JP3998745B2 - 除電ブラシ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、複写機、印刷機、フィルム製造装置、ファクシミリ等の機器に使用し、紙、フィルム等のシート状或いは平面状部材の表面から静電荷を除去する自己放電型の除電ブラシ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電荷は、荷電した部材、例えば、複写機における移送用ローラや定着ローラ等と摩擦接触することにより用紙上に発生する。このため、紙捌き、フィルム捌きが良好に行えない他、帯電電荷が人体、OA機器等に徐々に蓄積されることがあり、この蓄積電荷が一時に火花放電すると、通信回線や半導体装置等に多大な影響を与える。そこで、帯電電荷を取り除くために、自己放電型の除電ブラシが設けられている。
【0003】
図14は従来の除電ブラシの断面図、図15はその除電ブラシの斜視図である。
【0004】
これらの図に示すように、従来の除電ブラシは、導電性線材からなる多数本の単糸を集合したブラシ32を、金属性枠体33で挟持して構成しており、複写用紙などの帯電体31上の帯電電荷を除去するようにしている。
【0005】
このように、従来の除電ブラシ32は、導電性線材からなる多数本の単糸を集合して構成されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の除電ブラシでは、例えば、複写機に装着される場合、複写用紙の移動時にブラシ32が当接し、その際に発生する擦過音が大きいといった問題があった。
【0007】
また、多数本の単糸を集合したブラシ32は接着、圧着でも中心部が抜けやすいものであった。
【0008】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであって、除電ブラシの中心部の抜けを防止するとともに、ブラシの擦過音を低減することができる除電ブラシ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
)除電ブラシの製造方法において、巻き枠板の両側に芯棒を配置した部材に軸方向に所望のピッチで擦過音の低い線材を巻回する工程と、前記芯棒を外側に引っ張り、前記巻き枠板を軸方向に抜き取る工程と、前記芯棒の近傍を軸方向にテープで止める工程と、前記巻回された線材の中央線に沿って切断する工程とを施すようにしたものである。
【0010】
)上記()記載の除電ブラシの製造方法において、前記ピッチが可変になるように巻回するようにしたものである。
【0011】
除電ブラシであって、上記(1)記載の除電ブラシの製造方法によって製造されるようにしたものである。
【0012】
上記のように構成したので、除電ブラシの中心部の抜けを防止するとともに、例えば、複写用紙の移動時に除電ブラシが当接し、その際に発生する擦過音を低減することができる。
【0013】
また、曲げ力にも強く折れにくい線材を有する除電ブラシを得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例を示す除電ブラシの正面図、図2はその除電ブラシの線材を示す図(図1のA部拡大図)、図3は図2のB−B線断面図、図4は3本の素線からなる撚線を示す図、図5はその除電ブラシの側面図である。
【0016】
これらの図に示すように、この実施例においては、ループ形状部2を有するテープ3で固定された除電ブラシ1の素線4を、SUS(Special Use Stainless Steel)とテトロンから構成し、擦過音の低い線材を得る。例えば、SUSとテトロンの比が1対1の導電性複合繊維からなる素線4を3本撚り合わせた撚線5を2組用意して、これらを互いに撚り合わせた線材6からなる。
【0017】
また、SUSとテトロンとの比を2:1とし、素線3本の撚線を更に撚り合わせた線材6を得るようにしてもよい。
【0018】
これらの場合、例えば、線材6の径は、30/1000(素線径mm)×3×2(本)となし、0.18φ(mm)である。
【0019】
また、素線の本数は適宜変更可能である。
【0020】
例えば、素線4が3本の場合には、線材6の径は、24/1000(素線径mm)×3(本)となし、0.072φ(mm)を得ることができる。
【0021】
更に、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維からなるサンダーロンSS−N(日本蚕毛染色株式会社製)を用いるようにしてもよい。
【0022】
