JP4002190B2 - 自動電圧調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は配電線の電圧変動に適応する自動電圧調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動電圧調整装置は、その設置点に対する現在の二次電圧を、目標とする基準電圧に近づけるようにタップ切換器にタップ切り換え指令を出力するもので、二次電圧が一定条件を満足したときに切り換え指令が出力される。その条件を満足するための電圧制御方式としては、積分値制御、時間値制御、移動平均値制御の三種類の方式が知られている。
【0003】
積分値制御方式は、基準電圧VSと現在の二次電圧VLとの差電圧が、予め設定した不感帯を外れた場合に、その外れた差分を時間積分し、その積分値が動作設定値を超えたときに制御指令を出力するものである。なお、不感帯は、ハンチング防止のために設けられているもので、基準電圧を中心に一定の電圧幅では自動電圧調整装置が動作しないようになっている。
【0004】
時間値制御方式は、差電圧が不感帯を連続して外れる時間が動作設定値を超えたときに制御指令を出力するものである。
【0005】
移動平均値制御方式は、設定時間内で、差電圧が不感帯を外れたときの差分の平均を取り、その平均値が動作設定値を超えたときに制御指令を出力するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
積分値制御方式を用いた場合は、積分値に基づいて制御指令を出力するため、基準電圧と現在の二次電圧との差電圧が大きいときには動作時間が短いが、差電圧が小さいときには動作時間が長くなり、長時間連続して基準電圧を逸脱するという問題がある。
【0007】
時間値制御方式を用いた場合は、差電圧が不感帯を逸脱する時間が動作設定時間以上連続した時に制御指令を出力するため、差電圧が大きくても動作設定時間を経過しないと制御されず、差電圧が不感帯に入る状態と+方向に逸脱する状態を動作設定時間内で繰り返した場合や、差電圧が不感帯に入る状態と−方向に逸脱する状態を動作設定時間内で繰り返した場合には基準電圧を逸脱する時間が長くなるという問題がある。
【0008】
移動平均値制御方式を用いた場合は、差電圧の平均値によって制御指令を出力するため、一般的に基準電圧を逸脱する時間が長くなるという問題がある。
【0009】
従来の自動電圧調整装置は、上述した制御方式のうち何れか一つのみを用いていた。従って、自動電圧調整装置を設置する場合には、その設置点の電力使用状況に最も適当な制御方式を用いるものを選定することが望ましい。ところが、複数の種類の自動電圧調整装置を製作したり、在庫しておくことは、コスト面や在庫スペースの関係上都合が悪い。このため、一つの制御方式の自動電圧調整装置のみを製作し、電力使用状況に関係なく、それを設置することもある。そうすると、前述したような問題を生ずることになる。
【0010】
本発明は上記実情を考慮して開発されたもので、その解決課題は、設置個所の電力使用状況に関係なく、一種類の自動電圧調整装置で適正な電圧を供給できるようにすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、自動電圧調整装置の設置点に対する現在の二次電圧を基準電圧に近づけるようにタップ切換器に制御指令を出力する電圧制御方式を制御装置内に備える自動電圧調整装置において、制御装置内に電圧制御方式を複数備えると共に、各電圧制御方式は、制御指令を出力する際の条件となる動作設定値を複数備え、電圧制御方式及び動作設定値の全パターンのうちの一つを運転用設定の初期値として用い、二次電圧、二次電流、位相及びタップ電圧の時系列データを運転中に記憶し、それらの時系列データに基づいて電圧制御方式及び動作設定値の全パターンでのタップ切り換え状況を、コンピュータでシミュレーションし、シミュレーション結果に基づいて電圧制御方式とその動作設定値の運転用設定を自動的に更新することを特徴とする。