JP3999851B2 - 自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷物等を載せる荷籠と子供を載せる子供載せ籠とに兼用して用いることができる自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種荷籠兼用子供載せ籠装置としては、実公平6−50309号公報に開示されたものがある。
この従来のものは、籠本体と、該籠本体の前側底面部を構成する前側底面板とからなり、該前側底面板の前端には足載せ台を固定し、前側底面板の後端部を籠本体の後側底面部前端に回動可能に枢着し、上記前側底面板と籠本体の前端部との左右中央を一本の所定長さのバンドで係止し、上記前側底面板と籠本体の対応箇所にはそれぞれ係止具を設けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、籠本体の底面前側を前側底面板で塞ぐことで荷籠としての使用を可能としながら、係止具による係合を離脱して前側底面板を下方に回動することで、開口した籠本体の底面前側から子供の足を入れて籠本体の後側底面に座らせることで子供載せ籠としても用いることができるようにし、更に、荷籠として使用する場合には、前記足載せ台が籠本体の前壁に沿うように配置されていて、該足載せ台を籠本体から外側に大きく突出させずにコンパクト化を図ろうとしている。
【0004】
しかし上記従来技術では荷籠として使用する場合に、荷籠の外側では突出物を無くしているものの、荷籠の内側では籠本体と前側底面板とを連結するバンドが荷籠内にループ状に突出することとなっていた。特に、上記バンドは荷籠の左右中央部に設けられていることから、ループ状に突出することによって内部に収める荷物等や手指等をバンドに引っ掛け易くなり、荷物の出し入れに支承を来す可能性が大きく、また、バンドに荷物等を引っ掛けないようにバンドを避けて荷籠の左右両側に荷物等を収めようとすると、荷籠の容積を充分に利用することができなくなって収納する荷物の量が制限されることとなってしまっていた。
【0005】
また、子供載せ籠として用いる場合においても、バンドが左右中央部に設けられていることから、子供の足を籠本体の前側底面の開口に入れるときにバンドに引っ掛け易くなってスムーズに子供を載せることができなくなるうえに、可撓性のバンドを用いていることから足を引っ掛けることでバンドが撓んで前記開口を塞ぐ方向に前側底面板が回動してしまい、より一層子供を載せにくくするものであった。
さらに足載せ台は、一本のバンドで左右中央部が吊り下げられた状態とされるために安定性に欠け、更に、足載せ台の左右側部に足を載せて左右に偏った荷重がかかると、足載せ台を変形させたり、籠本体との連結部分に集中応力を発生させる原因となって耐久性を損なう恐れが生じていた。
【0006】
本発明は上述のような問題点に鑑み、荷籠として用いる場合には、荷物等の出し入れが容易で、荷籠の容量を損なうことがないようにし、子供載せ籠として用いる場合には、子供を載せやすくし且つ足載せ部の安定性及び耐久性の向上を図ることができる自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の目的を達成するために、次の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明は、底壁と左右及び後側壁とを有して前方が開放された主籠部材と、底壁と前側壁とを有する副籠部材と、前記主籠部材の底壁前端と前記副籠部材の底壁後端とを回動自在に連結する連結具とを備え、前記副籠部材を起立状態に回動して主籠部材の前方を塞ぐことで荷籠を構成し、且つ前記副籠部材を傾倒状態に回動して主籠部材の前方を開放することで副籠部材の前側壁を子供の足載せ部に形成して子供載せ籠を構成しており、前記副籠部材を傾倒状態に保持する傾倒保持手段が主籠部材及び副籠部材の左右側部に設けられることを特徴としている。
【0008】
