JP4004108B2 - チャック用生爪 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば旋盤等のチャックに付設される組立式のチャック用生爪に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、旋盤等のチャックには、ワーク挟持用の複数の生爪が設けられており、加工するワークをこれら生爪によって挟持する場合が多いが、生爪を作製するのに時間とコストを要し、また生爪交換に時間がかかるため、挟持部分だけを取替え可能にした組立式の生爪が知られている。
例えば実開昭57−105103号は、ワーク挟持側の工作物締付コマ(交換爪)を本体取付部(爪ホルダ)に対して着脱自在にした技術を開示しており、また実開昭59−93806号では、取付部材(爪ホルダ)に対して着脱自在な支持部材(交換爪)に、形状の異なる複数の円弧状挟持部を形成し、支持部材(交換爪)の向きを変えながら取付部材(爪ホルダ)取付けることで、径の異なる複数の異種ワークを挟持し得るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の技術では、締付コマ又は支持部材(交換爪)を作製するのがさほど簡単でなく、また本体取付部又は取付部材(爪ホルダ)に対して、締付コマ又は支持部材(交換爪)を取付ける際、ボルト等によって直接両者を結合して取付けるようにしているため、交換の際はボルト等を完全に抜き取る必要があり、時間と手間がかかるという問題がある。
【0004】
上記課題に鑑み本発明は、組立式のチャック用生爪において、交換爪の着脱作業が簡単で且つ交換作業の時間短縮が図られるとともに、安価な交換爪を適用出来るようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、断面四角形または断面六角形の角材にて構成される交換爪と、この交換爪をホルダ部で保持することのできる爪ホルダからなるチャック用生爪において、前記ホルダ部に、前記交換爪をワークの挟持方向(旋削回転軸と直交方向)に抜脱不能に嵌合せしめる嵌合溝と、この嵌合溝に連なるすり割り溝と、このすり割り溝に対して交差方向に挿入されて締付けることにより前記嵌合溝の断面形状を縮小させて交換爪の周囲側面を挟持することのできる締付部材を設け、前記嵌合溝として、角材の断面形状の一部に合わせた形状で且つその開口部の幅が角材の断面の最大幅部分より狭い形態の凹溝をワークの旋削回転軸と平行な方向に刻設するとともに、前記すり割り溝として、前記嵌合溝の溝底部中央から、ワークの旋削回転軸に対して直角方向に切り込むことで形成し、さらに、前記交換爪の長さ方向両端の各頂部に、ワーク保持用の円弧状挟持部を複数ヶ所形成でき、交換爪を軸周りに回転させて取り付けたり、挿入方向の向きを変えて取り付けることによって径の異なる複数種類のワークを保持できるようにした。
【0006】
そして交換爪は、嵌合溝に嵌合させた状態で、一部が爪ホルダの内端面から内方に突出するようにし、この突出した部分でワークを挟持するようにするが、この交換爪をワークの挟持方向に抜脱不能にすれば、交換作業の際に交換爪を手で支えなくても落下するような不具合がなく、作業容易である。
またこのための嵌合溝の断面形状として、例えば角材の断面形状の一部に合せた形状にするとともに、断面形状の最大幅部分を溝開口部より奥に形成して、溝開口部の幅をそれより狭くする。
【0007】
そして、この嵌合溝に嵌合させた交換爪は、例えば締付固定、或いは押圧固定、或いはその他の任意の手段で固定することが出来るが、本発明では、締付固定を採用する。
【0008】
また、適用される交換爪を角材にて構成することで、例えば市販されている角材棒等を利用出来、簡便である。
ここで角材とは、例えば三角材、四角材、六角材、八角材等任意であるが、特に一般に市販されている四角材、六角材が入手し易く便利である。
【0009】
因みに、このような角材の交換爪のうち、例えば角材の各頂部に形成できる複数の円弧状挟持部を異径にすることにより、交換爪の向き等を変えるだけで複数の異径ワークを挟持出来る。
【0010】
すなわち、例えば四角材では、角材の各頂部の各両端部に形成すると最大8ヵ所の異径の円弧状挟持部が形成出来る。
【0011】
た、ホルダ部に、前記嵌合溝に連なるすり割り溝と、このすり割り溝に対して交差方向に挿入される締付部材を設け、この締付部材の締付け操作によって嵌合溝の断面形状が縮小して交換爪の周囲側面を挟持することのできるようにする。
【0012】
そして交換爪を取付ける時は、嵌合溝に交換爪を嵌合させ締付部材で締め付ければ、嵌合溝が縮合して固定される。
