JP3999559B2 - 画像処理方法及び遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理方法及び遊技機に関し、特に仮想3次元空間におけるオブジェクトの変動を表示するための画像処理方法及び遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機等の弾球遊技機では、当たり外れの表示等を行う表示装置(可変表示装置等)を有するものがある。かかる表示装置によって、3次元情報に基づく、画像を表示することがある。
【0003】
ところで、この種の3次元画像(仮想的・擬似的な3次元画像であるが、以下、単に、3次元画像と称する。)においては、斜線部等がギザギザになることがある(この現象を、「エリアシング」という。)。このエリアシングに関し、図25を用いて説明する。この図25の(a)には、オブジェクトの一例としての自動車900が示されており、この自動車900は、2次元画像で構成された背景部903上に配置されている。また、自動車900の窓枠901内部には、窓ガラス905がはめ込まれている。そして、図25の(b)に示すように、自動車900及び背景部903間や、窓枠901及び窓ガラス905間においては、色の明るさが急激に変化し、濃度値が急激に変化している。このため、自動車900及び背景部903の境界部(e−eで示す階段状の部分)や、窓枠901及びガラス905の境界部(e−e)において、傾斜状の部分(傾斜部)がギザギザになることがある。このうち、オブジェクト900の内部の斜線部(910等)は特に目立ち易く、オブジェクト900の外観を低下させるのが一般的である。
【0004】
このため、この種の3次元画像(デジタル画像)に、アンチエリアシング処理を施して、ギザギザを目立ち難くすることがある。即ち、図25(c)に示すように、自動車900及び背景部903間の境界部(e−e)の周囲においては、自動車900側に位置する画素950と、背景部903側に位置する画素951とに、自動車900の色と背景部903の色の中間色を配置する。また、窓枠901及び窓ガラス905の境界部(e−e)の周囲においては、窓枠901側に位置する画素952と、窓ガラス905側に位置する画素954とに、窓枠901の色とガラス905の色の中間色を配置する。これにより、境界部(e−e)の周囲の濃度値の変化が緩やかとなって、画像中の高周波成分が取り除かれ、前記「ギザギザ」が目立ち難くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このアンチエリアシング処理を施した画像においては、その不要個所(例えば、背景部903)をマスクしつつ、オブジェクトを取り出し、このオブジェクトを所望の背景部上に配置しようとすると、以下のような不具合を生ずる。例えば、図25(a)において、背景部903の色をマスクカラーとして指定しても、オブジェクトの輪郭部{境界部(e−e)}の外側の画素951がマスク範囲から外れる。この画素951の色が、背景部903の色ではなく、中間色とされているからである。このため、図25(d)に示すように、マスク範囲の内縁部(m−mで示す階段状の部分)が、輪郭部{境界部(e−e)}の外側に位置することになるからである。
【0006】
従って、オブジェクト(自動車900)を所望の背景部上に配置ようとしても、輪郭部{境界部(e−e)}の外周に中間色が付着した状態のオブジェクト(自動車900)が、新たな背景部上に配置されることになる。よって、新たな背景部の色が、元の背景部903の色と近似していなければ、画像の画質が著しく低下することになる。
【0007】
一方、アンチエリアシング処理を取り止めると、この不具合を回避できるが、前述の如く、オブジェクト(自動車900)の内部に存在する斜線部910等に生ずるギザギザが目立ち易く、画像の画質が低下することになる。また、小さな図柄等において、形状そのものが意図したものにならず、形状を修正する作業が必要となることがある。
【0008】
また、テレビゲーム機等においても、3次元情報に基づく、画像を表示部(表示面)に表示することがあり、上述する遊技機と同様な問題を生ずることがある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、アンチエリアシング処理をした滑らかな画像で、しかも、オブジェクトと背景との境界部がクッキリした画像を作成できる画像処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、3次元情報に基づくオブジェクトを円滑に変動させることが可能な画像処理方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、アンチエリアシング処理をした滑らかな画像で、しかも、境界部がクッキリした画像を表示できる遊技機を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、処理能力及び記憶容量を増大することなく、3次元情報に基づくオブジェクトを円滑に変動させることが可能な遊技機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の画像処理方法は、仮想3次元空間におけるオブジェクトの変動を表示するための画像処理方法であって、
3次元オブジェクトのモデリングを実施する手順と、
オブジェクトにレンダリング処理を実施する手順と、
アンチエリアシング処理を行った第1の画像、ならびにアンチエリアシング処理を行わない第2の画像を作成する手順と、
前記第1の画像及び前記第2の画像が同位置となるようにしつつ、上レイヤーに第1の画像を配置すると共に下レイヤーに第2の画像を配置する手順と、
前記下レイヤーよりマスク範囲を選択範囲として指定する手順と、
前記選択範囲を所定ピクセル拡大する手順と、
拡大済の選択範囲にて前記上レイヤーでの選択範囲内を削除する手順と、
前記上レイヤー及び前記下レイヤーを合成する手順と、
を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明の画像処理方法によると、例えば、所定の背景部上に配置されたオブジェクトを所望の他の背景部上に配置する際に、このオブジェクトの輪郭部側の部分にアンチエリアシング処理を行わない第2の画像を用い、オブジェクトにおいて輪郭部側の部分よりも内部の領域に、アンチエリアシング処理を行った第1の画像を用いることができる。即ち、輪郭部側の部分を構成する第2の画像においては、その輪郭部に沿って、その外側の部分を確実にマスクできるため、オブジェクトと、所望の他の背景部との境界部(境界部)がクッキリとする。同時に、オブジェクトの内部領域をアンチエリアシング処理をした滑らかな画像で構成するため、外観に優れた動画等を得ることができる。
【0015】
ここで、オブジェクトの中には、このオブジェクトの外縁側の「外側輪郭部」と、このオブジェクトの内部の「内側輪郭部」とを備えるものがある。このような場合に、本明細書の「輪郭部」としては、外側輪郭部のみを指す。また、「オブジェクト」とは、複数のポリゴンによって構成された仮想物体をいう。尚、ポリゴンとは、仮想3次元空間に相当するいわゆる「ワールド座標系」に配置される複数個の3次元の座標の頂点で定義される多角形平面をいう。また、ワールド座標系とは、オブジェクト(特に、複数個のオブジェクト)を配置するための仮想3次元空間に対応した座標系である。
【0016】
「モデリング」とは、仮想3次元画像を作成する際に、頂点座標等の情報を下に、立体物の形を計算することをいう。具体的には、コンピューターに、立体物のデータ(大きさ、形、色、質感等のデータ)を入力する作業をいう。また、「レンダリング処理」とは、モデリングされた立体データから実際の3次元画像を生成することをいう。このレンダリング処理によって、光線や陰影、光の反射具合等を表現し、リアルな画像を表すことができる。具体的には、オブジェクトを構成する各ポリゴンの座標データに対してそれぞれジオメトリ演算処理を行うと共に、オブジェクトを構成する各ポリゴンにテクスチャを張り付けること等を行う。尚、ジオメトリ演算処理(3次元座標演算)とは、オブジェクトを構成する各ポリゴンについて、座標変換、クリッピング処理、透視変換、或いは光源計算等を行うことをいう。また、テクスチャとは、視線座標系(ワールド座標系内の所与の視点に基づく座標系)に基づく2次元の投射平面に投射された各ポリゴンに貼り付けられる各種2次元の画像である。
【0017】
「アンチエリアシング処理」とは、デジタル画像において、輪郭部と背景との境界部(特に、斜線部)等がギザギザになることがあるが、このギザギザになる部分の周囲において、濃度値の変化を緩かなものとし、前記「ギザギザ」を目立ち難くする処理をいう。
【0018】
「マスク範囲」は、下レイヤーに配置された第2の画像のうちで、不要な部分(削除される部分)である。具体的には、第2の画像のうちで、オブジェクトの輪郭部の外側に位置する部分(例えば、背景部分)が、このマスク範囲に相当する。また、第2の画像においては、このマスク範囲が選択範囲とされる。また、「拡大済の選択範囲」とは、上記「マスク範囲」を、オブジェクトの内部に向かって所定ピクセル拡大した範囲である。具体的には、上レイヤーに配置された第1の画像のうちで、オブジェクトにおける輪郭部側の部分と、オブジェクトの輪郭部の外側に位置する部分(例えば、背景部分)とで、拡大済の選択範囲が構成される。
【0019】
「合成」とは、第1の画像と、第2の画像とを以下のように表示することを指す。即ち、拡大済の選択範囲を削除後の第1の画像と、マスク範囲を削除後の第2の画像のうちで、重複部分に関しては、上レイヤーに配置された第1の画像を優先する。また、拡大済の選択範囲を削除後の第1の画像と、マスク範囲を削除後の第2の画像とを比較し、第2の画像のみに存在し、第1の画像に存在しない部分に関しては、第2の画像を表示する。ここで、請求項1の発明において、上レイヤーには、オブジェクトの輪郭側の部分が表示されず、オブジェクトの内部領域が表示される。従って、本発明の合成によって、オブジェクトの内部領域に関しては、上レイヤーが優先し、オブジェクトの輪郭側の部分に関しては、下レイヤーが表示される。
