JP4001615B2 - 安定で商業用グレードのルテインペーストの、オレオレジンからの単離、精製、処方方法 - Google Patents

安定で商業用グレードのルテインペーストの、オレオレジンからの単離、精製、処方方法 Download PDF

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Description

本発明は、周辺温度で約95%の収率でオレオレジンから安定化されたルテインを得る方法に関する。ルテインの結晶は、安定なルテインペーストを得るために非水溶性フラクションと混合される。それは、なんら添加物を用いない、分離方法、精製方法および安定化方法である。
カロチノイドは、天然に見出される植物色素の脂溶性のグループである。カロチノイドは、二つの主なカテゴリー、カロチンおよびキサントフィルに分類することができる。カロチンは、炭素と水素原子だけを含むカロチノイドを指し、たとえばβカロチン、αカロチンおよびリコペンである。キサントフィルは、さらなるヒドロキシル基またはケト基、あるいは両方を含む化合物を指す。たとえば、ルテイン、ゼアキサンチンである。
いくつかの研究は、カロチノイドの豊富な果物および野菜の消費がガン、心血管症および眼病に対する防護を提供することができることを示した。ヒトは、カロチンを作ることができないので、これらの重要な栄養分の源として食物またはサプルメントに依存する。カロチノイドは、一重項酸素および酸素フリーラジカルとのそれらの反応性の故に潜在的な膜抗酸化活性持つと判明した。一重項酸素は、生物系に関係しており、タンパク質、脂質およびDNAを損なうことができる。カロチノイドの抗癌作用は、カロチノイドの反酸素活性に起因している。ルテインは、カロチノイドのグループに属する重要な化合物である。科学的研究は、ルテインが、下記の項目において重要な役割を演ずることを示している:
1.眼の老化関連黄斑変性症の予防。
2.大腸癌の予防。
代謝の間に体内で発生したフリーラジカルは、眼に損傷を与える(糖尿病の場合にさらにひどい)。眼の繊細な組織は、主に多価不飽和脂肪酸を含む。それらは、フリーラジカルおよび酸化的ストレスに対して非常に弱い。健康な眼の組織には、ルテインを含む抗酸化剤の大きな栄養素が、この損傷に対抗するために存在する。種々の発表された研究は、ルテインまたはカロチノイドの摂取が眼病を弱めることができることを示唆する。
ルテインおよびゼアキサンチンは、目の黄斑に高度に濃縮されている。黄斑は、中心性視覚および高い視力に対応している網膜の小さな一部である。ルテインおよびゼアキサンチンからなる黄斑の黄色色素は、紫外部青色光の光酸化的影響の損傷から黄斑を保護する。人体は、ルテインをゼアキサンチンに代謝させる。ルテイン摂取は、ルテインおよびゼアキサンチンの血清レベルを上げて、紫外部青色光ブロッキングおよび予防の機能を向上させる。したがって、ルテインは、よりよい健康と病気の予防のための重要な栄養分として浮かび上がっている。世界の年配者からの、ルテインサプルメントに対する増加しつつある需要がある。
カロチノイドは、植物色素として存在する。それは、花(マリゴールドTagatea erecta)、果物(ベリー、トマト)および根菜(ニンジン、黄色ジャガイモ)から非常に容易に得られる。ヒドロキシルカロチノイドは、複合形のエステルとして存在する。それは、通常、ラウリン酸、ミリスチン酸、およびパルミチン酸のジエステルとして現れる。この形で、それは非常に安定である。しかし、ルテインエステル類(たとえば、マリゴールドからのルテインのジパルミテート)は、ヒト血清の中には存在しない。
Figure 0004001615
したがって、キサントフィルは、「R」によって示されるパルミチン酸との化学結合をもつルテインのエステルである。アルカリ加水分解で、R(パルミチン酸)は、下式のようにフリーのルテイン(それは1種のアルコールである)の生成とともに除去される。
Figure 0004001615
