JP3992581B2 - 電話機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、電話機に関し、特にたとえば、携帯電話機に適用され、相手方から受信した複数の第1符号化音声ブロックに基づく第1音声信号をスピーカから出力するとともに、マイクロホンを通して入力された第2音声信号に基づく複数の第2符号化音声ブロックを相手方に送信する、電話機に関する。
【0002】
【従来技術】
携帯電話機において、受話音を聞き取り易くするために、周囲の雑音レベルに応じて受話音量を制御するという技術は、公知である。これに加えて、特許文献1には、受話音量を上げるときには早く、受話音量を下げるときにはゆっくりと当該受話音量を変化させることによって、周囲の雑音レベルが急激に変化したときでも受話音を聞き取り易くする技術が開示されている。また、特許文献2には、受話音量のみならず、受話音の周波数特性をも変化させることによって、受話音を聞き取り易くする技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−130453号公報
【特許文献2】
特開平10−70477号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらの文献にはソフトウェア処理を含むディジタル技術によって受話音を聞き取り易くする旨が開示されているが、かかる目的を達成するために受話音量または受話音の周波数特性を制御するということは、ディジタル技術に限らずアナログ技術によっても実現可能である。その一方で、第2世代または第3世代と呼ばれる現在のディジタルセルラ方式の携帯電話機は、ディジタル技術の発展によって実現されたものである。したがって、かかるディジタルセルラ方式の携帯電話機においては、ディジタル技術特有の方法、換言すれば上述の従来技術とは異なる方法によって、受話音を聞き取り易くすることができるのではないかと考えられる。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、受話音を聞き取り易くすることのできる、新規な電話機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1発明に従う電話機は、マイクロホンを通して入力された第1音声信号を符号化して第1符号化音声ブロックを作成する符号化手段、符号化手段によって作成された第1符号化音声ブロックの数を調整する第1調整手段、第1調整手段によって調整された数の第1符号化音声ブロックを通話相手に向けて送信する送信手段、通話相手から送信された第2符号化音声ブロックを受信する受信手段、および受信手段によって受信された第2符号化音声ブロックを復号してスピーカから出力される第2音声信号を作成する復号手段を備え、第1調整手段は、第1符号化音声ブロックを第1バッファメモリに書き込む第1書き込み手段、第1符号化音声ブロックを第1書き込み手段による書き込み順に第1バッファメモリから読み出す第1読み出し手段、第1バッファメモリの空き容量と第1閾値との大小関係に応じて第1書き込み手段の書き込み態様を変更する第1変更手段、および第1バッファメモリの空き容量が第1閾値を下回るとき第1符号化音声ブロックのうち無音ブロックを廃棄する廃棄手段を含む。
【0007】
請求項5の発明に従う電話機は、マイクロホンを通して入力された第1音声信号を符号化して第1符号化音声ブロックを作成する符号化手段、符号化手段によって作成された第1符号化音声ブロックを通話相手に向けて送信する送信手段、通話相手から送信された第2符号化音声ブロックを受信する受信手段、受信手段によって受信された第2符号化音声ブロックの数を調整する調整手段、および調整手段によって調整された数の第2符号化音声ブロックを復号してスピーカから出力される第2音声信号を作成する復号手段を備え、調整手段は、第2符号化音声ブロックをバッファメモリに書き込む書き込み手段、第2符号化音声ブロックを書き込み手段による書き込み順にバッファメモリから読み出す読み出し手段、バッファメモリの空き容量と閾値との大小関係に応じて書き込み手段の書き込み態様を変更する変更手段、およびバッファメモリの空き容量が閾値を下回るとき第2符号化音声ブロックのうち無音ブロックを廃棄する廃棄手段を含む。
【0010】
【作用】
