JP4001098B2 - 自動車用燃料系ホース - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用燃料系ホースに関するものであり、詳しくはガソリン、アルコール混合ガソリン、ディーゼル燃料のような自動車燃料の輸送等に用いられる自動車用燃料系ホースに関するものである。
世界的な環境意識の高まりから、自動車用燃料系ホース等からの炭化水素蒸散量の規制が強化されてきており、なかでも米国ではかなり厳しい蒸散規制が法制化されている。このような状況の中で、炭化水素蒸散量の規制に対応するため、フッ素系樹脂からなる燃料低透過層を備えた多層ホースが提案されている。
上記フッ素系樹脂を用いた多層ホースは、メタノールやエタノール等のアルコール混合ガソリンに対する燃料低透過性能に優れているが、より厳しい燃料低透過性能が要求される場合には、フッ素系樹脂層の厚みを厚くせざるを得ず、そのためホースが高価になるという難点がある。
そこで、フッ素系樹脂よりも燃料低透過性能に優れる樹脂として、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂が注目されている。このPPS樹脂は、燃料低透過性能に優れるため、比較的薄くても充分な低透過性能が得られる。したがって、フッ素系樹脂を用いて燃料低透過層を形成してなるホースに比べて、価格的に有利である。このように、PPS樹脂からなる燃料低透過層を備えたホースとして、例えば、PPS樹脂からなる内層の外周に、PPS樹脂以外の熱可塑性樹脂からなる外層を形成した多層燃料チューブが提案されている(特許文献1参照)。
特開平10−138372号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のホースでは、ガソリンと直接接触する内層用材料として、PPS樹脂を用いているため、つぎのような難点がある。すなわち、PPS樹脂がサワーガソリンにより酸化して変性を起こすため、耐サワーガソリン性に劣るとともに、PPS樹脂が直接ガソリンに接触した上で応力がかかると、クレーズが発生する。また、最内層は変位が大きいため、PPS樹脂を用いて最内層を構成すると、耐衝撃性が劣るという難点もある。また、PPS樹脂とフッ素系樹脂との接着層として、PPS樹脂とフッ素系樹脂とのブレンド材料が考えられるが、フッ素系樹脂は比重が大きいため、多量にブレンドする必要があり高価になるとともに、フッ素系樹脂はPPS樹脂との親和性が低く、ブレンド材料にした場合に機械的物性に劣るという難点もある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、燃料低透過性、耐衝撃性、耐サワーガソリン性、層間接着性に優れた自動車用燃料系ホースの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の自動車用燃料系ホースは、燃料を流通させる環状の内層と、その外周の燃料低透過層と、上記内層と燃料低透過層とを接着させる接着層とを備え、上記内層が、官能基を有するフッ素系樹脂を用いて構成され、上記接着層が、ポリアミド系樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とのブレンド材料を用いて構成され、上記燃料低透過層が、ポリフェニレンスルフィド樹脂を用いて構成されているという構成をとる。
本発明者らは、燃料低透過性、耐衝撃性、耐サワーガソリン性、層間接着性に優れた自動車用燃料系ホースを得るべく、鋭意研究を重ねた。その結果、官能基を有するフッ素系樹脂で内層を形成するとともに、その外周にポリフェニレンスルフィド樹脂で燃料低透過層を形成し、かつ、両層の間に、ポリアミド系樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とのブレンド材料で接着層を形成すると、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、内層を構成するフッ素系樹脂の官能基により、接着層を構成するポリアミド系樹脂との接着力が向上し、内層と接着層との層間接着性が向上する。また、接着層および燃料低透過層は、いずれもポリフェニレンスルフィド樹脂で構成されているため、両者の層間接着力も高い。その結果、内層と燃料低透過層との層間接着性が高くなり、耐衝撃性が向上する。また、内層がフッ素系樹脂で構成されているため、耐サワーガソリン性にも優れるうえ、燃料低透過層がポリフェニレンスルフィド樹脂で構成されているため、燃料低透過性にも優れている。
本発明の自動車用燃料系ホースは、内層が、官能基を有するフッ素系樹脂で構成され、接着層が、ポリアミド系樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とのブレンド材料で構成され、燃料低透過層が、ポリフェニレンスルフィド樹脂で構成されている。そのため、内層を構成するフッ素系樹脂の官能基により、接着層を構成するポリアミド系樹脂との接着力が向上し、内層と接着層との層間接着性が向上する。また、接着層および燃料低透過層は、いずれもポリフェニレンスルフィド樹脂で構成されているため、両者の層間接着力も高い。その結果、内層と燃料低透過層との層間接着性が高くなり、耐衝撃性が向上する。また、内層がフッ素系樹脂で構成されているため、耐サワーガソリン性にも優れるうえ、燃料低透過層がポリフェニレンスルフィド樹脂で構成されているため、燃料低透過性にも優れている。また、内層と燃料低透過層との間に接着層を設けているため、接着層の厚みを厚くして耐衝撃性を確保することにより、フッ素系樹脂で構成される内層を薄肉化することが可能となり、低コスト化を図ることができる。
