ところが、その後も本出願人が鋭意研究を重ねた結果、上記公知発明の構成では未だ下記諸問題のあることが判明した。
即ち、第1に左右一対のヒーターユニット(20)がヒーターハウジング(2)と耐熱ガラスユニット(30)とからなる二重構造として、しかもヒーター(21)の垂直に配列された2本づつとして、調理網(10)の左右両端部へ退避する如く偏倚されており、その調理網(10)の真下(中央部)が極めて大きな調理室(5H)に形作られている。
しかも、その調理網(10)の左右両端部と両ヒーターユニット(20)との上下相互間には、仕切り板(図示符号なし)が介在しているほか、同じく調理網(10)の下面にはヒーター(21)からの放射光や放射熱を遮ぎる平行な複数本の遮熱板(13)(14)が取り付けられてもいる。
そのため、左右一対の送風管(3)を通じて下方から送風することにより、調理室(5H)に対流熱を起生させたとしても、調理網(10)の中央部や左右両端部に載置された食品(10A)をすばやく均等に焼成することが難かしく、加熱温度ムラを生じることは必至である。両送風管(3)と接続使用する特別の送風装置(図示省略)も必要となる。
第2に、ヒーターハウジング(2)と耐熱ガラスユニット(30)並びに耐熱ガラス板(31)が、着脱自在に組み立てられた構成として、特に耐熱ガラス板(31)を耐熱ガラスユニット(30)の金具(39)(40)へ、上方から通し込みスライドさせるようになっているため、その着脱作業上耐熱ガラス板(31)を誤って損傷してしまうおそれがある。
第3に、上記公知発明では食品(10A)からの飛散物が、ヒーターハウジング(2)内に浸入しない旨として説明されているけれども、耐熱ガラスユニット(30)の前向き開口部(30A)に対して、耐熱ガラス板(31)が上向き開口部(33)を形成する状態に取り付けられており、しかも調理網(10)の左右両端部と両ヒーターハウジング(2)との上下相互間には、一定の間隙が生成されている。他方、調理網(10)としても多数の開口(12)が全体的なほぼ均一に分布する単純な金網状態をなしているに過ぎない。
そのため、たとえ調理網(10)の下面へ上記仕切り板や遮熱板(13)(14)を取り付けたとしても、又たとえ送風管(3)から熱風を放射させたとしても、食品(10A)から滴下するオイルミストやその他の飛散物がヒーターハウジング(2)内へ浸入するおそれを、完全に予防することは到底不可能であり、ランプのバルブ材質が石英ガラスであることとも相俟って、その失透白濁を起生することになる。
第4に、調理網(10)は多数の開口(12)を備えた単純なステンレス鋼板(11)又はステンレス鋼線から編組された金網であるため、これに付着した食品(10A)の煮汁や油脂分などを一定の方向へ、積極的に流下させることができず、必らずや下面の遮熱板(13)(14)に何時までも残溜・堆積することとなり、油切り効果も悪い。その結果、調理網(10)の頻繁な交換による調理の中断を余儀なくされるのである。
本発明はこのような諸問題の抜本的な解決を企図しており、その目的を達成するために、請求項1の電熱式ロースターでは底面の中央部に排煙下引き用ダンパー接続口が開口する一定深さの断面ほぼU字型として、左右方向への細長い直方体に造形された飾り枠と、
その飾り枠における前後両面の上側から相反する左右方向へ部分的に張り出す延長耳片同志の前後相互間に渡って、平面視の向かい合うコ字型に嵌め付け一体化されたヒーターユニット押え金物用受け枠の左右一対と、
同じく飾り枠における上記前後両面の延長耳片よりも低い左右両側面の開口上縁部から各々外向きに曲げ出された一対の水平なヒーターユニット受け枕へ、上方から一定間隔を保つ並列状態に載置されたヒーターユニットの前後一対と、
その両ヒーターユニットの下側に臨む断面U字型として、上記飾り枠における左右両側面の何れか片方から飾り枠内へ抜き差し自在に差し込み設置された水槽と、
その水槽の下側に位置する断面U字型として、やはり飾り枠における左右両側面の同じ片方から飾り枠内へ抜き差し自在に差し込み設置されることにより、その底面中央部のドレン口が上記飾り枠のダンパー接続口と合致連通することになるドレンパンと、
下段垂直面の差込み脚板に下方から前後一対のヒーターユニット逃し入れ凹溝が切り欠かれた2階段型として、上記ヒーターユニット押え金物用受け枠へ上方から各々載置されることにより、その差込み脚板が上記ヒーターユニットの両端部を跨ぐ状態に押え付け拘束するヒーターユニット押え金物の左右一対と、
そのヒーターユニット押え金物のヒーターユニット逃し入れ凹溝と対応合致するヒーターユニット逃し入れ凹溝の1個が下方から切り欠かれた断面ほぼ倒立L字状の側壁板と、その側壁板の左右一対が両端部に各々溶接された断面ほぼ倒立J字状の仕切り壁板とから、上記飾り枠内の周囲を縁取る平面視の向かい合うU字型として、飾り枠内へ上方から上記ヒーターユニット押え金物の左右相互間を跨ぐ横架状態に各々差し込まれることにより、その側壁板が上記ヒーターユニットの両端部を各々ヒーターユニット押え金物との重畳的に押え付け拘束する吸気金物の前後一対と、
上記ヒーターユニットの前後一対へ跨がり載置し得る平面視のほぼ長方形な鋳鉄製品として、その盤面に上記ヒーターユニットと対応位置する前後一対の平行な盲帯域と、これにより仕切り区分された多数の目孔とが造形された食材の焼き上げ用ロストルとを備え、
上記ヒーターユニットの前後一対を各々上下一対のカーボンランプヒーターと、これらを内蔵できるチャンネル溝型のヒーターハウジングと、そのヒーターハウジングの垂直な開口片面を施蓋する耐熱ガラス板と、同じくヒーターハウジングの両端木口面を閉塞する左右一対のエンドカバーとから、左右方向への細長い直方体として組立一体化すると共に、
上記ロストルを飾り枠の上方から、その盲帯域が上記ヒーターユニットのヒーターハウジングと密着する接地状態に差し込み使用して、