請求項1発明によれば、符号化手段は、マイクロホンを通して入力された第1音声信号を符号化して第1符号化音声ブロックを作成する。符号化手段によって作成された第1符号化音声ブロックの数は、第1調整手段によって調整される。第1調整手段によって調整された数の第1符号化音声ブロックは、送信手段によって通話相手に向けて送信される。通話相手から送信された第2符号化音声ブロックは、受信手段によって受信される。復号手段は、受信手段によって受信された第2符号化音声ブロックを復号して、スピーカから出力される第2音声信号を作成する。
【0011】
第1調整手段は、第1書き込み手段,第1読み出し手段、第1変更手段および廃棄手段を含む。第1書き込み手段は第1符号化音声ブロックを第1バッファメモリに書き込み、第1読み出し手段は第1符号化音声ブロックを第1書き込み手段による書き込み順に第1バッファメモリから読み出す。第1変更手段は、第1バッファメモリの空き容量と第1閾値との大小関係に応じて、第1書き込み手段の書き込み態様を変更する。廃棄手段は、第1バッファメモリの空き容量が第1閾値を下回るとき第1符号化音声ブロックのうち無音ブロックを廃棄する。
【0013】
請求項5発明によれば、符号化手段は、マイクロホンを通して入力された第1音声信号を符号化して第1符号化音声ブロックを作成する。符号化手段によって作成された第1符号化音声ブロックは、送信手段によって通話相手に向けて送信される。通話相手から送信された第2符号化音声ブロックは、受信手段によって受信される。受信手段によって受信された第2符号化音声ブロックの数は、調整手段によって調整される。復号手段は、調整手段によって調整された数の第2符号化音声ブロックを復号して、スピーカから出力される第2音声信号を作成する。
【0014】
調整手段は、書き込み手段,読み出し手段、変更手段および廃棄手段を含む。書き込み手段は、第2符号化音声ブロックをバッファメモリに書き込み、読み出し手段は、第2符号化音声ブロックを書き込み手段による書き込み順にバッファメモリから読み出す。変更手段は、バッファメモリの空き容量と閾値との大小関係に応じて、書き込み手段の書き込み態様を変更する。廃棄手段は、バッファメモリの空き容量が閾値を下回るとき第2符号化音声ブロックのうち無音ブロックを廃棄する。
【0016】
【発明の効果】
第1の発明によれば、相手方において、時間軸の長さが調整された第1音声信号が出力されるので、当該第1音声信号に従う受話音として速度調整された音声が聞こえる。したがって、相手方において受話音が聞き取り易くなる。
【0017】
第2の発明によれば、スピーカからは時間軸の長さが調整された第2音声信号が出力されるので、当該第2音声信号に従う受話音として速度調整された音声が聞こえる。よって、受話音が聞き取り易くなる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0019】
【実施例】
図1を参照して、この実施例の携帯電話機10は、ディジタルセルラ方式のものであり、CPU12を内蔵している。CPU12は、操作キー14から通話開始指令が与えられると、ボコーダ(Vocoder:音声符号化/復号化装置)16,信号処理回路18および無線回路20を能動化する。これによって、携帯電話機10は、図示しない相手方との間で通話可能な状態となる。
【0020】
具体的には、マイクロホン22に音声が入力されると、この音声は、当該マイクロホン22によってアナログ電気信号である音声信号に変換される。変換された音声信号は、入力増幅回路24によって増幅された後、AD/DA変換回路26に入力され、ここでディジタル信号である音声データに変換される。変換された音声データは、さらにボコーダ16に入力される。
【0021】
ボコーダ16は、入力された音声データに対してEVCR(Enhanced Variable Rate Codec)方式に基づく音声符号化処理を施す。これによって、音声データは、図2に示すようにフレームという複数のデータブロック100,100,…に分割され、圧縮される。なお、図には示さないが、それぞれのフレーム100にはヘッダが含まれており、このヘッダには送信元や送信先などを表す各種情報が格納されている。また、それぞれのフレーム100の容量、いわゆるフレーム長Tは、T=20[ms]とされている。
【0022】
ボコーダ16による処理後のフレーム100,100,…は、順次信号処理回路18に入力される。信号処理回路18は、入力されたフレーム100,100,…を、一旦、自身に内蔵された送信用バッファメモリ28に格納する。そして、この送信用バッファメモリ28に格納されたフレーム100,100,…を格納された順に読み出し、読み出したフレーム100,100,…に対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式の一種であるcdmaOne(登録商標:TIA/EIA/IS−95A規格)方式に基づく信号処理(拡散処理)を施す。信号処理回路18はまた、各フレーム100,100,…に対して誤り訂正符号化処理をも施す。