また、ポリアミド系樹脂およびポリフェニレンスルフィド樹脂に加えて、さらに相溶化剤を配合したブレンド材料を用いて接着層を構成すると、内層と接着層との接着力、および接着層と燃料低透過層との接着力がいずれも向上する。そのため、内層と燃料低透過層との層間接着性がより向上するとともに、耐衝撃性もより向上する。
また、上記燃料低透過層が、ポリフェニレンスルフィド樹脂とともに、エラストマーを用いて形成されていると、耐衝撃性がより向上する。
また、上記官能基を有するフッ素系樹脂の官能基が、エポキシ基、水酸基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸基、アクリレート基、カーボネート基およびアミノ基からなる群から選ばれた少なくとも一つであると、内層と接着層との接着力がより向上し、耐衝撃性もより向上する。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の自動車用燃料系ホースは、例えば、図1に示すように、燃料を流通させる環状の内層1の外周面に接着層2が形成され、さらにその外周面に燃料低透過層3が形成されて構成されている。
上記内層1用材料としては、官能基を有するフッ素系樹脂が用いられる。上記フッ素系樹脂としては、特に限定するものではなく、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、ビニリデンフルオライド樹脂(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、加工性に優れる点で、ETFE、THV、PVDFが好適に用いられる。
また、上記官能基としては、特に限定はないが、エポキシ基、水酸基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸基、アクリレート基、カーボネート基、アミノ基が好ましい。
上記官能基を有するフッ素系樹脂は、例えば、フッ素系樹脂に、官能基を有するグラフト性化合物をグラフトさせたり、フッ素系樹脂の主鎖中あるいは末端に、官能基を有する化合物を共重合させること等により得ることができる。
なお、主に燃料ポンプで発生した静電気を帯びた燃料が接触帯電し、スパークによって火災が発生するのを防止するため、上記内層1に導電性を持たせることも可能である。この場合、上記内層1用材料としては、上記官能基を有するフッ素系樹脂に、カーボンブラック,ナノカーボンチューブ,金属粉,金属酸化物粉等の導電剤を配合したものが用いられる。このように導電性を付与した場合の内層(導電性層)の表面抵抗は、108 Ωsq以下の範囲が好ましく、特に好ましくは107 Ωsq以下である。そして、上記導電剤の配合割合は、導電性層の表面抵抗が上記の範囲になるよう設定することが好ましい。
上記内層1の外周面に形成される接着層2用材料としては、ポリアミド系樹脂と、ポリフェニレンスルフィド樹脂とのブレンド材料が用いられる。
上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド99(PA99)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド912(PA912)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド6とポリアミド66との共重合体(PA6/66)、ポリアミド6とポリアミド12との共重合体(PA6/12)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記ポリアミド系樹脂は、官能基で変性してあってもよく、なかでも末端アミノ基量の多いものが好ましい。また、上記官能基としては、特に限定はないが、エポキシ基、水酸基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸基、アクリレート基、カーボネート基、アミノ基が好ましい。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂としては、特に限定はなく、リニア型、セミリニア型、架橋型等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、リニア型、セミリニア型が好適に用いられる。
上記ポリフェニレンスルフィド樹脂は、官能基で変性してあってもよい。また、上記官能基としては、特に限定はないが、エポキシ基、水酸基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸基、アクリレート基、カーボネート基、アミノ基が好ましい。
上記ポリアミド系樹脂と、ポリフェニレンスルフィド樹脂との混合比は、体積比で、ポリアミド系樹脂/ポリフェニレンスルフィド樹脂=20/80〜80/20の範囲内が好ましく、特に好ましくはポリアミド系樹脂/ポリフェニレンスルフィド樹脂=25/75〜75/25の範囲内である。すなわち、ポリアミド系樹脂の体積比が20未満であると、内層1用材料である、官能基を有するフッ素系樹脂との接着性が劣る傾向がみられ、逆にポリアミド系樹脂の体積比が80を超えると、ポリフェニレンスルフィド樹脂の体積比が減るため、燃料低透過層3用材料である、ポリフェニレンスルフィド樹脂との接着性に劣る傾向がみられるからである。