この複合繊維は、直径は15.6〜19μmと極めて細く、導電膜の厚さが、300〜1000Åで、比抵抗は、5.85×10-1Ω・cmと導体に近い半導体であり、除電ブラシに用いるのに好適である。
【0023】
このような複合繊維を上記のように撚って線材6にする。
【0024】
このように構成することにより、撚り線(ロープ)とループ化により、除電ブラシの中心部の抜けを防止することが可能となり、擦過音の低い線材を有する除電ブラシを得ることができる。また、曲げ力にも強く折れにくい線材を有する除電ブラシを得ることができる。
【0025】
次に、本発明の実施例を示す除電ブラシの製造方法について説明する。
【0026】
図6は本発明の実施例を示す除電ブラシの製造工程図である。
【0027】
(1)まず、図6(a)に示すように、巻き枠板11の両側にはV字形状の溝11aを形成しておき、この巻き枠板11の両側に断面が円形の芯棒12を配置した部材10に、上記した導電性複合繊維からなる線材13を所望のピッチPで巻回する。
【0028】
(2)次いで、図6(b)に示すように、両側に配置された芯棒12を外側に引っ張って、巻き枠板11のV字形状の溝11aと芯棒12間に空隙14を生ぜしめて、図6(c)に示すように、巻き枠板11を軸方向に抜き取る。
【0029】
(3)次に、図6(d)に示すように、芯棒12の近傍に両面テープ15を接着した後、軸方向に沿った中心線で線材13を切断し、芯棒12を抜き取る。
【0030】
このようにして、図1及び図5に示すような除電ブラシを得ることができる。
【0031】
なお、上記巻回される線材のピッチPは以下の態様に変形することができる。
【0032】
(a)粗い除電ブラシでよい場合には、ピッチPを大きくして一定間隔にする。
【0033】
(b)密な除電ブラシが必要とされる場合には、ピッチPを小さくして一定間隔にする。
【0034】
(c)1個の除電ブラシにおいて、可変ピッチとすることにより、粗い部分と密な部分が形成される除電ブラシとすることができる。
【0035】
このような線材は、図6(a)において、巻き枠板と芯棒からなる部材を回転させながら軸方向に移動させることにより、自動的に種々のピッチで巻回することができる。
【0036】
また、上記したテープによる固定のみでなく、更に、図7に示すように、保持部材25を形成するようにしてもよい。なお、21は除電ブラシ、22はリード線(アース)、23,24は接着テープである。
【0037】
その場合、保持部材25としては、弾性を有するゴム、プラスチック等の高分子材料を用い、偏平長方形または条状となし、一体にモールド成形することができる。また、導電性を付与することもできる。
【0038】
更に、テープとしては、アルミニウム箔や銅箔を用いると、導電・リード線対応が容易であり、好ましい。
【0039】
また、上記の除電ブラシは以下のような利用形態を有する。
【0040】
(1)上記実施例における両面テープ15に代えて、片面テープとするようにしてもよい。
【0041】
(2)このようなテープは仮止めの接着テープであってもよい。
【0042】
次に、本発明の他の実施例について説明する。
【0043】
この実施例では、素線としては、耐酸化性と延展性があり、しかも安価な素材SUS304系を用い、その素線の線径としては、伸線技術上最も安定しているとされる最小径30μmφを使用する。また、線束としては、30μmφ×7(7本構成)や30μmφ×2×3(6本構成)とすることができる。
【0044】
(イ)30μmφ×7(7本構成)の場合
図8に示すように、芯線1本に素線4が6本が撚り合わされた線材(撚線)6とする。
【0045】
ここで、芯線に接着剤を予めコートしておくと、他の6本の素線4がより強固な結束状態となる。
【0046】
(ロ)30μmφ×2×3(6本構成)の場合
図9に示すように、まず、2本の素線4が撚り合わされ、その撚り合わさった撚線5に4本の素線4を撚り合わせて、6本構成の線材6とする。つまり、芯線1×1=2本と、その芯線2に4本の素線が撚り合わされて6本構成の線材(撚線)6とする。この場合は、2工程となるが、全体結束は高くなる。
【0047】
次いで、本発明の線材(撚線)の撚り数は、上記(イ)及び(ロ)共に40〜60回/cmとする。
【0048】
ここで、線材(撚線)の撚り数が60回/cmの場合は、
(A)芯線に無接着の場合は、図10に示すように、テープ下よりランダムに導電性ブラシの先端部の散線(バラケ)を生じさせることができる。
【0049】
(B)なお、芯線が接着剤コートされている場合は、図5に示すように、切断〔図6(d)工程参照〕後も、その結束は維持される。
