ページの少なくとも一方の前記「ハの字」歪み角度の絶対値が予め定められた第一の閾値以上である場合には、処理を中断し、前記スキャン画像の左右各ページの一方または両方の前記「ハの字」歪み角度の絶対値が前記第一の閾値未満であって予め定められた第二の閾値以上である場合には、前記「ハの字」歪み角度の絶対値が前記第一の閾値未満であって前記第二の閾値以上である前記スキャン画像のページについて対応する前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行うことにより、歪み補正に伴う画質の劣化を確実に回避することができる。
【0162】
本発明のプログラムによれば、スキャン画像の画像補正をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記コンピュータに、画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出機能と、このページ外形抽出機能により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出機能と、前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出機能により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長機能と、この画像伸長機能により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出機能により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正機能と、を実行させ、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいてスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出する。そして、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪みを、「ハの字」歪み角度に応じて補正することにより、例えばブック原稿をコンタクトガラス等に強く押し付けた場合にはブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することができる。
【0163】
本発明の記憶媒体によれば、スキャン画像の画像補正をコンピュータに実行させるプログラムを記憶するコンピュータに読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータに、画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出機能と、このページ外形抽出機能により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出機能と、前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出機能により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長機能と、この画像伸長機能により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出機能により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正機能と、を実行させるプログラムを記憶させ、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいてスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出する。そして、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪みを、「ハの字」歪み角度に応じて補正することにより、例えばブック原稿をコンタクトガラス等に強く押し付けた場合にはブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することができる。
【0164】
本発明の画像補正方法によれば、スキャン画像の画像補正方法であって、画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出工程と、このページ外形抽出工程により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出工程と、前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出工程により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長工程と、この画像伸長工程により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出工程により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正工程と、を含み、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいてスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出する。そして、スキャン画像から抽出されたブック原稿のページ外形に基づいて主走査方向に伸長され、かつ、ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長されたスキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪みを、「ハの字」歪み角度に応じて補正することにより、例えばブック原稿をコンタクトガラス等に強く押し付けた場合にはブック原稿のページ綴じ部における主走査方向での浮きの高さがほぼ等しいとみなされることから、副走査方向における伸長についてはページ外形に基づく浮きの高さのみを利用すれば良く、カタカナの「ハの字」のような歪み形状を有するブック原稿のスキャン画像を高速かつ適切に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態のスキャナ部の構成を示す縦断正面図である。
【図2】スキャナ部を搭載したデジタル複写機の上部部分を示す斜視図である。
【図3】スキャナ部の制御系の電気的な接続を示すブロック図である。
【図4】画像処理部の基本的な内部構成を示すブロック図である。
【図5】メイン制御部の電気的な接続を示すブロック図である。
【図6】スキャン画像の補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図7】スキャナ部のコンタクトガラス上にブック原稿を載置した状態を示す斜視図である。
【図8】入力した画像の一例を示す平面図である。
【図9】上端にページ外形が存在するスキャン画像の一例を示す説明図である。
【図10】図9に示したスキャン画像の綴じ部境界線左側の黒画素ヒストグラムである。
【図11】スキャン画像のスキュー角度の検出手法を示す説明図である。
【図12】スキュー補正後のスキャン画像を示す説明図である。
【図13】スキャン画像の「ハの字」角度の検出手法を示す説明図である。
【図14】スキャン画像の「ハの字」歪み角度検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】点Cの近傍の7点の平均位置を点Cの新たな位置と見なした例を示す説明図である。
【図16】他のスキュー補正後のスキャン画像を示す説明図である。
【図17】画像歪み補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】主走査方向における伸長処理の手法を示す説明図である。
【図19】画素値の線形補間処理による求め方を示す説明図である。
【図20】画像長さの算出を示す説明図である。
【図21】ページ綴じ部の境界歪みを示す説明図である。
【図22】主走査方向画素間補間を示す説明図である。
【図23】副走査方向復元を示すフローチャートである。
【図24】図18の画像に対して左右ページをそれぞれ「ハの字」歪み補正処理を実行する様子を示す説明図である。
【図25】画素値の線形補間処理による求め方を示す説明図である。
【図26】図18の画像に対して左右ページをそれぞれ「ハの字」歪み補正した後のスキャン画像を示す説明図である。
【図27】図26の画像に対して白抜きをした後のスキャン画像を示す説明図である。
【図28】左ページの「ハの字」歪み角度θLが負(θL<0)で、右ページの「ハの字」歪み角度θRが正(θR>0)の場合の画像に対して左右ページをそれぞれ「ハの字」歪み補正処理を実行する様子を示す説明図である。
【図29】図28の画像に対して左右ページをそれぞれ「ハの字」歪み補正した後のスキャン画像を示す説明図である。
【図30】綴じ部境界線の延長線と画像全体の上辺の交点を回転中心として左右両ページにおいて「ハの字」歪み角度だけ回転させる例を示す説明図である。
【図31】その「ハの字」歪み補正後のスキャン画像を示す説明図である。
