しかしながら、電圧及び電流の検出により短絡を判断する場合には、電流と電圧との位相がずれていれば、短絡が発生してなくても、短時間、電圧が低く且つ電流が高い状態を取り得るので、誤って短絡と判別してしまうことがある。
また、放電灯をバースト調光で点灯する場合、放電灯が消灯状態となる消灯期間では、電圧が低下するために、短絡によって生じた電圧低下と区別しづらいという問題もある。
本発明は、上記問題点に鑑み、放電灯の調光状態に拘わらず装置内部の短絡やユーザの感電を速やかに検出できる放電灯点灯装置を提供するものである。
本発明は、2つの電極を有する放電灯を点灯する放電灯点灯装置であって、駆動回路と、制御手段と、電圧検出手段と、比較手段とを有する。駆動回路は、放電灯の一方の電極に接続されて所定周波数の交流電力を供給する。制御手段は、駆動回路を駆動する駆動パルスを生成して、放電灯を、放電灯が点灯している点灯期間と放電灯が消灯している消灯期間とが交互に現れるバースト調光にて点灯させる。電圧検出手段は、一方の電極に印加された電圧のピーク値を継続的に検出する。比較手段は、ピーク値を基準値と比較する。さらに、制御手段は、点灯期間において、所定周波数によって決定される周期よりも長い第1期間において検出されたピーク値の全てが基準値を下回る場合は、駆動回路から放電灯への給電を停止させる。
上記構成により、制御手段が、駆動パルスを駆動回路に供給すると、駆動回路は、点灯期間では、放電灯の一方の電極を介して所定周波数の交流を放電灯へ給電して放電灯を点灯させ、消灯期間では、放電灯への給電を停止して放電灯を消灯させる。従って、放電灯は、点灯期間及び消灯期間を交互に繰り返すというバースト調光により点灯する。放電灯が駆動回路から給電されている間、電圧検出手段は、一方の電極に印加された電圧のピーク値を継続的に検出し、比較手段は、検出されたピーク値を基準値と比較する。このとき、制御手段は、点灯期間において、所定周波数によって決定される周期よりも長い第1期間において、検出されたピーク値の全てが基準値を下回る場合は、駆動回路から放電灯への給電を停止する。従って、装置内部で短絡が発生した場合、又はオペレータが感電した場合、短絡や感電の発生から遅くとも第1期間が経過するまでの間に、放電灯への給電が停止され、装置および装置を操作するオペレータを保護する。
このように、上記構成では、放電灯に印加された電圧の検出期間を第1期間毎に分割し、第1期間の各々において、検出された電圧のピーク値が基準値を超えたか否かで、装置内部の短絡の有無を判定している。従って、ある第1期間において一度もピーク値が基準値を超えていなければ、制御手段は、短絡が生じたと判断して放電灯への給電を停止する。
また、第1期間を、所定周波数に対応した周期の数倍程度に設定した場合、放電灯点灯装置の動作が正常であれば、第1期間において、検出される電圧のピーク値は、何度も基準値を超えるので、制御手段による短絡の検出の誤動作を防ぐことができる。また、制御手段による短絡検出の判断は、バースト調光の点灯期間に行われるので、バースト調光の消灯期間における電圧低下を、短絡による電圧低下から区別できる。
さらに、放電灯に印加された電圧のピーク値を検出し、このピーク値を第1期間において基準値と複数回に亘り比較するだけで、回路内部での短絡の有無を判別できる。従って、放電灯を流れる管電流を検出する必要がなくなり、放電灯点灯装置を簡単に構成できる。
また、上記の構成において、好ましくは、制御手段は、点灯期間において比較手段を動作させ、消灯期間において比較手段の動作を停止させる。この構成により、バースト調光の消灯期間においては、電圧検出手段によって検出された電圧のピーク値と基準値との比較を行わないので、消灯期間における電圧低下を、短絡によって生じた電圧低下と誤って検出することを防ぐことができる。
さらに、上記の構成において、好ましくは、制御手段は、消灯期間に突入した後の第2期間において、比較手段の動作を停止させる。例えば、バースト調光における点灯期間の時比率が高い場合、消灯期間が存在するにも拘わらず、結果として駆動回路への駆動パルスの供給が連続して行われることがある。この場合、消灯期間における印加電圧の低下を、短絡による電圧低下と誤検出する可能性が高くなる。従って、消灯期間に突入後の第2期間において、比較手段による印加電圧のピーク値と基準値との比較を強制的に停止することによって、短絡の誤検出を防ぐ。
