JP4005843B2 - 超音波探触子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波探触子に関し、特に手術中に使用される超音波探触子の形態の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波探触子は生体に対して超音波を送受波するプローブである。超音波探触子としては、各種のものがあり、例えば、手術中において臓器や組織などの表面に直接当接してその内部を超音波診断する術中プローブが知られている。
【0003】
術中プローブ(すなわち手術用超音波探触子)は、例えば意匠登録第1018626号に記載されたもののように、一般に、小型で把持しやすい形態を有する。その従来例では、探触子ケースの背面側からケーブルが引き出され、探触子ケースの下部には左右方向に並んだ複数の振動素子からなるアレイ振動子が設けられている。また、探触子ケースの左右側面にはくびれ面としての一対の窪みが形成されている。この一対の窪みに例えば人指し指及び中指を刺し通して探触子ケースを挟むことにより、超音波探触子を保持することができる。その保持状態で、探触子ケースの下面(送受波面)が臓器表面上に当接され、その状態で超音波が送受波される。なお、この従来例では、探触子ケースの前面は垂直の平面であり、上面は水平の平面であり、それらの間には直角の角部が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、各種の超音波探触子について、その操作性を向上することが望まれている。このことは上記の術中プローブについても同様である。例えば、臓器に対する診断箇所如何によっては、上記とは別の持ち方が望まれる場合もある。
【0005】
また、穿刺時の操作性の向上が望まれている。体表に当接する超音波探触子の中には、穿刺針用のアタッチメントを装着できるものがあるが、そのようなアタッチメントは複雑な機構である。そのような複雑な機構を利用することなく、より簡便かつ円滑に穿刺を行えるようにする必要がある。特に、術中プローブの場合には、それ自体が小型で、また切開口から体腔内へ挿入してそれを使用する場合が多いので、複雑な機構を超音波探触子に装着するのは現実的でない。
【0006】
本発明の目的は、超音波探触子の操作性を向上させることにある。
【0007】
本発明の他の目的は、手術用超音波探触子の操作性を向上させることにある。
【0008】
本発明の他の目的は、手術用超音波探触子の持ち方の自由度を高めることにある。
【0009】
本発明の他の目的は、穿刺を行う場合における超音波探触子の操作性を向上させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、本体ケースと、前記本体ケースの下部に設けられ、超音波を送受波する超音波振動子と、前記本体ケースの背面側から引き出されたケーブルと、を含み、前記本体ケースの右側面及び左側面には指を刺し通すことが可能な大きさをもった一対の窪みが形成され、前記本体ケースの上面と前面との連絡部分には指の腹に当接可能な大きさをもった傾斜した切欠が形成されたことを特徴とする。本発明において、前記切欠は円弧状の形態を有する。
【0011】
上記構成によれば、本体ケースの上部にある連絡部分に円弧状の形態を有する切欠が形成されているため、超音波探触子を複数の指で摘み持つのが容易となる。例えば、切欠、及び、一対の窪みのそれぞれに指の腹を当てて、3本の指で超音波探触子を保持し、その保持された超音波探触子を手術下にある臓器の表面に当接できる。但し、上記構成(一対の窪みと切欠の組み合わせ)は術中プローブ以外のプローブにも適用することができる。
【0013】
望ましくは、前記本体ケースの右側面及び左側面の少なくとも一方には、前記窪みの下方に面状部が形成され、前記面状部には穿刺針ガイドが形成される。この構成によれば、穿刺針ガイドによって穿刺針を案内できる。
【0014】
望ましくは、前記本体ケースの右側面及び左側面には、前記一対の窪みの下方に一対の面状部が形成され、前記一対の面状部には一対の穿刺針ガイドが形成される。この構成によれば、窪みに当接した指の腹を下方にずらして、その指の腹を面状部に押しつけて穿刺針を押さえる(保持する)ことも可能である。
【0015】
(2)望ましくは、手術中に用いられる超音波探触子において、本体ケースと、前記本体ケースの下部に設けられ、整列した複数の振動素子からなるアレイ振動子と、前記本体ケースから引き出されたケーブルと、を含み、前記本体ケースには少なくとも1つの穿刺針ガイドが形成される。
【0016】
上記構成によれば、手術中に術中プローブを用いて超音波診断とともに穿刺を行える。
【0017】
望ましくは、前記穿刺針ガイドは、前記複数の振動素子にて形成される超音波ビームの走査面上に当該穿刺針ガイドを用いて保持される穿刺針の穿刺経路が位置決めされるように形成される。
【0018】
(3)望ましくは、超音波探触子において、本体ケースと、前記本体ケースの下部に設けられ、超音波を送受波する超音波振動子と、前記本体ケースから引き出されたケーブルと、を含み、前記本体ケースの側面には少なくとも1つの穿刺針用の溝が形成され、前記溝と指の腹とによって穿刺針を保持し得る。
【0019】
