JP4003218B2 - 電空比例差圧制御弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体圧アクチュエータの2つのポート、例えば流体圧シリンダのピストンの両側のシリンダ室にそれぞれ連通した2つのポートに、差圧を供給してアクチュエータに所定の力を出力させるための電空比例差圧制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクチュエータのストローク終端で一定の作用力を保持するための電空比例弁として、特公平3−1553号に記載されたものが知られている。この電空比例弁は、スプールの一方に復帰ばねを作用させ、スプールの他方に比例ソレノイドの出力を作用させ、スプールの両側にフィードバック圧力が作用するように構成されている。電空比例弁のAポート及びBポートの差圧を設定値(目標値)に設定し、流体圧アクチュエータの一対の出力ポートを通して、流体圧アクチュエータの対向する圧力室に供給しようとするものである。
【0003】
この電空比例弁では、ソレノイドと可動鉄心を用いてスプールを駆動しているので、フィードバック信号に対する応答性があまりよくなかった。また、この電空比例弁では、比例ソレノイドに入力する電流が0〜25%の範囲ではBポートの圧力が電流に比例して低下し、比例ソレノイドに入力する電流が25〜100%の範囲ではAポートの圧力が電流に比例して上昇する。このように電流25%の位置でBポートの圧力変化からAポートの圧力変化へと切り換わるので、差圧の変化に円滑性を欠くものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電空比例差圧制御弁において、フィードバック信号に対する応答性をよくすることを第1の課題とし、電空比例差圧制御弁のAポート及びBポートの差圧出力を、所望の範囲にわたり電圧入力に比例して直線的に変化させることを第2の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を達成するために、制御弁本体に圧力供給ポート、排出ポート及び信号圧力ポートA及びBを配設し、制御弁本体内のスプールを第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構により移動させて、2つの信号圧力ポートA及びBの圧力差を目標値に近づける電空比例差圧制御弁において、第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構の各パイロット室に2位置3ポートの第1オンオフ電磁弁及び第2オンオフ電磁弁を通して圧力流体を給排させ、第1オンオフ電磁弁及び第2オンオフ電磁弁を一定周波数のパルス列で駆動し、パルス列のパルス幅を目標値と現在値との誤差に応じて変化させたことを第1の構成とする。
本発明は、第1の構成において、信号圧力ポートA及びBの各圧力を2つの圧力センサにより検出し、各圧力センサにより検出された差圧の現在値と目標値との誤差に応じたデューティ比を算出し、第1オンオフ電磁弁及び第2オンオフ電磁弁における流体圧力源と第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構の各パイロット室とを連通させる開口面積を、デューティ比と比例させるようにしたことを第2の構成とする。
本発明は、第1及び第2の構成において、第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構の各シリンダ孔にピストンが摺動自在に配設され、各ピストンがスプールに連結され、各ピストンの外側室がパイロット室とされ、各ピストンの内側室がフィードバック室とされ、第1流体圧操作機構のフィードバック室と信号圧力ポートAとを連通するとともに第2流体圧操作機構のフィードバック室と信号圧力ポートBとを連通したことを第3の構成とする。
なお、本発明において、電空比例差圧制御弁の電空とは、電気信号を空気圧信号に変換することのみでなく、電気信号を空気圧、液体圧等の流体圧信号に変換することを意味することとする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は電空比例差圧制御弁の本発明の実施の形態を示す図である。本発明の実施の形態の電空比例差圧制御弁は、制御弁本体1、第1オンオフ電磁弁2、第2オンオフ電磁弁3、第1圧力センサ4、第2圧力センサ5、中央処理装置7及び空気圧源(流体圧源)8によって構成されている。制御弁本体1のスプール19を操作するための第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構があり、第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構の各パイロット室46、47に2位置3ポートの第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3を通して圧力流体を給排させ、第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3を一定周波数のパルス列で駆動し、パルス列のパルス幅を目標値と現在値との誤差に応じて変化させるようになっている。