【0023】
この信号処理回路18による処理後のデータ(フレーム100,100,…)は、無線回路20に入力され、ここでQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式に基づくディジタル変調処理を施される。この変調処理後の信号は、無線回路20内においてさらに増幅処理などの所定の処理を施された後、アンテナ30に供給され、電波となって発射される。
【0024】
一方、図示しない無縁基地局を介して相手方から送られてきた電波はアンテナ30で受信され、当該アンテナ30によって高周波信号に変換される。変換された高周波信号は、無線回路20に入力され、ここで上述のQPSK方式に基づく復調処理を施される。この復調処理によって復調されたデータは、信号処理回路18に入力され、ここで上述のcdmaOne方式に基づく信号処理(逆拡散処理)および誤り訂正復号処理を施される。これによって、上述した図2と同様のフレーム100,100,…が抽出される。
【0025】
抽出されたフレーム100,100,…は、一旦、信号処理回路18内にある受信用バッファメモリ32に格納される。そして、この受信バッファメモリ32に格納されたフレーム100,100,…は、格納された順に、信号処理回路18によって読み出され、ボコーダ16に入力される。ボコーダ16は、入力されたフレーム100,100,…に上述のEVRC方式に基づく復号処理を施し、連続した音声データを生成する。生成された音声データは、AD/DA変換回路26に入力され、ここで音声信号に変換される。そして、変換後の音声信号は、出力増幅回路34によって増幅された後、スピーカ36に入力される。これによって、相手方の音声がスピーカ36から再現される。
【0026】
このようにして相手方との間で通話が行われている最中に、操作キー14の操作によって通話終了指令が与えられると、CPU12は、当該相手方との通話を終了するべく、ボコーダ16,信号処理回路18および無線回路20を制御して、相手方に通話終了信号を送信する。そして、この通話終了信号の送信後、CPU12は、ボコーダ16,信号処理回路18および無線回路20を不能化する。また、先に相手方から通話終了信号を受信した場合も、CPU12は、(無線基地局に)通話終了信号を送信した後、ボコーダ16,信号処理回路18および無線回路20を不能化する。
【0027】
なお、通話中、CPU12は、通話時間をカウントするとともに、カウントした通話時間を液晶ディスプレイ38に表示する。一方、非通話中は、CPU12は、操作キー14の操作に応じた画面を液晶ディスプレイ38に表示する。
【0028】
ところで、この実施例の携帯電話機10は、通話中に相手方の音声をゆっくりとした速度、たとえば元の音声の“1/1.5”倍という速度でスピーカ36から再現させる、という言わば受話音速度制御機能を備えている。この機能は、操作キー14の操作によって有効化される。
【0029】
すなわち、操作キー14の操作によって受話音速度制御機能が有効化されると、CPU12は、信号処理回路18によって無線回路20の出力データから抽出されたフレーム100,100,…が1つおきに2つ連続して受信用バッファメモリ32に格納されるように当該信号処理回路18を制御する。具体的には、奇数番目に抽出(受信)されたフレーム100については1つずつ受信用バッファメモリ32に格納させるように、一方、偶数番目に抽出されたフレーム100については同じものを連続して2つずつ受信用バッファメモリ32に格納させるように、信号処理回路18を制御する。そして、CPU12は、受信用バッファメモリ32に格納されたフレーム100,100,…を、格納された順に読み出させるように、信号処理回路18を制御する。
【0030】
これによって、たとえば信号処理回路18によって抽出されたフレーム100,100,…が上述した図2に示すようなものであるとき、具体的には図2において“A”,“C”,“E”,“G”,…という符号が付されたフレーム100,100,…が奇数番目に抽出され、“B”,“D”,“F”,“H”,…という符号が付されたフレーム100,100,…が偶数番目に抽出されたものであるとき、これらのフレーム100,100,…が格納された受信用バッファメモリ32からは、図3に示すような状態で当該各フレーム100,100,…が読み出される。つまり、符号で表すと、“A”,“B”,“B”,“C”,“D”,“D”,“E”,“F”,“F”,“G”,“H”,“H”,…という順番で各フレーム100,100,…が読み出される。