上記構成によれば、従来のように穿刺針を保持するための複雑な機構を用いることなく穿刺を行える。つまり、指の腹を保持作用に利用することによって、そのような機構を省くものである。この発明は、術中プローブ以外のプローブにも適用することができる。両側面に溝を形成すれば、利き腕によらずに、あるいは、診断部位や当接姿勢によらずに、穿刺を円滑に行える。
【0020】
望ましくは、前記本体ケースの右側面及び左側面には指を刺し通すことが可能な大きさをもった窪みと前記溝を有する面状部とが形成され、前記本体ケースの上面と前面との連絡部分には指の腹に当接可能な大きさをもった傾斜した切欠が形成される。
【0021】
望ましくは、前記ケーブルにおける前記本体ケース側の一端部にそれを硬質化する硬質化部材が設けられる。望ましくは、前記硬質化部材は、前記ケーブルの一端部を覆い、かつ、前記本体ケースに連結された管状部材であり、前記管状部材には被覆が設けられる。硬質化部材によれば、ケーブル自体を摘んだり握ったりすることができ、その部分を柄として機能させることができる。例えば、一端部を摘んで、超音波探触子の本体を体内の狭い空間に送り込むことも可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1には、本発明に係る超音波探触子の好適な実施形態が示されており、図1はその斜視図である。
【0024】
図1に示される超音波探触子は大別して本体10とケーブル11とによって構成される。ケーブル11の一端は本体10に接続され、ケーブル11の他端は図示されていない超音波診断装置に接続される。この超音波探触子はいわゆる術中プローブであり、すなわち、切開によって露出した例えば臓器の表面に当接してその臓器の内部を超音波診断するためのものである。
【0025】
本体10は探触子ケース12と超音波振動子(図示せず)とを有している。探触子ケース12の下面は送受波面24であり、その送受波面24は図1に示されるように緩やかな凸面状の形態を有している。これにより、いわゆるコンベックス型の超音波探触子が構成されている。その送受波面24に沿って複数の振動素子が配列されており、それらの複数の振動素子によりアレイ振動子(超音波振動子)が構成されている。
【0026】
そのアレイ振動子により超音波ビームが形成され、その超音波ビームが電子走査されると走査面200が形成される。その走査面200上において取り込まれた各エコーデータに基づき二次元断層画像であるBモード画像が形成される。探触子ケース12における前面12Bは垂直な平面として形成されている。
【0027】
一方、探触子ケース12の背面側すなわち基端部12Cには上記のケーブル11の一端が接続されている。すなわち探触子ケース12の基端部12Cからケーブル11が引き出されている。探触子ケース12の上面は平面となっているが、その上面12Aと前面12Bとの間は角部とはされておらず、それらの連絡部分に切欠部26が形成されている。この切欠部26は図1に示されるように円弧状に湾曲しており、またそれは傾斜面を構成している。
【0028】
この切欠部26に例えば人指し指の腹を当接することができる。これについては後に図3及び図4などを用いて説明する。
【0029】
探触子ケース12における左側及び右側の側面にはそれぞれ窪みとしてのくびれ部14,16が形成されている。このくびれ部14,16は後に図2を用いて説明するようにケーブル11の軸方向すなわちX方向に人指し指及び中指を伸ばしてそれらの2つのくびれ部14,16内に差し込みその状態において2つの指によって探触子ケース12を狭持するためのものである。また、それらのくびれ部14,16及び切欠部26を利用して後に図3及び図4に示すように探触子ケース12を摘んで持つこともできる。
【0030】
探触子ケース12における右側及び左側の下方にはそれぞれ面状部20,22が形成されている。この面状部20,22は急峻な傾斜面を構成し、それらの中央には垂直方向に沿って穿刺用溝20A,22Aが形成されている。それらの穿刺用溝20A,22Aは断面がU字型あるいはV字型を有する溝であって、その内部に穿刺針を落とし込むことにより穿刺針の角度を一定に保持することができる。後述するように、いずれの穿刺用溝20A,22Aに穿刺針を装着した場合においても、その穿刺針の穿刺経路は走査面200内に存在する。すなわち断層画像上において穿刺針の観察を行えるように、面状部20,22の傾斜角度及び穿刺用溝20A,22Aの向きが設定されている。穿刺針の挿入角度は本実施形態において固定されているが、もちろん、その角度を可変する機構を設けるようにしてもよい。
【0031】
探触子ケース12の右側及び左側にそれぞれ穿刺溝20A,22Aが形成されているため、術中プローブの臓器への当て方や利き腕などに応じて所望の穿刺用溝20A,20Bを選択して利用することが可能である。もちろん、少なくとも1つの穿刺用溝が形成されていれば術中において穿刺を行えるという利点がある。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る術中プローブにおいては、一対のくびれ部14,16の他に切欠部26を形成しているため、その持ち方に多様性をもたらすことが可能となる。
【0033】
例えば、図2に示されるように、人指し指100及び中指102を一対のくびれ部14,16に刺し通して術中プローブを2つの指で挟み持つこともできる。この場合においては、2つの指100,102の間からケーブル11が引き出される。