ヒーターユニットの上側カーボンランプヒーターから上記ロストルの盲帯域に向かって上方へ放射される光熱と、同じくヒーターユニットの下側カーボンランプヒーターから耐熱ガラス板を透過しつつ、上記ロストルの中央部に向かって斜め上方又は横方向へ放射される光熱との相乗作用により、そのロストル上の食材を焼き上げ調理するように定めたことを特徴とする。
請求項2の電熱式ロースターでは、ヒーターユニットのヒーターハウジングから張り出すカーボンランプヒーターの両端部へ、その上下一対のカーボンランプヒーターに共通する倒立L字型支持脚の左右一対を各々組み付け一体化し、
その支持脚の垂直な下端部を各々飾り枠への差込み爪として、上記ヒーターハウジングの下面よりも下方へ張り出し延長させる一方、
飾り枠に付属しているヒーターユニット押え金物用受け枠の中間部から、その飾り枠のヒーターユニット受け枕とほぼ同じ設置高さに整合するヒーターユニット受け床を、各々内向きL字型に折り曲げて、そのヒーターユニット受け床の水平面に上記支持脚の差込み爪と対応位置する爪受け入れスリットの前後一対づつを切り抜くと共に、
上記飾り枠のヒーターユニット受け枕からヒーターユニット位置決め用コーナーアングルの前後一対づつを、平面視の対称なL字型として各々上向きに切り起し、
上記支持脚の差込み爪をヒーターユニット受け床の爪受け入れスリットへ各々上方から差し込めば、そのヒーターユニットのヒーターハウジングが上記ヒーターユニット受け枕のコーナーアングルにより受け止め規制されて、一定間隔を保つ平行状態となるように定めたことを特徴とする。
又、請求項3の電熱式ロースターでは、ヒーターユニット押え金物における差込み脚板の両端部へ、前後一対づつの吸気孔を開口形成し、
吸気金物における仕切り壁板の水平面に多数の上面吸気孔を開口分布させる一方、上記吸気金物における両側壁板の水平面に前後一対づつの上面吸気孔と、同じく両側壁板の垂直面に上下一対づつの側面吸気孔とを各々開口分布させ、
上記ヒーターユニット押え金物の下段水平面と吸気金物の両側壁板とが向かい合う上下相互間を、排煙用第1吸気流路の左右一対として区成し、
上記吸気金物の仕切り壁板と飾り枠の前後両面とが向かい合う相互間を、排煙用第2吸気流路の前後一対として区成し、その飾り枠内の縁取り状態にある第1、2吸気流路を上記両側壁板の上段側面吸気孔により連通させると共に、
同じく両側壁板の下段側面吸気孔を上記ヒーターユニット押え金物の吸気孔と合致連通させることにより、
食材の焼き上げ調理中に発生する煙や油滴を、上記吸気金物の上面吸気孔やヒーターユニット押え金物の吸気孔から第1、2吸気流路へ吸い込み、ドレンパンのドレン口に向かって下引き誘導させるように定めたことを特徴とする。
請求項4の電熱式ロースターでは、吸気金物における仕切り壁板の垂直な下端部を油切り片として、水槽の開口縁部と係合する斜め内向き進入状態に折り曲げることにより、食材の焼き上げ調理中にロストルから落下する煮汁や油脂分を、上記水槽内へ受け溜める一方、
ドレンパンの開口幅を上記水槽のそれよりも広幅として、その底面中央部のドレン口へグリスフィルターを載置させることにより、上記吸気金物から飾り枠内へ吸い込まれた油滴を濾過すると共に、
上記ドレンパンのドレン口と合致連通する飾り枠のダンパー接続口へ、温度ヒューズ付きのファイアーボリュームダンパーを接続一体化したことを特徴とする。
請求項5の電熱式ロースターでは、ヒーターユニットの前後相互間へ上方から抜き差し可能な一定幅と、ヒーターユニット押え金物の左右相互間へ上方から抜き差し可能な一定長さと、ヒーターユニット受け枕の設置高さから水槽内への部分的に進入し得る一定深さとを備えた樋型の煮汁受け皿を、
その左右両端部から垂立する一対の吊り下げハンガーによって、吸気金物の上面から吊り下げたことを特徴とする。
更に、請求項6の電熱式ロースターでは、食材の焼き上げ用ロストルをホーロー仕上げ処理された鋳鉄製品として、
その上面が多数の平行な横リブにより長手中心線上での最も背高い凸曲面をなし、その横リブとこれよりも低く陥没した多数の縦リブとから、多数の目孔を格子状態に開口分布させ、
ヒーターユニットと対応位置する前後一対の平行な盲帯域を縦リブと同じく、上記横リブよりもやはり低い陥没状態として列設することより、上記目孔を中央部の目孔と前後両端部の目孔に仕切り区分すると共に、
上記盲帯域から各々下向き部分的に張り出す帯状接地座のフラットな下面を、上記ヒーターユニットのヒーターハウジングへ直かに密着させて、そのカーボンランプヒーターからの熱伝導を受けることにより、シーズヒーターとして機能し得るように定めたことを特徴とする。
請求項7の電熱式ロースターでは、上記ロストルにおける帯状接地座の前後両端部から、前後一対のヒーターユニットを挟み得る位置決めストッパーの一対を各々下向きに突設して、その位置決めストッパーを上記ヒーターユニットのヒーターハウジングへ、上方から抜き差し自在に差し込み係止させるように定めたことを特徴とする。
又、請求項8の電熱式ロースターでは、上記ロストルにおける盲帯域の上面を横リブの隣り合う相互間に区成される凹溝面として、食材の焼き上げ調理中に発生する煮汁や油脂分を、その凹溝面と横リブとの凸曲面に沿い前後両端部へ振り分け流下させると共に、
その凸曲面の前後両端部から一対の平行な煮汁受け止めフランジを上向きに突設して、これにより一旦受け止めた煮汁や油脂分を、前後両端部の目孔から自づと落下させるように定めたことを特徴とする。
請求項1の構成によれば、前後一対の並列設置状態にあるヒーターユニットのカーボンランプヒーターから、就中その下側カーボンランプヒーターから耐熱ガラス板を透過して、ロストルの中央部に開口分布する目孔へ、光熱(輻射熱)が集中的に放射されることとなり、その結果ロストル上の食材を中芯まで軟らかく焼き上げることができ、炭火での加熱と同じ優れた食味効果を得られる。
しかも、鋳鉄製品のロストルにはヒーターユニットと対応位置する前後一対の盲帯域が列設されており、その盲帯域がヒーターユニットのヒーターハウジングと密着した接地状態において、上側カーボンランプヒーターからの光熱を受けるようになっているため、そのシーズヒーターとしての働きも相伴って、ロストル上の食材全体を加熱温度ムラなく、効率良く均等に焼成できる効果がある。
