JP2005343788A - 単層カーボンナノチューブの製造装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 単層カーボンナノチューブの製造装置(1)は、反応容器(3)内に、一対の電極(13,15)がその隙間をほぼ水平方向に対向して配置されている。また、ガス供給手段(7)が、電極間の隙間を下から上の一方向に雰囲気ガスが通過するように反応容器(3)内に雰囲気ガスを供給する。また、電極間の隙間の上方には、回収体(9)が設けられている。陽極(13)から蒸発したカーボンからなる単層カーボンナノチューブ含有生成物は、電極間の隙間の上方に雰囲気ガスにより吹き上げられて回収体(9)の回収表面(37)に付着して容易に、かつ高い収率で回収される。
【選択図】 図1
Description
このうち特に、アーク放電法は、欠陥が少なく品質の良い単層カーボンナノチューブが得られる点で優れている。アーク放電法は、少なくとも陽極に炭素を含有する一対の電極間にアーク放電を起こすことにより、陽極からカーボンを蒸発させ、蜘蛛の巣状に単層カーボンナノチューブを含有する生成物を得ることができる。しかしながら、アーク放電法により得られる単層カーボンナノチューブは、収率がCVD法に比べて低い。このため、量産化可能な方法が種々開発されている。例えば、特許文献1には、電極に所定の触媒を含有させることにより、単層カーボンナノチューブを含有する生成物中における単層カーボンナノチューブ含有率を向上させる方法が開示されている。
そこで本発明は、かかる従来の課題を解決すべく開発されたものであり、回収効率を向上し得る単層カーボンナノチューブの製造装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の装置では、アーク放電によって陽極からカーボンを蒸発させて、得られた単層カーボンナノチューブを回収体にて捕捉することができればよく、種々の材料及び構成をその目的のために適用することができる。なお、ここで開示された製造装置は単層カーボンナノチューブの製造に適する装置であるが、多層カーボンナノチューブの製造に使用することを制限するものではない。
図1に単層カーボンナノチューブ製造装置1の一構成例を示す。この装置1は、大まかに言って、反応容器3と、一対の電極13,15と、ガス供給手段7と、単層カーボンナノチューブ回収体9と、排出部11とから構成される。
一対の電極13,15は、陽極13及び陰極15がいずれもスティック状に形成され、反応容器3においていずれもその中心軸を水平にして、互いに対向して配置されている。尚、各電極13,15の形状はスティック状に限られず、互いに対向する面があればよい。従って、電極は、いずれもタブレット状であってもよい。陽極13と陰極15の隙間のサイズは特に限定されないが、例えば、アーク放電による単層カーボンナノチューブ発生効率が高い0.1〜10mm、特に0.5〜5mm程度が好適である。尚、図1では、陽極13と陰極15とがいずれも水平に配置されているが、陽極13と陰極15の隙間がほぼ水平方向に形成されていればよい。従って、鋭角配置、例えば、図2に示すように、陽極13aと陰極15aとが真横から見て略ハの字型に傾斜して配置されていてもよい。また、逆に、図3に示すように、陽極13bと陰極15bとが真横から見て略V字型に配置されていてもよい。この場合に陽極と陰極とがなす角度は90°以下、例えば5〜75°とすることができる。陽極13及び陰極15には、陽極13と陰極15の間にアーク放電を発生し得る電圧を印加可能な直流電源23が接続されている。尚、ここでは電源を直流としているが、交流電源とすることもできる。
なお、単層カーボンナノチューブの回収率向上の観点から、使用する一対の電極の対向方向は上述のように水平方向が好ましいが、対向する一対の電極を例えば垂直方向(この場合には典型的には電極間の隙間が水平方向に形成されない。)に配置した場合であっても、本製造装置1によって単層カーボンナノチューブを製造することは可能である。
陽極13の消耗量は、センサーを取り付けて検知してもよく、或いは、印加電圧による消耗量を予め設定して、所定距離移動させてもよい。尚、ソレノイド22やモータ21を使用せずに、電極13,15の水平移動及び/又は回転を手動で行ってもよい。即ち、例えば、陽極又は陽極側の電極保持部にスティック状の移動回転手段を設けておき、その一端を容器外に配置するとともに、該一端を手動によって操作し、陽極或いは陰極を水平移動及び回転させるものであってもよい。