【0031】
このようにして受信用バッファメモリ32から読み出された各フレーム100,100,…、換言すればフレーム数が調整された符号化音声データは、順次、ボコーダ16に入力され、これ以降、上述と同様の処理を施される。したがって、スピーカ34からは、図3に示すようなフレーム100,100,…に従う音声が出力される。つまり、奇数番目のフレーム100,100,…に従う音声については1回ずつ出力され、偶数番目のフレーム100,100,…に従う音声については連続して2回出力される。
【0032】
ただし、上述したように各フレーム100,100,…のフレーム長TはT=20[ms]と比較的に(特に人間の聴覚の応答性に比べて)短いので、偶数番目のフレーム100,100,…に対応する音声が連続して2回出力されたとしても、聴感上は全てのフレーム100,100,…に対応する音が一様に長く出力されたようにしか聞こえない。つまり、全体的には元の音声が“1/1.5”倍の速度で(換言すれば1.5倍の時間をかけて)再現されたのと同様の効果が得られる。このようにスピーカ36から出力される音声は元の音声よりもゆっくりとした速度で再現されるので、受話音の聞き取り易さが向上する。
【0033】
なお、受信用バッファメモリ32は数秒分のフレーム100,100,…を格納できる容量Swを有しており、換言すれば受信用バッファメモリ32の容量は有限である。したがって、偶数番目のフレーム100,100,…の全てが当該受信用バッファメモリ32に格納されるとすると、一連の受信処理が破綻する。
【0034】
そこで、CPU12は、受信用バッファメモリ32の残り容量Srを監視している。そして、監視した残り容量Srが所定の閾値Saを下回ったとき(Sr<Sa)、偶数番目のフレーム100,100,…についても奇数番目のフレーム100,100,…と同様に1つずつ受信用バッファメモリ32に格納させるように信号処理回路18を制御する。なお、閾値Saは、受信用バッファメモリ32の全容量Swの50[%]〜80[%]の範囲内(0.5Sw≦Sa≦0.8Sw)に設定される。
【0035】
さらに、CPU12は、受信した(信号処理回路18によって抽出された)各フレーム100,100,…が有音フレームであるか否か、具体的には当該各フレーム100,100,…に或る一定レベル以上の音声情報が含まれているか否かを判断する。そして、CPU12は、上述の受信用バッファメモリ32の残り容量Srが閾値Saを下回るとき、有音フレームでないと判断したフレーム100については受信用バッファメモリ32に格納させるのではなく廃棄させるように信号処理回路18を制御する。このように、音声情報を含まない無音フレームが廃棄されることで、受信用バッファメモリ32の空き容量Srが確保される。
【0036】
また、この実施例の携帯電話機10は、相手方に対してもこちらからの音声をゆっくりとした速度、たとえば元の音声の“1/1.5”倍という速度で聞かせることができる、言わば送話音速度制御機能を備えている。この機能もまた、操作キー14の操作によって有効化される。
【0037】
すなわち、操作キー14の操作によって送話音速度制御機能が有効化されると、CPU12は、ボコーダ16から信号処理回路18に入力されるフレーム100,100,…が1つおきに2つ連続して送信用バッファメモリ28に格納されるように当該信号処理回路18を制御する。具体的には、ボコーダ16から信号処理回路18に対して奇数番目に入力されるフレーム100については1つずつ送信用バッファメモリ32に格納させ、偶数番目に入力されるフレーム100については同じものを連続して2つずつ送信用バッファメモリ28に格納させるように、信号処理回路18を制御する。そして、CPU12は、送信用バッファメモリ28に格納されたフレーム100,100,…を、格納された順に読み出させるように、信号処理回路18を制御する。
【0038】
これによって、たとえばボコーダ16から信号処理回路18に入力されたフレーム100,100,…が上述した図2に示すようなものであるとき、具体的には図2において“A”,“C”,“E”,“G”,…という符号が付されたフレーム100,100,…が奇数番目に入力され、“B”,“D”,“F”,“H”,…という符号が付されたフレーム100,100,…が偶数番目に入力されたものであるとき、これらのフレーム100,100,…が格納された送信用バッファメモリ28からは、図3に示すような状態で当該各フレーム100,100,…が読み出される。つまり、符号で表すと、“A”,“B”,“B”,“C”,“D”,“D”,“E”,“F”,“F”,“G”,“H”,“H”,…という順番で各フレーム100,100,…が読み出される。
