以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、回胴式遊技機の外観及び基本構造を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る回胴式遊技機の正面図、図2は同回胴式有機機の側面図、図3は同回胴式遊技機における筐体の正面図、図4は前扉に使用されるデザインパネルの斜視図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の回胴式遊技機1はパチスロ機である。この回胴式遊技機1は、四角形の箱体内に回転ドラムを内蔵した筐体1aと、筐体1aの正面側に開閉自在に取付けられた前扉1bとを備えている。
回胴式遊技機1の本体である筐体1aは、図3に示すように、中段部にドラム部2を内蔵している。ドラム部2は、横に並んだ3つの縦型の回転ドラム、すなわち左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cにより構成される。各回転ドラムの内部には、回胴部図柄表示LEDが設けられており、各種演出に応じて発光(点灯や点滅)又は消灯を行う。なお、パチンコ機や液晶表示装置での表示を主とする特殊な回胴式遊技機(例えば、ロデオ社製パチスロ機「カイジ」)の場合は、小型のドラム部2が前扉1bに取り付けられる。
筐体1a内のドラム部2より下には、メダル払出装置18(メダルホッパー18)が設けられると共に、メダル払出装置18の側方に位置して電源部170が設けられている。電源部170は、電源スイッチ170cを装備しており、電源スイッチ170cをオン状態にすることにより、各回路ブロックに電源を供給し、初期チェックや初期設定の後、変動表示ゲームを実行させる。
電源部170には、電源スイッチ170cと共に、設定用キースイッチ170a、及びエラー解除スイッチ170bが設けられている。設定用キースイッチ170aは、設定変更許可スイッチとも呼ばれ、出玉率の段階設定や段階確認を行うときに使用される。操作キーを鍵穴170dに差し込んで回転させることにより、OFFからONの状態又は逆のONからOFFの状態にすることができる。エラー解除スイッチ170bは、出玉率の段階設定を行う時やエラーによる遊技の中止を解除する時に使用される。
回胴式遊技機の顔とも言うべき前扉1bは、前記筐体1aの正面側に片ヒンジ結合により開閉可能に取付けられている。この前扉1bにおいては、高級感の創出やデザイン性の要求で独特の金属感が求められており、通常のクロムめっき、ダーククロムめっき、本物の硬質金めっき、メタライジング(めっき)やサテン調(めっき)などを樹脂素材に付加し華やかさが演出されている。
前扉1bの中段からその上側にかけての目立つ部分には、四角形の透明パネル21が嵌め込まれた角窓が設けられている。角窓には、透明パネル21の裏側に位置してデザインパネル22が取り付けられている。
デザインパネル22は、図4に示すように、ゲーム状況に応じて各種演出を行う表示演出装置11(又は映像装置)を取り付ける表示演出装置取付部22jが形成された上面部22a、図柄表示窓3が形成された中面部22b、及び発光表示装置が取り付けられる下面部22cとで形成された底面部22dを有する。底面部22dは内部側へ折れ曲がっており、底面部22dによって繋がれる左側面部22e及び右側面部22fと共に、略箱型形状となって奥まった空間を形成する。
底面部22d上には、立体的に突出する装飾物23、又はゲームの進行に応じて駆動される立体的な電動式駆動物24(例えば、内部当選役とは無関係で単なる演出に用いる電動式のおもちゃや開閉式の扉、又は大当たりや小当たりなど特定の条件が成立すると開き、多くの玉の払い出しにつながる役物で、大入賞口とも呼ばれる。羽根型、箱型、チューリップ型などさまざまな形がある。)が設けられている。
底面部22dの上側及び下側には、当該デザインパネル22を前扉1bに取り付けるための複数の取付穴が形成された上部取付部22g及び下部取付部22hが連設されている。3面構造の底面部22d、左側面部22e及び右側面部22fからなる5つの内面に装飾用シールを貼ることにより、特に底面部22dでは3つの略平面が形成されている。ただし、装飾物23や電動式駆動物24が設けられているので、若干の凹凸があるのは当然である。
デザインパネル22の中面部22bには、四角形の図柄表示窓3が設けられている。この図柄表示窓3により、ドラム部2に貼り付けられている図柄が透明パネル21を通して目視可能となる。この図柄表示窓3には、横方向に延びる3本の有効ラインと、斜め方向に交差する2本の有効ラインとの合計5本の有効ラインが、左ドラム2aと中ドラム2b及び中ドラム2bと右ドラム2cを結ぶ線で目立つように表示されている。有効ラインの下側には、回胴部ライン表示LEDが埋め込まれており、入賞時に点灯又は点滅するようになっている。
図柄表示窓3が設けられた中面部22bの下側に位置する下面部22cには、表示LEDブロック4が設けられている。表示LEDブロック4は、投入枚数LED4a、メダル貯留枚数表示LED4b、メダル払出枚数表示LED4c及びナビゲーションLED4dの表示LED群で構成される。
投入枚数LED4aは、遊技を行うために後述する遊技メダル投入口5から投入された遊技メダルの枚数、又は後述するマックスベットボタン8や1ベットボタン7によって投入された遊技メダルの枚数を表示する。メダル貯留枚数表示LED4bは、遊技メダルの貯留枚数(クレジット数)を例えば所定最大数50枚の範囲で表示し、また、貯留メダルの精算時における払い出し演出表示を行う。
メダル払出枚数表示LED4cは、入賞時に払出メダルの枚数を表示し、また打止め中、出玉率の段階設定値及びエラー発生時のエラーコードを表示する。メダル払出枚数表示LED4cは、出玉率の段階設定値を表示しており、エラー解除スイッチ170bを押すたびに値が+1され、「6」表示の次には「1」に戻り、ターンアラウンド表示する(図3参照)。
ナビゲーションLED4dは、ゲーム状況に応じた各種演出表示を行う。例えば、登場人物のパワーレベルや戦闘機に配備されている機銃や爆弾の数又は破壊度や、効果音に対応した音量レベル表示(一般にはイコライザーとして知られている)を行う。なお、ナビゲーション用としては、小型の液晶表示装置でもよい。
上面部22aの表示演出装置取付部22jに取付けられた表示演出装置11は、調光シートを使用する表示パネル11eと、その背後に移動自在に配置された立体物11rと、その更に背後に配置された図示されないプロジェクターとを備えている。この表示演出装置は、本実施形態の回動式遊技機の重要部分の一つであり、その構造及び機能については後で詳しく説明する。
前扉1b及びデザインパネル22は、樹脂素材を金型で一体成形して形成される。成形の方法としては一般に、射出成形、押出成形、発泡成形や真空成形などが用いられる。
その樹脂材料としては、汎用樹脂であるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、エンプラのPA(ポリアミド[ ナイロン])、PC(ポリカーボネート) 、POM(ポリアセタール) 、PPE(ポリフェニレンエーテル) 、PET(ポリエチレンテレフタレート) 、PBT(ポリブチレンテレフタレート) 、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、スーパーエンプラのPPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(液晶ポリマ)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PAR(ポリアリレート) 及び熱硬化性樹脂のフェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ユリア樹脂が用いられる。
図4(B)に示すデザインパネル22は、更に折れ曲がった面(淵)として最上面部22iが設けられている点で図4(A)のものと相違する。なお、この最上面部22iを設けることにより、取り付けた表示演出装置11を遊技者に見えやすくできる点と、デザインパネル自身が一層強固になる点で有利となる。
前扉1bには更に、透明パネル21が嵌め込まれた角窓の下側に位置して、遊技メダル投入口5、清算ボタン6、1ベッドボタン7、マックスベッドボタン8、スタートレバー9、停止ボタン部10、ドア鍵穴14、スペシャルボタン19及び投入メダル詰まり返却ボタン28が設けられている。これらは、前扉1bの中段部正面の操作部に集中的に配置されている。
遊技メダル投入口5は、ドラム部2(回転ドラム)を回転及び停止させる変動表示ゲームを開始させるための遊技メダル(遊技媒体であり、コインという場合もある)を投入するところである。なお、遊技メダル投入口5の両サイドにはメダル投入表示LED5a及び5bが設けられており、メダルが投入不能な場合には赤色(第一の色)で、一方メダルが投入可能であって遊技用に加算表示されるときには青色(第二の色)で、メダル貯留装置に加算表示されるときには緑色(第三の色)で点灯する。なお、メダルが投入不能な場合には、消灯としてもよい。
