JP3992709B2 - 扉用減速装置 - Google Patents

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Description

本発明は扉の閉鎖時の減速装置に関するものである。
従来からドアの閉鎖時に減速させてゆっくりと扉を閉じる機構を有する装置としてはドアクローザーが用いられており、自動的に扉を閉鎖すると共に閉鎖最終段階で比較的ゆっくりと扉を閉じ、枠体との衝撃や衝突音を発生させにくいようにする役割も兼ねている。
その機構としてシリンダー内部にばねとピストンを挿入し、扉の開閉に連動するアームの回転動作によりピニオンが回転し、ピニオンと係合しているラックの移動動作でピストンを直線運動させ、ピストンにより区切られた2室間をシリンダー内に充填されたオイルおよびエアーがオリフィスを通して流動することにより負荷をかける構成のものが多く、基本機構に油圧や空気圧を利用したものがほとんどである。この機構の特徴は扉を閉鎖したときに途中の角度位置で一旦確実に低速度にまで減速し、その後緩やかに最後まで閉じることができる点で、大きく扉を開けた状態からでも、僅かに扉を開けた状態からでも同様の閉鎖動作が得られる。
これらのドアクローザーは、制動装置本体を扉に取り付け、2本のアームを折りたたんだような状態で連結し、連結した2本のアームの片端を上枠に、他端を制動装置本体に取り付け、扉の開閉とともにアームの角度が変化する動作をピストンの移動動作に変換する構成と、制動装置本体の片端を扉に水平方向に回動自在に装着し、先端がピストンと連結された1本のアームの端部を枠体に回動自在に装着し、扉の開閉とともにアームが直管型のシリンダー内をピストンとともに移動する構成との、大きく分けて2タイプがある。前者に該当するタイプを基本としてさらに改良されたものが特開2000−192726公報や特開2001−303847公報等に多数開示されており、後者に該当するタイプのものが特開2003−193740公報等に多数開示されている。
しかし、これらのドアクローザーは優れた性能を有するものの、圧力の変わるオイルを確実に密封する必要があり、どうしても構造が複雑になり部品点数も多く、コスト面で高価になるという問題点を有している。また閉鎖動作としては制動装置本体側のアーム端部に連結されたピニオンを支点位置で回転させるため非常に力の強いばねが必要になり、上記強度に対応できる高強度のラックやピニオン等をも内蔵させなければならない。また空気圧を用いた構成においてもほぼ同様である。したがって制動装置全体としてはかなり大きな形状になり、サイズ面でコンパクト性に欠け、デザイン面でもあまり好ましくないことが挙げられ、その結果比較的安価な室内ドアや勝手口ドア等には余り用いられていないのが現状である。
特に室内ドアにおいては最近自動閉鎖動作の有無よりも、強く閉じ放った場合での枠体と扉の衝突音や衝撃が重要な問題とされてきている。そこで扉を自動的に閉鎖する引寄せ動作を有しないコンパクトな形状でこの問題を解消できる装置が望まれている。しかし手で扉を閉鎖する場合においても様々であり、思いっきり強く閉じ放った場合や、軽く閉じた場合や、手でレバーハンドル等を持ったままゆっくりと閉じる場合等が考えられ、それぞれの条件において適正に対応できる構成が必要である。
当然扉をゆっくりと閉じる場合においては特に減速動作は必要ないのであり、強い力で閉じ放った場合において閉鎖最終段階で減速させる機構が必要とされる。しかし単に強く閉じた場合といってもその程度は様々であり、扉を大きく開けている状態で強い突風により急激に閉じるような非常に閉鎖速度が速い場合から、解放後に手で扉を軽く押し放つ程度まで幅広く想定される。したがって、このとき必要とされる条件としては、(1)極遅い閉鎖操作では減速動作にならず、一定速度以上の閉鎖操作のときにのみ減速動作が実施される。(2)閉鎖速度の強弱に比例した減速量が得られる。(3)減速途中で停止したとして、その後に再度完全に閉鎖させるときにも操作が重くならない。(4)閉鎖状態から扉を開放するときは操作が重くならない。(5)コンパクトな形状であり、簡単に扉や枠体に内蔵させることができる。等が考えられる。
このような条件を完全に満たす減速装置は扉用としてはまだ無く、単に減速させるだけの機構としては引戸に装着する設定のもので、特開平07−139241公報や特開平09−072154公報や特開平09−317318広報等に報告されており、これらの構成をある程度は扉に転用することが可能と考えられる。
特開2000−192726公報 特開2001−303847公報 特開2003−193740公報 特開平07−139241公報 特開平09−072154公報 特開平09−317318広報
しかし上記の構成は、戸体が閉じる直前に摩擦やばねの力により負荷を与えるか、歯車と連動する粘性の高いオイルを封入した簡単なダンパ等をラックに係合させることにより負荷を与えて減速するだけの機構を用いたものがほとんどである。したがって、閉鎖速度の大小にかかわらず閉鎖時に常に同じように減速動作を実施してしまうため、ゆっくりと閉じた場合にも最終段階で閉鎖操作が重くなってしまう。またばねや摩擦力を負荷として用いる構成では減速量が一定であり、非常に強く閉鎖したときに減速し切れなくなってしまうことも懸念される。さらには完全に閉鎖する直前で停止した場合には再度最後まで完全に閉じる必要が生じるが、この段階で減速動作による負荷がかかったままになっており、その後の再閉鎖操作が非常に重くなることも重要な問題として挙げられる。