なお、上記接着層2用材料としては、ポリアミド系樹脂およびポリフェニレンスルフィド樹脂に加えて、相溶化剤を配合することも可能である。このように、相溶化剤を配合した場合は、内層1と接着層2との接着力、および接着層2と燃料低透過層3との接着力がいずれも向上する。そのため、内層1と燃料低透過層3との層間接着性がより向上するとともに、耐衝撃性もより向上する。
上記相溶化剤としては、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート(EGMA)、変性EGMA、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル三元共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル三元共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート−アクリル酸三元共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、変性EEA、変性エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)、変性EVAc、変性ポリプロピレン(PP)、変性ポリエチレン(PE)、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(エポキシ化SBS)、エポキシ化スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(エポキシ化SEBS)、酸変性SBS、酸変性SEBS、スチレン−イソプロペニルオキサゾリン共重合体、グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体、グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体、熱可塑性ウレタン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記変性EGMAとしては、例えば、EGMAに、ポリスチレン(PS),ポリメチルメタクリレート(PMMA),アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS),PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたもの等があげられる。
また、変性EEAとしては、例えば、EEAに、PS,PMMA,AS,PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたものや、無水マレイン酸変性EEA、シラン変性EEA等があげられる。
また、変性エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体としては、例えば、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体に、PS,PMMA,AS,PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたもの等があげられる。
また、変性EVAcとしては、例えば、EVAcに、PS,PMMA,AS,PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたもの等があげられる。
また、変性PPとしては、例えば、PPに、PSまたはASをグラフトしたものや、無水マレイン酸変性PP等があげられる。
また、変性PEとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)に、PS,PMMA,AS,PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたものや、無水マレイン酸変性PE等があげられる。
上記ポリアミド系樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との混合物と、相溶化剤との混合比は、体積比で、ポリアミド系樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との混合物/相溶化剤=99/1〜80/20の範囲内が好ましく、特に好ましくは、ポリアミド系樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂との混合物/相溶化剤=98/2〜85/15の範囲内である。
上記接着層2の外周面に形成される燃料低透過層3としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂が用いられる。上記ポリフェニレンスルフィド樹脂としては、特に限定はなく、前述と同様の、リニア型、セミリニア型等があげられる。
なお、上記燃料低透過層3は、低透過性を満足する範囲で、ポリフェニレンスルフィド樹脂に、エラストマーを配合した材料を用いて形成しても差し支えない。