これによると、主籠部材の前方を副籠部材で塞ぐことによって荷籠としての利用を可能としながら、副籠部材を前方に傾倒させることで主籠部材の前方を開放し且つ副籠部材の前壁部を足載せ部として子供載せ籠としての利用もできる。そして、荷籠として利用する場合には、副籠部材の前壁部そのものが荷籠の前壁を構成するので荷籠の外側に足載せ部が突出することもないうえ、荷籠の内部においても、傾倒保持手段が主籠及び副籠部材の左右側部に設けられていることから荷籠の中央部に突出することもなく、荷籠としての容量を損なったり、荷物等を引っ掛けるようなことも少なくなる。
【0009】
また、子供載せ籠として利用する場合にも、前記傾倒保持手段が左右側部に設けられていることから、子供の足に引っ掛かるようなこともなくなってスムーズに子供を載せることができ、また足載せ部が左右両側で安定して保持され、偏荷重等による足載せ部の変形等の防止を図ることができる。
また、本発明は、前記副籠部材の前側壁の左右端部に後方へ延伸する左右側壁が設けられ、前記傾倒保持手段は、前記副籠部材の左右側壁に形成された第1係止溝と、前記主籠部材の左右側壁に設けられていて前記第1係止溝に係合することで前記副籠部材を傾倒状態に保持する第1係合部材とを有することを特徴とし、これによって副籠部材の保持を確実にしながら構造の簡素化が図れ、コストの低減を可能としている。
【0010】
また本発明は、前記副籠部材の起立状態を保持する起立保持手段が前記主籠部材及び前記副籠部材の左右側部に設けられ、該起立保持手段は、副籠部材の左右側壁に形成された第2係止溝と、前記主籠部材の左右側壁に設けられていて前記第2係止溝に係合することで前記副籠部材を起立状態に保持する第2係合部材とを有することを特徴とし、これによって前記した傾倒保持手段と同様に、荷籠として利用する場合の荷物出し入れの容易性や荷籠の容量を損なうこともなく、子供を載せる場合にも起立保持手段が足に引っ掛かるようなことも少なくなり、そして起立保持手段の構造の簡素化を可能としている。
【0011】
そして、本発明は、前記連結具は、主籠部材と副籠部材とのいずれか一方に設けられた左右方向の枢軸と、他方に設けられていて前記枢軸が挿通する左右方向の軸孔とで構成され、前記軸孔が上下方向に長い長孔状に形成されて副籠部材が主籠部材に対して上下移動自在とされ、この副籠部材の上方動によって前記第2係合部材が第2係止溝から離脱するように該第2係止溝が下方に開放した凹状に形成されることを特徴とし、これによれば、上下に長い軸孔を介して副籠部材を上下に移動させるだけで、第2係止溝から第2係合部材を係脱することが可能であり、また、副籠部材を上方に移動させなければ第2係止溝が第2係合部材から離脱しなくなり、副籠部材が自転車の振動等によって自然に傾倒することもほとんどない(請求項2)。
【0012】
また、本発明は、前記主籠部材の左右側壁間に、子供載せ籠に載せる子供用のハンドルを架設し、このハンドル両端部を前記第2係合部材として形成したことを特徴とし、これによって部品点数の削減を図ることが可能である(請求項3)。
更に、本発明は、前記主籠部材の左右側壁に左右方向の軸心回りに回動自在に揺動アームが設けられ、この揺動アームの自由端に前記第1係合部材が設けられ、前記副籠部材の左右側壁に、前記第1係合部材が挿通し且つ前記副籠部材を傾倒方向に回動させたときに前記第1係合部材が副籠部材の下部側から上部側に移動するように第1係合部材を案内する上下方向のガイド溝が形成され、該ガイド溝の上端部に第1係合部材が係合する前記第1係止溝が形成されていることを特徴とし、これによれば、ガイド溝によって第1係合部材が副籠部材の回動の妨げとなることもなく円滑に回動できるようになり、また副籠部材の回動させるだけで第1係合部材を第1係止溝へ係止する方向に移動し、即座に第1係止溝に第1係合部材を係合することができ、操作性の向上を図ることができる(請求項4)。
【0013】