【0007】
制御弁本体1は、第1カバー10、弁ボデー11及び第2カバー12が順次に接合され連結して構成されている。弁ボデー11には長手方向(図1では左右方向)に延びる段付の中央孔が形成され、この中央孔は左方から第1シリンダ孔14、挿入孔15及び第2シリンダ孔16であり、第1シリンダ孔14と第2シリンダ孔16とは同径で挿入孔15はそれらよりも小径である。挿入孔15にはスリーブ18が挿入され固定されており、スリーブ18内にはスプール19が摺動自在に挿入されている。挿入孔15には5個の環状溝21〜25が左側から順に形成され、またスリーブ18には内面と外面とを接続する5個の連通孔31〜35が形成され、環状溝21〜25のそれぞれと連通孔31〜35のそれぞれとが図示のように連通されている。スリーブ18の外面には連通孔31〜35の間及び連通孔31・35の外側に図示のように環状溝が形成され、各環状溝にはOリングが装着され、スリーブ18の外面と挿入孔15の内面との間を密封している。
【0008】
スプール19には第1ランド27, 中央ランド28及び第2ランド29が形成され、スプール19が図示の中立位置にあるとき、第1ランド27, 中央ランド28及び第2ランド29はそれぞれ連通孔31、連通孔33及び連通孔35を閉鎖している。スプール19の両端には小径部があり、左右の小径部に第1ピストン44と第2ピストン45がそれぞれ嵌合され、各小径部にワッシャを嵌合しナットを螺合して、第1ピストン44と第2ピストン45が所定位置に固定されている。第1カバー10及び第2カバー12にはスプリング室39及び40がそれぞれ形成され、スプリング室39及び40は第1シリンダ孔14及び第2シリンダ孔16にそれぞれ連通されている。スプリング室39の端面と第1ピストン44との間にはスプリング41が装着され、スプリング室40の端面と第2ピストン45との間にはスプリング42が装着されており、スプール19は中立位置に向けて押圧されている。
【0009】
弁ボデー11の下端面にはベース板37が当接されかつ連結されており、ベース板37の一面には排気ポートR1、信号圧力ポートA、圧力供給ポートP、信号圧力ポートB及び排気ポートR2が左方から順次に開口されている。図示の連通路により、排気ポートR1、信号圧力ポートA、圧力供給ポートP、信号圧力ポートB及び排気ポートR2は、それぞれ環状溝21〜25に連通されている。第1ピストン44の外側(左側)の室を第1パイロット室46といい、第2ピストン45の外側(右側)の室を第2パイロット室47という。また、第1ピストン44の内側(右側)の室を第1フィードバック室48といい、第2ピストン45の内側(左側)の室を第2フィードバック室49という。信号圧力ポートAは第1フィードバック室48にも連通され、また信号圧力ポートBは第2フィードバック室49にも連通されている。
【0010】
第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3は、ともに高速の3ポート2位置弁であり、それぞれ圧力供給ポートp、信号圧力ポートa及び排気ポートrがある。第1オンオフ電磁弁2の信号圧力ポートaは第1パイロット室46に連通され、第2オンオフ電磁弁3の信号圧力ポートaは第2パイロット室47に連通されている。第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3の圧力供給ポートpはそれぞれ空気圧源8に連通され、第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁3の排気ポートrはそれぞれ大気に連通されている。
【0011】
弁ボデー11の上面には第1圧力センサ4及び第2圧力センサ5が載置され、第1圧力センサ4及び第2圧力センサ5の圧力感知部はそれぞれ連通路51、52、環状溝22、24を介して信号圧力ポートA及び信号圧力ポートBに連通されている。第1圧力センサ4及び第2圧力センサ5の出力はそれぞれ中央処理装置7に入力され、中央処理装置7からのオンオフ電磁弁操作信号は配線53、54を通って第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3の操作部(単動ソレノイド)に入力される。信号圧力ポートA及び信号圧力ポートBは、配管を介して空気圧(流体圧)シリンダ55のヘッド側給排ポート及びロッド側給排ポートに連通されている。
【0012】