それは、部分的に加水分解し、ルテインだけが血清中に吸収される。したがって、生体有用性のためにサプリメントとしてフリーのルテインを提供することが重要である。しかし、フリーの形のルテインは、熱および酸化への曝露による分解を非常に受けやすい。ルテインは、貯蔵の間、安定なままではない。ルテインは、空気酸化によってルテインのエポキサイドに変換される。したがって、ここでの実の試みは、貯蔵寿命を改善するために、いかにルテインを安定化させるか、および加水分解反応の間、ルテインの損失をいかに最小にするか、である。化学物質を使わない安定化が非常に重要になる。温度と長時間の加工にさらされず、いかなる化学的添加剤も使用しないで天然の安定化材料で安定化させられうるフリーのルテインの生成方法を作り出す重要な必要性がある。
ルテインは、現在、5%、10%の顆粒の形で、そして10%、20%、および30%アッセイレベルフリーピュア(assay level Free pure)での安定なペーストの形で市販されている。90%のアッセイのルテインは、安定ではない。それは、直ぐにそれのエポキサイドに酸化される。このエポキサイドは、なんらの有用な生物学的性質を持っていない。ルテインは、通常、化学添加剤を添加することによって安定化され、5%〜30%の範囲のアッセイで利用できるようにされている。これは、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、トコフェロール、ローズマリー抽出物、植物油のような、外部からの安定化化合物の添加で安定化される。たとえ純粋なルテインが調製されても、それは、安定化の間、上記のような濃度までの防腐剤および安定化剤の添加によって希釈される。これらの安定化化学物質の多くは、非常に高価でもある。市販のルテインは、その固有の不安定性により、その安定化の問題、調製のための複雑な方法および製造における低い収率のせいで法外に高い価格である。
米国特許番号第5382714号明細書(フレデリック・カチク(Frederick Khachik))には、ケミン工業(株)(KEMIN INDUSRIES, Inc.)(アイオワ州デモイン)から商標名KEMINの名前で入手できる、鹸化されたマリーゴールドオレオレジンからのルテインの単離、精製および再結晶のための方法が開示されている。この特許は、植物中に存在するエステルからのルテインの遊離のための有効な方法を明記していないという点で、大きな短所を持つ。それは、仕込み物質中に存在するフリーのルテインの単離の方法を提供する。それは、仕込み原料においてなされるエステル交換反応の非効率性を恒久化する。この特許は、エステル破壊プロセスについて何も言っていない。その上、提案された精製のプロセスは、複数の溶媒および−20℃の温度を含む。これは、商業的に実行可能なプロセスとしての役をなさない。米国特許第5648564号明細書(アウジック(Ausich)ら)は、ルテインエステルの鹸化およびフリーのルテインの精製のためのプロセスを開示する。このプロセスは、3つの大きな短所を持つ:
1.鹸化が65℃〜80℃という高温で実行される。これは、ルテインの分解を引き起こすのに十分高い。
2.鹸化プロセス時間が、通常、少なくとも3時間である。したがって、反応時間が長い。これは、温度と相まって、ルテインの更なる分解に導く。
3.反応は、プロピレングリコールおよびエタノールおよび水性のアルカリ中で実行される。生成した反応混合物は、反応混合物中の水の存在によって非常に粘稠な石鹸様物質である。ルテインがマリーゴールドオレオレジンの水相鹸化反応の間に細かな結晶として現われることは非常によく知られている。この細かな結晶は、粘稠な混合液中に分散される。この特許で提案された分離プロセスは、全てのフリーのルテインを能率的には回収しない。したがって、このプロセスは、非常に優れたコスト効率の良い商業プロセスではない。
米国特許第5876782号明細書(サス(Sas)ら)は、バイオマス中でキサントフィルの非フリーの形をフリーのキサントフィルに変えるためのプロセスを記載する。このプロセスは、バイオマス中での低いパーセンテージのルテイン生成に適している。ここで再び、このプロセスは、高温(69℃)および10時間という長いプロセス時間という短所をかかえている。これらの条件のどちらも過酷であり、ルテインの分解を引き起こす。この物質は、動物または家禽の餌に適しているだけである。そのようなものとして、ヒトの食用にふさわしくない。米国特許第6262784号(B1)明細書(カチク(Khachik))は、有害な有機溶剤を使わずに植物から高純度のルテインおよびゼアキサンチンを、同時に抽出、鹸化、単離するためのプロセスを記載する。このプロセスは、抽出および鹸化のために非常に大量の溶媒を要する。溶媒テトラヒドロフランは、過酸化物を分解させるためおよび生成させるためのものと解される。この過酸化物は、カロチノイドを分解させることができる。植物材料中のカロチノイドは、通常1%〜2%で低い。このキサントフィルの低濃度および大量の溶媒を使用する必要性は、このプロセスを、非常にコスト効率の良いものにはしない。穀粉対溶媒比率は、1:20であり、総抽出物対溶媒比率は、1:1000である。これは、このプロセスの実用化を疑わしくする。