【0020】
請求項1の発明〜請求項3の発明に係る画像処理方法を遊技機やゲーム機等の実機上で実行してもよいが、これらの実機とは別個のコンピューター上でこの画像処理方法を実行し、この実行によって得られる「画像データ」を、所定の記録媒体(コンピューターで読み取り可能な記録媒体)に記録する。そして、実機において、この記録媒体から画像データを読み込んで、画像表示を行うことが望ましい。この理由は以下の通りである。
【0021】
即ち、比較的少ないデータ量にて、3次元情報に基づくオブジェクトを、スムーズに変動させることを意図する遊技機(パチンコ機等)が提案されている(特開2001−112956)。つまり、オブジェクトに行わせる一連の変動過程のうちの予め記憶された所定態様をもとに、当該一連の変動過程のうちの前記所定態様とは別の態様を算出し、これら予め記憶した態様と別途算出した態様とで得られた多数の態様によって、オブジェクトを順次切換配置する遊技機が提案されている。
【0022】
しかし、この従来例によると、図柄制御部のCPU(VDP)等の処理装置を処理能力が高いものとし、仮想3次元空間におけるオブジェクトの変動を表示するための高速計算が可能であるようにすることが必要なため、上記処理装置が高価なものとなり、遊技機の製造コストが増大するという問題がある。しかも、実機において、レンダリング処理を行うことが必要なため、上記処理装置として少々、処理能力が高いものを選択した程度では、3次元情報に基づくオブジェクトを、スムーズに変動させることは到底不可能である。
【0023】
一方、請求項1の発明〜請求項3の発明に係る画像処理方法を、実機とは別個のコンピューター上で実行し、この実行によって得られる「画像データ」を、所定の記録媒体(コンピューターで読み取り可能な記録媒体)に記録する場合には、記録媒体の記憶量が少々多くはなるが、実機上でレンダリング処理等を行うことが必要とされない。従って、処理能力が高い特別な処理装置を用いるまでもなく、3次元情報に基づくオブジェクトを、スムーズに変動させることができる。つまり、通常の処理能力を備えた処理装置を用いても、3次元情報に基づくオブジェクトを、スムーズに変動させることができる。よって、このスムーズな変動を得るために、遊技機等の製造コストを高くすることはない。
【0024】
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の画像処理方法において、前記合成する手順を実行して合成した画像を、動画作成用形式で保存する手順を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1の発明の画像処理方法を実機とは別個のパソコンで実施して得られた画像データを、実機上で表示可能な形式で保存することを意図している。よって、請求項2の発明によると、実機とは別個のコンピューター上で、請求項1の発明の画像処理方法を実行して得られる「画像データ」を、所定の記録媒体(コンピューターで読み取り可能な記録媒体)に記録し、実機において、この記録媒体から画像データを読み込んで、画像表示を行うことを促進することができる。
【0026】
請求項3記載の画像処理方法は、請求項1記載又は請求項2に記載の画像処理方法において、前記所定ピクセルは、1ピクセルであることを特徴とする。
【0027】
請求項3記載の画像処理方法によると、アンチエリアシング処理を行わない第2の画像の使用範囲が、最小範囲(即ち、オブジェクトにおいて、輪郭側の1ピクセル分)に限定されるため、より外観に優れた画像を得ることができる。
【0028】
請求項4の遊技機は、遊技領域を有する遊技盤と、
該遊技盤の前面側に設けられる表示装置とを備えた遊技機であって、
前記表示装置は、変動させるオブジェクトの輪郭側部分にアンチエリアシング処理を行わない第2の画像を用い、前記輪郭側部分の内部領域にアンチエリアシング処理を行った第1の画像を用いて画像表示を行うことを特徴とする。
【0029】
請求項4の発明によっても、オブジェクトの内部領域をアンチエリアシング処理をした滑らかな画像で構成すると共に、このオブジェクトと背景との境界部がクッキリとするため、画質が優れた画像を得ることができる。
【0030】
次に、請求項1〜請求項4の関連発明を例示する。先ず、関連発明1として、「(a)コンピューターに、仮想3次元空間におけるオブジェクトの変動を表示するための画像処理方法を実行させるためのプログラムであって、コンピューターに、(b)3次元オブジェクトのモデリングを実施する手順と、(c)オブジェクトにレンダリング処理を実施する手順と、(d)アンチエリアシング処理を行った第1の画像、ならびにアンチエリアシング処理を行わない第2の画像を作成する手順と、(e)前記第1の画像及び前記第2の画像が同位置となるようにしつつ、上レイヤーに第1の画像を配置すると共に下レイヤーに第2の画像を配置する手順と、(f)前記下レイヤーよりマスク範囲を選択範囲として指定する手順と、(g)前記選択範囲を所定ピクセル拡大する手順と、(h)拡大済の選択範囲にて前記上レイヤーでの選択範囲内を削除する手順と、(i)前記上レイヤー及び前記下レイヤーを合成する手順と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【0031】
関連発明1において、前記合成する手順を実行して合成した画像を、動画作成用形式で保存する手順を含むことを特徴としてもよい(関連発明2)。また、関連発明1又は関連発明2において、前記所定ピクセルは、1ピクセルであることを特徴としてもよい(関連発明3)。
【0032】
関連発明1〜関連発明3のうちの何れか一つの発明に示すプログラムを記憶すると共に、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体を例示できる(関連発明4)。この関連発明4においては、この記憶媒体を遊技機やゲーム機等の実機で使用しても、この実機とは別個のコンピューターで使用してもよい。
【0033】
関連発明1〜関連発明3のうちの何れか一つの発明に示すプログラムによって生成された画像データを記憶すると共に、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体を例示することもできる(関連発明5)。この関連発明5においては、この記憶媒体を遊技機やゲーム機等の実機で使用すると、この実機が通常の処理能力を備えた処理装置のみを備えていても、3次元情報に基づくオブジェクトを、スムーズに変動させることができる。このため、このスムーズな変動を得るために、実機の製造コストを高くすることはない。
【0034】
関連発明4の記憶媒体と、この記憶媒体に記憶されたプログラム(関連発明1〜関連発明3のうちの何れか一つの発明に示すプログラム)によって生成された画像データを表示する表示装置と、を備えた遊技機を例示できる(関連発明6)。また、関連発明5の記憶媒体と、この記憶媒体から読み出された画像データを表示する表示装置と、を備えた遊技機を例示できる(関連発明7)。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。
【0036】
(1)パチンコ機の機械的な構造
本実施例は、遊技機の一具体例として、所謂「セブン機」と称されるタイプの第一種パチンコ機(弾球遊技機)を例示している。先ず、このパチンコ機の機械的な構造について、図1〜図5を参照して説明する。
【0037】
図1及び図2に示すように、パチンコ機1の前面部は、主として外枠(本体枠)2と、中枠3と、前面枠4と、上皿部5と、下皿部6と、施錠装置7とから構成されている。尚、図1及び図2においては、説明を簡単にするため遊技盤が省略されている。
【0038】
外枠2は、木製の板状体を略長方形の額縁状に組立て固着したものである。中枠3は、全体がプラスチック製で、枠体部(図2参照)3aと下板部とを有し、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。中枠3の右端中央には施錠装置7が設けられ、施錠装置7は、正面視すると鍵穴を備えた略長方形状を呈し、前面枠4を閉鎖した場合に施錠するためのものである。
【0039】
ここで枠体部3aは、上端から下方へ中枠3全体の略2/3程度に略長方形の額縁状に形成され、上端部には、前面枠4の略三角形状の枠飾りLED用レンズ4c,4eに対応して、左側に賞球表示LED(図示を省略)及び賞球表示LED基板4d(図5参照)が、右側にストップ表示LED(図2では図示略)及びストップ表示LED基板4f(図5参照)が配設されている。
【0040】
また、下板部は、下端から上方へ中枠3全体の略1/3程度を占め、左端には、上皿部5に形成されたスピーカー面5aに対応すべく、遊技状態に応じた効果音その他の音(音声)を発生させるスピーカー400a(図5参照)が配設され、略中央には、遊技球を発射する発射装置ユニット(図示略)に対し、上皿部5に貯留された遊技球を供給する供給装置等(図示略)が設けられている。
【0041】
さらに、下板部の下方には、灰皿や玉抜きレバー等を備えた下皿部6が設けられ、下皿部6の略中央には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが開設され、右端に発射装置ユニット(図示略)を操作する発射ハンドル9が設けられている。また、この発射ハンドル9には、遊技者がタッチしていることを検出するタッチスイッチ9aが装着され、その近傍には、発射停止を一時的に指令する発射停止スイッチ9bが配置されている。
【0042】
前面枠4は、図1及び図2に示すように、全体がプラスチック製であり、遊技盤10(図3参照)を前方から視認するべく、遊技盤10に形成された遊技領域11(図3参照)の形状に対応して略円周状に開設された開口部4aを有している。そして、その裏面には、開口部4aに応じてガラス板4rが嵌められた略長方形状のガラス枠4s(図2参照)が装着されている。
