JP3992106B2 - 界面を有する二流体に発生する界面張力差対流を利用した駆動方法と駆動機構 - Google Patents

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Description

本発明はフロリナート(本明細書中ではモノマー(単分子)化合物構造のフッ素系不活性液体を意味して用いる。)とシリコンオイルのような界面を有する二流体間に自発的に発生する界面張力差対流を利用して新規の流体駆動源として機械的な力を生み出す方法とその力をマイクロマシンに適用する技術に関する。
最近、半導体分野や医療分野等の広い分野でミクロの世界での加工や処理が必要とされ、所謂マイクロマシンといわれるものが各種開発されている。マシンの構造形成にはマイクロ光造形やイオンビームや電子ビームを用いたCVD技術が用いられ、微細な構造物が種々作られている。しかし、この微細なマシンを駆動するための機構についてはその構造が微細な故に、通常は大きな事柄とはならない各種の問題が壁となって、実用化が困難な状況にある。例えば微小スケールに於いては、摩擦力が支配的となるため、今までに開発されてきた微小駆動源では無理な負荷が掛かった場合でも、負荷を解放するための空回りをさせることが難しくマシンを変形させたり破壊させるなどの不都合を生じている。
近年、微量な血液などのサンプルを分析するために、数センチメートルほどのチップの上にクロマトグラフィーなどを組み込んだμTAS(Micro Total Analyses)の技術が脚光を浴びている。病気などの診断が自宅でできることやサンプル量が極めて少なくて良いこと、結果が直ちに出ることなどの長所が注目され、一つの技術分野が確立しつつあるところである。ところがこのμTASでサンプルに試薬などを加えようとしたとき、マイクロスケールでは粘性の効果が大きくなる上に代表長さが小さくなると、レイノルズ数が小さくなるという物理現象があるために、μTAS上でサンプルと試薬を混合しようとしても流れは層流となりなかなか混じってくれない。通常スケールの場で二液を混合することはたやすい技術であるが、μTAS上ではそのスケールの細かさの故に二液を混合することは困難である。このようにミクロの世界で使用できる攪拌混合機構の開発が強く求められているところである。(非特許文献1参照)
本発明者グループはこのマイクロマシンの駆動源としてマランゴニ対流が利用できないかという着想に基づき研究を重ねてきたところである。気体と液体の界面において、温度勾配や濃度勾配が生じるとき表面張力が不均一となる現象、またはそれによって流れが誘起される現象をマランゴニ現象という。たとえば、水面に洗剤や樟脳の小片を浮かべると、それが水に溶けて水の表面張力が変化し、そのために小片が水面上を運動する。縁日などで樟脳を付けた小舟を走らせる光景は誰しも記憶にあろうが、あれはこのマランゴニ現象を利用したものである。また、エーテルなどの揮発性の高い液体の表面では、温度の不均一が生じたとき、表面張力の不均一によって表面近くにベナール対流とよく似た流れが自発的に発生するが、これをマランゴニ対流(Marangoni convection)という。
微小重力場および微小スケールにおいては濡れ性や表面張力が支配的となるが、本発明者グループはこの相似性に注目し、濡れ性や表面張力を制御することによる流体のハンドリングを研究してきた。界面張力差対流は半導体の単結晶育成時において、結晶品質に影響を与えることから数多くの研究例がある。また微小重力場においては自然対流が消滅する代わりに界面張力差対流が顕著に表れるため研究されてきた。従来マランゴニ対流は温度差、濃度差、表面電位の分布が原因となって発生するものに関して研究がなされてきた。(非特許文献2参照)従来の研究ではマランゴニ対流は温度差や濃度差を必要とするものとして理解されてきたが、本研究のシリコンオイルとフロリナートとの組み合わせ(以下これをシリコンオイル・フロリナート系という。)