JP3998258B2 - カーボンナノチューブ回収体 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法と該方法の実施に適する製造装置に関する。詳しくは、本発明は、生成したカーボンナノチューブの回収効率を向上した回収体に関する。
単層カーボンナノチューブは、導電性、熱伝導性、機械的強度等の優れた特性を持つことから、多くの分野から注目を集めている新素材である。単層カーボンナノチューブは、一般に、炭素又は炭素原料を必要に応じて触媒の存在下、高温条件に置くことにより合成される。この製造方法としては、主に、アーク放電法、レーザ蒸発法、化学気相成長法(即ち、CVD法)が知られている。
このうち特に、アーク放電法は、欠陥が少なく品質の良い単層カーボンナノチューブが得られる点で優れている。アーク放電法は、少なくとも陽極に炭素を含有する一対の電極間にアーク放電を起こすことにより、陽極からカーボンを蒸発させ、蜘蛛の巣状に単層カーボンナノチューブを含有する生成物を得ることができる。しかしながら、アーク放電法により得られる単層カーボンナノチューブは、収率がCVD法に比べて低い。このため、量産化可能な方法が種々開発されている。例えば、特許文献1には、電極に所定の触媒を含有させることにより、単層カーボンナノチューブを含有する生成物中における単層カーボンナノチューブ含有率を向上させる方法が開示されている。
特開2003−277032号公報
しかしながら、アーク放電により反応容器中で発生する単層カーボンナノチューブは容器全体にわたって分散する。従って、単層カーボンナノチューブの回収は、所定量製造された度に容器内から、例えばピンセット等でいちいち取り出す必要があった。従って、単層カーボンナノチューブの回収にあたって、その作業性を向上するとともに、容器内に製造された単層カーボンナノチューブを収率良く取り出すこと、換言すれば、回収効率を向上させることが望まれていた。
そこで本発明は、かかる従来の課題を解決すべく開発されたものであり、回収効率を向上し得るカーボンナノチューブの製造装置及びその製造方法ならびにカーボンナノチューブ回収体を提供することを目的とする。
本発明に係る回収体は、アーク放電によって得られたカーボンナノチューブであって該アーク放電を発生させる電極間から雰囲気ガスの気流とともに吹き上げられたカーボンナノチューブを該雰囲気ガス中から捕捉するために構成されたカーボンナノチューブ回収体であって、前記雰囲気ガス中のカーボンナノチューブをファンデルワールス力によって付着させる平滑な金属面からなる回収表面を構成するベルト又はシートを有しており、連続的又は断続的に前記回収表面を更新させ得る回収表面移動機構を備える。
前記回収体は、回収表面が平滑な金属面であることにより、電極間から吹き上げられて該表面に接触したカーボンナノチューブを、そのファンデルワールス力によって付着させる。また、回収表面移動機構により回収表面を更新させることにより、カーボンナノチューブ生成工程におけるのべ回収表面面積を増大させることができる。従って、例えば当該回収表面において単層カーボンナノチューブを薄くかつほぼ均等に広げて回収することが可能となり、均一な薄層の単層カーボンナノチューブを得ることができる。また、のべ回収面積が増加することにより、回収効率がより向上する。
好ましくは、前記回収体は、前記回収表面を所定の温度まで冷却する強制冷却手段を備えることができる。回収表面を強制冷却手段により冷却することにより、付着したカーボンナノチューブを冷却するとともに、回収表面からの剥離を容易とすることができる。
特に、前記強制冷却手段は、前記回収表面と熱伝導可能な部位に供給される冷媒を備えることができる。冷媒を備えるといった簡易な構成により、前記冷却効果を容易に高い効果にて得ることができる。