【図32】本発明の第二の実施の形態の画像歪み補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図33】本発明の第三の実施の形態の画像歪み補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図34】本発明の第四の実施の形態の画像歪み補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図35】本発明の第五の実施の形態の画像歪み補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図36】主走査方向における伸長処理の手法の変形例を示す説明図である。
【図37】コンタクトガラスにブック原稿を接触させた状態の変形例を示す正面図である。
【図38】コンタクトガラス上にブック原稿を載置した状態を示す正面図である。
【図39】「ハの字」歪みが生じたスキャン画像を示す説明図である。
【符号の説明】
29 画像補正装置
37 記憶媒体
40 ブック原稿
41 ページ綴じ部
Claims (17)
- スキャン画像を補正する画像補正装置において、
画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出手段と、
このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出手段と、
前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出手段と、
前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長手段と、
この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正手段とを有し、
前記画像伸長手段は、
前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺及び下辺の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形がそれぞれ抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの上下辺両方の前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の2点を結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比が不変となるように伸長すること
を特徴とする画像補正装置。 - スキャン画像を補正する画像補正装置において、
画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出手段と、
このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出手段と、
前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出手段と、
前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長手段と、
この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正手段を有し、
前記画像伸長手段は、
前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺または下辺のいずれか一方の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形が抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの抽出されている前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の点と、当該ページ外形上の点と同じ主走査方向上に位置する前記画像読取手段の光軸軌跡上の点とを結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比、もしくは、2点を外分する点の伸長前後の外分比が不変となるように伸長すること
を特徴とする画像補正装置。 - 前記綴じ部境界線検出手段により検出された前記綴じ部境界線と画像読み取りの主走査方向との成す角度を前記ブック原稿の前記スキャン画像のスキュー角度として検出するスキュー角度検出手段と、
このスキュー角度検出手段により検出された前記スキュー角度に応じ、前記ブック原稿の前記スキャン画像全体をスキュー補正するスキュー補正手段と、を備え、
前記スキュー補正手段の実行後に前記ハの字歪み角度検出手段を実行することを特徴とする請求項1又は2記載の画像補正装置。 - 前記画像伸長手段は、副走査方向のライン毎に伸長率を変化させずに前記スキャン画像を副走査方向に伸長することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の画像補正装置。
- 前記ハの字歪み角度検出手段は、前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形の直線部と画像読み取りの副走査方向との成す角度を、それぞれ前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度として検出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の画像補正装置。
- 前記「ハの字」歪み補正手段は、前記スキャン画像の左右各ページ毎に独立して対応する前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の画像補正装置。
- 前記「ハの字」歪み補正手段は、前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線と伸長後の前記スキャン画像のページ外形との交点を回転中心とし、この回転中心を基準として前記スキャン画像の左右各ページを分割し、前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ対応する前記ブック原稿の前記スキャン画像の左右各ページを回転させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の画像補正装置。
- 前記「ハの字」歪み補正手段は、前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線の延長線と前記スキャン画像全体との交点を回転中心とし、この回転中心を基準として前記スキャン画像の左右各ページを分割し、前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ対応する前記スキャン画像の左右各ページを回転させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の画像補正装置。
- 前記「ハの字」歪み角度検出手段により検出された前記各「ハの字」歪み角度だけ回転された前記スキャン画像の左右各ページの間に新たに生じる画素を白画素とすることを特徴とする請求項8記載の画像補正装置。
- 前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記スキャン画像の左右各ページ毎の前記「ハの字」歪み角度の絶対値に応じ、前記「ハの字」歪み補正手段による「ハの字」歪みの補正を前記スキャン画像の左右各ページ毎に選択的に実行することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一記載の画像補正装置。
- 前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記スキャン画像の左右各ページ毎の前記「ハの字」歪み角度の絶対値のうち、前記スキャン画像の左右各ページの少なくとも一方の前記「ハの字」歪み角度の絶対値が予め定められた第一の閾値以上である場合には、処理を中断し、前記スキャン画像の左右各ページの一方または両方の前記「ハの字」歪み角度の絶対値が前記第一の閾値未満であって予め定められた第二の閾値以上である場合には、前記「ハの字」歪み角度の絶対値が前記第一の閾値未満であって前記第二の閾値以上である前記スキャン画像のページについて対応する前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行うことを特徴とする請求項10記載の画像補正装置。
- スキャン画像の画像補正をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記コンピュータを、
画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出手段と、
このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出手段と、
前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出手段と、
前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長手段と、
この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正手段として機能させ、
前記画像伸長手段は、
