JP3995194B2 - 酸化皮膜除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属表面に形成された酸化皮膜をアーク放電により除去するいわゆる移行型アーク式の酸化皮膜除去装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、酸化皮膜を除去して発生したダストを回収可能な酸化皮膜除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属表面に形成された酸化皮膜を除去する技術として、真空アーク放電を用いた金属部品の表面処理方法及びその装置が開発されている(特開平4−110084号)。この処理方法では、10Pa以下の真空雰囲気中において、アーク放電の陰極側が金属部品上の酸化皮膜部分を選択的に移動しながら皮膜を破壊して除去するようにしている。また、これと同様の原理を利用して、ほぼ真空のアルゴンガス雰囲気中で酸化皮膜の除去を行う真空デスケーリング装置が開発されている(特開平7−290139号)。
【0003】
ここで、酸化皮膜を破壊して発生したダストは有害であるため回収することが望まれる。また、ダストが電極や処理対象や真空容器内に付着して表面処理の精度を劣化させてしまう虞があることからも回収することが望まれる。このため、真空容器の排気系にフィルタを設けておき、このフィルタによりダストを捕集することがある。あるいは、真空デスケーリング装置において、ダストを重力分離トラップやフィルタを用いたダスト回収機構により回収する技術も開発されている(特開平5−115971号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した真空容器の排気系にフィルタを設けたダストの回収方法では、雰囲気が10Pa以下の真空であるので、ダストを回収できる程の十分な気流を形成することができない。しかも、ダストの発生個所から排気系までの距離が長いので、ダストの回収率が極めて低くなってしまう。
【0005】
また、重力分離トラップやフィルタを用いた真空デスケーリング装置を利用しても、雰囲気が真空であるのでダストを回収できる程度の十分な気流を得ることができないと共に、真空で蒸発し生成したダストの粒径が小さいため重力分離は期待できずダストが雰囲気中に広がって電極や真空容器内に付着したり又は処理対象に再び付着することを十分に防止することはできない。よって、表面処理の精度を劣化させてしまう虞がある。
【0006】
そこで本発明は、ダストを回収率を高めることによりダストが電極や処理対象や真空容器内に付着して表面処理の精度を劣化させることを防止する酸化皮膜除去装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、酸化皮膜を有する金属材に対向する電極と、前記電極を陽極とし前記金属材を陰極とする直流電流、または交流電流を前記金属材および前記電極に通電して前記金属材および前記電極の間にアークを発生させる電源とを備え、該アークにより前記酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去装置において、少なくとも前記アークで発生した前記酸化皮膜の発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気を供給する給気手段と、前記電極を貫通して前記電極の先端部に開口する貫通孔と、該貫通孔に連結されると共に前記電極の先端部から前記雰囲気および前記ダストを吸引する吸引手段とを含む除去部を備え、酸化皮膜のダストを前記低真空非酸化雰囲気の気流により除去するようにしている。
【0008】
したがって、ダストを気流により除去するようにしているので、ダストが雰囲気中に広がることを防止すると同時に電極や真空容器内に付着したり又は処理対象に再び付着することを防止できる。よって、表面処理の精度を高めることができる。
【0009】
また、請求項1記載の発明は、ダストの発生個所のすぐ近くで気流を発生させてダストを吸引することができるので、ダストの除去を高率に行うことができる。ここで、本明細書中で「低真空非酸化雰囲気」とは、10Paを超える大気圧以下の不活性ガスあるいは弱還元性ガスの雰囲気を意味し、不活性ガスに微量の酸素を添加したような実質的な不活性ガスも含む概念としている。