は、両者がほとんど混じり合わないために界面を有し、シリコンオイルとフロリナートの二液と大気(気相)の間に発生する液液気マランゴニ対流は二液を接触させることだけで発生する。この現象は温度差や濃度差を必要とするものではない点でマランゴニ対流についての従来の常識を破るものであり、今までこのような報告例は国内外に全く無かった。本研究で行う液液気マランゴニ対流は二液を接触させることだけで発生する所に大きな特色がある。この現象は現在のところ完全に解析しきれているわけではないが、駆動力はフロリナートの蒸発によるものだと考えられる。大気開放の条件でシリコンオイルとフロリナートの二液接触を行えば飽和蒸気圧に達することなく、フロリナートが存在する限り駆動させることができ、この点が従来から知られていた他のマランゴニ対流と大きく異なるところである。因みに樟脳によって動く小舟は濃度差があることが必須であり、水中の樟脳濃度が所定値に達すると動かなくなってしまう。
特開2002−127100号公報 「光駆動装置」 平成14年5月8日公開 特開平6−38561号公報 「静電型マイクロウオブモータ」 平成6年2月10日公開 Seungbae Hong, Luc G. Frechette and Vijay Modi "Numericalsimulation of mixing in a micro-channel with non-uniformzeta potentialsurface" Proceedings of the Micro Total Analysis System 2002, Volume 1,P94 (2002) 藤縄勝彦「レイリー運動とマランゴニ運動」 化学工学 第49巻 第11号 P896-P901 (1985)
以上述べたように、マイクロマシンの分野ではその微細スケールに適応した駆動方法や駆動機構の開発が求められていることを受け、本発明の課題はマイクロマシンの駆動方法として機構的に大きくならず、厄介なエネルギー供給を要さず、必要な駆動力を得ることができ、更にマシンに無理な負荷をかけることのない駆動方法と駆動機構を提示することにある。
また、本発明の異なる課題はマイクロマシンの駆動力を適宜制御することができる手法を提示することにある。
マイクロマシンの駆動力を生み出す本発明の方法は、シリコンオイルとフロリナートの二流体界面に発生する界面張力差対流をマイクロマシンの駆動部材に作用させ、駆動力として利用するものである。
また、本発明のマイクロマシン回転駆動機構は、微小羽根車をフロリナート液面上に浮かせ、該微小羽根車のそれぞれの同じ向きの面にシリコンオイルを付着させることにより、二流体界面に発生する界面張力差対流を前記微小羽根車の駆動力とする。
また、本発明のマイクロマシン一方向駆動機構は、微小薄板をフロリナート液面上に浮かせ、該微小薄板の一端にシリコンオイルを付着させることにより、二流体界面に発生する界面張力差対流を前記微小薄板の駆動力とする。
更に上記の駆動機構の作動を確実にするため、シリコンオイルを付着させる駆動部材の表面の内シリコンオイルを付着させる領域だけを濡れ性のよい素材で処理し、その周辺領域一体を濡れ性の悪い素材で処理してシリコンオイル液滴を付着させるようにした。
複数の流体を攪拌混合させる本発明の方法は、複数の流体が積層流の状態で流れている細溝上にシリコンオイルとフロリナートの液滴を介在させ、該二流体界面に発生する界面張力差対流の作用によって攪拌混合させる。例えばμTASチップ上の試料と試薬の混合領域においてシリコンオイルとフロリナートの液滴を介在させ、該二流体界面に発生する界面張力差対流によって試料と試薬とを攪拌混合させる。
また、本発明では所望の駆動力を調整するために、シリコンオイルとフロリナート間の温度差を調整することによって界面張力差対流の速度を制御する方法と、シリコンオイルとフロリナートの界面領域におけるフロリナート蒸気圧を調整することによって界面張力差対流の速度を制御する方法を提示する。