又、ヒーターユニットは実質上気密状態のカートリッジとして、予じめ左右方向への細長い直方体に組立一体化されており、その耐熱ガラス板を着脱作業する必要がないため、これを誤って損傷するおそれはなく、そのヒーターハウジングの内部へ油滴(オイルミスト)やその他の飛散物が浸入したり、更にはカーボンランプヒーターの失透白濁を招来したりするおそれもない。
更に、食材の焼き上げ調理中に発生する煮汁や油脂分、炭化した破片は、上記ロストルの盲帯域を介して仕切り区分された中央部の目孔と前後両端部の目孔から、ヒーターユニットを避ける如く落下して、水槽の内部へ受け入れ捕集されることとなり、これらが何時までもロストルに溜まったり、ヒーターユニットへ付着したりするおそれはないため、そのロストルの交換による調理の中断を余儀なくされることもない。
特に、請求項2の構成を採用するならば、飾り枠のヒーターユニット押え金物用受け枠へ前後一対のヒーターユニットを、決して位置ズレ遊動しない安定な平行状態に差し込み固定することができ、延いてはヒーターユニット押え金物や吸気金物との正確な組立状態を得られる効果がある。
請求項3の構成を採用するならば、左右一対の排煙用第1吸気流路と前後一対の排煙用第2吸気流路とが、飾り枠内の周囲を縁取る連通状態として、ロストルの周囲に位置しているため、食材の焼き上げ調理中に発生する油滴(オイルミスト)や煙などの飛散物も、その第1、2吸気流路から飾り枠の内部へ自づと円滑に吸い込んで、ドレンパンのドレン口へ下引き誘導することができ、調理室内を快適な無煙状態に保てる効果がある。
請求項4の構成を採用するならば、食材の焼き上げ調理中にロストルから落下する煮汁や油脂分を、その下側に位置する水槽の内部へ確実に洩れなく受け入れ捕集することができる一方、油滴(オイルミスト)をグリスフィルターにより濾過した上、煙と併せてドレンパンやドレン口から排出することができ、温度ヒューズ付きファイアーボリュームダンパーの採用とも相俟って、安全性が向上する。
請求項5の構成を採用するならば、飾り枠の片側面から抜き差し操作される水槽が、万一調理室内の壁面へ衝当するような場合でも、特別の煮汁受け皿を上方から飾り枠の内部へ抜き差し自在に差し込んで、吸気金物の上面から吊り下げ使用することにより、その水槽と同じく食材の煮汁や油脂分、炭化した破片を確実に受け入れ捕集できる効果がある。
更に、請求項6の構成を採用するならば、食材焼き上げ用ロストルがホーロー仕上げ処理された鋳鉄製品であること、その上面が長手中心線上での最も背高い凸曲面をなすこと、多数の目孔がヒーターユニットと対応位置する前後一対の平行な盲帯域を介して、中央部の目孔と前後両端部の目孔に仕切り区分されていることにより、食材の煮汁や油脂分、炭化した破片がロストルに溜まったり、ヒーターユニットに付着したりすることも確実に防止でき、優れた油切り効果を得られるのである。
しかも、その前後一対の盲帯域から各々下向き部分的に張り出す帯状接地座のフラットな下面が、ヒーターユニットのヒーターハウジングへ直かに密着使用されるようになっているため、そのヒーターユニットのカーボンランプヒーターから熱伝導を受けて、シーズヒーター機能によりロストルを効率良く加熱することができ、カーボンランプヒーターからの輻射熱とも相俟って、食材の全体をすばやく均等に焼成し得る効果がある。
その場合、請求項7の構成を採用するならば、帯状接地座の前後両端部から各々下向きに突出する位置決めストッパーにより、前後一対のヒーターユニットを両側から挟む如く、そのロストルを安定・確固に載置使用することができ、不慮に位置ズレ遊動するおそれはない。
又、請求項8の構成を採用するならば、盲帯域の上面に区成された凹溝面も、横リブと同じ凸曲面をなすため、これに沿って煮汁や油脂分をロストルの前後両端部へ振り分け流下させることができ、その前後両端部に上向き突出する煮汁受け止めフランジとも相俟って、その振り分け流下した煮汁や油脂分を、前後両端部の目孔から水槽の内部へ自づと落下させ得る効果があり、やはりロストルに何時までも溜まるおそれがない。
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1はその電熱式ロースターの概略的な分解状態を、又図2〜14は同じく組立状態を各々示しており、(A)はスチール板から枠組み一体化された据付けキャビネットであって、メラミン化粧板などの天板(食卓板)(1)を具備している。
(2)(3)は上記据付けキャビネット(A)の前面開閉扉と側面開閉扉であり、その前面開閉扉(2)が後述するファイアーボリュームダンパーなどの保守点検用として、側面開閉扉(3)が後述する水槽やドレンパン、グリスフィルターの出し入れ用として、各々便利良く使われることになる。
(B)は上記天板(1)の中央部に嵌め付けられた飾り枠(コンロ)であり、ステンレス鋼板から前後両面(4)と左右両側面(5)並びに底面(6)を備えた一定深さの断面ほぼU字型として、左右方向への細長い直方体に造形されている。
更に詳しく言えば、飾り枠(B)の前後両面(4)と底面(6)とは連続1枚物のステンレス鋼板からU字型に折り曲げられており、しかもその前後両面(4)の上側だけが一対づつの延長耳片(4y)として、図15、16のような相反する左右方向へ部分的に張り出されている。(7)は同じく前後両面(4)の開口上縁部から外向きに曲げ出された一対の水平な化粧フランジであり、上記据付けキャビネット(A)の天板(1)へ被覆状態に係止されることとなる。
そして、上記延長耳片(4y)同志の前後相互間に渡っては、図15、16のような平面視のコ字型として向かい合う別個なステンレス鋼板から成るヒーターユニット押え金物用受け枠(C)の左右一対が、その前後両端部をなす垂直な脚片(8)での嵌め付け状態に溶接一体化されている。