【0043】
また、この前面枠4は、パチンコ機1の前面全体の約2/3のサイズを占め、中枠3の左端に軸着され開閉可能に形成されている。さらに、上端部には、枠飾りランプ用レンズ4bも設けられ、このレンズ4b内部には、開口部4a上端の円弧部分に沿って、枠飾りランプ基板4g(図5参照)及び複数個の遊技効果ランプ(図示略)が配設されている。
【0044】
上皿部5は、前面枠4の下側で、中枠3の左端に軸着され開閉可能に形成されている。皿外縁部5bには、玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタン等が配設されている。また、上皿部5には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口5cが開設されている。左端には、複数の長孔を有するスピーカー面5aが形成され、その裏面には、音量スイッチ基板12(図5参照)が設けられている。パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が装着されている。
【0045】
次に、本実施例の遊技盤10の表面構造について図3を参照して説明する。遊技盤10は、略長方形の木製の板状体であって中枠3(図1及び図2参照)に保持されるとともに、後述する裏機構盤102(図4参照)によりその背面側が覆われている。遊技盤10には、遊技盤10の表面に設けられた外レール14と内レール15とにより略円形状の遊技領域11が形成され、遊技領域11内には、中央装置26と、第一種始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置18と、左入賞口19、右入賞口20、左下入賞口21、右下入賞口22と、多数の障害釘23と、一対のランプ風車24、25等が配設されている。
【0046】
図3に示すように、中央表示装置26は遊技領域11の略中央部に配置されると共に、液晶表示装置(特別図柄表示装置)27を備えている。この液晶表示装置27は、表示装置の一具体例を示すと共に、この液晶表示装置27の表示画面271上には、1又は複数の特別図柄(識別情報)を所定の方向に次々と変動させながら表示した後、停止表示する特別図柄表示領域(識別情報表示領域)が形成されている(図示を省略)。すなわち、左特別図柄を表示する左特別図柄表示領域、中特別図柄を表示する中特別図柄表示領域、及び右特別図柄を表示する右特別図柄表示領域が、略横一列に設定された配置方向においてこの順序で並んで形成されている(図示略)。各特別図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する向き、この場合、上下方向に図柄変動方向が設定され、その向きで変動しているように識別情報としての複数の図柄(特別図柄)が順次表示されていく。また、この表示画面271には、特別図柄(識別情報)以外の補助的な図柄、例えば、後述する自動車800の図柄等も、表示される。
【0047】
この液晶表示装置27は、遊技球が第一種始動口(普通電動役物)17に入球することにより、その表示画面272の表示領域(図示略)に表示される各特別図柄をそれぞれ変動させて停止表示させるものである。そして、例えば、図柄が「7、7、7」の3桁同一図柄で揃って停止表示(確定表示)すると、変動入賞装置18に配設された後述する大入賞装置31の大入賞口311が開放される。
【0048】
普通図柄表示装置32は、中央装置26の上部中央に配置されている。この普通図柄表示装置32は、7セグメント表示器32aと、普通図柄保留表示LED32bとを有している。7セグメント表示器32aは、1〜9の奇数数字を変動表示させるもので、後述する左右の普通図柄作動ゲート36、37のいずれかを遊技球が通過することにより変動して、所定時間経過後に1種類の奇数数字が停止表示される。そして、例えば「7」で停止表示すると、第一種始動口(普通電動役物)17が所定時間(例えば、0.5秒)開放される。
【0049】
前記中央装置26の左右斜め下方には、普通図柄作動ゲート36、37がそれぞれ設けられ、この左右の普通図柄作動ゲート36、37内に左、右普通図柄作動ゲート検知スイッチ36s、37s(図5参照)が配設されている。そして、遊技球の普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ36s、37sのいずれかの通過により、普通図柄表示装置32における7セグメント表示器32aが変動表示する。
【0050】
普通図柄保留表示LED32bは、4個の丸形の赤色LEDで構成され、7セグメント表示器32aの左右両側に近接して配置されている。これは、左右の普通図柄作動ゲート36、37を通過した遊技球の数を4個まで保留とし、通過ごとに順次点灯しシフト表示するものである。次の7セグメント表示器32aの変動表示が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の普通図柄保留表示LED32bは消灯される。
【0051】
特別図柄保留表示LED16aは、中央装置26の上部であって、普通図柄表示装置32の下方の部位の左右両側に2個ずつに分けて並列状に配置され、4個の赤色LEDで構成されている。これは、第一種始動口(普通電動役物)17に入球した遊技球の数を4個まで保留とし、入球ごとに順次点灯しシフト表示するものである。次の特別図柄の変動が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の特別図柄保留表示LED16aは消灯される。
【0052】
第一種始動口(普通電動役物)17は、後述する変動入賞装置18と一体化されたもので、中央装置26の下方に離れて配設されている。第一種始動口(普通電動役物)17は、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成され、その前面に飾りを備えて後述する基板34に取り付けられている。内部には、遊技球の通過を検知する第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための第一種始動口(普通電動役物)ソレノイド17c(図5参照)とが備えられている。この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
【0053】
変動入賞装置18は、上記第一種始動口(普通電動役物)17の下方に配設されており、前面側が略逆台形状に形成された基板34に、大入賞装置31と、左下入賞口21と右下入賞口22とを備えている。ここで、大入賞装置31は、略中央に形成され、帯状に開口された大入賞口311と、この大入賞口311を開放・閉鎖する開閉板312と、この開閉板312を開閉するための大入賞口ソレノイド313(図5参照)と、大入賞口311に入賞した後に遊技球が通過する特定領域(V入賞口及び一般入賞口/図示略)と、連動杆(図示略)と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ318(図5参照)と、裏箱(図示略)と、大入賞口中継基板(図示略)とから主に構成されている。
【0054】
また、左下入賞口21は、第一種始動口(普通電動役物)17の略斜め左下側に配設されて、内部に左下入賞口通過検知スイッチ21s(図5参照)が設けられている。そして、この左下入賞口21の下方には複数個の左下入賞口LED223が左下入賞口LED基板21f(図5参照)に取り付けられ、飾りレンズによって被覆されている。さらに、右下入賞口22は、第一種始動口(普通電動役物)17の略斜め右下側に配設されて、内部に右下入賞口通過検知スイッチ22s(図5参照)が設けられている。そして、この右下入賞口22の下方には複数個の右下入賞口LED224が右下入賞口LED基板22f(図5参照)に取り付けられ、飾りレンズによって被覆されている。
【0055】
変動入賞装置18の左右斜め上方には、左入賞口19及び右入賞口20がそれぞれ配設されている。そして、その内部にはそれぞれ、左入賞口通過検知スイッチ19s(図5参照)、右入賞口通過検知スイッチ20s(図5参照)が設けられている。また、中央装置26の左右斜め上方には、一対のランプ風車24、25がそれぞれ配設されている。さらに、遊技領域11の左右両端部には、一対のサイドランプ38、39がそれぞれ縦円弧状で相対称状に配設されている。なお、多数の障害釘23は、以上説明した各遊技装置との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設されている。
【0056】
次に、遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられており、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材59は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム60は、ファール球防止部材59の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
【0057】
次に、本実施例のパチンコ機1の裏面構造について図4を参照して説明する。前面枠4(図1及び図2参照)は中枠3にあって、前面枠4の上下端の位置に設けられた一対のヒンジ101により、開閉可能に支持されている。裏機構盤102は中枠3にあって裏機構盤102の上下端の位置に設けられた一対のヒンジ103により、開閉可能に支持されている。遊技盤10(図3参照)は中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられている。上端側にあるヒンジ101の配設位置からみて左側には、タンク球切れ検知スイッチ104をタンク底部に備えた賞球タンク105と、この賞球タンク105に接続されるタンクレール106とが取り付けられている。また、タンクレール106の右側には、球抜きレバー107が設けられ、その下流側には、補給球切れ検知スイッチ(図示を省略)が、さらに、その下流側には、裏側遊技装置としての賞球払出装置109が配設されている。