また開放時の操作においては、特開平09−317318公報のように減速のための摩擦が発生する方向を閉鎖方向のみになるように構成し、開放方向である逆の方向には負荷はかからずフリーになるような構成を兼ね備えているものが報告されている。また歯車に連動した減速部材をラックに係合させる構成で、ラックを長くして距離を利用して減速させる構成では全体の減速量を閉鎖速度に略比例させることができる。しかしこれらにおいても他の必要条件は満たしておらず、まだ完全なものとは考えにくい。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、常に扉と枠体を連結するアーム等を装備するドアクローザーのような大掛かりな構成ではなく、かつ複雑な油圧や空気圧の機構を用いず、比較的単純でかつコンパクトに形成できることを前提条件とし、ゆっくりと扉を閉鎖した時は減速動作にならず、一定速度以上の閉鎖動作の際にのみ減速動作になり、この減速動作においては扉の速度の大小に略比例した無段階的な減速量が得られ、閉鎖最終段階で停止した場合には、その後の扉を完全に閉鎖させる操作においては減速のための負荷はかからず、さらには開放操作においても全く余分な負荷が発生しない扉の減速装置を提供することを目的とする。
本発明では上記問題点を解決するために次の技術手段を設けた。まず歯車と連動しかつ歯車の回転時に一定の負荷がかかる構成の減速部材をケースに組み込んだ本体装置と前記歯車に噛み合う凹凸を有したラックとを設ける。そして扉と枠体に本体装置とラックを振り分けて装着し、扉が完全に閉鎖する直前位置で両者が近接するようにしておく。次に歯車若しくはラックを一定距離のみ移動可能な状態に保持し、扉の閉鎖動作中に歯車若しくはラックのどちらか片方が他方側に移動して歯車とラックが噛み合う係合手段と、扉が停止するか若しくは所定の低速度になった段階で歯車とラックが外れる離脱手段とを有する係脱機構を設けておく。
ここで前記歯車とラックの配置と向きとしては、歯車の軸の中心線が横向でかつラックの凹凸は上下向で、扉の戸先側と縦枠に本体装置とラックを振り分けて装着する配置であり、歯車若しくはラックのどちらか片方が一定距離のみ他方側に横方向に移動可能な状態にて構成しておく。また別の歯車とラックの配置と向きとしては、歯車の軸の中心線が上下向きでかつラックの凹凸が横向きで、扉の上部と上枠に本体装置とラックを振り分けて装着する配置であり、歯車若しくはラックのどちらか片方が一定距離のみ他方側に上下方向に移動可能な状態にて構成しておく。
この歯車若しくはラックのどちらかを、互いが係合する方向へ移動する手段や、離脱させる手段においては多数の機構にて可能である。第一の係合手段としては、歯車若しくはラックの移動動作可能な方を扉に装着し、扉を閉鎖するときに発生する遠心力により歯車若しくはラックのどちらか片方を他方側に突出させる動作であり、一定以上の強さの遠心力が発生したときにのみ歯車若しくはラックの突出移動動作が実行されるように設定しておくと、強く扉を閉鎖したときだけ歯車とラックが噛み合って減速動作が得られ、ゆっくりと閉鎖したときは両者は噛み合わず、負荷がかからないままの閉鎖動作になる。
この扉を閉鎖するときの遠心力を用いた第一の係合手段では、本体装置とラックとを扉と枠体に振り分けて装着するときの配置において2通り設定することができる。第一の係合手段での最初の構成は、両者を戸先側縦枠と扉の戸先面に振り分けて装着する配置であり、この場合では歯車若しくはラックの出没移動可能なほうを戸先側に装着しておくとよく、すると扉の閉鎖時の遠心力がそのまま移動する方向にかかることになる。この構成での離脱手段は、極弱い力の離脱用ばねにて出没移動可能なほうを引き付けておくことで実施できる。つまり通常時には両者は係合する位置になっておらず、高速度で扉を閉鎖した段階で初めて遠心力により離脱用ばねの力に打ち勝って突出移動して係合する配置になり、閉鎖最終段階で両者が噛み合って扉を減速し、停止するか若しくは非常に低速度になった段階で遠心力は減少し、同時にラックと歯車の接点に発生する摩擦力も減少するため、離脱用ばねの力が勝って離脱動作が実施されることになる。
また遠心力を用いた第一の係合手段における次の構成は、上枠と扉の上面に本体装置とラックを振り分けて装着する配置であり、歯車若しくはラックのどちらかを移動部材に組み込んでおくとよい。この構成では移動部材を上下方向に出没させる必要があるため、移動部材に傾斜面を形成し、さらに同様の傾斜面を有した駆動部材を設け、両方の傾斜面同士を面対させて配置する。すると遠心力による駆動部材の扉面と平行な方向の移動動作を傾斜面により上下動作に変換させることができ、移動部材を持ち上げる動作が得られる。したがってこの構成での離脱手段は移動する部材の自重による落下動作にて実施できる。つまり減速動作後に扉が停止するか若しくは閉鎖速度が減少し、遠心力より自重による落下しようとする力が上回った段階で歯車とラックが離脱することになる。
また第二の係合手段としては、本体装置に歯車と連動した突出部分を設け、ラックに当接部材を設け、本体装置がラックに接近した段階で突出部分と当接部材が衝突する動作により連動させて歯車とラックを係合させる構成が可能である。この構成においても多数の機構を用いることが可能であり、以下に主な構成として2点説明する。最初の構成としては、突出部分を有した回転部材を設け、回転部材の回転軸を境とした片側に歯車と減速部材を組み込み逆側に突出部分を配置し、回転部材をケースに回動自在に組み込んで本体装置を構成する。そしてラックの端部から一定距離隔てた位置に当接部材を装着する。すると扉の閉鎖最終段階での所定位置にて当接部材と突出部分が衝突し、歯車がラック側に回動する動作になる。このとき突出部分が当接部材に押し込まれただけではラックと歯車は係合する配置にはならず、一定以上の強さで両者が衝突し、跳ね飛ばす動作になった場合にのみラックと歯車が係合するように設定するとよい。