(9)はそのヒーターユニット押え金物用受け枠(C)の垂直な脚片(8)から内向きに折り曲げられた前後一対の水平な支持片であって、上記飾り枠(B)における延長耳片(4y)の中途高さ位置に臨んでおり、その支持片(9)には後述する橋渡しベース板の差込み爪を受け入れる爪受け入れスリット(10)が各々切り抜かれている。
又、上記延長耳片(4y)同志の前後相互間に渡るヒーターユニット押え金物用受け枠(C)の中間部には、図17のような各々並列する複数(図例では合計3列)のリード線導出窓(11)が下方から切り欠かれており、これは後述のヒーターユニットにおけるカーボンランプヒーターのリード線を上記飾り枠(B)の内部から逃し出す配線用である。
(12)はその切り欠きとの相対的に残るリード線導出窓(11)同志の隣り合う相互間から、内向きL字型に各々折り曲げられたヒーターユニット受け床であり、その水平面には後述するヒーターユニットの差込み爪を受け入れる爪受け入れスリット(13)の前後一対づつが、一定間隔(d)を保って各々切り抜かれている。
(14)は同じくヒーターユニット押え金物用受け枠(C)の開口上縁部から内向きに折り曲げられた前後一対づつの水平な受け座であり、後述するヒーターユニット押え金物の水平な化粧フランジを受け止めて、上記飾り枠(B)の前後両面(4)から外向きに折り曲げられた化粧フランジ(7)との面一状態に保つ。
他方、上記飾り枠(B)の左右両側面(5)は別個独立のステンレス鋼板から成り、上記前後両面(4)の延長耳片(4y)よりも下側を被覆する状態として、その前後両面(4)へ各々溶接一体化されている。(15)はこのような左右両側面(5)の低い開口上縁部から各々外向きに曲げ出された一対の水平なヒーターユニット受け枕であって、上記ヒーターユニット押え金物用受け枠(C)におけるヒーターユニット受け床(12)の水平面とほぼ同じ設置高さ(H−H)に整合しており、そのヒーターユニット受け枕(15)からはヒーターユニット位置決め用コーナーアングル(16)の前後一対づつが、平面視の対称なL字型として上向きに切り起されている。
茲に、コーナーアングル(16)は上記ヒーターユニット押え金物用受け枠(C)のヒーターユニット受け床(12)に切り抜かれた爪受け入れスリット(13)とほぼ対応する位置関係にあり、その爪受け入れスリット(13)へ後述するヒーターユニットの差込み爪が差し込まれた時、ヒーターユニット受け枕(15)のコーナーアングル(16)がそのヒーターユニットにおけるヒーターハウジングの両端部を各々位置決め状態に受け止め規制するようになっている。
又、同じく飾り枠(B)を形作る左右両側面(5)のうち、その何れか片側面の中央部には水槽出し入れ口(17)とドレンパン出し入れ口(18)との上下一対が切り抜かれている。その場合、上側に位置する水槽出し入れ口(17)の開口幅は狭く、下側に位置するドレンパン出し入れ口(18)の開口幅は飾り枠(B)における前後両面(5)の間隔とほぼ同じ寸法として、水槽出し入れ口(17)よりも広く相違変化されている。
(19)は上記水槽出し入れ口(17)から飾り枠(B)の残る片側面まで平行に固定支架された前後一対の水平な水槽用スライドガイドレール、(20)はその水槽出し入れ口(17)からスライドガイドレール(19)に沿い抜き差し操作される水槽であって、ステンレス鋼板から上記水槽出し入れ口(17)と対応する深く狭幅な断面U字型に造形されており、後述のロストルから落下する煮汁や油脂分などを受け入れ捕集する。(21)はその水槽(20)の把手である。
(22)は上記ドレンパン出し入れ口(18)からやはり飾り枠(B)の残る片側面まで延長する長さとして、その飾り枠(B)の底面(6)から内向き一体的に突設された前後一対の平行なドレンパン用スライドガイドレール、(23)はそのドレンパン出し入れ口(18)からスライドガイドレール(22)に沿い抜き差し操作されるドレンパンであって、これもステンレス鋼板から上記ドレンパン出し入れ口(18)と対応する浅く広幅な断面U字型に造形されており、後述の第2吸気流路に沿い下引き誘導される油滴(オイルミスト)を受け入れ捕集する。(24)はそのドレンパン(23)の把手を示している。
更に、(25)は上記ドレンパン(23)の底面中央部に切り抜かれた円形のドレン口、(26)はそのドレン口(25)への施蓋状態に載置されたグリスフィルターであり、油滴(オイルミスト)の濾過作用を営なむ。(27)は上記ドレンパン(23)のドレン口(25)と合致連通する円形のダンパー接続口であって、上記飾り枠(B)における底面(6)の中央部に切り抜かれている。
そして、そのダンパー接続口(27)に接続されたファイアーボリュームダンパー(28)を、付属のハンドル(29)によって回動操作すれば、排煙風量を調整することができる。しかも、そのファイアーボリュームダンパー(28)には温度ヒューズ(30)が組み付け一体化されており、例えば約180℃の異常温度時に炎を遮断することもできるようになっている。尚、そのファイアーボリュームダンパー(28)へ更に接続配管されることとなる室外への排煙ダクトや排風機は、図示省略してある。
次に、(D)は上記飾り枠(B)を形作る左右両側面(5)の相互間に渡って、そのヒーターユニット受け枕(15)へ上方から載置される前後一対の平行なヒーターユニットであり、その各個が図18〜23に抽出して示す如く、炭素系物質の平板状焼結体を発熱体とするカーボンランプヒーター(31a)(31b)の2本(図例では760w×2本)と、ステンレス鋼板からカーボンランプヒーター(31a)(31b)を内蔵できるリップ(32)付きのチャンネル溝型に折り曲げられたヒーターハウジング(33)と、そのヒーターハウジング(33)の垂直な開口片面を施蓋する1枚の耐熱ガラス板(34)と、同じくヒーターハウジング(33)の両端木口面を閉塞する左右一対のエンドカバー(35)とから、実質上気密状態のカートリッジとして左右方向への細長い直方体に組立一体化されている。
