JP3994294B2 - 中空糸膜モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュールおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は河川水や地下水などの自然水の浄水処理あるいは水道水の高度浄水処理に使用される中空糸膜モジュールおよびその製造方法に関する。本発明によって得られる中空糸膜モジュールは、特に高回収率で長期連続運転が要求され、物理洗浄等によりモジュール性能の回復を要求される水処理分野に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
最近、河川水や地下水等の自然水の浄水処理において、凝集沈殿に代わる処理方法として膜分離技術を適用する処理方法が注目されている。中空糸膜を利用したモジュールは、容器の形状にこだわらすに容器に装着でき、物理洗浄し易いことから浄水処理用として多く採用されている。
【0003】
浄水処理に使用されるモジュールは、供給水を最大限に回収処理し有効利用するために、高回収率(回収率=透過水と供給水の流量比)のモジュール設計を要求される。また、高回収率運転のためにモジュール内の膜の一次側が高濃度に濃縮されるのみならず、逆浸透膜やナノ濾過膜の場合はモジュール内の膜の一次側の流量が非常に少なく、膜表面での線速度が非常に低い状態となる。一般にはこの状態では、中空糸膜面の全域に偏流を生じさせずに均一に分配供給させる事は外圧型のモジュールの場合非常に困難である。モジュール内で偏流が生じると膜を有効に利用出来ず、分離効率が著しく低下する。また、モジュール内の膜の1次側に非常に低速で高濃度の液体が流れると、膜表面にファウラントが付着沈降し、分離に寄与する膜表面を被覆・劣化させ著しく分離能力が低下する。そのため高回収率が要求される浄水処理においては、偏流およびファウリングの双方を解消するモジュール設計が必要である。
【0004】
しかしながら、従来のモジュールでは、偏流を抑制するために極端に高い充填率で中空糸膜を束ねることにより、中空糸膜の均一配置をはかり、モジュールに均一分配流を生じさせたモジュール設計がなされている。また、片端を樹脂で容器に固定し反対の中空糸膜端部をループ状にし抵抗体として均一分配流を生じさせたモジュール設計がなされている。
【0005】
また、偏流を抑制するために中空糸膜を交差配列で巻上げ中空糸膜束とし、中空糸膜束中に筒状物を設け中空糸膜束の断面方向の中央部への流れを生じさせたり、軸方向の流れを持たせたモジュール構造を有する中空糸膜モジュールが特開昭52−49987号公報、特開昭52−63179号公報、特公昭54−5796号公報、特開昭63−1404号公報に開示されている。
【0006】
また、容器内に中空糸膜束を数束配列し中空糸膜束群とし、両端を樹脂で固定した中空糸膜モジュールが、特開昭61−103503号公報、特開平9−206563号公報に開示されている。
【0007】
また、中空糸膜束に垂直な断面方向の中央部に原水を供給するために、中空糸膜束を固定する樹脂端部に貫通孔を開けた中空糸膜モジュールが特開平9−187628号公報、特開平9−220446号公報に開示されている。また、該樹脂端部の貫通孔の製造方法としてチューブ状物や貫通孔の鋳型をあらかじめ装着し、中空糸膜束の端部接着後抜き取るモジュール製造方法もまた、特開平9−187628号公報、特開平9−220446号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、極端に高い充填率で中空糸膜を束ねたモジュールでは、中空糸膜束を容器に挿入する時に中空糸膜を損傷しやすくモジュール製造が非常に困難になる。また、低い空隙部のため、モジュールサイズが大きくなると中空糸膜束の断面の半径方向の流動抵抗が大きくなり、被処理水が径方向に均一に分配されない。その結果、偏流を助長し膜が有効に使用されず分離効率が悪くなる。さらに、高回収率を要求される浄水処理では、膜の一次側が高濃度に濃縮されるため高充填率では中空糸膜表面のみならず、中空糸膜の間隙もファウリングが生じやすくなり、透水量の低下、長期連続運転が困難となる。また、ファウラントを物理洗浄する場合、逆に中空糸膜の高充填率化が洗浄の妨げとなり洗浄効率を低下させる。