そして本発明は、前記ガイド溝は、その上部側が下部側よりも後方へ傾斜するように上下中途部で屈曲形成されていることを特徴とし、これによれば、第1係合部材をガイド溝に沿って上下に移動するとき、ガイド溝の屈曲部分が抵抗となって移動速度が一旦遅くなり、副籠部材の回動が緩やかとなる。これによって副籠部材が急激に回動するのが防止されて、第1係止溝と第1係合部材とが衝突するのを防止し、また副籠部材と主籠部材との連結部分に対するショックも少なくなり、破損や磨耗等を防止することができるようになっている(請求項5)。
【0014】
また、本発明は、前記副籠部材の左右側壁に、主籠部材と副籠部材との枢支点を中心とした円弧状のガイド溝が形成され、前記第1係合部材と第2係合部材とが一つの係合部材によって兼用されて前記ガイド溝に挿通され、該ガイド溝の一端に、副籠部材の傾倒状態で前記係合部材が係合する前記第1係止溝が形成され、ガイド溝の他端に、副籠部材の起立状態で係合部材が係合する前記第2係止溝が形成されていることを特徴とし、これによれば、副籠部材を回動すると係合部材が前記ガイド溝内を移動して係合部材が副籠部材の回動の障害となることなく円滑な回動を可能とし、また、第1係合部材と第2係合部材を一つの係合部材で兼用できて部品点数の削減が図れ、ガイド溝の両端に第1,第2係止溝を形成することで、副籠部材を回動するだけで係合部材がガイド溝内を第1,第2係止溝へ係止する方向へ移動し、即座に傾倒保持状態又は起立保持状態とすることが可能となる(請求項6)。
【0015】
そして本発明は、前記主籠部材を自転車ハンドルの左右の立ち上がり部分の間に取り付けたときに、この立ち上がり部分の内側が嵌合して主籠部材の前後移動を規制する凹溝を主籠部材の左右側壁の外側面に形成したことを特徴とし、これによって安定して自転車のハンドルに主籠部材を保持することができるようになる(請求項7)。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図6は、本発明に係る自転車用特にハンドルに取付けられる荷籠兼用子供載せ籠装置1を示している。
この荷籠兼用子供載せ籠装置1は合成樹脂で形成されており、底壁2aと左右及び後側壁2b,2c,2dとを備えて上方及び前方が開放された主籠部材2と、底壁3bと左右及び前側壁3c,3d,3aを備えて上方及び後方が開放された副籠部材3と、主籠部材2の底壁2aの前端と副籠部材の底壁3bの後端とを回動自在に連結する連結具4とによって主構成され、前記連結具4を介して副籠部材3を起立状態となるように回動することで(図1の状態)、内部に荷物等を収納可能とする荷籠を構成し、副籠部材3を傾倒状態となるように回動することで(図5の状態)、副籠部材3の前壁3a内面を子供の足載せ部として子供載せ籠を構成するようにしているものである。
【0017】
また、副籠部材3を起立状態としているときに、該状態を保持する起立保持手段35が前記主籠部材2及び副籠部材3の左右側部に設けられ、副籠部材3を傾倒状態としているときに、該状態を保持する傾倒保持手段36が同じく主籠部材2及び副籠部材3の左右側部に設けられている。
主籠部材2の左右側壁2b,2cの上方前端部間には、子供載せ籠として用いた場合に子供が握る子供用ハンドル5が架設されており、この子供用ハンドル5は、円筒状に形成されてその両端面にねじ孔が形成され、主籠部材2の左右側壁2b,2cに形成された取付孔16を介してねじ17を外側から挿通して子供用ハンドル5の両端に螺合することで主籠部材2に左右方向の軸心回りに回動自在に取付けられている。また、子供用ハンドル5の左右端と、前記左右側壁2b,2cとの間は若干の隙間が形成されている。
【0018】
前記主籠部材2は、その底壁2aの前端中央部に位置して矩形状の切欠部7を備え、該切欠部7には下方に延びる鍔7aが設けられ、鍔7aの左右対向面に左右方向の取付孔8aが形成され、該取付孔8aに左右方向の横軸(枢軸)8が取付けられている。一方副籠部材3は、その底壁3bの後端中央部に位置して、前記切欠部7に隙間をもって嵌まる矩形状の突出部18が形成され、該突出部18の後端部には下方に伸びる鍔部19が設けられ、該鍔部19には左右方向に貫通する軸孔20が形成されて前記横軸8が挿通されている。したがって、上記横軸8及び軸孔20等によって主籠部材2と副籠部材3とを回動自在に連結する前記連結具4が構成されている。