【0039】
このようにして送信用バッファメモリ28から読み出された各フレーム100,100,…、換言すればフレーム数が調整された符号化音声データは、これ以降、上述と同様の処理を施される。この結果、アンテナ30からは、図3に示すようなフレーム100,100,…に従う高周波信号が発射される。
【0040】
よって、このような高周波信号を受信した相手方においては、上述した受話音速度制御機能による効果と同様、元の音声の“1/1.5”倍の速度で受話音が出力される。したがって、相手方の電話がこの実施例における受話音速度制御機能と同様の機能を備えていなくても、当該相手方に対して受話音を聞き取り易くすることができる。
【0041】
なお、送信用バッファメモリ28もまた、受信用バッファメモリ32と同程度の容量Sw’を有しており、換言すれば送信用バッファメモリ28の容量Sw’もまた有限である。したがって、偶数番目のフレーム100,100,…の全てが当該送信用バッファメモリ28に格納されるとすると、一連の送信処理が破綻する。
【0042】
そこで、CPU12は、送話音速度制御機能が有効化されているとき、送信用バッファメモリ28の残り容量Sr’を監視する。そして、監視した残り容量Sr’が所定の閾値Sa’を下回ったとき(Sr’<Sa’)、偶数番目のフレーム100,100,…についても奇数番目のフレーム100,100,…と同様に1つずつ送信用バッファメモリ28に格納させるように信号処理回路18を制御する。なお、閾値Sa’は、受信用バッファメモリ32の全容量Sw’の50[%]〜80[%]の範囲内(0.5Sw’≦Sa’≦0.8Sw’)に設定される。
【0043】
また、CPU12は、送信用バッファメモリ28の残り容量Sr’が閾値Sa’を下回ったとき、ボコーダ16を制御して、スピーカ36から警告音(ピープ音)を発生させる。これによって、オペレータに対して送信用バッファメモリ28の残り容量Sr’に余裕が無くなりつつあることを警告し、ひいてはオペレータに対して故意に無音時間を作るように注意を促す(催促する)。
【0044】
さらに、CPU12は、送信対象となる各フレーム100,100,…が有音フレームであるか否か、具体的には当該各フレーム100,100,…に或る一定レベル以上の音声情報が含まれているか否かを判断する。そして、CPU12は、上述の送信用バッファメモリ28の残り容量Sr’が閾値Sa’を下回るとき、有音フレームでないと判断したフレーム100については送信用バッファメモリ28に格納させるのではなく廃棄させるように信号処理回路18を制御する。このように、音声情報を含まない無音フレームが廃棄されることで、送信用バッファメモリ28の空き容量Sr’が確保される。
【0045】
さて、CPU12は、上述の受話音速度制御機能が有効化されているとき、受信処理として図4のフロー図で示される処理を実行する。なお、この処理をCPU12に実行させるためのいわゆる制御プログラムは、ROM40に記憶されている。
【0046】
すなわち、受話音速度制御機能が有効化されている状態で操作キー14から通話開始指令が与えられると、CPU12は、ステップS1に進み、所定の初期設定を行う。具体的には、信号処理回路18によって抽出される各フレーム100,100,…の抽出順を表すインデックスmを“0”とするとともに、受信用バッファメモリ32の内容をクリアする。
【0047】
このステップS1の初期設定を終えると、CPU12は、ステップS3に進み、信号処理回路18によってフレーム100が抽出されたか否かを判断する。ここで、フレーム100が1つ抽出されると、CPU12は、ステップS5に進み、上述のインデックスmの値を1だけインクリメントする。そして、CPU12は、ステップS7に進み、受信用バッファメモリ32の空き容量Srに余裕が有るか否か、つまり当該空き容量Srが上述した閾値Sa以上(Sr≧Sa)であるか否かを判断する。
【0048】
このステップS7において、受信用バッファメモリ32の空き容量Srに余裕が有ると判断すると、CPU12は、ステップS9に進む。そして、このステップS9において、インデックスmの値が偶数であるか否か、つまり現時点で抽出されているフレーム100が偶数番目に抽出されたものであるか否かを判断する。ここで、インデックスmの値が偶数であるとき、CPU12は、ステップS11に進み、現時点で抽出されているフレーム100を受信用バッファメモリ32に2つ格納する。