上記エラストマーとしては、特に限定はないが、例えば、フッ素ゴム,ブタジエン−アクリロニトリルゴム(NBR),水素添加ブタジエン−アクリロニトリルゴム(H−NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体(EPDM)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−グリシジルメタクリレート(EGMA)、変性EGMA、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、酸変性SBS、エポキシ化SBS、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、酸変性SEBS、エポキシ化SEBS、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、変性EEA、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)、変性EVAc、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ウレタン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、フッ素系樹脂、コアシェルエラストマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記エラストマーの配合割合は、特に限定はないが、ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対して、1〜80部の範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜70部の範囲内である。このような範囲内であれば、燃料低透過性がより向上するため好ましい。
上記燃料低透過層3用材料であるポリフェニレンスルフィド樹脂としては、透過係数が0.08以下の材料が好ましく用いられる。なお、上記透過係数は、Fuel Cに10体積%のエタノールを混合した燃料の40℃における透過係数(mg・mm/cm2 /day/atm)を示す。上記透過係数は、JIS K 7126のA法に準じて測定した値である。
なお、本発明の自動車用燃料系ホースは、図1に示した構造に限定されるものではなく、ホースとしての柔軟性確保や石跳ねからの保護等を目的として、燃料低透過層3の外周面に外層を形成すると、低温衝撃性が向上するため好ましい。
上記外層の形成材料としては、特に限定するものではなく、例えば、ポリアミド6(PA6),ポリアミド66(PA66),ポリアミド99(PA99),ポリアミド610(PA610),ポリアミド612(PA612),ポリアミド11(PA11),ポリアミド912(PA912),ポリアミド12(PA12),ポリアミド6とポリアミド66との共重合体(PA6/66),ポリアミド6とポリアミド12との共重合体(PA6/12)のようなポリアミド樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記外層は単層構造に限定されるものではなく、2層以上の多層構造であっても差し支えない。
本発明の自動車用燃料系ホースは、前記図1に示したような3層構造に限定されるものではなく、内層1の内周側に、官能基を有さないフッ素系樹脂を用いて最内層を形成することも可能である。この最内層は、非導電性層であっても、導電性層であっても差し支えない。また、内層1は、単層構造に限定されるものではなく、2層以上の多層構造であっても差し支えない。例えば、内層1を内側層と外側層との2層構造とし、内側層を導電性層、外側層を非導電性層とすることも可能である。
また、上記燃料低透過層3と外層との間にも、接着層を形成しても差し支えない。この接着層用材料としては、内層1と燃料低透過層3との間に形成される接着層2と同様の材料、すなわち、ポリアミド系樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とのブレンド材料を用いることが好ましいが、必ずしもこのブレンド材料に限定されるものではない。なお、燃料低透過層3の外周に設けられる外層も、単層構造に限定されるものではなく、2層以上の多層構造であっても差し支えない。
前記図1に示した本発明の自動車用燃料系ホースは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、先に述べたような、内層1用材料、接着層2用材料、および燃料低透過層3用材料をそれぞれ準備する。つぎに、内層1用押出機、接着層2用押出機、および燃料低透過層3用押出機を用いて、各材料を押し出して1つのダイに合流させ、この共押出した溶融チューブをサイジングダイスに通すことにより、内層1の外周面に接着層2が形成され、さらにその外周面に燃料低透過層3が積層形成されてなる自動車用燃料系ホースを作製することができる。
なお、燃料低透過層3の外周面に外層を形成する場合は、外層用材料を準備し、内層1用押出機、接着層2用押出機、燃料低透過層3用押出機、および外層用押出機を用いて、各材料を押し出して1つのダイに合流させ、この共押出した溶融チューブをサイジングダイスに通すことにより、4層構造の自動車用燃料系ホースを作製することができる。