【0019】
また、前記軸孔20は、上下方向に長い長孔状に形成されていて横軸8が軸孔20内で上下に移動できるようになっており、これによって副籠部材3が主籠部材2に対して上下移動自在とされている。
なお、上記横軸8及び軸孔20については、副籠部材3側に枢軸を設け、主籠部材2側に横軸8を設けた構成としてもよい。
前記主籠部材2の底壁2aには、前記切欠部7の後方でかつ左右方向中央部に位置して、ハンドルステム9への取付孔10が前後2ヵ所に設けられ、該孔10を用いてハンドルステム9の頂部に設けたねじ孔(図示省略)にビス11等をねじ込んで、主籠部材2をハンドルステム9の頂部に着脱可能に取付けうるようになっている。
【0020】
そして、主籠部材2の左右両側壁部2b,2cの外側面には、若干前方寄りに前後2条の上下方向に平行に延びる位置決め突部12が設けられ、前後の該突部12間に形成された凹溝13に自転車のハンドルバー14の立上部14aの内側が嵌合するように、左右立上部14a間に主籠部材2を配置し、凹溝13に設けたねじ挿通孔15と立上部14aに設けたねじ孔とを合致させて取付けねじで固定するようにしている。
前記凹溝13にハンドル14の立上部14aを嵌合させることで主籠部材2の前後方向の位置規制がなされ、立上部14a間に挟持状に主籠部材2を配置させることで主籠部材2の左右方向の位置規制がなされており、ビス11及び取付けねじによる固定だけでなく、上記の前後左右の位置規制によって確実に主籠部材2をハンドル14に保持することができるようになっている。
【0021】
前記副籠部材3の左右両側壁3c,3dの後部側は段部21aを介して若干薄肉状に形成されたガイド板21とされ、副籠部材3を起立状態にしたときにガイド板21が主籠部材2の左右側壁2b,2cの内側に重合され、左右側壁3c,3dの前部側外面は主籠部材2の左右側壁2b,2cの外面と面一とされている。そして、ガイド板21には、上下方向に長い長孔状のガイド溝22が設けられ、ガイド板21の上端部には後下方へ略L字状に伸びる係止フック23が形成され、該フック23によって下側が開放した凹状の第2係止溝23aが形成されている。
【0022】
上記係止フック23は、副籠部材3を起立状態としたときに、子供用ハンドル5の両端部と主籠部材2の左右側壁2b,2cとの間に形成された隙間に挿入され、係止フック23の第2係止溝23aにねじ17が係止可能となっており、上記係止フック23の第2係止溝23aと、ねじ(第2係合部材)17とによって起立保持手段35を構成している。
前記子供用ハンドル5の両端部の外周面には、前方に突出する左右一対の連結アーム(揺動アーム)6が一体形成されている。この連結アーム6は子供用ハンドル5とともに左右方向に軸心回り(ねじ17まわり)に回動自在とされ、その自由端には前記ガイド溝22に挿通するピン24が設けられており、副籠部材3を傾倒する方向に回動すると、前記ピン24がガイド溝22内を下側から上側へ案内されて移動し、これに伴って連結アーム6がねじ17まわりに回動し、ガイド溝22の上端部22aにピン24が係止する。これによって副籠部材3の傾倒が規制されて所定の姿勢に保持できるようになっている。すなわち、前記ピン(第1係合部材)24及びガイド溝22の上端部(第1係止溝)22a等によって前記傾倒保持手段36を構成しているのである。
【0023】
また、上記ガイド溝22は、その上部側が下部側よりも後方へ傾斜するように屈曲形成されており、副籠部材3を起立状態から傾倒状態に回動するとき、ピン24がガイド溝22の下端部から上方へ移動して屈曲部分に当接し、これによってピン24の移動速度が緩められるか又は一旦停止し、これに伴って副籠部材3の回動速度が緩められるか又は一旦停止することとなる。そしてピン24が屈曲部分を過ぎると再びガイド溝22の上部側を移動し、これに伴って副籠部材3が傾倒限まで回動される。