精算ボタン6は、メダル貯留装置(図示せず)の起動と解除及び投入メダルと貯留メダルの精算に使用する。
1ベットボタン7は、遊技を行うためにメダル貯留装置の貯留メダルを1枚投入するときに使用する。マックスベットボタン8は、遊技を行うためにメダル貯留装置の貯留メダルを最大数である3枚投入するときに使用する。なお、マックスベットボタン3の内部には、LEDが設けられており、マックスベットボタン3が操作可能な状態のときに点灯するようになっている。
スタートレバー9は、回胴回転指示手段の一部であり、遊技を行うために所定数の遊技メダルを投入後、ドラム部2を一斉に始動させるときに使用する。また、スタートレバー9は、出玉率の段階設定を行う場合、段階値1〜6の中から選択された所望の設定値を確定させるときに使用する。なお、このスタートレバー9は、上下左右の方向に操作できるように構成されており、後述するスタートSWセンサ及び操作方向センサから、それぞれスタート信号と4つの操作方向(上下、左右)を示す操作方向信号を出力する。即ち、スタートレバー9は、遊技者が所望の方向を入力する方向入力手段に、また、操作方向センサは、方向入力手段によって入力された方向を検出する入力方向検出手段に該当する。ただし、検出すべき操作方向は4つに限定されるものではなく、上下左右それぞれの間の斜め方向も加えることにより8方向検出や、360度の角度を厳密に検出するようにしてもよい。
停止ボタン部10は、回転しているドラム部2を停止させるときに使用され、操作しやすいように操作部の正面中央部分に配置されている。この停止ボタン部10には、ストップスイッチである左停止ボタン10a、中停止ボタン10b及び右停止ボタン10cの3つのボタンが横に並んで設けられており、ドラム部2が回転中にこれら操作することにより、それぞれのボタンに対応する左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cを停止させることができる。なお、停止ボタン部が操作可能の場合には、停止ボタン10a、停止ボタン10b及び停止ボタン10cに内蔵されているLEDが点灯するようになっている。
ドア鍵穴14は、ドアキーにより回胴式遊技機本体1の前扉1bを開けるときや、打ち止めの解除及びエラーによる遊技中止の解除の際に使用される。
スペシャルボタン19は、表示演出装置11に表示される各種ゲームやその映像演出に応じて要求される情報(例えば、戦闘機の機銃操作や爆弾投下、登場人物の移動方向等の入力情報)を、遊技者自身が入力するのに使用される。なお、このスペシャルボタン19によって入力される情報は、後述する副基板(サブブロック)に与えられ、あくまで各種映像や音響演出にのみ用いられるものであるから、遊技結果に影響を及ぼすものではない。
投入メダル詰まり返却ボタン28は、遊技メダル投入口5に続いて遊技メダルが通過する遊技メダルセレクター(図示せず)に詰まった遊技メダルを返却する時に使用する。
前扉1bは更に、透明パネル21及び操作部を取り囲むように配置されたスピーカ部12及び遊技状態表示LED部13を有している。スピーカ部12は、前扉1bの最上部に配置された左上スピーカ12a、右上スピーカ12b、操作部より下に配置された左下スピーカ12c及び右下スピーカ12dの4スピーカで構成されており、各種演出に応じた効果音や段階設定値の変更中に警告音を発生する。なお、図示していないが、実際には左下スピーカ12c及び右下スピーカ12dの上面全体を覆うように保護用のスピーカグリルが取り付けられている。
遊技状態表示LED部13は、表示演出装置11の最上部に設けられた上部状態表示LED13aと、更に両側面に設けられた左上状態表示LED13b、右上状態表示LED13c、左中状態表示LED13d、右中状態表示LED13e、左下状態表示LED13f及び右下状態表示LED13gとで構成されており、各種の光演出を効果的に行う。また、段階設定値の変更中には、警告表示として点滅を繰り返す。
前扉1bの最下部には受け皿15が設けられている。受け皿15は、メダル払出装置18(メダルホッパー18)からメダル払出口16を経て払い出された遊技メダルを一時的に貯留する部分であり、その数として数百枚程度まで受けることができる。
一方、前扉1bの最上部には、ロゴパネル部17が設けられている。ロゴパネル部17は、例えば出願人の名称である「NET」( Next Entertainment Trend )又は機種名など、各種商標表示を施すのに使用される。
20は左下スピーカ12cと右下スピーカ12dの間に設けられた小物入れ部であり、紙幣類(例えば、千円札)やハンカチ、タバコ、ライターなど遊技者が必要とする物品を任意に置くために使用される。
以上が回胴式遊技機の外観及び基本構造の説明である。次に回胴式遊技機における主要な機械的構成部分の構成を説明する。
図5はドラム部の構成図、図6はドラム部を制御する制御回路系のブロック図、図7はドラムの図柄配置表である。
回胴式遊技機の筐体1aに設けられたドラム部2は、同軸上に配置された3つの縦型の回転ドラム、すなわち左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cを備えている。3つの回転ドラムは、ステップモータ30a、30b及び30cにより独立に回転駆動され、且つ後述する主制御部を介して包括的に回転制御される。この回転制御のために、各ドラムには、各1個のフォトインタラプタからなる回胴センサ31a、31b及び31cが設けられており、各センサからの出力により各ドラムの回転位置が把握される。
各ドラムの外周面には、複数種類の図柄が描かれた左回胴帯32a、中回胴帯32b及び右回胴帯32cが、外周面を一周するように貼り付けられている。詳しく説明すると、各回胴帯には、それぞれ異なった並びの図柄が21個描かれている。その図柄としてはビッグボーナス図柄の「赤7」や「青7」、ストックしているビッグボーナス又はレギュラーボーナス放出の契機となる十字架、低確率状態から高確率状態へモード移行させるための抽選の契機となるチェリー及びスイカ、逆の機能を有するベル及びリプレイがある。
変動表示ゲームにおいては、同一図柄が有効ライン上に並んで窓部3に表示されれば入賞となる。なお、同図の星マーク、+マーク、プラムマーク(黒丸マーク)や三角マークは便宜的に示したものであり、実際とは異なっている。
図8はスタートレバーを含む回胴回転始動装置の説明図であり、図8(A)はスタートレバーを回胴式遊技機に取付けた状態を示す側断面図、図8(B)はスタートレバーと各検出センサ(スタートSWセンサ及び操作方向センサ)との位置関係を示す斜視図である。
スタートレバー9は、中空球状の透明プラスチックで形成され、開口に固着されたナット61を備える握り部としてのグリップ9aと、管状又は筒状の部材であって、その外面には必要に応じて鍔又は段が形成されたアーム部としてのシャフト9bとにより構成されている。シャフト9bの先端部(外端部)には雄ネジが形成され、グリップ9aのナット61が螺合可能であって、シャフト9bの鍔62に押付けるようにグリップ9aが装着されている。また、シャフト9bには、スリーブ63と外球面を有する滑動体64が遊嵌されている。この滑動体64は、回胴式遊技機本体1のフレーム(図示せず)に螺合・固定された取付部材65の貫通孔に形成された球面受け座66に当接している。
圧縮ばね67は、取付部材65に固定されたばね座68と、シャフト9bに嵌着された止め輪69に当接して係止されている円板座70との間に装着され、シャフト9bに同図の右方向の力を付勢している。またシャフト9bは、この付勢力により右方向に押付けられ、この力が、鍔62、スリーブ63を介して滑動体64を球面受け座66に押付けるので、グリップ9aに力を作用させないときにも、スタートレバー9は水平の中立位置に弾性的に保持され、圧縮ばね67に抗してシャフト9bを引いたり、回動させたりすることができる。
シャフト9bの後端(内端部)には、スタートレバー9の操作態様を判別するスタートSWセンサ110及び操作方向センサ111(例えば、シャフト9bの後端の変位を光学的に検出して”ON”するフォトセンサ)が近接して設けられている。但し、シャフト9bの変位を検出するものであれば、磁気センサや機械センサなどでも構わない。
スタートSWセンサ110は、スタートレバー9が上下左右どの方向に操作されてもスタート信号を発生させ、後述する主制御部に出力する。操作方向センサ111は、スタートレバー9が操作される上下左右の方向に対応する信号を出力する4つのセンサ11U、111D、111R及び111Lで構成されており、その出力信号は後述する副制御部に直接入る一方、主制御部には一切入力されないので、遊技結果に何ら影響するものではない。従って、本願発明の様に構成することは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(最終改正:平成一五年五月三〇日法律第五五号)に違反するものではない。