【0050】
(C)除電効果を向上させるため、導電性ブラシの先端部の素線のみを散線(バラケ)させることが有効であり、その場合、図11に示すように、導電性ブラシの有効長の1/3〜1/2を散線(バラケ)させることが望ましいことがわかった。
【0051】
以下、その製造方法について述べる。
【0052】
工程1:線材の巻き上がり〔図6(c)工程参照〕時に、線材の中間部に接着剤を塗る。
【0053】
工程2:線材を切断する〔図6(d)工程参照〕。
【0054】
工程3:図12に示すように、金属台16上に線材6をセットして、押さえ部材18で押さえ、樹脂刃19で線材6の所定寸法をしごくと、必要寸法分がバラけ、散線させることができる。
【0055】
また、図13に示すように、金属台16´上に線材6をセットして、押さえ部材18´で押さえ、回転式の金属ブラシ19´で線材6の所定寸法をしごくと、必要寸法分がバラけ、散線させることができる。
【0056】
このように構成することにより、撚り線(ロープ)とループ化により、導電性ブラシの先端部分を散線(バラケ)させた、擦過音の低い線材を有する除電ブラシを得ることができる。
【0057】
また、線材のピッチに依存して導電性ブラシの疎密を調整することができる。
【0058】
更に、線材の組み合わせによって、種々の導電性ブラシを得ることができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0060】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0061】
)請求項記載の発明によれば、簡単な方法により、安価な除電ブラシを製造することができる。
【0062】
)請求項記載の発明によれば、可変巻き取りを行うことにより、除電ブラシの線材の粗密化対応を図ることができる。
【0063】
)請求項記載の発明によれば、除電ブラシの中心部の抜けを防止するとともに、導電性ブラシの先端部分を散線(バラケ)させた擦過音の低い線材を有する除電ブラシを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す除電ブラシの正面図である。
【図2】 本発明の実施例を示す除電ブラシの線材を示す図(図1のA部拡大図)である。
【図3】 図2のB−B線断面図である。
【図4】 3本の素線からなる撚線を示す図である。
【図5】 本発明の実施例を示す除電ブラシの側面図である。
【図6】 本発明の実施例を示す除電ブラシの製造工程図である。
【図7】 本発明の他の実施例を示す除電ブラシの断面図である。
【図8】 本発明の更なる他の実施例を示す除電ブラシの線材の製造方法を示す図(その1)である。
【図9】 本発明の更なる他の実施例を示す除電ブラシの線材の製造方法を示す図(その2)である。
【図10】 本発明の素線が散線した除電ブラシの構成図である。
【図11】 本発明の素線の先端部が散線した除電ブラシの構成図である。
【図12】 本発明の素線の先端部が散線した除電ブラシの製造方法(その1)の説明図である。
【図13】 本発明の素線の先端部が散線した除電ブラシの製造方法(その2)の説明図である。
【図14】 従来の除電ブラシの説明図である。
【図15】 従来の除電ブラシの斜視図である。
【符号の説明】
1,21 除電ブラシ
2 ループ形状部
3 テープ
4 素線
5 撚線
6,13 線材
10 部材
11 巻き枠板
11a V字形状の溝
12 芯棒
14 空隙
15 両面テープ
16,16´ 金属台
18,18´ 押さえ部材
19 樹脂刃
19´ 回転式金属ブラシ
22 リード線(アース)
23,24 接着テープ
25 保持部材

Claims (3)

  1. 除電ブラシの製造方法において、
    (a)巻き枠板の両側に芯棒を配置した部材に軸方向に所望のピッチで擦過音の低い線材を巻回する工程と、
    (b)前記芯棒を外側に引っ張り、前記巻き枠板を軸方向に抜き取る工程と、
    (c)前記芯棒の近傍を軸方向にテープで止める工程と、
    (d)前記巻回された線材の中央線に沿って切断する工程とを施すことを特徴とする除電ブラシの製造方法。
  2. 請求項記載の除電ブラシの製造方法において、前記ピッチが可変になるように巻回することを特徴とする除電ブラシの製造方法。
  3. 請求項1記載の除電ブラシの製造方法によって製造されてなる除電ブラシ。
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