【0009】
片端を樹脂で容器に固定し反対の中空糸膜端部をループ状にし抵抗体として均一分配流を生じさせたモジュールでは、ループ状中空糸膜端部分で高濃度に濃縮された濃縮水のためファウリングが生じやすくなる。さらに、ファウラントを物理洗浄する場合、片端にループを持った中空糸膜束群の形状が損なわれやすく再現できない。また、偏流を抑制するために中空糸膜を交差配列で巻上げ、中空糸膜束中に筒状物を設け中空糸膜束の断面方向の中央部への流れを生じさせたり、軸方向の流れを持たせたモジュールでは、供給部から濃縮水排出部間の液流路すべてにおいて、均一分配流を生じさせることは困難である。また、流れ方向に中空糸膜の交差する部位があることにより高濃度に濃縮された濃縮水によりファウリングが生じやすくなる。その結果、透水量の低下、長期連続運転が困難となる。さらに、ファウラントを物理洗浄する場合は、交差配列に巻き上げられた中空糸膜がファウラント洗浄・排除の妨げとなり洗浄効率を低下させる。
【0010】
容器内に中空糸膜束を数束配列し中空糸膜束群とし、両端を樹脂で固定した中空糸膜モジュールでは、中空糸膜束内の中空糸膜間隙にファウラントが蓄積し易くなり、透水量の低下、長期連続運転が困難となる。さらに、ファウラントを物理洗浄する場合はファウラント除去困難となる。また、中空糸膜束を固定する樹脂端部に貫通孔を開け、供給水を中空糸膜束に垂直な断面方向の中央部に供給する構造を有する中空糸膜モジュールでは、供給水が樹脂端部に開けられた複数のポート部付近では均一に分散するが、中空糸膜束の軸方向の下流部および、出口ポート部付近まで均一に分散させることは困難である。さらに、この樹脂端部の貫通孔を設ける製造方法では、中空糸膜束を樹脂固定する前に、貫通孔を形成させる中空糸膜束内にチューブ状物や貫通孔の鋳型を挿入するし、中空糸膜束を接着固定した後、貫通孔を形成させるチューブ状物や貫通孔の鋳型を抜き取る。そのため、中空糸膜を折り曲げたりし損傷する可能性が非常に高い。また、小径および貫通孔間隔が狭い(例えば数ミリオーダー)場合は、中空糸膜束内にチューブ状物や貫通孔の鋳型を挿入および抜き取る作業は非常に困難である。
【0011】
高回収率を要求される浄水処理において、偏流およびファウリングの解決策は二律背反的な要素を有し、双方を同時に解消することは非常に困難である。
【0012】
本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、極端に高充填率に中空糸膜を充填することなく、中空糸膜を損傷させることなく容器に挿入することができ、高回収率運転時にも、偏流を起こさせることなく均一分配流れを生じさせ、洗浄時にファウラントの排除性に優れた物理洗浄を可能とする中空糸膜モジュールおよびその製造方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下のものである。
(1) 中空糸膜束群を容器に装着し、片端もしくは両端部を樹脂で固定し、中空糸膜の開口部に連通した少なくとも1つのポートA、容器側面に設けた中空糸膜外表面に連通した少なくとも1つのポートBおよび中空糸膜固定の樹脂端部に設けた中空糸膜外表面に連通した複数のポートCを有する中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜束の配列が中空糸膜束群の断面方向にらせん状であり、複数のポートCの配列がらせん状であり、中空糸膜束に中空糸膜束群の軸方向に垂直な断面方向に流路を複数個に分割する分配部材を具備し、少なくとも1つのポートB付近で容器に装着された中空糸膜束群が複数個に分割され、分割された中空糸膜束間に空間を配したことを特徴とする中空糸膜モジュール。
(2) 中空糸膜の充填率が40%〜80%である上記(1)に記載の中空糸膜モジュール。
(3) 中空糸膜の充填率が50%〜65%である上記(1)に記載の中空糸膜モジュール。
(4) 前記分配部材が、波型のシートと平面シートを接着、熱融着したものからなる上記(1)から(3)のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