センサ111Uは上方向センサであり、スタートレバー9が上方向へ操作されたことを検出するセンサである。センサ111Dは下方向センサであり、スタートレバー9が下方向へ操作されたことを検出するセンサである。センサ111Rは右方向センサであり、スタートレバー9が右方向へ操作されたことを検出するセンサである。センサ111Lは左方向センサであり、スタートレバー9が左方向へ操作されたことを検出するセンサである。
図9は停止ボタン部にストップスイッチとして設けられた停止ボタンの縦断面図である。
停止ボタン部10は、前述したとおり、回胴式遊技機の前扉1bに設けられており、横に並ぶ3つの押しボタン方式の停止ボタン10a,10b,10cを備えている。3つの停止ボタン10a,10b,10cは、ドラム部2における3つの回転ドラム2a,2b,2cに対応するストップスイッチである。各停止ボタンは、前扉1bに嵌め込まれて固定されるスリーブ101と、スリーブ101内に挿入された操作部102とを有している。操作部102は正面側が閉止された円筒体であり、スリーブ101内を中心軸方向に移動可能である。そして、この操作部102は、その基端部に設けられた爪部103がスリーブ101の一部に係合することにより正面側への抜けが阻止されており、且つこの状態でその内部に配置されたコイルスプリング104により正面側へ弾性的に押圧されることにより、正面側へ付勢されている。
スリーブ101内には更に、環状の電磁石105が操作部102の後方に位置して設けられると共に、停止ボタンセンサ120が電磁石105の内側に位置して設けられている。電磁石105及び停止ボタンセンサ120は、スリーブ101の基端部に取付けられた円形のベース板106に取付けられた固定部材である。一方、操作部102の基端部には、操作部102と共に軸方向に移動する可動式の永久磁石107が固定式の電磁石105の正面側に位置して取付けられている。
操作部102に外力が付加されてい場合は、永久磁石107は電磁石105から離反している。スプリング104による付勢力に抗して操作部102を反正面側へ押し込むと、停止ボタンセンサ120が感応し、操作信号を後述する主制御部に与える。また、操作部102を反正面側へ押し込むと、永久磁石107が電磁石105に接触する。このとき、電磁石105が永久磁石107を吸着する方向に通電されていると、押し込まれた操作部102は電磁石105に吸着され、押し込み状態に保持される。電磁石105に通電が行われいなければ、押し込みをやめることにより、操作部102は元の初期位置に自動復帰する。
3つの停止ボタン10a,10b,10cに対しては、主制御部から抽選結果を受けた後述の副制御部が、その抽選結果に基づいて停止ボタン10a,10b,10cの各電磁石105に選択的に通電指令を送る。これにより、停止ボタン10a,10b,10cは、主制御部から送られる抽選結果の内容に基づいて押し込み位置に選択的に保持され、抽選結果の告知・表示を行う。停止ボタン10a,10b,10cを利用した告知・表示の具体的な内容については後で詳しく説明する。
図10は表示演出装置11の詳細構造を示す斜視図である。
表示演出装置11は、調光シートが全面に貼り付けられた透明な表示パネル11eを正面側に備え、その後方にプロジェクター11pを装備すると共に、表示パネル11eとプロジェクター11pとの間に移動自在な立体物11rを備えている。表示パネル11eに貼り付けられた調光シートは、前述したとおり、通電制御により透光性が変化し、通常は電源オフ時に乳白色状態となってスクリーンとして機能し、電源オン時に透明状態となる。プロジェクター11pは、表示パネル11eをスクリーンとしてこれに背後から映像を投影するいわゆるリアプロジェクターであり、プロジェクター11pからの画像投影により回胴遊技に関する各種映像演出や所要の情報の告知等を行うようになっている。
表示パネル11eとプロジェクター11pとの間には舞台11sが設けられており、前記立体物11rはこの舞台11sの上を移動するように構成されている。詳しく説明すると、立体物11rは、前記舞台11sに配設された横方向のガイドレール11gに沿って、表示パネル11eの背後の動作位置と、プロジェクター11pから表示パネル11eへの映像投影の邪魔にならない側方の退避位置との間を往復移動するように構成されており、より詳しくは、表示パネル11eにおける調光シートが乳白色状態のとき、すなわちスクリーンとして機能するときに退避状態にあり、調光シートが透明状態のときに表示パネル11eの背後に進出するように構成されている。
次に、回胴式遊技機の制御系の構成を説明する。図11は回胴式遊技機の制御回路系の全体構造を示すブロック図である。
回胴式遊技機の制御回路系は、メインブロック(主基板:破線で囲っていない部分)とサブブロック(副基板:破線で囲った部分)とに大別される。メインブロックは遊技結果に関する制御を、サブブロックは遊技経過や結果告知・表示の様々な演出に関する制御を司る。メインブロックからの信号はサブブロックに出力されるが、逆にサブブロックからメインブロックへは一切信号が受信できないようになっている。これはゴト対策のためであり、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律により規定されている。
この制御回路系は、CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載する一体型のワンチップマイコン(エルイーテック社製LE4280B−PA−G1)からなる主制御部100を有している。主制御部100は、所定のデータテーブル領域や装置全体の制御手順を記述した制御プログラムを記憶するROM100aと、カウンタやレジスタ等が形成され制御に必要な情報を一時的に記憶するRAM100b(RWM:リライタブルメモリともいう)とを備えている。
主制御部100には、I/0ポート(図示せず)を介して、入力系であるスタートSWセンサ110(スタート・スイッチ・センサ110)、停止ボタン部10内の停止ボタンセンサ120、メダル検出センサ130、ベットボタンセンサ140及び段階設定部150が接続されており、主制御部100はこれらの入力系からの入力信号を受信可能に構成されている。
主制御部100は又、I/0ポート(図示せず)を介して、入出力系であるドラム部2、及び出力系であるメダル払出装置18及び表示LEDブロック4と接続されており、主制御部100はこれらの各装置を制御可能に構成されている。
更に、主制御部100はI/0ポート(図示せず)を介して、副制御部160と接続されており、サブブロックの各種制御に必要な制御データ(例えば、コイン投入データや当選状況データ、段階設定部のスイッチ操作状態を示すデータ、段階設定値)を副制御部160に出力する。なお、副制御部160は、内蔵RAMに段階設定値の履歴情報も併せて記憶しており、履歴情報は電池でバックアップされているので主電源を切っても消えることはない。
この副制御部160は、主制御部100と同様に、CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載する一体型のワンチップマイコンであり、サブブロック全体の制御手順を記述した制御プログラムを記憶するROM(図示せず)と、カウンタ、タイマーやレジスタ等が形成され主制御部100から受信した制御に必要な情報を一時的に記憶するRAM(図示せず)などを備えている。なお、副制御部160は、段階設定部のスイッチ操作状態を示すデータに基づいてタイマーをスタートさせ、所定時間経過してもON又はOFFとならない場合、音と光及び液晶表示で異常の発生を報知する。
特に、副制御部160は、RAM100bに記憶する段階設定値が所定範囲になく、主制御部100が警告を発生させた後、店員の設定変更スイッチの操作に従って選択された段階設定値を送信してきた場合、内蔵RAMに記憶する最新の段階設定値と送信されてきた段階設定値とが一致したとき、一致した旨を表示又は報知する。例えば、副制御部160は、表示演出装置11に「開店時の段階設定値と一致しました。」を表示し及びスピーカ部12からビープ音を発生させたり、音声で「開店時の段階設定値と一致しました。」の報知を繰り返す。その後、主制御部100は、副制御部160が一致した旨を表示又は報知している状態で、段階設定部150が操作された場合、送信した段階設定値を新たにRAM102に記憶させるとともに、新たに記憶した段階設定値を使用して変動表示ゲームの当落を決定する。