【0058】
続いて、遊技球の振り分け部(図示略)が賞球払出装置109の下流側に設けられている。タンクレール106の下側には、蛍光表示装置27(図3参照)を格納した蓋付きの裏ケース111が設けられ、この裏ケース111の下側には、後述する主制御部140(図5参照)として、裏側遊技装置としての主制御基板340{図6(a)参照}を格納した格納容器としての主制御基板ケース112が配設されている。主制御基板ケース112の背面下側には、発射装置制御部193(図5参照)として発射装置制御基板を格納した発射装置制御基板ケース113、及び発射制御集合中継基板(図示略)が設けられている。裏機構盤102の左下方部には、上述した発射装置ユニット(図示略)が、同じく右下方部には、払出制御部150(図5参照)として、払出制御基板350{図6(b)参照}を格納した格納容器としての払出制御基板ケース118が設けられている。前記主制御基板ケース112の右側上方に裏側遊技装置としての中継基板190が装着されている。
【0059】
前記中継基板190は、図5にも示すように、入賞球検知スイッチ318,19s〜22s等と主制御部140とを中継するための基板とされている。本実施例においては、主制御基板ケース112、中継基板190及び払出制御基板ケース118は、金属板(図示を省略)に着脱自在に装着され、この金属板は裏機構盤102に対して回動自在に懸架されている。
【0060】
一方、裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121及び大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。また、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も端子基板122の上側に配設されている。払出制御基板350{図6(b)参照}を格納した払出制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。尚、本実施例では、電源ターミナル基板121に対して、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ(図示を省略)を接続しているが、このラムクリアスイッチの接続を省略したり、ラムクリアスイッチの接続個所を変更してもよい。
【0061】
(2)パチンコ機1の電子制御装置130
次に、本実施例のパチンコ機1の電子制御装置130について、図5〜図8を参照して説明する。
【0062】
まず、電子制御装置130は、図5に示すように、主制御部140と、複数の副制御部とを含んで構成されている。この主制御部140は、当否判定の制御等の遊技の基本進行を司る制御部である。また、副制御部は、信号伝送経路500aにより、主制御部140に直に接続された第1次副制御部と、第1次副制御部に信号伝送経路(500b等)によって接続された第2次副制御部とに分けられる。尚、本実施例においては、第2次副制御部に接続される第3次副制御部等の3次以降の副制御部が存在してもよい。
【0063】
本実施例では、払出制御部(主として賞球の払出制御を行う賞球払出制御部)150と特別図柄制御部160とが第1次副制御部に該当し、発射装置制御部193や、音声・ランプ制御部170a等が第2次副制御部に該当する。ここで、図6(a)及び(b)に示すように、主制御部140は主制御基板340を備え、払出制御部150は払出制御基板350を備えている。また、図7に示すように、特別図柄制御部160は特別図柄制御基板360を備え、図8に示すように、音声・ランプ制御部170aは音声・ランプ制御基板370aを備えている。尚、図8に示すように、音声・ランプ制御基板370aは、図中の仮想線Aを境界とする一方の部分(ランプ制御基板部370)と、他方の部分(音声制御基板部380)とを一体的に備えるものである。
【0064】
ここで、詳細は後述するが、本実施例においては、主制御部140から特別図柄制御部160に対して変動コマンド、停止図柄コマンド、及び変動停止コマンドを送信する。更に、特別図柄制御部160では変動コマンドを受けて、複数の変動態様から乱数等による抽選で変動態様を決定する。そして、特別図柄制御部160が選択する種々の図柄変動に応じて、特別図柄制御部160から、音声・ランプ制御部170aに、所定のコマンドが送信可能とされている。
【0065】
主制御基板340は、図6(a)に示すように、CPU401を含む主回路部400と、入出力回路部500とを備えている(図17参照)。そして、この主制御基板340は、通常、不正行為者にとっては開閉困難なケース(即ち、主制御基板ケース112)に収納されている。また、入出力回路部500には、外部端子部145が接続され、この外部端子部145には、パチンコホールの「ホールコンピューター」が接続される。そして、主制御基板340は、RAMクリア処理の実行後に、RAMクリア信号をONし、一定時間経過後にOFFするが、このRAMクリア信号をパチンコ機1の外部に出力し、パチンコホールのシステム等に報知できる。このため、不正行為者が判らない間に、パチンコホールの管理者側が不正行為を知ることができる。
【0066】
また、図18に示すように、CPU401はCPUコア480を備え、ROM482に格納された制御プログラムにより、RAM481をワークエリアとしてパチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司る。また、ROM482に記憶された当否判定プログラムにより、CPU401が主体となって当否判断制御を行う。
【0067】
主回路部400は、図17に示すように、CPU401、発振部1410、リセット回路部1450、I/Oデコード回路部1420、データバス安定化部1411、及び第1外部入力回路部1430を有している。また、CPU401は、図15に示すように、CPUコア480、内蔵RAM481、内蔵ROM482、メモリ制御回路483、クロック発生器484、アドレスデコーダ485、ウオッチドッグタイマ486、カウンタ/タイマ487、パラレル入出力ポート488、リセット/割り込みコントローラ489、外部バスインターフェース490、出力制御回路491を備えている。
【0068】
図5に戻り、図6(a)に示す入出力回路部500には前記した信号伝送経路500aが接続され、入出力回路部500からその信号伝送経路500aへ、払出制御部150及び特別図柄制御部160へ処理内容を指示する指令信号たるコマンドデータを送信する。尚、主制御部140から、払出制御部150及び特別図柄制御部160へは、一方向形式若しくは双方向形式でデータが伝送される。また、特別図柄制御部160から音声・ランプ制御部170aへは、一方向形式でデータが伝送される態様を例示するが、特別図柄制御部160及び音声・ランプ制御部170a間で双方向形式でデータが伝送されてもよい。更に、各制御部140〜180には、電源受電基板410から電源ユニット420、さらには分電基板430を介して電源が供給されており(図5の破線を参照)、後述する電源立上げ時のシステムリセット信号が全制御基板に送信される。
【0069】
中継基板190には、入賞球検知スイッチ318,19s〜22s等が接続され、中継基板190の出力端子は、主制御部140の入出力回路部500と接続されている。また、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、普通図柄表示装置基板32f、各種ソレノイド17c,313、右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ37s、左普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ36sが主制御部140の入出力回路部500に接続されている。
【0070】
払出用端子基板191には、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ192、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知スイッチ108等が接続され、払出用端子基板191の出力端子は、図6(b)に示す払出制御部150の入出力回路部700と接続されている。
【0071】
払出制御部150は、図6(b)に示すように、主制御部140と同様の主回路部600及び入出力回路部700を含んで構成され、入出力回路部700において図5に示す信号伝送経路500aに接続されている。また、入出力回路部700には、賞球払出装置109、発射装置制御部193等が接続されている。
【0072】
特別図柄制御部160は、図7に示すように、演算回路構成要素として、CPU161と、RAM162と、ROM163と、入出力ポート164と、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)166とを含み、それら演算回路構成要素はバス165により相互に接続して構成され、入出力ポート164において信号伝送経路500aに接続されている。入出力ポート164には、液晶表示装置27が接続され、CPU161はROM163に格納された制御プログラムにより、RAM162をワークエリアとして中央装置26(液晶表示装置27等)の作動制御を行っている。ここで、ROM163(又はVDP166の図示しないROM)には、本発明の画像処理方法に従って生成した画像データが格納されている。この画像データの詳細に関しては後述する。
【0073】