米国特許第6380442号(B1)明細書(マダヴィ(Madhavi)ら)は、高濃度の特定化合物を含む混合カロチノイドを単離し、精製するプロセスを記載する。このプロセスは、60〜65℃で90分間でイソプロパノール、水およびアルカリを使用する、マリーゴールドオレオレジンの加水分解を採用している。このプロセスは、温度および持続時間において前のプロセスより確かに良いが、それはまだ以下の短所をかかえている:
1.65℃という加水分解温度は、高くて、ルテイン分解を引き起こす。
2.90分の反応時間はまだ長く、この温度では酸化反応を引き起こす。
3.水相加水分解の間に遊離されたフリーのルテインは、常に非常に微小な結晶であり、それらは、ねばねばした石鹸様溶液の形に分散する。水性アルカリの存在は、反応混合物を非常に粘稠にさせる。このプロセスは、フリーのルテインの有効な回収に対する商業的に実現可能な分離法を提供しない。提案された方法に従って濃厚なねばねばした石鹸様混合物からルテインの沈殿した結晶すべてを取り出すことは、非常に難しい。
米国特許第6504067号(B1)明細書(モントーヤ(Montoya)ら)は、アルカリおよび酸でオレオレジンを洗浄することに関する特許を記載する。この洗浄されたオレオレジンは、有効接触のために乳化剤の存在において、8時間90℃の温度で、水性アルカリ加水分解にかけられる。このプロセスもまた、先に述べたような分離問題とともに、フリーのルテインの分解に導びく高温および長いサイクル時間という短所をかかえている。
10%、20%または30%製品としての市販ルテインに対する増加する需要に鑑み、フリーのルテインの遊離、およびなんら添加剤を使わずに貯蔵の間安定化している、そのエステルからのそれの分離のための、無水、室温、低い暴露時間加水分解法に対する必要性が存在する。ルテインのこれらの微小な結晶は、全収率を上げるために脂肪酸石鹸マトリックスから効果的に分離される必要がある。前述の特徴が提供されるならば、コスト効果的な経済的に存立できるプロセス(これは、温度および酸化によるルテイン分解を最少にし、フリーのルテインを最少の石鹸様塊から遊離することによって収率を改善する)を開発することができる。このルテインは、なんら添加物を添加しないで、新しい方法によって安定化することができる。このルテインは、実行可能な価格で、10%、20%および30%アッセイレベルの商業ルテインとして市販されることができる。
本発明は、安定化されたルテインを得るためのプロセスに関する。
本発明の他の目的は、高収量の純粋なルテインを得るためのプロセスを開発することである。
本発明のさらにもう一つの目的は、熱エネルギーの消費なしに、周囲温度でルテインを得るためのプロセスを開発することと関連する。
本発明のさらに別の目的は、得られたルテインが約35%アッセイの安定なルテインであるルテインを得るためのプロセスを開発することと関連する。
本発明のさらに別の目的は、なんらの分解なしで少なくとも2、3ヵ月の間周囲条件で安定であるルテインを得るためのプロセスを開発することと関連する。本発明のさらに別の目的は、ルテインが正常な貯蔵条件にとどまっていて、商業用途に対し適するルテインを得るためのプロセスを開発することと関連する。
本発明は、水を使わずに、低温での、そして、相間移動触媒を使用して最短反応時間での、キサントフィルをルテインへ加水分解する新規な方法を提供する。申告された発明は、加水分解の間に作られる石鹸のマトリックス中に分散する微細な結晶質のルテインの分離のための非常に有効な方法を提供する。提案された方法は、石鹸の生成を最小にする。