この副制御部160には、入力系である入力SW部25(入力スイッチ部25)、計時部26、操作方向センサ111及びスペシャルボタンセンサ112が接続されている。また、副制御部160は、出力系である表示演出装置11、スピーカ部12、遊技状態表示LED部13、及び停止ボタン部10内の各停止ボタンに装備された電磁石105と接続されている。副制御部160は各装置からの入力信号を受け付けたり、必要なデータや信号を各装置に出力して各種制御を行うことが可能なように構成されている。
これら各装置のうち、メダル検出センサ130は、メダル投入口5から投入されたメダル数に応じた数のパルス信号を出力し、主制御部100はこのパルス信号を受信して、表示LEDブロック4中のメダル貯留枚数表示LED4bにパルス数に応じた数だけ増加したクレジット数を表示させるように制御する。
ベットボタン検出センサ140は、1ベットボタン7又はマックスベットボタン8の操作に応じてパルス信号を出力し、主制御部100は得られたパルス信号に対応するように投入枚数LED4aの枚数表示を制御する。
段階設定部150は、後述する出玉率の段階設定操作を行うことにより、ホール側は、イベントや新装オープンでの放出や収益改善のための回収状況に応じて、段階値1〜6の中から所望の設定値を選択することができる。
入力SW部(入力スイッチ部)25は、出玉率の段階設定操作が行われた場合の警告モードの設定や、警告を発生させる又は発生させない時間帯の設定を行う。この警告モードとしては、警告発生機能のオン状態又はオフ状態と、設定した時間帯のみ警告を発生させるタイマー状態の3つのモードがある。なお、入力SW部25は、サブブロックの初期化を行うための初期化スイッチとスピーカ部12の音量を切り替える際に使用する音量スイッチからなり、その両方を同時に押した場合に機能するようになっている。
計時部26は、衛星などから絶対時間データを貰い正確な時間を刻む電波時計からなり、計時した時間を副制御部160に出力する。
操作方向センサ111は、スタートレバー9が操作される上下左右の方向に対応する方向信号を出力し、副制御部160はこの方向信号を受信して、方向信号に応じた各種映像演出や当選告知等を表示演出装置11に表示し、更にスピーカ部12から効果音を発生させる。
スペシャルボタンセンサ112は、スペシャルボタン19が操作された時にON信号(例えば、HIGH信号)を出力し、副制御部160はこのON信号を受信したタイミングに応じて各種ゲーム及びその映像演出や当選告知等を表示演出装置11に表示し、更にスピーカ部12から爆弾投下や機銃操作などの効果音を発生させる。
遊技者が所定数のメダルを投入後、スタートレバー9を操作すると、スタートSWセンサ110はスタート信号を出力し、主制御部100はこのスタート信号の受信を契機として乱数抽選(内部当たり抽選)等を行うと共に、ドラム部2に駆動パルス信号を出力して変動表示ゲームを開始し、且つ抽選結果に基づいてドラム部2の停止タイミングを制御するようになっている。すなわち、本発明における内部抽選手段及び停止制御手段は、この主制御部100内に構成されている。なお、この1回のスタートレバー9の操作によって行われる遊技が1ゲームの変動表示ゲームとなっており、遊技者はボーナスゲーム(ビッグボーナス又はレギュラーボーナス)を獲得してメダルを増やすことを目的に、遊技を繰り返す。
そして、主制御部100は、変動表示ゲームにおいて所定の役が成立し、メダルの払い出しを行う場合、その払出し数を表示LEDブロック4中のメダル払出枚数表示LED4cに表示し、これをクレジット数に加えてメダル貯留枚数表示LED4bに表示させる。なお、精算ボタン6によって払い出し操作が行われた場合やクレジット数が例えば最大数の50枚を超えた場合には、主制御部100はメダル払出装置18を駆動制御し、必要数のメダルをメダル払出口16から排出させて受け皿15に蓄積させる。
さらに、主制御部100は、小役が成立した場合や、特にボーナスゲームが内部当選した場合には、副制御部160に内部当選等に関する制御データを出力する。そして、副制御部160は、主制御部100から制御データを受け取ると、遊技状態表示LED部13の点灯制御による告知、スピーカ部12から効果音を発生させる為の音声合成LSI(図示せず)の制御による告知、停止ボタン部10における3つの停止ボタン10a,10b,10cの選択的な押し込み動作保持による告知、及び表示演出装置11の表示画面内におけるキャラクタや背景映像の制御表示による公知といった各種の演出告知動作を行うように構成されている。すなわち、本発明におけるスイッチ制御手段は、この副制御部160内に構成されている。
次に、回胴式遊技機の制御回路系における主要部の詳細構造をドラム部2、表示演出装置11及び主制御部100内に構成されている内部抽選手段について説明する。
図12及び図13はドラム部における代表的な制御である引込制御及び回避制御の説明図である。
前掲した図5〜図7、特に図6に示したように、ドラム部2は、左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cの3つのドラムを回転制御するためのステップモータ30a、30b及び30cを備えており、主制御部100からの駆動パルス信号に応答して各ステップモータ30a、30b及び30cが駆動され、駆動パルス信号を3相に供給し続けると吸引力が発生して停止するようになっている。
このステップモータ30a、30b及び30cは、4相1−2励磁方式でステップ数が252ステップ/回転(1.42度/ステップ)であり、主制御部100が駆動パルス信号を504パルス入力すると丁度1回転し、各ドラムに1つだけ設けられたフォトインタラプタからなる回胴センサ31a、31b及び31cからそれぞれのインデックス信号(基準位置信号)が1パルス返ってくるので、主制御部100は各ドラムの位置を正確に把握することができる。つまり、入力パルスによる分解能は0.714(度/パルス)ということである。なお、更に分解能を上げる場合には、入力パルスから次の入力パルスまでの時間と回転速度を管理することにより回転位置を細かく把握できる。
このように、ステップモータ30a、30b及び30cのそれぞれに対して回胴センサ31a、31b及び31cが設けられており、ステップモータの1回転に応じて各回胴センサからインデックス信号が1パルス返ってくるので、主制御部100は、インデックス信号と出力した駆動パルス信号の数により図柄番号と回転角度(24分割/図柄)を把握するとともに、図7に示す図柄配列を考慮して、各図柄がどの程度の時間経過で各ドラムの有効ライン上に到達するのかを常に認識可能となっている。
そして主制御部100は、変動表示ゲームのスタート信号を受信し、抽選結果が当選となって役が成立した場合には、有効ライン上にその役の図柄を揃えるように引き込むための引込制御(図12(A)(B))を行う。
例えば、ビッグボーナス役が内部当選し、停止した左ドラム2aと中ドラム2bの右斜め下の有効ライン上に図柄「7、7」が揃っている状態において、この有効ラインから4コマ以内に図柄「7」が位置する状態で停止ボタン10cが操作されたとき(図11(A)参照)、主制御部100は、これを強制的に有効ライン上に揃えて「7、7、7」の組み合せとなるように引込制御を行う(図12(B)参照)。
一方、抽選により内部当選して、いずれかの役が成立しているとしても、役に対応する所定の図柄が有効ライン上に表示されなければ遊技者に有利な状態とはならない。例えば、ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)は、図12(B)のように表示されなければ、開始されないようになっている。なお、この引込制御は、右ドラム2cだけではなく、左ドラム2aや中ドラム2bのいずれの図柄に対しても行うようになっている。
図12の例では、右ドラム2cの図柄「7」が丁度4コマだけ上にあり、引込制御の対象となって有効ライン上に並べられることになる。ただし、この引込制御は4コマに限定されるものではなく、設計仕様又は法規制に適応させるように引き込みコマ数をソフト制御で増減させることが可能である。
主制御部100は又、変動表示ゲームのスタート信号を受信し、抽選結果がハズレとなって役が不成立の場合には、有効ライン上に当選役(ボーナスや小役)の図柄を揃えないための回避制御(図13(A)(B))を行う。
例えば、ビッグボーナス役が内部当選しておらず、停止した左ドラム2aと中ドラム2bの右斜め下の有効ライン上に図柄「7、7」が揃っている場合(所謂、「リーチ状態」である。)において、遊技者が「目押し」により、この有効ラインから1コマ以内に図柄「7」が位置する状態で停止ボタン10cが操作されたとき(例えば、「ビタ押し」と呼ばれている。図13(A)参照)、主制御部100は、有効ライン上に「7、7、7」が揃わないように図柄「7」を一つ先まで移動させて強制的にハズレとする回避制御を行う(図13(B)参照)。なお、この回避制御は、右ドラム2cだけではなく、左ドラム2aや中ドラム2bのいずれの図柄に対しても行うようになっている。