さらに衝突動作を用いた第二の係合手段での次の構成としては、傾斜面を有する複数の移動部材を設け、その内の一個の移動部材に減速部材と歯車を、もう一個の移動部材に突出部分を配置し、各移動部材の傾斜面同士が接面した状態でケース内に組み込んで本体装置を構成する。そしてラックの端部から一定距離隔てた位置に当接部材を装着する。すると当接部材と突出部材との衝突により互いが押し合って連動して歯車をラック側に移動させる動作になる。この構成も最初の係合手段と同様に、突出部分が当接部材に押し込まれただけではラックと歯車は係合する配置にはならず、一定以上の強さで両者が衝突し、跳ね飛ばす動作になった場合にのみラックと歯車が係合するように設定しておくとよい。
第二の係合手段を用いたときの離脱手段としては、本体装置とラックを縦枠と戸先側に振り分けて装着した場合には、離脱用ばねを減速部材若しくは歯車とケース間に配置し、歯車を常にラックから離脱する方向に付勢させるとよい。また上枠と扉上部に装着した場合は、回転部材の回転軸を挟んだ両側の重量バランスによる自重での下方向への回転動作を用いるか、若しくは歯車や減速部材の自重による自然落下動作を用いるとよい。つまり減速動作により扉が停止するか若しくは閉鎖速度が減少した段階で、歯車とラックの接点に発生する摩擦力よりもばねの力か若しくは自重により落下しようとする力が上回った段階で歯車とラックが離脱することになる。
したがって前記係脱機構により、扉をゆっくりと閉鎖させたときは減速動作にはならず、一定速度以上での閉鎖時にのみ減速動作を実施し、閉鎖速度の強弱にかかわらず停止状態までか、若しくは一定の低速度にまで減速を連続させることが可能であり、減速終了後には離脱手段により即座に減速動作を解除することができる。その結果停止後残った開放分を再度閉じる際に操作が重くなる現象を排除することが可能になる。また扉が閉じているときは確実にラックと歯車は離脱状態にあり、したがって扉を開放する時点では減速部材の負荷はかかっておらず、開放の際の初期操作は通常と同じ状態で実施可能である。
ここで、第二の係合手段を用いた構成での開放動作においては、開放途中で突出部分が当接部材に当接して回転部材が一旦は回転する動作になるのであるが、このときも扉を手で開ける初期操作で急激に開け放つことはほとんど無く、跳ね飛ばすほどの力はかからないため、開放操作では減速動作にはならない。したがって減速部材はどちらの方向に回転させても同じだけの負荷がかかる最も単純で安価とされているものでよい。また、歯車が回転することにより一定の負荷を発生させる減速部材の機構はどのようなものであっても良く、ばねの押し圧力と摩擦力とを利用して回転時に負荷をかけるトルクヒンジ(スイーベルヒンジ)のような構成や、ハウジング内のオイルを歯車と連動した羽根状の部材がオイルを押しのけながら回転することで負荷をかけるロータリーダンパのような構成が適している。
また、扉を開放状態から常に閉じる方向に付勢する単純な引寄せばねによる閉鎖装置を本発明の減速装置と共に併せて装着しておき、扉の開放後に自動的に閉鎖するように設定しておくと、開放後に閉じ放った状態と同じになり、同様の減速動作が得られることになる。また減速終了後に停止した段階で離脱手段が実施され、その段階でまだ扉に閉鎖力がかかっておれば引き続きそのまま完全に扉を閉鎖させることも可能である。しかしこの閉鎖動作はあくまでも両者の機構を併せたものであり、完全に閉鎖する一歩手前の減速開始位置までは一気に閉じる動作になり、離脱動作後の最終閉鎖に関しても確実に実施するには細かい条件設定が必要と想定される。
係合手段と離脱手段を有する係脱機構を設けたため、閉鎖時には扉の所定の速度を境として減速動作になる場合とならない場合に分けることができ、扉をゆっくりと閉じたときには減速のための負荷はかからず、操作が重くならないようにすることができ、所定以上の高速度で閉じたときのみに減速動作を実行して枠体との衝突を防止するように設定することが可能である。
離脱手段を設けたことにより、減速後に停止した段階でラックと歯車を離脱させることができ、その後に再度完全に閉鎖するときの操作に減速部材の負荷がかからないようにすることが可能である。また扉が完全に閉鎖した状態では確実にラックと歯車は離脱状態であるため、開放動作において操作が重くならず、扉を通常の軽い操作にて開放できる。
減速部材と連動した歯車がラックと係合して回転する動作で減速のための負荷を得る構成を用いたことにより、歯車の単位回転あたりの減速部材の負荷を適宜設定し、かつラックの長さを変えることで全体の減速量を任意に設定でき、速度に略比例した減速量が得られ、幅広い閉鎖速度に対して確実に停止若しくは非常に低速度にまで減速させることが可能になる。
歯車を有する減速部材と移動部材とケースからなる本体装置とラックのみの非常に簡単な構成であり、部品点数も少なく安価に提供可能である。また厚みの薄い扉でも容易に内蔵させることができ、本体装置自体はまったく外部からは見えず、ラックが戸先面か若しくは枠体の面に面一の状態で露出するだけであり、ドアのデザインを損ねることも無い。
本発明の減速装置を装着することにより、閉鎖最終段階での扉の速度を大幅に減少することができ、指詰めの危険性を低減できる。
コイルばねを組み込んだ閉鎖機構付き丁番や、ばねにより扉を引寄せる閉鎖装置やグラビティヒンジを併せて用いると、減速終了後引き続き最後まで完全に閉鎖させることも可能であり、簡単な減速動作付き閉鎖装置として発展させることができる。
以下図面に基づいて本発明に関する扉用減速装置の実施の形態を説明する。図1〜図6は本発明の第一実施形態を示しており、図1は第一実施形態での減速装置を扉18の戸先面17と縦枠19に装着し、急激に扉18を閉じた場合での閉鎖最終段階を示す斜視図である。図1に示すように第一実施形態での減速装置は本体装置aとラック部材bとからなり、本体装置aは歯車1と、歯車1の回転動作に連動して負荷を発生する減速部材2と、移動部材3と、本体ケース4と、弱い引きばねである離脱用ばね5から構成され、ラック部材bはラック7とラックケース6とから構成される。