本発明の実施の形態の電空比例差圧制御弁の作用について説明する。信号圧力ポートA及び信号圧力ポートBの圧力をPa及びPbとするとき、電空比例差圧制御弁の現在の出力は差圧PL=Pa−Pbである。第1ピストン44の第1パイロット室46側の受圧面積及び第2ピストン45の第2パイロット室47の受圧面積をともにA1とし、第1ピストン44の第1フィードバック室48側の受圧面積及び第2ピストン45の第2フィードバック室49の受圧面積をともにA2とする。また、スプリング41及び42の、ばね定数をそれぞれKとし、また第1パイロット室46及び第2パイロット室47の作用圧力をそれぞれP1、P2とし、スプール19のずれをdXとすれば、力の釣り合いから次式が得られる。
(P1−P2)・A1+2K・dX=(Pa−Pb)・A2
すなわち
PL=Pa−Pb=((P1−P2)・A1+2K・dX)/A2
【0013】
ここでは、T1/T及び1−T1/Tをそれぞれ第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3の開弁時間割合(デューティ比)として、PWM法(パルス幅変調法)で制御する。すなわち、第1及び第2圧力センサ4,5により検出された差圧の現在値(Pa−Pb)と目標値との誤差に応じた第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3の操作信号を中央処理装置7から発生させる。なお、T1/Tの変化によって差圧P1−P2は変わる。従ってT1/Tだけを調整して、差圧P1−P2を介して出力PLを制御することができる。なお、スプール19を中立位置から左方へ移動すると、圧力供給ポートPと信号圧力ポートBとが連通して圧力流体が空気圧シリンダ55のロッド側に流入し、信号圧力ポートAと排出ポートR1とが連通して、空気圧シリンダ55のヘッド側の流体が排出ポートR1から排出され、空気圧シリンダ55のロッドが後退する。スプール19を右方へ移動したときは、流体が反対方向に流れ、空気圧シリンダ55のロッドが前進する。
【0014】
図2は電空比例差圧制御弁を用いてPWM法により出力PLを制御するフローチャートを示す。ステップS1でPWMサイクルが始まったか否かが判断され、PWMサイクルが始まったと判断されたときは、ステップS2で第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3を作動させ、ステップS3へ進む。ステップS1でPWMサイクルが始まったと判断されなかったときは、ステップS3へ進む。
【0015】
ステップS3では、サンプル時刻になったか否かが判断され、サンプル時刻になったと判断されたときは、ステップS4で入力信号(目標圧力差)及び制御対象圧力差(差圧の現在値:Pa−Pb)をサンプリングする。次にステップS5に進み、差圧の現在値と目標値との誤差に応じたデューティ比を算出し、さらにステップS6に進んでデューティ比に従って第1・第2オンオフ電磁弁を操作させる。すなわち、算出された開弁(オン)時間割合T1/T及び1−T1/Tの操作信号が中央処理装置7から配線53、54を通って第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3の単動ソレノイドに伝送される。第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3ではデューティ比T1/T及び1−T1/Tに応じた信号圧力P1、P2が発生し(第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3における、空気圧源8と第1流体圧操作機構のパイロット室46及び第2流体圧操作機構のパイロット室47とを連通させる開口面積をデューティ比と比例させた)、それぞれ第1パイロット室46及び第2パイロット室47に導入される。スプール19は、第1パイロット室46及び第2パイロット室47の信号圧力P1、P2に従った位置に移動し、前記誤差をなくそうとする。
【0016】
ステップS5の動作の次にステップS1に戻る。ステップS3でサンプル時刻になったと判断されなかったときも、ステップS1に戻る。
前記の制御により、例えば現在の差圧PLが目標値よりも大きいときは、第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3を操作して、第1流体圧操作機構のパイロット室46の圧力を低下させ、第2流体圧操作機構のパイロット室47の圧力を上昇させる。これによりスプール19が左方へ移動し、差圧PLは小さくなる。逆の場合は、第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3を操作して、差圧PLを大きくする。
【0017】
【実施例】
次に実験結果を説明する。まず、供給圧力を0.4 MPaとし、第1オンオフ電磁弁2及び第2オンオフ電磁弁3を周波数50ヘルツのパルス列で駆動した。信号圧力ポートA、Bに連通される配管、アクチュエータ等の容積はそれぞれVa=5L、Vb=5Lである。制御方法はPID制御であり、数多くの実験をして、図3の目標値の電圧入力V1と差圧出力PLとの関係曲線を作成した。目標値の電圧入力V1の1〜5Vの範囲において、電圧入力に比例して差圧出力PLが直線的に変化することが判明した。