また、上記構成において、好ましくは、制御手段は、駆動回路から放電灯への給電開始によって始まる始動期間において放電灯を連続調光にて点灯させるとともに、始動期間の終了後に放電灯をバースト調光にて点灯させ、始動期間のうちの前半期間において比較手段の動作を停止させる。放電灯への給電開始直後の始動期間は、印加電圧が低いために、装置内部で短絡や感電が発生していなくても、異常と判別される可能性がある。従って、始動期間においては放電灯を連続調光にて点灯させるとともに、始動期間のうちの前半期間においては比較手段の動作を停止させ、始動期間の終了後、即ち放電灯の点灯状態が安定した後はバースト調光により点灯させることによって、放電灯に印加された低い電圧を回路の短絡やオペレータの感電の発生として誤検出するのを防止する。
さらに、上記構成において、好ましくは、電圧検出手段は、放電灯に印加された電圧を半波整流した後でピーク値を検出する。放電灯の印加電圧を、半波整流後、ピークホールドを行うことなく直接比較手段に入力するので、装置内部の短絡を短時間のうちに検出することができる。
また、本発明は、2つの電極を有する放電灯を駆動する放電灯点灯装置であって、2つの電極のうちの一方の電極に接続されて所定周波数の交流電力を供給する第1の駆動回路と、放電灯の一方の電極に印加された電圧の第1ピーク値を継続的に検出する第1の電圧検出手段と、放電灯の他方の電極に接続されて交流電力を供給する第2の駆動回路と、放電灯の他方の電極に印加された電圧の第2ピーク値を継続的に検出する第2の電圧検出手段と、第1及び第2の駆動回路の各々を駆動する駆動パルスを生成して、第1及び第2の駆動回路の各々から放電灯への給電を制御する制御手段と、第1及び第2ピーク値の各々を基準値と比較する比較手段と、を有し、制御手段は、放電灯を、放電灯が点灯している点灯期間と放電灯が消灯している消灯期間とが交互に現れるバースト調光にて点灯させ、点灯期間においては、比較手段を動作させて、所定周波数によって決定される周期よりも長い第1期間において、第1及び第2ピーク値のうちの少なくとも一方のピーク値の全てが前記基準値を下回る場合、第1及び第2の駆動回路の両方から放電灯への給電を停止させ、消灯期間に入ると前記比較手段の動作を停止させるものである。
上記構成により、制御手段が、点灯期間において、駆動パルスを第1及び第2の駆動回路の各々に供給すると、第1及び第2の駆動回路は、それぞれ所定周波数の交流を放電灯へ給電して放電灯が点灯される。放電灯が駆動回路から給電されている間、第1及び第2の電圧検出手段は、対応する各電極に印加された電圧の第1及び第2ピーク値の各々を継続的に検出し、比較手段は、検出された第1及び第2ピーク値の各々を基準値と比較する。このとき、制御手段は、放電灯の点灯中に、所定周波数によって決定される周期よりも長い第1期間において、検出された第1及び第2ピーク値のうちの少なくとも一方のピーク値の全てが基準値を下回る場合は、駆動回路から放電灯への給電を停止する。従って、装置内部で短絡が発生した場合、又はオペレータが感電した場合、短絡や感電の発生から遅くとも第1期間が経過するまでの間に、放電灯への給電が停止され、装置および装置を操作するオペレータを保護する。
このように、上記構成では、放電灯の各電極に印加された電圧の検出期間を第1期間毎に分割し、第1期間の各々において、検出された電圧の第1及び第2のピーク値のいずれか一方が基準値を超えたか否かで、装置の短絡を判定している。したがって、ある第1期間において一度も第1及び第2ピーク値の少なくとも一方の全てが基準値を超えていなければ、制御手段は、短絡が生じたと判断して放電灯への給電を停止する。
また、第1期間を、所定周波数に対応した周期の数倍程度に設定した場合、放電灯点灯装置の動作が正常であれば、第1期間において、検出される電圧の第1及び第2ピーク値は、何度も基準値を超えるので、制御手段による短絡の検出の誤動作を防ぐことができる。
さらに、放電灯の各電極に印加された電圧の第1及び第2ピーク値を検出し、検出された第1及び第2ピーク値の各々を第1期間において基準値と複数回に亘り比較するだけで、回路内部での短絡の有無を判別できる。従って、放電灯を流れる管電流を検出する必要が無くなり、放電灯点灯装置を簡単に構成できる。また、管電流を検出する必要がないので、放電灯を両側駆動により点灯する場合であっても、放電灯に接続された第1及び第2の駆動回路の各々から放電灯に印加される電圧を個別に検出でき、第1及び第2の駆動装置の短絡を別々に検出できる。従って、放電灯を両側駆動により点灯する場合においても、装置内部の短絡を正確に検出できる。