図8に示すように、音声・ランプ制御部170aを構成するランプ制御基板部370は、演算回路構成要素として、CPU171と、RAM172と、ROM173と、入出力ポート174とを含んで構成されている。そして、これらの要素(171、172、173、及び174)はバス175により相互に接続して構成され、入出力ポート174において信号伝送経路500bに接続されている。そして、入出力ポート174には、図5に示す枠飾りランプ基板4gと、各種ランプ基板261f、262fと、各種LED基板4d、4f、21f、22f等が接続されている。これら各基板にランプあるいはLEDが1又は複数個接続される。これらのランプ等はゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。更に、ランプ制御基板部370は、可動部分等を構成するソレノイドやモータ等の駆動制御を行う。
【0074】
図8に示すように、音声・ランプ制御部170aを構成する音声制御基板部380は、ランプ制御基板370と同様の演算回路構成要素181〜185、及びサウンドジェネレーター188を含んで構成され、入出力ポート184において信号伝送経路500bに接続されている。サウンドジェネレーター188は、格納された音声データと音声出力モジュールとに基づいて、図5に示す音量スイッチ基板12を介して接続されたスピーカー400aより、ゲームの進行に対応した各種の音声出力を行う。入出力ポート184に接続された音量スイッチ基板12は、音量スイッチ(図示略)の操作に伴い、出力音量の設定を行うものである。
【0075】
さらに、枠飾りランプ基板4g等の各種ランプやサウンドジェネレーター188は、特別図柄制御部160の制御による特別図柄の変動・停止表示態様、リーチ発生の有無、リーチ表示態様(後述する)、特別遊技態様、及び遊技モード(確率変動、時短など)等に応じてその態様は制御される。その制御指令の指令信号は、音声・ランプ制御部170aを作動指令対象とする指令信号として、前記した信号伝送経路500bを介して送信される。
【0076】
なお、上述した特別図柄制御部160、音声・ランプ制御部170aは、主制御部140や払出制御部150と同様の回路部から構成されるものとすることもできる。すなわち、主回路部と入出力回路部とから構成されるものとし、内部にROM、RAMが内蔵されたCPUを用いることもできる。
【0077】
次に、賞球動作は、以下の順序で実行される。
主制御部140は、遊技球が入賞球検知スイッチ318を通過したら15個の賞球個数データを、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sを通過したら6個の賞球個数データを、それ以外の場合、例えば、左右下入賞口21、22の通過検知スイッチ21s、22sの通過を検知した場合などにおいては、10個の賞球個数データを、払出制御部150に対してその検知順に、払出制御部150を作動指令対象とする指令信号として、前記した信号伝送経路500aを介して送信する。(すなわち、固有賞球数はここでは、6個、10個あるいは15個である。)払出制御部150は、主制御部140からの賞球個数データを受け取り、賞球払出信号の送信により賞球払出装置109を作動させる。
【0078】
また、主制御部140は、上述の各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを読み込む。例えば、主制御部140は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、入賞球検知スイッチ318等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、遊技が行われていない客待ちの状態、遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)、始動入賞があった状態、及び特別遊技状態なども判断する。また、始動入賞が検知されると後述する乱数値に基づいて当否判定が行われ、その判定結果に基づいて特別図柄の変動(リーチ表示態様を含む)、または確定などの表示態様制御のためのデータが読み込まれる。このデータは、特別図柄制御部160を作動指令対象とする指令信号として、前記した信号伝送経路500aを介して送信される。
【0079】
次に、主制御部140により実行されるメインジョブについて図9等を参照して説明する。これは、主制御部140のROM482(図18参照)に格納されたプログラムに基づき、CPU401により実行されるジョブの一例である。先ず、スタックポインタをRAM481(図18参照)の所定のアドレスに設定した後(S10)、RAMクリアスイッチが操作(押下)されているか否かを判断し(S12)、操作されていればRAM481の初期化処理が行われ(S13)、操作されていなければ、バックアップフラグが設定されているか否かが判断される(S15)。そして、バックアップフラグが設定されていれば(S15:YES)、図11の「電源断に対する復電処理」が行われる。
【0080】
尚、本実施例では、停電等によって電源断が発生したときに、図10に示すように、使用レジスタの内容をRAM481に退避(保存)し(S630)、スタックポインタの値をRAM481に保存する(S632)。そして、大入賞口ソレノイド、第1種始動口ソレノイドをOFFにし(S634)、賞球センサのポーリング処理時間(例えば、約85m秒)を設定し(S636)、賞球計数前センサ及び賞球計数後センサで遊技球の通過を監視する(S638)。次いで、ポーリング処理時間が経過すると(S640)、使用しているRAM481のチェックサム(チェックサム、バックアップフラグ、スタック領域は除く)を作成し(S642)、保存し、バックアップフラグをRAM481に設定する(S646)。そして、RAM481のアクセスを禁止し(S648)、無限ループ処理にて電源ダウンに備える。なお、上記無制限ループ処理に替えてHALT処理やSTOP処理を実行することも可能である。
【0081】
図11の「復帰処理」においては、チェックサムの算出(S664)を実行し、電源断時に保存していたチェックサムの値を比較し、一致しなければ、RAM481の初期化処理を行う(S13)。一致すれば、電源断前のスタックポインタを復帰し(S668)、バックアップフラグをクリアし(S670)、サブ基板を電源断前の状態に復帰させるためのコマンドを送信する(S672)。そして、各レジスタを電源断前の状態に復帰し(S674)、割込みの許可/不許可を電源断前の状態に復帰等し(S676,S678)、電源断前の番地に戻る(S680)。本実施例では、パチンコ機1に対し、電源断対策用のバックアップ電源を付加しているため、パチンコホールの停電時等においても、停電前に生じていた「遊技者にとって有利な情報」を保存できる。
【0082】
図9に戻り、バックアップフラグが設定されていなければ(S15:NO)、初期化終了の判定が行われる(S20)。初期化が終了していれば(S20:YES)、LEDジョブ(S30)からスイッチジョブ(S70)までのジョブが実行される。また、初期化が終了していなければ(S20:NO)、初期化ジョブ(S190)が実行され、再び、初期化終了の判定が行われる(S20)。尚、パチンコ機1が出荷状態から最初の電源投入時であったり、RAMクリアスイッチが操作(押下)されていたり、バックアップフラグに異常があったり、チェックサムが一致しなかった場合には、RAM481の初期化処理が行われる。
【0083】
LEDジョブ(S30)においては、普通図柄及び普通図柄未始動回数の表示態様データや、特別図柄未始動回数の表示態様データなどが出力される。等速乱数ジョブ(S40)では、後述するRAM481の特別図柄当否判定乱数メモリや汎用カウントメモリなどが更新される。非等速乱数ジョブ(S50)では、初期値カウンタ、外れ普通図柄乱数メモリ(図示略)が更新される。なお、汎用カウントメモリ(図示略)は、例えば割り込みごとの「0」〜「255」の値の作成や、コマンドジョブ、飾りジョブの実行などに使用される。
【0084】
また、音声ジョブ(S60)では、音楽や音声に関するデータの読み込みが行われ、スイッチジョブ(S70)では、各種検知スイッチの読み込みが行われる。すなわち、左右入賞口通過検知信号などの各種信号が中継基板200を介して主制御部140に、発射停止検知信号、タッチ検知信号、ヴォリューム検知信号などの各種信号が払出用端子基板200aを介して払出制御部150にそれぞれ取り込まれ、また、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sから第一種始動口入賞検知信号、大入賞装置31から入賞球検知信号、及び普通図柄作動ゲート通過検知信号が主制御部140に取り込まれる。
【0085】
さらに、カウント検知スイッチ、カウント検知及び特定領域通過検知スイッチ等のスイッチ318(図5参照)に異常があるか否かが判定され(S80)、異常がなければ(S80:YES)、特別図柄メインジョブ(S90)から音声ジョブ(S110)までのジョブが実行される。また、異常(球詰まりや断線など)があれば(S80:NO)、エラージョブ(S130)が実行される。
【0086】
特別図柄メインジョブ(S90)においては、主制御部140と特別図柄制御部160とが協調して動作するために必要なデータに関するジョブが実行される。また、普通図柄メインジョブ(S100)では、普通図柄及び普通図柄未始動回数の表示態様データの読み込みが行われる。
【0087】
この後、各フラグ状態がバックアップメモリにセットされ(S140)、賞球信号ジョブ(S150)、情報信号ジョブ(S160)、コマンドジョブ(S170)、及び残余時間ジョブ(S180)が実行される。賞球信号ジョブ(S150)においては、賞球払出しに関するデータの読み込みや出力が行われ、情報信号ジョブ(S160)では、他の制御部への情報出力に必要なデータの読み込みが行われる。さらに、コマンドジョブ(S170)では、特別図柄管理等のためのコマンドの出力が行われ、残余時間ジョブ(S180)では、非等速乱数の呼出しが行われる。尚、残余時間ジョブ(S180)においても、初期値乱数の更新が行われる。
【0088】