【0049】
そして、このステップS11の処理後、CPU12は、ステップS13に進み、先出し先入れ(First-In First-Out)方式に従って受信用バッファメモリ32からフレーム100を1つだけ読み出す。読み出されたフレーム100は、上述したようにボコーダ16に入力される。
【0050】
さらに、CPU12は、ステップS15に進み、通話が終了したか否か、詳しくは操作キー14から通話終了指令が与えられたか否か、若しくは相手方から通話終了信号を受信したか否かを判断する。ここで、通話が終了したと判断すると、CPU12は、ステップS17に進み、通話を終了するための処理を実行する。つまり、相手方に通話終了信号を送信した後、ボコーダ16,信号処理回路18および無線回路20を不能化する。このステップS17の処理を終えることで、CPU12は、図4のフロー図で示される一連の受信処理を終了する。
【0051】
一方、ステップS15において通話が終了していないと判断したときは、CPU12は、ステップS3に戻る。また、上述のステップS9においてインデックスmの値が偶数ではない、つまり奇数であると判断した場合、CPU12は、ステップS19に進む。そして、このステップS19において、現時点で抽出されているフレーム100を受信用バッファメモリ32に1つだけ格納した後、CPU12は、ステップS13に進む。
【0052】
さらに、上述のステップS7において受信用バッファメモリ32の空き容量Srに余裕が無いと判断した場合は、CPU12は、ステップS21に進む。そして、CPU12は、このステップS21において、現時点で抽出されているフレーム100が有音フレームであるか否かを判断する。ここで、当該フレーム100が有音フレームであると判断すると、CPU12は、そのフレーム100を受信用バッファメモリ32に1つだけ格納するべくステップS19に進む。一方、現時点で抽出されているフレーム100が無音フレームであるとき、CPU12は、ステップS21からステップS23に進む。そして、このステップS23において当該フレーム100を廃棄した後、CPU12は、ステップS13に進む。
【0053】
次に、上述した送話音速度制御機能が有効化されているときのCPU12の動作について、図5を参照して説明する。
【0054】
すなわち、送話音速度制御機能が有効化されている状態で操作キー14から通話開始指令が与えられると、CPU12は、上述の制御プログラムに従ってステップS51に進む。このステップS51において、CPU12は、所定の初期設定を行い、具体的には、ボコーダ16から信号処理回路18に入力される各フレーム100,100,…の入力順を表すインデックスnを“0”とするとともに、送信用バッファメモリ28の内容をクリアする。
【0055】
このステップS51の初期設定を終えると、CPU12は、ステップS53に進み、ボコーダ16から信号処理回路18にフレーム100が入力されたか否かを判断する。ここで、フレーム100が1つ入力されると、CPU12は、ステップS55に進み、上述のインデックスnの値を1だけインクリメントする。そして、CPU12は、ステップS57に進み、送信用バッファメモリ28の空き容量Sr’に余裕が有るか否か、つまり当該空き容量Sr’が上述した閾値Sa’以上(Sr’≧Sa’)であるか否かを判断する。
【0056】
このステップS57において、送信用バッファメモリ32の空き容量Sr’に余裕が有ると判断すると、CPU12は、ステップS59に進む。そして、このステップS59において、現在上述した警告音が出力されているか否かを判断する。ここで、警告音が出力されているとき、CPU12は、ステップS61において、当該警告音の出力を停止した後、ステップS63に進む。一方、警告音が出力されていないときは、CPU12は、ステップS59から直接ステップS63に進む。
【0057】
ステップS63において、CPU12は、インデックスnの値が偶数であるか否か、つまり現時点で信号処理回路18に入力されているフレーム100が偶数番目に入力されたものであるか否かを判断する。ここで、インデックスnの値が偶数であるとき、CPU12は、ステップS65に進み、現時点でボコーダ16から信号処理回路18に入力されているフレーム100を送信用バッファメモリ28に2つ格納する。
【0058】