更に詳しく説明すると、各ヒーターユニット(D)におけるヒーターハウジング(33)の両端木口面は、上下一対の内向き円弧凹欠(36a)(36b)を備えたステンレス鋼板の連続的なエンド折曲げ片(37)によって、何れも部分的に閉塞されており、上記2本のカーボンランプヒーター(31a)(31b)がその両エンド折曲げ片(37)の円弧凹欠(36a)(36b)に受け持たれた上下一対として、上記ヒーターハウジング(33)を貫通横断する水平な並列状態にある。
しかも、このようなヒーターハウジング(33)の両端木口面から上記耐熱ガラス板(34)を、その向かい合う上下一対のリップ(32)に沿ってスライド自在に差し込み係止させることができ、その耐熱ガラス板(34)の差し込み係止により、ヒーターハウジング(33)の垂直な開口片面が施蓋されるようになっている。
他方、上記エンドカバー(35)の左右一対はヒーターハウジング(33)と別個独立のステンレス鋼板から、そのヒーターハウジング(33)の上記エンド折曲げ片(37)とオーバーラップし得るように折り曲げられており、これにも上記円弧凹欠(36a)(36b)と対応合致する内向き円弧凹欠(38a)(38b)の上下一対が付与されている。
そして、このようなエンドカバー(35)の左右一対を両エンド折曲げ片(37)へ固定ビス(39)により組み付け一体化して、上記ヒーターハウジング(33)の両端木口面を完全に閉塞すれば、そのエンドカバー(35)とエンド折曲げ片(37)との円弧凹欠(36a)(36b)(38a)(38b)同志によって、カーボンランプヒーター(31a)(31b)の2本が挟持されることとなり、そのカーボンランプヒーター(31a)(31b)は勿論のこと、上記耐熱ガラス板(34)もヒーターハウジング(33)から左右方向へ抜け出すおそれはない。
上記2本として並列するカーボンランプヒーター(31a)(31b)のうち、その上側カーボンランプヒーター(31a)は図14、38のように光熱を上方へ放射し、他方下側カーボンランプヒーター(31b)は同じく光熱を、上記耐熱ガラス板(34)を透過して横方向又は斜め上方へ放射するようになっており、その2本の放射指向性に相違変化が与えられている。
上記2本のカーボンランプヒーター(31a)(31b)がヒーターハウジング(33)から張り出し露呈する両端部には、スチール板から成るエンドホルダー(40a)(40b)の左右一対づつが巻き付けられている。その場合、図19に拡大して示す如く、上側カーボンランプヒーター(31a)のエンドホルダー(40a)から張り出す取付ステー(41a)が水平状態にあるに比し、下側カーボンランプヒーター(31b)のエンドホルダー(40b)から張り出す取付ステー(41b)は垂直状態にある。
(42)は上記カーボンランプヒーター(31a)(31b)の2本に共通する支持脚の左右一対であって、スチール板から側面視の倒立L字型に折り曲げられており、その水平面に上側カーボンランプヒーター(31a)のエンドホルダー(40a)から張り出す取付ステー(41a)が、残る垂直面に下側カーボンランプヒーター(31b)のエンドホルダー(40b)から張り出す取付ステー(41b)が、各々固定ビス(43a)(43b)によって組み付け一体化されている。
しかも、両支持脚(42)における垂直面の下端部は上記飾り枠(B)への差込み爪(42z)として、ヒーターハウジング(33)の下面よりも下方へ張り出し延長されており、その差込み爪(42z)が図8〜13や図23のように、飾り枠(B)の上記ヒーターユニット押え金物用受け枠(C)におけるヒーターユニット受け床(12)の爪受け入れスリット(13)へ、上方から抜き差し自在に差し込み係止されるようになっている。その際、両カーボンランプヒーター(31a)(31b)に共通する支持脚(42)はヒーターハウジング(33)に対して、或る程度まで左右方向へスライド操作できる融通性がある。
その両支持脚(42)の差込み爪(42z)を差し込み係止した時には、ヒーターハウジング(33)の両端部が同じく飾り枠(B)の上記ヒーターユニット受け枕(15)から切り起されているコーナーアングル(16)によって、自づと正確な位置決め状態に受け止め規制され、その前後一対のヒーターユニット(D)が一定間隔(W)を保つ平行状態になる。尚、(44a)(44b)は上記カーボンランプヒーター(31a)(31b)の両端部から各々導出されたリード線を示している。
先に一言した橋渡しベース板(45)の左右一対は、その各個を図24に抽出して示すように、両ヒーターユニット(D)の上記エンドホルダー(40a)(40b)へ上方から覆いかぶさる大きさのスチール板から成り、その両端部から各々下向きに折り曲げられた前後一対の差込み爪(46)が、上記飾り枠(B)のヒーターユニット押え金物用受け枠(C)における対応的な支持片(9)の爪受け入れスリット(10)へ、上方から抜き差し自在に差し込み係止されて、図8、15に示す如く、その支持片(9)同志の前後相互間を水平に橋渡す状態となる。
(E)はこのような橋渡しベース板(45)の更に上方から覆いかぶさることとなる左右一対のヒーターユニット押え金物であって、ステンレス鋼板から図25〜28のような前面視の2階段型に折り曲げられており、上記飾り枠(B)における延長耳片(4y)同志の前後相互間へ橋渡し状態に跨がることとなる。
茲に、各ヒーターユニット押え金物(E)の上段水平面(上面)は化粧フランジ(47)として、上記飾り枠(B)におけるヒーターユニット押え金物用受け枠(C)の受け座(14)へ、上方から飾り枠(B)の上記化粧フランジ(7)と面一状態を保つように載置される。(48)は同じく下段水平面(49)の中央部に切り欠かれた吸気金物受け入れスリットであり、後述する吸気金物の前後一対を位置決め状態に受け入れ規定する。