また、内層1が2層の場合は、内層(内側層)用押出機および内層(外側層)用押出機をそれぞれ準備し、各押出機より各材料を同時に押し出し、ダイで合流させることにより作製することができる。外層が2層の場合も、上記2層の内層の場合と同様に、成形することができる。なお、ホースを蛇腹状に形成する場合には、上記共押出した溶融チューブをコルゲート成形機に通すことにより、所定寸法の蛇腹状ホースを作製することが可能である。
また、得られたホースを熱老化槽に入れ、所定の条件(例えば、130℃×1時間)でアニール処理(熱処理)を行うことも可能である。このようにアニール処理を行うと、PPS樹脂の結晶化度が高くなり、燃料低透過性能が向上するため好ましい。
このようにして得られる本発明の自動車用燃料系ホースにおいて、ホース内径は2〜40mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2.5〜36mmの範囲内であり、ホース外径は3〜44mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは4〜40mmの範囲内である。また、内層1の厚みは0.02〜1.0mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.6mmの範囲内である。接着層2の厚みは、0.02〜1.0mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.6mmの範囲内である。また、燃料低透過層3の厚みは0.02〜0.8mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.6mmの範囲内である。なお、外層を形成する場合は、外層の厚みは、通常、0.2〜1.5mmの範囲内であり、好ましくは0.3〜1.0mmの範囲内である。
本発明の自動車用燃料系ホースは、ガソリン、アルコール混合ガソリン、ディーゼル燃料、CNG(圧縮天然ガス)、LPG(液化石油ガス)等の自動車用燃料の輸送用ホースとして好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、メタノールや水素、ジメチルエーテル(DME)等の燃料電池自動車用の燃料輸送用ホースとしても使用可能である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔無水カルボン酸変性ETFE〕
旭硝子社製、フルオンAH−2000
〔エポキシ変性ETFE〕
ETFE100部に対して、グリシジルメタクリレート2部と、ジクミルパーオキサイド2部とを配合し、二軸押出機を用いて溶融混練して、エポキシ変性ETFEを作製した。
〔導電無水カルボン酸変性ETFE〕
無水カルボン酸変性ETFE(旭硝子社製、フルオンAH−2000)100部に、アセチレンブラックを18部配合して、導電無水カルボン酸変性ETFEを作製した。
〔ETFE〕
旭硝子社製、フルオンLM730AP
〔エポキシ変性THV〕
THV100部に対して、グリシジルメタクリレート4部と、ジクミルパーオキサイド2部を配合し、二軸押出機を用いて溶融混練して作製した。
〔PPS〕
大日本インキ化学工業社製、FZ−2200−A5
〔TPEE〕
PBT系TPEE(東レ・デュポン社製、ハイトレル5577R07)
〔PA12−1〕
宇部興産社製、UBESTA3030B
〔PA12−2〕
アトフィナ・ジャパン社製、Rilsan AESN O P20TL
〔PA6〕
宇部興産社製、UBEナイロン1030B
〔末端アミン変性PA6〕
宇部興産社製、UBEナイロンG1013
〔末端アミン変性PA12〕
宇部興産社製、UBESTA3020UX1)
〔相溶化剤−1〕
エポキシ化SBS(ダイセル化学工業社製、エポフレンドAT501)
〔相溶化剤−2〕
EGMAに、PMMAとブチルアクリレートとの共重合体をグラフトした変性EGMA(日本油脂社製、モディパーA4300)
〔ブレンド物−1〕
PA12−1と、PPSとを、PA12−1/PPS=50/50の体積比で混練りした材料。
〔ブレンド物−2〕
PA12−1と、PPSと、相溶化剤−1とを、PA12−1/PPS/相溶化剤−1=45/45/10の体積比で混練りした材料。
〔ブレンド物−3〕
PA12−1と、PPSと、相溶化剤−1とを、PA12−1/PPS/相溶化剤−1=55/35/10の体積比で混練りした材料。
〔ブレンド物−4〕
PA12−1と、PPSと、相溶化剤−1とを、PA12−1/PPS/相溶化剤−1=35/55/10の体積比で混練りした材料。
〔ブレンド物−5〕
PA6と、PPSと、相溶化剤−1とを、PA6/PPS/相溶化剤−1=45/45/10の体積比で混練りした材料。
〔ブレンド物−6〕
末端アミン変性PA6と、PPSと、相溶化剤−1とを、末端アミン変性PA6/PPS/相溶化剤−1=45/45/10の体積比で混練りした材料。
〔ブレンド物−7〕
PA12−1と、PPSと、相溶化剤−2とを、PA12−1/PPS/相溶化剤−2=45/45/10の体積比で混練りした材料。
〔ブレンド物−8〕
TPEEと、PPSと、相溶化剤−1とを、TPEE/PPS/相溶化剤−1=45/45/10の体積比で混練りした材料。
〔ブレンド物−9〕
末端アミン変性PA12と、PPSと、相溶化剤−1とを、末端アミン変性PA12/PPS/相溶化剤−1=40/50/10の体積比で混練りした材料。