上記構成において、第1及び第2の電圧検出手段によって検出された電圧の第1及び第2ピーク値の各々と基準値との比較は、バースト調光の点灯期間にのみ行われ、消灯期間では行わないので、バースト調光の消灯期間における電圧低下と、短絡による電圧低下とを区別できる。
さらに、上記構成において、好ましくは、制御手段は、消灯期間に突入した後の第2期間において、比較手段の動作を停止させる。この構成により、例えば、バースト調光における点灯期間の時比率が高い場合、消灯期間が存在するにも拘わらず、結果として駆動回路への駆動パルスの供給が連続して行われることがある。この場合、消灯期間における印加電圧の低下を、短絡による電圧低下と誤検出する可能性が高くなる。従って、消灯期間に突入後の第2期間において、比較手段による印加電圧のピーク値と基準値との比較を強制的に停止することによって、短絡の誤検出を防ぐ。
また、上記構成において、好ましくは、制御手段は、第1及び第2の駆動回路から放電灯への給電開始によって始まる始動期間において放電灯を連続調光にて点灯させ、始動期間の終了後に放電灯をバースト調光により点灯させ、始動期間のうち前半期間においては比較手段の動作を停止させる。放電灯への給電を開始した直後の始動期間は、印加電圧が低いために、装置内部で短絡やオペレータの感電が発生していなくても、異常と判別される可能性がある。従って、始動期間においては放電灯を連続調光にて点灯させるとともに、始動期間のうちの前半期間においては比較手段の動作を停止させ、始動期間の終了後、即ち放電灯の点灯状態が安定した後はバースト調光にて放電灯を点灯させることによって、放電灯の2つの電極の各々に印加された低い電圧を回路の短絡やオペレータの感電として誤検出するのを防止する。
さらに、上記構成において、好ましくは、第1の電圧検出手段は、一方の電極に印加された電圧を半波整流した後で第1ピーク値を検出し、第2の電圧検出手段は、他方の電極に印加された電圧を半波整流した後で第2ピーク値を検出する。検出された各電極の電圧を、半波整流後、ピークホールドを行うことなく直接比較手段に入力するので、装置内部の短絡を短時間のうちに検出することができる。
本発明の放電灯点灯装置によれば、大電流駆動または多灯駆動であっても、装置の短絡を的確に検出できるとともに、短絡時には放電灯への給電を迅速に停止できる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1に、本発明の第1の実施の形態である放電灯点灯装置10を示す。放電灯点灯装置10は、放電灯Lの点灯を放電灯Lの両側からそれぞれ給電することによって制御する両側駆動タイプであり、第1の駆動回路20Aと、第2駆動回路20Bと、制御手段としての制御回路30と、からなる。放電灯点灯装置10によって点灯が制御される放電灯Lは、両端にそれぞれ電極E1,E2を有する冷陰極管である。
第1の駆動回路20Aは、第1のインバータ回路22Aと、第1の変圧器24Aと、第1の共振コンデンサC11、C12とからなる。第1のインバータ回路22Aの入力端子A1,B1には、直流電源26Aが接続され、電源26Aから直流電圧Vinが第1のインバータ回路22Aに入力される。なお、端子B1は、基準電位G1に接続される。
第1のインバータ回路22Aは、フルブリッジタイプのインバータ回路である。入力端子A1,B1間に、スイッチング素子SW11及びスイッチング素子SW12が直列に接続され、スイッチング素子SW1mが高電位側に位置している。さらに、入力端子A1,B1間に、スイッチング素子SW13及びスイッチング素子SW14が直列に接続され、スイッチング素子SW13が高電位側に位置している。スイッチング素子SW11とスイッチング素子SW12との間のノードN11と、スイッチング素子SW13とスイッチング素子SW14との間のノードN12とは、第1のインバータ回路22Aの出力端子となっている。スイッチング素子SW11、SW12、SW13、SW14は、例えばMOS−FET等の半導体スイッチング素子からなり、それぞれ制御回路30から出力される駆動パルスとしての4つの制御信号GS11、GS12、GS13、GS14によって制御されて、出力端子N11、N12の間に、高周波数の交流電流が流れるようにオン・オフのスイッチング動作を行う。各スイッチング素子は、例えば、制御信号のレベルがHIGHになるとオンとなり、LOWになるとオフとなる。