次に、上記メインジョブの一連の流れの中で実行される、始動入賞(第一種始動口(普通電動役物)17への入賞)時の当否判定ジョブに関して図12〜図14を参照して説明する。なお、これらのジョブで使用する各種メモリ等は、図5に示す主制御部140のRAM481(図18参照)に格納され、代表的なもの(481a〜481g、481i〜481n、481v、481w)を図15に示す。
【0089】
まず、図12に示すように、S200において始動入賞があったか否かを確認し、始動入賞が無い場合(S200;NO)は、S250へスキップする。一方、始動入賞がある場合(S200;YES)は、S210において、保留数(未始動回数)が一定値(本実施例では「4」)を超えているか否かが判断され、この保留数(未始動回数)が一定値(本実施例では「4」)を超えていれば、その始動入賞は無効となり、S255へスキップする。また、一定値内の保留数(未始動回数)であれば、S220において、特別図柄保留数メモリ481b(図15参照)に記憶されている保留数(未始動回数)を1インクリメントする。
【0090】
このように、保留数(未始動回数)を1インクリメントすると、S230において、特別図柄当否判定乱数{以下、当否用乱数、又は判定乱数ともいう)を発生させ(プログラムを発生させても、所定の乱数発生回路を用いてもいずれでもよい(当否用乱数発生手段)}、読み込んだ判定乱数値を、S240において、特別図柄当否判定乱数メモリ481a(図15参照:以下、判定乱数メモリともいう)に記憶する。このメモリは、読み込んだ判定乱数値を始動入賞の時系列にシフトメモリ形式で記憶している。
【0091】
次に、S255において、判定乱数メモリ481a(図15参照)から記憶している最も古い先頭の判定乱数値を読み出し、S260に進む。また、S200において始動入賞が無い場合には、S250において、保留の有無を確認し、保留が無い場合(保留数が零の場合)にはS200に戻り、保留が有る場合(保留数が1〜4の場合)には、S255において、判定乱数メモリ481a(図15参照)から記憶している最も古い先頭の判定乱数値を読み出し、S260に進む。
【0092】
S260においては、図18に示すROM482内の大当り番号メモリ482aから大当り番号(当り用判定値)を読み出し、S265において、上記判定乱数値との比較を行い、両者が一致していれば大当り判定となり、大当り処理(S270)が行われる。一方、一致していなければ外れ判定となり、外れ処理(S310)が行われる。
【0093】
大当り処理(S270)においては、図13に示すように、先ず、S280に進み、大当り図柄決定乱数(識別情報決定用乱数)を発生させ、これを読み込んでその決定乱数値を大当り図柄決定乱数メモリ481d(図15参照)に記憶する(S290)。なお、大当り図柄決定乱数の読み込みは、始動入賞時に当否用乱数と同時に読み込まれているが、当り判定決定と同時に、あるいは当り判定決定後所定の時間後に読み込むものとしてもよい。また、S300において、「大当り」という判定結果(本実施例では「1」)を判定結果メモリ481j(図15参照)に記憶する。なお、大当り図柄決定乱数と同時にリーチ態様決定乱数を発生させ、これを読み込んでその決定乱数値をリーチ態様決定乱数メモリ481k(図15参照)に記憶している(S295)。
【0094】
この大当り図柄決定乱数値で指定される特別図柄は、特別図柄制御部160のROM163(図7参照)に格納されている特別図柄画像データに基づいて、蛍光表示装置27(図3参照)に、変動表示状態を経た後、定められた配列態様で表示される(例えば、「7、7、7」の3桁同一図柄の配列態様)。なお、上記特別図柄画像データを大当り図柄決定乱数値と対応付けて識別情報決定用値として主制御部140のRAM481(図18参照)に記憶しておき、読み込んだ大当り図柄決定乱数値と識別情報決定用値とを比較することで停止表示する図柄を決定するものとしてもよい。
【0095】
さらに、リーチ態様決定乱数値で指定されるリーチ表示態様は、特別図柄制御部160のROM163(図7参照)に格納されたリーチ表示態様画像データに基づいて、蛍光表示装置27(図3参照)に、変動表示状態を経た後、定められたリーチ態様で表示される。なお、この場合も、上記リーチ表示態様画像データをリーチ態様決定乱数値と対応付けてリーチ態様決定用値として、主制御部140のRAM481(図18参照)のリーチ態様決定用値メモリ481l(図15参照)に記憶しておき、読み込んだリーチ態様決定乱数値とリーチ態様決定用値とを比較することで表示するリーチ態様を決定するものとしてもよい。
【0096】
一方、外れ処理(S310)においては、図14に示すように、先ず、S265からS315に進み、外れリーチジョブを行うかどうかを乱数により決定する。すなわち、S315において、リーチ態様決定乱数を発生させ、これを読み込み、他方、S320において、リーチ番号メモリ481i(図15参照)に記憶されているリーチ番号を読み出す。S330において、両者が一致していれば外れリーチジョブに、一致していなければ通常外れジョブとなる。
【0097】
外れリーチジョブの場合は、S340へ進み、少なくとも揃えるべき2つの特別図柄(例えば、3種類の特別図柄のうち、左図柄と右図柄)を、外れリーチ図柄決定乱数(また、左図柄の乱数を参照し、それに右図柄を一致させるようにしてもよい)を使用して決定し(S340)、外れリーチ図柄番号メモリ481m(図15参照)に記憶する(S350)。また、S360において、外れ中図柄を乱数により同様に決定し、S370において決定した乱数値を外れ中図柄番号メモリ481g(図15参照)に記憶する。また、S380において、「外れリーチ」という判定結果(本実施例では「2」)を判定結果メモリ481j(図15参照)に記憶する。一方、通常外れジョブの場合は、S390に進み、各特別図柄(例えば、左図柄、右図柄及び中図柄)をそれぞれ乱数により決定し、決定した各乱数値をそれぞれ対応する外れ図柄番号メモリ481e、481f、481gに記憶する(S390〜S440)。また、S450において、「通常外れ」という判定結果(本実施例では「3」)を判定結果メモリ481j(図15参照)に記憶する。
【0098】
次に、上記メインジョブの一連の流れの中で実行される、特別図柄メインジョブの概略の流れを図16を参照して説明する。まず、S500において、第一種始動口(普通電動役物)17への遊技球の入賞に基づき、中央装置26における蛍光表示装置27(図3参照)上で各特別図柄の変動表示を開始させる。例えば、左右及び中図柄を上から下、下から上へスクロール変動させる。
【0099】
次いで、S510において、判定結果メモリ481j(図15参照)から図12に示す当否判定ジョブで得られた各入賞に対する判定結果を読み出す。具体的には、大当り判定(「1」)の場合は(S520:YES)、S580に進み、上述したリーチ態様決定乱数値に対応するリーチ態様決定用値メモリ481lに記憶されているリーチ態様決定用値を読み出し、さらにS600に進み、大当り番号(識別情報決定用値)を、図18に示すROM482内の大当り番号メモリ(決定用値記憶手段)482aから読み出し、S610に進んで、例えば左図柄及び右図柄を同一図柄に揃えて所定のリーチ表示態様を経た後に、中図柄を左図柄及び右図柄と同一図柄に揃えて停止表示させ確定させる。
【0100】
一方、外れリーチ判定(「2」)の場合は(S530:YES)、S570に進み、上述した外れリーチ図柄番号メモリ481m(図15参照)から外れリーチ図柄番号と、外れ中図柄番号メモリ481g(図15参照)から外れ中図柄番号とを読み出す。そして、S571において、読み出した外れリーチ図柄番号と外れ中図柄番号とを比較し、それらの差異に基づき外れリーチ態様を決定する(S572)。具体的には、S571において、それらの番号の差(すなわち、例えば左図柄と中図柄との差)を算出し、その差に基づいて外れリーチ態様メモリ481nから外れリーチ態様データを読み出す。例えば、差が「−1」の場合(すなわち、例えば中図柄が左図柄の1つ前の図柄となる場合)、複数種類(例えば3種類)の外れスーパーリーチの中から1種が選択され(例えば、所定の乱数取得により選択することができる)、読み出される。その後、例えば、左図柄及び右図柄を同一図柄に揃えて所定のリーチ表示態様を経た後に、中図柄を他の図柄とは異なる図柄で停止表示させ確定させる。
【0101】
また、通常外れ判定(「3」)の場合は(S540)、S550に進み、外れ各図柄番号を外れ番号メモリ481e、481f、481g(図15参照)からそれぞれ読み出し、S560に進んで、各特別図柄を(例えば、左図柄、右図柄及び中図柄)、相互にずれたタイミングで停止表示させ確定させる。なお、通常外れ判定の場合も、表示態様を「すべり表示」等により種々の態様に変化させることも可能で、この場合、その表示態様画像データを上記リーチ態様決定乱数値と対応付けて通常外れ表示態様決定用値として、主制御部140のRAM481(図18参照)の通常外れ表示態様決定用値メモリ(図示略)に記憶しておき、読み込んだリーチ態様決定乱数値と通常外れ表示態様決定用値とを比較することで表示する通常外れ態様を決定するものとしてもよい。
【0102】
次に、大当り判定により、蛍光表示装置27(図3参照)には所定の配列態様で特別図柄が確定表示され(例えば、「7、7、7」の3桁同一図柄の配列態様)、その後、特別遊技が実行される(特別遊技状態もしくは大当り遊技状態)。特別遊技状態においては、まず、大入賞装置31(図3参照)の開閉板312が開放状態となり、大入賞口311への遊技球の入賞が遊技者にとって優位な遊技球受入状態となる。
【0103】