また、本発明の他の側面として、前記回収体を使用することを特徴とする、アーク放電に基づくカーボンナノチューブ製造方法を提供する。本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、反応容器内において典型的には水平に対向して一対の電極をその隙間がほぼ水平方向に形成されるように配置し、該電極間にアーク放電を発生させる。これにより、該電極からカーボンを蒸発させるとともに、前記電極間の隙間を下から上の一方向に雰囲気ガスを通過させる。そして、前記電極間の隙間の上方において前記蒸発したカーボンからなるカーボンナノチューブを付着させ得る回収表面を備える回収体を設け、前記電極間から雰囲気スとともに上昇してくる前記カーボンからなるカーボンナノチューブを前記回収表面に付着させ、該回収表面を連続的又は断続的に更新することを特徴とする。
かかる構成のカーボンナノチューブの製造方法によれば、電極間の隙間の上方において容易に高い収率でカーボンナノチューブを回収することができる。本製造方法は、好適にはここで開示されるいずれかのカーボンナノチューブ製造装置で実施することができる。
好ましくは、前記雰囲気ガスとして、水素ガス及び窒素ガスを含む混合ガスを使用する。この組成の混合ガスによって、アーク放電を安定化するとともに、単層カーボンナノチューブの生成速度を向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、一対の電極、ガス供給手段及び回収体の構成等)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の装置では、アーク放電によって陽極からカーボンを蒸発させて、得られた単層カーボンナノチューブを回収体にて捕捉することができればよく、種々の材料及び構成をその目的のために適用することができる。なお、ここで開示された製造装置は単層カーボンナノチューブの製造に適する装置であるが、多層カーボンナノチューブの製造に使用することを制限するものではない。
次に、本発明の具体的な一実施形態に係る単層カーボンナノチューブの製造装置について図面を参照して説明する。
図1に単層カーボンナノチューブ製造装置1の一構成例を示す。この装置1は、大まかに言って、反応容器3と、一対の電極13,15と、ガス供給手段7と、単層カーボンナノチューブ回収体9と、排出部11とから構成される。
反応容器3は、密閉可能な耐圧容器であり、例えば、ステンレスにより構成されている。
一対の電極13,15は、陽極13及び陰極15がいずれもスティック状に形成され、反応容器3においていずれもその中心軸を水平にして、互いに対向して配置されている。尚、各電極13,15の形状はスティック状に限られず、互いに対向する面があればよい。従って、電極は、いずれもタブレット状であってもよい。陽極13と陰極15の隙間のサイズは特に限定されないが、例えば、アーク放電による単層カーボンナノチューブ発生効率が高い0.1〜10mm、特に0.5〜5mm程度が好適である。尚、図1では、陽極13と陰極15とがいずれも水平に配置されているが、陽極13と陰極15の隙間がほぼ水平方向に形成されていればよい。従って、鋭角配置、例えば、図2に示すように、陽極13aと陰極15aとが真横から見て略ハの字型に傾斜して配置されていてもよい。また、逆に、図3に示すように、陽極13bと陰極15bとが真横から見て略V字型に配置されていてもよい。この場合に陽極と陰極とがなす角度は90°以下、例えば5〜75°とすることができる。陽極13及び陰極15には、陽極13と陰極15の間にアーク放電を発生し得る電圧を印加可能な直流電源23が接続されている。尚、ここでは電源を直流としているが、交流電源とすることもできる。
なお、単層カーボンナノチューブの回収率向上の観点から、使用する一対の電極の対向方向は上述のように水平方向が好ましいが、対向する一対の電極を例えば垂直方向(この場合には典型的には電極間の隙間が水平方向に形成されない。)に配置した場合であっても、本製造装置1によって単層カーボンナノチューブを製造することは可能である。