第1の変圧器24Aは、1次コイルL11と2次コイルL12とからなる。1次コイルL11の両端は、第1のインバータ回路22Aの出力端子N11,N12に接続されている。2次コイルL12の一端は、直列に接続されたダイオードD11、ノードN13及び抵抗R1を介して基準電位G2に接続される。ダイオードD11は、アノードが2次コイルL12の一端に接続され、カソードがノードN13に接続され、2次コイルL12の一端からダイオードD11及び抵抗R1を経由して基準電位G2に向けて電流が流れるようになっている。抵抗R1の高電位端子は、制御回路30に接続され、抵抗R1は、第1の電流検出手段を構成する。さらに、2次コイルL12の一端と基準電位G2との間に、ダイオードD12が接続されている。ダイオードD12は、アノードが基準電位G2に接続され、カソードが2次コイルL12の一端に接続されている。このように接続されたダイオードD11、D12及び抵抗R1によって、2次コイルL12を流れる電流を検出する。
第1の共振コンデンサC11、C12は、2つのコンデンサC11、C12が直列に接続されて構成され、2次コイルL12と並列に接続されている。コンデンサC12は、低電位側に配置され、その一端は、基準電位G2に接続されている。コンデンサC11の一端は、2次コイルL12の他端に接続されている。コンデンサC11の一端と2次コイルL12の他端との間に位置するノードは、第1の駆動回路20Aの出力端子F1となっている。第1の駆動回路20Aの出力端子F1には、放電灯Lの一方の電極E1がバラストコンデンサC1Bを介して電気的に接続され、第1の駆動回路20Aから出力端子F1を介して管電流Iが放電灯Lに流れる。
コンデンサC12と並列にダイオードD13が並列に接続され、ダイオードD13のカソードは、コンデンサC11、C12の間のノードN14に接続され、ダイオードD13のアノードは基準電位G2に接続されている。さらに、ダイオードD13と並列に、直列に接続されたダイオードD14及びツェナーダイオードD15が接続されている。ダイオードD14は、アノードがダイオードD13のカソードに接続され、カソードがノードN15を介してツェナーダイオードD15のカソードに接続されている。ツェナーダイオードD15は、アノードが基準電位G2に接続される。さらに、ノードN15と基準電位G2との間には、抵抗R2が接続されている。上記のごとく接続されたコンデンサC12、ダイオードD13、D14、ツェナーダイオードD15は、第1の電圧検出手段を構成する。
ノードN15には、コンパレータ27Aの非反転入力端子が接続される。コンパレータ27Aの反転入力端子には、基準電圧VRが入力される。コンパレータの出力端子は、制御回路30に接続される。コンパレータ27Aは、比較手段を構成する。
第2の駆動回路20Bは、第2のインバータ回路22Bと、第2の変圧器24Bと、第2の共振コンデンサC21、C22とからなる。第2のインバータ回路22Bの入力端子A2,B2には、直流電源26Bが接続され、電源26Bから直流電圧Vinが第2のインバータ回路22Bに入力される。なお、端子B2は、基準電位G3に接続される。
第2のインバータ回路22Bは、第1のインバータ回路22Aと同様に4つのスイッチング素子SW21、SW22、SW23、SW24から構成されたフルブリッジタイプのインバータ回路である。第2のインバータ回路22Bは、第1のインバータ回路22Aと同様に、スイッチング素子SW11、SW12、SW13、SW14は、それぞれ制御回路30から出力される駆動パルスとしての4つの制御信号GS21、GS22、GS23、GS24によって制御されて、出力端子N21、N22の間に、高周波数の交流電流が流れるようにオン・オフのスイッチング動作を行う。
第2の変圧器24Bは、第1の変圧器24Aと同様に、1次コイルL21と2次コイルL22とからなり、1次コイルL21の両端は、第2のインバータ回路22Bの出力端子N21,N22に接続されている。2次コイルL22の一端には、第1の駆動回路20Aと同様に、ダイオードD21、D22、抵抗R3は、2次コイルL22を流れる電流を検出する第2の電流検出手段を構成する。抵抗R3の高電位端子は、制御回路30に接続される。