【0018】
図4は、前記と同一の条件で、−0.2 MPa、0.2 MPaを目標値とするステップ応答の実験結果を示すグラフである。このグラフから、応答時間が2〜2.5秒であることが分かり、目標値と現在値との誤差の判断、及びフィードバック信号に対する応答性がともに良いことが判明した。
【0019】
図5は、供給圧力を0.22MPaとし、Va=0.15L、Vb=0.15Lとし、0.2 MPaを目標値とするステップ応答の実験結果を示すグラフである。また、図6は供給圧力を0.3 MPaとし、Va=0.15L、Vb=0.15Lとし、0.2 MPaを目標値とするステップ応答の実験結果を示すグラフである。図5・図6に示すように、信号圧力ポートA、Bに連通される配管、アクチュエータ等の容積を小さくすると、電空比例差圧制御弁の応答が速くなり、バランス状態下での振動が著しくなる。また、供給圧力は高い方が応答が速く、オーバーランが生ずる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1記載の電空比例差圧制御弁では、第1オンオフ電磁弁及び第2オンオフ電磁弁が一定周波数のパルス列で駆動され、パルス列のパルス幅が目標値と現在地との誤差に応じて変化し、第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構の各パイロット室に2位置3ポートの第1オンオフ電磁弁及び第2オンオフ電磁弁を通して圧力流体を給排させてスプールを移動させている。従って、比例ソレノイド・可動鉄心を用いた従来例に比べ、本発明はフィードバック信号に対する応答性がきわめてよい。また、所望の範囲にわたり電圧入力に比例して差圧を直線的に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電空比例差圧制御弁の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明の電空比例差圧制御弁の実施の形態のフローチャートである。
【図3】目標値の電圧入力V1と差圧出力PLとの関係を示す曲線図である。
【図4】−0.2 MPa及び0.2 MPaを目標値とするステップ応答の実験結果を示すグラフである。
【図5】供給圧力を0.22MPaとし、Va=0.15L、Vb=0.15Lとし、0.2 MPaを目標値とするステップ応答の実験結果を示すグラフである。
【図6】供給圧力を0.3 MPaとし、Va=0.15L、Vb=0.15Lとし、0.2 MPaを目標値とするステップ応答の実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 制御弁本体
2 第1オンオフ電磁弁
3 第2オンオフ電磁弁
4 第1圧力センサ
5 第2圧力センサ
14 第1シリンダ孔
16 第2シリンダ孔
19 スプール
44 第1ピストン
45 第2ピストン
46 第1パイロット室
47 第2パイロット室
48 第1フィードバック室
49 第2フィードバック室
Claims (3)
- 制御弁本体に圧力供給ポート、排出ポート及び信号圧力ポートA及びBを配設し、制御弁本体内のスプールを第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構により移動させて、2つの信号圧力ポートA及びBの圧力差を目標値に近づける電空比例差圧制御弁において、第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構の各パイロット室に2位置3ポートの第1オンオフ電磁弁及び第2オンオフ電磁弁を通して圧力流体を給排させ、第1オンオフ電磁弁及び第2オンオフ電磁弁を一定周波数のパルス列で駆動し、パルス列のパルス幅を目標値と現在値との誤差に応じて変化させたことを特徴とする電空比例差圧制御弁。
- 信号圧力ポートA及びBの各圧力を2つの圧力センサにより検出し、各圧力センサにより検出された差圧の現在値と目標値との誤差に応じたデューティ比を算出し、第1オンオフ電磁弁及び第2オンオフ電磁弁における流体圧力源と第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構の各パイロット室とを連通させる開口面積を、デューティ比と比例させるようにした請求項1記載の電空比例差圧制御弁。
- 第1流体圧操作機構及び第2流体圧操作機構の各シリンダ孔にピストンが摺動自在に配設され、各ピストンがスプールに連結され、各ピストンの外側室がパイロット室とされ、各ピストンの内側室がフィードバック室とされ、第1流体圧操作機構のフィードバック室と信号圧力ポートAとを連通するとともに第2流体圧操作機構のフィードバック室と信号圧力ポートBとを連通した請求項1又は2記載の電空比例差圧制御弁。
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