この減速部材2の、歯車1が回転することにより一定の負荷を発生させる機構はどのようなものであっても良いが、耐磨耗性能に優れた材質のワッシャ状の部材にて複数の皿ばね座金を挟み込んで歯車1と連動して回転するように組付けた、ばねの押し圧力と摩擦力とを利用して回転時に負荷をかけるトルクヒンジ(スイーベルヒンジ)のような構成や、ハウジング内に粘性の高いシリコンオイルと羽根状の部材とを収容して0リングにて密封されており、歯車1が回転するとこの羽根状の部材が連動して回転し、オイルを押しのけながら回転することで負荷をかけるロータリーダンパのような構成が適している。
図2は扉18が停止している状態での本体装置aの斜視図であり、歯車1の中心線が扉18と平行でかつ横向きになるように配置し、減速部材2と共に移動部材3に組み込む。そして移動部材3を本体ケース4内に挿入し、歯車1の中心線に沿って一定距離のみ直線移動できるように構成する。また移動部材3と本体ケース4間に弱い引きばねである離脱用ばね5を組み付け、常に歯車1が本体ケース4内に没するように付勢しておく。すると図2のように通常の状態では歯車1は離脱用ばね5により引っ張られて本体ケース4内に没した状態になる。
次に扉18を大きく開放した状態から高速度で閉じると、移動部材3に対して遠心力が歯車1の中心線の戸先方向に働き、歯車1を含む移動部材3が図1のように扉18の戸先面17から突出する。図3はこの歯車1の出没動作を示した平面図であり、図3(a)は歯車1が本体ケース4内に没した状態を、図3(b)は歯車1が本体ケース4から突出した状態を示している。ここで移動部材3は常に離脱用ばね5により引っ張られているため、歯車1が突出するにはこの離脱用ばね5の力より遠心力が強く働く必要がある。したがって離脱用ばね5はかろうじて移動部材3を没した状態で保持する程度の極弱い力に設定しておくとよい。
そして図1に示す遠心力にて歯車1が突出している状態からそのままさらに扉18が閉鎖すると、歯車1とラック7が係合して減速動作が実行され、その結果扉18の速度は低下して同時に遠心力も減少し、扉18が完全に停止すると遠心力もなくなる。すると離脱用ばね5の力により移動部材3が本体ケース4内に引き込まれ、歯車1がラック7から外れることになる。その結果停止後に残っている僅かな開放部分を再度閉じる操作においては減速部材2の負荷はかからず、通常での閉鎖と同じ軽い操作で扉18を完全に閉じることが可能になる。さらには完全に扉18が閉じた状態では確実に歯車1はラック7から外れた状態であり、開放動作では歯車1とラック7は係合しないため、扉18の開放操作においては余分な負荷は全くかからないことになる。したがって減速部材2は歯車1がどちらの方向に回転しても同じだけの負荷を発生させる単純で安価なものを使用することが可能になる。
また図4に示す開放した状態からレバーハンドル錠等を持って扉18をゆっくりと閉じるような場合では、閉鎖速度は遅く当然遠心力もほとんど発生しないため、離脱用ばね5の力より遠心力が強くなることは無い。したがって図4に示すように低速度での閉鎖操作では歯車1は突出しないことになり、当然減速動作にはならず通常と同じ閉鎖動作になる。ここで、どの程度の閉鎖速度に達した段階で減速動作が必要かはドアの種類や重量によっても様々であり、この減速動作を実施するかしないかの分岐点を最適な条件になるように設定できなければならない。
ここで重要と想定される因子は、歯車1と減速部材2を含む移動部材3全体の重量と、出没動作するときの移動部材3と本体ケース4内面の摩擦と、離脱用ばね5の引寄せ力であり、この3因子を適宜設定することにより必要な閉鎖速度において減速動作を実施させることができる。特に移動部材3と本体ケース4内面との摩擦は気候条件や埃などにより変化することが予想され、条件設定においては不確定でよくない。またこの摩擦力が大きい状態では、扉18が停止した後で移動部材3を確実に引き込むために離脱用ばね5の力を強くする必要があり、このことは遠心力に対する歯車1の突出動作の妨げになる。そこで、図3に示すようにローラー状の転動部材8を本体ケース4に取り付け、その上に移動部材3を乗せるような構成にするとコロの役割を果たし、上記の出没動作の際の摩擦力を非常に小さくすることが可能である。したがって条件的には移動部材3の出没に対する摩擦は極力小さい状態に設定しておき、非常に弱い離脱用ばね5にても十分引き込むことが可能になるようにしておき、遠心力による突出するタイミングのみを離脱用ばね5の力を任意に調整することで設定するとよい。
また廊下等の扉18で、強く風が吹きぬけた際などに扉18が急激に閉じることがあり、このような非常に速い閉鎖速度の場合においても十分に減速できることが必要である。ここで全体の減速量は歯車1の回転による減速部材2の単位回転あたりの負荷と回転角度にて設定され、大きい回転角度にて減速させるほど単位角度あたりの負荷は小さくて済む。しかしその場合では当然ラック7の長さがある程度以上必要になり、図1に示すようなラック部材bを縦枠19内に内蔵するような構成ではどうしても単位回転あたりの負荷を大きくしなければならない。するとラック7と歯車1の係合開始時には比較的急激に減速することになる。そこで図5に示すようにラック7を縦枠19から手前側に持ち出して長い距離係合できるようにすると、比較的ゆっくりと減速させることが可能になる。
つまり減速動作を必要とする所定速度以上での閉鎖条件においては、扉18を大きく開け放ってから勢いよく閉じた場合は閉鎖速度が非常に大きく、当然遠心力も強く作用し、歯車1は勢いよく突出し、減速段階では歯車1とラック7が係合している距離が長くなり、全体の減速量も大きくなる。また、かろうじて歯車1が突出するだけの遠心力が発生する程度の力で扉18を閉じた場合は閉鎖速度も比較的小さく、減速段階では歯車1とラック7が係合する距離は短く、すぐに扉18は停止し全体の減速量も小さくなる。したがって扉18の速度の大小に略比例した減速量が得られることになる。