本発明のある態様によれば、フリーで安定なルテインの生産のための非常にコンパクトでコスト効率の良い方法が、好ましくは10%、20%および30%のアッセイレベルの商品純度において、提供される。本発明は、低温、かつより短い時間サイクルでこれらのプロセスを達成することによって温度不安定性ルテインの分解を最少にするプロセス、そして、また、何らの添加物なしでこのルテインを安定化する方法を提供して、市販グレードのルテイン生成を援助する。
したがって、本発明は、周囲温度でオレオレジンから約95%の収率で安定化されたルテインを得るためのプロセスに関し、前記プロセスは、濾過時点で、溶解したキサントフィルエステルを透明な溶液として得るために、洗浄したオレオレジンをアルコールに溶解すること、キサントフィルエステルを含む、溶解したオレオレジンの透明溶液をイオン交換樹脂中で洗浄すること、アルコール媒体中で相間移動触媒の存在において塩基で透明な溶液を加水分解すること、酸性のpHを維持しながら加水分解された溶液を水の中で急冷し、濾過して不溶解の固体を得ること、前記固体をエステルに溶解して、濾過でエステル層を得ること、エステル層を乾燥して半固体残渣を得ること、アルコール中で半固体残渣を完全に粉砕し、それによって約65%アッセイのルテイン結晶およびアルコールフラクションを得ること、アルコールフラクションを蒸留して、非水溶性フラクションを得ること、そして、ルテインの結晶を非水溶性フラクションと混合して、安定なルテインペーストを得ることを含む。
本発明の一態様では、周囲温度でオレオレジンから約95%の収率で安定化されたルテインを得るためのプロセスに関し、前記プロセスは、
a.洗浄したオレオレジンをアルコールに溶解させ、濾過して透明な溶液として溶解したキサントフィルエステルを得る、
b.キサントフィルエステルを含む、溶解したオレオレジンの透明溶液をイオン交換樹脂中で洗浄する、
c.アルコール媒体中に相間移動触媒を存在させてその透明な溶液を塩基で加水分解する、
d.酸性のpHを維持しながら水の中で加水分解された溶液を急冷し、濾過によって未溶解の固体を得る、
e.エステルに該固体を溶解させ、濾過でエステル層を得る、
f.エステル層を乾燥し、半固体残渣を得る、
g.アルコール中で半固体残渣を完全に粉砕し、それにより約65%アッセイのルテインの結晶およびアルコールフラクションを得る、
h.アルコールフラクションを蒸留し、非水溶性フラクションを得る、
i.ステップ(g)のルテインの結晶をステップ(h)の非水溶性フラクションと混合し、安定なルテインペーストを得る、
というステップを含む。
本発明の他の態様において、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびペンタノールを含む群から選択される。
本発明のさらにもう一つの態様において、プロセスに使用されるアルコールは、ブタノールである。
本発明のさらに別の態様において、プロセスで使用されるイオン交換樹脂は、強塩基アニオン樹脂である。
本発明のさらに別の態様において、該塩基は、粉末の形で、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含む群から選択される。
本発明のさらに別の態様において、プロセスに使用される該相間移動触媒は第四級塩である。
本発明のさらに別の態様において、プロセスの該第四級塩は、第四級ホスホニウム塩および第四アンモニウム塩を含む群から選択される。
本発明のさらに別の態様において、第四級塩類は、テトラブチル臭化アンモニウムおよび硫酸水素テトラブチルアンモニウムである。
本発明のさらに別の態様において、該エステルは、酢酸エチル、ブチルアセテート、酢酸アミルおよび酢酸2-エチルヘキシルを含む群から選択される。
本発明のさらに別の態様において、プロセスで使用される該エステルは、酢酸エチルである。
本発明のさらに別の態様において、反応体を尿素で急冷すること。
本発明のさらに別の態様において、pHは3.2〜4.3の間の範囲である。
本発明のさらに別の態様において、酢酸でもってpHを維持すること。
本発明のさらに別の態様において、濾紙で溶液を濾過すること。
本発明のさらに別の態様において、プロセスで使用されるオレオレジンはマリーゴールドオレオレジンである。
本発明のさらに別の態様において、プロセスで使用される粉砕用アルコールはエチルアルコールである。
本発明のさらに別の態様において、プロセスで使用される安定なルテインは約35%アッセイをもつ。
本発明のさらに別の態様において、安定化材料は、アルコールの蒸留の後に得られた加水分解の反応混合物の非水溶性フラクションである。