陽極13は、耐熱性導電材料であって、アーク放電によってカーボンを蒸発可能な材料から構成される。例えば、種々の炭素材料が挙げられるが、特にグラファイトが好ましい。特に、グラファイトに単層カーボンナノチューブ合成用触媒、例えば、鉄、ニッケル、又はコバルト等を含有させたものが好適である。このような陽極13は、例えば、グラファイト粉末に触媒粉末(例えば鉄粉末)を配合して圧粉成形することにより得ることができる。陽極13における陰極15の対向面(先端部)17とは反対側の端部(基部)19には、ソレノイド22が接続されている。即ち、ソレノイド22は図示しない電極保持部に保持された陽極13(電極保持部)を水平方向(即ち、陰極15の対向面(先端部)25方向、特に図1においては左方向)に移動可能としている。従って、カーボン蒸発による陽極13の消耗に伴い、陽極13を移動させて、両電極13,15間の隙間を一定に保持することができる。また、陰極15にはモータ21が接続されている。このモータ21は、図示しない電極保持部に保持された陰極15をその長軸に対して回転可能に設置されている。
陽極13の消耗量は、センサーを取り付けて検知してもよく、或いは、印加電圧による消耗量を予め設定して、所定距離移動させてもよい。尚、ソレノイド22やモータ21を使用せずに、電極13,15の水平移動及び/又は回転を手動で行ってもよい。即ち、例えば、陽極又は陽極側の電極保持部にスティック状の移動回転手段を設けておき、その一端を容器外に配置するとともに、該一端を手動によって操作し、陽極或いは陰極を水平移動及び回転させるものであってもよい。
陰極15は、耐熱性導電材料からなり、例えば、炭素、又は銅等の金属材料を用いることができる。また、電源を交流とした場合には、前記陽極13と同様に炭素(特にグラファイト)に単層カーボンナノチューブ合成用触媒を含有させたものが好ましい。尚、電極の移動及び回転手段としてのソレノイド22及びモータ21の設置場所は図1に示す態様に限られず、陽極13側及び陰極15側のいずれにモータ、ソレノイド又は手動用の移動回転手段を設けてもよい。
ガス供給手段7は、反応容器3内に雰囲気ガスを供給する。本実施形態に係るガス供給手段7は、雰囲気ガス供給用のボンベ(雰囲気ガスとして複数種類のガスの混合気体が用いられる場合には複数のボンベ。図1では2個のボンベ27A,27B)を有し、それぞれバルブ29A,29Bの開閉によって反応容器3の一部(ここでは底面30)に設けられたガス供給口31から所定量の雰囲気ガスを反応容器3内に導入することができる。ここで、本実施形態では、HとNとの混合ガスを雰囲気ガスとして使用しているため、Hボンベ27A、Nボンベ27Bにそれぞれ連通するバルブ29A,29Bを適宜開閉調節することにより、所定の組成比の雰囲気ガス(H/N)を導入する。ガス供給口31は、その先端33がノズル状に形成され、陽極13と陰極15との対向面17,25の隙間に向かって配置されている。この構成により、雰囲気ガスは、ガス供給口31から電極13,15間の隙間に向けて噴出される。ここで、雰囲気ガスとしては、水素ガスを含む混合ガスが適用可能であり、特に制限されない。例えば、水素ガスと不活性ガス、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、又はキセノンガスとの混合ガスが挙げられる。本実施形態のように、水素ガスと窒素ガスとの混合ガス、又は水素ガスとアルゴンガスとの混合ガス、特に水素ガスと窒素ガスとの混合ガスが安価でかつ単層カーボンナノチューブの製造効率が向上するために好ましい。
単層カーボンナノチューブ回収体9は、内空部35を有する略半球状であって、反応容器3の上方に設けられている。単層カーボンナノチューブ回収体9は、電極13,15側に向かって突出し、その曲面を回収表面37とし、電極13,15間から吹き上げられた単層カーボンナノチューブを接触させ、付着している。従って、回収表面37は、平滑な金属面、例えばステンレス製であることが、単層カーボンナノチューブをそのファンデルワールス力によって付着させ易いため、好ましい。好ましい態様において、単層カーボンナノチューブ回収体9の内空部35には、強制冷却手段として冷媒供給管41及び冷媒排出管43が接続されており、冷媒を循環可能に構成されている。冷媒としては、特に限定されないが、例えば液体窒素や冷却水が挙げられ、特にこのうち液体窒素が冷却効果に優れるために好ましい。尚、回収体9の形状は略半球状に限定されず、吹き上げられた単層カーボンナノチューブが付着可能な形状の回収表面を有していればよい。従って、例えば、板状、筒状、球状又はシート状であってもよい。