) 接着固定されていない中空糸膜の長さが両端の接着部間距離の1.01倍以上の長さを有し揺動できる構造を有する上記(1)から()のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
(6) 接着固定されていない中空糸膜の長さが両端の接着部間距離の1.05倍以上の長さを有し揺動できる構造を有する上記(1)から(4)のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
(7) 中空糸膜束群を容器に装着し、片端もしくは両端部を樹脂で固定し、中空糸膜の開口部に連通した少なくとも1つのポートA、容器側面に設けた中空糸膜外表面に連通した少なくとも1つのポートBおよび中空糸膜固定の樹脂端部に設けた中空糸膜外表面に連通した少なくとも1つのポートCを有する中空糸膜モジュールの製造方法において、中空糸膜を束ね中空糸膜束とし、該中空糸膜束を流路を分配するための分配部材および中空糸膜固定の樹脂端部に複数個のポートを形成するためのポート分散部材上に配列し円筒状に巻き、中空糸膜束群とし、該中空糸膜束群の端部を樹脂にて固定し、固定端部を切削することにより、分割された中空糸膜束間に空間を配し、かつ規則的に分散された軸方向流路を形成し、さらに、該固定端部の一方の端部に規則的に分散された複数個のポートCを形成し、もう一方の端部に中空糸膜の開口端を形成することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
(8) 中空糸膜束の配列が、中空糸膜束群の断面方向にらせん状である上記(7)に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
(9) 中空糸膜固定の樹脂端部に設けた中空糸膜外表面に連通する複数のポートCの配列がらせん状である上記(7)に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【0014】
上記(1)のような構造にすることにより、モジュールの径方向に流れの斑を生じることなく、軸方向の液流れをほぼ均一な分配流れにし、供給部(ポートBもしくはポートC)で均一分配された流れを濃縮水排出ポート(ポートCもしくはポートB)まで持続することができる。
【0015】
本発明における中空糸膜とは、中空糸状の分離膜であって、その膜素材、膜構造および膜ディメンジョンは特に限定されない。たとえば酢酸セルロース系、ポリアミド系の非対称膜やポリアミド系、ポリスルホン系などの複合膜が挙げられる。
【0016】
本発明における中空糸膜束の充填率は次式で定義される。該充填率は40〜80%であり、好ましくは、50〜65%である。
充填率(%) =(中空糸膜外径2 ×π/4×中空糸膜本数)
/(容器空塔の軸方向と垂直な最狭部断面の面積)×100
【0017】
本発明における樹脂とは、中空糸膜を液密にシールできれば特に限定されない。例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの熱硬化性樹脂が使用できるが、必要により熱可塑性樹脂を用いることもできる。
【0018】
本発明における中空糸膜束とは、複数の中空糸膜が同方向に束ねられたものであれば良く、好ましくは数十〜数百本の中空糸膜が束ねられたもの、より好ましくは50〜200本の中空糸膜が束ねられたものである。
【0019】
本発明における中空糸膜束群とは、中空糸膜束を複数束集合させ、流路を分配する分配部材と中空糸膜固定の樹脂端部に設けた中空糸膜外表面に連通するポートCを複数個の分割するポート分散部材を有する構造体である。中空糸膜束群の軸方向に垂直な断面方向で、中空糸膜束の配列に特に限定はないが、好ましくは規則的に配列、より好ましくは同心円状、らせん状、ハニカムコア状の配列が挙げられる。また、容器側面に設けた中空糸膜外表面に連通した少なくとも1つのポートB付近で中空糸膜束群の軸方向に垂直な断面方向の中央部まで連通した空間を有することが好ましい。
【0020】
本発明における分配部材とは、中空糸膜束の間隔を規則的に配置させ、流路を分配させる構造であれば特に限定されない。例えば波形のシートと平面シートを接着、熱融着した図4に示す分配シート部材7、12が使用できる。材質としてはウレタン樹脂、エポキシ樹脂等のモジュール接着用の樹脂に接着され、溶出がなく、中空糸膜を損傷しない、ファウラントに汚染されにくい材質であれば特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0021】