本発明の方法は、シリコンオイルとフロリナートの二流体界面に発生する界面張力差対流をマイクロマシンの駆動力として利用するものであるから、シリコンオイルとフロリナートの二流体を介在させるだけで駆動機構として特別の部材やエネルギー供給手段を備える必要が無く、究極のコンパクト化に最適である。
また、本発明の駆動機構は、微小羽根車をフロリナート液面上に浮かせ、該微小羽根車のそれぞれの同じ向きの面にシリコンオイルを付着させることにより、二流体界面に発生する界面張力差対流を前記微小羽根車の駆動力とする回転駆動機構であり、あるいは微小薄板をフロリナート液面上に浮かせ、該微小薄板の一端にシリコンオイルを付着させることにより、二流体界面に発生する界面張力差対流を前記微小薄板の駆動力とする一方向駆動機構であるから、過負荷が掛かったときでも対流現象の中で吸収でき、マシン側に無理が掛かって変形や破壊をもたらすことが無い。
シリコンオイルを付着させる駆動部材の表面の内シリコンオイルを付着させる領域だけを濡れ性のよい素材で処理し、その周辺領域一体を濡れ性の悪い素材で処理する本発明の駆動機構は、マランゴニ対流を生じさせたい箇所に特定してシリコンオイル液滴を容易に且つ確実に付着させることができる。
また、複数の流体が積層流の状態で流れている細溝上にシリコンオイルとフロリナートの液滴を介在させ、該二流体界面に発生する界面張力差対流によって複数の流体を攪拌混合させる本発明の方法は、微小領域に於いてマランゴニ対流を生じさせることができるので、ミクロスケールに於いて層流状態となっている複数の流体の攪拌混合をを効果的に実行できる。この手法は効果的な混合方法が求められているμTASチップ上の試料と試薬の混合に適用して有効に試料と試薬とを攪拌混合させる。
更に本発明ではシリコンオイル・フロリナート系の界面張力差対流の速度をシリコンオイルとフロリナート間の温度差を調整することによって、或いはシリコンオイルとフロリナートの界面領域におけるフロリナート蒸気圧を調整することによって界面張力差対流の速度を制御する手法を提示したので、マイクロマシンが必要とされる適宜の駆動力を提供することが可能となる。更に、フロリナート蒸気圧を調整では飽和蒸気圧の下で対流を停止させることができるので、ON−OFF制御を行わせることもできる。
シリコンオイルとフッ素系の流体であるフロリナートはほとんど溶け合わず界面を形成する。本発明者らは本発明の研究過程に於いて、この二流体を用いて温度差による界面張力差対流の実験を行っていた。フロリナートの上にシリコンオイルの液滴を乗せると液液界面で秒速数十ミリメートルの非常に早い流れが発生することを発見した。当初、濃度差に起因した界面張力差対流であると推測し観察を続けたが、小さい液滴に速い流れが持続的に発生し、十分に濃度が飽和均一になるであろうと思われる時間を経過した後でも流れの勢いは変わらず激しく流動し続けた。この流れは容器をサランラップで密封すると収束したことから蒸発に起因していると考えられる。しかし蒸発するとなぜ流れが発生するのか駆動力のメカニズムは未知である。
本発明は、偶然発見したこのシリコンオイルとフロリナート系において自発的に発生する界面張力差対流から機械力を取り出す方法を前述したようにマイクロマシンの駆動方法として機構的に大きくならず、厄介なエネルギー供給を要さず、必要な駆動力を得ることができる駆動方法と駆動機構を提示するものとして想到したものである。特許文献1や特許文献2に示されるように従来のマイクロマシンの駆動機構はそのエネルギー源として、電気、光或いは熱といったものの供給を必要といていたが、本発明の駆動機構は気相の下でフロリナートとシリコンオイルの界面が存在すれば自発的に発生する界面張力差対流を駆動源に利用するものであるから、機構的にも極めて単純であり、エネルギー供給機構の必要もないことにより究極のマイクロマシンの駆動源として好適である。