そして、このステップS65の処理後、CPU12は、ステップS67に進み、先出し先入れ(First-In First-Out)方式に従って送信用バッファメモリ28からフレーム100を1つだけ読み出す。読み出されたフレーム100は、上述したように信号処理回路18によってcdmaOne方式に基づく信号処理および誤り訂正符号化処理を施される。
【0059】
さらに、CPU12は、ステップS69に進み、通話が終了したか否かを判断する。ここで、通話が終了したと判断すると、CPU12は、ステップS71に進み、通話を終了するための処理を実行する。つまり、相手方に通話終了信号を送信した後、ボコーダ16,信号処理回路18および無線回路20を不能化する。このステップS71の処理を終えることで、CPU12は、図5のフロー図で示される一連の送信処理を終了する。
【0060】
一方、ステップS69において通話が終了していないと判断したときは、CPU12は、ステップS53に戻る。また、上述のステップS63おいてインデックスnの値が偶数ではない、つまり奇数であると判断した場合、CPU12は、ステップS73に進む。そして、このステップS73において、現時点でボコーダ16から信号処理回路18に入力されているフレーム100を送信用バッファメモリ28に1つだけ格納した後、CPU12は、ステップS67に進む。
【0061】
また、上述のステップS57において送信用バッファメモリ28の空き容量Sr’に余裕が無いと判断した場合は、CPU12は、ステップS75に進む。そして、CPU12は、このステップS75において、警告音が出力されているか否かを判断し、警告音が出力されていない場合には、ステップS77に進む。そして、このステップS77において、当該警告音の出力を開始した後、CPU12は、ステップS79に進む。一方、ステップS75において警告音が出力されている場合には、CPU12は、直接ステップS79に進む。
【0062】
ステップS79において、CPU12は、現時点でボコーダ16から信号処理回路18に入力されているフレーム100が有音フレームであるか否かを判断する。ここで、当該フレーム100が有音フレームであると判断した場合、CPU12は、そのフレーム100を送信用バッファメモリ28に1つだけ格納するべくステップS73に進む。一方、信号処理回路18に入力されているフレーム100が無音フレームであるとき、CPU12は、ステップS79からステップS81に進む。そして、このステップS81において当該フレーム100を廃棄した後、CPU12は、ステップS67に進む。
【0063】
以上の説明から判るように、この実施例の携帯電話機10によれば、受話音速度制御機能が有効化されたとき、スピーカ36から出力される音声は、元の音声よりもゆっくりとした速度で再現される。したがって、受話音が聞き取り易くなる。
【0064】
一方、送話音速度制御機能が有効化されると、相手方において、こちらからの音声がゆっくりとした速度で再現される。したがって、相手方の電話機がこの実施例における受話音速度制御機能と同様の機能を備えていなくても、当該相手方に対してこちらからの音声を聞き取り易くすることができる。
【0065】
さらに、この実施例における受話音速度制御機能および送話音速度制御機能は、上述した従来技術と併用することができる。つまり、これらを併用することで、受話音の聞き取り易さがより一層向上する。
【0066】
なお、この実施例においては、cdmaOne方式の携帯電話機10にこの発明を適用する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、W−CDMA方式やcdma2000方式などの他のCDMA方式、或いはTDMA(Time Division Multiple Access)方式の携帯電話機にも、この発明を適用できる。また、携帯電話機10に限らず、PHS(Personal Hnadyphone System)や加入電話における親機と子機との間の通信にも、この発明を適用できる。
【0067】
そして、この実施例では、受話音速度制御機能によって、スピーカ36から再現される音声を元の音声の“1/1.5”倍の速度で再現させることとしたが、これ以外の速度で再現させることもできる。たとえば、元の音声の“1/2”倍の速度で再現させるには、信号処理回路18によって抽出されたフレーム100,100,…を受信用バッファメモリ32に格納させるとき、当該フレーム100,100,…の全てを2つずつ受信用バッファメモリ32に格納させるようにすればよい。つまり、元の音声の“1/X”倍の速度で再現させるには、信号処理回路18によって抽出されたフレーム100,100,…の全てをX個ずつ受信用バッファメモリ32に格納させればよい。
【0068】