第2の共振コンデンサC21、C22は、2つのコンデンサC21、C22が直列に接続されて構成され、2次コイルL22と並列に接続されている。コンデンサC22は、低電位側に配置され、その一端は、基準電位G4に接続されている。コンデンサC21の一端は、2次コイルL22の他端に接続されている。コンデンサC21の一端と2次コイルL22の他端との間に位置するノードは、第2の駆動回路20Bの出力端子F2となっている。第2の駆動回路20Bの出力端子F2には、放電灯Lの他方の電極E2がバラストコンデンサC2Bを介して電気的に接続され、第2の駆動回路20Bから出力端子F2を介して管電流Iが放電灯Lに流れる。
コンデンサC22と並列にダイオードD23が並列に接続され、ダイオードD23のカソードは、コンデンサC21、C22の間のノードN24に接続され、ダイオードD23のアノードは基準電位G4に接続されている。さらに、ダイオードD23と並列に、直列に接続されたダイオードD24及びツェナーダイオードD25が接続されている。ダイオードD24は、アノードがノード25を介してダイオードD23のカソードに接続され、カソードがツェナーダイオードD25のカソードに接続されている。ツェナーダイオードD25は、アノードが基準電位G4に接続される。さらに、ノードN25と基準電位G4との間には、抵抗R4が接続されている。上記のごとく接続されたコンデンサC12、ダイオードD13、D14、ツェナーダイオードD15は、第2の電圧検出手段を構成する。
ノードN15には、コンパレータ27Bの非反転入力端子が接続される。コンパレータ27Bの反転入力端子には、基準電圧VRが入力される。コンパレータ27Bの出力端子は、制御回路30に接続される。コンパレータ27Bは、比較手段を構成する。
制御回路30は、デジタル回路からなり、図2に示すように、バースト信号を生成して、このバースト信号により、レベルがHIGHになる放電灯Lの点灯期間TONと、レベルがLOWになる消灯期間TOFFとからなる期間を1周期とする数百ヘルツ程度のバースト周波数を有するで放電灯Lを点灯させる。点灯期間TONと消灯期間TOFFとの割合は、放電灯Lの目標の輝度に応じて設定される。また、制御回路30は、放電灯点灯装置10を流れる管電流Iを検出して、放電灯Lが目標の輝度で発光するように駆動パルスの時比率を調整して第1及び第2の駆動回路20A、20Bから流れ出る管電流のフィードバック制御を行う。さらに、制御回路30は、必要に応じて放電灯Lを連続調光にて点灯させることが可能である。なお、バースト信号のバースト周波数は、数百ヘルツのオーダであり、一方、第1及び第2のインバータ回路22A,22Bから出力される交流周波数の周波数は、数キロヘルツから数十キロヘルツのオーダである。
次に、上記放電灯点灯装置10の動作について、図1乃至図2を参照して説明する。放電灯Lをバースト調光にて点灯させる際、制御回路は、図2に示すように、点灯期間TONと消灯期間TOFFとを1周期とする例えば100〜300Hz程度のバースト周波数で放電灯Lの点灯及び消灯を繰り返す(図2(a)、(b)参照)。制御回路30は、点灯期間TONにおいては、バースト信号がHIGHになることによって、駆動パルスGS11〜GS14,GS21〜GS24によって第1及び第2の駆動回路20A,20Bから高周波数fの管電流Iが放電灯Lに流れて放電灯Lを点灯させる。また、点灯期間TONにおいては、第1及び第2の変圧器24A,24Bの出力側に現れた電圧VTが、放電灯Lの電極E1に印加される(図2(d)参照)。
一方、消灯期間TOFFにおいては、第1及び第2の駆動回路20A,20Bからの管電流の供給を停止して放電灯Lを消灯させる。このとき、管電流I及び電圧Vのいずれもゼロになる。
放電灯点灯装置10では、装置10内部の短絡や、オペレータの感電により大量の電流が流れたことによって生じる著しい電圧低下を検出するための保護機能を有する。保護機能について以下に説明する。
短絡が発生したときにかかる短絡発生を即座に検出するために、例えば、第1の変圧器24Aの出力電圧VTを、図3に示すように、コンデンサC11,C12によってVTDに分圧し(図3(a)参照)、ダイオードD13,D14によって半波整流する(図3(b)参照)。半波整流した電圧値VTRを直接コンパレータ27Aに入力し、基準電圧VRと比較する。
