JP4003848B2 - 2次粘着部を有するファスニングテープを備えた紙おむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はファスニングテープを用いて着用するタイプの紙おむつに関し、特にファスニングテープの粘着力の損なわれにくいものである。
【0002】
【従来の技術】
使い捨てタイプの紙おむつとしては、現在パンツタイプのものとファスニングテープを用いるテープ止めタイプのものが多く使われている。このうち図1に示すテープ止めタイプの紙おむつ(1)は、長尺本体の外面の、人体の股部に当てがった際の後側部の両側縁部にファスニングテープ(2)(2)の一端部を固定し、該テープ(2)(2)の他端部の粘着面は本体の内面側に折り返して該内面に固定されているリリーステープ(3)(3)に粘着させておく。そして該紙おむつ(1)を着用するときは紙おむつの本体を股部に当てがい、ファスニングテープ(2)(2)の粘着面をリリーステープ(3)(3)から剥して該粘着面を該紙おむつ(1)の前側部の外面に固定したフロンタルテープ(4)に着脱自在に粘着して着用するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このテープ止めタイプの紙おむつは該紙おむつの吸収性能を充分に発揮させるために、着用時に該紙おむつが左右にずれないように、且つギャザーを適切な伸長状態にして着用させる必要があり、この調整を着用時のファスニングテープのフロンタルテープへの粘着位置により行っていた。ところが着用の際に、着用者は仰向けに寝ころびおむつ本体を尻に敷いた状態のためおむつ本体の移動が容易でなく、位置合わせのために一度貼り付けたファスニングテープを再度付け直すことがある。しかしながらファスニングテープとフロンタルテープとの間には、おむつ本体を固定するに足る粘着力が発現しているのでファスニングテープを剥す際に剥しにくい等の問題があった。
【0004】
また紙おむつの付け替え時には、使用済みおむつの処理や動きの活発な赤ちゃんへのおむつの位置合わせなどをほぼ同時に行うため、落ち着いて作業がしにくいという不都合があった。
さらに紙おむつの着用中においては、尿便を確認して交換するためファスニングテープを繰り返しフロンタルテープに粘着し直す機会も多く、特に赤ちゃんの排尿頻度は大人と比較して多いので粘着したり剥したりの作業の頻度も高いために粘着力が低下するといった問題もあった。
【0005】
また赤ちゃん用紙おむつの固定に用いられるテープは、粘着面の大きさが、一例では幅2.5cm×長さ3.5cm程度であり、先端の非粘着摘み部は長さ5mm程度である。このため使用時には粘着面に指先が何度も粘着することもある。
【0006】
さらに紙おむつの付け替え時には子供の肌の保護の目的でパウダー類やオイル類が使用されるケースがあり、また母親の手指にはスキンケア等で化粧品類が付着している場合もある。このためリリーステープからファスニングテープを剥してフロンタルテープの所定位置に貼る迄の過程で、テープの粘着面に誤って衣服や皮膚等を粘着させたり指先で触れる等の行為により衣類の脱落繊維やパウダー、オイル類を粘着剤面へ付着させてしまう場合がある。
このように粘着面にパウダーやオイル類、繊維類等が付着すると著しく粘着力が低下してしまいおむつとして使用できなくなるおそれがあった。
【0007】
なお昨今構造的に異物付着による接合強度低下のない機械的な固定手段としていわゆる“マジックテープ”を用いたおむつが上市されているが、コスト高である、また丸めて廃棄するための手段を別途設ける必要がある等の問題点がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はこれらに鑑み検討の結果、粘着面に粘着力を阻害する異物が付着しても粘着力の大きな低下を生じないファスニングテープを有する紙おむつを開発したものである。
【0009】
即ち本発明は、人体の股部に当てがう紙おむつであって、該紙おむつの後部の両側縁部に一端部が固定されたファスニングテープを設け、これらファスニングテープの他端部を該紙おむつの前部に着脱自在に粘着することにより着用する紙おむつにおいて、該ファスニングテープの粘着面に、該粘着面の反対面から押圧されることにより押し出されて被粘着面に着脱自在に粘着する凹状の2次粘着部を設けたことを特徴とするファスニングテープを備えた紙おむつであり、粘着面に2次粘着部を多数凹設するのは有効である。
また粘着面に凸部を形成することにより、該凸部以外を凹状の2次粘着部としたり、粘着面に凸部を多数形成するのも有効である。
また粘着面に2次粘着条部を設けるのも良好であり、粘着面の幅方向に延びる2次粘着条部を該粘着面の長手方向に多数隔設したり、粘着面の一端部から他端部に向って波状表面を形成するのも効果がある。