図14は表示演出装置11の駆動制御部の構成を示すブロック図、図15はその駆動制御部内のROMに格納されている演出パターンデータテーブルの記憶状態の一部を示す概念図である。
表示演出装置11は、図14に示すように、コマンド受信部11a、表示演出制御部11b(ROM11c及びRAM11dを含む)、表示パネル11eにおける調光シート駆動部11e′、プロジェクター駆動部11p′及び立体物駆動部11r′を備えている。演出コマンドは、1バイト長のモードデータと1バイト長のイベントデータからなり、演出内容である演出パターンとが対応付けて記憶されている。
副制御部160は、主制御部100から各種制御に必要な制御データを受信すると、制御データに応じた適切な演出コマンドを表示演出装置11側に送信し、コマンド受信部11aがこの演出コマンドを受信して表示演出制御部11bに渡す。
表示演出制御部11bは、演出コマンドを受け取ると、演出コマンドに対応する演出パターンをROM11cから読み出してRAM11dにデータ展開し、プロジェクター駆動部11p′に送信することにより、演出コマンドに応じた演出を表示パネル11e上に投影表示する。例えば、副制御部160が演出コマンドとして($Y0$00)を送信すると、表示パネル11eは「夜の演出パターン0」(第二状態にあることを主に示す第二表示ステージ)を表示するようになっている。一方、副制御部160が演出コマンドとして($Z0$00)を送信すると、表示パネル11eは「昼の演出パターン0」(第一状態にあることを主に示す第一表示ステージ)を表示するようになっている。従って、遊技者は、遊技中に高確率状態を主に示す昼ステージが表示されることを切望するのである。
表示演出制御部11bは又、演出コマンドに対応する演出パターンを立体物駆動部11r′に送信し、立体物11rに実行させる。そして、プロジェクター11pが表示パネル11eに投影表示を行うときは、調光シート駆動部11e′の電源をオフとして調光シートを乳白色状態とすると共に、立体物駆動部11r′を介して立体物11rを退避位置へ移動させる。一方、演出コマンドに対応する演出パターンを立体物11rが実行するときは、調光シート駆動部11e′の電源をオンとして調光シートを透明状態とすると共に、立体物駆動部11r′を介して立体物11rを表示パネル11eの背後の動作位置に進出させ、所定の動作を実行させる。
図16は主制御部のROMに格納されている抽選テーブルの概念図、図17はその抽選テーブルの詳細概念図、図18は一般遊技における図柄の組み合わせと獲得メダル枚数との関係を示した配当表である。
内部当たり抽選を行うための抽選テーブルは、主制御部100内のROM100aの所定エリアに格納されており、低確率状態及び高確率状態における、入賞役と図柄抽選に使用する乱数値との関係を規定している。
例えば、本実施形態の回胴式遊技機の場合には、乱数値は0〜65535の値をランダムにとり、低確率状態においてスタートレバー9が操作タイミングに合わせて図柄の抽選をしたとき、乱数値が0〜m1の範囲であればビッグボーナス(BB)図柄が当選となる。同様に、高確率状態において図柄の抽選をしたとき、乱数値が0〜n1の範囲であればビッグボーナス図柄が当選となるが、m1<n1の関係になっているので、高確率状態の方が低確率状態よりもビッグボーナス図柄が当選しやすくなっている。
また、レギュラーボーナス図柄及びストックしているボーナスゲーム(乱数抽選により非常に高い確率で当選したボーナスゲームで、ストックする最大数は例えば255個である。)の放出契機となる十字架図柄が当選する確率も、m3<n2及びm5<n3の関係になっているので、高確率状態の方がボーナス図柄は当選しやすくなっている。
なお、ボーナス図柄や十字架図柄が当選した場合には、RAM100bのフラグエリアにフラグ1を立て、図柄が有効ライン上に揃うまでクリアしないので、遊技者は必ず所定の図柄を揃えてビッグボーナスゲームやドラキュラミッション(大当り前兆モード)等へ突入することができる。ただし、十字架図柄が有効ライン上に揃わなくても、所定ゲーム数が消化されると、ドラキュラミッションが自動的に開始される。
一方、高確率状態へモード移行させる抽選契機となるチェリー図柄及びスイカ図柄、逆の機能を有するベル図柄及びリプレイ図柄が当選する確率は、説明の都合上、高確率状態と低確率状態共に同一としている。
従って、確率状態とは無関係に、抽選した乱数値がm6〜m7の範囲であればチェリー図柄が、m8〜m9の範囲であればスイカ図柄が、m10〜m11の範囲であればベル図柄が、m12〜m13の範囲であればリプレイ図柄が当選となり、これ以外の乱数値であればストックボーナス当選又は純ハズレとなる。なお、ストックボーナスの数は8ビットの値で管理され、最大255個まで記憶することができるので、ストック切れを起こすことは皆無である。また、純ハズレとなった場合には、直ちにRB(レギュラーボーナス)を放出するようになっている。
通常、これらのm1〜m13及びn1〜n3の数値は、法規制やゲーム性を考慮して適宜設定されるが、BB当選確率は「1/300」程度、RB当選確率は「1/500」程度、十字架の当選確率は「1/100」程度、チェリー及びスイカの当選確率は「1/50」程度、ベル及びリプレイの当選確率は「1/7」程度となっている。
図17に示すように、抽選テーブルとしては、出玉率の段階設定値1〜6(図17では、設定1〜設定6と標記している。)及び投入メダル数に対応した6つの抽選テーブル1、抽選テーブル2…抽選テーブル6があり、主制御部は段階設定部150により設定された段階設定値及び投入メダル数に応じて抽選テーブルを選択し、変動表示ゲームにおいてボーナスゲームや複数の小役の内部抽選を実行する。なお、内部抽選でボーナスゲームが当選する期待値は、上記低確率状態及び高確率状態で説明した様に、抽選テーブル1<抽選テーブル2<…<抽選テーブル6となっているので、遊技者は高設定台を求めるのである。
図18に示すように、BB(ビッグボーナス)とは、「赤7」又は「青7」のBB図柄が有効ライン上に揃った場合の役名であり、これが揃うと15枚のメダルが獲得されるとともに、対応するフラグエリアにフラグ1を立ててビッグボーナスゲーム(BBゲーム:役物連続作動装置の作動)に突入する。
RB(レギュラーボーナス)とは、変則的ではあるが「赤7、赤7、十字架」又は「青7、青7、十字架」のRB図柄が有効ライン上に揃った場合の役名であり、これが揃うと15枚のメダルが獲得されるとともに、対応するフラグエリアにフラグ1を立ててレギュラーボーナスゲーム(RBゲーム:第一種特別役物の作動)に突入する。
スイカ図柄又はチェリー図柄が有効ライン上に揃った場合には、それぞれ5枚又は2枚のメダルが獲得されるとともに、低確率状態にいる場合には、高確率状態へ移行させるための昇格抽選がおこなわれる。更に、低確率状態から高確率状態へ移行した場合、抽選で決定されたスイカ図柄又はチェリー図柄の一方で、夜画面(第二表示ステージ)から昼画面(第一表示ステージ)へ画面表示が切り替えられる。なお、低確率状態から高確率状態へ移行した場合でも、画面表示切り替えの抽選に当選した場合にのみ、第二表示ステージから第一表示ステージへ切り替えることもある。
ベル図柄が有効ライン上に揃った場合には、9枚のメダルが獲得されるとともに、高確率状態にいる場合には、低確率状態へ移行させるための降格抽選がおこなわれる。
リプレイとは、リプレイ図柄が有効ライン上に揃った場合の役名であり、これに対して通常はメダル獲得がされず、フラグエリアにフラグ1を立て、遊技者のスタートレバー9の操作によりリプレイ動作を行ってフラグを下げる(即ち、0とする)。つまり、次回のゲームはメダルを投入することなく行うことができる一方、高確率状態にいる場合には、低確率状態へ移行させるための降格抽選がおこなわれる。
更に、ベル図柄又はリプレイ図柄が揃って降格抽選した結果、高確率状態から低確率状態へ移行した場合、抽選で決定されたベル図柄又はリプレイ図柄の一方で、昼画面(第一表示ステージ)から夜画面(第二表示ステージ)へ画面表示が切り替えられる。なお、高確率状態から低確率状態へ移行した場合でも、画面表示切り替えの抽選に当選した場合にのみ、第一表示ステージから第二表示ステージへ切り替えることもある。
なお、この図には十字架図柄が記載されていないが、ストックボーナスを放出する抽選契機となる機能しかなく、十字架図柄が揃っても獲得メダル数は0だからである。
以上が回胴式遊技機の構成である。次に、回胴式遊技機の動作についてフローチャート等を参照して詳細に説明する。
まず、回胴式遊技機が工場出荷された状態では、デフォルトとして警告モードは「オン状態」で、段階設定値は最低の「1」が設定されている。