前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺及び下辺の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形がそれぞれ抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの上下辺両方の前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の2点を結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比が不変となるように伸長すること
を特徴とするプログラム。 - スキャン画像の画像補正をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記コンピュータを、
画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出手段と、
このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出手段と、
前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出手段と、
前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長手段と、
この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正手段として機能させ、
前記画像伸長手段は、
前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺または下辺のいずれか一方の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形が抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの抽出されている前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の点と、当該ページ外形上の点と同じ主走査方向上に位置する前記画像読取手段の光軸軌跡上の点とを結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比、もしくは、2点を外分する点の伸長前後の外分比が不変となるように伸長すること
を特徴とするプログラム。 - スキャン画像の画像補正をコンピュータに実行させるプログラムを記憶したコンピュータに読取可能な記憶媒体であって、前記コンピュータを、
画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出手段と、
このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出手段と、
前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出手段と、
前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長手段と、
この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正手段として機能させ、
前記画像伸長手段は、
前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺及び下辺の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形がそれぞれ抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの上下辺両方の前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の2点を結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比が不変となるように伸長すること
を特徴とするコンピュータに読取可能な記憶媒体。 - スキャン画像の画像補正をコンピュータに実行させるプログラムを記憶したコンピュータに読取可能な記憶媒体であって、前記コンピュータを、
画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出手段と、
このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出手段と、
前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出手段と、
前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長手段と、
この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正手段として機能させ、
前記画像伸長手段は、
前記ページ外形抽出手段により前記スキャン画像の主走査方向上辺または下辺のいずれか一方の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形が抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの抽出されている前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の点と、当該ページ外形上の点と同じ主走査方向上に位置する前記画像読取手段の光軸軌跡上の点とを結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比、もしくは、2点を外分する点の伸長前後の外分比が不変となるように伸長すること
を特徴とするコンピュータに読取可能な記憶媒体。 - スキャン画像を補正する画像補正方法であって、
画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出工程と、
このページ外形抽出ステップで抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出工程と、
前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出工程と、
前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出工程により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長工程と、
この画像伸長工程により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正工程とを有し、
前記画像伸長工程は、
前記ページ外形抽出工程において前記スキャン画像の主走査方向上辺及び下辺の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形がそれぞれ抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの上下辺両方の前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の2点を結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比が不変となるように伸長すること
を特徴とする画像補正方法。 - スキャン画像を補正する画像補正方法であって、
画像読取手段による画像読み取りの主走査方向に対してページ綴じ部を略平行にした状態で読み取ったブック原稿のスキャン画像から前記ブック原稿のページ外形を抽出するページ外形抽出工程と、
このページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて前記スキャン画像の左右各ページの「ハの字」歪み角度を検出するハの字歪み角度検出工程と、
前記ページ外形抽出工程により抽出された前記ページ外形に基づいて前記ページ綴じ部に対応する綴じ部境界線を検出する綴じ部境界線検出工程と、
前記スキャン画像を、前記ページ外形抽出手段により抽出された前記ページ外形に基づいて主走査方向に伸長し、かつ、前記ページ外形に基づく浮きの高さのみを利用して副走査方向に伸長する画像伸長工程と、
この画像伸長手段により主走査方向及び副走査方向に伸長された前記スキャン画像の左右各ページに対し、前記ハの字歪み角度検出手段により検出された前記「ハの字」歪み角度に応じた「ハの字」歪みの補正を行う「ハの字」歪み補正工程を有し、
前記画像伸長工程は、
前記ページ外形抽出工程により前記スキャン画像の主走査方向上辺または下辺のいずれか一方の近傍に位置する前記ブック原稿のページ外形が抽出されている場合、前記スキャン画像の左右各ページの抽出されている前記ページ外形の直線部を前記綴じ部境界線まで延長した延長線に前記スキャン画像の左右各ページの前記ページ外形を一致させるように主走査方向に伸長した後、各画素について、前記延長線に一致した前記ページ外形上の点と、当該ページ外形上の点と同じ主走査方向上に位置する前記画像読取手段の光軸軌跡上の点とを結ぶ直線上で、2点を内分する点の伸長前後の内分比、もしくは、2点を外分する点の伸長前後の外分比が不変となるように伸長すること
を特徴とする画像補正方法。
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