この特別遊技状態においては、大入賞装置31は、終了条件が成立するまで遊技球受入状態が継続される。例えば、開放状態が所定時間t1(例えば30秒)経過したとき、もしくは入賞球検知スイッチ318(図5参照)に所定数n1(例えば10個)の入賞が検知されたときに終了条件が成立し、遊技球受入状態が一旦終了して、開閉板312が閉鎖状態となって1ラウンドが終了する。この開閉板312が閉鎖されて所定時間t2(例えば0.5秒)が経過した後に、所定の継続条件(図示しない特定領域への通過)が成立していれば、再び開閉板312が開放状態となり大入賞装置31が遊技球受入状態となる。なお、このような終了条件までを1ラウンドとする遊技球受入状態は、所定の最高継続ラウンド数(本実施例では16ラウンド)まで繰り返し継続される。また、終了条件成立時に継続条件が不成立の場合は、特別遊技状態がそのラウンドで終了(いわゆるパンク)するものとなっている。
【0104】
なお、パチンコ機1においては、当り判定により中央装置(特別図柄表示装置)26の蛍光表示装置27(図3参照)に停止表示された特別図柄の種類に基づき、上記特別遊技状態の終了後、次の大当りまで当否判定の確率(大当り確率)を変更(向上)させる確率変更手段が備えられている。具体的には、予め記憶されている上記大当り図柄決定乱数値が、確率変更用乱数値と非確率変更用乱数値とから構成され、各乱数値の取得に応じて確率変更用図柄又は非確率変更用図柄が停止表示される。その停止表示された図柄が確率変更用図柄の場合、上記特別遊技状態終了後、次の大当りまで当否判定の確率(大当り確率)が通常の約4〜5倍に向上するものとされている。
【0105】
(4)画像データの詳細な説明
次に、図19〜図24を用いて、ROM163又はVDP166の図示しないROMに格納された画像データの生成方法を中心に説明する。先ず、図19のS710に示すように、3次元描画ソフト(例えば、商品名が「Light Wave 3D」のソフト)にて、3次元オブジェクトのモデリングを行う。次いで、この3次元オブジェクトにレンダリング処理を行う(S715)。このとき、レンダリング処理にて、アンチエリアシング処理を行った第1の画像(A)と、アンチエリアシング処理を行わない第2の画像(B)を作成する。
【0106】
続いて、この第1の画像(A)と、第2の画像(B)とを、2次元描画ソフト(例えば、商品名が「photoshop」のソフト)にて読み込む(S720)。そして、1ファイルにて、第1の画像(A)を上レイヤーに配置し、第2の画像(B)を下レイヤーに配置する。このとき、第1の画像(A)と、第2の画像(B)は、同位置とされる。
【0107】
ここで、図20の(a)は、下レイヤーに第2の画像(B)を配置した場合のイメージ図を示している。この第2の画像(B)においては、単一色(例えば、緑色)の2次元の画面を背景部850としている。そして、3次元オブジェクトの一具体例を示す自動車800のボディ801を、背景850の色と濃度値が大きく異なる単一色(例えば、赤色)で構成している。また、バンパー802及びタイヤ803も、背景850の色と濃度値が大きく異なる単一色(例えば、黒色)で構成されている。更に、窓ガラス805を、窓枠806(黒色又はボディ801の色)の色と濃度値が大きく異なる単一色(例えば、水色)で構成している。
【0108】
従って、図20の(b)に示すように、自動車800の輪郭部810における傾斜部(符号811で示す部分等)や、自動車800の内部に存在する傾斜部(窓ガラス805と、窓枠806との境界部820等)に、「エリアシング」を生じている。そして、この第2の画像(B)には、アンチエリアシング処理が施されておらず、しかも、この画像(B)の解像度が特に高くない(例えば、72dpi)ため、これらの傾斜部(811、820等)は、「ギザギザ」であることが認識される。
【0109】
また、図21の(a)は、上レイヤーに第1の画像(A)を配置した場合のイメージ図を示している。この第1の画像(A)は、アンチエリアシング処理が施されている点のみが、第2の画像(B)と異なる。この第1の画像(A)においては、第2の画像(B)においてエリアシングを生じている部分(811、820等)において、適宜、中間色が配置されている。つまり、図21(b)に示すように、自動車800及び背景部850間の境界部(e−e)の周囲においては、自動車800側に位置する画素870と、背景部850側に位置する画素871とに、自動車800の色と背景部850の色の中間色(ボディ801の色と背景850の色の中間色、バンパー802やタイヤ803の色と背景850の色の中間色)を配置する。また、窓枠806及びガラス窓805の境界部(e−e)の周囲においては、窓枠806側に位置する画素873と、ガラス窓805側に位置する画素875とに、窓枠806の色とガラス窓805の色との中間色が配置されている。これにより、境界部(e−e)の周囲の濃度値の変化が緩やかとなって、画像中の高周波成分が取り除かれ、前記「ギザギザ」が目立ち難くなっている。
【0110】
即ち、自動車800及び背景部850間の境界部(e−e)の内側の1ピクセル分の画素870には、より自動車800の色に近い中間色が配置され、境界部(e−e)の外側の1ピクセル分の画素871には、より背景部850の色に近い中間色が配置されている。また、窓枠806及びガラス窓805の境界部(e−e)の外側の1ピクセル分の画素873には、より窓枠806の色に近い中間色が配置され、境界部(e−e)の内側の1ピクセル分の画素875には、より窓ガラス805の色に近い中間色が配置されている。この他に、第2の画像(B)においてエリアシングを生ずる他の部分についても、同様に、境界部の周囲の画素に中間色を配している。このため、第1の画像(A)においては、オブジェクト(自動車800)全体が滑らかな状態に表示される。
【0111】
前記S725に続いて、S730において、下レイヤーからマスク範囲(背景色をマスクカラーとする。)を、選択範囲として指定する{図20(a)の階段状の線m−m、図22(a)の点線ハッチング部mを参照}。ここで、下レイヤーに表示された第2の画像(B)にはアンチエリアシング処理が施されていないため、オブジェクト(自動車800)の輪郭部810の周囲には、オブジェクト(自動車800)の色と、背景850の色の中間色が存在しない。従って、下レイヤーにおいては、意図する範囲(背景850全体)を、マスク範囲(選択範囲)として指定すると、中間色が付着せず、すっきりとした輪郭部810を備えたオブジェクト(自動車800)を取り出すことができる。
【0112】
次いで、図22(b)に示すように、前記選択範囲を、オブジェクト(自動車800)の内部に向かって1ピクセル分拡大する(S735)。そして、上レイヤーにおいて、この拡大済の選択範囲{図23(b)及び(c)の階段状の線n−nを参照}内を削除する(S740)と、輪郭部810側の1ピクセル分が削除されたオブジェクト(自動車800)を取り出すことができる。尚、図23(a)は、この削除される「輪郭部810側の1ピクセル分」を、ハッチングHで表示している。
【0113】
この上レイヤーに配置された第1の画像(A)には、前述の如く、アンチエリアシング処理が施されているため、図23(b)に示すように、輪郭部810の周囲の画素870、871が中間色とされている。ところが、上レイヤーでの選択範囲が、上記「拡大済の選択範囲」である。よって、S740においては、図23(c)に示すように、背景850側の画素870の中間色と、オブジェクト(自動車800)側の画素871の中間色とが削除される。
【0114】
次いで、上レイヤー及び下レイヤーを合成し、第1の画像(A)及び第2の画像(B)を合成する。ここで、前述の如く、S740を完了した第1の画像(A)においては、図24(a)に示すように、オブジェクト(自動車800)のうちで、輪郭部810側の1ピクセル分が削除されている。ところが、図24(b)に示すように、下レイヤーの第2の画像(B)には、輪郭部810側の1ピクセル分の画素871が存在するため、この下レイヤー画素871によって、上レイヤーの第1の画像(A)から削除された部分が充当されることになる。
【0115】
また、図19において図示を省略するが、本実施例では、図24(c)に示すように、前述の下レイヤーよりも下方に他のレイヤーが付加され、この付加される他のレイヤーには、所望の背景部(2次元画像)888が表示される。そして、S745において、画像を合成する際に、この背景888も合成される。ここで、背景部888の色と、元の背景部850の色とは、濃度値が大きく異なるが、オブジェクト(自動車800)の部分には、オブジェクト(自動車800)の色と元の背景部850との中間色が追随しないため、S745によって得られる画像の外観は優れたものとなる。
【0116】
続いて、S745において合成した画像を動画作成用形式(例えば、ビットマップ形式;「マイクロソフト社のWINDOWSの標準画像フォーマット」)で保存する(S750)。そして、この保存されたデータ(画像データ)を、ROM163(又はVDP166の図示しないROM)に格納し、このROM163(又はVDP166の図示しないROM)を特別図柄制御部160に組み込む。
【0117】
本実施例では、更に、背景部888を基準に、オブジェクト(自動車800)の位置を適宜変更した状態のデータ(画像データ)を作成し、ROM163(又はVDP166の図示しないROM)に格納する。また、背景部を変更し、しかも、この変更した背景部を基準に、オブジェクト(自動車800)の位置を適宜変更した状態のデータ(画像データ)を作成し、ROM163(又はVDP166の図示しないROM)に格納する。そして、例えば、各背景部毎に、オブジェクト(自動車800)の位置が、僅かずつ異なるデータ(画像データ)をROM163(又はVDP166の図示しないROM)から読み出せば、背景部888上を連続的に移動するオブジェクト(自動車800)によって構成される動画が得られる。
【0118】
(5)実施例の効果
本実施例によると、所定の背景部850上のオブジェクト(自動車800)を取り出し、所望の背景部888上に配置する際に、このオブジェクト(自動車800)の輪郭部810側部分にアンチエリアシング処理を行わない第2の画像(B)を用い、オブジェクト(自動車800)において輪郭部810側部分の内部領域にアンチエリアシング処理を行った第1の画像(A)を用いることができる。即ち、オブジェクト(自動車800)の内部領域をアンチエリアシング処理をした滑らかな画像で構成すると共に、このオブジェクト(自動車800)と背景888との境界部がクッキリとするため、外観に優れた動画を得ることができる。