本発明のさらに別の態様において、ルテインフラクションは、安定なルテインペーストを得るために、加水分解の反応混合物の非水溶性フラクションと混合させられる。
本発明のさらに別の態様において、安定化されたルテインは、周囲条件で少なくとも6ヵ月の期間、なんらの分解も起こらない状態である。
本発明のさらに別の態様において、前記ルテインは、通常の貯蔵条件で商業用途に適した状態にある。
本発明では、我々は、溶媒としてn−ブタノールを使用してきた。それがキサントフィルエステルを完全に溶かし、上記の基準を満たすからである。選択された塩基は、それぞれ98%および85%強度の水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム固体粉末である。相間移動触媒は、第四級ホスホニウム塩、第四級アンモニウム塩、好ましくは、それらのイオン対機能の能力のためにアンモニウム塩、から成る多数の化合物から選択された。反応条件は、脂肪酸エステルの加水分解機構に適合するように開発されている。本件において、形成されたルテインを過剰な熱のために損なうことのないような配慮がなされた。前記化合物が熱に不安定なためである。反応温度は、40℃〜50℃の間、好ましくは45℃であった。前記条件を維持することによって、反応時間は30分に短縮された。48℃での反応では、完了のために必要な時間はたったの1/2時間である。40℃で必要とされた時間は、通常の相間移動条件で1時間であった。
加水分解の間の遊離酸度および以降の粘稠な石鹸生成を処理するために、オレオレジンの全遊離脂肪酸を除去する前処理として、イオン交換樹脂による処置が、40℃〜50℃の範囲の温度で導入された。利用された樹脂は、ゲルまたはマクロの多孔性樹脂の形の強塩基陰イオン交換体であった。このプロセスは、石鹸様物質の最小の生成、およびルテインのより良い分離に役立つ。このプロセスはルテイン収率を高める。
単離は、錯化剤として尿素を含むDM水(DM water)の中で反応生成体を急冷することによって実行された。この後に、ルテインが可溶であるエステル系溶剤による、pH調整、濾過、抽出が続く。生成した石鹸様物質、相間移動触媒などのような水溶性反応生成物はすべて、水相中に溶解したままである。前記エステルが、元の反応混合物からルテイン、遊離脂肪酸およびワックスのような非水溶性反応生成物を取り除く。前記溶媒は、15℃〜50℃の範囲の温度で、好ましくは40℃で、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸2−エチルヘキシル、好ましくは酢酸エチルである。溶媒は、真空下45℃で蒸発させられる。
前のプロセスから得られたペーストは、炭素数1〜5の直鎖脂肪族アルコールから成るアルコール溶媒の4〜5倍量と混合される。これは、よく撹拌される。好ましくは、使用されるアルコールはエタノールであり、それは人間の消費になじみやすい。ルテインは、固体として沈下する。55%〜60%純度のルテインを得るために、これは、濾過され、真空オーブンで乾燥される。アルコールフラクションは、真空下で完全に蒸留され、赤いペースト状の物質を得る。この物質は、加水分解反応の非水溶性フラクションから成り、そして遊離脂肪酸およびワックスから成る。これは、結晶としてルテインが遊離した後の反応生成体からの残留物である。これは、少量の未分離のルテインをなお含むので、赤みがかったオレンジ色をしている。精製されたルテインがこの脂肪酸とワックスの混合物と混合されるならば、ルテインは安定化して、酸化されることのない安定な形で存在するという、驚くべき発見がなされた。こうして得られたルテインは、研究室用リボンブレンダー中で物理的に混合することによって、このペースト様物質に混入される。この得られたペーストは、約30%のルテインを含み、通常の周辺貯蔵条件で6ヵ月以上安定なままである。フリーのルテインは、フリーのままである。それは、脂肪酸またはワックスと化学的に結合しない。
本発明は、下記の実験例の助けによってさらに詳細に説明されるが、発明の範囲を限定するためと解釈されてはならない。
実験1