内層用押出機と、接着層用押出機と、燃料低透過層用押出機と、外層用押出機とをそれぞれ準備し、各押出機から各材料を押し出して1つのダイに合流させ、これをサイジングダイスに通すことにより、内層、接着層A、燃料低透過層、接着層B、外層が順次積層形成されてなる燃料ホース(内径6mm、外径8mm)を作製した。
〔実施例2〜13、比較例1〜4〕
内層用材料、接着層A用材料、燃料低透過層用材料、接着層B用材料、もしくは外層用材料を、後記の表1〜表3に示す組み合わせに変更する以外は、実施例1と同様にして、燃料ホースを作製した。
このようにして得られた実施例品および比較例品の燃料ホースを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1〜表3に併せて示した。
〔ガソリン透過量〕
長さ10mの燃料ホース(内径6mm)の両端部を、円錐状の治具を用いて、燃料ホース端部内径が10mmになるように拡径した後、端部の外周をR処理した外径8mmの金属製パイプ(だだし、外径10mmに拡径されたバルジ加工部を2箇所有する)を2本準備し、上記燃料ホースの端部に1本ずつ圧入した。そして、一方の金属製パイプにはネジ式の目くら栓を装着し、他方の金属製パイプには金属製バルブを装着した。ついで、上記金属製バルブを装着した金属製パイプ側から、燃料ホース内にエタノール10体積%含有したインドレンガソリンを封入し、40℃で3000時間処理(なお、1週間毎に、エタノール10体積%含有したインドレンガソリンを交換)した。そして、CARB SHED法 DBLパターンで、3日間ガソリン透過量を測定し、ガソリン透過量が最大であった日の、燃料ホース1m当たりのガソリン透過量を算出した。なお、上記測定方法では、0.1mg/m/日が測定限界であるため、0.1mg/m/日未満であったものは「<0.1」と表記した。
〔耐サワーガソリン性〕
FuelC(イソオクタン/トルエン=50/50体積%)にラウロイルパーオキサイド(LPO)を5重量%混合してなる模擬変性ガソリンを調製した。そして、長さ10mのホースの両端部に金属製パイプを圧入し、圧力レギュレーターを介して、0.3MPaの圧力で上記模擬変性ガソリンを、60℃で8時間循環させた後16時間封入した。これを1サイクルとして30サイクル行った後、ホースを180°に折り曲げ、その状態を目視により観察し、耐サワーガソリン性の評価を行った。評価は、燃料ホース内外面にクラックが入っていないものを○、クラックが入ったものを×とした。
〔接着力〕
各燃料ホースを長手方向に4分割し、そのうちの1つを用いて、接着層Aとその内側層との界面を剥離して接着力(N/cm)を測定した。また、接着層Aとその外側層との接着力(N/cm)も、上記と同様にして測定した。
〔耐衝撃性〕
各燃料ホースを−40℃で4時間放置した後、JASO M317に準じて、すぐに落錘(先端がR16mmに処理された直径32mmの丸棒、重さ450g)を305mmの高さから燃料ホース上に落下させる落錘試験を行った。その後、ホースを長手方向に半割して、燃料ホース内外面の異常の有無を確認した。評価は、燃料ホース内外面にクラックが入っていないものを○、クラックが入ったものを×とした。
上記結果から、実施例品は、いずれも燃料低透過性、耐サワーガソリン性、接着性および耐衝撃性に優れていた。
これに対して、比較例1,2品は、官能基を有しないETFEにより内層が形成されているため、接着層Aと接着しておらず、耐衝撃性が劣っていた。比較例3品は、PPSを用いて燃料低透過層を形成していないため、燃料低透過性が劣っていた。比較例4品は、PPSを用いてなる燃料低透過層が、ガソリンと直接接触するため、耐サワーガソリン性および耐衝撃性に劣っていた。
本発明の自動車用燃料系ホースは、ガソリン、アルコール混合ガソリン、ディーゼル燃料のような自動車燃料の輸送等に好適に用いられる。
本発明の自動車用燃料系ホースの一例を示す構成図である。
符号の説明
1 内層
2 接着層
3 燃料低透過層

Claims (4)

  1. 燃料を流通させる環状の内層と、その外周の燃料低透過層と、上記内層と燃料低透過層とを接着させる接着層とを備え、上記内層が、官能基を有するフッ素系樹脂を用いて構成され、上記接着層が、ポリアミド系樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂とのブレンド材料を用いて構成され、上記燃料低透過層が、ポリフェニレンスルフィド樹脂を用いて構成されていることを特徴とする自動車用燃料系ホース。
  2. 上記接着層が、ポリアミド系樹脂およびポリフェニレンスルフィド樹脂に加えて、相溶化剤を配合したブレンド材料を用いて構成されている請求項1記載の自動車用燃料系ホース。
  3. 上記燃料低透過層が、ポリフェニレンスルフィド樹脂とともに、エラストマーを用いて形成されている請求項1または2記載の自動車用燃料系ホース。
  4. 上記官能基を有するフッ素系樹脂の官能基が、エポキシ基、水酸基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸基、アクリレート基、カーボネート基およびアミノ基からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動車用燃料系ホース。
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