【0010】
さらに、請求項2記載の発明にかかる酸化皮膜除去装置は、金属材側に開口すると共に電極の周囲を囲む筒と、金属材の近傍で筒の内外を連通する連通部と、該連通部を通してアークで発生した酸化皮膜のダストの発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気を供給する給気手段と、筒に連結されると共にダストの吸引を行う吸引手段とを含む除去部を備え、酸化皮膜のダストを低真空非酸化雰囲気の気流により除去するようにしている。したがって、ダストの発生個所を筒により囲うことができるので、ダストの拡散を防止してダストの除去を高率で行うことができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明にかかる酸化皮膜除去装置は、金属材側に開口すると共に電極の周囲を囲む内筒と、金属材の近傍で内筒の内外を連通する連通部と、金属材側に開口して接触すると共に内筒の周囲を囲む外筒と、内筒および外筒の間から連通部を通してアークで発生した酸化皮膜のダストの発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気を供給する給気手段と、内筒に連結されると共にダストの吸引を行う吸引手段とを含む除去部を備え、酸化皮膜のダストを低真空非酸化雰囲気の気流により除去するようにしている。さらに、請求項4記載の発明にかかる酸化皮膜除去装置は、金属材側に開口すると共に電極の周囲を囲む内筒と、金属材の近傍で内筒の内外を連通する連通部と、金属材側に開口して接触すると共に内筒の周囲を囲む外筒と、内筒からアークで発生した酸化皮膜のダストの発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気を供給する給気手段と、外筒および内筒の間の空間に連結されると共に連通部を通してダストの吸引を行う吸引手段とを含む除去部を備え、酸化皮膜のダストを前記低真空非酸化雰囲気の気流により除去するようにしている。
【0012】
したがって、プラズマトーチを使用して酸化皮膜の除去を行うことができるようになる。これにより、ダストの発生個所を筒により囲うことができるので、ダストの拡散を防止してダストの除去を高率で行うことができる。
【0013】
一方、請求項5記載の発明にかかる酸化皮膜除去装置は、金属材側に開口すると共に電極の周囲を囲む内筒と、金属材の近傍で前記内筒の内外を連通する連通部と、金属材側に開口して気密に接触すると共に内筒の周囲を囲む外筒と、内筒に連結されると共に内筒の内部から連通部を通して低真空非酸化雰囲気の気流およびアークで発生した酸化皮膜のダストを吹き出す吹出手段とを含む除去部を備え、酸化皮膜のダストを低真空非酸化雰囲気の気流により除去するようにしている。また、請求項6記載の発明にかかる酸化皮膜除去装置は、金属材側に開口すると共に電極の周囲を囲む内筒と、金属材の近傍で内筒の内外を連通する連通部と、金属材側に開口して気密に接触すると共に内筒の周囲を囲む外筒と、外筒に連結されると共に外筒および内筒の間から連通部を通して低真空非酸化雰囲気の気流を吹き出すことによりアークで発生した酸化皮膜のダストを内筒の内部に送り出す吹出手段とを含む除去部を備え、酸化皮膜のダストを低真空非酸化雰囲気の気流により除去するようにしている。
【0014】
したがって、ダストを吹出手段で吹き飛ばして内管あるいは外管から送り出すようにしているので、吹出手段はダストに接触しない。このため、吹出手段のダストによる汚染を防止することができるので、除去部のメンテナンスを簡素化することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1に本発明の酸化皮膜除去装置1の実施の一形態を示す。この酸化皮膜除去装置1は、酸化皮膜2を有する金属材3に対向する電極4と、金属材3および電極4に通電して金属材3および電極4の間にアーク5を発生させる電源(図示せず)とを備えたもので、該アーク5により前記酸化皮膜2を除去するものとしている。そして、この酸化皮膜除去装置1は、少なくとも前記アークの発生箇所に相対的気流を起こし、アーク5で発生した酸化皮膜2のダスト6を気流7により除去する除去部8を備えている。このため、除去部8によりダスト6を気流7で除去しているので、有害なダスト6が雰囲気中に広がることを防止すると同時に電極4や真空容器内に付着したりあるいは金属材3に再び付着することを防止できる。よって、金属材3の表面処理の精度を高めることができる。