【0024】
このように副籠部材2の回動を途中で緩めることで、急激に副籠部材3が回動してピン24とガイド溝22の上端部とが衝突するのを防止でき、両者の損傷を防止するとともに、連結具4に対する負担も軽減でき、耐久性の向上を図っている。
なお、ピン24がガイド溝22を摺動することで、その摩擦抵抗によっても急激な副籠部材3の回動を防止しており、これにより上記のようなピン24、ガイド溝22等の損傷を防止している。
【0025】
上記実施形態において、自転車用荷籠として使用する場合は、図1〜図3に示しているように、前記副籠部材3が起立状態となって主籠部材2の前方を塞ぎ、横軸8が前記軸孔20の上部に位置すると共に、係止フック23の第2係止溝23aにねじ17が係止され、連結アーム6の下端部のピン24が、ガイド溝22の下端に位置している。この状態で、荷籠1内に荷物を入れても、前記副籠部材3が自然に前方に倒れることはなく、荷物が副籠部材3の底壁3bに載っても、係止フック23が外れるのを防ぐ方向に荷重がかかり、係止フック23が外れる恐れはほとんどなく、荷籠としての機能を発揮する。
【0026】
そして、副籠部材3を前方へ倒伏させて、図5に示すように、子供載せ籠として使用する場合、まず、図1の状態で副籠部材3を上方へ引き上げると、横軸8に副籠部材3の軸孔20下端部が当接し、かつ係止フック23がねじ17から外れて上方移動する。このとき連結アーム6先端のピン24は、ガイド溝22に拘束されずに上方に移動する。
続いて、前記副籠部材3を前方へ倒すと、軸孔20下端部が横軸8に係合したまま、鍔部19が切欠部7の鍔7aに当接することなく円滑に回動する。この時、連結アーム6の先端に設けたピン24が、前記ガイド溝22に摺接して抵抗を与え、前記副籠部材3をゆっくりと傾倒させる。そして、図4に示すように、前記ガイド溝22の屈曲部に前記ピン24が達すると、副籠部材3の傾倒速度が一時的に遅くなり、前記ガイド溝22の傾斜方向が逆向きとなって、ガイド溝22と前記ピン24との接触抵抗が増大し、副籠部材3は緩やかに倒伏限に至る。
【0027】
したがって、前記ガイド溝22の上端22aに、ピン24が静かに係止して停止するため、倒伏限におけるショックが緩和され、アーム6,軸着部19a,ガイド板21等の破損が防止されて耐久性が向上する。
このようにして、図5に示すように副籠部材3が傾倒されると、その足載せ部(前側壁)3aは、その左右側部が連結アーム6及びピン24等を介して安定良く保持される。また、傾倒保持手段36を構成するガイド溝22(第1係止溝22a)、ピン24、連結アーム6等と、起立保持手段35を構成する係止フック23の係止溝23a等とが、主籠部材2及び副籠部材3の左右側壁に設けられていて左右中央に突出することがないので、子供を乗せるとき、スムーズに足を足乗せ部3aに乗せることができ、しかも、両足の間に邪魔物がなく座り心地が良い。なお、主籠部材2の底面部2a上に座ぶとん等を敷くことにより、乗り心地を良くし得ること当然である。
【0028】
副籠部材3を閉じて荷籠として使用する際は、図5に示す状態から副籠部材3を前記横軸8を中心として上方に回動させ、副籠部材3の左右側壁3c,3dの段部21aを主籠部材2の左右両側壁部2b,2c前端縁に当接させ、副籠部材3を押し下げることで、係止フック23の係止溝23aにねじ17を係止することで、もはや、足乗せ部3が前方へ自然に倒れなくなる。
荷籠1を、荷籠本来の状態として使用するとき、傾倒保持手段36,起立保持手段35を構成するガイド溝22(第1係止溝22a)、ピン24、係止フック23、ねじ17、連結アーム6等は、荷籠1の左右側部にあって中央部には突出しないため、これらを荷物等に引っ掛けるようなことも殆どなく、荷物の出し入れが容易で、荷籠1の容量を最大限に利用できる。
【0029】