ここで、単層カーボンナノチューブ回収体9は、回収表面37を更新可能な移動機構を更に設けることができる。例えば、図4に示す単層カーボンナノチューブ回収体91は、冷媒供給管94及び冷媒排出管95を備えた内空の略半円筒状の回収体本体部96の側面に、回収表面を構成するベルト92が巻回されている。本体部96には、例えばローラ93等のベルト回転手段が設けられており、このローラ93を本体部96に接続されたモータ98により作動させることにより、本体部96の側面に対して回収表面ベルト92を回転させ、単層カーボンナノチューブが付着した回収表面ベルト92を所定時間毎に(即ち、連続的に、又は断続的に)更新することができる。回収表面ベルト92は、その一部又は全面に単層カーボンナノチューブが付着した後、反応容器3前面に開閉可能に設けられた図示しない蓋部を開いて取り出し、単層カーボンナノチューブを得るとともに、新しい回収表面ベルト(又は単層カーボンナノチューブを剥離した回収表面ベルト)に更新することができる。
排出部11は、単層カーボンナノチューブ回収体9の回収表面37よりも反応容器3の上方であって、反応容器3の側面4外方にガス流通可能に附設されている。即ち、排出部11は、反応容器3側面4に設けられた排出口45に連通する補助回収部47と、油回転ポンプ等の真空ポンプ49とが順次連結されて構成されている。反応容器3内に導入された雰囲気ガスは、排出口45から真空ポンプ49によって吸引されることにより排出される。排出部11により反応容器3内のガスを吸引することにより、反応容器3内の雰囲気ガス圧を調整することができる。補助回収部47には、フィルター51が、例えば、1〜10枚、特に3〜7枚、図1においては5枚、雰囲気ガスの流路に配置されており、単層カーボンナノチューブ回収体9によって回収されなかった単層カーボンナノチューブを雰囲気ガスの通過とともに捕捉可能に構成されている。尚、補助回収部47には、フィルター51に限られず、ガスが流通可能であって単層カーボンナノチューブ含有生成物が通過できないいずれのものを配置してもよい。例えば、ネットでもよい。
尚、前記直流電源23並びにモータ21及びソレノイド22(及び所望により回収表面の移動機構におけるモータ98)は、所定のプログラム又はマニュアル操作に基づいて動作する制御機構53からの制御指令が入力される入出力回路55に接続され、電圧印加による陽極13の移動及び回転(及び所望により回収表面の移動)を制御可能にされている。従って、陽極13及び陰極15間に印加された電圧からアーク放電状態を制御機構53で演算し、アーク放電で発生した単層カーボンナノチューブ含有生成物の成長に応じて陽極13の移動、回転(及び、所望により回収表面の移動)を調整する制御信号を入出力回路55からモータ21及びソレノイド22(及び所望によりモータ98)に出力することができる。このようにすると、安定条件下でのアーク放電が可能となり、品質の揃った(及び所望により均一に広く分散した薄層の)単層カーボンナノチューブ含有生成物を得ることができる。
次に、このような製造装置1を用いて、単層カーボンナノチューブを製造する方法を説明する。まず、陽極13及び陰極15を用意し、所定間隔に設定して反応容器3内の図示しない電極保持部に配置する。そして、容器3に設けられた排気管6のバルブ6aを開け、当該排気管6に接続する真空ポンプ5を作動させて、反応容器3内を排気・減圧する。容器3内の圧力が減圧され、例えば13〜1.3×10−3Pa程度の高真空になったら、バルブ6aを閉め、その後、ガス供給手段7により雰囲気ガスを導入する。雰囲気ガスとしては、例えば体積混合比が20:80〜80:20の範囲で水素と窒素とをそれぞれ水素ガスボンベ27A及び窒素ガスボンベ27Bから各バルブ29A,29Bの調整により導入する。例えば、真空ポンプ49とガス供給手段7により、反応容器3内における水素ガスを1.3×104Pa及び窒素ガスを1.3×104Paに調整する。