13.8重量%のルテインエステル(キサントフィル−マリーゴールドオレオレジン)を含むマリーゴールドオレオレジン50グラムを、40℃で500mlのn−ブチルアルコールに溶解し、濾紙を通して濾過して透明な溶液を得る。この溶液を、温度計と窒素噴出ラインを取付けた丸底三首フラスコに取り、内部温度を45℃に調整する。上記の溶液に3.0グラムのテトラブチルアンモニウムブロミドを添加し、5分間撹拌する。上記の溶液に、5グラムの水酸化ナトリウム粉末を添加して、撹拌した。内部の温度は、発熱性である反応のために、50℃を上げる。これを、45℃に冷却する。反応生成体は、1/2時間後に出発原料の存在しないことをチェックした。反応生成体は、尿素250gを含む5リットルの水の中で急冷した。この溶液のpHを、80グラムの酢酸を使用して、3.5〜4.0に調整した。反応生成体は、濾紙を通して濾過した。残留した固体を、35℃で250mlの酢酸エチルに溶解し、再度、不溶物を除去するために濾過した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、50℃以下で蒸留して半固体残渣を得た。残渣を4〜5倍量のエチルアルコールとともに4時間粉砕し、窒素ブランケットの下で濾過した。乾燥ルテイン結晶を集めて50℃の真空オーブン中乾燥する。乾燥の後、真空は、窒素を使用して戻し、物質は、黒色の、2層構造の食品グレードの容器に詰める。最終重量6グラム、および、ルテインのアッセイは、90%ルテインの全収率で、UV法によって52%である。
実験2
14.9重量%のルテインエステル(オレオレジン)を含むマリーゴールドオレオレジン50グラムを、40℃で500mlのn−ブチルアルコールに溶解し、濾紙を通して濾過して透明な溶液を得る。この溶液を、温度計と窒素噴出ラインを取付けた丸底三首フラスコに採り、内部の温度を45℃に調整する。上記の溶液に硫酸水素テトラブチルアンモニウム3.0グラムを添加し、5分間撹拌する。上記の溶液に水酸化ナトリウム粉末5gを添加して、撹拌した。内部の温度は、発熱反応のせいで、50℃に上がる。これを45℃に冷却する。反応生成体について、1/2時間後に出発原料の欠如を調べた。反応生成体を、尿素250gを含む5リットルの水の中で急冷させた。この溶液のpHは、酢酸80グラムを使用して、3.5〜4.0に調整した。反応生成体は、濾紙を通して濾過した。残留固体を、35℃で酢酸エチル250mlに溶解し、不溶物を除去するために、再び濾過した。酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、60℃以下で蒸留して、半固体残渣を得た。残渣を、4時間4〜5倍量のエチルアルコールとともに粉砕し、窒素ブランケットの下で濾過する。乾燥ルテインの結晶を収集して、50℃で真空オーブン中で乾燥する。乾燥の後、真空を、窒素を使用して戻し、物質を、黒色2層の食品グレードの容器に詰める。91%の収率で、UV法による58%のアッセイの最終重量5.8グラム。
実験3
13.3重量%のルテインエステル(オレオレジン)を含むマリーゴールドオレオレジン50グラムを、200mlのn−ブチルアルコールに溶解し、濾過して、透明な溶液を得る。上記の溶液に、新たに再生した強塩基陰イオン交換樹脂50mlを添加する(たとえば、樹脂INDION860)。この溶液を2時間50℃で撹拌して、冷却し、樹脂を濾取する。その樹脂をブチルアルコール200mlで洗浄し、洗浄液を濾液と合した。総濾液に臭化テトラブチルアンモニウムの3グラムおよび粉末状の水酸化ナトリウムの5グラムを添加し、50℃未満で1時間撹拌した。反応をT.L.C.を使用してモニターし、第一の実験で述べられている通りにワークアップ(work up)を遂行し、そして最終重量は、94%の収率でルテイン52%のアッセイを持つ6グラムである。
実験4
上記の実験を、水酸化ナトリウム粉末の代わりに5.3グラムの水酸化カリウム粉末を使用して繰り返した。最終のワークアップは、上の2つ実験に従ってであった。UV法によってそれぞれ、60%および58%アッセイの5グラムおよび5.5グラムのルテインを得ること。
実験5
14.8重量%のルテインエステル(オレオレジン)を含むマリーゴールドオレオレジン50グラムを、200mlのn−ブチルアルコールに溶解し、濾過して透明な溶液を得る。上記の溶液に、新たに再生した強塩基陰イオン交換樹脂50mlを添加する。この溶液を、2時間50℃で撹拌し、冷却して、樹脂を濾取する。その樹脂を200mlのブチルアルコールで洗浄し、洗浄液を濾液と合した。全濾液に硫酸水素テトラブチルアンモニウムの3グラムおよび粉末状の水酸化ナトリウムの5グラムを添加し、50℃以下で1時間撹拌した。反応は、T.L.C.を使用してモニターする、そして第一の実験において述べたようにワークアップを遂行した、そして、最終重量は、54%アッセイルテインの6.1gである。