図7〜図11は、本発明の第二の実施形態を示し、第一実施形態と異なるところは、副籠部材3の突出部18後端にボス状軸着部25を形成して円孔状の軸孔26を設け、ガイド溝22を直線状とすると共に係止フック23に代えてガイド溝22の上端に嵌入係合する係止ピン(第2係合部材)27を、主籠部材2の側壁部2b,2c対向内側に出退自在に備えている点であり、第一実施形態と略同等の効果を期待することができる。なお、第一実施形態と共通する構成部分については、図1〜図6と同符号を付し、重複説明を省略する。
【0030】
すなわち、本実施形態では、起立保持手段35を構成する第2係合部材を係止ピン27により構成し、第2係止溝を、傾倒保持手段36の第1係止溝をも構成するガイド溝22の上端部22aによって構成しているのである。
また、前記副籠部材3の底壁3b下面には、後端寄りの左右両側部に位置して、副籠部材3の傾倒限を補助的に規制しかつ支持するストッパ28が突設され、その支持面28aが主籠部材2の底壁2a下面前端に当接するようになっている(図10,図11参照)。
【0031】
そして、前記係止ピン27は、図示していないが、常時付勢コイルばねにより対向内方即ち、左右側壁部2b,2c内面から内方に突出するように付勢されており、内端前側が傾斜面とされ、前記ガイド板21の後端縁が当って、係止ピン27が付勢力に抗して外方に押され、該ピン27がガイド溝22上端に合致すると、その付勢力によって対向内方に押されてガイド溝22に嵌入係合するようになっている。
したがって、図7に示す荷かごとして使用する状態では、ガイド溝22の第2係止溝22a及び係止ピン27により、前記副籠部材3が起立状態で保持されており、自然に前方に倒伏することはない。
【0032】
そして、前記副籠部材3を倒伏させて子供載せ籠として使用する場合、前記係止ピン27を付勢力に抗して外方に引っ張り、その先端部をガイド溝22から脱出させることにより、前記副籠部材3を横軸8を中心として前方に倒伏回動させ、図8に示す状態とすることができ、この場合、ストッパ28が図10に示すように主籠部材2の底壁2a下面に当接し、しかも、連結アーム6の先端部6aのピン24がガイド溝22上端の第2係止溝兼第1係止溝に係止して副籠部材3は傾倒状態で安定して保持される。
【0033】
なお、図8に示す状態から図7に示す荷かごとしての使用状態に戻すときは、副籠部材3を上方に回動させて停止するまで押せばよく、係止ピン27はガイド溝22の第1係止溝22aに自動的に嵌入係合し、係止状態となる。
図12〜図15は、本発明の第三の実施の形態を示し、第一実施形態と異なるところは、連結アーム及び係止フックを具備せず、ガイド板21が略扇形状で横軸8を中心とする円弧状のガイド溝37を有すると共にガイド溝37の上端部が、鍔部19に形成した上下に長い軸孔20と上下方向に略平行で下方がガイド溝37と連通して開放された凹状に形成されている点である。
【0034】
また、子供用ハンドル5は、その両端部にクランク29及びピン30を備え、該ピン30にねじ孔31が設けられ、主籠部材2の左右側壁2b,2cの上方前端部に設けた取付孔32に挿通されたねじ17が、前記ガイド溝22に挿通されたピン30のねじ孔31に螺合されるようになっている。そして、主籠部材2の底壁2a及び後側壁2dには背もたれ付のクッションが設けられている。
なお、上記第一実施形態と共通する構成部分については、図1〜図6と同符号を付し、重複説明を省略する。
【0035】
上記ガイド溝37上端の凹状部分は、子供用ハンドル5のピン30が係止可能な第2係止溝37aとされ、ピン30とともに副籠部材3の起立保持手段35を構成している。
そして、図15に示すガイド溝37の下端部は、副籠部材3を傾倒状態に回動したときに、ピン30が係止して副籠部材3の傾倒限を規制する第1係止溝37bを構成し、ピン30とともに副籠部材3の傾倒保持手段36を構成している。
すなわち、ガイド溝37の両端部には、第1,第2係止溝37b,37aが形成され、ガイド溝37を挿通するピン30は、起立保持手段35の第2係合部材を構成するとともに傾倒保持手段36の第1係合部材をも構成し、一つの係合部材30で両方の機能をもたせるようにしている。
【0036】