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の自動電圧調整装置は図9に示すように、一次側配電線1a,1bと二次側配電線2a,2bとの間にタップ切換器(以下LTC)3、電圧調整変圧器20を接続し、二次側配電線2a,2bに電圧検出用トランス(VT)4を並列接続し、VT4の出力側配線を制御装置5に接続し、二次側配電線に対する電流検出用トランス(CT)6の二次側配線を制御装置5に接続してある。また、制御装置5はLTC3に接続してあって、制御装置5からの昇圧・降圧指令等からなる制御指令信号をLTC3で受信し、LTC3からの状態信号(例えばタップ電圧信号等)を制御装置5が受信する。
【0017】
制御装置5は、電圧調整継電装置7と子局8で主に構成される。電圧調整継電装置7は図10に示すように、CT6とVT4からの入力電圧をそれぞれアナログ回路9でサンプリングし、A/Dコンバータ10でデジタル化した電圧データを、マイコンからなる演算処理部11で演算処理して、一定条件を満たしたときにタップの切り換え指令をLTC3に出力する。また、LTC3からのリミットスイッチのON・OFFをホトカプラ12で受けた信号(例えば各タップのON・OFF)や、子局8からの入力信号をリレー13で受けた信号、操作部14からの信号が、演算処理部11には入力され、演算処理部11によって得られる電圧、電流、CPUエラー等を表示部15に出力する。
【0018】
アナログ回路9は、増幅回路AMP、フィルタ回路LPF、サンプルホールド回路S/H、マルチプレクサMPXより構成され、CT6やVT4から得られる電圧を増幅し、サンプリング周波数の近傍で大きな減衰が得られるLPFで不要成分を除去し、サンプリングしてマルチプレクサを経てA/Dコンバータ10にそれぞれ出力している。
【0019】
演算処理部11では、自動電圧調整機能、電圧降下補償機能を主として備えている。
【0020】
自動電圧調整機能は、一次側配電線から二次側配電線に電力が送られている場合に、現在の二次電圧VLが基準電圧VSに対して一定条件を満たしたときにタップの切り換え指令をLTC3に出力する電圧制御方式を三つ備え、そのうちいずれか一つの方式を前述した操作部14で選択可能に設けてある。なお、操作部14ではその他に演算処理部11で必要とする各種設定、例えばタップ切り換え用の動作設定値や不感帯用設定値、基準電圧等の各種の設定を入力する。
【0021】
電圧制御方式は、積分値制御、時間値制御、積分値一時間値制御の三方式である。そして、操作部14は、図示しないが、制御方式ごとにON/OFFスイッチが付いており、それによって一方式を選択可能としてある。また、二つ以上の制御方式のスイッチをONにした場合は、一つの方式のみが使われるものとし、積分値制御方式、時間値制御方式、積分値一時間値制御方式の順に優先される。
【0022】
積分値一時間値制御方式は図1のフローチャートに示すように、まず、積分値制御を行い、次にフラグがONになったか否かを判定する。フラグがONとは、積分値制御によって制御指令がLTC3に出力されたことを意味し、その制御指令とは、タップを1タップ分昇圧方向に切り換える指令や、降圧方向に切り換える指令である。そして、フラグが出力された場合は、時間値制御をすることなく、積分値制御用データ、時間値制御用カウントをリセットし、積分値制御に戻る。また、フラグが出力されない場合は、時間値制御に移り、時間値制御でのフラグがONになったか否かを判定する。ここでフラグが出力されない場合は、再度、積分値制御に戻る。また、フラグが出力された場合は、積分値制御用データ、時間値制御用カウントをリセットし、積分値制御に戻る。
【0023】