このことは、送話音速度制御機能についても同様である。すなわち、ボコーダ16から信号処理回路18に入力されたフレーム100,100,…を送信用バッファメモリ28に格納させるとき、当該フレーム100,100,…の全てをX個ずつ格納させれば、相手方において、こちらからの音声を“1/X”倍の速度で再現させることができる。ここで言うXという値は、操作キー14の操作によって任意に設定できるようにしてもよい。
【0069】
なお、この実施例では、CPU12が1つであるので、受話音速度制御機能および送話音速度制御機能の両方を同時に有効化することができないが、CPU12を2つ設ければ、これらの機能を同時に有効化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例において送受信の対象となるデータの構造を示す図解図である。
【図3】図1の実施例において復号の対象となるデータの構造を示す図解図である。
【図4】図1の実施例におけるCPUの動作の一例を示すフロー図である。
【図5】図1の実施例におけるCPUの別の動作の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
10…携帯電話機
12…CPU
14…操作キー
16…AD/DA変換回路
18…信号処理回路
20…無線回路
28…送信用バッファメモリ
32…受信用バッファメモリ
Claims (5)
- マイクロホンを通して入力された第1音声信号を符号化して第1符号化音声ブロックを作成する符号化手段、
前記符号化手段によって作成された第1符号化音声ブロックの数を調整する第1調整手段、
前記第1調整手段によって調整された数の第1符号化音声ブロックを通話相手に向けて送信する送信手段、
前記通話相手から送信された第2符号化音声ブロックを受信する受信手段、および
前記受信手段によって受信された第2符号化音声ブロックを復号してスピーカから出力される第2音声信号を作成する復号手段を備え、
前記第1調整手段は、前記第1符号化音声ブロックを第1バッファメモリに書き込む第1書き込み手段、前記第1符号化音声ブロックを前記第1書き込み手段による書き込み順に前記第1バッファメモリから読み出す第1読み出し手段、前記第1バッファメモリの空き容量と第1閾値との大小関係に応じて前記第1書き込み手段の書き込み態様を変更する第1変更手段、および前記第1バッファメモリの空き容量が前記第1閾値を下回るとき前記第1符号化音声ブロックのうち無音ブロックを廃棄する廃棄手段を含む、電話機。 - 前記第1バッファメモリの空き容量が前記第1閾値を下回るとき警告情報を発生する警告発生手段をさらに備える、請求項1記載の電話機。
- 前記復号手段の復号処理に先立って前記第2符号化音声ブロックの数を調整する第2調整手段をさらに備える、請求項1または2記載の電話機。
- 前記第2調整手段は、前記第2符号化音声ブロックを第2バッファメモリに書き込む第2書き込み手段、前記第2符号化音声ブロックを前記第2書き込み手段による書き込み順に前記第2バッファメモリから読み出す第2読み出し手段、および前記第2バッファメモリの空き容量と第2閾値との大小関係に応じて前記第2書き込み手段の書き込み態様を変更する第2変更手段を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の電話機。
- マイクロホンを通して入力された第1音声信号を符号化して第1符号化音声ブロックを作成する符号化手段、
前記符号化手段によって作成された第1符号化音声ブロックを通話相手に向けて送信する送信手段、
前記通話相手から送信された第2符号化音声ブロックを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された第2符号化音声ブロックの数を調整する調整手段、および
前記調整手段によって調整された数の第2符号化音声ブロックを復号してスピーカから出力される第2音声信号を作成する復号手段を備え、
前記調整手段は、前記第2符号化音声ブロックをバッファメモリに書き込む書き込み手段、前記第2符号化音声ブロックを前記書き込み手段による書き込み順に前記バッファメモリから読み出す読み出し手段、前記バッファメモリの空き容量と閾値との大小関係に応じて前記書き込み手段の書き込み態様を変更する変更手段、および前記バッファメモリの空き容量が前記閾値を下回るとき前記第2符号化音声ブロックのうち無音ブロックを廃棄する廃棄手段を含む、電話機。
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