第一実施形態での減速装置を取り付ける位置は縦枠19と戸先面17のどの位置でも可能であるが、ラック部材bの端部入り口部分が見えるため、中央位置ではなく上部位置か下部位置に配置するとよい。また同時に複数個、たとえば上下両方の位置に本発明の減速装置を2個取り付けることも可能であり、この場合は全体の減速量も2倍になる。さらに上下どちらか片方に減速装置を1個取り付けた場合では、減速時に扉18の他方側が捻じれるような動作になるのであるが、上下に2個取り付けた場合はバランスのよい減速動作が得られ、減速条件を向上させることができる。また図1では本体装置aを扉18の戸先側の厚み部分に内蔵し、ラック部材bを縦枠19に掘り込んで装着しているが、当然両方を面付けにすることも可能である。さらに図1では歯車1を移動部材3に組み込んで本体装置a側にて遠心力による移動動作を設定したが、逆にラック7をラックケース6から出没移動させる構成も可能であり、この場合は縦枠19に固定した状態で減速部材2と歯車1を配置し、遠心力により出没するように離脱用ばね5を装着したラック7を組み込んだラック部材bを扉18の戸先面17に配置するとよい。
また、開放された状態から扉18を閉鎖方向に付勢する簡単な閉鎖装置16を併せて用いた構成も可能である。この閉鎖装置16はどのようなものでもよいが、単純に扉18を引寄せる機構だけを有する、例えば図6に示すような引きばねにより扉18を引寄せるだけの閉鎖装置16や、丁番内にコイルばねを組み込んだ閉鎖機能付き丁番や、丁番の管の回転接面が傾斜しており扉18の自重により閉鎖するグラビティヒンジ等を用いるとよい。すると解放後の扉18の自動閉鎖動作を簡単に追加することができる。この構成での全体の閉動作としては、まず減速動作開始位置までは閉鎖装置16により一気に閉じる動作になり、次に減速装置の減速動作により扉18が完全に閉鎖する手前位置で一旦ほぼ停止する。ここで離脱動作を実施するのであるが、その後も閉鎖装置16による閉鎖力が残っていることになり、そのまま引き続き完全に扉18を閉鎖させることも条件次第では可能である。しかしこの閉鎖装置16付きの設定では、離脱手段の瞬間にもまだ閉鎖装置16による扉18を閉じようとする力がかかっていることになり、歯車1とラック7の接点に摩擦力が残ってしまう。そこでこの構成においてはさらに移動部材3の出没動作の摩擦力を低減させておき、比較的強い離脱用ばね5を用いて歯車1とラック7を離脱させなければならず、その場合の遠心力との兼ね合わせは微妙な設定を要すると想定される。
次に本発明の減速装置の第二実施形態を図7〜図11に基づいて説明する。第二実施形態においても、歯車1に連動して負荷を発生する減速部材2を移動部材3に組み込んで、さらに本体ケース4に挿入して本体装置aを形成し、ラック部材bに対して扉18の閉鎖の際の遠心力を用いて出没移動させる構成は同様である。ここで第二実施形態は扉18の上部位置と上枠20に本体装置aとラック7部材bを振り分けて装着する構成であり、歯車1の中心線は上下向きに配置され、したがって歯車1の出没移動方向を上下にする必要がある。図7は本発明の第二実施形態の納まり斜視図であり、高速度で扉18を閉鎖した最終段階での状態を示している。
図7に示すように第二実施形態での本体装置aにおいても、遠心力の方向は第一実施形態と同様に戸先方向になる。したがってこの方向にかかる力を上方向に変換する機構が別途必要である。そこで図8のように傾斜面10を有した駆動部材9を追加し、移動部材3にも同様の傾斜面10を設け、両傾斜面10が接面した状態で本体ケース4内に挿入する。図8は本体装置aに何ら力がかかっていない状態を示す斜視図である。このとき第一実施形態と同様に本体ケース4に転動部材8を取り付けておき、駆動部材9が転動部材8の上に乗った状態になるように構成しておく。すると通常の状態では歯車1や減速部材2を含む移動部材3の自重により歯車1は図8のように本体ケース4内に没した状態にて保持されている。
図9(a)は図8と同じ状態を、図9(b)は扉18の急激な閉鎖により遠心力が発生したときの状態を示した平面図である。図9(a)の状態では、移動部材3は自重により下がっており、駆動部材9は本体ケース4内で片方に寄った状態になっている。このときの駆動部材9の位置を遠心力がかかる戸先方向とは逆の本体ケース4内での戸尻側になるように配置しておく。また移動部材3は横方向には移動しないように、上下方向にのみ移動可能に制限しておく。そして図9(a)の状態から扉18を急激に閉鎖させると遠心力が発生し、駆動部材9には本体ケース4内で戸先側に移動しようとする力がかかることになり、駆動部材9の移動により両傾斜面10が押し合って、図9(b)に示すように移動部材3と歯車1が上方向に突出することになる。
このとき第一実施形態と同様に転動部材8を設け、摩擦を極力なくした状態で駆動部材9が左右方向に移動可能にしておくことが重要であり、同時に両傾斜面10同士の摩擦抵抗も小さくしておかなければならない。そこで図9のような両傾斜面10がそのまま接面する設定では滑りのよい樹脂にて両傾斜面10を形成しておくことが最低条件になり、さらには傾斜面10同士にも転動部材8を設け、転がりを介して動作するような構成がさらに効果的である。
しかし、第二実施形態では歯車1や比較的重量がある減速部材2を含む移動部材3全体を持ち上げる動作が必要になり、僅かにのみ減速動作を必要とする比較的弱い扉18の閉鎖動作の場合などでは遠心力の力だけでは不足することが懸念される。そこで図9に示すように押しばね11を本体ケース4と駆動部材9間に挿入し、図9(a)の状態でこの押しばね11により駆動部材9を押し込んではいるが、移動部材3を持ち上げるまでには至っていないぎりぎりの状態に設定しておくとよい。するとごく小さい遠心力が発生した段階で駆動部材9が戸先側に移動し、歯車1を突出させることが可能になる。したがってこの押しばね11は第一実施形態で使用した離脱手段の役割を有したのもではない。