遊技ホール側は、遊技者にプレイさせる前に、回胴式遊技機本体1の前扉を開けて電源スイッチ170cをオン状態にすると、各回路ブロックに電源が供給され、主制御部100は初期チェックや初期設定(例えば、ROM100aが記憶する段階設定値「1」及び制御データの初期値をRAM100bに書き込む)を実行し、副制御部160は警告モードを「オン状態」にセットし、前扉1bが閉められると変動表示ゲームを行うことができるようになる。なお、この遊技可能状態で、遊技ホール側が再び前扉1bを開けて、入力SW部25を操作(初期化スイッチと音量スイッチを同時に押す操作)したとしても、副制御部160は、主制御部100から出玉率の段階設定モードを意味する制御データを受信していないので、警告モードを「オン状態」から他の状態(「オフ状態」又は「タイマー状態」)へ変更しない。従って、ゴト師などが警告モードを容易に変更できないという特有の効果がある。
遊技ホール側は、この設定状態で、グランドオープン、新装開店やイベントの為に、出玉率の設定変更を行おうとしていると仮定する。
図19は回胴式遊技機における主要動作処理手順を示すフローチャートである。
遊技ホールの従業員は、回胴式遊技機の前扉1bを開けて筐体1aの正面に設けられた電源スイッチ170cを一旦オフ状態にし、設定変更キーを設定用キースイッチ170aに差し込んで右に回してON状態(図3の設定用キースイッチ拡大図参照)にし、再び電源スイッチ170cをオン状態にすると、各回路ブロックに電源が供給され、初期設定や初期チェックが実行された後、主制御部100はステップS200で設定用キースイッチ170aがON状態であるか否かを判断する。
主制御部100は、ON状態であればステップS210で設定変更サブルーチンを呼び出した後にステップS211へ移行する一方、ON状態でなければそのままステップS211へ移行する。
図20は設定変更サブルーチンを示すフローチャートである。
主制御部100は、設定変更サブルーチンを呼び出すと、ステップS500で副制御部160に段階設定モード開始を意味する制御データを送信し、ステップS510に移行して、内臓のRAM100bから現在の段階設定値「1」を読み込み、メダル払出枚数表示LED4cに「1」を表示する(図3参照)。なお、警告動作については図21を用いて詳細に説明する。
主制御部100は、ステップS520で、エラー解除スイッチ170bによる段階設定変更操作を受け付けて、変更された段階設定をメダル払出枚数表示LED4cに表示し(図3参照)、ステップS530でスタートレバー9が操作されたか否かを判断する。
主制御部100は、ステップS530で、スタートレバー9が操作されていなければ、ステップS520に移行して段階設定変更操作を繰り返す一方、スタートレバー9が操作された場合、ステップS540に移行する。
主制御部100は、ステップS540で、選択された段階設定値(例えば、最高値の「6」)を書き込み、RAM102に記憶しているその他の制御データを初期化(ROM100aが記憶する制御データの初期値をRAM100bに書き込む)するとともに、書き込んだ段階設定値を副制御部160に出力して、ステップS550に移行する。なお、副制御部160は、電池でバックアップされた内蔵RAMに段階設定値及びその履歴情報も併せて記憶する。
主制御部100は、ステップS550で、再度段階設定変更操作が行われたか否かを判断し、操作が行われた場合、ステップS520に移行して段階設定変更操作を繰り返す一方、操作が行われていない場合、ステップS560に移行する。
主制御部100は、ステップS560で、設定用キースイッチ170aがOFF状態(図3の設定用キースイッチ拡大図参照)になったか否かを判断し、ON状態のままであればステップS550に移行する一方、OFF状態であれば、ステップS570に移行する。
主制御部100は、ステップS570で、副制御部160に段階設定モード終了を意味する制御データを送信して、この設定変更サブルーチンを終了する。
ここで図19に戻り、本実施形態の回胴式遊技機における主要動作処理手順の説明を引き続き行う。
上述した通り、遊技ホール側が、遊技者にプレイさせる前に出玉率の段階設定値「6」を入力し、スタートレバー9を一度叩き設定値を確定させて、設定用キースイッチ170aをOFF状態にすると、主制御部100は、ステップS211で設定値を「6」とするとともに、ハードウェアの異常チェックなどを実行する(初期設定)。なお、遊技上の重要なデータ(例えば、ストックボーナスのデータ)及びBBやRBなどのフラグをクリアしないようにしてもよく、その場合には、設定変更後においてもBBやRBはそのまま継続し、ストック切れを生じないようになる。
主制御部100は、同ステップで、段階設定値に応じてボーナスゲームを放出するまでのゲーム数(放出ゲーム数)及び確率状態を抽選して決定する。例えば、主制御部100は、放出ゲーム数を1〜1300ゲームまでの数字のいずれかに及び確率状態を高低どちらかに乱数抽選を行うのであるが、段階設定値(1〜6の値)により、遊技者にとって有利又は不利になる確率が振り分けられており、ここでは抽選の結果、放出ゲーム数が500ゲームで低確率状態になったと仮定する。
また、主制御部100は、同ステップで、低確率状態から高確率状態への昇格抽選に用いる小役であるチェリー及びスイカの内、どちらを表示演出装置11の表示ステージを切り替えるための小役(第一抽選小役)とするかの抽選を実行する(昇格小役機能振り分け抽選)。なお、この抽選ではチェリーが第一抽選小役となる確率が90%となっており、チェリーが第一抽選小役でスイカが第二抽選小役になったと仮定する。
主制御部100は、同ステップで、高確率状態から低確率状態への降格抽選に用いる小役であるベル及びリプレイの内、どちらを表示演出装置11の表示ステージを切り替えるための小役(第三抽選小役)とするかの抽選を実行する(降格小役機能振り分け抽選)。なお、この抽選ではベルが第三抽選小役となる確率が90%となっており、ベルが第三抽選小役でリプレイが第四抽選小役になったと仮定する。但し、これらの小役機能振り分け抽選は、一つの変動表示ゲームが終了し、次の変動表示ゲームが開始されるまでの間に行うようにしてもよい。その効果としては、第一抽選小役と第二抽選小役、及び第三抽選小役と第四抽選小役が固定されないので、その分だけ遊技者に内部状態について想像力や推理力を発揮させることができ、回胴式遊技機のゲーム性が向上する。
そして、主制御部100は、同ステップで初期画面の表示設定を行うために、副制御部160に制御データを出力すると、前述した通り、大当り確率が低確率状態であるから、例えば、副制御部160が演出コマンドとして($Y0$01)を送信すると、表示演出装置11は、表示パネル11eに第二状態にあることを主に示す第二表示ステージであって、夜空に満月、ドラキュラ城と墓地の画面で構成される「夜の演出パターン1」を表示する(図21(A)「夜の通常画面」参照)。
次に、主制御部100は、ステップS212で設定用キースイッチ170a(2接点スイッチ)の2つの入力ポート(第一入力ポート及び第二入力ポート)の導通状態に異常があるか否かを判断し、異常がある場合には、ステップS220で異常処理サブルーチンを呼び出した後にステップS221へ移行する一方、異常がなければそのままステップS221へ移行する。
この異常処理サブルーチンにおいて、主制御部100は、ゲームが開始されていない状態で2つの設定用キースイッチ検出回路が共に非導通となった場合、コイン投入とスタートレバー操作を受け付けないようにする(遊技操作を不許可とする)と同時に、段階設定部のスイッチ操作状態を示すデータを副制御部160に送信する。
そして、副制御部160はデータを受信するとタイマーをスタートさせ、1〜3秒程度の所定時間が経過してもON又はOFFとならない場合、報知手段38により音と光及び液晶表示で異常の発生を報知し、店員の操作により異常を解除すると、異常報知を終了してステップS221へ移行する。つまり、ゴト師などが設定用キースイッチ170aを不正操作した場合には、常に警告報知を行うのである。
次に、主制御部100は、ステップS221で、メダル検出センサ130又はベットボタンセンサ140により、遊技者が遊技に必要な数量の遊技メダルを投入したか否かを確認し、所定数だけ投入した場合には、ステップS222に移行する一方、投入していなければステップS212を経由してステップS221に戻り、投入操作があるまで待機する(即ち、ステップS212とステップS221をループする)。
次に、主制御部100は、ステップS222において、遊技メダルが投入されたことを示す制御データを出力するか否かを判断し、1ゲームに1度だけ副制御部160に制御データを出力するようになっており、その後ステップS230へ移行する。
副制御部160は、この制御データを受信すると、ステップS223でスタートレバー9を操作すべき方向の表示演出をするか否かを判断し、表示するのであれば、方向表示処理サブルーチンを呼び出した後にステップS230へ移行する一方、表示しないのであればそのままステップS230へ移行する。