【0119】
また、本実施例では、上記画像処理を、遊技機1(実機)とは別個のコンピュータによって実行し、この実行によって得られる「画像データ」を、ROM163(又はVDP166の図示しないROM)に格納する。このため、このROM163(又はVDP166の図示しないROM)の記憶量が少々多くはなるが、遊技機1でレンダリング処理を行うことが必要とされない。従って、処理装置(CPU161、VDP166)として処理能力が高く、高価なものを敢えて用いなくても、3次元情報に基づくオブジェクト(自動車800)を、スムーズに変動させることができる。つまり、通常の処理能力を備えた処理装置を用いても、3次元情報に基づくオブジェクト(自動車800)を、スムーズに変動させることができる。このため、このスムーズな変動を得るために、遊技機1の製造コストを高くすることはない。
【0120】
また、本実施例では、アンチエリアシング処理を行わない第2の画像(B)の使用範囲が、最小範囲{即ち、オブジェクト(自動車800)}において、輪郭部810側の1ピクセル分)に限定されるため、より外観に優れた画像を得ることができる。
【0121】
また、本実施例においては、主制御部140から特別図柄制御部160に対して変動コマンド、停止図柄コマンド、及び変動停止コマンドを送信する。更に、特別図柄制御部160では変動コマンドを受けて、複数の変動態様から乱数等による抽選で変動態様を決定する。そして、特別図柄制御部160が選択する種々の図柄変動に応じて、特別図柄制御部160から、音声・ランプ制御部170aに所定の信号を送信する。この信号を受けた音声・ランプ制御部170が、ランプ装置(枠飾りランプ、遊技効果ランプ等)や音声装置(スピーカ400a)に所定の駆動信号を送信し、ランプ装置や音声装置(400a)を駆動させている。よって、ランプ装置や音声装置(400a)において、液晶表示装置27の図柄にリンクした駆動を行うことが容易であると共に、この駆動態様を複雑なものとし、遊技機としても面白味を更に高めることができる。即ち、液晶表示装置27の個々の表示と、一対一の対応関係をもつ、音声を発音したり(音声装置400a)、液晶表示装置27の個々の表示と、一対一の対応関係をもつ、点滅・点灯態様を実現すること(ランプ装置)等が容易である。また、主制御部140の機能を副制御部(170a等)に分担させることで、主制御部140の汎用化を図ることもできる。
【0122】
更に、本実施例では、複数の副制御部を一体化し、そのコンパクト化を図っている。即ち、ランプ制御部と、音声制御部とを同一の基板にまとめて一体化した音声・ランプ制御部を用いるため、この種の制御部のコンパクト化が図られている。
【0123】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0124】
各実施例及び変形例を構成する電子制御装置130においては、主制御部140に対して、払出制御部150及び特別図柄制御部160ばかりではなく、音声・ランプ制御部170aをも、信号伝送経路500aによって直に接続してもよい。また、音声・ランプ制御部170aの代わりに、各々別体のランプ制御部及び音声制御部を用いてもよい。この場合には、ランプ制御部や音声制御部を特別図柄制御部160に対し、信号伝送経路500bにより接続してもよいし、ランプ制御部や音声制御部を信号伝送経路500aにより、主制御部140に直に接続してもよい。尚、これらの場合の伝送方向は一方向であっても双方向であってもどちらでも良い。
【0125】
【発明の効果】
以上記述したように本各発明によれば、アンチエリアシング処理をした滑らかな画像で、しかも、オブジェクトと背景との境界部がクッキリした画像を作成できる画像処理方法や、このような画像を表示できる遊技機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る遊技機を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係る遊技機において、前面枠が開いた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る遊技機において、遊技盤を示す正面図である。
【図4】本発明の実施例に係る遊技機を示す裏面図である。
【図5】本発明の実施例に係る電子制御装置を示すブロック図である。
【図6】(a)は本発明の実施例に係る遊技機が備える電子制御装置を構成する主制御部の説明図であり、(b)は本発明の実施例に係る遊技機が備える電子制御装置を構成する払出制御部の説明図である。
【図7】本発明の実施例に係る遊技機が備える電子制御装置を構成する特別図柄制御部の説明図である。
【図8】本発明の実施例に係る遊技機が備える電子制御装置を構成する音声・ランプ制御部の説明図である。
【図9】本発明の実施例に係る遊技機の主制御部が行うメインジョブを説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施例に係る遊技機において、電源断(停電等)が発生したときの処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例に係る遊技機において、電源断(停電等)が発生したときの復電処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施例に係る遊技機において、当否判定ジョブを説明するためのフローチャートである。
【図13】図12の当否判定ジョブにおける大当り処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】図12の当否判定ジョブにおける外れ処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の実施例に係る遊技機において、主制御部の内蔵RAMに格納された各種メモリ等の代表例を示す説明図である。
【図16】本発明の実施例に係る遊技機において、特別図柄メインジョブの概略を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の実施例に係る遊技機において、主制御部を示す説明図である。
【図18】本発明の実施例に係る遊技機において、主制御部を構成するCPUを示す説明図である。
【図19】本発明の実施例に係る画像処理方法を示すフローチャートである。
【図20】(a)は第2の画像を配置した下レイヤーのイメージ図(説明図)であり、(b)は図20(a)の一部拡大図である。
【図21】(a)は第1の画像を配置した上レイヤーのイメージ図(説明図)であり、(b)は図21(a)の一部拡大図である。
【図22】(a)は下レイヤーにおいて、選択範囲を説明するためのイメージ図(説明図)であり、(b)は上レイヤーにおいて、拡大済みの選択範囲を説明するためのイメージ図(説明図)である。
【図23】(a)は上レイヤーにおいて、拡大済みの選択範囲を削除する手順を説明するためのイメージ図(説明図)であり、(b)は上レイヤーの第1の画像において、拡大済みの選択範囲を削除する前の状態を示す拡大図(説明図)であり、(c)は上レイヤーの第1の画像において、拡大済みの選択範囲を削除した後の状態を示す拡大図(説明図)である。
【図24】(a)は上レイヤーにおいて、拡大済みの選択範囲を削除した後の輪郭部側のイメージ図(説明図)であり、(b)は第1の画像及び第2の画像を合成した後において、オブジェクトの輪郭部側のイメージ図(説明図)であり、(c)は第1の画像、第2の画像及び背景を合成した状態のイメージ図(説明図)である。
【図25】(a)は従来例に係る画像のイメージ図(説明図)であり、(b)は画像の一部拡大説明図であって、エリアシングについて説明するためのものであり、(c)はアンチエリアシング処理を行った画像の一部拡大説明図であり、(d)は画像の一部拡大説明図であって、従来例の問題点を示すためのものである。
【符号の説明】
1;パチンコ機(遊技機)、
10;遊技盤、
11;遊技領域、
27;表示装置(液晶表示装置)。
Claims (4)
- 仮想3次元空間におけるオブジェクトの変動を表示するための画像処理方法であって、
3次元オブジェクトのモデリングを実施する手順と、
オブジェクトにレンダリング処理を実施する手順と、
アンチエリアシング処理を行った第1の画像、ならびにアンチエリアシング処理を行わない第2の画像を作成する手順と、
前記第1の画像及び前記第2の画像が同位置となるようにしつつ、上レイヤーに第1の画像を配置すると共に下レイヤーに第2の画像を配置する手順と、
前記下レイヤーよりマスク範囲を選択範囲として指定する手順と、
前記選択範囲を所定ピクセル拡大する手順と、
拡大済の選択範囲にて前記上レイヤーでの選択範囲内を削除する手順と、
前記上レイヤー及び前記下レイヤーを合成する手順と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 前記合成する手順を実行して合成した画像を、動画作成用形式で保存する手順を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
- 前記所定ピクセルは、1ピクセルであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理方法。
- 遊技領域を有する遊技盤と、
該遊技盤の前面側に設けられる表示装置とを備えた遊技機であって、
前記表示装置は、変動させるオブジェクトの輪郭側部分にアンチエリアシング処理を行わない第2の画像を用い、前記輪郭側部分の内部領域にアンチエリアシング処理を行った第1の画像を用いて画像表示を行うことを特徴とする遊技機。
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