【0010】
このように粘着面に凹状の2次粘着部を設けることにより、従来のように全面的に均一な平面である粘着面を有するファスニングテープに比べて紙おむつ使用時に不用意に皮膚や衣類についた場合も異物の付着は粘着面の凸面領域にとどまり2次粘着部表面の粘着力は保持される。即ち、該凸面領域が粘着を阻害する物質と触れて粘着面が汚染された場合にも2次粘着部は汚染され難く、しかもファスニングテープを反粘着面側から押圧することにより2次粘着部の表面がフロンタルテープ面へ押し出されて粘着力を発現する。
このとき2次粘着部は比較的広い面積のものを1個設けてもよいが、小さいものを多数設けた方が効果がある。
【0011】
また2次粘着部は粘着面表面から凹設していればよいから、粘着面に凸部を多数形成することで該凸部以外の相対的に高さの低い粘着面の領域を2次粘着部とすることもできる。さらに2次粘着部を形成するには粘着面表面だけに凹凸を設けたものでもよいが、下記のようにファスニングテープ自体に凹凸加工を施してもよい。
【0012】
即ち、例えば無延伸ポリプロピレンフィルムに粘着剤を塗工したファスニングテープにフィルム側からエンボス加工を行いテープ本体に凹凸面を付けることにより、粘着剤の塗工位置の調整や塗工厚の調整等によらずに簡便に得ることができる。このときはフィルム側からみての凸面が2次粘着部となる。また該2次粘着部の粘着力の調整には、粘着面の反対面であるフィルム面からの押圧力の程度を変えて2次粘着部表面がフロンタルテープに粘着する面積を加減することで行えばよい。
【0013】
なおファスニングテープへのエンボス加工については下記のような特開平1−162804号公報記載のものがあるが、微細な凹凸であることや効果の点で異なる。
(構成)
・ポリオレフィン層の固着表面が約500倍においてぎざぎざの外観を有し、かつ高さが2μm。
・剥離力 175 N/m(450g/25mm)以上。
・凹凸が固着表面の少なくとも1/2以上。
・表面凹凸が複数のピークからなり隣接ピーク間の平均距離が該ピークの平均高さの5倍未満。
・ポリオレフィン層がポリプロピレン、プロピレン+エチレン等。
(効果)
・高低速両速度において高剥離抵抗性を与え、同時に高速度でスムーズに剥離可能。
【0014】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
【0015】
(実施例1)
図2に示すようなファスニングテープを有する紙おむつを作製した。
このファスニングテープは基端部(5)は紙おむつ本体に固定されており、粘着面の先端部は折り返されてリリーステープから剥す際の摘み部(6)を形成している。そして粘着面には該テープのフィルム面側から複数箇所の凹所(7)をエンボス加工により設けることによって粘着面側に該凹所(7)に対応する複数の凸部(8)を形成し、該凸部(8)以外の粘着面の凹部を2次粘着部(9)とした。
【0016】
このような本発明のファスニングテープ(2a)は、図3のように粘着面をフロンタルテープ(4)に粘着させて紙おむつを着用するが、粘着面に形成された凸部(8)面に異物が付着したりして粘着力が弱くなってしまった時には図3のように該ファスニングテープ(2a)をフィルム面から指で押圧して2次粘着部(9)を押し出して該2次粘着部(9)の表面をさらにフロンタルテープ(4)に粘着させて全体の粘着力を高めている。またファスニングテープをフロンタルテープから剥がした後再粘着する場合も上記のように2次粘着部を押し出してフロンタルテープに粘着させるようにすればより高い粘着力が得られる。
なお粘着面に設ける凸部(8)(フィルム側の凹所(7)に対応)の形状としては図4のように円形であってもよく、また図5のような菱形や、あるいは矩形等どのような形状でもよい。
【0017】
(実施例2)
図6に示すようにファスニングテープ(2b)のフィルム面側に多数の矩形状凸部(10)を形成し、該凸部(10)に対応する粘着面側の矩形凹所が2次粘着部(9)となるエンボス加工を施した。このような構造のファスニングテープ(2b)もフィルム面を指で押圧することで該凸部(10)が押されて2次粘着部(9)が押し出されるので粘着面全体の粘着力の維持、向上につながる。
【0018】
(実施例3)
図7に示すように粘着面の全体を長手方向に波状に加工することにより、粘着面に幅方向の凹状の2次粘着条部(11)を長手方向に多数隔設したファスニングテープ(2c)を作った。このようなファスニングテープ(2c)もフィルム面側を指で押圧することで2次粘着条部(11)が押し出されて本発明の効果を得ることができる。
なお上記波状は少なくとも粘着面にのみ施されていてもよい。また波状ではなく図8に示すように断面矩形の2次粘着条部(11)であってもよい。