そして、鉄(0.5〜5モル%)を含む陽極13と陰極15間に電圧を印加し、直流電源23から電流(例えば、30〜70A)を供給する。この結果発生したアーク放電によるアーク熱で、陽極13からカーボンが蒸発する。電圧は、所望のカーボン蒸発速度に応じて適宜選択されるが、例えば、20〜40V程度である。また、印加された電圧から、アーク放電状態を制御機構53で演算し、アーク放電で蒸発したカーボンの消耗に応じて制御信号を入出力回路55からモータ21及びソレノイド22に出力し、陽極13の移動、回転を作動させる。
蒸発したカーボンは、電極間の隙間でアーク熱と触媒作用により単層カーボンナノチューブを含む生成物60を形成する。この生成物60は、供給された雰囲気ガスの気流によって反応容器3の上方へ吹き上がる。そして、回収体9の回収表面37にそのほとんど(好ましくは製造された生成物のおよそ70質量%以上、特に90質量%以上)が付着する。そこに含まれている単層カーボンナノチューブの割合は70モル%以上である。
回収表面37に付着した単層カーボンナノチューブ含有生成物60は、本装置を作動して単層カーボンナノチューブを所定量堆積させた後に、反応容器3前面に開閉可能に設けられた図示しない蓋部を開いて回収体9を取り出すことにより回収される。あるいは、その蓋部を開いて例えばピンセット等で回収表面37から剥離して取り出してもよい。本装置によると、単層カーボンナノチューブ含有生成物60は、回収表面37全面に広く均一に分散して付着しているため、ピンセットでも容易に取り出すことができる。
通常、このようにして得られた生成物には、単層カーボンナノチューブとともに、触媒、例えば鉄粉末及び不純物炭素が含まれている。これら触媒及び不純物炭素を低減する、即ち、生成物を精製する処理を行うことができる。この処理には、加熱処理及び酸処理を含むことができる。加熱処理としては、例えば、670〜720Kの温度で25〜35分間加熱し、生成物中の不純物炭素をCO又はCO等に酸化し、ガスとして除去するとともに触媒を酸化することができる。酸処理は、加熱処理の後、例えば、塩酸等で処理することにより、酸化された触媒を除去することができる。
本発明の製造装置及び/又は製造方法によれば、単層カーボンナノチューブを薄く均一に広がった状態で得ることができる。このため、例えば、図5に示すように、単層カーボンナノチューブ80は、この状態を2枚のシート82,83の間に挟んで保持することができる。シート82,83としては、特に限定されないが、例えば、アルミホイル及びポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン等からなるフィルム(市販のラップ類)が好適である。特に、一方のシートをアルミホイル、他のシートをポリ塩化ビニリデン製ラップとすることにより、保形性が良好であるとともに内容物(即ち、単層カーボンナノチューブ)の状態を外側から観察することができるために好適である。
一方、回収表面37に付着しなかった単層カーボンナノチューブ含有生成物60は、排出部11から真空ポンプ49によって吸引される。そして、補助回収部47に設けられたフィルター51(例えば、HEPAフィルター)に捕捉される。この単層カーボンナノチューブ含有生成物は、補助回収部47の図示しない蓋部を開いてフィルター51を取り出すことにより回収することができる。または、その蓋部を開いて例えばピンセット等でフィルター51から剥離することができる。そして、フィルター51は、単層カーボンナノチューブ含有生成物を取り出した後、再び利用することができる。又はフィルターは、新しいフィルターに取り替えてもよい。この補助回収部47によって回収された単層カーボンナノチューブ含有生成物には、前記と同様に単層カーボンナノチューブ精製処理を行うことができる。
以上、本発明の好適な実施態様を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した態様を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば図6に示すような回収表面移動機構を備えてもよい。即ち、図に示すように、平滑な表面を有するアルミニウム箔から成る長尺なシート102(以下「アルミシート102」という。)を、誘導ロール103a,103bの回転により、供給ロール101から回転体110の表面110a(好ましくは液体窒素等によって冷却された状態の表面)に密着可能に連続供給する。