【0022】
電源は、電極4を陽極とし金属材3を陰極とする直流電流を付与するものとしている。ここでは電源として直流電流を使用しているが、これには限られず交流電流であっても良い。
【0023】
ここでの電極4は、該電極4の長手方向に沿って貫通すると共に金属材3側の先端部に開口する貫通孔9を有している。また、除去部8は、少なくともダスト6の発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気10を供給する給気手段(図示せず)と、電極4の貫通孔9と、該貫通孔9に連結されると共に電極4の先端部から雰囲気10およびダスト6を吸引する吸引手段(図示せず)とを備えている。よって、ダスト6の発生個所のすぐ近くに気流7を形成してダスト6を吸引することができるので、ダスト6の除去を高率で行うことができる。給気手段としては、真空容器の給排気系を利用している。吸引手段は例えば吸気ポンプから成る。
【0024】
ダスト6の近傍に設けられた低真空非酸化雰囲気10は、大気圧以下10Paを超える不活性ガスあるいは弱還元性ガスの雰囲気としている。そして、電極4の先端からアーク5の周辺の雰囲気10を吸引することによりダスト6も吸い込むようにする。アーク5を発生させる雰囲気10の気圧としては、大気圧以下10Paを超える大きさであれば良いが、より好ましくは100Pa〜10kPa、最も好ましくは2kPa程度である。
【0025】
さらに、本実施形態では、除去部8は、ダスト6の発生箇所から気流7の下流側の少なくとも一部にダスト6を捕集するダスト捕集手段11を有している。このため、ダスト6を捕集することができるので、ダスト6の酸化皮膜除去装置1の周囲への飛散を防止することができる。ここではダスト捕集手段11は、貫通孔9を形成する管の拡径部を塞ぐフィルタから成るものとしている。
【0026】
また、この電極4の周囲には水冷筒12が設けられている。水冷筒12の内部には電極4の長手方向に沿って冷却水15を流通させる経路が設けられている。これにより、アーク5によって加熱された電極4を水冷することができる。
【0027】
上述した酸化皮膜除去装置1により金属材3の酸化皮膜2を除去して捕集する手順を以下に説明する。真空容器の給排気系を調整して内部雰囲気を2kPa程度に設定する。そして、低真空非酸化雰囲気10中に金属材3および電極4を載置する。電極4と金属材3との間に高電圧を印加する。あるいは電極4と金属材3との間で短絡して絶縁破壊をして、引き続きアーク5を形成する。
【0028】
アーク5が形成されると、金属材3の酸化皮膜2は次々と除去されて、それによりダスト6が発生する。このダスト6は吸引手段により電極4の先端から吸引されて、ダスト捕集手段11によって捕捉される。そして、電極4の近傍の酸化皮膜2を除去したら電極4を移動させて次の位置での酸化皮膜2の除去を開始する。その繰り返しにより、金属材3の全面の酸化皮膜2を除去することができる。
【0029】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では電極4の貫通孔9からダスト6を吸引しているが、これには限られず図2〜図5に示すように電極4の周囲に沿ってダスト6を吸引するようにしても良い。
【0030】
例えば図2に示す実施形態では、除去部8は、金属材3側に開口すると共に電極4の周囲を囲む筒13と、金属材3の近傍で筒13の内外を連通する連通部14と、該連通部14を通してダスト6の近傍に低真空非酸化雰囲気10を供給する給気手段と、筒13に連結されると共にダスト6の吸引を行う吸引手段とを備えるようにしている。この場合、ダスト6の発生個所を筒13により囲うことができるので、ダスト6の拡散を防止してダスト6の除去を高率で行うことができる。
【0031】