例えば図6に示すような回収表面移動機構を備えてもよい。即ち、図に示すように、平滑な表面を有するアルミニウム箔から成る長尺なシート102(以下「アルミシート102」という。)を、誘導ロール103a,103bの回転により、供給ロール101から回転体110の表面110a(好ましくは液体窒素等によって冷却された状態の表面)に密着可能に連続供給する。供給されたアルミシート102は、当該表面110aを摺動しつつ誘導ロール103a,103bにより誘導されて回収ロール106に巻き取られて回収される。図から明らかなように、本態様ではアルミシート102が回転体110の連続的に更新する回収表面に相当する。かかる態様では、電極113,115間より供給された(上昇してきた)単層カーボンナノチューブ(図中の上向き矢印参照)を、回収体表面110aを摺動するアルミシート102によって連続的に捕捉することができる。そして、アルミシート102の一方の面(即ち回収表面)に層状に堆積した単層カーボンナノチューブ104を当該アルミシート102とともに回収ロール106に巻き取ることにより連続的に回収することができる。
このとき、別に用意した供給ロール108から誘導ロール107を介して、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン等からなる長尺シート(フィルム)105をアルミシート102の単層カーボンナノチューブ104堆積面側に連続的に供給してもよい。このことによって、図示するように、長尺シート(フィルム)105とアルミシート102との間に単層カーボンナノチューブ104が挟み込まれた三層構造の長尺物として、単層カーボンナノチューブ104を回収ロール106に連続的に回収することができる。
さらにまた、陽極113を保持する保持部120を、例えばレボルバー形式のような連続電極供給可能な機構(即ち、回転その他の可動機構によって移動可能な状態で複数の電極を複数の保持部にそれぞれ保持しておく形式)にしてもよい。こうすることにより、複数本の陽極113,113aの連続的供給が可能になる。このような陽極の連続的供給と、上述したような回収表面移動機構(図4、図6)の採用によって単層カーボンナノチューブの連続的且つ大量生産、さらには効率的な回収が可能になる。
3……反応容器
7……ガス供給手段
9,91,110……単層カーボンナノチューブ回収体
11…排出部
13…陽極
15…陰極
23…電源
27A,27B…ボンベ
31…ガス供給口
37…回収表面
41…冷媒供給管
43…冷媒排出管
47…補助回収部
49…真空ポンプ
51…フィルター
92…ベルト(可動式回収表面)
101,108…供給ロール
102…アルミシート(可動式回収表面)
106…回収ロール
Claims (7)
- 雰囲気ガス中の単層カーボンナノチューブを回収し得る回収体であって、
単層カーボンナノチューブを付着させ得る回収表面を有しており、
該回収表面を所定の温度まで冷却する強制冷却手段を備える、回収体。 - 前記強制冷却手段は、前記回収表面と熱伝導可能な部位に供給される冷媒を備える、請求項1に記載の回収体。
- 強制冷却手段として冷媒供給管及び冷媒排出管が接続されており、冷媒を循環可能に構成された内空部を有する、請求項2に記載の回収体。
- 前記回収表面は平滑な金属面で形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の回収体。
- 雰囲気ガス中の単層カーボンナノチューブを回収し得る回収体であって、
単層カーボンナノチューブを付着させ得る回収表面を有しており、
連続的に前記回収表面を更新させ得る回収表面移動機構を備える、回収体。 - 前記回収表面を構成するベルトと該ベルトを回転させるベルト回転手段とを備えており、該回収表面ベルトを連続的に又は断続的に更新させ得る、請求項5に記載の回収体。
- 雰囲気ガス中の単層カーボンナノチューブを回収し得る回収体であって、
単層カーボンナノチューブを捕捉する長尺なシートと、
前記シートが密着可能に連続供給される表面を有する回転体と、
前記シートを前記回転体表面に供給する供給ロールと、
前記回転体表面に供給された前記シートを巻き取り回収する回収ロールと、
を備える、回収体。
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