他方、上記ヒーターユニット押え金物(E)の下段垂直面はヒーターユニット(D)への安定な差込み脚板(50)として、一定間隔を保つ2重の並列状態にあり、ここには前後一対のヒーターユニット逃し入れ凹溝(51)が下方から切り欠かれている。その差込み脚板(50)が前後一対の上記ヒーターユニット(D)を跨ぐ状態として、上方から抜き差し自在に差し込まれることにより、その両ヒーターユニット(D)を押え付け拘束するようになっている。
(52)はこのような差込み脚板(50)の両端部に開口形成された前後一対づつの吸気孔であり、後述する吸気金物の側面吸気孔と合致連通するようになっている。
(F)は上記ヒーターユニット押え金物(E)の左右相互間へ跨がる横架状態として、更に上方から飾り枠(B)の内部へ差し込まれる前後一対の吸気金物であり、これは清掃しやすいホーロー仕上げ処理(汚れの目立ち難い黒色塗装)されたスチール板から図29〜31のような平面視のU字型を呈し、その向かい合う一対によって飾り枠(B)内の周囲を縁取る状態となる。
即ち、吸気金物(F)の各個は断面ほぼ倒立J字状をなす仕切り壁板(53)の両端部へ、断面ほぼ倒立L字状をなす側壁板(54)の左右一対が直角の交叉状態に各々溶接一体化されて、平面視の全体的なU字型に造形されたものである。
(55)(56)は上記吸気金物(F)の水平面に切り抜き分布された多数の上面吸気孔であり、その仕切り壁板(53)の上面吸気孔(55)が整列する長孔として開口しているに比し、側壁板(54)の上面吸気孔(56)は前後一対の丸孔として開口している。
他方、吸気金物(F)を形作る両側壁板(54)の垂直面は、上記飾り枠(B)の低いヒーターユニット受け枕(15)までしか到達しない深さ(h1)として浅く、同じく仕切り壁板(53)の垂直面はこれよりも深い深さ(h2)として相違変化されており、しかもその仕切り壁板(53)の下端部が油切り片(57)として、上記水槽(20)の開口縁部と係合する斜め内向き進入状態に折り曲げられている。吸気金物(F)を上記飾り枠(B)から上方へ抜き出さない限り、その飾り枠(B)から水槽(20)も抜き出せないようになっているのである。
両側壁板(54)の垂直面は上記仕切り壁板(53)の垂直面と直交状態に仕切られており、その内側位置には上記ヒーターユニット押え金物(E)のヒーターユニット逃し入れ凹溝(51)と対応合致するヒーターユニット逃し入れ凹溝(58)の1個が、やはり下方から切り欠かれている。
そのため、吸気金物(F)の両側壁板(54)も上記ヒーターユニット(D)へ、図32のように上方から抜き差し自在に差し込むことができ、そうすれば両側壁板(54)の水平面(上面)が上記ヒーターユニット押え金物(E)の化粧フランジ(47)へ係止して、その吸気金物(F)の両側壁板(54)とヒーターユニット押え金物(E)の下段水平面(49)との向かい合う上下相互間に、図8のような排煙用第1吸気流路(P1)の左右一対が区成される結果となる。その第1吸気流路(P1)は両側壁板(54)の上面吸気孔(56)から外気を吸い込む。
(59)(60)は同じく両側壁板(54)における垂直面の外側位置へ開口分布された上下一対の側面吸気孔であり、その上段の側面吸気孔(59)が上記排煙用第1吸気流路(P1)と連通する一方、下段の側面吸気孔(60)が上記ヒーターユニット押え金物(E)の吸気孔(52)と合致連通するように関係設定されている。
更に、吸気金物(F)の両側壁板(54)を上記ヒーターユニット(D)へ差し込めば、その吸気金物(F)の仕切り壁板(53)と上記飾り枠(B)の前後両面(4)とが向かい合う相互間に、図38のような排煙用第2吸気流路(P2)の前後一対も区成されるようになっている。その第2吸気流路(P2)は仕切り壁板(53)の上面吸気孔(55)から外気を吸い込むことになる。その場合、前後一対の排煙用第2吸気流路(P2)と上記左右一対の排煙用第1吸気流路(P1)とが、吸気金物(F)における上段の側面吸気孔(59)を介して連通していることは言うまでもない。
要するに、食材の焼き上げ調理中に発生する煙や油滴(オイルミスト)、その他の飛散物を、上記吸気金物(F)に開口分布する上面吸気孔(55)(56)やヒーターユニット押え金物(E)の吸気孔(52)から、図6〜9や図38のような飾り枠(B)内の周囲を縁取る設置状態にある上記排煙用の第1、2吸気流路(P1)(P2)へ吸い込み、その深い第2吸気流路(P2)に沿い上記ドレンパン(23)やファイアーボリュームダンパー(28)へ向かう下引き誘導式として、その油滴(オイルミスト)をグリスフィルター(26)からドレンパン(23)へ受け入れ捕集すると共に、煙やその他の飛散物を確実に室外へ排出させることができるようになっているのである。
又、上記排煙用の第1、2吸気流路(P1)(P2)は飾り枠(B)内の周囲を縁取る設置状態にあり、その上面吸気孔(55)(56)から外気を吸い込むようになっているため、その外気によって飾り枠(B)の上面が高熱化することを予防でき、使用上の安全性も確保されるのである。
次に、(G)は食材焼き上げ用のロストルであり、これは清掃しやすいホーロー仕上げ処理(汚れの目立ち難い黒色塗装)された鋳鉄製品として、その食材(M)の焼き上げ調理中に発生する煮汁や油脂分などを初め、上記ヒーターユニット(D)との作用関係上、図33〜35のように特殊化されている。
即ち、ロストル(G)は上記吸気金物(F)により縁取られた状態の飾り枠(B)内へ、上方からヒーターユニット(D)の2本へ跨がり載置し得るように差し込み使用される平面視のほぼ長方形をなすが、均一厚みの単純な平盤ではなく、そのフラットな下面に反して、上面が長手中心線(前後の2等分線)(O−O)上での最も背高い凸曲面を呈している。
しかも、このような凸曲面を形作る多数の平行な横リブ(61)と、これよりも低く陥没した多数の平行な縦リブ(62)とから、多数の目孔(63a)(63b)が開口分布する格子状態に造形されており、盤面全体のホーロー仕上げ処理とも相俟って、生肉や生野菜などの食材(M)がロストル(G)の盤面へ全面接触する如く、いたづらな焼け付きや焦げ付きなどを生じないようになっている。