図2に示す酸化皮膜除去装置1では、連通部14は筒13の端面と金属材3との間の隙間としている。そして、電極4の内部には冷却水15が流通する経路が形成されている。これにより、アーク5の発生で加熱された電極4を冷却することができる。さらに、この酸化皮膜除去装置1でも、除去部8はダスト6の発生位置から低真空非酸化雰囲気の気流の流れの下流側の少なくとも一部にダスト6を捕集するダスト捕集手段11を有している。
【0032】
この酸化皮膜除去装置1では、給気手段により適度な低真空非酸化雰囲気10を形成した状態で電極4と金属材3の間にアーク5を発生させ吸引手段により吸引を開始すると、筒13の外側の低真空非酸化雰囲気10が連通部14を通って筒13の内側に吸引される。この気流7によって、ダスト6が金属材3に再び付着しないように除去されると共にダスト捕集手段11に捕集される。
【0033】
ここで、図2に示す実施形態では筒13を金属材3から僅かに離して設置すると共に連通部14は筒13の先端面と金属材3との間の隙間から成るようにしているが、これには限られず図3に示すように筒13の先端部を金属材3に密着させて設置すると共に連通部14は筒13の端部近傍に形成された透孔とするようにしても良い。筒13の先端部には、金属材3を傷めずに接触できるように接触リング16が設けられている。
【0034】
さらに、図2および図3に示す実施形態では電極4の周囲に一重の筒13を設けているが、これには限られず図4および図5に示すように二重の筒17,18を設けるようにしても良い。この場合、除去部8は、図4に示すように、金属材3側に開口すると共に電極4の周囲を囲む内筒17と、金属材3の近傍で内筒17の内外を連通する連通部14と、金属材3側に開口して接触すると共に内筒17の周囲を囲む外筒18と、内筒17および外筒18の間から連通部14を通してダスト6の近傍に低真空非酸化雰囲気10を供給する給気手段と、内筒17に連結されると共にダスト6の吸引を行う吸引手段とを備えるようにしている。この場合、プラズマトーチを使用して酸化皮膜2の除去を行うことができるようになる。また、外筒18の先端部には、金属材3を傷めずに接触できるように接触リング16が設けられている。図4に示す酸化皮膜除去装置1のその他の構成は図2に示す酸化皮膜除去装置1と同様であるので同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
この酸化皮膜除去装置1では、給気手段により適度な低真空非酸化雰囲気10を形成して内筒17と外筒18の間に供給した状態で電極4と金属材3の間にアーク5を発生させ吸引手段により吸引を開始すると、内筒17と外筒18の間の低真空非酸化雰囲気10が連通部14を通って内筒17の内側に吸引される。この気流7によって、ダスト6が金属材3に再び付着しないように除去されると共にダスト捕集手段11に捕集される。
【0036】
ここで、図4に示す実施形態では内筒17を金属材3から僅かに離して設置すると共に連通部14は内筒17の先端面と金属材3との間の隙間から成るようにしているが、これには限られず図5に示すように内筒17の先端部を金属材3に密着させて設置すると共に連通部14は内筒17の端部近傍に形成された透孔とするようにしても良い。この場合、内筒17の先端部には、金属材3を傷めずに接触できるように接触リング16を設けるようにする。
【0037】
また、図4および図5に示す実施形態では電極4の周囲の二重筒の内筒17に吸引手段を接続しているが、これには限られず図6に示すように外筒18に接続するようにしても良い。この場合、除去部8は、金属材3側に開口すると共に電極4の周囲を囲む内筒17と、金属材3の近傍で内筒17の内外を連通する連通部14と、金属材3側に開口して接触すると共に内筒17の周囲を囲む外筒18と、内筒17からダスト6の近傍に低真空非酸化雰囲気10を供給する給気手段と、外筒18および内筒17の間に連結されると共に連通部14を通してダスト6の吸引を行う吸引手段とを備えるようにする。この場合も、プラズマトーチを使用して酸化皮膜2の除去を行うことができるようになる。図6に示す酸化皮膜除去装置1のその他の構成は図4に示す酸化皮膜除去装置1と同様であるので同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0038】