実験6
水酸化ナトリウム固体の代わりに5.3グラムの水酸化カリウム固体を用いて上記の2つの実験を繰り返した。そして、反応条件およびワークアップは、先の実験で述べたのと同一であった。ルテインの重量は、58.3%および58%アッセイのそれぞれ5.9グラムおよび5.8グラムである。
実験7
13.4重量%のルテインエステルを含むマリーゴールドオレオレジン50グラムを、200mlのn−ブチルアルコールに溶解し、40℃で透明な溶液を得るために濾過する。40〜45℃で窒素雰囲気下、上記の溶液に、テトラブチルアンモニウムブロミド3.0グラムを添加し、5分間撹拌する。上記の溶液に、5グラムの粉末状水酸化ナトリウムを撹拌の下に添加する。内部の温度は、発熱量のために10分で45℃に達した、そして1/2時間維持した。ペーストを与えるために実験No.1に示されたように、TLC検査および尿素&酢酸におけるワークアップの後で。このペーストを250mlの酢酸エチルに溶解した、そして水分を、無水硫酸ナトリウムを使用して溶媒層を乾燥させることによって除去した。この溶媒層は、40℃で真空下、蒸留されて、ペースト状物質19グラムを生じる。このペーストは、100mlの純エチルアルコールと混合した、そしてそのペーストがエチルアルコール中に溶けるまで室温で保存した。その後、撹拌を止めた、そして、それが沈下するままに放置した。これを濾過し、52%の5.8グラムの乾燥後のルテイン残渣を得た。アルコールフラクションを完全に蒸留し、4.3グラムのペーストを得た。このフラクションは、反応生成物の非水溶性フラクションである。これは、本質的に、反応混合物からの脂肪酸およびワックスから成る。この物質は、フリーのルテインをこの物質と混合することによってフリーのルテインを安定化する安定化剤として使用される。そのルテインを研究室用ブレンダー中でこのペーストと混合して、ルテインペースト10.1グラムのペーストを得た。これは、ペーストとルテインのフリーの混合物である。ここには化学反応はない。この物質は、分光器によってフリーのルテイン含量について分析して、30.2%のフリーのルテインであると判明した.この物質を、二層の黒色の食品用容器中で35〜40℃で、貯蔵安定性のために、保持した。温度および湿気(35〜40℃の温度および49〜76%の相対湿度)の周辺条件で、結果は以下である:
Figure 0004001615
上の表は、通常の周辺(35〜40℃)貯蔵条件の下でのルテインの分解のなさを示す。フリーのルテイン含量は、6ヵ月の終わりで30.1%に維持されている。この安定なルテインペーストは、商業用グレードのルテインで利用できる最大のアッセイに匹敵する。これは、食物およびサプリメントにおける使用の目的のために使用することができる。これはまた、5%および10%のbilletへの転換のために役立ち、当業者によって行われることが可能である。
ルテインは、元々、近傍の分子に化学的に結合して、オレオレジン中に存在する。本発明の加水分解は、純粋なルテインの単離を容易にする。しかし、単離した、純粋なルテインを安定化するために、それを、ルテインの同じ出所からの非水溶性フラクションと混合する。この相互作用は、物理的相互作用であって、何ら化学結合を含まない。このルテインは、マトリックス中に安定に存在して、種々の所望の目的のために使用することができる。
前記のフラクションとルテインの混合は、安定化を遂行する。化学反応はない。通常の危険な薬品の代わりに、我々は、この天然製品の部分が安定化剤として使用することができるということを発見した。実際、発明者ら自身が、いかなる重要な活性損失もなしの、ルテインのそのような高い安定性に気付いて驚いた。
本発明は、低温および短い反応時間の条件を提供する。これは、反応中の、減少したルテイン損失に導く。それは、さらに収率を高める。さらに、単離プロセスの間の水の不使用のために、石鹸生成が減少する。これもまた、ルテインの損失を最小にする。安定化されたルテインは、食品および食物サプリメントにおいて安全に使用することができる。本プロセスは、化学物質(これは高価である)でルテインを安定化する必要性を不要にする。さらに、それは、我々のプロセスを従来のプロセスから区別するのに役立つ。このように、本プロセスは、非常に経済的なプロセスである。