積分値制御は以下の要領で行う。図6に示すように、二次電圧VLmと基準電圧VSの差電圧を求め、次に図7に示すように、基準電圧VSに対する差電圧の比率、即ち電圧偏差VHmが不感帯Kを超えているときには、その超過した差分ΔVmを時間積分し、その積分値が動作設定値を超えたときに制御指令を出力する。つまり、電圧偏差VHmが不感帯を超えているか否かの評価対象となる。ここでmとは、サンプリングした二次電圧の順番を意味する。図6では、現在の二次電圧VLが基準電圧VSよりも緩やかに上昇しているので、二次電圧VLが上記条件を満たしたときに1タップ分降圧する指令を出力し、タップ切換器3はその指令に基づいてタップを切り換える。不感帯は、降圧側(+)と昇圧側(−)にK%という具合に設定する。
【0024】
上述した要領を図2のフローチャートを用いて詳しく説明すると、まず、電圧偏差の差分ΔVmを求める。ΔVmを求める要素となる電圧偏差VHmの求め方は、以下の式による。
VHm(%)=(VLm−VS)×100/VS
そして、ΔVmは電圧偏差から不感帯用設定値Kをひく、以下の式によって求められる。
ΔVm=VHm−K
但し計算上、Kに代入する数値は、VHmが正か負かを判定し、正の場合はKに正の値を、負の場合にはKに負の値を設定値として代入するものとする。
次に、昇圧側の積分をまず行う。前回までのΔVmの積分値であるSRm−1に今回の差分ΔVmを加算し、現時点での積分値SRを求める。なお、昇圧する場合は、二次電圧が基準電圧より低いので、VHmは負となるので、マイナスを掛けることにより、加算処理される。そして、その積分値SRが負になったときは、積分値SRに0を代入し、SRをm回目の積分値SRmに書き換える。また、積分値が0以上の場合は、その積分値SRをm回目の積分値SRmに書き換える。続いて、積分値SRmが動作設定値Tを超えているか否かを判定する。超えている場合は、タップ切換器3に1タップ分昇圧側に切り換える指令を出力し、降圧側の積分に移る。また、積分値が動作設定値Tを超えていない場合も、そのまま降圧側の積分に移る。
【0025】
降圧側の積分は、前回までの差分ΔVmの積分値であるSLm−1に今回の差分ΔVmを加算し、現時点での積分値SLmを求める。以後は、昇圧側の積分と同様の手順で行い、積分値SLmが動作設定値Tを超えているか否かを判定し、超えている場合は、タップ切換器3に1タップ分降圧側に切り換える指令を出力する。
【0026】
時間値制御は以下の要領で行う。図8に示すように、積分値制御用の不感帯Kとは独立の時間値制御用の不感帯Zを形成し、専用の不感帯Zを同一方向に連続して超えている時間が、動作設定値を超えたときに、タップ切り換え指令を出力するものである。
【0027】
図3のフローチャートで説明すると、電圧偏差VHmを前述した要領で求め、次に、電圧偏差VHmが0よりも大きいか否かを判定し、0以上の場合は、電圧偏差VHmが専用の不感帯の+Zを超えているか否かを判定する。超えている場合は、その超えている状態が連続しているか否かの判定に移り、一方、超えていない場合はカウントをリセットする。また、0未満の場合は、電圧偏差VHmが専用の不感帯の−Zを超えているか(下回るか)否かを判定し、超えている場合は、その超えている状態が連続しているか否かの判定に移り、一方、超えていない場合はカウントをリセットする。なお、ここではZに正の値を設定値として代入しておく。不感帯を同一方向に超えている状態が連続していない場合は、カウントを開始し、連続している場合はカウントが動作設定値(動作設定時間)Y秒を超えているか否かの判定に移る。カウントがY秒未満のときは、図1のフローチャートに移る。また、Y秒以上のときは、電圧偏差VHmが正か負かを判定し、正の場合は降圧指令を出力し、負の場合は昇圧指令を出力する。
【0028】
また、純粋な積分値制御方式は図4のフローチャートに示してあり、先に説明した積分値一時間値制御方式での積分値制御と同様である。昇圧用積分値SRmと降圧用積分値SLmをリセットする処理が、昇圧指令、降圧指令の直前に入ることや、降圧用積分値SLmが動作設定値か否かの判定でNoの場合にΔVmを求める処理に移行し、同じく降圧指令後にΔVmを求める処理に移行することが異なっている。