図1に示すようにフロンの化合物であるフロリナートをシャーレに満たし、その上にシリコンオイルの液滴をたらす。すると図1の模式図に示すような自発的流れが発生した。この時画鋲の針を垂直に立てる形態でシャーレの中心部に置き、その針先にシリコンオイルの液を滴下すると、この針先にシリコンオイル液滴がからみついて動かないように固定することができた。
図2に流れの可視化トレーサーを用いてフロリナート・シリコンオイル系に発生する自発的な流れの流線を示す。図中中央の点は画鋲の針先、その周囲の円領域がシリコンオイルの液滴である。観察の結果、対流発生メカニズムはシリコンオイル・フロリナート・空気の三重接線での現象にあると思われる。シリコンオイル滴の底面から接線に近づいてきたトレーサーは三重接線において弾かれたように加速しシリコンオイル・空気界面を流れる。それに伴いフロリナートも接線から放射状に流れ場を持つ。この流れ現象は容器をサランラップで密封すると終息したことから蒸発に起因していると推定される。シリコンオイルの液滴の厚さは薄く液滴体積と面積から計算した結果1mm程度と算出される。
図3に本対流を高速度カメラ[250 frame/s] により速度観測した結果を示す。横軸に界面位置を0とした位置データを、縦軸に時間をとってグラフ表示してあり、左のマイナス側にフロリナートの流れ位置を△で、右のプラス側にシリコンオイルの流れ位置を○で時間経過と共に示している。各フレーム毎の液滴位置をトレースすると、液滴中央下部からスタートしたトレーサーはシリコンオイル・フロリナートの液液界面を三重接線に向かって進み三重接線において弾かれるように加速されているのが観察された。次に速度をやや落としながらシリコンオイル滴上部の中央部へと流れてゆく。
図4には速度分布を示す。横軸には図3と同様に位置データを縦軸には速度データをとってグラフ表示してあり、右側の○でプロットしたシリコンオイルでは接線から液滴の中心に向かう速度を正に、左側の△でプロットしたフロリナートでは接線から外側に向かう速度を正とした。フロリナート・シリコンオイル界面の速度はシリコンオイル・空気界面の速度より速いことが明らかになった。流れのマスバランスは保存されているので、シリコンオイル・空気側の境界層が薄くなっていると考えられる。
段落番号[0012]に記載したシリコンオイル液滴中央に立っている固定用の画鋲の針を冷却すると、温度差マランゴニ対流と二流体に発生する界面張力差対流が同方向になるので表面流速を加速する事が確認できた。また逆に固定用の画鋲の針を加熱すると表面流速が減速する事が確認できた。
図5にその際の表面温度計測の結果を示す。横軸に水平方向位置を縦軸に温度をとってグラフ表示してある。印加温度によって対流速度が異なるものの、対流観察時に表面の温度分布が観測されなかったことから、この現象が従来公知の温度差による界面張力差対流でないことがわかり、新規の原理に基づく駆動力であることが明らかとなった。
図6に本シリコンオイル・フロリナート系の界面張力差対流を駆動力に適用した回転力を生み出す装置の試作を示す。シリコンオイルもフロリナートも共に濡れ性が良いが、シリコンオイルの方が若干濡れ易いため、この微妙な濡れ性の違いを利用して羽根車の本体をプラスチックの板で作り、三つの羽根のそれぞれ一方のみにポリテトラフルオロエチレンのシールを貼り付けた。この羽根車をフロリナートに浮かべ、図6に示すように上記シールの方にのみ注射器を用いて赤く着色したシリコン液滴を付着させると、羽根車は自発的に回転を始めた。シリコンオイルとフロリナートの界面においてこの二流体が互いに反発し合う形態の対流が生じるため、その反作用として羽根車が回転させられる。
図7に示したグラフは羽根車の先端速度に及ぼすシリコンオイル量の影響を示す。横軸にシリコンオイルの量を、縦軸に羽根車の最大径部分の周速度をとって実験値をプロットした。最大径部分は図中のスケールから分かるように半径約6mmである。シリコンオイルが1.8mmまでの時は回転速度が増すが、それよりも大きいと回転速度は6mm/秒程でほぼ一定となる事がわかった。