次に、コンパレータ27Aの出力を制御回路30に入力する。制御回路30は、第1のインバータ回路22Aのスイッチング周波数に比較して十分に高周波数となる1MHz程度のクロックで動作しているので、例えば128クロック期間、即ち128μ秒を1つの検出単位期間として時間を分割し(図3(b)参照)、各検出単位期間において、第1の変圧器24Aの出力電圧VTに対応した電圧値VTRがコンパレータ27Aの基準電圧VRを越えたか否かを判別する。この判別において、1の検出単位期間に一度も電圧値VTRが基準電圧VRを越えなければ、第1の駆動回路20A内部で短絡が発生したと判定して、第1の駆動回路20Aからの給電を停止する。このように、例えば図4に示すように、1の検出単位期間に一度も電圧値VTRが基準電圧VRを越えなければ、第1の駆動回路20A内部で短絡が発生したと判定して、第1の駆動回路20Aから放電灯Lへの給電を遮断する。
また、オペレータが放電灯点灯装置10に感電した場合、管電流量の急激な増加によって電圧値VTRの低下が生じるが、このときも、感電の発生から1の検出単位時間に一度も電圧値VTRが基準電圧VRを越えなくなるので、第1の駆動回路20A内部で異常が発生したと判定して、異常の発生から遅くとも128μ秒後に第1の駆動回路20Aからの給電を停止する。従って、UL規格に基づいて2kΩの短絡により電圧値VTRが基準電圧VRを下回るような値に設定すれば、放電灯点灯装置10は、UL規格に基づいてオペレータを感電から保護することができる。
第1の駆動回路20Aから放電灯Lへの給電を遮断する手段としては、第1のインバータ回路22Aへの駆動パルスGS11〜GS14の供給停止、或いは、電源26Aと第1の駆動回路20Aとの間に、例えば入力端子A1のところに非常用のスイッチを設けて、短絡や感電の発生時にかかるスイッチを強制開放させるなど、適宜の構成や方法を採用できる。
このように、短絡や感電が発生した後、遅くとも128μ秒後に第1の駆動回路20Aから放電灯Lへの給電を停止させるので、短絡の検出に対して十分に速い応答を行うことができる。また、128μ秒は、第1のインバータ回路22Aのスイッチング周期の数パルス分に相当する時間であり、放電灯点灯装置10が正常に動作していれば1つの検出単位時間である128μ秒の間に何度も電圧値VTRが基準電圧VRを越えるので、誤動作を起こすことはない。なお、第2の駆動回路20Bも、第1の駆動回路20Aと同様に動作して、短絡の発生やオペレータの感電を検出し、その発生から128μ秒以内に放電灯Lへの給電を停止する。
この動作を図5に示すフローチャートで説明する。
1の検出単位時間の開始と共に、制御回路30内部のカウンタのカウント値nをリセットし、n=0とする(ステップS1)。次に、電圧値VTRと基準電圧VRとを比較する(ステップS2)。なお、この比較はコンパレータ27Aにて行われる。電圧値VTRが基準電圧VR以上であれば、ステップS3に進み、カウント値nが127であるかどうかを判別する。nが127でなければ、ステップS4にすすみ、カウント値を1つ増やして、ステップS3に戻る。ステップS3で、nが127であればステップS1に戻る。ステップS2で、電圧値VTRが基準電圧VRよりも小さければ、ステップS5に進み、nが127であるか否かを判別する。nが127でなければ、ステップS6に進み、カウント値を1だけ増やす。ステップS5にてnが127であれば、ステップS7に進み、放電灯Lへの給電を停止する。即ち、カウントが127までカウントされるまでの間に1度も電圧値VTRが基準電圧VRを越えなければ、短絡や感電が発生したと判断して、放電灯Lへの給電への給電を停止する。一方、カウントが127までカウントされるまでの間に1度でも電圧値VTRが基準電圧VRを越えれば、放電灯点灯装置10は正常に動作していると判断して放電灯点灯装置10の動作を継続させる。なお、図5に示す短絡又は感電発生の判定は、放電灯Lが連続調光によって点灯しているときに行うものである。
次に、バースト調光時に制御回路30が短絡又は感電を検出する実施例について説明する。
(実施例1)
図6に示すように、時刻t0でバースト信号がONになると、駆動パルスの第1の駆動回路20Aへの供給が開始され、スイッチング周波数に対応した交流周波数の管電流Iが流れ始める。制御回路30は、駆動パルスの供給を開始するとともに、駆動パルスの供給開始とともに、コンパレータ27Aからの出力信号を受け取って、検出単位時間毎の電圧値VTRと基準電圧VRとの比較を監視する。そして、バースト信号がOFFになると、検出単位時間毎の電圧値VTRと基準電圧VRとの比較を停止する。
この動作を図7に示すフローチャートで説明する。