例えば、副制御部160は、このステップS223において、当選確率が5%〜10%程度の抽選を行い、当選すれば表示演出を行うと判断する。また、低確率状態では当選確率が1%〜2%程度で、高確率状態では当選確率が25%〜50%程度となるように、確率状態に応じ当選確率に差をつけて抽選を行うようにすれば(換言すると、低確率状態よりも高確率状態で表示演出が当選しやすくなるようにして抽選を行えば)、方向表示演出の頻度により高確率状態にあるのか又は低確率状態にあるのかを告知できるので、遊技者はその後の変動表示ゲームに対して非常に熱くなれるのである。
図22(A)〜(C)は表示演出装置11が表示する演出画面の模式図であり、方向表示処理サブルーチンが実行され、方向表示演出が行われた状態を示している。
図22(A)は、図21(B)に示す「昼の通常画面」に左方向の矢印のみが追加表示された場合であり、スタートレバー9を左方向に操作すべきことを、遊技者にアピールしている。なお、左方向だけではなく、右方向や上下方向の矢印を適宜表示するようになっている。
また、既に抽選が終わりボーナスゲームが当選している場合には、図22(B)及び図22(C)に示しているように、通常の矢印とは異なる方向表示演出(例えば、方向表示の矢印に「BONUS」の文字を表示したり、プレミア・キャラクタのセーラ姫などが操作方向を示す演出)を行うようにすれば、遊技者に興奮と感動を与えることができる。
ここで再び図19に戻り、本実施形態の回胴式遊技機における主要動作処理手順の説明を続行する。
主制御部100は、ステップS230で、遊技者がスタートレバーを操作して、変動表示ゲームを開始させたか否か確認し、開始させた場合には、ステップS240に移行する一方、開始させていなければステップS212に戻り、開始操作があるまで待機する(即ち、ステップS212〜ステップS230をループする)。
次に、主制御部100は、ステップS240において、変動表示ゲームのメイン処理を実行する。例えば、遊技者が所定数のメダルを投入後、スタートレバー9を操作すると、スタートSWセンサ110からスタート信号が出力されるので、まずワークRAM領域に記憶している段階設定値のデータが0〜5(メダル払出枚数表示LED4cに表示される段階設定値は各々1〜6に対応する)の範囲内にあるか否かを確認する。
主制御部100は、段階設定値が所定の範囲内になければ、表示演出装置11、スピーカ部12及び遊技状態表示LED部13により警告(「EE」エラーの文字表示、発光及び警告音)を発生させてエラー処理を行わせる一方、所定の範囲内にあれば、以下で説明する乱数抽選を行って変動表示ゲームを続行する。
この「EE」エラーが発生した場合、パチンコホール等の店員は設定変更スイッチの操作を行って、段階設定値を所定範囲の中から1つ選択して新たにRAM100bに記憶させると、その後、主制御部100は、新たに記憶した段階設定値を使用して変動表示ゲームの当落を決定する。また、主制御部100は、段階設定値を新たにRAM100bに記憶させる場合、段階設定値をメダル払出枚数表示LED4cに表示しない。その一方、段階設定値に応じた音や映像(例えば、段階設定値「1」の場合、「ピッ」という音又は1匹のコウモリが表示演出装置11に表示される。)により間接的に表示される。そして、RAM100bに記憶している制御データは、ROM100aが記憶する制御データの初期値に書き換えられてリセット(初期化)される。
他の実施例としては、「EE」エラーが発生した場合、パチンコホール等の店員が設定変更スイッチの操作を行って段階設定値を所定範囲の中から1つ選択したとき、副制御部160は主制御部100から受信した段階設定値と内蔵RAMに記憶する段階設定値とが一致した場合、一致した旨を表示又は報知する。例えば、副制御部160は、表示演出装置11に「開店時の段階設定値と一致しました。」を表示して、及びスピーカ部12からビープ音を発生させたり、音声で「開店時の段階設定値と一致しました。」の報知を繰り返す。その後、主制御部100は、副制御部160が一致した旨を表示又は報知している状態で、段階設定部150が操作された場合、送信した段階設定値を新たにRAM100bに記憶させるとともに、新たに記憶した段階設定値を使用して変動表示ゲームの当落を決定する。この様にすることで、遊技者は安心して遊技を続行できる。
そして、主制御部100は、段階設定値が所定の範囲内にあれば、スタート信号の受信タイミングに合わせて乱数抽選を行い、乱数抽選した値と低確率状態の抽選テーブルとを比較して、入賞したか否かを判断する(図17〜図18の説明参照)。
次に、主制御部100は、ドラム部2を一斉に回転させて、左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2c上に表示された複数の図柄(本実施例の場合は、各ドラムには21個の図柄が表示されている)を変動させる変動表示ゲームを開始するとともに、副制御部160に抽選結果コマンドを送信する。
副制御部160は、この抽選結果コマンドとスタートレバー9が操作された際に操作方向センサ111から出力される上下左右の方向信号に基づいて、表示演出装置11に乱数抽選結果と操作方向に応じた告知表示を行い、遊技者に注意を喚起する。
例えば、方向表示演出が行われていない状態で、ビッグボーナス又はレギュラーボーナスが当選した場合は、大当り前兆モードのドラキュラミッションをスタートさせて、ドラキュラ城の門を拡大表示し(図23(A)参照)、ドラキュラ城内部に侵入して閉まった扉を開ける(図23(B)及び図23(C)参照)。ドラキュラ城内の絢爛豪華な神殿を表示する(図23(D)参照)。この扉を開けた際に、調光シート付き表示パネル11eが乳白色から透明に代わり、プロジェクターからの投影が中止され、表示パネル11eの後方に出現した立体物11rを視認できる(図10参照)。この立体物11rは、表示パネル11eの調光シートが乳白色状態の際には、プロジェクターの投影の邪魔にならないように、側方に移動しているが、倒伏状態であってもよい。
また、レア小役と呼ばれるチェリーやスイカ、又はベルやレプレイの告知表示を行う場合、停止ボタン部10が操作される以前に、それぞれ赤色や緑色、又は黄色や銀色のコウモリが「バサッ、バサッ、バサッ」という効果音と共に、画面中央に表示されているドラキュラ城から飛んでくる様子を表示する一方、ハズレの場合は特別な告知表示を全く行わない。但し、ハズレの場合でも、遊技者に緊張感を持たせてゲーム性を向上させるために、ボーナスやレア小役告知と同様に、必要に応じてハズレを意味する黒色のコウモリを画面上に飛ばしたり、執事が墓穴からドクロを掘り起こして登場することもある。
一方、副制御部160は、遊技者が変動表示ゲームの開始操作を行うより前に方向表示演出を行った状態で、且つ抽選結果コマンドと方向信号を受信すると、内部抽選の結果に関連する複数の映像演出の中から、方向信号によって示された方向に従って、表示する映像演出を選択して、表示演出装置11に表示する。
例えば、副制御部160は、図22(A)の表示状態で、遊技者がスタートレバー9を左方向に操作した場合(即ち、入力されるべき方向を表示装置に表示し、且つ、入力方向検出手段によって検出された方向が表示装置に表示した方向と一致する場合)、検出された方向に表示画面をスクロールさせ、抽選結果コマンドに基づいて、当選小役のチェリーやスイカ、又はベルやレプレイ図柄を投影表示して遊技者に告知する。なお、抽選結果コマンドによりボーナスゲームが当選したときには、検出された方向とは異なる方向(即ち、左以外の方向)に表示画面をスクロールさせたり、又は、表示画面をスクロールさせることなく、ボーナスゲームが当選したことを示す映像演出を表示演出装置11の表示パネル11pに投影表示する。
逆に、図22(A)の表示状態で、遊技者がスタートレバー9を左方向以外に操作した場合(即ち、入力されるべき方向を表示装置に表示し、且つ、入力方向検出手段によって検出された方向が表示装置に表示した方向と一致しない場合)、表示画面をスクロールさせることなく、抽選結果コマンドに基づいて、当選小役のチェリーやスイカ、又はベルやレプレイ図柄を表示して遊技者に告知する。なお、抽選結果コマンドによりボーナスゲームが当選したときには、検出された方向又は入力されるべき方向(即ち、左方向)に表示画面をスクロールさせ、ボーナスゲームが当選したことを示す映像演出を表示演出装置11の表示パネル11pに投影表示する。
また、副制御部160は、図22(B)又は図22(C)の表示状態で、遊技者がスタートレバー9を左方向に操作した場合(即ち、入力されるべき方向を表示装置に表示し、且つ、入力方向検出手段によって検出された方向が表示装置に表示した方向と一致する場合)、検出された方向に表示画面をスクロールさせ、ボーナスゲームが当選したことを示す演出を、表示演出装置11に立体物11rにより実行させる。その一方、ボーナスゲームが当選し、入力すべき方向を表示装置に表示したにも拘わらず、遊技者がスタートレバー9を他の方向に操作した場合には、ボーナスゲームの当選を無効にするようにしてもよい。こうすることにより、遊技者に緊張感を与えることができる。なお、一旦ボーナスゲームの当選無効を表示して、その後、ボーナスゲームを再度当選させるようにしてもよい。