第二実施形態での離脱手段としては、歯車1や減速部材2を含む移動部材3の自重による落下動作を用いることができ、第一実施形態のように離脱手段のための離脱用ばね5は必要ではない。つまり遠心力が強い間は図7に示すように駆動部材9が戸先側に移動しているため歯車1は突出したままであり、歯車1がラック7と係合して扉18が減速若しくは停止すると遠心力が低下し、自重により歯車1が本体ケース4内に没して離脱動作が終了する。したがって途中で扉18が停止した後の再度完全に閉鎖するための操作や、閉鎖状態からの開放操作においては第一実施形態と同様に余分な負荷は全くかからないことになる。図10は第二実施形態での減速動作を必要としない程度の低速度で扉を閉鎖した状態の納まり斜視図であり、歯車1と減速部材2を含む移動部材3の自重に対する押しばね11の強さを適宜設定することにより、低速度で閉鎖したときの弱い遠心力では減速動作にならないようにすることが可能である。
さらに第二実施形態は第一実施形態には無い別の特徴を有している。第二実施形態では本体装置aとラック部材bを上枠20と扉18の上部に振り分けて配置する構成であるため、減速装置を装着する位置としては戸先側から吊元側までの広い範囲において可能である。図11は第二実施形態での納まり上面図であり、図11(a)は減速装置を比較的戸先側に配置した状態を示しており、図11(b)は図11(a)よりも吊元側に装着した状態を示しており、ドアの上部であればどの位置にでも配置可能である。
つまり図11(a)では扉18が約3度まで閉じた状態から減速動作を開始するのに対して、図11(b)では約5度で減速動作を開始することになり、この減速開始時の扉18の開き角度の違いが重要である。ここで閉鎖時の指詰めの問題があり、第一実施形態での図1に示す構成では戸先コーナーと縦枠19コーナーが重なり合ってから減速動作を開始するため指詰めの危険性が残る。図5のようにラック7を大きく縦枠19手前側に持ち出すとこの問題は解消されるが、意匠的には好ましく無い。それに対して第二実施形態では戸先コーナーと縦枠19にかなりの隙間を有した段階で既に減速動作が開始するため指詰めを防止する点において非常に効果的である。
したがって比較的扉18が開いている段階から減速動作を開始させたいときは図11(b)のように減速装置の取付け位置を吊元側に寄せるとよいことになる。しかし遠心力は回転動作の中心からの距離、つまり扉18の場合では丁番等の軸心位置からの距離によって発生する力が異なり、減速時にかかる負荷は吊元側に寄せた方が大きくなる。そこで第二実施形態の場合はこれらの点に注意して、発生する遠心力の強さと、必要とする全体の減速量と、扉18の減速開始角度を適宜調整して減速装置を取付ける位置を設定する必要がある。
次に本発明の減速装置の第三実施形態と第四実施形態を図12〜図15に基づいて説明する。第三実施形態と第四実施形態は係合手段に歯車1とラック7の遠心力を用いる構成ではなく、本体装置aに歯車1と連結された突出部分12を有する部材を設け、ラック部材bに当接部材13を設け、本体装置aがラック部材bに接近した段階で突出部分12と当接部材13が衝突する動作により歯車1とラック7を係合させる構成である。図12は第三実施形態の納まり平面図であり、まず突出部分12を有したシーソー形状の回転部材14を設け、回転軸15にて本体ケース4に回動自在に組み付ける。そして歯車1に連動した減速部材2を移動部材3に組み込んで、上下方向にのみ移動可能な状態で同様に本体ケース4に挿入して本体装置aを構成する。また減速部材2は第一実施形態と同様の構成のものでよい。このとき回転部材14の回転軸15を境とした突出部分12側とは逆側に移動部材3を乗せた状態にしておく。次にラック部材bは第一実施形態と同様にラックケース6とラック7を有しているのであるが、さらにラック7の端部から一定距離隔てた位置に突起状の当接部材13を設けておく。そして本体装置aを扉18の上部に、ラック部材bを上枠20に振り分けて装着する。
図12は扉18が完全に閉鎖する直前の状態を示しており、この状態では歯車1と減速部材2を含む移動部材3の自重により歯車1が本体ケース4内に没しており、回転部材14の回転軸15を境とした逆側の突出部分12が扉18上面よりも上方に突出した状態になっている。したがって回転部材14の回転軸15を境とした両側にかかる重量配分は、歯車1側が重くなるように設定しておくとよい。次に扉18を閉鎖し、扉18の上面が上枠20の下面位置に入り込んでいく段階で、突出部分12とラック部材bの当接部材13が接近して衝突するようにラック7部材bの位置を設定し、同時に歯車1の上部にラック7が位置するようにしておく。このとき突出部分12は四角錐形状が適しており、さらには当接部材13と突出部分12との衝突音を軽減させるためにどちらかの当接面にゴムやエラストマー等の軟質材を貼り付けて衝撃を緩和させておくとよい。
図13(a)は低速度で扉18が閉鎖した状態を示す平面図であり、閉鎖最終段階で突出部分12は当接部材13に当接するが、速度が遅いため突出部分12をゆっくりと押し下げるような動作になり、その押し込み分だけ回転部材14は回転し、歯車1を含む移動部材3を僅かに持ち上げるだけで歯車1はラック7にまでは届かず、したがって減速動作にはならない。図13(b)は扉18を高速度で閉鎖した状態を示す平面図であり、突出部分12が当接部材13に強く衝突するため回転部材14を急激に回転させ、歯車1と移動部材3を瞬時に跳ね上げる動作になり、歯車1とラック7が係合して減速動作を実施することになる。