Claims (21)

  1. 周辺温度でオレオレジンから約95%の収率で安定化されたルテインを得るためのプロセスであって、前記プロセスが、
    a.洗浄したオレオレジンをアルコールに溶解させ、濾過で透明溶液として溶解したキサントフィルエステルを得る、
    b.キサントフィルエステルを含む、溶解したオレオレジンの透明溶液をイオン交換樹脂中で洗浄する、
    c.アルコール媒体中で相間移動触媒の存在において塩基により前記透明溶液を加水分解すること、
    d.酸性のpHを維持しながら水中で加水分解された溶液を急冷し、濾過で未溶解の固体を得る、
    e.エステルに前記固体を溶解させ、濾過してエステル層を得る、
    f.エステル層を乾燥させ、半固体残渣を得る、
    g.アルコール中で前記半固体残渣を粉砕し、それによって約65%アッセイ(assay)のルテイン結晶およびアルコールフラクションを得ること、
    h.前記アルコールフラクションを蒸留し、非水溶性フラクションを得る、および
    i.ステップ(g)のルテイン結晶をステップ(h)の非水溶性フラクションと混合させ、安定なルテインペーストを得る、
    というステップを含むプロセス。
  2. 前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびペンタノールを含む群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記アルコールがブタノールである、請求項1に記載のプロセス。
  4. 使用されるイオン交換樹脂が強塩基アニオン樹脂である、請求項1に記載のプロセス。
  5. 塩基が、粉末の形で、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含む群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
  6. 相間移動触媒が第四級塩である、請求項1に記載のプロセス。
  7. 第四級塩が第四級ホスホニウム塩および第四アンモニウム塩を含む群から選択される、請求項6に記載のプロセス。
  8. 第四級塩類がテトラブチルアンモニウムブロミドおよび硫酸水素テトラブチルアンモニウムである、請求項6に記載のプロセス。
  9. 前記エステルが酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルおよび酢酸2-エチルヘキシルを含む群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
  10. 前記エステルが酢酸エチルである、請求項1に記載のプロセス。
  11. 尿素で反応生成体を急冷する、請求項1に記載のプロセス。
  12. pHが3.2〜4.3の範囲である、請求項1に記載のプロセス。
  13. 酢酸でpHを維持する、請求項1に記載のプロセス。
  14. 濾紙で溶液を濾過する、請求項1に記載のプロセス。
  15. オレオレジンがマリーゴールドオレオレジンである、請求項1に記載のプロセス。
  16. 粉砕用アルコールがエチルアルコールである、請求項1に記載のプロセス。
  17. 安定なルテインが約35%アッセイである、請求項1に記載のプロセス。
  18. 安定化物質が、アルコールの蒸留の後得られた加水分解の反応混合物の非水溶性フラクションである、請求項1に記載のプロセス。
  19. 安定なルテインペーストを得るために、ステップ(g)から得られたルテインフラクションが加水分解の反応混合物の非水溶性フラクションと混合させられる、請求項1に記載のプロセス。
  20. 安定化されたルテインが少なくとも6ヵ月の期間中、周辺条件でなんら分解しないでとどまっている、請求項1に記載のプロセス。
  21. ステップ(i)のルテインが、通常の貯蔵条件で商業用途に適し続けている、請求項1に記載のプロセス。
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