本発明における上記(1)、(8)、(9)に記載のらせん状の配列とは、中空糸膜束および/またはポートCが容器の軸方向に垂直な断面の中心から渦巻き状に広がった配置であれば特に限定されないが、好ましくは容器の軸方向に垂直な断面の中心を原点とした容器の軸方向に垂直な断面上の極座標(r,θ)表示で、中空糸膜束の軸方向に垂直な断面の配列の軌跡および/またはポートCの軸方向に垂直な断面の配列の軌跡がr=αθ+β(定数α、β、kは実数)で表される配列、より好ましくはk=1/2の放物らせん配列が挙げられる。
【0022】
本発明における上記(2)に記載の中空糸膜閉口端部を固定する樹脂端部に設けた中空糸膜外表面に連通するポートCとは、モジュールの原水の供給ポートまたは濃縮水排水の濃縮ポートであり、少なくとも1つを有する。好ましくは複数のポートはほぼ均等に規則的な配列を有する。より好ましくは同心円状、らせん状、ハニカムコア状の配列を有する。
【0023】
本発明における中空糸膜束の接着固定されていない中空糸膜の長さは、両端の接着部間距離の1.01倍以上の長さであり、好ましくは1.05倍以上の長さを有し、中空糸膜が容器内で揺動できる構造が挙げられる。このことにより、浄水処理中に中空糸膜が揺動することができ、中空糸膜表面および中空糸膜間隙へのファウラントの付着蓄積を抑制することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づき中空糸膜モジュールの詳細およびその製造方法について説明する。図1に本発明の中空糸膜モジュール、図2に供給ポート付近の断面図、図3に接着端部の濃縮ポートの断面図を示す。
【0025】
本発明の中空糸膜モジュールは、図1に示すように供給水が入る供給ポート51をもつ容器1と容器1内に装着された中空糸膜束群13および、処理された透過水と濃縮水を排出するキャップ2、3を有する。そして、この中空糸膜束群13は図4に示すように、中空糸膜束4が分配部材7およびポート分散部材12を装着し束ねられて構成されている。ポート51付近の中空糸膜束群は、中空糸膜束群の軸方向に垂直な断面の外側と中央部間に連通した空間8と中空糸膜束群の軸方向に垂直な断面方向に流路を複数個に分割する分配部材7を有する。また、複数個に分割された分配流路9は図2に示すよう規則的に分配されている。中空糸膜束4は接着固定されていない中空糸膜の長さが、両端の接着部間距離の1.05倍以上の長さで装着されており、容器1内で揺動できる構造となっている。透過水は樹脂5で固定された、開口部をもつ中空糸膜部の透過水ポート53より流出され、濃縮水は樹脂6で封鎖した端部の複数に分散された濃縮ポート52より排出される。図3に分配された濃縮ポート52部分の断面図を示す。
【0026】
以下に本発明の中空糸膜モジュールの製造方法の一例について説明する。中空糸膜モジュールは、分配部材7およびポート分散部材12の谷部に中空糸膜束を整列させ、シート状となった中空糸膜束の集合体をロール状に巻き中空糸膜束群13とする。このとき、ポート分散部材12は樹脂固定端部に濃縮ポートの開口部分を形成させるため、波形シートと平面シートで区切られた空間の一部を樹脂であらかじめ封鎖しておくと製造工程が簡略化される。このときの樹脂は中空糸膜の端部を固定した樹脂と同様のものであれば特に限定はない。ロール状に巻かれた中空糸膜束集合体13を容器1に挿入し、両端にモールド14、15を装着し、中空糸膜束群の両端部を遠心接着法あるいはポット接着法等で樹脂を含浸させ接着固定する。ポート分散部材12も同時に樹脂に含浸させ接着固定する。樹脂硬化後モールドを外し余剰部分を切削する。このとき、中空糸膜閉口端側の樹脂端部に、ポート分散部材12の波形シートと平面シートに区切られた空間部分が、複数の樹脂端部貫通孔として形成する。
【0027】
以上の製造工程により、原水供給部より濃縮水排出部間の液流路すべてにおいて、均一分配流を生じさせることができる中空糸膜モジュールが得られる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
実施例1