但し、ロストル(G)の盤面には上記ヒーターユニット(D)の2本と対応位置して、そのヒーターハウジング(33)のほぼ真上を覆うこととなる平行な盲帯域(64)の前後一対も列設されており、これらを仕切りとして上記盤面の目孔(63a)(63b)が、中央部(内側)の目孔(63a)と前後両端部(外側)の目孔(63b)に区分された状態にある。
そして、その中央部の目孔(63a)は上記カーボンランプヒーター(31a)(31b)から放射される光熱の透過孔として働くほか、前後両端部の目孔(63b)と同じく、煮汁や油脂分などの落下孔としても機能する。その場合、盲帯域(64)の上面は上記縦リブ(62)と同じく、横リブ(61)よりも低く陥没しており、その横リブ(61)の上面と平行な凸曲面をなす凹溝面(65)に沿って、煮汁や油脂分を前後両端部の上記目孔(63b)へ自づと振り分け流下させることができ、その煮汁や油脂分、炭化した破片が何時までもロストル(G)に溜まったり、ヒーターユニット(D)に付着したりしないようになっている。
(66)はこのような盲帯域(64)から下向き部分的に張り出された前後一対の帯状接地座であり、これらのフラットな下面が上記2本のヒーターユニット(D)におけるヒーターハウジング(33)の上面へ直かに密着して、そのカーボンランプヒーター(31a)(31b)からの熱伝導を受け、言わばシーズヒーターとしてロストル(G)を加熱することもできるようになっている。
又、(67)は上記接地座(66)の前後両端部(外側)から2本のヒーターユニット(D)を挟む如く、各々下向きに突設された一対の位置決めストッパーであり、これらを両ヒーターユニット(D)のヒーターハウジング(33)へ、図36〜38のように上方から抜き差し自在に差し込み係止させることによって、ロストル(G)がヒーターユニット(D)へ位置ズレ遊動するおそれなく安定裡に載置され、そのロストル(G)の前後両端部(長辺)と上記吸気金物(F)の仕切り壁板(53)との向かい合う前後相互間に、図38のような一定の放熱間隙(S)を確保している。
上記ロストル(G)の前後両端部(長辺)からは、平行な一対の煮汁受け止めフランジ(68)が上向きに突出しており、上記横リブ(61)の上面(凸曲面)に沿って流下する煮汁や油脂分などを一旦受け止め、その前後両端部の目孔(63b)から水槽(20)へ自づと落下させて、油切り効果を達成できるようになっている。
(69)は上記飾り枠(B)の化粧フランジ(7)と、これとの面一状態を保つヒーターユニット押え金物(E)の化粧フランジ(47)へ、上方から載置されたトップフレームであって、ステンレス鋼板から平面視の長方形な枠状に切り抜かれており、これが上記排煙用の第1、2吸気流路(P1)(P2)へ上方から庇状に臨んで、その吸気の整流作用を営なむと共に、ロースターとしての化粧効果も達成する。
更に、(70)は上記天板(1)の下面へ図1〜5のように取り付け固定された操作ユニットであって、上記ヒーターユニット(D)におけるカーボンランプヒーター(31a)(31b)のリード線(44a)(44b)と電気的に接続配線されており、その操作ユニット(70)から露出するダイヤル式の切換え操作レバー(71)によって、電源のオン・オフ操作と加熱力の強弱調整とを行なえるようになっている。
本発明の電熱式ロースターは上記のような飾り枠(B)と2本のヒーターユニット(D)、その左右一対のヒーターユニット押え金物(E)、前後一対の吸気金物(F)、トップフレーム(69)並びにロストル(G)から成り、これらの構成部材を所謂スタッキング方式として、次のとおり順序良く組み立てることができる。
即ち、飾り枠(B)におけるヒーターユニット押え金物用受け枠(C)のヒーターユニット受け床(12)には爪受け入れスリット(13)が、同じく飾り枠(B)のヒーターユニット受け枕(15)にはコーナーアングル(16)が各々設けられているため、先ずヒーターユニット(D)におけるカーボンランプヒーター(31a)(31b)の両端部から張り出す支持脚(42)の差込み爪(42z)を、上記爪受け入れスリット(13)へ上方から差し込み係止させると共に、そのヒーターユニット(D)のヒーターハウジング(33)を上記コーナーアングル(16)での両端受け止め状態に載置する。
このようにして、2本のヒーターユニット(D)を飾り枠(B)のヒーターユニット受け枕(15)へ、前後一対の並列設置状態に保った後、次に上記ヒーターユニット押え金物用受け枠(C)における支持片(9)の爪受け入れスリット(10)へ、別個な橋渡しベース板(45)の差込み爪(46)を上方から差し込み係止させて、その橋渡しベース板(45)の左右一対により上記カーボンランプヒーター(31a)(31b)の両端部を一旦被覆する。
更に、上記2本のヒーターユニット(D)へ上方から左右一対のヒーターユニット押え金物(E)を跨がる状態に差し込んで、そのヒーターユニット(D)の両端部を押え付け拘束すると共に、引き続き前後一対の吸気金物(F)を上記飾り枠(B)の内部へ上方から差し込んで、その吸気金物(F)の両側壁板(54)によりヒーターユニット(D)の両端部を重畳的に拘束する。
そして、上記吸気金物(F)により囲まれた飾り枠(B)の内部へ、上方からロストル(G)を差し入れて、並列する2本のヒーターユニット(D)へ跨がる水平状態に安定良く載置させ、最後にトップフレーム(69)を化粧フランジ(7)(47)へ載置させれば良く、茲に図6〜8や図37、38のようなロースターの正確な組立状態を得られる。
尚、このような作業を逆順序に行なえば、上記ロースターの構成部材を容易に分解することができ、そのヒーターユニット(D)の各個は上下一対のカーボンランプヒーター(31a)(31b)や耐熱ガラス板(34)などから予じめ組立ユニット化されたカートリッジをなすため、そのまま飾り枠(B)へ設置すれば良く、その清掃や交換などを便利良く行なえるのであり、耐熱ガラス板(34)を誤って損傷するおそれがない。