また交換爪を交換する時は、締付部材を弛めて嵌合溝を拡開させるだけで交換することが出来、締付部材を完全に抜き取るような時間を短縮出来、また操作も容易である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1はチャックに生爪を取付けた状態の斜視図、図2は生爪の組立構造を説明するための斜視図、図3は交換爪を四角材から形成した場合の一例を示す斜視図、図4は六角材の交換爪を保持する爪ホルダの構成例図である。
【0014】
本発明に係るチャック用生爪は、例えば図1に示すような旋盤等のチャック1に設けられた3個1組の可動部材2に取着可能とされ、この可動部材2は、不図示のスクロールと呼ばれる渦巻き状の溝の回転に同期して回転軸直角方向に移動し拡縮自在にされている。
【0015】
そして、この生爪3は、ボルト4等によって可動部材2に取付可能にされるとともに、ワーク挟持側の交換爪3aと、装置取付側の爪ホルダ3bとに分割構成され、本発明の爪ホルダ3bは、特に交換爪3aの交換作業等が簡単に行え、また安価な交換爪3aを適用出来るようにしている。
【0016】
すなわち本実施形態の交換爪3aは、基本的に断面角形の角材を所定寸法に切断するだけという極めて単純な形態にしており、例えば市販の四角材、六角材等の焼入れされていない鋼材を入手すれば、後述する円弧状挟持部r、…等を切削加工により利用者等が簡単に作製出来、便利である。
【0017】
一方、図2に示すように、爪ホルダ3bの内端面側には、交換爪3aを保持することの出来るホルダ部Hが設けられ、このホルダ部Hは、嵌合溝mと、すり割り溝sと、締付部材としての締付ボルト5、5から構成されている。
そして嵌合溝mの形状は、交換爪3aの断面形状の一部に合せて形成され、例えば角材が四角材である時は、図2に示すように、嵌合溝mの形状を四角形の一部とし、交換爪3aを嵌合させた時に、交換爪3aの1ヵ所の頂部が爪ホルダ3bの内端面から内方に飛出すようにするとともに、嵌合せしめた交換爪3aが内方(ワークの挟持方向)に向けて抜け出すことのないようにしている。
【0018】
すなわち、この嵌合溝mは、交換爪3aの断面形状のうち、最大幅となる少なくとも2ヵ所の対向頂部を嵌合せしめることが出来るようにされ、またこの2ヵ所の頂部を結ぶ対角線が、溝開口部より奥まった位置になるようにされるとともに、溝開口部の幅はこの最大幅より狭くされている。
【0019】
また前記する割り溝sは、嵌合溝mの中央底部の角部から、奥に向けて切込むように形成されている。
そしてこのすり割り溝sに直交する方向には、すり割り溝sを挿通する一対の締付孔t、tが穿設され、この締付孔t、tには、前記締付ボルト5を挿入して締め付けることが出来るようにされている。すなわち、すり割り溝sを貫通する締付孔tのうち、すり割り溝sを挟む一方側の孔は、締付ボルト5のネジ部に螺合するネジ孔としてタップ加工されている。
【0020】
このため、締付孔t、tに締付ボルト5、5を挿入して締め付けると、嵌合溝mの溝幅が狭まって縮合し、締付ボルト5、5を弛めると、嵌合溝mの溝幅は拡がる。
【0021】
ところで、交換爪3aには、例えば、図3にも示すような複数の円弧状挟持部r、…を形成することが出来る。
この円弧状挟持部r、…は、利用者がワークの径等に合せて適宜加工し得るものであるが、例えば四角材であれば4本の頂部の両端部に最大8ヵ所設けることが出来、また各種異径のワークを挟持し得るよう、各円弧状挟持部r、…のアール径等を異ならせて形成することも可能である。
【0022】
そしてこの場合は、交換爪3aの挿入方向の向きを変えたり、挿入方向を回転軸として回転させたりして、挟持面側に対向する円弧状挟持部rの径を変えると、その径に合った任意のワークを挟持することが出来る。
【0023】
以上のようなチャック用生爪の爪ホルダの作用等を説明する。
チャック1の可動部材2に、爪ホルダ3bをボルト4、4で固定し、この爪ホルダ3bの嵌合溝mに交換爪3aを嵌合させて、締付ボルト5で締付固定する。この際、交換爪3aの複数の円弧状挟持部r、…のうち、所望の円弧状挟持部Rが前面側に位置するようセットされる。
そして、交換爪3aの装着作業において、交換爪3aを嵌合溝mに嵌合させれば、嵌合溝mの開口部が下向き姿勢でも交換爪3aが落下することがなく、作業が容易である。
【0024】
この状態で、ワークを所定位置にセットし、可動部材2を半径方向の内側に移動させてワークの端部を交換爪3aの円弧状挟持部rで挟持した後、ワークを加工する。
【0025】