この酸化皮膜除去装置1では、給気手段により適度な低真空非酸化雰囲気10を形成して内筒17に供給した状態で電極4と金属材3の間にアーク5を発生させ吸引手段により吸引を開始すると、内筒17の低真空非酸化雰囲気10が連通部14を通って内筒17および外筒18の間に吸引される。この気流7によって、ダスト6が金属材3に再び付着しないように除去されると共にダスト捕集手段11に捕集される。
【0039】
ここで、図6に示す実施形態では内筒17を金属材3から僅かに離して設置すると共に連通部14は内筒17の先端面と金属材3との間の隙間から成るようにしているが、これには限られず図5に示す実施形態と同様に内筒17の先端部を金属材3に密着させて設置すると共に連通部14は内筒17の端部近傍に形成された透孔とするようにしても良い。この場合、内筒17の先端部には、金属材3を傷めずに接触できるように接触リング16を設けるようにする。
【0040】
一方、図4〜図6に示す実施形態では、除去部8は吸引手段を利用して低真空非酸化雰囲気の気流7を発生させているが、これには限られず吸引手段を使用せずに吹出手段を用いて気流7を発生させるようにしても良い。すなわち、例えば図6に示す実施形態で、除去部8は、内筒17と、連通部14と、金属材3側に開口して気密に接触する外筒18と、内筒17に連結されると共に内筒17の内部から連通部14を通して低真空非酸化雰囲気およびダスト6を吹き出す吹出手段とを備えるようにしても良い。この場合、図6に矢印で示す向きの気流7となる。あるいは、図4に示す実施形態で、除去部8は、内筒17と、連通部14と、金属材3側に開口して気密に接触する外筒18と、外筒18に連結されると共に外筒18および内筒17の間から連通部14を通して低真空非酸化雰囲気を吹き出すことによりダスト6を内筒17の内部に送り出す吹出手段とを備えるようにしても良い。吹出手段を使用することにより、吹出手段はダスト6に接触しないことから吹出手段のダスト6による汚染を防止することができるので、除去部8のメンテナンスを簡素化することができる。
【0041】
また、上述した各実施形態では、除去部8を電極4の内部や電極4の周囲を取り囲むように形成しているが、これには限られず電極4とは独立して設けるようにしても良い。すなわち、図7に示すように、除去部8は、ダスト6の発生箇所の近傍でダスト6に向けて開口する吸引ノズル19と、該吸引ノズル19に連結されると共にダスト6の吸引を行う吸引手段とを備えるようにしても良い。この場合、電極4の内部や電極4を取り囲むように除去部8を設ける必要がなくなるので、除去部8を有しない既存の酸化皮膜除去装置1に除去部8を容易に後付けすることができる。よって、既存の酸化皮膜除去装置1を利用して設備コストの増大を抑えることができる。ノズル19は支持腕20によって電極4と一体化することが好ましい。これにより、電極4の移動に伴ってノズル19も移動させることができる。
【0042】
さらに、図7に示す実施形態では吸引手段のみにより気流7が発生されているが、これには限られず図8に示すようにダスト6を挟んで吸引手段と吹出手段を配置して気流7を形成するようにしても良い。この場合、除去部8は、吸引ノズル19のダスト6の発生箇所を挟んだ反対側でダスト6に向けて開口する吹出ノズル21と、該吹出ノズル21に連結されると共にダスト6に向けて低真空非酸化雰囲気を吹き出す吹出手段を備えるようにする。これにより、ダスト6を気流7に乗せて高率で除去することができる。
【0043】
上述した各実施形態ではいずれもダスト捕集手段11を設けているが、これには限られず設けなくても良い。この場合でも、アーク5により発生したダスト6を吸引して除去することができるので、酸化皮膜2の除去を高率で行うことができる。
【0044】