さらに図7に示すファスニングテープ(2c)においては、フロンタルテープへの粘着の際に摘み部(6)を指で摘んで強く引いた時には粘着部は波状からほぼ平坦状に変形するので粘着させる際に粘着面積を大きくして粘着力を増大させることができ、また摘み部(6)を手放すことで元の波状に戻すこともできる。
【0019】
【発明の効果】
このように本発明によればファスニングテープの粘着面が紙おむつ使用時に不用意に皮膚や衣類についた場合も異物の付着は粘着面の凸状部の領域にとどまり2次粘着部の粘着力は保持される。即ち、粘着面の凸面が粘着を阻害する物質と触れて粘着剤表面が汚染された場合にも凹状の2次粘着部は汚染され難いのでファスニングテープをフィルム面側から押圧することにより2次粘着面がフロンタルテープ被粘着面に押し出されて粘着力を発現する。
従ってファスニングテープ粘着面を手で触ったりして粘着力が低下しても再度粘着させる際に該ファスニングテープのフィルム側から押圧することで粘着力が回復もしくは向上するので、ファスニングテープの使用不能による紙おむつの交換頻度を減らすことができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】テープ止めタイプの紙おむつを示す平面図である。
【図2】本発明紙おむつの実施例1で用いたファスニングテープを示す斜視図である。
【図3】上記ファスニングテープの使用法を示す説明図である。
【図4】本発明紙おむつの実施例1で用いたファスニングテープの他の例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のAA線断面図である。
【図5】同じくさらに他の例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のBB線断面図である。
【図6】本発明紙おむつの実施例2で用いたファスニングテープを示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のCC線断面図である。
【図7】本発明紙おむつの実施例3で用いたファスニングテープを示す斜視図である。
【図8】同上のファスニングテープの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 テープ止めタイプ紙おむつ
2 ファスニングテープ
3 リリーステープ
4 フロンタルテープ
5 基端部
6 摘み部
7 フィルム面側凹所
8 粘着面側凸部
9 2次粘着部
10 フィルム面側凸部
11 2次粘着条部
Claims (4)
- 人体の股部に当てがう紙おむつであって、該紙おむつの後部の両側縁部に一端部が固定されたファスニングテープの他端部の粘着面を本体の内側面に折り返して該内面に固定されているリリーステープに粘着させておき、これらファスニングテープの他端部をリリーステープより剥がし該紙おむつの前部に着脱自在に粘着することにより着用する紙おむつにおいて、粘着剤を塗工したファスニングテープの本体に凹凸面を付けることにより、その凸状部を被粘着面に着脱自在に粘着する粘着部とし、その粘着力が低下したときには粘着面の反対面から粘着面の凹状部を押圧、押し出して被粘着面に着脱自在に粘着する2次粘着部を形成することを特徴とするファスニングテープを備えた紙おむつ。
- 粘着面にエンボス加工により2次粘着部を多数凹設した請求項1記載のファスニングテープを備えた紙おむつ。
- 粘着面にエンボス加工により凸部を多数形成することにより、該凸部以外を凹状の2次粘着部とした請求項1記載のファスニングテープを備えた紙おむつ。
- 粘着面に波状加工により2次粘着条部を該粘着面の長手方向に多数隔設した請求項1記載のファスニングテープを備えた紙おむつ。
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JP36350897A JP4003848B2 (ja) | 1997-12-16 | 1997-12-16 | 2次粘着部を有するファスニングテープを備えた紙おむつ |
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JP36350897A JP4003848B2 (ja) | 1997-12-16 | 1997-12-16 | 2次粘着部を有するファスニングテープを備えた紙おむつ |
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- 1997-12-16 JP JP36350897A patent/JP4003848B2/ja not_active Expired - Fee Related
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