【0029】
同様に純粋な時間値制御方式は図5のフローチャートに示してあり、先に説明した積分値一時間値制御方式での時間値制御と同様である。カウントをリセットする処理が、カウントがY秒未満か否かの判定処理の直後に入っていることや、昇圧指令と降圧指令後に電圧偏差VHmを求める処理に移行し、カウントスタート後にも電圧偏差VHmを求める処理に移行することが異なっている。
【0030】
電圧降下補償機能(LDC)は、二次側配電線の線路インピーダンスによる電圧降下を補償するもので、その電圧降下分だけLTC3のタップを昇圧側に切り換えるために設けてある。CT6、VT4で検出した電圧・電流実効値(Vrms、Irms)、位相(cosθ、sinθ)、から以下の式で計算する。目標地点の電圧:VL、抵抗分:%r、リアクタンス分:%x、定格二次電圧V0、定格二次電流I0とする。
【数1】
【0031】
子局8は、図示しない親局と電圧調整継電装置7との間に介在し、電気通信回線で接続されており、親局と電圧調整継電装置7との間で情報を受け渡しできるように、送受信するものである。
【0032】
別の実施形態としては図11及び図12に示すように、制御装置内に電圧制御方式を複数有すると共に、各電圧制御方式の動作設定値を複数有し、電圧制御方式及びその動作設定値の全パターンのうち一つを運転用設定の初期値として用いると共に、運転中に実測した過去の時系列データをシミュレーション用のデータとして利用し、電圧制御方式と動作設定値の全パターンで運転した場合のタップ切り換え状況をコンピュータで定期的にシミュレーションし、二次電圧が基準電圧を逸脱する時間が短いパターンをシミュレーション結果に基づいて選定し、その選定したパターンに運転用設定を自動的に更新するものが挙げられる。
【0033】
シミュレーションの仕方の一例を以下に詳しく説明する。まず、電圧制御方式及びその動作設定値の運転用設定の全パターンを操作部14で記憶装置(図示省略)に入力すると共に、そのうちの一つを運転用設定の初期値とし、全パターンを表示したテーブル16を図13に示すように作成する。初期値の状態で運転している自動電圧調整装置では、先の実施形態で説明したように、二次電圧、二次電流、それらの位相、タップ電圧の時系列データを一定時間(例えば1秒)毎にサンプリングしているので、それら時系列データ17を図14に示すように記憶装置に記憶しておく。そして、運転用設定の更新日になったか(例えば前回の更新日から3ヶ月経過したか)否かを判定し、更新日の場合は、記憶した時系列データ17の全期間又は一定期間(例えば更新日よりも一週間前から前日までの一週間分)のデータを抽出する。その抽出データから以下の式、即ち、V1=V2×Vtap/V0により、1次電圧V1の時系列データ18を算出する。Vtap:タップ電圧(定格二次電圧に対応する一次電圧)。
【0034】
続いて、テーブル16に入力した全パターンについて、タップの切り換え状況をコンピュータでシミュレーションする。シミュレーションでは、抽出した各種の時系列データと各種の設定値を利用する。各種の設定値とは、図15の表に示すように、電圧降下補償機能(LDC)の計算に用いる定格二次電圧、定格二次電流、基準電圧、LDC抵抗分、LDCリアクタンス分、不感帯用設定値、タップ動作時間等である。そして、図16に示すように、パターン毎にタップ電圧、二次電圧、目標地点電圧、電圧偏差、及び電圧偏差の差分を算出すると共に、昇圧・降圧のタップ切り換えの有無等を計算する。二次電圧はV2’=V1×V0/Vtap’の式より求まるのでタップ電圧のデータが計算上必用とされるが、計算には抽出したタップ電圧のデータのうち最初のもののみ利用する。なお、V2’及びVtap’の「’」は、シミュレーション結果で算出した値という意味である。目標地点電圧の計算は、段落番号30中で記載した数式1を用いる。シミュレーションするパターンが積分値制御方式の場合は、前述したように図4のフローチャートに示す手順に従って、昇圧側積分値、降圧側積分値を算出したり、符号が正か負で連続している電圧偏差の差分の、積分値(連続電圧超過偏差積分値)や時間(連続電圧超過時間)を算出し、算出したシミュレーション結果を記憶装置に記憶する。