ところで、上述した各実施形態では、除去部8が気流7を発生させてダスト6を低真空非酸化雰囲気と共に吹き流して除去しているが、これには限られない。例えば図9に示すように、除去部8は、電極4と金属材3とを該金属材3の表面に沿って相対移動させる移動手段(図示せず)と、アーク5の発生箇所を向いて電極4に伴って移動すると共にアーク5により発生した酸化皮膜2のダスト6を電極4の移動によって捕集するダスト捕集手段11とを備えるものとしても良い。この場合、吸引手段や吹出手段により気流7を形成すること無く、ダスト捕集手段11とダスト6との相対的な移動により相対的な気流を生じさせてダスト6を捕集することができるので、気流を形成する設備を簡素化することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の酸化皮膜除去装置によれば、ダストを気流により除去するようにしているので、ダストが雰囲気中に広がることを簡易に防止すると同時に電極や真空容器内に付着したり又は処理対象に再び付着することを簡易に防止できる。よって、表面処理の精度を高めることができる。
【0046】
しかも、請求項1記載の酸化皮膜除去装置によれば、ダストの発生個所のすぐ近くで気流を発生させてダストを吸引することができるので、ダストの除去を高率に行うことができる。
【0047】
さらに、請求項2から4記載の酸化皮膜除去装置によれば、ダストの発生個所を筒により囲うことができるので、ダストの拡散を防止してダストの除去を高率で行うことができる。特に請求項3および4記載の酸化皮膜除去装置によれば、プラズマトーチを使用して酸化皮膜の除去を行うことができるようになる。
【0048】
一方、請求項5および6記載の酸化皮膜除去装置によれば、ダストを吹出手段で吹き飛ばして内管あるいは外管から送り出すようにしているので、吹出手段のダストによる汚染を防止することができ、除去部のメンテナンスを簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化皮膜除去装置を示す概略の縦断面図である。
【図2】酸化皮膜除去装置の他の実施形態を示す概略の縦断面図である。
【図3】図2に示す酸化皮膜除去装置の変形例を示す概略の縦断面図である。
【図4】酸化皮膜除去装置の別の実施形態を示す概略の縦断面図である。
【図5】図4に示す酸化皮膜除去装置の変形例を示す概略の縦断面図である。
【図6】酸化皮膜除去装置の更に他の実施形態を示す概略の縦断面図である。
【図7】酸化皮膜除去装置の更に別の実施形態を示す概略の縦断面図である。
【図8】図7に示す酸化皮膜除去装置の変形例を示す概略の縦断面図である。
【図9】酸化皮膜除去装置のまた他の実施形態を示す概略の縦断面図である。
【符号の説明】
1 酸化皮膜除去装置
2 酸化皮膜
3 金属材
4 電極
5 アーク
6 ダスト
7 気流
8 除去部
9 貫通孔
10 低真空非酸化雰囲気
11 ダスト捕集手段
13 筒
14 連通部
17 内筒
18 外筒
19 吸引ノズル
21 吹出ノズル
Claims (6)
- 酸化皮膜を有する金属材に対向する電極と、前記電極を陽極とし前記金属材を陰極とする直流電流、または交流電流を前記金属材および前記電極に通電して前記金属材および前記電極の間にアークを発生させる電源とを備え、該アークにより前記酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去装置において、少なくとも前記アークで発生した前記酸化皮膜のダストの発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気を供給する給気手段と、前記電極を貫通して前記電極の先端部に開口する貫通孔と、該貫通孔に連結されると共に前記電極の先端部から前記雰囲気および前記ダストを吸引する吸引手段とを含む除去部を備え、前記ダストを前記低真空非酸化雰囲気の気流により除去することを特徴とする酸化皮膜除去装置。
- 酸化皮膜を有する金属材に対向する電極と、前記電極を陽極とし前記金属材を陰極とする直流電流、または交流電流を前記金属材および前記電極に通電して前記金属材および前記電極の間にアークを発生させる電源とを備え、該アークにより前記酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去装置において、前記金属材側に開口すると共に前記電極の周囲を囲む筒と、前記金属材の近傍で前記筒の内外を連通する連通部と、該連通部を通して前記アークで発生した前記酸化皮膜のダストの発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気を供給する給気手段と、前記筒に連結されると共に前記ダストの吸引を行う吸引手段とを含む除去部を備え、前記ダストを前記低真空非酸化雰囲気の気流により除去することを特徴とする酸化皮膜除去装置。