本実施形態において、図12及び図15に示す前記副籠部材3の起立状態すなわち荷かごとして使用する状態では、ガイド溝37の第2係止溝37aに、前記ピン30に係止し、該ピン30により回動規制され、副籠部材3が自然に倒伏することがなく、荷かごとしての機能を果たす。
そして、子供載せ籠として使用する場合は、副籠部材3を上方に引き上げることで、軸孔20の下端に横軸8を当て、第2係止溝37aからピン30を外すようにし、次に副籠部材3を前方へ倒すことにより、ガイド溝37に前記ピン30が案内されて、ゆっくりと前方に回動し、前記ピン30が第1係止溝37bに係止して副籠部材3が停止し、図13に示す傾倒状態になる。
【0037】
再び、図12,図15に示すように荷かごとして使用する状態に戻す場合は、図13に示す状態で副籠部材3を起立させ、副籠部材3を押し下げることにより、前記軸孔20の上端が横軸8に当接すると共に、前記ガイド溝37上端の第2係止溝37aがピン30に係止し、副籠部材3が前方へ倒伏しなくなる。
このように、第三実施形態によれば、ピン(係合部材)30とガイド溝37の第2係止溝37aにより構成される起立保持手段35により、前記副籠部材3が起立状態に確実に保持され、前記副籠部材3を上下させるだけでピン30と第2係止溝37aとの係合・離脱操作が、第一実施形態と同様に行なわれる。なお、本実施形態においても、第二実施形態の前記ストッパ28と同じストッパを設けることができる。
【0038】
本発明の上記各実施形態では、主籠部材2及び副籠部材3を板状としているが、これを網又は格子或いは多孔板状とすることができ、さらに、合成樹脂製に限らず金属製とすることができ、適宜設計変更可能で、例えば、前記副籠部材3を前側壁3aと底壁3bにより構成し、両左右側壁3c,3dを省略したものとすることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、荷籠兼用子供載せ籠装置を荷籠として利用する場合には、該荷籠内の左右中央部に突出する部材等もなく、荷物の出し入れを容易に行うことができるとともに、荷籠の容量を充分に利用して荷物を載せることが可能である。また、子供載せ籠として利用する場合にも、籠の左右中央部に妨げとなるものがなくてスムーズに子供を載せることができ、また、足載せ部の左右側部が保持されて安定性及び耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施形態を示す中央縦断面(図3のA−A断面相当)図である。
【図2】 同側面図である。
【図3】 図2の平面図である。
【図4】 同実施形態における副籠部材の回動途中の状態を示す中央縦断面図である。
【図5】 同副籠部材の傾倒限の状態即ち子供載せ籠として使用する状態を示す中央縦断面図である。
【図6】 同実施形態の分解斜視図である。
【図7】 本発明の第二実施形態を示す斜視図である。
【図8】 同実施形態における子供載せ籠として使用する状態を示す斜視図である。
【図9】 同実施形態の中央縦断面図である。
【図10】 同実施形態における副籠部材の傾倒状態の要部断面拡大図である。
【図11】 同実施形態における副籠部材のストッパの一例を示す側面図である。
【図12】 本発明の第三実施形態を示す斜視図である。
【図13】 同実施形態における子供載せ籠として使用する状態を示す斜視図である。
【図14】 同実施形態の分解斜視図である。
【図15】 同実施形態の中央縦断面図である。
【符号の説明】
1 荷籠兼用子供載せ籠
2 主籠部材
2a 底壁
2b 左側壁
2c 右側壁
2d 後側壁
3 副籠部材
3a 前側壁(足載せ部)
3b 底壁
3c 左側壁
3d 右側壁
5 子供用ハンドル
6 連結アーム(揺動アーム)
8 横軸
13 凹溝
14 ハンドル
14a 立上部
17 ねじ(第2係合部材)
20 長孔
22 ガイド溝
22a 第1係止溝
23a 第2係止溝
24 連結ピン(第1係合部材)
27 係止ピン(第2係合部材)
30 ピン(係合部材)
35 起立保持手段
36 傾倒保持手段
37 ガイド溝
37b 第1係止溝