【0035】
二次電圧が基準電圧を逸脱する時間が短いパターンをシミュレーション結果に基づいて選定する仕方を、図17のフローチャートを参照して説明する。選定前に、連続電圧超過偏差積分値の最大値(一週間分のデータのうちの最大値)の目標値を操作部から記憶装置に入力しておく。まず第一段階の判定としては、各パターンの連続電圧超過偏差積分値の最大値を抽出し、その最大値が目標値以下のパターンが存在するか否かを判定する。具体的には、各パターン毎に連続電圧超過偏差積分値の正、負のデータを絶対値とし、その絶対値の最大値を抽出し、各パターンの最大値を目標値と比較する。目標値以下のパターンが存在しない場合は、最大値が目標値に最も近いパターンが二つ以上存在するか否かを判定する。存在しない場合、即ち、最大値が目標値に最も近いパターンが一つしかない場合は、そのパターンを選定する。パターンが複数存在する場合、及び最大値が目標値以下のパターンが存在する場合は、第二段階の判定に移行する。
【0036】
第二段階の判定では、該当する各パターンのタップ動作回数を算出し、タップ動作回数が最少のパターンが二つ以上存在するか否かの判定をする。具体的には該当する各パターンについてタップ動作回数(昇圧指令の回数と降圧指令の回数の合計値)を算出し、該当するパターンが複数の場合は、複数のパターンのうちタップ動作回数の最も少ないものを抽出する。但し、該当するパターンが一つしかない場合は、タップ動作回数を算出することなく、そのパターンを選定する。タップ動作回数が最少のパターンが二つ以上存在する場合は、第三段階の判定に移行する。
【0037】
第三段階の判定では、それらパターンのうちの連続電圧超過時間の最大値を比較し、その最大値が最小のパターンが二つ以上存在するか否かを判定する。一つしかない場合は、そのパターンを選定する。連続電圧超過時間の最大値が最小のパターンが二つ以上存在する場合は、優劣がないので、そのうちの何れか一つのパターンを選定する。そして、その選定したパターンを運転用設定として、次の更新日まで使用する。
【0038】
また、連続電圧超過時間の最大値が最小のパターンが二つ以上存在する場合に、そのうちの一つのパターンが運転用設定として現在使用中のパターンと同じ場合は、現在使用中のパターンを選定しても良い。同様に、連続電圧超過時間の最大値が最小のパターンが二つ以上存在する場合に、そのうちの一つのパターンの電圧制御方式が、運転用設定として現在使用中のパターンと同じ電圧制御方式のときには、現在使用中のパターンを選定しても良い。
【0039】
全パターンについてのシミュレーション結果が、例えば図18に示すように得られた場合に、上述した三段階の判定を用いて、運転用設定の更新用パターンを選定してみる。連続電圧超過偏差積分値の最大値の目標値を1000(%・s)と仮定すると、第一段階の判定では、連続電圧超過偏差積分値の最大値が1000以下のパターンが三つ抽出され(積分値制御方式で動作設定値が20と40のもの、及び時間値制御方式で動作設定値が40のもの)、第二段階の判定でタップ動作回数が最少のパターンが一つ(積分値制御方式で動作設定値が40のもの(太枠で囲んだもの))選定される。
【0040】
上述した要領で選定すれば、配電線の状況に応じて適正な電圧が供給できると共に、真空バルブ式タップ切換器を利用した場合に、タップ動作回数を抑えることができ、真空バルブの使用期間を延長できる。
【0041】