ここで第三実施形態においては、減速動作中にも歯車1には常に落下しようとする力がかかることになるのであるが、扉18を減速させるための負荷が大きな摩擦力となってラック7と歯車1の接点にかかるため、減速途中において即座に落下することは無い。そして扉18が停止するか、若しくは歯車1とラック7との接点に発生する摩擦力が落下しようとする力より小さくなった段階で両者は離脱することになる。したがって離脱手段は歯車1と減速部材2を含む移動部材3の自重による落下動作にて実施できることになる。また、この減速動作が実施されるか若しくは実施されないかの境界速度の設定は、回転軸15を境とした回転部材14の両側にかかる重量の配分により任意に設定することが可能である。さらには第三実施形態においても、扉18が途中停止するとすぐに離脱手段が実施されるため、その後の再度完全に閉鎖するときには減速のための負荷はかからず、また完全に閉鎖した状態では確実に離脱状態になっているため、開放操作時にも減速のための余分な負荷はかからない。
また、第三実施形態では歯車1を跳ね上げた瞬間にラック7と係合させる必要があり、そのタイミングが重要である。図14は第三実施形態の上面図であり、減速動作を実施する直前の位置を示している。ここで突出部分12が当接部材13に衝突してから回転部材14がシーソー動作して歯車1が持ち上がるまでには若干の時間的ズレが生じる。そこで突出部分12を扉18の厚み方向の両側に配置し、扉18の上面が上枠20の下面位置に入り込んでいく初期の段階で突出部分12が当接部材13に衝突するようにしておき、さらに突出部分12から歯車1までの距離を若干長くし、突出部分12の頂点が当接部材13に完全に押し下げられた状態では、既に持ち上がっている歯車1がラック7の端部に差し掛かるように設定しておくとよい。
次に本発明の第四実施形態を図15にて説明する。第四実施形態では図15に示すように本体装置aに複数の傾斜面10を有した移動部材3を互いの傾斜面10を接面させた状態で挿入し、そのうちの1個の移動部材3に減速部材2と歯車1を組み込んでおき、もう1個の移動部材3に突出部分12を設けておく。またラック部材bは第三実施形態と全く同じ構成でよい。第四実施形態での係合動作は、突出部分12が当接部材13に衝突し、複数の移動部材3が互いの傾斜面10を押し合うことにより歯車1を上方向に跳ね上げる動作を得る構成である。したがって第四実施形態においても、低速度の閉鎖では減速動作にならず、途中停止後には減速動作が即時解除されてその後の再閉鎖時に負荷はかからず、開放時は通常と同じ操作にて実施できる点は全く同じである。
また第三実施形態と第四実施形態の構成を戸先面17と縦枠19に振り分けて配置した場合は、離脱手段に自重による落下動作を用いることができないため、第一実施形態と同様の離脱用ばね5を装着しておく必要がある。さらには第三実施形態や第四実施形態での当接部材13と突出部分12の衝突動作を用いる機構は他にも多数考えられ、上記の構成に限らずどのような機構を用いてもよい。
また係合手段に遠心力を用いた第一実施形態や第二実施形態の構成では、単純な引寄せばね等を使用した閉鎖装置16を併用した場合においては離脱動作後に引き続き完全に閉鎖させる設定が難しいのに対して、第三実施形態や第四実施形態では遠心力が関与しないため、一定の速度にまで減速した段階で離脱するようにラック7と歯車1との接点に発生する摩擦力と自重による落下力を調整するだけでよく、閉鎖装置16を併せて用いた構成での、減速動作終了後に離脱手段を実施しそのまま引き続いて完全に閉じる動作を得る設定は比較的容易であると想定される。
以上では、ドアの開き扉18に本発明の減速装置を装着したときの設定で説明してきたが、扉であればドアに限らずどのようなものにでも適応させることができる。例えば収納家具の扉18においては、通常の開き扉であればそのままの形態で扉の奥面と枠内部に本発明の減速装置を配置すればよく、上下に回転させて開く収納扉に用いると、扉を開閉しようとして手を滑らせてしまい、扉が落下してしまったような場合においても、枠体と衝突する衝撃を緩和することができ非常に有効である。また開き窓のガラス障子等にもそのままで適応させることが可能であり、この場合は風によるあおりにて急激に閉じる衝撃を減少させることができやはり効果的である。他にも開閉可能な各種フタなど様々なものに用いることが可能である。
本発明の第一実施形態の、扉を高速度で閉鎖した状態の斜視図である。 本発明の第一実施形態の、本体装置の斜視図である。 本発明の第一実施形態の、本体装置の歯車の出没動作を示す平面図である。 本発明の第一実施形態の、扉を低速度で閉鎖した状態の斜視図である。 本発明の第一実施形態の、ラック部材を縦枠手前方向に延長した構成の斜視図である。 扉を引寄せる閉鎖装置をドアに装着した状態の納まり上面図である。 本発明の第二実施形態の、扉を高速度で閉鎖した状態の斜視図である。 本発明の第二実施形態の、本体装置の斜視図である。 本発明の第二実施形態の、本体装置の歯車の出没動作を示す平面図である。 本発明の第二実施形態の、扉を低速度で閉鎖した状態の斜視図である。 本発明の第二実施形態の、扉上部における装着位置を示す上面図である。 本発明の第三実施形態の納まり平面図である。 本発明の第三実施形態の、係脱機構を示す平面図である。 本発明の第三実施形態の、係合動作直前を示す納まり上面図である。 本発明の第四実施形態の納まり平面図である。
符号の説明
a 本体装置
b ラック部材
1 歯車
2 減速部材
3 移動部材
4 本体ケース
5 離脱用ばね
6 ラックケース
7 ラック
8 転動部材
9 駆動部材
10 傾斜面
11 押しばね
12 突出部分
13 当接部材
14 回転部材
15 回転軸
16 閉鎖装置
17 戸先面
18 扉
19 縦枠
20 上枠

Claims (12)