37a 第2係止溝
Claims (7)
- 底壁と左右及び後側壁とを有して前方が開放された主籠部材と、底壁と前側壁とを有する副籠部材と、前記主籠部材の底壁前端と前記副籠部材の底壁後端とを回動自在に連結する連結具とを備え、前記副籠部材を起立状態に回動して主籠部材の前方を塞ぐことで荷籠を構成し、且つ前記副籠部材を傾倒状態に回動して主籠部材の前方を開放することで副籠部材の前側壁を子供の足載せ部に形成して子供載せ籠を構成しており、前記副籠部材を傾倒状態に保持する傾倒保持手段が主籠部材及び副籠部材の左右側部に設けられているとともに、前記副籠部材の前側壁の左右端部に後方へ延伸する左右側壁が設けられ、前記傾倒保持手段は、前記副籠部材の左右側壁に形成された第1係止溝と、前記主籠部材の左右側壁に設けられていて前記第1係止溝に係合することで前記副籠部材を傾倒状態に保持する第1係合部材とを有しており、前記副籠部材の起立状態を保持する起立保持手段が前記主籠部材及び前記副籠部材の左右側部に設けられ、該起立保持手段は、副籠部材の左右側壁に形成された第2係止溝と、前記主籠部材の左右側壁に設けられていて前記第2係止溝に係合することで前記副籠部材を起立状態に保持する第2係合部材とを有することを特徴とする自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置。
- 前記連結具は、主籠部材と副籠部材とのいずれか一方に設けられた左右方向の枢軸と、他方に設けられていて前記枢軸が挿通する左右方向の軸孔とで構成され、前記軸孔が上下方向に長い長孔状に形成されて副籠部材が主籠部材に対して上下移動自在とされ、この副籠部材の上方動によって前記第2係合部材が第2係止溝から離脱するように該第2係止溝が下方に開放した凹状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置。
- 前記主籠部材の左右側壁間に、子供載せ籠に載せる子供用のハンドルを架設し、このハンドル両端部を前記第2係合部材として形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置。
- 前記主籠部材の左右側壁に左右方向の軸心回りに回動自在に揺動アームが設けられ、この揺動アームの自由端に前記第1係合部材が設けられ、前記副籠部材の左右側壁に、前記第1係合部材が挿通し且つ前記副籠部材を傾倒方向に回動させたときに前記第1係合部材が副籠部材の下部側から上部側に移動するように第1係合部材を案内する上下方向のガイド溝が形成され、該ガイド溝の上端部に第1係合部材が係合する前記第1係止溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置。
- 前記ガイド溝は、その上部側が下部側よりも後方へ傾斜するように上下中途部で屈曲形成されていることを特徴とする請求項4に記載の自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置。
- 前記副籠部材の左右側壁に、主籠部材と副籠部材との枢支点を中心とした円弧状のガイド溝が形成され、前記第1係合部材と第2係合部材とが一つの係合部材によって兼用されて前記ガイド溝に挿通され、該ガイド溝の一端に、副籠部材の傾倒状態で前記係合部材が係合する前記第1係止溝が形成され、ガイド溝の他端に、副籠部材の起立状態で係合部材が係合する前記第2係止溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置。
- 前記主籠部材を自転車ハンドルの左右の立ち上がり部分の間に取り付けたときに、この立ち上がり部分の内側が嵌合して主籠部材の前後移動を規制する凹溝を主籠部材の左右側壁の外側面に形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自転車の荷籠兼用子供載せ籠装置。
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