図8にシリコンオイル量と羽根車の回転が止まるまでの時間との関係を示す。この実験では8mmの量で200秒ほど回転し続ける事を確認した。
図9に界面を有する二流体に発生する界面張力差流の流速をコントロールする実施例を示す。重量計1の上においたシャーレ2の中にフロリナート3を満たす。その上にシリコンオイル4の液滴を浮かべると矢印が指す方向に自発的に界面張力差対流が発生する。以上の環境を密閉容器6内にセットする。この界面張力差駆動流は密閉容器6の中にフロリナート蒸気の蒸気圧が飽和すると停止することが確認された。密閉容器6に設けたバルブ5を用い密閉容器内のフロリナート蒸気量をコントロールすることにより対流速度を制御することができる。
図10に界面張力差対流から回転運動を生み出す実施例を示す。容器7にはフロリナート3が満たされている。フロリナート3の上に羽根車8を浮かせる。羽根車8の一方の面9はコーティングなどの表面処理をして濡れ性の悪い特性を持たせており、シリコンオイルは付着しないようにする。一方、羽根車8の他方の面10は部分的に濡れ性の良い特性を持たせておき、その部分にシリコンオイルが付着しやすいようにする。その部分にシリコンオイル4を付着させ、該シリコンオイル4とフロリナート3が接触した部分で、段落番号[0016]に説明した界面張力差駆動流が発生し羽根車8が回転駆動される。羽根車8の回転力は回転軸11を介してマイクロマシンに伝達される。この回転要素は流体の流れの反作用を利用するものであるから、過負荷の際にはこの流体接触部分で羽根車の空回りが可能でありその過負荷を逃がすことができる。従って、従来の駆動機構では製作が困難であった空回り可能な微小回転要素として用いる事ができる。
図11に界面張力差対流から直線運動を生み出す実施例を示す。フロリナート3が満たされた容器7のフロリナート3の液面に薄板でできた舟形の板12を浮かべる。舟形の板12は濡れ性が悪く処理されているが、部分的に濡れ性をよくした領域13を作ってある。シリコンオイル滴4は濡れ性分布のために領域13の上に付着する。舟形の板12は二流体に発生する界面張力差駆動流のために矢印の方向へ進む。なお、濡れ性のよい部分と悪い部分を作る処理は要するにシリコンオイルの液滴を所望箇所に保持させられればよいので、その部分の濡れ性をよく処理することは必要であるが、濡れ性の悪い処理を施す領域はその他の全領域である必要はなく、シリコンオイルの液滴を保持させたい所望箇所周辺を処理すれば足りる。
また、前述した回転運動およびこの直線運動機構は密閉容器の内部に設置する事により容器雰囲気中のフロリナート蒸気の量を調整することによって運動速度をコントロールする事ができる。
図12にμTASをはじめとしたマイクロリアクター用撹拌装置に応用した例を示す。μTAS等マイクロリアクターのように微細な流路の中でA液とB液の二液を混合する場合、微小スケールであるためにそれぞれの液体が全く混じり合わずに一つの流路の中を層流状態で流れることが知られており、試料溶液に試薬を混ぜるときなどにこの問題を解決することが大きな課題となっている。因みにμTASの溝幅は一般に100〜500μm程度である。そこで図12に本フロリナート・シリコンオイル系の界面張力差対流を利用した解決法を示す。A液が流路15を流れ、B液が流路16を流れており、流路17の部分でA液とB液が会合する。しかし微小流路の中ではA液とB液は混合せずに層流状態で並行して流れる。この課題を解決するため、フロリナート3の液滴とシリコンオイル4の液滴をオープンチャンネルとなっている流路17上で接触させると、フロリナート3とシリコンオイル4は自発的に流れを発生し、それぞれの対流が流路17の中を並行して流れているA液とB液を混合する。この結果、下流側の流路18ではA液とB液が混合された状態となっていることを示す。