【0034】
また、図3に示されるように、例えば、親指104,人指し指100及び中指102によって術中プローブを摘み持つこともできる。その場合においては、例えば、くびれ部14に親指104の腹が当接され、くびれ部16に中指102の腹が当接され、切欠部26に人指し指100の腹が当接される。ちょうど、将棋の駒を持つ時のように極めて自然な形態で術中プローブを保持することができる。
【0035】
図3に示されるような状態において、例えば穿刺を行う必要が生じた場合には、いずれかの穿刺用溝20A,22Aを用いて穿刺を行うことができる。
【0036】
図4に示されるように、穿刺用溝20Aに穿刺針110が刺し通され、その状態において親指104の腹によって面状部20が押圧される。その場合に親指104の腹と面状部20との間に穿刺針110がしっかりと保持されることになる。その状態において例えば穿刺針110の基端部を前方に押し出すことにより実際に穿刺を行うこともできるし、また穿刺針110を引き抜くことも容易である。図4に示される状態では、3つの指によって術中プローブが摘み持たれており、その場合に親指104は術中プローブの保持と穿刺針110の保持の両方に機能することになる。
【0037】
図1に示した構成において、ケーブル11の一端部(探触子ケース12から引き出された部分)を硬質化するのが望ましい。それについて、図5を用いて説明する。
【0038】
図5には、超音波探触子の断面が示されている。なお、内部機構は省略してある。探触子ケース12からはケーブル11が引き出されているが、その一端部(探触子ケース12に連なる部分)に硬質材料(金属、硬質樹脂など)で構成される管状部材30が設けられている。その管状部材30の一端は探触子ケース12に挿入され、また固定されている。管状部材30は熱収縮チューブ40で覆われ、管状部材30の表面は外部に露出していない。このような構成によると、ケーブル11の一端部を親指及び人指し指で摘んで持ったり、探触子ケース12におけるテーパー状の基端部12C(図1参照)とケーブル11の一端部とにまたがって親指の腹をあてがい、人指し指の腹を切欠部12Aにあてがい、更に適当に中指をそえることにより、超音波探触子を摘み持つことができる。もちろん、それ以外にも多様な持ち方があり得る。つまり、ケーブル11の一端部を柄のように機能させることができる。例えば、その部分を摘んで、切開部位や組織内など狭い空間に本体を送り込むことも容易である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、超音波探触子の操作性を向上することができ、特に手術用超音波探触子の操作性を向上できる。また穿刺を円滑に行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波探触子の好適な実施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す超音波探触子の第1の持ち方を説明するための図である。
【図3】 図1に示す超音波探触子の第2の持ち方を説明するための図である。
【図4】 図1に示す超音波探触子の穿刺時の持ち方を説明するための図である。
【図5】 超音波探触子の断面図である。
【符号の説明】
10 本体、11 ケーブル、12 探触子ケース、14,16 くびれ部、20,22 面状部、24 送受波面、26 切欠部。
Claims (5)
- 本体ケースと、
前記本体ケースの下部に設けられ、超音波を送受波する超音波振動子と、
前記本体ケースの背面側から引き出されたケーブルと、
を含み、
前記本体ケースの右側面及び左側面には指を刺し通すことが可能な大きさをもった一対の窪みが形成され、
前記本体ケースの上面と前面との連絡部分には指の腹に当接可能な大きさをもった傾斜した切欠が形成され、
前記切欠は円弧状の形態を有することを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1記載の超音波探触子において、
前記本体ケースの右側面及び左側面の少なくとも一方には、前記窪みの下方に面状部が形成され、
前記面状部には穿刺針ガイドが形成されたことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1記載の超音波探触子において、
前記本体ケースの右側面及び左側面には、前記一対の窪みの下方に一対の面状部が形成され、
前記一対の面状部には一対の穿刺針ガイドが形成されたことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1記載の超音波探触子において、
前記ケーブルにおける前記本体ケース側の一端部にそれを硬質化する硬質化部材が設けられたことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項4記載の超音波探触子において、
前記硬質化部材は、前記ケーブルの一端部を覆い、かつ、前記本体ケースに連結された管状部材であり、
前記管状部材には被覆が設けられたことを特徴とする超音波探触子。
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