  1. 扉の閉鎖時の速度を減速する装置であって、歯車と連動しかつ歯車の回転時に一定の負荷がかかる構成の減速部材をケースに組み込んでなる本体装置とラックとを有し、扉と枠体に本体装置とラックを振り分けて装着し、扉の閉鎖速度が所定の速度以上になったときにのみ歯車若しくはラックのどちらか片方が他方側に移動して歯車とラックが噛み合う係合手段と、扉が停止するか若しくは所定の低速度になった段階で歯車とラックが外れる離脱手段とからなる係脱機構を設けたことを特徴とする扉用減速装置。
  2. 前記歯車とラックの向きと配置が、歯車の軸の中心線が横向で、ラックの凹凸は上下向であり、扉の戸先側と縦枠に本体装置とラックを振り分けて装着する配置で、歯車若しくはラックのどちらか片方が一定距離のみ他方側に横移動可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の扉用減速装置。
  3. 前記歯車とラックの向きと配置が、歯車の軸の中心線が上下向きで、ラックの凹凸が横向きであり、扉の上部と上枠に本体装置とラックを振り分けて装着する配置で、歯車若しくはラックのどちらか片方が一定距離のみ他方側に上下移動可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の扉用減速装置。
  4. 前記係合手段が、扉を閉鎖するときに発生する遠心力により歯車若しくはラックのどちらか片方を他方側に移動させる構成であり、一定以上の強さの遠心力が発生したときにのみ歯車若しくはラックの移動と係合動作が実行されるように設定したことを特徴とする請求項1及至3いずれか1項に記載の扉用減速装置。
  5. 前記離脱手段が、離脱用ばねを設けて歯車とラックが常に離脱する方向に付勢する構成か、若しくは歯車を含む減速部材の自重による落下力を用いた構成であり、減速動作により扉が停止するか若しくは閉鎖速度が減少し、その状態での遠心力と歯車とラックに発生する摩擦力より離脱用ばねによる付勢力若しくは落下力が上回った段階で歯車とラックが離脱することを特徴とする請求項1及至4いずれか1項に記載の扉用減速装置。
  6. 歯車と連動した減速部材を移動部材に組み込み、本体ケース内にて移動部材が移動可能なように挿入し、さらに歯車が本体ケース内に没する方向に弱い離脱用ばねを付勢させて本体装置を構成し、歯車の中心線が扉面と平行かつ横向になる配置で本体装置を戸先位置に装着し、ラックを凹凸が上下方向になる配置で縦枠に装着し、扉が閉じるときに発生する遠心力により移動部材が突出してラックと係合する動作を得、停止するか若しくは速度が減少した段階で離脱用ばねの付勢力により離脱動作を得ることを特徴とする請求項1及至5いずれか1項に記載の扉用減速装置。
  7. 傾斜面を有した移動部材に歯車と連動した減速部材を組み込み、傾斜面を有した駆動部材を設け、移動部材の傾斜面と駆動部材の傾斜面を面対させた配置でかつケース内にて移動可能なように挿入して本体装置を構成し、歯車の中心線が上下向になる配置で本体装置を扉上部に装着し、ラックを凹凸が横向になる配置で上枠に装着し、扉が閉じるときに発生する遠心力による駆動部材の移動を傾斜面により歯車の上下移動に変換してラックと係合する動作を得、停止するか若しくは速度が減少した段階で歯車と減速部材を含む移動部材の自重による落下動作により離脱動作を得ることを特徴とする請求項1及至5いずれか1項に記載の扉用減速装置。
  8. 前記本体装置に、歯車を備えた減速部材と連結した突出部分を有する部材を設け、ラックに当接部材を設け、扉の閉鎖最終段階で当接部材と突出部分とが当接する動作を得、扉の閉鎖速度が所定速度より速い場合には両者が強く衝突して歯車をラック側に跳ね飛ばして歯車とラックを係合させることにより減速動作を得、閉鎖速度が所定速度より遅い場合には両者は押し付け合うだけの動作になり歯車とラックは係合せず減速動作にはならないように構成したことを特徴とする請求項1及至3いずれか1項に記載の扉用減速装置。
  9. 前記係合手段が、突出部分を有した回転部材を設け、回転部材の回転軸を境とした片側に歯車と減速部材を組み込み逆側に突出部分を配置し、回転部材を本体ケースに回動自在に装着して本体装置を構成し、ラック端部から一定距離隔てた位置に当接部材を設け、扉の閉鎖最終段階での所定位置にて当接部材と突出部分が当接して歯車をラックと係合する方向に移動させる構成であることを特徴とする請求項1及至3または請求項8いずれか1項に記載の扉用減速装置。
  10. 前記係合手段が、傾斜面を有する複数の移動部材を設け、その内の一個の移動部材に減速部材と歯車を、もう一個の移動部材に突出部分を配置し、各移動部材を傾斜面同士が面対する配置で本体ケースに組み込んで本体装置を構成し、ラック端部から一定距離隔てた位置に当接部材を設け、扉の閉鎖最終段階での所定位置にて当接部材と突出部材が当接し、互いの傾斜面が押し合って連動して歯車をラックと係合する方向に移動させる構成であることを特徴とする請求項1及至3または請求項8いずれか1項に記載の扉用減速装置。
  11. 前記離脱手段が、回転部材の回転軸を境とした両側の重量バランスによる自重での復帰方向への移動動作を用いる構成か、若しくは歯車や減速部材の自重による自然落下動作を用いた構成であり、減速動作により扉が停止するか若しくは閉鎖速度が減少した段階で、歯車とラックの接点に発生する摩擦力よりも自重により元の位置に戻ろうとする力が上回った段階で歯車とラックが離脱することを特徴とする請求項1及至3または請求項8及至10いずれか1項に記載の扉用減速装置。
  12. 開放状態から常に閉じる方向に付勢する自動閉鎖手段を有した扉に併せて用いたことを特徴とする請求項1及至11いずれか1項に記載の扉用減速装置。

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