放電灯Lの点灯開始とともに、第1の駆動回路20Aへの駆動パルスの供給が開始されたか否かを判別する(ステップS11)。駆動パルスの供給が開始されると、1の検出単位時間の計時を開始するために、制御回路30内部のカウンタのカウント値nをリセットし、n=0とする(ステップS12)。次に、バースト調光の点灯期間であるか否かを判別する(ステップS13)。点灯期間であれば、次に、電圧値VTRと基準電圧VRとを比較する(ステップS14)。電圧値VTRが基準電圧VR以上であれば、ステップS15に進み、カウント値nが127であるかどうかを判別する。nが127でなければ、ステップS16にすすみ、カウント値を1つ増やして、ステップS15に戻る。ステップS15で、nが127であればステップS12に戻り、次の検出単位時間に入る。ステップS14で、電圧値VTRが基準電圧VRよりも小さければ、ステップS17に進み、nが127であるか否かを判別する。nが127でなければ、ステップS18に進み、カウント値を1だけ増やす。ステップS17にてnが127であれば、ステップS19に進み、放電灯Lへの給電を停止する。即ち、カウントが127までカウントされるまでの間に1度も電圧値VTRが基準電圧VRを越えなければ、短絡や感電が発生したと判断して、放電灯Lへの給電への給電を停止する。一方、カウントが127までカウントされるまでの間に1度でも電圧値VTRが基準電圧VRを越えれば、放電灯点灯装置10は正常に動作していると判断して放電灯点灯装置10の動作を継続させる。
電圧値VTRが基準電圧VRとの比較、即ち短絡や感電の発生の判断は、放電灯Lが点灯期間にあるときにのみ行われ、放電灯Lが消灯期間にあるとき(ステップS13:N)は、電圧値VTRが基準電圧VRとの比較、即ち短絡や感電の発生の判断を行っていない。従って、バースト調光時の消灯期間における電圧低下を、短絡や感電による電圧低下と誤って判断することを防ぐことができる。
(実施例2)
図8に示すように、バースト調光における点灯期間と消灯期間との時比率が高いと、制御回路30から第1の駆動回路20Aへの駆動パルスの供給が、点灯期間および消灯期間に拘わらず連続して行われることがある。従って、消灯期間が短いために、見かけ上駆動パルスの供給が、隣り合う点灯期間の間でもとぎれることがないために、消灯期間によって生じる電圧低下を、誤って短絡や感電と判別することがある。
このような誤検出を防止するために、バースト信号がOFFになった直後からの所定期間Tb、次の点灯期間の開始にも拘わらず、制御回路30による電圧値VTRと基準電圧VRとの比較を停止することによって、短絡の誤検出を防ぐ。例えば、時刻t1でバースト信号がOFFになると、制御回路30による短絡及び感電の検出を所定期間Tbに亘り停止させる。そして、所定期間Tbが終了すると、電圧値VTRと基準電圧VRとの比較を再開して、短絡や感電の検出を行い、かかる異常の発生があった場合は、放電灯Lへの給電を停止する。
この動作を図9に示すフローチャートで説明する。
放電灯Lの点灯開始とともに、第1の駆動回路20Aへの駆動パルスの供給が開始されたか否かを判別する(ステップS21)。駆動パルスの供給が開始されると、1の検出単位時間の計時を開始するために、制御回路30内部のカウンタのカウント値nをリセットし、n=0とする(ステップS22)。次に、バースト調光の点灯期間であるか否かを判別する(ステップS23)。点灯期間であれば、次に、電圧値VTRと基準電圧VRとを比較する(ステップS24)。電圧値VTRが基準電圧VR以上であれば、ステップS25に進み、カウント値nが127であるかどうかを判別する。nが127でなければ、ステップS26にすすみ、カウント値を1つ増やして、ステップS25に戻る。ステップS25で、nが127であればステップS22に戻り、次の検出単位時間に入る。ステップS24で、電圧値VTRが基準電圧VRよりも小さければ、ステップS27に進み、nが127であるか否かを判別する。nが127でなければ、ステップS28に進み、カウント値を1だけ増やす。ステップS27にてnが127であれば、ステップS29に進み、放電灯Lへの給電を停止する。即ち、バースト調光の点灯期間において、カウントが127までカウントされるまでの間に1度も電圧値VTRが基準電圧VRを越えなければ、短絡や感電が発生したと判断して、放電灯Lへの給電への給電を停止する。一方、カウントが127までカウントされるまでの間に1度でも電圧値VTRが基準電圧VRを越えれば、放電灯点灯装置10は正常に動作していると判断して放電灯点灯装置10の動作を継続させる。