なお、図24(A)乃至図24(C)に示すように、方向表示演出は1方向だけではなく、上下左右の4方向から複数選択して同時に表示するようにしてもよい(例えば、矢印は2つから4つということである)。
本実施形態の回胴式遊技機においては、このような表示演出装置11を用いた抽選結果の演出告知とは別に、停止ボタン部10を用いた演出告知を行う。すなわち、主制御部100は、ステップS230で、遊技者がスタートレバー9を操作して、変動表示ゲームを開始させたか否か確認し、開始させた場合には、ステップS240に移行し、変動表示ゲームを開始するとともに、副制御部160に抽選結果コマンドを送信する。副制御部160は、この抽選結果コマンドとスタートレバー9が操作された際に操作方向センサ111から出力される上下左右の方向信号に基づいて、表示演出装置11に乱数抽選結果と操作方向に応じた告知表示を行うが、これと共に、停止ボタン部10における3つの停止ボタン10a,10b,10cを利用した演出告知を行う。
このボタン演出告知のために、副制御部160は、主制御部100から抽選結果コマンドが送られてくると次のボタン演出ルーチンを実行する。図25はボタン演出ルーチンのフローチャートである。
ボタン演出ルーチンでは、副制御部160は、ステップS700で抽選結果を取り込む。次にステップS710で抽選結果が当たりか否かを判定する。抽選結果が外れの場合はこのルーチンは終了する。抽選結果が当たりの場合はステップS720に移行し、第1の停止ボタン10aにおける停止ボタンセンサ120がオン状態が否かを判定する。第1の停止ボタン10aが操作され、停止ボタンセンサ120がオン状態に切り替わると、次のステップS730で第1の停止ボタン10aにおける電磁石105に通電を行う。これにより、第1の停止ボタン10aにおいて押し込まれた操作部102は元の位置には戻って来ず、押し込み状態に保持される。
次に副制御部160は、ステップS740で抽選結果がビッグボーナスかレギュラーボーナスの何れかであるかを判定する。抽選結果がビッグボーナスでもレギュラーボーナスでもない場合は終了する。抽選結果がビッグボーナスかレギュラーボーナスの何れかであれば、次のステップS750に移行し、第2の停止ボタン10bにおける停止ボタンセンサ120がオン状態が否かを判定する。停止ボタンセンサ120がオン状態に切り替わると、次のステップS760で第2の停止ボタン10bにおける電磁石105に通電を行う。これにより、第2の停止ボタン10bにおいて押し込まれた操作部102は元の位置には戻って来ず、押し込み状態に保持される。
次に副制御部160は、ステップS770で抽選結果がビッグボーナスであるかを判定する。抽選結果がビッグボーナスでない場合は終了する。抽選結果がビッグボーナスであれば、第3の停止ボタン10cに設けられた電磁石105を通電スタンバイ状態とした上で、次のステップS770で第3の停止ボタン10cにおける停止ボタンセンサ120がオン状態が否かを判定する。停止ボタンセンサ120がオン状態に切り替わると、次のステップS780で上記電磁石105に通電を行う。これにより、第3の停止ボタン10cにおいて押し込まれた操作部102は元の位置には戻って来ず、押し込み状態に保持される。
副制御部160が上記手順の制御を行うことにより、停止ボタン部10においては次のようなボタン演出告知が行われる。図26は停止ボタン部100における3つの停止ボタン10a,10b,10cの当選告知動作を示すタイミングチャートである。
主制御部100で実行された抽選結果が外れの場合は、3つの停止ボタン10a,10b,10cにおける電磁石105は作動しない。このため、停止ボタン10a,10b,10cのいずれにおいても、操作部102を押す間だけ操作部102は押し込まれ、指先を離すと操作部102は元の位置に戻る。通常の動作を行うだけである。
これに対し、抽選結果が何らかの当選であった場合、第1の停止ボタン10aを押し込むと、押し込み位置に保持される。この段階では、ビッグボーナスゲームやレギュラーボーナスゲームが当選している可能性もあり、遊技者は大きな期待感をもつ。次に第2の停止ボタン10bを押し込むが、この停止ボタン10bも押し込まれた位置に保持されると、少なくともレギュラーボーナスゲームが当選しており、ビッグボーナスゲームが当選している可能性もある。このため、遊技者の期待感は一層膨らむ。そして最後に第3の停止ボタン10cを遊技者は押し込む。もしビッグボーナスゲームが当選していれば、この停止ボタン10cも押し込まれた位置に保持され、遊技者はその当選を確信することになる。押し込み保持は次のゲームがスタートするまで続く。次のゲームがスタートすると、押し込み保持されていた停止ボタンも元の位置に戻り、次のゲームに備える。
このように、3つの停止ボタン10a,10b,10cを用いた当選告知によると、期待感が段階的に膨らむことになるので、遊技者の緊張感、満足度は相当に大きい。加えて、停止ボタン10a,10b,10cによる当選告知は、画像表示や音響による告知と異なり、停止ボタン10a,10b,10cの立体的な動作を伴い、触覚を介した告知も可能である。このため、遊技者の緊張感、期待感は非常に大きくなる。
停止ボタン10a,10b,10cの操作が終わると、ドラム部2においては回転ドラム2a,2b,2cの回転が停止する。このとき主制御部100は、ステップS240において、内部抽選の結果、当選となって役が成立した場合には、有効ライン上にその役の図柄を揃えるための引込制御や、逆にハズレとなって役が不成立の場合には、有効ライン上に当選役(ボーナスや小役)の図柄を揃えないための回避制御を行う(図12及び図13参照)。
主制御部100は、一般遊技の各変動表示ゲームにおいて、同一図柄が有効ライン上に並んで窓部3に表示されれば入賞とし、図18に示す配当表に従って、遊技メダルをメダル払出装置(一般に「メダルホッパー」と呼ばれている。)から払い出し、メダル払出口16より排出して、ステップS250に移行する。なお、ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)においては、直ちに6ゲームで1セットのRBゲーム(ジャックゲーム又は第一種特別役物)が繰り返し作動され、獲得枚数が375枚を超えた時点でBBゲームモードを終了する。また、レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)においては、6ゲームのジャックゲームを実行し、RBゲームモードを終了する。
次に、主制御部100は、ステップS250で内部抽選の結果、抽選小役が成立したか否かを判断し、成立の場合にはステップS260へ移行し、昇格表示ステージ処理サブルーチンを呼び出す。一方、不成立の場合にはステップS212に戻って、同様の処理を繰り返す。
図27は昇格表示ステージ処理サブルーチンのフローチャートである。
主制御部100は、このサブルーチンに入ると、ステップS300で大当り確率が低確率状態で且つ成立した抽選小役が高確率状態へモード移行させるための抽選の契機となる昇格抽選小役(チェリー又はスイカ)か否かを判断し、低確率且つ昇格抽選小役でなければ、終了してこのサブルーチンを抜ける一方、昇格抽選小役であればステップS310へ移行する。
主制御部100は、ステップS310へ移行すると、低確率状態から高確率状態へのモード移行抽選を行い、ハズレであれば、終了してこのサブルーチンを抜ける一方(即ち、低確率状態を維持する)、当選であれば、ステップS320で高確率状態へモード移行させた後、ステップS330へ移行する。
主制御部100は、ステップS330へ移行すると、当該昇格抽選小役が表示装置の表示ステージを切り替えるための第一抽選小役(この場合、チェリー)か否かを判断し、第一抽選小役でなければ、終了してこのサブルーチンを抜ける一方、第一抽選小役であればステップS340へ移行する。
主制御部100は、ステップS340へ移行すると、夜ステージから昼ステージ(即ち、第二表示ステージから第一表示ステージ)への画面の表示切替抽選を行い、ハズレであれば、終了してこのサブルーチンを抜ける一方(即ち、夜ステージを維持する)、当選であれば、ステップS350で、画面一杯に時計を表示して、「カーン、カーン、カーン、ウォウォウォウォ」という効果音と共に時計の針を高速で回転させた後、昼ステージへ画面を切り替えて終了する(図21(B)「昼の通常画面」参照)。なお、このサブルーチンでは、画面の表示切替抽選を行うステップS340を設けているが、ステップS340を無くし表示切替抽選を実行することなくステップS350へ移行して、第一抽選小役のチェリーであれば全て画面表示を切り替るようにしてもよい。
昇格表示ステージ処理サブルーチンを抜けると、主制御部100は、図19のステップS270へ移行し、降格表示ステージ処理サブルーチン(図28)を呼び出す。