図38のようなロースターの組立使用状態において、生肉や生野菜などの食材(M)を焼き上げ調理するに当っては、上記水槽(20)に一定量(例えば約2000cc)の水を貯溜させる一方、操作ユニット(70)のダイヤル式切換え操作レバー(71)を回動操作して、上記ヒーターユニット(D)のカーボンランプヒーター(31a)(31b)に通電すれば良い。
その場合、ヒーターユニット(D)が2本あり、その各個には上下一対のカーボンランプヒーター(31a)(31b)が並列設置されているため、立ち上げ当初には合計4本のカーボンランプヒーター(31a)(31b)に通電して、例えば3.04KW(760W×4)のもとにロストル(G)をすばやく予備加熱すると共に、その後は2本のカーボンランプヒーター(31a)(31b)に通電して、上記3.04KWから約1.52KWのもとで使用することが望ましく、その加熱力の強弱調整も切換え操作レバー(71)によって行なえる。
何れにしても、その食材(M)の焼き上げ調理中には、上記ヒーターユニット(D)における上下一対のカーボンランプヒーター(31a)(31b)から、就中下側カーボンランプヒーター(31b)から図38の矢印で示す如く、ロストル(G)の中央部へ多数の目孔(63a)を通じて、光熱が集中的に放射されることとなり、その輻射熱(遠赤外線)によって食材(M)を中芯まで軟らかく焼き上げることができ、炭火での加熱と同じ優れた食味効果を得られる。
又、ヒーターユニット(D)のヒーターハウジング(33)はステンレス鋼板から成り、その上面にロストル(G)の接地座(66)が直かに密着しているため、その上側カーボンランプヒーター(31a)により赤熱されたヒーターハウジング(33)を言わばシーズヒーターとして、前後一対の並列する盲帯域(64)も加熱することができ、上記カーボンランプヒーター(31a)(31b)の輻射熱と相俟って、そのロストル(G)に載置された食材(M)の全体を加熱温度ムラなく、すばやく均等に焼成し得るのである。
他方、食材(M)の焼き上げ調理中に発生する煮汁や油脂分などは、上記ロストル(G)の盲帯域(64)により区分された中央部の目孔(63a)と前後両端部の目孔(63b)から、ヒーターユニット(D)を言わば避ける如く落下して、水槽(20)の内部へ自づと受け溜められることになり、その煮汁や油脂分、食材(M)の炭化した破片がロストル(G)に溜まったり、ヒーターユニット(D)へ付着したりするおそれはない。その油切り効果に優れるため、ロストル(G)の交換による調理の中断を余儀なくされることもない。
更に、飾り枠(B)の内部を縁取る状態の排煙用第1、2吸気流路(P1)(P2)が、ロストル(G)の周囲に位置しているため、食材(M)の調理中に発生する煙や油滴(オイルミスト)、その他の飛散物も、その第1、2吸気流路(P1)(P2)から飾り枠(B)の内部へ自づと円滑に吸い込まれ、ドレンパン(23)やファイアーボリュームダンパー(28)に向かって下引き誘導されることとなり、その結果室外へ確実に排出することができ、調理室内を快適な無煙状態に保てるのである。
先には、飾り枠(B)の片側面から抜き差し操作する水槽(20)を説示したが、その水槽(20)と別個な煮汁受け皿(72)を準備しておき、これを図39の使用状態に示す如く、上方から両ヒーターユニット(D)の前後相互間を通じて、飾り枠(B)の内部へ抜き差し自在に差し入れ、これに水を貯溜させても良い。
そうすれば、本発明に係るロースターの飾り枠(B)が嵌め付けられた据付けキャビネット(A)の多数を、調理室内へ並列設置するレイアウト上、先の水槽(20)が万一調理室の壁面に当って、飾り枠(B)の片側面から抜き差し操作し難い場合でも、上記煮汁受け皿(72)に水槽(20)と同じ働きを営なませることができる。
つまり、食材(M)の焼き上げ調理中、上記ロストル(G)に開口分布する中央部の目孔(63a)から、集中的に多く落下する煮汁や油脂分、食材(M)の炭化した破片を、その煮汁受け皿(72)へ確実に受け入れ捕集することができるほか、その貯溜された水により飾り枠(B)などの温度上昇を防ぐこともできる。尚、上記煮汁受け皿(72)の使用中、水槽(20)に対する水の貯溜は省略してもさしつかえない。
上記煮汁受け皿(72)は図40〜42に抽出して示すように、水平なヒーターユニット受け枕(15)の設置高さ(H−H)から吸気金物(F)の油切り片(57)と同じく、水槽(20)内への部分的に進入し得る一定深さ(z)と、両ヒーターユニット(D)の前後相互間へ差し入れ可能な一定幅(x)と、その両ヒーターユニット押え金物(E)の左右相互間へ差し入れ可能な一定長さ(y)とを備えた樋型として、清掃しやすいホーロー仕上げ(汚れの目立ち難い黒色塗装)のスチール板から造形されており、しかもその左右両端部から連続的に垂立する吊り下げハンガー(73)の外向き折曲げ片(74)が、上記吸気金物(F)の上面(水平面)へ係止されるようになっている。(75)はその両吊り下げハンガー(73)の上端部から外向きに折り曲げられた左右一対の把手であり、上記トップフレーム(69)の枠内に位置しつつ、吸気に晒されるため、これを持って、煮汁受け皿(72)の抜き差し操作を行なうことができる。
又、図43は上記食材(M)の焼き上げ用ロストル(G)に代る食材(M)の煮炊き用調理鍋(76)とそのための風防(77)を示しており、鍋料理を行ないたい場合には、図44から明白なように、吸気の風防(77)を上記トップフレーム(69)と交換使用して、その脚枠片(78)を飾り枠(B)内の周囲を縁取っている上記吸気金物(F)の前後相互間へ、上方から位置ズレ不能に差し入れ係止させた後、調理鍋(76)を上記ロストル(G)と交換使用して、飾り枠(B)の内部へ上方から差し入れ、そのフラットな底面を並列する2本の上記ヒーターユニット(D)へ、やはり安定良く載置させれば良い。
そうすれば、調理鍋(76)はやはり上記ヒーターユニット(D)のカーボンランプヒーター(31a)(31b)により加熱されることとなる。(79)はその調理鍋(76)から張り出す向かい合う一対の把手である。