JP4004947B2 - 鉄骨造建物における無柱大空間形成のための構造 - Google Patents

鉄骨造建物における無柱大空間形成のための構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨造建物における無柱大空間形成のための構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】
例えば住宅用の鉄骨造建物において、建物内部に無柱の大空間を形成することを求められることがあるが、鉄骨横架材を支える柱のサイズをあまり大きくすることができず、そのため、形成できる無柱空間の大きさに限界があった。特に、建物が軽量鉄骨造の場合はそうであった。
【0003】
本発明は、かかる問題点に鑑み、形成できる無柱空間をより大きなものにすることができる鉄骨造建物における無柱大空間形成のための構造を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、耐力要素の組み込まれた対の鉄骨耐力パネルが該パネル面を向かい合わせることなく同じ方向に向けて建物内の空間を挟む両側に設置され、これら鉄骨耐力パネルに鉄骨横架材がわたされていることを特徴とする鉄骨造建物における無柱大空間形成のための構造によって解決される。
【0005】
この構造では、耐力要素の組み込まれた対の鉄骨耐力パネルがパネル面を向かい合わせることなく同じ方向に向けて建物内の空間を挟む両側に設置されているから、これら鉄骨耐力パネルによって長スパンの鉄骨横架材をしっかりと支えることができ、建物内に大きな無柱空間を形成することができる。
【0006】
しかも、対のパネルは、鉄骨に耐力要素を組み込んで構成されているものであるから、長スパンの鉄骨横架材を支える上で優れた耐力を発揮することができながら、サイズの小さな鉄骨を用いてパネル厚を薄くすることができ、そのため、鉄骨耐力パネルが、鉄骨横架材と直交する方向の空間に圧迫感を与えてしまうこともない。
【0007】
加えて、鉄骨耐力パネルを用いたパネル式の構造としているから、鉄骨柱の場合と同様に、柱立てに替わるパネル立てを行っていくことで形成することができ、現場での施工を省力化することができる。
【0008】
また、前記鉄骨耐力パネルに組み込まれる耐力要素として鋼板が用いられている場合は、鉄骨耐力パネルに鉄骨横架材を支えさせる強い耐力をもたせることができながら、パネルの幅寸法を小さくすることができて、鉄骨耐力パネルの突出を小さく抑えることができ、形成できる無柱空間をいよいよ大きなものにすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1乃至図5に示す実施形態は、軽量鉄骨造建物に適用した場合のもので、1は基礎、2は鉄骨耐力パネル、3は鉄骨横架材である。
【0011】
鉄骨耐力パネル2は、図2(イ)(ロ)に示すように、左右の縦フレーム材4,4と上下の横フレーム材5,5とを方形環状に組み、必要に応じて環内に図示しない縦横の桟を入れた鉄骨パネル本体9に、耐力要素6を組み込んだものである。本実施形態ではフレーム材4,5や桟に軽鉄が用いられている。この鉄骨耐力パネル2の幅寸法は、屋内側へと突出をできるだけ小さくするため、例えば30〜60cmの範囲の狭幅のものに設計されており、それでも高い耐力を発揮しうるよう、本実施形態では、耐力要素として鋼板6を耐力要素として組み込んでおり、鋼板6には面外座屈等を防ぐため多数の孔が分散状態に明けられている。図面に示す孔は、丸孔であるが、スリット状などの孔であってもよい。なお、鉄骨耐力パネル2の幅寸法に制限はなく、形成しようとする無柱空間の大きさに応じて決めればよい。また、耐力要素として、ブレースなどが用いられてもよいし、ブレースや鋼板などが2種以上併用されてもよい。
【0012】
上記の鉄骨耐力パネル2は、図1に示すように、パネル面を向かい合わせることなく同じ方向に向けるようにして、建物内の空間7を挟む両側にパネル立てされて設置され、これら両側の鉄骨耐力パネル2,2に長スパンの鉄骨横架材3がわたされて、建物内に無柱の大空間7が形成される。鉄骨横架材3は、例えばH形鋼等の鋼材や、トラス材などからなっていてよい。
【0013】
図3乃至図5は、上記のような門形架構構造を用いた二階建て建物の構造の一例を示しており、対の鉄骨耐力パネル2,2間に長スパンの鉄骨横架材3を渡した門形架構が階上階下のそれぞれに列設され、各階に無柱の大空間7,7が形成されている。階間部分では、短スパンの梁8…がわたされているが、これら梁8…は、柱立てすることなく、鉄骨耐力パネル2や、長スパン鉄骨横架材3を利用してわたされており、それらの荷重は鉄骨耐力パネル2で支えている。なお、架構の列設方向において隣り合う鉄骨耐力パネル2…間は、棚や収納、パイプシャフト、室外機置き場、換気スペースなどとして利用するのもよい。なお、本発明は、建物の一部分に適用されてもよいし、全部に適用されてもよい。
【0014】
【発明の効果】
本発明の、鉄骨造建物における無柱大空間形成のための構造は、以上のとおりのものであるから、形成できる無柱空間をより大きなものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の構造を示す正面図である。
【図2】鉄骨耐力パネルを示すもので、図(イ)はパネル本体と耐力要素を分離渋滞にして示す斜視図、図(ロ)はパネルの斜視図である。
【図3】建物への適用例を示す斜視図である。
【図4】図(イ)は図3の建物の階下部分の架構の斜視図、図(ロ)は同階上部分の斜視図である。
【図5】図(イ)は階下側の架構の平面図、図(ロ)は階上側の架構の平面図である。
【符号の説明】
2…鉄骨耐力パネル
3…鉄骨横架材
6…耐力要素
7…無柱大空間

Claims (2)

  1. 左右の縦フレーム材と上下の横フレーム材とが方形環状に組まれると共に、鋼板からなる耐力要素組み込まれ、幅寸法が30〜60cmの範囲の幅狭な対の軽量鉄骨耐力パネルがパネル面を向かい合わせることなく同じ方向に向けられて建物内の空間を挟む両側に設置されると共に、これら対の軽量鉄骨耐力パネルに鉄骨横架材がわたされて門形架構が形成され、該門形架構がパネル面と直交する方向に列設されて屋内側に突出する軽量鉄骨耐力パネルが備えられていることを特徴とする軽量鉄骨造建物における無柱大空間形成のための構造。
  2. 前記門形架構の列設方向において隣り合う鉄骨耐力パネル間を利用スペースとしている請求項1に記載の軽量鉄骨造建物における無柱大空間形成のための構造。
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