一方、ステップS23にて点灯期間でない、即ち消灯期間であると判断された場合、ステップ30にすすみ、タイマをリセットする。次に、タイマによる計測時間が検出停止時間Tbに達したか否かを判別する(ステップS31)。タイマによる計測時間が検出停止時間Tbに達するまでタイマによる計時を継続する。タイマによる計測時間が検出停止時間Tbに達した場合は、ステップ21に戻り、次の検出単位時間に入る。
このように、消灯期間に突入したことが確認された場合、所定期間Tbにおいて電圧値VTRと基準電圧VRとの比較動作を強制的に停止して、点灯期間の初期は電圧値VTRと基準電圧VRとの比較動作を行わないので、不安定な電圧による誤検出を防止できる。
(実施例3)
放電灯Lの点灯開始直後は、電圧値VTRが低いために、たとえ放電灯点灯装置10が正常に動作していたとしても、この電圧値VTRの低電圧状態を誤って短絡や感電の発生として誤検出することがある。そこで、放電灯Lの点灯開始から発光が安定するまでの始動期間T0は、放電灯Lを連続調光にて点灯させる。始動期間T0のうちの前半期間TSにおいては、電圧値VTRが低いために短絡や感電の検出を行わない。そして、始動期間T0の後半期間TLにおいて放電灯Lを連続調光させながら短絡や感電の検出を行う。次に、始動期間の終了後に放電灯Lの点灯状態をバースト調光に移行して、短絡や感電の検出を継続させ、かかる異常の発生があった場合には、放電灯Lへの給電を停止させる。
図10に示す波形図を参照して、放電灯点灯装置10の点灯開始直度の動作について説明する。時刻t10にて、放電灯点灯装置10が、始動信号のONによって起動されると、第1の駆動回路20Aへの駆動パルスの供給が開始され、管電流Iが放電灯Lを流れ始める。このとき、制御回路30は、放電灯Lを連続調光にて点灯させると共に、時刻t10から時刻t20間まで、例えば5m秒程度の期間TS、すなわち被検出期間TSにおいて、電圧値VTRと基準電圧VRとの比較動作を停止する。この被検出期間TSは、放電灯の点灯が不安定であるために電圧値VTRが低いので、電圧値VTRと基準電圧VRとの比較動作を停止することによって、かかる低電圧値VTRによる短絡や感電の誤検出を防止できる。
次に、時刻t20以降、即ち放電灯点灯開始から期間TSの経過後、始動期間T0の後半である検出期間TLに入ると、制御回路30は、放電灯Lの連続調光状態を維持しつつ、電圧値VTRと基準電圧VRとの比較動作を開始する。この検出期間TLは、約10m秒である。この期間TLにおいても、例えば128μ秒期間を単位として、第1の駆動回路20Aの出力電圧に対応した電圧値VTRと基準電圧VRとの比較を行う。この128μ秒期間の間に一度も電圧値VTRが基準電圧VRを越えなければ、短絡または感電が発生したと判断して、放電灯Lへの給電を停止する。
次に、時刻時刻t30において、始動期間T0が終了すると、バースト調光が開始され、バースト信号がONになると点灯期間になり、バースト信号がOFFになると消灯期間になる。バースト調光が開始されたあとの、時刻T30以降の短絡や感電の検出に対する制御回路30の監視は、バースト調光の時比率が低い場合は図6及び図7に示す方法、或いはバースト調光の時比率が高い場合は図8及び図9に示す方法と同様にして行われる。
このように、放電灯Lの点灯開始直後の電圧値VTRが不安定で且つ低い期間は、始動期間T0として放電灯Lを連続調光にて点灯させると共に、その前半期間TSにおいて短絡や感電の検出を強制的に行わないことによって、短絡や感電の誤検出を防止できる。
上記の放電灯点灯装置10は、両側駆動タイプであるから、第1及び第2の駆動回路20A,20Bのいずれか一方で、上記実施例1から3までに示す方法により短絡や感電の発生を検出した場合は、駆動回路20A、20Bの両方の動作を停止させて、いずれの駆動回路20A、20Bからの放電灯Lへの給電を停止するものである。このように、制御回路30を動作させることによって、放電灯点灯装置10は、放電灯Lの調光状態に拘わらず、すなわち連続調光及びバースト調光のいずれであっても、装置10に発生した短絡やオペレータの感電を、短時間のうちに検出でき、装置10やオペレータを異常から保護できる。
なお、上記の放電灯点灯装置10は、放電灯Lの両側に駆動回路をそれぞれ有する両側駆動で放電灯Lを点灯させるものであるが、本発明は、放電灯Lの一端に駆動装置を有し他端を基準電位に接続して放電灯を駆動する片側駆動にも適用できる。