こうして加工中に、例えばワークの種類が変わって円弧状挟持部rの径を変えたい時とか、損耗等によって交換爪3aを交換するような場合は、締付ボルト5を操作し、交換爪3aを嵌合溝mから抜出すことが出来る状態まで弛める。そして交換爪3aを抜出した後、必要に応じて姿勢を変えて挿入し直したり、新たな交換爪3aを挿入したりして、再度、締付ボルト5で締付固定する。
【0026】
このような交換等の作業は、締付ボルト5を完全に抜き取って再度挿入し直すような必要がなく、弛めるだけで良いため、極めて作業が簡単であり、また時間も短縮できる。
【0027】
更に、交換爪3aは、市販の角材を入手して容易に作製出来るため、安価で便利である。
【0028】
尚、以上の実施例では、交換爪3aを四角材とした場合を図示し説明したが、図4に示すような六角材、或いは、その他の角材を使用することも可能である。但し、交換爪3aの角材としては、四角材、六角材が一般に市販され安価に入手出来るため特に好ましい。
【0029】
そして六角材等を使用する時も、例えば図4に示すように、断面形状の最大幅部分を嵌合溝mの溝開口部より奥に位置させ、溝開口部の幅をそれより狭くして、挟持方向に抜け出すのを防止する。
そしてこの場合は、例えば各辺の両端部に円弧状挟持部r、…を形成するようにすると、最大12ヵ所の円弧状挟持部、r…を設けることが出来る。
【0030】
尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは、本発明の技術的範囲に属する。
例えば締付ボルト5の数、位置等は任意である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明のチャック用生爪は、断面四角形または断面六角形の角材にて構成される交換爪と、この交換爪を保持する爪ホルダにて構成し、爪ホルダに、交換爪を嵌合せしめるホルダ部を形成し、このホルダ部として、交換爪をワークの挟持方向に抜脱不能に嵌合せしめる嵌合溝と、この嵌合溝に連なるすり割り溝と、締付けることにより嵌合溝の断面形状を縮小させて交換爪の周囲側面を挟持することのできる締付部材により構成したため、交換爪の装着作業を容易に行うことができる。
また、交換爪の長さ方向両端の各頂部に、ワーク保持用の円弧状挟持部を複数ヶ所形成でき、交換爪を軸周りに回転させて取り付けたり、挿入方向の向きを変えて取り付けることによって径の異なる複数種類のワークを保持できることから、1個当たりで加工できるワークの種類を大幅に増やすことが出来るため便利である。
因みに、このような爪ホルダを使用することによって、角材から交換爪を作製することが出来るようになり、このような角材は手軽に且つ安価に入手出来るとともに、角材に対する挟持部の作製等は、特別にフライス盤等を使用しなくても簡単に作製可能である。
また、ホルダ部として、嵌合溝に連なるすり割り溝と、このすり割り溝に対し直交方向に挿入される締付部材を設け、この締付部材の操作によって、嵌合溝を拡縮自在にしたため、交換爪を交換する時は、締付部材を弛めるだけで良く、作業時間が短縮され操作も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】チャックに生爪を取付けた状態の斜視図
【図2】生爪の組立構造を説明するための斜視図
【図3】交換爪を四角材から形成した場合の一例を示す斜視図
【図4】六角材の交換爪を保持する爪ホルダの構成例図
【符号の説明】
1…チャック、3…生爪、3a…交換爪、3b…爪ホルダ、5…締付ボルト、H…ホルダ部、m…嵌合溝、r…円弧状挟持部、s…すり割り溝、t…締付孔。

Claims (1)

  1. 断面四角形または断面六角形の角材にて構成される交換爪と、この交換爪をホルダ部で保持することのできる爪ホルダからなるチャック用生爪であって、前記ホルダ部は、前記交換爪をワークの挟持方向に抜脱不能に嵌合せしめる嵌合溝と、この嵌合溝に連なるすり割り溝と、このすり割り溝に対して交差方向に挿入されて締付けることにより前記嵌合溝の断面形状を縮小させて交換爪の周囲側面を挟持することのできる締付部材を備え、前記嵌合溝は、角材の断面形状の一部に合わせた形状で且つその開口部の幅が角材の断面の最大幅部分より狭い形態の凹溝がワークの旋削回転軸と平行な方向に刻設されるとともに、前記すり割り溝は、前記嵌合溝の溝底部中央から、ワークの旋削回転軸に対して直角方向に切り込むことで形成され、さらに、前記交換爪の長さ方向両端の各頂部に、ワーク保持用の円弧状挟持部が複数ヶ所形成でき、交換爪を軸周りに回転させて取り付けたり、挿入方向の向きを変えて取り付けることによって径の異なる複数種類のワークを保持できるようにしたことを特徴とするチャック用生
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