本明細書が提示した界面張力差対流を利用した駆動方法と駆動機構に関する発明は、厄介なエネルギー源を供給する必要が無く、機械的な構成部品が全く無いことから原理的に無限小の駆動力を得ることができること、また、雰囲気中のフロリナート濃度をコントロールすれば表面流の開始・停止および流速のコントロールが可能であるなどの特長を有することから、明細書中に具体的に示したμTAS等のマイクロリアクター用撹拌装置に限らず、半導体分野や医療分野等の広い分野におけるミクロの世界での種々の加工や処理に応用することが可能である。
界面を有する二液体に発生する界面張力差対流の模式図である。 界面を有する二液体に発生する界面張力差対流の流線の可視化画像である。 界面張力差対流を高速カメラで撮像して得た時間毎の位置データをグラフ表示したものである。 界面張力差対流を高速カメラで撮像して得た流速分布データを位置に対応してグラフ表示したものである。 界面張力差対流における界面の温度分布を示したグラフである。 二流体の界面張力差対流を駆動力として利用した回転機構の試作例である。 フロリナート・シリコンオイル系におけるシリコンオイル液適量と回転速度の関係を示すグラフである。 フロリナート・シリコンオイル系におけるシリコンオイル液適量と回転時間の関係を示すグラフである。 フロリナート・シリコンオイル系における二流体の界面張力差駆動流とフロリナート蒸気圧との関係を観察する装置である。 界面を有する二流体の界面張力差駆動流から回転運動を生み出す機構を示す図である。 界面を有する二流体の界面張力差駆動流から直線運動を生み出す機構を示す図である。 μTAS用の攪拌混合手段として界面張力差駆動流を適用した微小撹拌装置である。
符号の説明
1 重量計 11 回転軸
2 シャーレ 12 薄板
3 フロリナート 13 濡れ性のよい領域
4 シリコンオイル 15 A液用流路
5 バルブ 16 B液用流路
6 密閉容器 17 A液B液が合流する流路
7 容器 18 A液B液混合される流路
8 羽根車
9 羽根車の濡れ性が悪い面
10 羽根車の濡れ性が良い面

Claims (8)

  1. シリコンオイルとフロリナートの二流体界面に発生する界面張力差対流をマイクロマシンの駆動部材に作用させ、駆動力として利用する方法。
  2. 微小羽根車をフロリナート液面上に浮かせ、該微小羽根車のそれぞれの同じ向きの面にシリコンオイルを付着させることにより、二流体界面に発生する界面張力差対流を前記微小羽根車の駆動力とすることを特徴とする回転駆動機構。
  3. 微小薄板をフロリナート液面上に浮かせ、該微小薄板の一端にシリコンオイルを付着させることにより、二流体界面に発生する界面張力差対流を前記微小薄板の駆動力とすることを特徴とする一方向駆動機構。
  4. シリコンオイルを付着させる駆動部材の表面の内シリコンオイルを付着させる領域だけを濡れ性のよい素材で処理し、その周辺領域一体を濡れ性の悪い素材で処理してシリコンオイル液滴を付着させることを特徴とする請求項2または3に記載の駆動機構。
  5. 複数の流体が積層流の状態で流れている細溝上にシリコンオイルとフロリナートの液滴を介在させ、該二流体界面に発生する界面張力差対流によって複数の流体を攪拌混合させる方法。
  6. シリコンオイルとフロリナート間の温度差を調整することによって界面張力差対流の速度を制御することを特徴とする請求項1または5に記載の方法。
  7. シリコンオイルとフロリナートの界面領域におけるフロリナート蒸気圧を調整することによって界面張力差対流の速度を制御することを特徴とする請求項1または5に記載の方法。
  8. μTASチップ上の試料と試薬の混合領域においてシリコンオイルとフロリナートの液滴を介在させ、該二流体界面に発生する界面張力差対流によって試料と試薬とを攪拌混合させる方法。
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