ポリアミド系ナノ濾過中空糸膜(中空糸膜外径 300μm 、中空糸膜内径 200μm )を 150本束ねて中空糸膜束とし、塩化ビニル製の分配部材(軸方向長さ15mm)および端部を樹脂で封鎖したポート分散部材上に32束の中空糸束(中空糸総本数4800本)を整列させ、ロール状に巻き中空糸膜束群を作製した。この中空糸膜束群をポリカーボネート製の円筒容器に、中空糸膜束の接着固定されていない中空糸膜の長さが、両端の接着部間距離の1.05倍の長さとなるように挿入した。充填率は53%であり、両端部をエポキシ樹脂で遠心接着し余剰部分を切削して、中空糸膜モジュールを製造した。このモジュールを用いて、濃度500ppmの塩化カルシウム水溶液を使用し、供給圧力3kg/cm2、温度25℃、pH6の条件での塩化カルシウムの除去率の線速度依存性を測定した。図6に示すように、低線速度領域(at2m/min)での除去率比は0.9となった。線速度2.5m/min 以上で除去率はほぼ一定になった。
除去率比=(モジュールでの除去率)/(中空糸膜の除去率)
線速度=(供給水流量+濃縮水流量)/2/ (容器の軸方向に垂直な断面の空隙面積)
【0030】
実施例1の中空糸膜モジュール1本を使用して、活性炭フィルター(ADVANTEC社製、TCC−W1SOCO)を通した大津市内水道水にて、水道水圧(2.0〜2.3kg/cm2)で回収率80%にて連続運転を行った。連続運転期間中は洗浄は実施せずに定回収率運転を行った。連続運転中の透水量比は図7に示すように変化し、48時間後と1ヶ月後の透水量比は、0.96であり透水量の低下は微少であった。
透水量比=(1ヶ月後の透水量)/(48時間後の透水量)
【0031】
比較例1
実施例1と同様の中空糸膜および円筒容器を用いて、中空糸膜を6900本とし一束に束ね充填率77%として、分配部材およびポート分散部材を使用せずに、中空糸膜モジュールを製造した。このモジュールを用いて濃度500ppmの塩化カルシウム水溶液を使用し、供給圧力3kg/cm2、温度25℃、pH6の条件で、塩化カルシウムの除去率の線速度依存性を測定したところ、図6に示すように、低線速度領域(at2m/min )での除去率比は0.7となった。
【0032】
比較例1の中空糸膜モジュール1本を使用して、活性炭フィルター(ADVANTEC社製、TCC−W1SOCO)を通した大津市内水道水にて、水道水圧(2.0〜2.3kg/cm2)で回収率80%にて連続運転を行った。連続運転期間中は洗浄は実施せずに定回収率運転を行った。連続運転中の透水量比は図7に示すように変化し、48時間後と1ヶ月後の透水量比は0.65であり大幅に透水量が低下した。
【0033】
比較例2
実施例1と同様の中空糸膜および円筒容器を用いて、中空糸膜を4750本とし一束に束ね充填率53%として、分配部材およびポート分散部材を使用せずに、中空糸膜モジュールを製造した。このモジュールを用いて濃度500ppmの塩化カルシウム水溶液を使用し、供給圧力3kg/cm2、温度25℃、pH6の条件で、塩化カルシウムの除去率の線速度依存性を測定したところ、図6、に示すように、低線速度領域(at2m/min)での除去率比は0.3となった。
【0034】
実施例1および比較例1、2の結果の一覧を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003994294
【0036】
【発明の効果】
本発明の中空糸膜モジュールは、河川水や地下水などの自然水の浄水処理あるいは水道水の高度浄水処理に、特に高回収率で長期連続運転が要求され、物理洗浄等により膜性能の回復を要求される水処理分野において、モジュール内が低い線速度で運転した場合においても、均一分散流を供給部から濃縮排水出口に渡って、偏流を起こさずに膜を有効利用し分離効率を高めることができ、ファウラントの付着蓄積を抑制し、透水量が著しく低下することなく連続安定運転することが可能である。また、洗浄時において洗浄媒体の中空糸膜束の軸方向に垂直な断面に均一な分配流れを作り出し、洗浄効果により脱離したファウラントを排除し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中空糸膜モジュールの一例を示した模式図
【図2】供給ポート付近の供給水分配部分の一例を示したA−A' 断面図