別の選定の仕方としては、判定の対象として用いる目標値が連続電圧超過偏差積分値の最大値でなくても良い。つまり、前述した仕方では、抽出データが一週間分あれば、一週間分のデータのうちの最大値について、目標値を定めていたが、抽出した一週間分のデータについて一日ごとに最大値を抽出し、一週間分の最大値についての平均値を取ることにより、その平均値について目標値を定めても良い。また、一週間分のデータについて電圧偏差の差分の合計値を一日ごとに算出し、一週間分の合計値についての平均値を算出することにより、その平均値を目標値として定めても良い。なお、電圧偏差の差分の合計値を一日ごとに算出するには、一日分の電圧偏差の差分について正の分と負の分で別々に合計を出し、正の分の合計値と負の分の合計値のそれぞれの絶対値を合計することとする。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、制御装置5内に電圧制御方式を複数備える一例としては、積分値制御方式、時間値制御方式、積分値一時間値制御方式のうち少なくとも2つを備えるものであってもよい。また、電圧制御方式は、4つ以上を備えるものであっても良い。さらに、上述した電圧制御方式での計算をマイコンで計算するものに限らず、アナログ回路を用いて計算しても良い。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、複数の電圧制御方式を制御装置内に備え、各電圧制御方式には動作設定値を複数備えるので、コンピュータのシミュレーション結果に基づいて、設置点に最も適当と考えられる方式および動作設定値を選択できる。従って、一種類の自動電圧調整装置で設置点に対応した適正な電圧を供給できる。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積分値一時間値制御方式を示すフローチャートである。
【図2】 積分値一時間値制御方式の積分値制御を示すフローチャートである。
【図3】 積分値一時間値制御方式の時間値制御を示すフローチャートである。
【図4】 積分値制御方式を示すフローチャートである。
【図5】 時間値制御方式を示すフローチャートである。
【図6】 差電圧を理解するグラフである。
【図7】 積分値制御での積分の仕方を理解するグラフである。
【図8】 時間値制御でのカウントの仕方を理解するグラフである。
【図9】 自動電圧調整装置を示すブロック図である。
【図10】 電圧調整継電装置を示すブロック図である。
【図11】 運転用設定を自動的に更新するフローチャートである。
【図12】 シミュレーション実行部分等を詳細に書いたフローチャートである。
【図13】 電圧制御方式と動作設定値の全パターンを示すテーブルである。
【図14】 時系列データを示す表である。
【図15】 各種の設定値を示す表である。
【図16】 シミュレーション結果を示す表である。
【図17】 シミュレーション結果に基づいて所望のパターンを選定する仕方を示すフローチャートである。
【図18】 全パターンのシミュレーション結果を示す表である。
【符号の説明】
3 タップ切換器
5 制御装置
14 操作部
VL 二次電圧
VS 基準電圧
K、Z 不感帯
T、Y 動作設定値
Claims (1)
- 自動電圧調整装置の設置点に対する現在の二次電圧(V L )を基準電圧(V S )に近づけるようにタップ切換器(3)に制御指令を出力する電圧制御方式を制御装置(5)内に備える自動電圧調整装置において、
制御装置(5)内に電圧制御方式を複数備えると共に、各電圧制御方式は、制御指令を出力する際の条件となる動作設定値を複数備え、電圧制御方式及び動作設定値の全パターンのうちの一つを運転用設定の初期値として用い、二次電圧、二次電流、位相及びタップ電圧の時系列データを運転中に記憶し、それらの時系列データに基づいて電圧制御方式及び動作設定値の全パターンでのタップ切り換え状況を、コンピュータでシミュレーションし、シミュレーション結果に基づいて電圧制御方式とその動作設定値の運転用設定を自動的に更新することを特徴とする自動電圧調整装置。
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