供給されたアルミシート102は、当該表面110aを摺動しつつ誘導ロール103a,103bにより誘導されて回収ロール106に巻き取られて回収される。図から明らかなように、本態様ではアルミシート102が回転体110の連続的に更新する回収表面に相当する。かかる態様では、電極113,115間より供給された(上昇してきた)単層カーボンナノチューブ(図中の上向き矢印参照)を、回収体表面110aを摺動するアルミシート102によって連続的に捕捉することができる。そして、アルミシート102の一方の面(即ち回収表面)に層状に堆積した単層カーボンナノチューブ104を当該アルミシート102とともに回収ロール106に巻き取ることにより連続的に回収することができる。
このとき、別に用意した供給ロール108から誘導ロール107を介して、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン等からなる長尺シート(フィルム)105をアルミシート102の単層カーボンナノチューブ104堆積面側に連続的に供給してもよい。このことによって、図示するように、長尺シート(フィルム)105とアルミシート102との間に単層カーボンナノチューブ104が挟み込まれた三層構造の長尺物として、単層カーボンナノチューブ104を回収ロール106に連続的に回収することができる。
さらにまた、陽極113を保持する保持部120を、例えばレボルバー形式のような連続電極供給可能な機構(即ち、回転その他の可動機構によって移動可能な状態で複数の電極を複数の保持部にそれぞれ保持しておく形式)にしてもよい。こうすることにより、複数本の陽極113,113aの連続的供給が可能になる。このような陽極の連続的供給と、上述したような回収表面移動機構(図4、図6)の採用によって単層カーボンナノチューブの連続的且つ大量生産、さらには効率的な回収が可能になる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
一実施形態に係る単層カーボンナノチューブ製造装置の構成を示す模式図。 他の電極の配置例を示す説明図。 他の電極の配置例を示す説明図。 回収表面移動機構の一例を示す説明図。 単層カーボンナノチューブの保管形態を説明する模式図。 回収表面移動機構の一例を示す説明図。
符号の説明
1……単層カーボンナノチューブ製造装置
3……反応容器
7……ガス供給手段
9,91,110……単層カーボンナノチューブ回収体
11…排出部
13…陽極
15…陰極
23…電源
27A,27B…ボンベ
31…ガス供給口
37…回収表面
41…冷媒供給管
43…冷媒排出管
47…補助回収部
49…真空ポンプ
51…フィルター
92…ベルト(可動式回収表面)
101,108…供給ロール
102…アルミシート(可動式回収表面)
106…回収ロール

Claims (4)

  1. アーク放電によって得られたカーボンナノチューブであって該アーク放電を発生させる電極間から雰囲気ガスの気流とともに吹き上げられたカーボンナノチューブを該雰囲気ガス中から捕捉するために構成されたカーボンナノチューブ回収体であって、
    前記雰囲気ガス中のカーボンナノチューブをファンデルワールス力によって付着させる平滑な金属面からなる回収表面を構成するベルト又はシートを有しており、
    連続的又は断続的に前記回収表面を更新させ得る回収表面移動機構を備える、回収体。
  2. 前記回収表面を構成するベルトと該ベルトを回転させるベルト回転手段とを備えており、該回収表面ベルトを連続的に又は断続的に更新させ得る、請求項1に記載の回収体。
  3. 前記回収表面を構成する長尺なシート
    前記シートが密着可能に連続供給される表面を有する回転体と、
    前記シートを前記回転体表面に供給する供給ロールと、
    前記回転体表面に供給された前記シートを巻き取り回収する回収ロールと、
    を備える、請求項1に記載の回収体。
  4. 前記回収表面は前記電極側に向かって突出する曲面を構成する、請求項1〜3のいずれかに記載の回収体。
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