【図3】複数に分散されたポートをもつ樹脂固定部の一例を示したB−B' 断面図
【図4】中空糸膜束群およびその製造方法の説明図
【図5】中空糸膜束群を容器、モールドに装着した一例を示した模式図
【図6】除去率の線速度依存性グラフ
【図7】水道水の回収率80%での連続運転結果
【符号の説明】
1 容器
4 中空糸膜束
5、6 固定樹脂
7 分配部材
8 連通した空間
9 分配流路
11 樹脂封鎖部
12 ポート分散部材
13 中空糸膜束群
14、15 モールド
51 供給ポート(ポートB)
52 濃縮ポート(ポートC)
53 透過ポート(ポートA)

Claims (9)

  1. 中空糸膜束群を容器に装着し、片端もしくは両端部を樹脂で固定し、中空糸膜の開口部に連通した少なくとも1つのポートA、容器側面に設けた中空糸膜外表面に連通した少なくとも1つのポートBおよび中空糸膜固定の樹脂端部に設けた中空糸膜外表面に連通した複数のポートCを有する中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜束の配列が中空糸膜束群の断面方向にらせん状であり、複数のポートCの配列がらせん状であり、中空糸膜束に中空糸膜束群の軸方向に垂直な断面方向に流路を複数個に分割する分配部材を具備し、少なくとも1つのポートB付近で容器に装着された中空糸膜束群が複数個に分割され、分割された中空糸膜束間に空間を配したことを特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 中空糸膜の充填率が40%〜80%である請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
  3. 中空糸膜の充填率が50%〜65%である請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
  4. 前記分配部材が、波型のシートと平面シートを接着、熱融着したものからなる請求項1から3のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
  5. 接着固定されていない中空糸膜の長さが両端の接着部間距離の1.01倍以上の長さを有し揺動できる構造を有する請求項1から4のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
  6. 接着固定されていない中空糸膜の長さが両端の接着部間距離の1.05倍以上の長さを有し揺動できる構造を有する請求項1から4のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
  7. 中空糸膜束群を容器に装着し、片端もしくは両端部を樹脂で固定し、中空糸膜の開口部に連通した少なくとも1つのポートA、容器側面に設けた中空糸膜外表面に連通した少なくとも1つのポートBおよび中空糸膜固定の樹脂端部に設けた中空糸膜外表面に連通した少なくとも1つのポートCを有する中空糸膜モジュールの製造方法において、中空糸膜を束ね中空糸膜束とし、該中空糸膜束を流路を分配するための分配部材および中空糸膜固定の樹脂端部に複数個のポートを形成するためのポート分散部材上に配列し円筒状に巻き、中空糸膜束群とし、該中空糸膜束群の端部を樹脂にて固定し、固定端部を切削することにより、分割された中空糸膜束間に空間を配し、かつ規則的に分散された軸方向流路を形成し、さらに、該固定端部の一方の端部に規則的に分散された複数個のポートCを形成し、もう一方の端部に中空糸膜の開口端を形成することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
  8. 中空糸膜束の配列が、中空糸膜束群の断面方向にらせん状である請求項7に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  9. 中空糸膜固定の樹脂端部に設けた中空糸膜外表面に連通する複数のポートCの配列がらせん状である請求項7に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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