- 酸化皮膜を有する金属材に対向する電極と、前記電極を陽極とし前記金属材を陰極とする直流電流、または交流電流を前記金属材および前記電極に通電して前記金属材および前記電極の間にアークを発生させる電源とを備え、該アークにより前記酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去装置において、前記金属材側に開口すると共に前記電極の周囲を囲む内筒と、前記金属材の近傍で前記内筒の内外を連通する連通部と、前記金属材側に開口して接触すると共に前記内筒の周囲を囲む外筒と、前記内筒および前記外筒の間から前記連通部を通して前記アークで発生した前記酸化皮膜のダストの発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気を供給する給気手段と、前記内筒に連結されると共に前記ダストの吸引を行う吸引手段とを含む除去部を備え、前記ダストを前記低真空非酸化雰囲気の気流により除去することを特徴とする酸化皮膜除去装置。
- 酸化皮膜を有する金属材に対向する電極と、前記電極を陽極とし前記金属材を陰極とする直流電流、または交流電流を前記金属材および前記電極に通電して前記金属材および前記電極の間にアークを発生させる電源とを備え、該アークにより前記酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去装置において、前記金属材側に開口すると共に前記電極の周囲を囲む内筒と、前記金属材の近傍で前記内筒の内外を連通する連通部と、前記金属材側に開口して接触すると共に前記内筒の周囲を囲む外筒と、前記内筒から前記アークで発生する前記酸化皮膜のダストの発生箇所近傍に低真空非酸化雰囲気を供給する給気手段と、前記外筒および前記内筒の間の空間に連結されると共に前記連通部を通して前記ダストの吸引を行う吸引手段とを含む除去部を備え、前記ダストを前記低真空非酸化雰囲気の気流により除去することを特徴とする酸化皮膜除去装置。
- 酸化皮膜を有する金属材に対向する電極と、前記電極を陽極とし前記金属材を陰極とする直流電流、または交流電流を前記金属材および前記電極に通電して前記金属材および前記電極の間にアークを発生させる電源とを備え、該アークにより前記酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去装置において、前記金属材側に開口すると共に前記電極の周囲を囲む内筒と、前記金属材の近傍で前記内筒の内外を連通する連通部と、前記金属材側に開口して気密に接触すると共に前記内筒の周囲を囲む外筒と、前記内筒に連結されると共に前記内筒の内部から前記連通部を通して低真空非酸化雰囲気の気流および前記アークで発生した前記酸化皮膜のダストを吹き出す吹出手段とを含む除去部を備え、前記ダストを前記低真空非酸化雰囲気の気流により除去することを特徴とする酸化皮膜除去装置。
- 酸化皮膜を有する金属材に対向する電極と、前記電極を陽極とし前記金属材を陰極とする直流電流、または交流電流を前記金属材および前記電極に通電して前記金属材および前記電極の間にアークを発生させる電源とを備え、該アークにより前記酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去装置において、前記金属材側に開口すると共に前記電極の周囲を囲む内筒と、前記金属材の近傍で前記内筒の内外を連通する連通部と、前記金属材側に開口して気密に接触すると共に前記内筒の周囲を囲む外筒と、前記外筒に連結されると共に前記外筒および前記内筒の間から前記連通部を通して低真空非酸化雰囲気の気流を吹き出すことにより前記アークで発生した前記酸化皮膜のダストを前記内筒の内部に送り出す吹出手段とを含む除去部を備え、前記ダストを前記低真空非酸化雰囲気の気流により除去することを特徴とする酸化皮膜除去装置。
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